霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
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【新刊】「ミタマの夫婦」とは?
王仁三郎のソウルメイト論
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第一〇章
白狐
(
びやくこ
)
の
出現
(
しゆつげん
)
〔六〇〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻
篇:
第1篇 神軍霊馬
よみ(新仮名遣い):
しんぐんれいば
章:
第10章 白狐の出現
よみ(新仮名遣い):
びゃっこのしゅつげん
通し章番号:
600
口述日:
1922(大正11)年04月14日(旧03月18日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鬼雲彦が無念の思いにその場に沈んでいると、鬼雲彦妻子の死体は巨大な白狐に還元し、這い出した。手下と見えた鬼彦らも、白狐の正体をあらわして、鬼雲彦を取り囲む。
鬼雲彦は暴れ狂い、鬼ケ城山を指して逃げていった。多くの従卒も鬼雲彦に続いた。しかし鬼ケ城山方面からは、亀彦宣伝使らが向かって来た。鬼雲彦は元来た道を逃げ戻り、大江山本城に逃げ込んだ。
本城で妻の鬼雲姫と合流したが、夫婦共に城内の井戸に落ち込んでしまった。そこを亀彦に引き上げられた。
一方、鬼武彦はさいぜん、鬼彦らを閉じ込めた洞窟の蓋岩を開けた。鬼彦一行は大江山本城に戻ってみると、鬼雲彦夫婦が、亀彦らに囲まれて説諭を受けていた。
鬼彦一行は亀彦らと宣伝歌を唱和した。いたたまれなくなった鬼雲彦夫婦は、一目散に駆け出して伊吹山方面指して逃げていった。
鬼武彦は、大江山は邪神の集まる霊界の四辻であるので、神政成就の暁まで、自分がここを守護することを宣言した。
亀彦、英子姫、悦子姫は鬼武彦の働きと神術を激賞した。そして東を指して進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-27 17:11:26
OBC :
rm1610
愛善世界社版:
126頁
八幡書店版:
第3輯 447頁
修補版:
校定版:
130頁
普及版:
56頁
初版:
ページ備考:
001
八洲
(
やしま
)
の
国
(
くに
)
を
駆
(
か
)
け
巡
(
めぐ
)
り
002
この
世
(
よ
)
を
曇
(
くも
)
らす
自在天
(
じざいてん
)
003
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
004
続
(
つづ
)
けて
茲
(
ここ
)
に
婆羅門
(
ばらもん
)
の
005
大棟梁
(
だいとうりやう
)
と
仰
(
あふ
)
がれし
006
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
猛将
(
まうしやう
)
も、
007
最愛
(
さいあい
)
の
妻
(
つま
)
の
非業
(
ひがう
)
の
最後
(
さいご
)
に
又
(
また
)
もや
続
(
つづ
)
いて
子女
(
しぢよ
)
の
浅
(
あさ
)
ましき
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
胸
(
むね
)
も
張
(
は
)
り
裂
(
さ
)
く
許
(
ばか
)
り、
008
魂
(
こん
)
消
(
き
)
え、
009
魄
(
はく
)
亡
(
ほろ
)
びる
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
し
乍
(
なが
)
らドツカと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打倒
(
うちたふ
)
れ
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
にくれ
居
(
ゐ
)
たり。
010
鬼彦
(
おにひこ
)
は
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り
乍
(
なが
)
ら
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ、
011
鬼彦(正体は鬼武彦)
『アハヽヽヽ、
012
吾
(
われ
)
こそは
鬼彦
(
おにひこ
)
とは
詐
(
いつは
)
り
誠
(
まこと
)
は
大江山
(
たいかうざん
)
に
現
(
あら
)
はれし
白狐
(
びやくこ
)
の
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
、
013
汝
(
なんぢ
)
悪神
(
あくがみ
)
の
計略
(
けいりやく
)
を
根底
(
こんてい
)
より
覆
(
くつが
)
へさむと
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
続
(
つづ
)
け、
014
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
大命
(
たいめい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
015
汝
(
なんぢ
)
が
一類
(
いちるゐ
)
を
征服
(
せいふく
)
に
向
(
むか
)
うたり、
016
汝
(
なんぢ
)
が
力
(
ちから
)
と
恃
(
たの
)
む
鬼彦
(
おにひこ
)
は
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
匿
(
かくま
)
ひあれば
汝
(
なんぢ
)
が
神力
(
しんりき
)
を
以
(
もつ
)
て
索
(
もと
)
め
出
(
だ
)
せよ、
017
さり
乍
(
なが
)
ら
彼
(
かれ
)
は
最早
(
もはや
)
汝
(
なんぢ
)
の
意志
(
いし
)
に
従
(
したが
)
ふ
者
(
もの
)
に
非
(
あら
)
ず、
018
立派
(
りつぱ
)
なる
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となりて
