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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第33巻(申の巻)
序歌
瑞祥
第1篇 誠心誠意
第1章 高論濁拙
第2章 灰猫婆
第3章 言霊停止
第4章 楽茶苦
第2篇 鶴亀躍動
第5章 神寿言
第6章 皮肉歌
第7章 心の色
第8章 春駒
第9章 言霊結
第10章 神歌
第11章 波静
第12章 袂別
第3篇 時節到来
第13章 帰途
第14章 魂の洗濯
第15章 婆論議
第16章 暗夜の歌
第17章 感謝の涙
第18章 神風清
第4篇 理智と愛情
第19章 報告祭
第20章 昔語
第21章 峯の雲
第22章 高宮姫
第23章 鉄鎚
第24章 春秋
第25章 琉の玉
第26章 若の浦
伊豆温泉旅行につき訪問者人名詠込歌
附記 湯ケ島所感
余白歌
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(B)
(N)
灰猫婆 >>>
第一章
高論
(
かうろん
)
濁拙
(
たくせつ
)
〔九一六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
篇:
第1篇 誠心誠意
よみ(新仮名遣い):
せいしんせいい
章:
第1章 高論濁拙
よみ(新仮名遣い):
こうろんたくせつ
通し章番号:
916
口述日:
1922(大正11)年08月24日(旧07月2日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年11月10日
概要:
舞台:
ウヅの館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
結婚の式が今宵に迫り、松若彦と捨子姫は準備に全力を注いで、信徒たちに指示を出しつつ、いずれも東奔西走していた。
しかし高姫のみは、これまで体主霊従の限りを尽くしてきた国依別が、瑞霊大神様の娘子と婚姻するなどとんでもないと、夜叉のごとき勢いで駆け巡っていた。高姫は松若彦の館にやってきて、門口にて大声で呼ばわった。
カールが出迎えて、軽口で高姫をいなそうとするが、高姫は主人に会わせず門口で門前払いするとはけしからんと、むりやり館に入ろうとする。カールと高姫は言い争いになってしまう。
松若彦は奥からあわただしく走り来て、今は忙しいからまた日を改めてほしいと高姫に懇願した。高姫は、五分でいいから話を聞いて頷いてくれればよいと詰め寄る。松若彦はそれならと頷いて、そのまま奥に走り逃げてしまった。
高姫はいきりたって館の奥へ走り込み、松若彦を探して追いかける。そのうちに、ふと館から外を見ると、松若彦が裏道を逃げていくのが見えた。高姫は悔しがり、松若彦を追っかけて行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-08-10 16:30:48
OBC :
rm3301
愛善世界社版:
9頁
八幡書店版:
第6輯 259頁
修補版:
校定版:
9頁
普及版:
3頁
初版:
ページ備考:
001
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
由緒
(
ゆかり
)
ある
002
伊豆
(
いづ
)
の
神国
(
かみくに
)
田方
(
たかた
)
の
郡
(
こほり
)
003
湯ガ島
(
ゆがしま
)
温泉
(
をんせん
)
湯本館
(
ゆもとくわん
)
004
軒
(
のき
)
を
流
(
なが
)
るる
狩野川
(
かのがは
)
005
連日
(
れんじつ
)
連夜
(
れんや
)
の
大雨
(
おほあめ
)
に
006
水量
(
みづかさ
)
まさり
囂々
(
がうがう
)
と
007
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
008
又
(
また
)
もや
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
大雨
(
おほあめ
)
に
009
亜鉛板
(
トタン
)
の
屋根
(
やね
)
を
轟
(
とどろ
)
かし
010
耳
(
みみ
)
さわがしき
雨館
(
あめやかた
)
011
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
斎
(
まつ
)
りたる
012
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
に
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
013
安全
(
あんぜん
)
椅子
(
いす
)
に
横臥
(
わうぐわ
)
して
014
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
由緒
(
ゆかり
)
ある
015
三十三
(
さんじふさん
)
巻
(
くわん
)
物語
(
ものがたり
)
016
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる
017
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
018
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
019
待
(
ま
)
ちに
待
(
ま
)
ちたる
霊界
(
れいかい
)
の
020
三十
(
みづ
)
の
三巻
(
みまき
)
の
物語
(
ものがたり
)
021
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
022
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
三五
(
あななひ
)
の
023
教
(
のり
)
の
蘊奥
(
おくが
)
を
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
す
024
此
(
この
)
真心
(
まごころ
)
を
諾
(
うべ
)
なひて
025
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
026
茂
(
しげ
)
り
栄
(
さか
)
えてどこ
迄
(
まで
)
も
027
道
(
みち
)
の
柱
(
はしら
)
となさしめよ
