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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第16巻(卯の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 神軍霊馬
第1章 天橋立
第2章 暗夜の邂逅
第3章 門番の夢
第4章 夢か現か
第5章 秋山館
第6章 石槍の雨
第7章 空籠
第8章 衣懸松
第9章 法螺の貝
第10章 白狐の出現
第2篇 深遠微妙
第11章 宝庫の鍵
第12章 捜索隊
第13章 神集の玉
第14章 鵜呑鷹
第15章 谷間の祈
第16章 神定の地
第17章 谷の水
第3篇 真奈為ケ原
第18章 遷宅婆
第19章 文珠如来
第20章 思はぬ歓
第21章 御礼参詣
跋
霊の礎(一)
霊の礎(二)
余白歌
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霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第16巻(卯の巻)
> 第2篇 深遠微妙 > 第11章 宝庫の鍵
<<< 白狐の出現
(B)
(N)
捜索隊 >>>
第一一章
宝庫
(
ほうこ
)
の
鍵
(
かぎ
)
〔六〇一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻
篇:
第2篇 深遠微妙
よみ(新仮名遣い):
しんえんびみょう
章:
第11章 宝庫の鍵
よみ(新仮名遣い):
ほうこのかぎ
通し章番号:
601
口述日:
1922(大正11)年04月15日(旧03月19日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ウラナイ教の高姫と青彦は、秋山彦の館を訪ねていた。紅葉姫は二人を迎え入れて一間に通したが、秋山彦に呼ばれて席を外した。
高姫がふと額を見ると、裏に鍵がしまってあるのが目に付いた。鍵を手にとって見ると、冠島沓島の宝庫の鍵、と記されていた。
高姫と青彦は鍵を奪って館を抜け出し、由良の港から冠島・沓島指して漕ぎ出した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-27 17:21:38
OBC :
rm1611
愛善世界社版:
135頁
八幡書店版:
第3輯 450頁
修補版:
校定版:
139頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
瑞霊
(
みづみたま
)
002
国武彦
(
くにたけひこ
)
の
厳霊
(
いづみたま
)
003
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
004
名
(
な
)
さへ
目出度
(
めでた
)
き
亀彦
(
かめひこ
)
が
005
闇
(
やみ
)
を
照
(
てら
)
して
英子姫
(
ひでこひめ
)
006
悦子
(
よしこ
)
の
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
007
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
守護
(
まも
)
りにて
008
さしもに
猛
(
たけ
)
き
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
009
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
一族
(
いちぞく
)
を
010
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
服従
(
まつろ
)
はぬ
011
数多
(
あまた
)
の
鬼
(
おに
)
は
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
012
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
りて
013
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り
014
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
の
方面
(
はうめん
)
に
015
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せたりと
取
(
と
)
り
取
(
ど
)
りの
016
高
(
たか
)
き
噂
(
うはさ
)
を
菊月
(
きくづき
)
の
017
空
(
そら
)
を
照
(
てら
)
して
昇
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
018
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
夕間暮
(
ゆふまぐれ
)
019
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
020
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
021
覆面
(
ふくめん
)
頭巾
(
づきん
)
の
扮装
(
いでたち
)
に
022
四辺
(
あたり
)
を
憚
(
はばか
)
り
声低
(
こゑひく
)
に
023
そつと
門戸
(
もんこ
)
を
叩
(
たた
)
きつつ
024
頼
(
たの
)
も
頼
(
たの
)
もと
訪
(
おとな
)
へば
025
ハツと
答
(
こた
)
へて
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
026
加米公
(
かめこう
)
銀公
(
ぎんこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
027
戸
(
と
)
の
隙間
(
すきま
)
より
垣間見
(
かいまみ
)
て
028
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
怪
(
あや
)
しみつ
029
何人
(
なにびと
)
なるかと
訊
(
たづ
)
ぬれば
030
声
(
こゑ
)
淑
(
しと
)
やかに
答
(
こた
)
へらく
031
我
(
われ
)
は
日
(
ひ
)
の
出
(
での
)
大神
(
おほかみ
)
ぞ
032
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
033
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けさせ
給
(
たま
)
へかし
034
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
に
035
申上
(
まをしあ
)
ぐべき
仔細
(
しさい
)
あり
036
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
くと
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てて
037
何
(
なん
)
とはなしに
落
(
お
)
ち
付
(
つ
)
かぬ
038
怪
(
あや
)
しき
風情
(
ふぜい
)
に
加米公
(
かめこう
)
は
039
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
て
040
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
とは
心得