居
(
ゐ
)
るぞ、
019
汝
(
なんぢ
)
が
妻
(
つま
)
と
見
(
み
)
えしは
汝
(
なんぢ
)
が
眼
(
め
)
の
誤
(
あやま
)
り、
020
吾
(
わが
)
眷族
(
けんぞく
)
の
名
(
な
)
もなき
白狐
(
びやくこ
)
の
変化
(
へんげ
)
』
021
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
らずに
鬼雲姫
(
おにくもひめ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
巨大
(
きよだい
)
なる
白狐
(
びやくこ
)
となつてノソリノソリと
這
(
は
)
ひ
始
(
はじ
)
め、
022
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
に
向
(
むか
)
つて
眼
(
め
)
を
光
(
ひか
)
らせ
牙
(
きば
)
を
剥
(
む
)
き
飛
(
と
)
びかからむとする
勢
(
いきほひ
)
を
示
(
しめ
)
し
居
(
ゐ
)
る。
023
鬼虎
(
おにとら
)
は
又
(
また
)
もや
威丈
(
ゐだ
)
け
高
(
だか
)
に
胸
(
むね
)
を
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ、
024
鬼虎(正体は旭)
『アハヽヽヽ、
025
吾
(
われ
)
こそは
大江山
(
たいかうざん
)
に
現
(
あら
)
はれて
四方
(
よも
)
の
魔神
(
まがみ
)
を
征服
(
せいふく
)
し
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
す
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
、
026
旭
(
あさひ
)
の
白狐
(
びやくこ
)
が
化身
(
けしん
)
なるぞ、
027
汝
(
なんぢ
)
が
力
(
ちから
)
と
恃
(
たの
)
む
四天王
(
してんわう
)
の
随一
(
ずゐいつ
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
鬼虎
(
おにとら
)
は
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い
今
(
いま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となれり、
028
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
匿
(
かくま
)
ひあれば
未練
(
みれん
)
あらば
汝
(
なんぢ
)
自由
(
じいう
)
に
岩戸
(
いはと
)
を
開
(
ひら
)
いて
面会
(
めんくわい
)
せよ、
029
汝
(
なんぢ
)
が
伜
(
せがれ
)
と
見
(
み
)
えたるは、
030
之
(
これ
)
も
白狐
(
びやくこ
)
の
化身
(
けしん
)
なり、
031
汝
(
なんぢ
)
が
妻子
(
さいし
)
は
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て、
032
或
(
ある
)
処
(
ところ
)
に
匿
(
かく
)
まひあれば
改心
(
かいしん
)
次第
(
しだい
)
にて
親子
(
おやこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
対面
(
たいめん
)
を
許
(
ゆる
)
し
呉
(
く
)
れむ』
033
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
らぬに
又
(
また
)
もや
一
(
ひと
)
つの
網代籠
(
あじろかご
)
よりノソノソ
這
(
は
)
ひ
出
(
で
)
た
巨大
(
きよだい
)
の
白狐
(
びやくこ
)
、
034
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
身辺
(
しんぺん
)
に
目
(
め
)
を
睜
(
いか
)
らし
牙
(
きば
)
を
剥
(
む
)
きつつ
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
る。
035
熊鷹
(
くまたか
)
は
又
(
また
)
もや
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
036
熊鷹(正体は高倉)
『
吾
(
われ
)
こそは
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
立
(
た
)
てさせ
給
(
たま
)
ふ
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
白狐
(
びやくこ
)
の
高倉
(
たかくら
)
、
037
熊鷹
(
くまたか
)
と
見
(
み
)
えしは
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
化身
(
けしん
)
』
038
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
らぬに
又
(
また
)
もや
這
(
は
)
ひ
出
(
で
)
た
巨大
(
きよだい
)
の
白狐
(
びやくこ
)
、
039
同
(
おな
)
じく
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
に
向
(
むか
)
つて
襲
(
おそ
)
ひ
行
(
ゆ
)
く。
040
石熊
(
いしくま
)
は
又
(
また
)
もや
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
041
石熊(正体は月日明神)
『
吾
(
われ
)
こそは
月日
(
つきひ
)
明神
(
みやうじん
)
と
名
(
な
)
を
頂
(
いただ
)
きし
常夜
