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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第16巻(卯の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 神軍霊馬
第1章 天橋立
第2章 暗夜の邂逅
第3章 門番の夢
第4章 夢か現か
第5章 秋山館
第6章 石槍の雨
第7章 空籠
第8章 衣懸松
第9章 法螺の貝
第10章 白狐の出現
第2篇 深遠微妙
第11章 宝庫の鍵
第12章 捜索隊
第13章 神集の玉
第14章 鵜呑鷹
第15章 谷間の祈
第16章 神定の地
第17章 谷の水
第3篇 真奈為ケ原
第18章 遷宅婆
第19章 文珠如来
第20章 思はぬ歓
第21章 御礼参詣
跋
霊の礎(一)
霊の礎(二)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第16巻(卯の巻)
> 第1篇 神軍霊馬 > 第2章 暗夜の邂逅
<<< 天橋立
(B)
(N)
門番の夢 >>>
第二章
暗夜
(
やみよ
)
の
邂逅
(
かいこう
)
〔五九二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻
篇:
第1篇 神軍霊馬
よみ(新仮名遣い):
しんぐんれいば
章:
第2章 暗夜の邂逅
よみ(新仮名遣い):
やみよのかいこう
通し章番号:
592
口述日:
1922(大正11)年04月05日(旧03月09日)
口述場所:
筆録者:
藤津久子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
英子姫と悦子姫は、バラモンの捕り手から逃げて由良の港の手前の山道までやってきた。そこで偶然、亀彦の宣伝使と再会する。
その場には源洲、金洲という追いはぎがいた。亀彦は追いはぎたちを追い払い、三人はこれまでの旅の様子や神素盞嗚大神の行方について、情報を交換し合う。
そこへ再びバラモンの捕り手たちが大人数でやってきた。三人は奮戦して血路を開く。バラモンの捕り手たちはその勢いに辟易して逃げ散っていく。亀彦は西へ、英子姫と悦子姫は東へと走り去る。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-27 16:14:48
OBC :
rm1602
愛善世界社版:
29頁
八幡書店版:
第3輯 411頁
修補版:
校定版:
30頁
普及版:
12頁
初版:
ページ備考:
001
大江颪
(
おほえおろし
)
の
凩
(
こがらし
)
に
002
吹
(
ふ
)
かれて
進
(
すす
)
む
英子姫
(
ひでこひめ
)
003
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せた
身魂
(
みたま
)
には
004
如何
(
いか
)
になろとも
悦子姫
(
よしこひめ
)
005
爪先
(
つまさき
)
上
(
のぼ
)
りの
山道
(
やまみち
)
を
006
転
(
こけ
)
つ
まろ
びつ
四辺
(
あたり
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
りつつ
007
鬼
(
おに
)
や
大蛇
(
をろち
)
や
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
008
二人
(
ふたり
)
の
乙女
(
おとめ
)
に
怖
(
おそ
)
れてや
009
谷
(
たに
)
の
彼方
(
あなた
)
にコンコンと
010
響
(
ひび
)
く
狐
(
きつね
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
011
人
(
ひと
)
も
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ん
鬼
(
おに
)
も
来
(
こ
)
ん
012
こん
輪奈落
(
りんならく
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
も
013
探
(
さが
)
し
索
(
もと
)
めて
父上
(
ちちうへ
)
に
014
逢
(
あ
)
はずに
此
(
この
)
儘
(
まま
)
置
(
お
)
くべきか
015
運
(
はこ
)
ぶ
足並
(
あしなみ
)
ゆらゆらと
016
由良
(
ゆら
)
の
港
(
みなと
)
の
手前
(
てまへ
)
迄
(
まで
)
017
辿
(
たど
)
り
来
(
きた
)
れる
折柄
(
をりから
)
に
018
闇
(
やみ
)
を
通
(
とほ
)
して
鳴
(
な
)
り
響
(
ひび
)
く
019
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しき
宣伝歌
(
せんでんか
)
020
道
(
みち
)
の
傍
(
かたへ
)
の
物影
(
ものかげ
)
に
021
二人
(
ふたり
)
は
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び
022
何人
(
なにびと
)
ならむと
窺
(
うかが
)
へば
023
夜目
(
よめ
)
には
確
(
しか
)
と
分
(
わか
)
らねど
024
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
にて
別
(
わか
)
れたる
025
印象
(
いんしやう
)
深
(
ふか
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
026
万代
(
よろづよ
)
祝
(
いは
)
ふ
亀彦
(
かめひこ
)
が
027
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
をば
028
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たる
益良夫
(
ますらを
)
の
029
凛々
(
りり