(
こころえ
)
ぬ
041
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
皎々
(
かうかう
)
と
042
上
(
のぼ
)
り
初
(
そ
)
めたる
夕間暮
(
ゆふまぐれ
)
043
門戸
(
もんこ
)
を
叩
(
たた
)
き
訪
(
おとな
)
ふは
044
日暮
(
ひぐれ
)
の
神
(
かみ
)
に
非
(
あら
)
ざるか
045
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
とは
嘘
(
うそ
)
の
皮
(
かは
)
046
宿
(
やど
)
を
失
(
うしな
)
ひ
行詰
(
ゆきつま
)
り
彦
(
ひこ
)
の
047
醜
(
しこ
)
の
命
(
みこと
)
の
曲神
(
まがかみ
)
か
048
門
(
もん
)
は
締
(
し
)
めても
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
049
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
御
(
おん
)
館
(
やかた
)
050
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
胸
(
むね
)
の
内
(
うち
)
051
未
(
いま
)
だ
開
(
ひら
)
かぬ
曲津見
(
まがつみ
)
の
052
醜
(
しこ
)
の
容
(
い
)
れ
もん
砕
(
くだ
)
け
門
(
もん
)
053
摺
(
す
)
つた
門
(
もん
)
だと
申
(
まを
)
さずに
054
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
るがよからうぞ
055
日暮
(
ひぐれ
)
に
門
(
もん
)
を
叩
(
たた
)
く
奴
(
やつ
)
056
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
ではあるまいぞ
057
用事
(
ようじ
)
があれば
明日
(
あす
)
来
(
きた
)
れ
058
此
(
こ
)
の
大門
(
だいもん
)
は
吾々
(
われわれ
)
が
059
夜昼
(
よるひる
)
寝
(
ね
)
ずに
守
(
まも
)
る
門
(
もん
)
060
大門
(
おほもん
)
開
(
びら
)
きは
日
(
ひ
)
の
出時
(
でどき
)
061
其
(
その
)
日
(
ひ
)
暮
(
ぐら
)
しの
門番
(
もんばん
)
も
062
日暮
(
ひぐれ
)
の
門
(
もん
)
は
開
(
ひら
)
かない
063
帰
(
かへ
)
れ
帰
(
かへ
)
れと
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
つる。
064
高姫
(
たかひめ
)
『
十里
(
じふり
)
四方
(
しはう
)
は
宮
(
みや
)
の
内
(
うち
)
、
065
大門
(
おほもん
)
開
(
びら
)
きの
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
066
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
に、
067
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
入来
(
じゆらい
)
と
申
(
まを
)
し
伝
(
つた
)
へよ、
068
門番
(
もんばん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
門
(
もん
)
の
開閉
(
かいへい
)
を
拒
(
こば
)
む
事
(
こと
)
はなるまい、
069
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
致
(
いた
)
して、
070
後
(
あと
)
で
後悔
(
こうくわい
)
するな、
071
今宵
(
こよひ
)
に
迫
(
せま
)
る
当家
(
たうけ
)
の
大難
(
たいなん
)
、
072
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
現
(
あら
)
はれた
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
る』
073
と
慄
(
ふる
)
ひを
帯
(
お
)
びた
癇声
(
かんごゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げ、
074
形相
(
ぎやうさう
)
凄
(
すさま
)
じく
突立
(
つつた
)
ち
居
(
を
)
る。
075
加米公
(
かめこう
)
『オイ
銀公
(
ぎんこう
)
、
076
一寸
(
ちよつと
)
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
よ、
077
顔
(
かほ
)
に
白粉
(
おしろい
)
をべたりとつけて
何
(
なん
)
だか
嫌
(
いや
)
らしい
女
(
をんな
)
が
一人
(
ひとり
)
、
078
青瓢箪
(
あをべうたん
)
のやうな
面
(
つら
)
をした
男
(
をとこ
)
が
一人
(
ひとり
)
だ。
079
何
(
なん
)
でも
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
がお
館
(
やかた
)
にあるので
知
(
し
)
らしに
来
(
き
)
たとか、
080
此
(
この
)
門
(
もん
)
開
(
あ
)
けねば
明日
(
あす
)
になつて
後悔
(
こうくわい
)
をするとか
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
081
どうしたら
好
(
よ
)
からうかな』
082
銀公
(
ぎんこう
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うても
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
の
云
(
い
)
ひつけ、
083
暮六
(
くれむ
)
つ
過
(
す
)
ぎたなら、
084
何人
(
なにびと
)
が
来
(
き
)
ても
開
(
あ
)
ける
事
(
こと
)
はならぬとの
厳命
(
げんめい
)
だ。
085
ほつとけほつとけ』
086
加米公
(
かめこう
)
『それでも
普通
(
ふつう
)
の
人間
(
にんげん
)
ではない、
087
神
(
かみ
)
だとか
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうだ』
088
銀公
(
ぎんこう
)
『
神
(
かみ
)
にも
種々
(
いろいろ
)
ある、
089
人
(
ひと
)
を
喰
(
く
)
ふ
狼
(
おほかみ
)
もあれば
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
もあり、
090
鼻紙
(
はなかみ
)
、
091
塵紙
(
ちりかみ
)
、
092
尻拭
(
しりふ
)
き
紙
(
かみ
)
もあるワ、
093
よう
かみ
分
(
わ
)
けて
判断
(
はんだん
)
をせないと
後
(
あと
)
になつて
歯
(
は
)
がみ
をなして
悔
(
くや
)
しがらねばならぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
するぞ、
094
どれどれ
一
(
ひと
)
つ
俺
(
おれ
)
が
覗
(
のぞ
)
いて
様子
(
やうす
)
を
調
(
しら
)