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
大江山
(
たいかうざん
)
に
現
(
あら
)
はれたる
白狐
(
びやくこ
)
なるぞ、
042
汝
(
なんぢ
)
は
今
(
いま
)
より
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い
婆羅門
(
ばらもん
)
教
(
けう
)
を
振
(
ふ
)
り
棄
(
す
)
てて
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
信従
(
しんじゆう
)
するか、
043
違背
(
ゐはい
)
に
及
(
およ
)
ばば
大江
(
おほえ
)
の
山
(
やま
)
は
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
踏
(
ふ
)
み
砕
(
くだ
)
き、
044
草
(
くさ
)
の
片葉
(
かきは
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
焼
(
や
)
き
亡
(
ほろ
)
ぼさむ、
045
返答
(
へんたふ
)
如何
(
いか
)
に』
046
と
詰
(
つ
)
めかける。
047
又
(
また
)
もや
一
(
ひと
)
つの
駕籠
(
かご
)
よりは
巨大
(
きよだい
)
の
白狐
(
びやくこ
)
現
(
あら
)
はれて
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
きコンコンと
啼
(
な
)
き
立
(
た
)
て
乍
(
なが
)
ら
改心
(
かいしん
)
を
迫
(
せま
)
る。
048
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
精神
(
せいしん
)
錯乱
(
さくらん
)
して
大刀
(
だいたう
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
き
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ひ、
049
館
(
やかた
)
を
後
(
あと
)
に
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みを
指
(
さ
)
して
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
050
数多
(
あまた
)
の
従卒
(
じゆうそつ
)
共
(
ども
)
は
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ、
051
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
え
谷
(
たに
)
を
渉
(
わた
)
り
鬼
(
おに
)
ケ
城
(
じやう
)
山
(
ざん
)
の
方面
(
はうめん
)
さして
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
遁走
(
とんそう
)
したりける。
052
鬼
(
おに
)
ケ
城
(
じやう
)
山
(
ざん
)
の
方面
(
はうめん
)
より
亀彦
(
かめひこ
)
を
先登
(
せんとう
)
に
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
053
悦子姫
(
よしこひめ
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
此方
(
こちら
)
に
向
(
むか
)
つて
前進
(
ぜんしん
)
し
来
(
きた
)
る。
054
流石
(
さすが
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
も
前後
(
ぜんご
)
に
敵
(
てき
)
を
受
(
う
)
け
死物狂
(
しにものぐるひ
)
の
勇気
(
ゆうき
)
を
現
(
あら
)
はし、
055
長刀
(
ちやうたう
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
いて
亀彦
(
かめひこ
)
目蒐
(
めが
)
けて
斬
(
き
)
つて
掛
(
かか
)
るを、
056
心得
(
こころえ
)
たりと
亀彦
(
かめひこ
)
は
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
身
(
み
)
を
躱
(
かは
)
し
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
挑
(
いど
)
み
戦
(
たたか
)
へば
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
踵
(
きびす
)
を
返
(
かへ
)
し、
057
もと
来
(
き
)
し
道
(
みち
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
058
数多
(
あまた
)
の
従卒
(
じゆうそつ
)
は
吾
(
われ
)
後
(
おく
)
れじと
三十六
(
さんじふろく
)
計
(
けい
)
の
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
して
散
(
ち
)
り
散
(
ち
)
りバラバラ、
059
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
060
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
又
(
また
)
もや
本城
(
ほんじやう
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
061
門内
(
もんない
)
には
鬼雲姫
(
おにくもひめ
)
が
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
、
062
鬼雲姫
『