)
しき
姿
(
すがた
)
の
面影
(
おもかげ
)
に
030
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つ
許
(
ばか
)
り
英子姫
(
ひでこひめ
)
031
折
(
をり
)
も
悦子
(
よしこ
)
の
姫
(
ひめ
)
二人
(
ふたり
)
032
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
より
淑
(
しと
)
やかに
033
かくる
言葉
(
ことば
)
も
震
(
ふる
)
ひ
声
(
ごゑ
)
。
034
英子姫
(
ひでこひめ
)
『モシモシ
旅
(
たび
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
035
突然
(
とつぜん
)
乍
(
なが
)
ら
物
(
もの
)
を
御
(
お
)
尋
(
たづ
)
ねいたします。
036
妾
(
わらは
)
は
女
(
をんな
)
の
二人
(
ふたり
)
連
(
づれ
)
、
037
様子
(
やうす
)
あつて
遠
(
とほ
)
き
国
(
くに
)
より、
038
此
(
この
)
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
にやうやう
渡
(
わた
)
り
着
(
つ
)
いたる、
039
孱弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
で
御座
(
ござ
)
います。
040
貴方
(
あなた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬか』
041
暗
(
くら
)
がりより
突然
(
とつぜん
)
聞
(
きこ
)
ゆる
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
に
亀彦
(
かめひこ
)
は、
042
不審
(
ふしん
)
の
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
め
乍
(
なが
)
らツト
立
(
た
)
ち
止
(
どま
)
り、
043
暫
(
しば
)
らく
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
、
044
坂道
(
さかみち
)
に
双手
(
もろで
)
を
組
(
く
)
んで
首
(
かうべ
)
を
左
(
ひだり
)
に
傾
(
かたむ
)
けながら、
045
糸
(
いと
)
の
縺
(
もつ
)
れをとく
心地
(
ここち
)
して、
046
古
(
ふる
)
き
記憶
(
きおく
)
をたぐつてゐる。
047
たぐれどたぐれど
容易
(
ようい
)
にとけぬ
胸
(
むね
)
の
縺
(
もつ
)
れ、
048
百条
(
ももすぢ
)
千条
(
ちすぢ
)
八千条
(
やちすぢ
)
の
辻
(
つじ
)
に
佇
(
たたず
)
み
行手
(
ゆくて
)
に
迷
(
まよ
)
ふが
如
(
ごと
)
くなり。
049
暗
(
くら
)
がりより
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
として、
050
二人
『モシ
旅
(
たび
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
051
御
(
ご
)
返事
(
へんじ
)
なきは
妾
(
わらは
)
が
知人
(
ちじん
)
に
在
(
おは
)
さざりしか、
052
但
(
ただし
)
は
女
(
をんな
)
盗賊
(
たうぞく
)
の
出現
(
しゆつげん
)
と
御
(
お
)
思召
(
ぼしめ
)
しての
御
(
お
)
見違
(
みちが
)
ひか、
053
妾
(
わらは
)
は
決
(
けつ
)
して
怪
(
あや
)
しき
女
(
をんな
)
には
候
(
さふら
)
はず、
054
少
(
すこ
)
し
以前
(
いぜん
)
、
055
竜灯松
(
りうとうまつ
)
の
麓
(
ふもと
)
に
於
(
おい
)
て
怪
(
あや
)
しき
人影
(
ひとかげ
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
056
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
に
遁
(
のが
)
れ
来
(
きた
)
りし
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
057
御
(
お
)
差支
(
さしつかへ
)
無
(
な
)
くば
御
(
おん
)
名
(
な
)
を
名告
(
なのら
)
せ
給
(
たま
)
へ』
058
亀彦
(
かめひこ
)
『
何
(
なん
)
となく
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えのある
御
(
お
)
声
(
こゑ
)
なれど、
059
少
(
すこ
)
しく
心
(
こころ
)
の
沈
(
しづ
)
む
事
(
こと
)
有之候
(
これありさふら
)
へば、
060
容易
(
ようい
)
に
記憶
(
きおく
)
の
浮
(
う
)
かび
出
(
い
)
で
申
(
まを
)
さず、
061
願
(
ねが
)
はくは
御
(
お
)
二人
(
ふたり
)
のネームを
名告
(
なのら
)
せ
給
(
たま
)
へ』
062
暗
(
くら
)
がりの
中
(
なか
)
より
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
、
063
金州
(
きんしう
)
『やア
何
(
なん
)
ぢや、
064
道
(
みち
)
の
真中
(
まんなか
)
に
立
(
た
)
ちはだかりやがつて、
065
ネームぢやの、
066
ねる
だのと
怪体
(
けつたい
)
な
代物
(
しろもの
)
だ。
067
オイ
源州
(
げんしう
)
、
068
一寸
(
ちよつと
)
起
(
お
)
きぬかい。
069
怪体