べてやらう』
095
銀公
(
ぎんこう
)
は
門
(
もん
)
の
隙間
(
すきま
)
より
片目
(
かため
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
096
片目
(
かため
)
を
当
(
あ
)
てて
覗
(
のぞ
)
きながら、
097
銀公
(
ぎんこう
)
『ハヽヽヽヽ、
098
彼奴
(
あいつ
)
ア
神
(
かみ
)
に
間違
(
まちが
)
ひないが、
099
薑
(
はじかみ
)
だ、
100
咳嗽
(
せき
)
や
痰
(
たん
)
の
薬
(
くすり
)
なら
持
(
も
)
つてこいだ。
101
よう
何
(
なん
)
だか
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
当
(
あ
)
てて
密々話
(
ひそひそばなし
)
をやつて
居
(
ゐ
)
よるワ、
102
あの
顔色
(
かほいろ
)
の
青
(
あを
)
い
男
(
をとこ
)
はあの
女
(
をんな
)
のハズバンドだな、
103
気楽
(
きらく
)
な
奴
(
やつ
)
もあればあるものだ、
104
人
(
ひと
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
立
(
た
)
つて
意茶
(
いちや
)
ついて
居
(
ゐ
)
やがる。
105
お
月
(
つき
)
さまに
恥
(
はづ
)
かしくは
無
(
な
)
いだらうかなア』
106
青彦
(
あをひこ
)
『モシモシ、
107
御
(
お
)
館
(
やかた
)
に
対
(
たい
)
して
今夜
(
こんや
)
の
中
(
うち
)
に
大事
(
だいじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
致
(
いた
)
します、
108
一寸先
(
いつすんさき
)
は
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
だ、
109
吾々
(
われわれ
)
は
天下
(
てんか
)
を
助
(
たす
)
ける
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
110
どうぞ
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
111
銀公
(
ぎんこう
)
『ナヽヽ
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだ、
112
今夜
(
こんや
)
のやうな
明月
(
めいげつ
)
に、
113
一寸先
(
いつすんさき
)
は
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
だとはそれや
貴様
(
きさま
)
の
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
の
事
(
こと
)
だらう、
114
用事
(
ようじ
)
があらば
明日
(
あす
)
来
(
こ
)
い。
115
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
館
(
やかた
)
に
如何
(
いか
)
なる
変事
(
へんじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
せうとも、
116
貴様
(
きさま
)
の
容喙
(
ようかい
)
する
所
(
ところ
)
ぢやない、
117
トツトと
帰
(
かへ
)
れ』
118
高姫
(
たかひめ
)
『
左様
(
さやう
)
では
御座
(
ござ
)
いませうが
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
より
強
(
た
)
つての
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
、
119
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
に
此
(
この
)
由
(
よし
)
お
伝
(
つた
)
へ
下
(
くだ
)
さいませ』
120
銀公
(
ぎんこう
)
『アヽ
仕方
(
しかた
)
がないな、
121
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
に
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げて
来
(
く
)
るから、
122
それまで、
123
貴様
(
きさま
)
は
此処
(
ここ
)
に
待
(
ま
)
つてけつかりませ、
124
オイオイ
加米公
(
かめこう
)
、
125
俺
(
おれ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るまで
邪
(
じや
)
が
非
(
ひ
)
でも
開
(
あ
)
けてはならぬぞ』
126
と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て
奥
(
おく
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
したり。
127
青彦
(
あをひこ
)
『もしもし
門番
(
もんばん
)
さま、
128
早
(
はや
)
く
開
(
あ
)
けないか、
129
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
るとお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
が
危
(
あぶ
)
ないぞ。
130
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
落
(
おと
)
されると
可憐
(
かはい
)
さうだから
気
(
き
)
をつけてやり
度
(
た
)
いと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
で
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのだ』
131
加米公
(
かめこう
)
『
神勅
(
しんちよく
)
でも
何
(
なん
)
でも
主人
(
しゆじん
)
の
許
(
ゆる
)
しなきまでは
開
(
あ
)
けられぬ、
132
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
と
云
(
い
)
ふ
地獄
(
ぢごく
)
に
落
(
お
)
ちるか
知
(
し
)
らぬが、
133
地獄
(
ぢごく
)
の
沙汰
(
さた
)
も
金
(
かね
)
次第
(
しだい
)
だ、
134
もし
此
(
この
)
門
(
もん
)
あけて
地獄
(
ぢごく
)
にでも
落
(
お
)
ちては
困
(
こま
)
るから、
135
お
前
(
まへ
)
さまも
何々
(
なになに
)
を
出
(
だ
)
しなさい、
136
さうしたら
開
(
あ
)
けて
上
(
あ
)
げやう、
137
金
(
かね
)
さへあれば
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
の
蓋
(
ふた
)
でも
開
(
あ
)
くと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
、
138
鬼
(
おに
)
に
酒代
(
さかて
)
をやつて
地獄
(
ぢごく
)
を
逃
(
のが
)
れる
分別
(
ふんべつ
)
をさせなくてはならぬからサア
出
(
だ
)
したり
出
(
だ
)
したり、
139
惚薬
(
ほれぐすり