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
夫
(
をつと
)
はあらざるか、
063
虎彦
(
とらひこ
)
、
064
亀彦
(
かめひこ
)
、
065
山姫
(
やまひめ
)
、
066
河姫
(
かはひめ
)
は
何所
(
いづこ
)
ぞ』
067
と
身
(
み
)
を
藻掻
(
もが
)
き
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
叫
(
さけ
)
び
居
(
を
)
る。
068
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
え
門戸
(
もんこ
)
を
敲
(
たた
)
き、
069
鬼雲彦
『ヤアさう
言
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
は
女房
(
にようばう
)
なるか、
070
俺
(
おれ
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
此処
(
ここ
)
まで
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たぞよ。
071
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
は
如何
(
どう
)
なつた、
072
白狐
(
びやくこ
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
は
何処
(
どこ
)
へ
行
(
い
)
つた、
073
返答
(
へんたふ
)
せよ』
074
と
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てる。
075
鬼雲姫
(
おにくもひめ
)
は
門内
(
もんない
)
より、
076
鬼雲姫
『アヽ
恋
(
こひ
)
しき
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
、
077
能
(
よ
)
くも
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひしぞ』
078
と
中
(
なか
)
より
門
(
もん
)
を
颯
(
さつ
)
と
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
き
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
手
(
て
)
を
執
(
と
)
つて
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
079
余
(
あま
)
りの
嬉
(
うれ
)
しさに
足許
(
あしもと
)
見
(
み
)
えず
鬼雲姫
(
おにくもひめ
)
は
夫
(
をつと
)
の
手
(
て
)
を
携
(
たづさ
)
へたる
儘
(
まま
)
、
080
かねて
穿
(
うが
)
ち
置
(
お
)
いたる
城内
(
じやうない
)
の
井戸
(
ゐど
)
に
夫婦
(
ふうふ
)
共々
(
ともども
)
にドスンと
許
(
ばか
)
り
陥
(
おちこ
)
みぬ。
081
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
は
敵
(
てき
)
も
味方
(
みかた
)
も
影
(
かげ
)
を
隠
(
かく
)
し
幽
(
かす
)
かに
鼠
(
ねずみ
)
の
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
のみ
聞
(
きこ
)
え
居
(
ゐ
)
る。
082
門前
(
もんぜん
)
には
大江山
(
おほえやま
)
の
山颪
(
やまおろし
)
、
083
岩
(
いは
)
も
飛
(
と
)
べよと
許
(
ばか
)
り
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
みゐる。
084
月
(
つき
)
は
早
(
はや
)
西
(
にし
)
に
没
(
ぼつ
)
し
黒雲
(
こくうん
)
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
み
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜず、
085
暗黒
(
あんこく
)
の
帳
(
とばり
)
は
下
(
おろ
)
されたり。
086
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
千仭
(
せんじん
)
の
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
に
数多
(
あまた
)
の
蝮
(
まむし
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
世間
(
せけん
)
知
(
し
)
らずの
楽隠居
(
らくいんきよ
)
、
087
否
(
いな
)
蝮
(
まむし
)
地獄
(
ぢごく
)
の
苦
(
くるし
)
き
生活
(
せいくわつ
)
哀
(
あは
)
れなりける
次第
(
しだい
)
なり。
088
かかる
処
(
ところ
)
へ
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひ
来
(
き
)
たる
亀彦
(
かめひこ
)
はツカツカと
門内
(
もんない
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
城内
(
じやうない
)
隈
(
くま
)
なく
探
(
さが
)
せども
人影
(
ひとかげ
)
さへも
見
(
み
)
えざれば
如何
(
いかが
)
せしやと
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
四辺
(
あたり
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
りつつ
窺
(
うかが
)
ふ
折
(
をり
)
しも