(
けつたい
)
な
奴
(
やつ
)
が
来居
(
きを
)
つたぢやないか』
070
源州
(
げんしう
)
『ウウ、
071
ムニヤムニヤムニヤムニヤ』
072
金州
(
きんしう
)
『オイ
源州
(
げんしう
)
、
073
大変
(
たいへん
)
だぞ』
074
源州
(
げんしう
)
『ウヽヽヽウン
何
(
なん
)
だ、
075
喧
(
やかま
)
しい
哩
(
わい
)
。
076
金州
(
きんしう
)
の
奴
(
やつ
)
、
077
葬礼
(
さうれん
)
の
家
(
いへ
)
へ
出会
(
でくは
)
して
沢山
(
どつさり
)
と
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
頂
(
いただ
)
き
掛
(
かか
)
つた
最中
(
さいちう
)
に
揺
(
ゆす
)
り
起
(
お
)
こしやがつて、
078
さア
罰金
(
ばつきん
)
だ、
079
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
の
損害
(
そんがい
)
賠償
(
ばいしやう
)
を
請求
(
せいきう
)
するぞ。
080
アヽ
眠
(
ねむ
)
い
眠
(
ねむ
)
い』
081
金州
(
きんしう
)
『あちらにも
眠
(
ねむ
)
い、
082
こちらにも
眠
(
ねむ
)
い、
083
やア
一向
(
いつかう
)
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
た
哩
(
わい
)
。
084
如何
(
いか
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
浮世
(
うきよ
)
だと
云
(
い
)
つても、
085
大江山
(
おほえやま
)
に
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
変
(
へん
)
な
奴
(
やつ
)
が
現
(
あら
)
はれた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
086
夜中
(
やちう
)
は
化物
(
ばけもの
)
が
現
(
あら
)
はれて、
087
天
(
てん
)
を
枕
(
まくら
)
に
縦
(
たて
)
に
寝
(
ね
)
る
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのかな。
088
オイ
源州
(
げんしう
)
、
089
起
(
おき
)
ぬかい、
090
幸
(
さいは
)
ひ
夜半
(
よなか
)
の
事
(
こと
)
であり、
091
対方
(
むかふ
)
は
只
(
たつた
)
一人
(
ひとり
)
、
092
片一方
(
かたいつぱう
)
は
壁
(
かべ
)
の
様
(
やう
)
な
絶壁
(
ぜつぺき
)
だ。
093
片一方
(
かたいつぱう
)
は
断崖
(
だんがい
)
、
094
おまけに
荒波
(
あらなみ
)
猛
(
たけ
)
る
海
(
うみ
)
と
来
(
き
)
てるのだから、
095
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
う
時
(
とき
)
に
一
(
ひと
)
つ
追剥
(
おひはぎ
)
の
練習
(
れんしふ
)
でもやらねば、
096
やる
時
(
とき
)
が
無
(
な
)
いぞ。
097
サア
起
(
お
)
きた
起
(
お
)
きた。
098
コラコラ、
099
ネーム、
100
貴様
(
きさま
)
の
持物
(
もちもの
)
を
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
で
脱
(
ぬ
)
いて
金
(
きん
)
さまに
呉
(
く
)
れないか』
101
亀彦
(
かめひこ
)
『
生憎
(
あひにく
)
長
(
なが
)
の
道中
(
だうちう
)
で
懐中
(
くわいちゆう
)
欠乏
(
けつぼふ
)
、
102
金
(
きん
)
サンに
縁
(
えん
)
が
薄
(
うす
)
い
哩
(
わい
)
。
103
アハヽヽヽ』
104
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
『オホヽヽヽ、
105
オホヽヽヽ』
106
源州
(
げんしう
)
は、
107
ヌツと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
乍
(
なが
)
ら、
108
源州
『そら
薩張
(
さつぱり
)
源助
(
げんすけ
)
だ、
109
何
(
なん
)
だ、
110
男
(
をとこ
)
の
声
(
こゑ
)
かと
思
(
おも
)
へば
忽
(
たちま
)
ち
変
(
へん
)
じて
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
、
111
曲神
(
まがかみ
)
の
奴
(
やつ
)
、
112
味
(
あぢ
)
好
(
よ
)
うやり
居
(
を
)
る
哩
(
わい
)
』
113
亀彦
(
かめひこ
)
『
源
(
げん
)
、
114
金
(
きん
)
は
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
らぬ。
115
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
拳骨
(
げんこ
)
を
呉
(
く
)
れてやらうかい』
116
(
拳骨
(
げんこ
)
といへば
此
(
この
)
地方
(
ちはう
)
では、
117
固
(
かた
)
い
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
の
代名詞
(
だいめいし
)
である)
118
源州
(
げんしう
)
『ヤアそりや
気
(
き
)
がきいて
居
(
を
)
る。
119
有難
(
ありがた
)
い、
120
いくらでも
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