)
外
(
ほか
)
にないかと
蠑螈
(
いもり
)
に
問
(
と
)
へば
指
(
ゆび
)
を
輪
(
わ
)
にして
見
(
み
)
せたげな、
140
蠑螈
(
いもり
)
でさへもそれだもの、
141
同
(
おな
)
じ
水
(
みづ
)
に
住
(
す
)
む
加米公
(
かめこう
)
に
円
(
まる
)
いものを
出
(
だ
)
しなさい、
142
そつと
開
(
あ
)
けてやるから』
143
高姫
(
たかひめ
)
『サアこれだから
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
教
(
をしへ
)
は
悪
(
あく
)
のやり
方
(
かた
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ、
144
門番
(
もんばん
)
までが
金取
(
かねとり
)
主義
(
しゆぎ
)
ぢや。
145
これこれ
青彦
(
あおひこ
)
さま、
146
この
一事
(
いちじ
)
を
見
(
み
)
ても
如何
(
いか
)
に
三五教
(
あななひけう
)
が
現金
(
げんきん
)
主義
(
しゆぎ
)
、
147
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
、
148
吾
(
われ
)
よしの
遣方
(
やりかた
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
るぢやないか。
149
お
前
(
まへ
)
さまもよい
加減
(
かげん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まさぬと
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
に
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
一本
(
いつぽん
)
も
無
(
な
)
いところ
迄
(
まで
)
抜
(
ぬ
)
かれて
仕舞
(
しま
)
ひますぞゑ』
150
青彦
(
あをひこ
)
『さうですな、
151
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
まで
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のないお
前
(
まへ
)
さまと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのに、
152
三五教
(
あななひけう
)
はも
一
(
ひと
)
つ
哥兄
(
あにき
)
ですなア』
153
加米公
(
かめこう
)
『エヽ、
154
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
と
出
(
だ
)
し
惜
(
をし
)
みをする
奴
(
やつ
)
だなア、
155
何処
(
どこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
か
知
(
し
)
らぬが、
156
三五教
(
あななひけう
)
が
銭払
(
ぜにばら
)
ひがよい、
157
吾々
(
われわれ
)
のやうな
門番
(
もんばん
)
のやくざものでも、
158
此方
(
こちら
)
から
何
(
なに
)
も
云
(
い
)
はぬに
小判
(
こばん
)
の
二
(
に
)
枚
(
まい
)
や
三
(
さん
)
枚
(
まい
)
はそつと
懐中
(
ふところ
)
に
入
(
い
)
れて
呉
(
く
)
れる、
159
此奴
(
こいつ
)
はウラナイ
教
(
けう
)
と
見
(
み
)
えて
此方
(
こちら
)
から
露骨
(
ろこつ
)
に
請求
(
せいきう
)
しても
出
(
だ
)
しやがらぬ
吝嗇坊
(
けちんばう
)
だ、
160
それだから
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
を
自分
(
じぶん
)
が
苦労
(
くらう
)
もせずに
掻
(
か
)
き
落
(
おと
)
しに
廻
(
まは
)
つてウラナイ
教
(
けう
)
に
入
(
い
)
れる
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
り
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
やがるのだ。
161
オイオイ
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
162
忘
(
わす
)
れ
もの
はないか、
163
何
(
なに
)
かお
前
(
まへ
)
は
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
るだらう、
164
渡
(
わた
)
し
船
(
ぶね
)
に
乗
(
の
)
つても
はし
銭
(
せん
)
が
要
(
い
)
るぢやないか、
165
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
るのに
何々
(
なになに
)
で
潜
(
くぐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
法
(
はふ
)
があるか、
166
エヽ
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢやな、
167
銀公
(
ぎんこう
)
の
奴
(
やつ
)
が
居
(
を
)
らぬ
間
(
ま
)
に
一
(
ひと
)
つ
権兵
(
ごんべ
)
る
積
(
つも
)
りで
居
(
ゐ
)
たのに、
168
先方
(
むかう
)
が
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
ドン
ベイだから
成功
(
せいこう
)
覚束
(
おぼつか
)
なしと
云
(
い
)
ふものだ』
169
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
銀公
(
ぎんこう
)
は
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
170
銀公
『ヤア
加米公
(
かめこう
)
、
171
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
申
(
まをし
)
つけだ、
172
直
(
ただち
)
に
門
(
もん
)
を
開
(
ひら
)
いてお
通
(
とほ
)
し
申
(
まを
)
せ』
173
加米公
『アヽさうか』
174
と
閂
(
かんぬき
)
を
外
(
はづ
)
し
左右
(
さいう
)
に
開
(
ひら
)
いて
声
(
こゑ
)
を
変
(
か
)
へ、
175
加米
(
かめ
)
『アヽこれはこれは
立派
(
りつぱ
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
のありさうな
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
176
私
(
わたくし
)
は
奥
(
おく
)
に
急用
(
きふよう
)
あつて
居
(
を
)
りませなかつたものだから
家来
(
けらい
)
の
奴
(
やつ
)
、
177
摺
(
す
)
つた
門
(
もん
)
だと
理屈
(
りくつ
)
を
申
(
まを
)
し、
178
吝嗇
(
けち
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
してお
金
(
かね
)
を
強請
(
ねだ
)
つたさうで
御座
(
ござ
)