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
より
怪
(
あや
)
しき
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
、
089
はて
訝
(
いぶ
)
かしやと
手燭
(
てしよく
)
を
点
(
とぼ
)
して
覗
(
うかが
)
へば
紛
(
まぎ
)
ふ
方
(
かた
)
なき
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
、
090
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
此
(
この
)
苦
(
くるし
)
みを
見
(
み
)
るに
見
(
み
)
かね
館
(
やかた
)
の
井桁
(
ゐげた
)
に
太縄
(
ふとなは
)
を
打
(
う
)
ち
掛
(
か
)
けツルツルと
井中
(
ゐなか
)
に
釣
(
つ
)
り
下
(
おろ
)
せば、
091
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
無我
(
むが
)
夢中
(
むちう
)
になつて
手早
(
てばや
)
く
此
(
この
)
綱
(
つな
)
に
跳
(
と
)
び
付
(
つ
)
くや
否
(
いな
)
や
綱
(
つな
)
はツルツルと
何物
(
なにもの
)
にか
引
(
ひ
)
き
上
(
あ
)
げられて
再
(
ふたた
)
び
旧
(
もと
)
の
処
(
ところ
)
へ
帰
(
かへ
)
り
行
(
い
)
きぬ。
092
暗
(
やみ
)
を
通
(
とほ
)
して
聞
(
きこ
)
ゆる
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
、
093
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
叶
(
かな
)
はぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
み、
094
婆羅門
(
ばらもん
)
教
(
けう
)
の
神歌
(
しんか
)
を
唱
(
とな
)
へ
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
哀願
(
あいぐわん
)
する。
095
一方
(
いつぱう
)
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
は
先
(
さき
)
に
据
(
す
)
ゑ
置
(
お
)
きたる
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
を
取
(
と
)
り
除
(
のぞ
)
き
岩蓋
(
いはぶた
)
をサツと
開
(
ひら
)
けば
待
(
ま
)
ちかねたる
如
(
ごと
)
く
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
鬼彦
(
おにひこ
)
、
096
鬼虎
(
おにとら
)
、
097
熊鷹
(
くまたか
)
、
098
石熊
(
いしくま
)
其
(
その
)
他
(
た
)
数多
(
あまた
)
の
帰順
(
きじゆん
)
せし
人々
(
ひとびと
)
は、
099
枯木
(
かれき
)
に
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
きしが
如
(
ごと
)
く
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み、
100
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
101
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
はホンノリと
白
(
しら
)
み
初
(
そ
)
め、
102
明
(
あ
)
けの
鵲
(
からす
)
がカアカアと
啼
(
な
)
き
初
(
はじ
)
めたり。
103
漸
(
やうや
)
く
山上
(
さんじやう
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
門前
(
もんぜん
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
れば
亀彦
(
かめひこ
)
、
104
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
105
悦子姫
(
よしこひめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
かれ、
106
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
何事
(
なにごと
)
か
説諭
(
せつゆ
)
を
受
(
う
)
けつつありぬ。
107
鬼彦
(
おにひこ
)
初
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
亀彦
(
かめひこ
)
一行
(
いつかう
)
に
一礼
(
いちれい
)
し
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
宣
(
の
)
りつれば、
108
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
居
(
ゐ
)
たたまらず
館
(
やかた
)
を
捨
(
す
)
てて
一目散
(
いちもくさん
)
に
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し
伊吹山
(
いぶきやま
)
の
方面
(
はうめん
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
天
(
あま
)
の
岩船
(
いはふね
)
に
手早
(
てばや
)
く
打乗
(
うちの
)
り
夫婦
(
ふうふ
)
諸共
(
もろとも
)
中空
(
ちうくう
)
を
翔