028
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
029
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
030
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
031
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
は
何時
(
いつ
)
までも
032
天地
(
てんち
)
の
続
(
つづ
)
く
其
(
その
)
限
(
かぎ
)
り
033
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
変
(
かは
)
らまじ
034
天地
(
あめつち
)
開
(
ひら
)
けし
初
(
はじ
)
めより
035
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
036
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
037
中
(
なか
)
にも
分
(
わ
)
けて
国治立
(
くにはるたち
)
の
038
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
来歴
(
らいれき
)
039
其
(
その
)
外
(
ほか
)
殊
(
こと
)
に
御功績
(
みいさを
)
の
040
著
(
いちじる
)
しきを
選
(
よ
)
り
集
(
あつ
)
め
041
雲霧
(
くもきり
)
分
(
わ
)
けて
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
042
宇宙
(
うちう
)
の
外
(
そと
)
に
立
(
た
)
ち
乍
(
なが
)
ら
043
松雲
(
しよううん
)
太夫
(
だいふ
)
に
筆
(
ふで
)
とらせ
044
とく
物語
(
ものがたり
)
永久
(
とことは
)
に
045
五六七
(
みろく
)
の
御世
(
みよ
)
の
末
(
すゑ
)
までも
046
照
(
て
)
らさせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
047
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる
048
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる。
049
蒼空
(
さうくう
)
一点
(
いつてん
)
の
雲影
(
うんえい
)
もなく
050
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
東天
(
とうてん
)
に
051
高山
(
かうざん
)
の
頂
(
いただ
)
きを
掠
(
かす
)
めて
052
昇
(
のぼ
)
らせ
玉
(
たま
)
ひ
053
平和
(
へいわ
)
の
輝
(
かがや
)
きを
054
地上
(
ちじやう
)
に
投
(
な
)
げ
玉
(
たま
)
ひ
055
涼
(
すず
)
しき
風
(
かぜ
)
は
056
天然
(
てんねん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
奏
(
そう
)
し
057
山野
(
さんや
)
の
樹木
(
じゆもく
)
は
058
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
に
競
(
きそ
)
うて
舞踏
(
ぶたう
)
をなす
059
蝶
(
てふ
)
は
翩翻
(
へんぽん
)
として
060
心地
(
ここち
)
よげに
飛
(
と
)
びまはり
061
魚
(
さかな
)
は
溌溂
(
はつらつ
)
として
062
清泉
(
せいせん
)
に
躍
(
をど
)
る
063
実
(
げ
)
に
名
(
な
)
にし
負
(
お
)
ふ
高砂島
(
たかさごじま
)
の
064
瑞祥
(
ずゐしやう
)
を、
目
(
ま
)
の
前
(
あた
)
り
065
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
に
現
(
あら
)
はしぬ
066
今日
(
けふ
)
はしも
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
067
天降
(
あまくだ
)
り
玉
(
たま
)
ひて
068
アルゼンチンの
珍
(
うづ
)
の
神館
(
かむやかた
)
に
069
出
(
い
)
でさせ
玉
(
たま
)
ひ
070
八人
(
やたり
)
乙女
(
をとめ
)
の
末
(
すゑ
)
の
御子
(
みこ
)
071
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
花
(
はな
)
の
春
(
はる
)
072
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
の
073
莟
(
つぼみ
)
の
上
(
うへ
)
におく
露
(
つゆ
)
も
074
いとすがすがしげに
見
(
み
)
えにける。
075
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
076
竜
(
たつ
)
の
腮
(
あぎと
)
の
球
(
きう
)
の
玉
(
たま
)
077
其
(
その
)
神徳
(
しんとく
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
078
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
輝
(
かがや
)
ける
079
国依別
(
くによりわけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
を
080
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
主
(
あるじ
)
とし
081
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
に
娶
(
めあ
)
はして
082
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