います、
179
決
(
けつ
)
して、
180
当家
(
たうけ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
ですから、
181
上
(
うへ
)
から
下
(
した
)
まで
清浄
(
せいじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
お
金
(
かね
)
などは
手
(
て
)
に
触
(
ふ
)
れるのも
汚
(
きたな
)
がつて
居
(
ゐ
)
るものばかりです、
182
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
傭
(
やと
)
うた
門番
(
もんばん
)
が
一人
(
ひとり
)
御座
(
ござ
)
いまして、
183
其奴
(
そいつ
)
が
今迄
(
いままで
)
バラモン
教
(
けう
)
の
信者
(
しんじや
)
であつたものですから、
184
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
にはお
金
(
かね
)
の
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
しまして
恥
(
はづ
)
かしう
御座
(
ござ
)
います、
185
決
(
けつ
)
して
私
(
わたくし
)
が
申
(
まをし
)
たのでは
御座
(
ござ
)
いませぬ、
186
悪
(
あ
)
しからず、
187
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
にお
会
(
あ
)
ひになつても
加米公
(
かめこう
)
が
云
(
い
)
つたのではないと
弁解
(
べんかい
)
して
置
(
お
)
いて
下
(
くだ
)
さい、
188
兎角
(
とかく
)
誤解
(
ごかい
)
の
多
(
おほ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
189
清浄
(
せいじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
の
加米公
(
かめこう
)
迄
(
まで
)
が、
190
門番
(
もんばん
)
の
傍杖
(
そばづゑ
)
を
喰
(
く
)
つて
痛
(
いた
)
くない
腹
(
はら
)
を
探
(
さぐ
)
られるのも
余
(
あんま
)
り
心持
(
こころもち
)
の
好
(
い
)
い
門
(
もん
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬ』
191
と
初
(
はじ
)
めの
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
をいつしか
忘
(
わす
)
れて
元
(
もと
)
の
地声
(
ぢごゑ
)
になつて
仕舞
(
しま
)
ひける。
192
高姫
(
たかひめ
)
『ホヽヽそれでも
貴方
(
あなた
)
のお
声
(
こゑ
)
が
好
(
よ
)
く
似
(
に
)
てますナア、
193
初
(
はじめ
)
の
方
(
はう
)
は
違
(
ちが
)
ふ
方
(
かた
)
かと
思
(
おも
)
ひましたが、
194
矢張
(
やつぱり
)
最前
(
さいぜん
)
のお
声
(
こゑ
)
の
持主
(
もちぬし
)
、
195
ようマアお
化
(
ば
)
け
遊
(
あそ
)
ばすなア、
196
大化物
(
おほばけもの
)
の
瑞霊
(
みづみたま
)
の
乾児
(
こぶん
)
だけあつて
化
(
ば
)
ける
事
(
こと
)
は
奇妙
(
きめう
)
なものだ。
197
ホヽヽヽヽ』
198
加米公
(
かめこう
)
は
又
(
また
)
もや
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
になつて、
199
加米公
『イエイエ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
200
初
(
はじめ
)
の
内
(
うち
)
は
私
(
わたくし
)
の
地声
(
ぢごゑ
)
で
御座
(
ござ
)
いました、
201
中途
(
ちうと
)
に
新米
(
しんまい
)
門番
(
もんばん
)
の
生霊
(
いきりやう
)
が
憑
(
つ
)
きやがつて
云
(
い
)
つたのです、
202
夫
(
そ
)
れで
新米
(
しんまい
)
門番
(
もんばん
)
其儘
(
そつくり
)
の
声
(
こゑ
)
が
出
(
で
)
ました。
203
アハヽヽヽ』
204
と
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
らさうとする。
205
銀公
(
ぎんこう
)
『アハヽヽヽ、
206
地獄
(
ぢごく
)
の
沙汰
(
さた
)
も
加米
(
かめ
)
次第
(
しだい
)
だな』
207
加米公
(
かめこう
)
『
地獄
(
ぢごく
)
の
沙汰
(
さた
)
も
加米
(
かめ
)
と
銀公
(
ぎんこう
)
とで
埒
(
らち
)
が
明
(
あ
)
く
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ。
208
アハヽヽヽ、
209
サアサアお
二人
(
ふたり
)
のお
方
(
かた
)
、
210
トツトとお
入
(
はい
)
り
遊
(
あそ
)
ばせ』
211
二人
(
ふたり
)
は
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だと
云
(
い
)
はぬ
許
(
ばか
)
りに
大手
(
おほて
)
を
振
(
ふ
)
り
大股
(
おほまた
)
に
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として、
212
のそりのそりとのさばり
行
(
ゆ
)
く。
213
二人
(
ふたり
)
は
玄関
(
げんくわん
)
にヌツと
立
(
た
)
つて
家
(
いへ
)
の
様子
(
やうす
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
むやうな、
214
覗
(
のぞ
)
かぬやうな
体
(
てい
)
に
聞
(
き
)
き
耳
(
みみ
)
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
215
玄関
(
げんくわん
)
の
障子
(
しやうじ
)
をさつと
開
(
ひら
)
いて
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
、
216
男
『オー
貴方
(
あなた
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さま、
217
青彦
(
あおひこ
)
さま、
218
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
は
豪
(
えら
)
いお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
御
(
ご
)
災難
(
さいなん
)
が
御座
(
ござ
)
いまして、
219
其
(
その
)
後
(
ご
)
一度
(
いちど
)
お
見舞
(
みまひ
)
に
参
(
まゐ
)
らうと
思
(
おも
)
つては
居
(
ゐ
)
ませぬが、
220
随分
(
ずゐぶん
)
お
火傷
(
やけど
)
なさいましたさうで、
221
水責
(
みづぜめ
)
、
222
火責
(
ひぜめ
)
、
223
煙責
(
けぶりぜめ
)
、
224
眼
(
め
)
から
火
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