致
(
いた
)
さぬ。
121
一体
(
いつたい
)
いくら
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
るか、
122
ヤイ
金州
(
きんしう
)
、
123
貴様
(
きさま
)
も
金
(
かね
)
の
代
(
かは
)
りに
拳骨
(
げんこ
)
でも
沢山
(
どつさり
)
と
頂戴
(
ちやうだい
)
したらどうだ』
124
金州
(
きんしう
)
『よう、
125
そりや
有難
(
ありがた
)
いな、
126
モシモシ
旅
(
たび
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
127
本当
(
ほんたう
)
に
下
(
くだ
)
さいますか。
128
貰
(
もら
)
ふのは
私
(
わたくし
)
は
結構
(
けつこう
)
だが、
129
貴方
(
あなた
)
のお
腹
(
なか
)
が
空
(
す
)
きませう。
130
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
残
(
のこ
)
して、
131
残
(
あと
)
は
下
(
くだ
)
さいませ』
132
亀彦
(
かめひこ
)
『やア
俺
(
おれ
)
の
拳骨
(
げんこ
)
は
無尽蔵
(
むじんざう
)
だ。
133
望
(
のぞ
)
みとあらば
百
(
ひやく
)
でも
千
(
せん
)
でも
一万
(
いちまん
)
でも
呉
(
く
)
れてやらう。
134
さア
顔
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
せ、
135
頬
(
ほほ
)
ぺたを
向
(
む
)
け、
136
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
れ、
137
何
(
なん
)
だか
薄暗
(
うすぐら
)
くて
見当
(
けんたう
)
がとれない
様
(
やう
)
だ』
138
(この
地方
(
ちはう
)
にては
間食
(
かんしよく
)
を、
139
けんとう
といふ)
140
源州
(
げんしう
)
『
見当
(
けんたう
)
が
之
(
これ
)
でやつと
取
(
と
)
れました。
141
成
(
な
)
るべくは
手
(
て
)
に
下
(
くだ
)
さいな。
142
頬
(
ほほ
)
ぺたに
貰
(
もら
)
ふのは、
143
口
(
くち
)
に
近
(
ちか
)
うて
好
(
よ
)
い
様
(
やう
)
なものの、
144
若
(
も
)
しも
転
(
ころ
)
げて
落
(
お
)
ちたら
勿体
(
もつたい
)
ないからな』
145
亀彦
(
かめひこ
)
は、
146
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
め、
147
亀彦
(
かめひこ
)
『サア
盗賊
(
どろばう
)
奴
(
め
)
、
148
これを
喰
(
くら
)
へ』
149
と
滅多
(
めつた
)
矢鱈
(
やたら
)
に
乱打
(
らんだ
)
すれば、
150
源州
(
げんしう
)
『アイタヽヽヽ、
151
之
(
これ
)
は
又
(
また
)
大変
(
たいへん
)
な
固
(
かた
)
い
拳骨
(
げんこ
)
で
御座
(
ござ
)
いますナ。
152
暗
(
くら
)
がりで
何処
(
どこ
)
へ
落
(
お
)
ちよつたか
薩張
(
さつぱり
)
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
153
同
(
おな
)
じ
貰
(
もら
)
ふのならソツと
手
(
て
)
に
乗
(
の
)
せて
下
(
くだ
)
さると
宜
(
よ
)
いになア』
154
亀彦
(
かめひこ
)
『
不届
(
ふとどき
)
な
泥坊
(
どろばう
)
奴
(
め
)
、
155
グヅグヅ
吐
(
ぬか
)
すと
踏
(
ふ
)
み
蹂
(
にじ
)
り
握
(
にぎ
)
り
潰
(
つぶ
)
してやらうか』
156
源州
(
げんしう
)
『アヽ
勿体
(
もつたい
)
ない、
157
目
(
め
)
が
潰
(
つぶ
)
れますぜ。
158
結構
(
けつこう
)
な
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
を
踏
(
ふ
)
み
蹂
(
にじ
)
つたり、
159
握
(
にぎ
)
り
潰
(
つぶ
)
したりすると、
160
百姓
(
ひやくしやう
)
が
汗水
(
あせみづ
)
垂
(
た
)
らして、
161
やつと
作
(
つく
)
つた
其
(
その
)
米
(
こめ
)
を、
162
そう
粗末
(
そまつ
)
にするものぢやありませぬで』
163
英子姫
(
ひでこひめ
)
『ホヽヽヽヽ』
164
悦子姫
(
よしこひめ
)
『ホヽヽヽヽ』
165
金州
(
きんしう
)
『イヤ
何
(
なに
)
だ、
166
此奴
(
こいつ
)
化物
(
ばけもの
)
だな。
167
声
(
こゑ
)
を
三
(
みつ
)
つにも
使
(
つかひ
)
分
(
わ
)
けしやがつて、
168
男
(
をとこ
)
になつたり
女
(
をんな
)
になつたり、
169
莫迦
(
ばか
)
にするない。
170
大方
(
おほかた
)
団子石
(
だんごいし
)
を、
171
握
(
にぎ
)
り
飯
(
めし
)
だナンテ
吐
(
ぬか
)
して、
172
俺
(
おれ
)
に
打付
(
ぶつつ
)
けよつたのだな、
173
道理
(
だうり
)
で
痛
(
いた
)
いと
思
(
おも
)
つた』
174
亀彦
(
かめひこ
)
『アハヽヽヽヽ』
175
二女
(
にぢよ
)
『ホヽヽヽヽ』
176
金州
(
きんしう
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
愈
(
いよいよ
)
バ
の
字
(
じ
)
に
ケ
の
字
(
じ
)
だ。
177
オイ
源州
(
げんしう
)
、
178
命
(
いのち
)
あつての
物種
(
ものだね
)
だ、
179
逃
(
に