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
109
亀彦
(
かめひこ
)
、
110
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
111
悦子姫
(
よしこひめ
)
は、
112
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
神
(
かみ
)
を
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
てさし
招
(
まね
)
けば
忽
(
たちま
)
ち
昼
(
ひる
)
の
天
(
てん
)
を
掠
(
かす
)
め
白煙
(
はくえん
)
となりて
南方
(
なんぱう
)
より
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
忽
(
たちま
)
ち
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
英姿
(
えいし
)
を
現
(
あら
)
はしたり。
113
亀彦
(
かめひこ
)
『ヤア
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
殿
(
どの
)
、
114
貴下
(
きか
)
の
活動
(
くわつどう
)
天晴
(
あつぱ
)
れ
天晴
(
あつぱ
)
れ、
115
吾
(
われ
)
は
之
(
これ
)
より
聖地
(
せいち
)
に
向
(
むか
)
つて
再
(
ふたた
)
び
進
(
すす
)
まむ。
116
貴下
(
きか
)
は
此処
(
ここ
)
に
留
(
とど
)
まり
給
(
たま
)
ひて、
117
旭
(
あさひ
)
、
118
高倉
(
たかくら
)
、
119
月日
(
つきひ
)
の
諸使
(
しよし
)
と
共
(
とも
)
に
悪魔
(
あくま
)
征服
(
せいふく
)
の
守護
(
しゆご
)
をなし
給
(
たま
)
へ』
120
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
『
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
る、
121
当山
(
たうざん
)
は
天下
(
てんか
)
の
邪神
(
じやしん
)
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
る
霊界
(
れいかい
)
の
四辻
(
よつつじ
)
なれば
国武彦
(
くにたけひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
122
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
123
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
、
124
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
あら
)
はれて、
125
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
暁
(
あかつき
)
まで
代
(
かは
)
る
代
(
がは
)
る
当山
(
たうざん
)
を
守護
(
しゆご
)
し
奉
(
たてまつ
)
らむ、
126
吾々
(
われわれ
)
此処
(
ここ
)
にあらむ
限
(
かぎ
)
りは
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
なる
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
は
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
安心
(
あんしん
)
なされ
度
(
た
)
し、
127
貴下
(
きか
)
は
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
天下
(
てんか
)
に
蟠
(
わだかま
)
る
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
神政
(
しんせい
)
復古
(
ふくこ
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
されよ、
128
万一
(
まんいち
)
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
危急
(
ききふ
)
の
事
(
こと
)
あらば
土地
(
とち
)
の
遠近
(
をちこち
)
を
問
(
と
)
はず、
129
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
、
130
旭
(
あさひ
)
、
131
高倉
(
たかくら
)
、
132
月日
(
つきひ
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
ばせ
給
(
たま
)
へば、
133
時刻
(
じこく
)
を
移
(
うつ
)
さず
出張
(
しゆつちやう
)
応援
(
おうゑん
)
仕
(
つかまつ
)
らむ』
134
亀彦
(
かめひこ
)
、
135
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
136
悦子姫
(
よしこひめ
)
は
一度
(
いちど
)
に
満足
(
まんぞく
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
神業
(
かむわざ
)
を
激賞
(
げきしやう
)
し
此処
(
ここ
)
に
目出度
(
めでた
)
く
袂
(
たもと
)
を
分
(
わか
)
ち
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
137
(
大正一一・四・一四
旧三・一八
北村隆光
録)
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