225
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
の
顔
(
かほ
)
真青
(
まつさを
)
な
青彦
(
あをひこ
)
さま、
226
ようマア
態々
(
わざわざ
)
、
227
お
尋
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さりやがつた。
228
マアマア
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
がありますれば、
229
御
(
ご
)
用事
(
ようじ
)
無
(
な
)
く、
230
とつと
と
入
(
はい
)
りやがるな』
231
と
云
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
ればプスリと
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えにける。
232
二人
(
ふたり
)
は
玄関
(
げんくわん
)
に
立
(
た
)
ちながら、
233
高姫
(
たかひめ
)
『これだから
化物教
(
ばけものけう
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ、
234
青彦
(
あをひこ
)
さま、
235
これだから
私
(
わたくし
)
に
随
(
つ
)
いて
実地
(
じつち
)
教育
(
けういく
)
を
受
(
う
)
けねば
駄目
(
だめ
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ、
236
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
眼力
(
がんりき
)
は
違
(
ちが
)
やしよまいがな』
237
青彦
(
あをひこ
)
『
本当
(
ほんたう
)
にさうです、
238
いやもう
恐
(
おそ
)
れ
入谷
(
いりや
)
の
鬼子
(
きし
)
母神
(
もじん
)
ですワ』
239
高姫
(
たかひめ
)
『ソンナ
剽軽
(
へうきん
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うてはなりませぬ。
240
お
前
(
まへ
)
も
何
(
ど
)
うやらすると
瑞
(
みづ
)
の
霊
(
みたま
)
の
悪霊
(
あくれい
)
に
憑依
(
ひようい
)
されたと
見
(
み
)
える、
241
些
(
ちつ
)
と
確
(
しつか
)
りなさらぬかい』
242
此
(
この
)
時
(
とき
)
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
より
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
は
淑
(
しと
)
やかに
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
243
紅葉姫
『これはこれはお
二人
(
ふたり
)
のお
方
(
かた
)
、
244
夜中
(
やちう
)
にお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいましたのは
何
(
なに
)
か
変
(
か
)
はつた
事
(
こと
)
が
在
(
おは
)
すのでは
御座
(
ござ
)
いませぬか、
245
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
お
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいまして
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
の
上
(
うへ
)
、
246
御用
(
ごよう
)
の
趣
(
おもむき
)
仰
(
あふ
)
せ
聞
(
き
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
247
高姫
(
たかひめ
)
『
左様
(
さやう
)
ならば
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
ります、
248
サア
青彦
(
あをひこ
)
、
249
貴方
(
あなた
)
も
随
(
つ
)
いて
来
(
き
)
なさい、
250
随分
(
ずゐぶん
)
気
(
き
)
をつけて
油断
(
ゆだん
)
せぬやう
眼
(
まなこ
)
を
八方
(
はつぱう
)
に
配
(
くば
)
るのだよ』
251
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『
私方
(
わたくしかた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
、
252
善
(
ぜん
)
の
道
(
みち
)
を
遵奉
(
じゆんぽう
)
するもの、
253
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さるな、
254
滅多
(
めつた
)
に
陥穽
(
おとしあな
)
もありませぬ、
255
又
(
また
)
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
に
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
のやうな
隠
(
かく
)
れ
場所
(
ばしよ
)
も
造
(
つく
)
つては
御座
(
ござ
)
いませぬ、
256
マア
悠
(
ゆつ
)
くりと、
257
安心
(
あんしん
)
して
胴
(
どう
)
を
据
(
す
)
ゑて
下
(
くだ
)
さいませ』
258
高姫
(
たかひめ
)
『
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
は
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
はお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いましたなア、
259
何
(
ど
)
うぞ
霊様
(
みたまさま
)
なりと
拝
(
をが
)
まして
下
(
くだ
)
さい、
260
三五教
(
あななひけう
)
を
信仰
(
しんかう
)
なさつても
矢張
(
やつぱり
)
悪魔
(
あくま
)
には
叶
(
かな
)
はぬと
見
(
み
)
えます、
261
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
部下
(
てした
)
に
捕
(
とら
)
へられ
嬲殺
(
なぶりごろ
)
しにお
遭
(
あ
)
ひなさつたさうだが、
262
私
(
わたくし
)
が
聞
(
き
)
いても
涙
(
なみだ
)
が
澪
(
こぼ
)
れる、
263
况
(
ま
)
して
女房
(
にようばう
)
の
貴女
(
あなた
)
、
264
御
(
ご
)
愁傷
(
しうしやう
)
の
程
(
ほど
)
お
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
します』
265
と、
266
そつと
目
(
め
)
に
唾
(
つばき
)
をつけ、
267
オンオンと
空泣
(
そらな
)
きに
泣
(
な
)
き
立
(
た
)
てる。
268
青彦
(
あをひこ
)
はポカンとして
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
を
)
る。
269
高姫
(
たかひめ
)
は
青彦
(
あをひこ