)
げろ
逃
(
に
)
げろ』
180
と
暗
(
くら
)
がりの
中
(
なか
)
を
横
(
よこ
)
になつて、
181
団子
(
だんご
)
を
転
(
ころ
)
がした
様
(
やう
)
に
転
(
ころ
)
げ
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
く。
182
亀彦
(
かめひこ
)
『アハヽヽヽ、
183
妙
(
めう
)
な
乞食
(
こじき
)
が
居
(
を
)
つたものだ、
184
イヤ
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
是
(
これ
)
から
先
(
さき
)
は
危険
(
きけん
)
区域
(
くゐき
)
だ、
185
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けねばなるまい。
186
モシモシお
女中
(
ぢよちう
)
さま、
187
貴女
(
あなた
)
は
何
(
いづ
)
れの
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
るかナ』
188
英子姫
(
ひでこひめ
)
『
是非
(
ぜひ
)
に
及
(
およ
)
ばぬ、
189
申上
(
まをしあ
)
げませう。
190
妾
(
わらは
)
は
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
娘
(
むすめ
)
英子姫
(
ひでこひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
191
一人
(
ひとり
)
は
召使
(
めしつかひ
)
の
悦子姫
(
よしこひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います』
192
亀彦
(
かめひこ
)
『
如何
(
いか
)
にも
紛
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
其
(
その
)
御
(
おん
)
声
(
こゑ
)
、
193
これはこれは
暗夜
(
やみよ
)
の
事
(
こと
)
とて
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
しました。
194
私
(
わたくし
)
は
御存
(
ごぞん
)
じの
亀彦
(
かめひこ
)
で
御座
(
ござ
)
います』
195
英子姫
(
ひでこひめ
)
『ソンナラ
貴方
(
あなた
)
は、
196
妹
(
いもうと
)
菊子姫
(
きくこひめ
)
の
夫
(
をつと
)
、
197
思
(
おも
)
はぬ
処
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
り
大
(
おほ
)
いに
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
ました。
198
して
又
(
また
)
こちらへ
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつたのは、
199
如何
(
どう
)
いふお
考
(
かんが
)
へで』
200
亀彦
(
かめひこ
)
『
申上
(
まをしあ
)
げ
難
(
にく
)
い
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら、
201
御
(
おん
)
父上
(
ちちうへ
)
様
(
さま
)
は
高天原
(
たかあまはら
)
の
事変
(
じへん
)
より、
202
千座
(
ちくら
)
の
置戸
(
おきど
)
を
負
(
お
)
はせ
給
(
たま
)
ひ、
203
世界
(
せかい
)
漂泊
(
さすらひ
)
の
旅
(
たび
)
にお
出
(
で
)
ましになりました。
204
私
(
わたくし
)
は
斎苑
(
いそ
)
の
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
に
於
(
おい
)
て、
205
御
(
おん
)
父上
(
ちちうへ
)
の
御
(
ご
)
消息
(
せうそく
)
を
知
(
し
)
り、
206
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
にお
下
(
くだ
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたと
聞
(
き
)
いた
故
(
ゆゑ
)
、
207
はるばると
荒海
(
あらうみ
)
を
渡
(
わた
)
り、
208
漸
(
やうや
)
く
由良
(
ゆら
)
の
港
(
みなと
)
に
着
(
つ
)
いて
御
(
おん
)
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねむものと
此処迄
(
ここまで
)
参
(
まゐ
)
りました
途中
(
とちう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
209
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
けば、
210
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
大江山
(
おほえやま
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
捕手
(
とりて
)
に
御
(
おん
)
捕
(
とら
)
はれの
御
(
お
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
211
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
亀彦
(
かめひこ
)
が
参
(
まゐ
)
りました
以上
(
いじやう
)
は
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
212