)
の
裾
(
すそ
)
をそつと
引
(
ひ
)
き、
270
泣
(
な
)
き
真似
(
まね
)
をせよと
合図
(
あひづ
)
をする、
271
青彦
(
あをひこ
)
は
些
(
すこ
)
しも
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かず、
272
青彦
『エ
何
(
なん
)
ですか、
273
私
(
わたくし
)
の
着物
(
きもの
)
に
何
(
なん
)
ぞ
着
(
つ
)
いて
居
(
を
)
りますか、
274
甚
(
ひど
)
う
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱ
)
りなさいますな』
275
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『オホヽヽヽ、
276
それは
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います、
277
私
(
わたくし
)
の
主人
(
しゆじん
)
は
無事
(
ぶじ
)
帰
(
かへ
)
つて
参
(
まゐ
)
りました、
278
これも
全
(
まつた
)
く
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
で
御座
(
ござ
)
います、
279
余
(
あま
)
り
三五教
(
あななひけう
)
の
勢力
(
せいりよく
)
が
強
(
つよ
)
いので
嫉
(
ねた
)
み
猜
(
そね
)
みから、
280
ウラナイ
教
(
けう
)
とやらが
出来
(
でき
)
て、
281
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
を
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
して
歩
(
ある
)
くと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います、
282
よう
人
(
ひと
)
の
真似
(
まね
)
の
流行
(
はや
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
283
人
(
ひと
)
が
成功
(
せいこう
)
したからと
云
(
い
)
うて
自分
(
じぶん
)
が
其
(
その
)
真似
(
まね
)
をして
向
(
むか
)
ふを
張
(
は
)
らうと
思
(
おも
)
つても、
284
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
で
到底
(
たうてい
)
思惑
(
おもわく
)
は
立
(
た
)
つものぢやありませぬ、
285
貴女
(
あなた
)
はウラナイ
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
とお
見受
(
みうけ
)
致
(
いた
)
しますが、
286
一体
(
いつたい
)
ウラナイ
教
(
けう
)
はドンナ
教
(
をしへ
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
287
高姫
(
たかひめ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
はあれは
元
(
もと
)
は
好
(
よ
)
かつたが、
288
今
(
いま
)
は
薩張
(
さつぱ
)
り
駄目
(
だめ
)
です、
289
三五教
(
あななひけう
)
の
誠
(
まこと
)
生粋
(
きつすゐ
)
の
根本
(
こつぽん
)
は、
290
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
291
この
高姫
(
たかひめ
)
が
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
もこの
世
(
よ
)
の
開
(
ひら
)
けた
根本
(
こつぽん
)
の
初
(
はじま
)
りから、
292
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
の
世
(
よ
)
の
事
(
こと
)
、
293
何一
(
なにひと
)
つ
知
(
し
)
らぬと
云
(
い
)
ふものはないウラナイ
教
(
けう
)
です、
294
それだから
誰
(
たれ
)
にも
聞
(
き
)
かずにお
家
(
うち
)
の
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
秋山彦
(
あきやまひこ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
もチヤンと
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのです、
295
ナンとウラナイ
教
(
けう
)
は
立派
(
りつぱ
)
なものでせうがナ』
296
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『
死
(
し
)
ンでも
居
(
ゐ
)
ない
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
秋山彦
(
あきやまひこ
)
を
死人
(
しにん
)
扱
(
あつか
)
ひなさるのは、
297
如何
(
いか
)
にも
好
(
よ
)
く
分
(
わか
)
つた
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ですなア、
298
秋山彦
(
あきやまひこ
)
はピンピンして
居
(
を
)
りますよ』
299
高姫
(
たかひめ
)
『それは
貴女
(
あなた
)
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
をご
存
(
ぞん
)
じないからソンナ
理屈
(
りくつ
)
を
仰有
(
おつしや
)
るが、
300
三五教
(
あななひけう
)
で
一旦
(
いつたん
)
大江山
(
おほえやま
)
に
囚
(
とら
)
はれ
死
(
し
)
ンだ
処
(
ところ
)
を、
301
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
水火
(
いき
)
を
遠隔
(
ゑんかく
)
の
地
(
ち
)
よりかけて、
302
神霊
(
しんれい
)
の
注射
(
ちうしや
)
をやつたから
生返
(
いきかへ
)
つたのだよ、
303
サアこれからは
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めてウラナイ
教
(
けう
)
に
改宗
(
かいしう
)
なされ』
304
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも、
305
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも、
306
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも、
307
三五教
(
あななひけう
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ、
308
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
教
(
をしへ
)
、
309
ウラナイ
教
(
けう
)
はどうしても
虫
(
むし
)
が
好
(
す
)
きませぬ、
310
合縁
(
あひえん
)
奇縁
(
きえん
)
蓼喰
(
たでく
)
ふ
虫
(
むし
)
も
好
(
す
)
き
好
(
ず
)
き、
311
えぐい
煙草
(
たばこ
)
の
葉
(
は
)
にも
虫
(
むし
)
がつく、
312
改宗
(
かいしう
)
するのは
見合
(
みあは
)
しませう、
313
いや
絶対
(
ぜつたい
)
に
嫌
(
いや
)
ですワ、
314
ホヽヽヽヽ』
315
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
より
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
声
(
こゑ
)
がして、
316
秋山彦
『
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
』
317
と
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
318
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
に
軽
(
かる
)
く
会釈
(
ゑしやく
)
して
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
さして
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
319
二人
(
ふたり
)
は
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
を
目送
(
もくそう
)
しながら
眼
(
め
)
を
転
(
てん
)
じて
額
(
がく
)
を
見
(
み
)
れば、
320
額
(
がく
)
の
裏
(
うら
)
に
鍵
(
かぎ
)
の
端
(
はし
)
が
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
る。
321
高姫
(
たかひめ
)
は
立上
(
たちあが
)
り、
322
手
(
て
)
に
取
(
と
)
り
見
(
み
)
れば
冠島
(
かむりじま
)
沓島
(
くつじま
)
の
宝庫
(
はうこ
)
の
鍵
(
かぎ
)
と
記
(
しる
)
されてある。
323
高姫
(
たかひめ
)
はニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
324
これさへあれば
大願
(
たいぐわん
)
成就
(
じやうじゆ
)
と
手早
(
てばや
)
く
懐中
(
くわいちゆう
)
に
捻込
(
ねぢこ
)
み
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
、
325
青彦
(
あをひこ
)
はがたがた
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
326
青彦
(
あをひこ
)
『もしもし
高姫
(
たかひめ
)
さま、
327
ソヽそれは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をなされます、
328
当家
(
たうけ
)
の
什物
(
じふもつ
)
を
貴女
(
あなた
)
の
懐中
(
くわいちゆう
)
にお
入
(
い
)
れ
遊
(
あそ
)
ばすとは
合点
(
がてん
)
が
参
(
まゐ
)
りませぬ』
329
高姫
(
たかひめ
)
『シーツ、
330
エヽ
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
かぬ
男
(
をとこ
)
だな、
331
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
だ、
332
此家
(
ここ
)
に
冠島
(
かむりじま
)
沓島
(
くつじま
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
は
天眼通
(
てんがんつう
)
でチヤンと
睨
(
にら
)
みてある、
333
之
(
これ
)
をかぎ
出
(
だ
)
す
為
(
ため
)
にやつて
来
(
き
)
たのだよ、
334
サアサア
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
に
夜
(
よ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
り
船
(
ふね
)
を
拵
(
こしら
)
へ
冠島
(
かむりじま
)
に
渡
(
わた
)
りませう』
335
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
かむとする。
336
青彦
(
あをひこ
)
『
一応
(
いちおう
)
当家
(
たうけ
)
の
方々
(
かたがた
)
に
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げねばなりますまい、
337
何
(
なん
)
だか
心懸
(
こころがか
)
りでなりませぬわい』
338
高姫
(
たかひめ
)
『エヽ
合点
(
がてん
)
の
悪
(
わる
)
い、
339
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
る
時
(
とき
)
ぢやない、
340
時期
(
じき
)
切迫
(
せつぱく
)
間髪
(
かんぱつ
)
を
容
(
い
)
れずと
云
(
い
)
ふこの
場合
(
ばあひ
)
だ。
341
大功
(
たいこう
)
は
細瑾
(
さいきん
)
を
顧
(
かへり
)
みず
細君
(
さいくん
)
は
夫
(
をつと
)
を
顧
(
かへり
)
みず、
342
神国
(
しんこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
為
(
ため
)
に
沐雨
(
もくう
)
櫛風
(
しつぷう
)
、
343
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
大活動
(
だいくわつどう
)
早
(
はや
)
く
御座
(
ござ
)
れ』
344
と
裏門
(
うらもん
)
よりそつと
此
(
この
)
家
(
や
)
を
逃出
(
にげだ
)
したり。
345
秋山彦
(
あきやまひこ
)
邸内
(
ていない
)
の
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
として
二人
(
ふたり
)
の
者
(
もの
)
の
逃走
(
たうそう
)
せし
事
(
こと
)
に
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かざりける。
346
二人
(
ふたり
)
は
由良
(
ゆら
)
の
港
(
みなと
)
に
駆
(
か
)
けつけ
一艘
(
いつそう
)
の
小船
(
こぶね
)
を
○○
(
まるまる
)
し、
347
青彦
(
あをひこ
)
は
艪
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り、
348
高姫
(
たかひめ
)
は
櫂
(
かい
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
月
(
つき
)
照
(
て
)
る
海原
(
うなばら
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
したりける。
349
(
大正一一・四・一五
旧三・一九
加藤明子
録)
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(B)
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