屹度
(
きつと
)
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
して
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れます』
213
此
(
この
)
時
(
とき
)
傍
(
かたはら
)
の
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みの
中
(
なか
)
より、
214
二三十
(
にさんじふ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
215
男
『ヤア
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
一味
(
いちみ
)
の
奴
(
やつ
)
ばら、
216
最前
(
さいぜん
)
からの
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
囁
(
ささや
)
き
話
(
ばなし
)
、
217
木蔭
(
こかげ
)
に
忍
(
しの
)
び
残
(
のこ
)
らず
聞
(
き
)
いた。
218
さア
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
搦
(
から
)
め
取
(
と
)
つて
大江山
(
おほえやま
)
の
砦
(
とりで
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
らむ、
219
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
220
と
闇
(
やみ
)
に
閃
(
ひらめ
)
く
氷
(
こほり
)
の
刃
(
やいば
)
、
221
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
突
(
つ
)
き
掛
(
かか
)
る。
222
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
両刃
(
もろは
)
の
短刀
(
たんたう
)
をヒラリと
抜
(
ぬ
)
き
放
(
はな
)
ち、
223
三人
『
何
(
なに
)
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
224
木
(
こ
)
ツ
端
(
ぱ
)
武者
(
むしや
)
』
225
と
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
勢
(
いきほひ
)
にて
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
ふ。
226
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
捕手
(
とりて
)
はドツと
寄
(
よ
)
せては、
227
又
(
また
)
もやドツと
逃
(
に
)
げ、
228
寄
(
よ
)
せては
返
(
かへ
)
す
磯
(
いそ
)
の
波
(
なみ
)
、
229
四辺
(
あたり
)
に
響
(
ひび
)
く
剣戟
(
けんげき
)
の
音
(
おと
)
。
230
亀彦
(
かめひこ
)
『
斯
(
か
)
かる
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
魔神
(
まがみ
)
に
対
(
たい
)
しては、
231
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ふは
勿体
(
もつたい
)
なし、
232
懲
(
こら
)
しめの
為
(
ため
)
、
233
斬
(
き
)
つて
斬
(
き
)
つて
斬
(
き
)
り
捨
(
す
)
てむ』
234
と
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
く
暴
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ふ。
235
敵
(
てき
)
は
二
(
ふた
)
つに
別
(
わか
)
れて、
236
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
237
亀彦
(
かめひこ
)
は
坂
(
さか
)
を
下
(
くだ
)
つて
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
238
一方
(
いつぱう
)
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
239
悦子姫
(
よしこひめ
)
は
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
に
向
(
むか
)
つて
華々
(
はなばな
)
しく
戦
(
たたか
)
へば
流石
(
さすが
)
の
魔神
(
まがみ
)
も
敵
(
てき
)
しかね、
240
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
して
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
したり。
241
二人
(
ふたり
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
行
(
ゆ
)
きぬ。
242
アヽ
此
(
この
)
結果
(
けつくわ
)
はどうなるであらう。
243
(
大正一一・四・五
旧三・九
藤津久子
録)
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【第2章 暗夜の邂逅|第16巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1602】
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