高砂
(
たかさご
)
の
083
ほまれを
四方
(
よも
)
に
伝
(
つた
)
へむと
084
心
(
こころ
)
欣々
(
いそいそ
)
大神
(
おほかみ
)
は
085
今
(
いま
)
さし
昇
(
のぼ
)
る
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
に
086
向
(
むか
)
つて
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せつつ
087
祈
(
いの
)
り
玉
(
たま
)
ふぞ
尊
(
たふと
)
けれ。
088
愈
(
いよいよ
)
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
は
今宵
(
こよひ
)
と
差迫
(
さしせま
)
り、
089
松若彦
(
まつわかひこ
)
、
090
捨子姫
(
すてこひめ
)
は
数多
(
あまた
)
の
神司
(
かむづかさ
)
を
初
(
はじ
)
め、
091
信徒
(
しんと
)
を
使役
(
しえき
)
して、
092
今夜
(
こんや
)
の
慶事
(
けいじ
)
の
準備
(
じゆんび
)
万端
(
ばんたん
)
に
全力
(
ぜんりよく
)
を
注
(
そそ
)
ぎ、
093
何
(
いづ
)
れも
甲斐
(
かひ
)
々々
(
がひ
)
しく
東奔
(
とうほん
)
西走
(
せいさう
)
して、
094
喜色
(
きしよく
)
満面
(
まんめん
)
にあらはれ、
095
上下
(
しやうか
)
一致
(
いつち
)
、
096
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らず、
097
吾
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて
大活動
(
だいくわつどう
)
をなせる
折柄
(
をりから
)
、
098
此
(
この
)
慶事
(
けいじ
)
を
少
(
すこ
)
しも
祝
(
しゆく
)
せざるのみか、
099
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
し
来
(
きた
)
りし
国依別
(
くによりわけ
)
が、
100
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
生娘
(
うぶむすめ
)
、
101
末子姫
(
すゑこひめ
)
に
娶
(
めあ
)
ひて、
102
清
(
きよ
)
き
御魂
(
みたま
)
を
混濁
(
こんだく
)
し、
103
折角
(
せつかく
)
ここ
迄
(
まで
)
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げた
高砂島
(
たかさごじま
)
の
瑞祥
(
ずゐしやう
)
を
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わか
)
ぬ
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
に
覆
(
くつが
)
へさむは
目
(
ま
)
の
前
(
あた
)
り、
104
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に、
105
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
も
之
(
これ
)
を
拒
(
こば
)
み
遮
(
さへぎ
)
り
破約
(
はやく
)
せしめむと、
106
夜叉
(
やしや
)
の
勢
(
いきほひ
)
凄
(
すさま
)
じく、
107
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
と
駆巡
(
かけめぐ
)
り、
108
目
(
め
)
を
釣
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げ、
109
顔
(
かほ
)
を
赤
(
あか
)
らめ、
110
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせて
運
(
はこ
)
ぶ
歩
(
あゆ
)
みも
荒々
(
あらあら
)
しく、
111
今夜
(
こんや
)
の
準備
(
じゆんび
)
に
目
(
め
)
のまはる
程
(
ほど
)
多忙
(
たばう
)
をきはめ
居
(
ゐ
)
たる
松若彦
(
まつわかひこ
)
が
館
(
やかた
)
を
叩
(
たた
)
き、
112
慌
(
あわ
)
ただしく
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るは
例
(
れい
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまであつた。
113
高姫
(
たかひめ
)
は
門口
(
かどぐち
)
より
尖
(
とが
)
つた
声
(
こゑ
)
で、
114
高姫
(
たかひめ
)
『
御免
(
ごめん
)
なさいませ……
私
(
わたし
)
は
皆
(
みな
)
さまに
憎
(
にく
)
まれ
者
(
もの
)
の
名
(
な
)
を
取
(
と
)
つた
身魂
(
みたま
)
の
悪
(
わる
)
い
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
115
急々
(
きふきふ
)
お
目
(
め
)
にかかつて
申上
(
まをしあ
)
げたい
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いますから、
116
どうぞ
松若彦
(
まつわかひこ
)
様
(
さま
)
に
少時
(
しばらく
)
で
宜
(
よろ
)
しいから、
117
御
(
お
)
目
(
め
)
にかかりたう
御座
(
ござ
)
います。
118
どうぞ
御
(
お
)
取次
(
とりつぎ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
119
とエライ
権幕
(
けんまく
)
で
呼
(
よば
)
はつて
居
(
ゐ
)
る。
120
カールは
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
表
(
おもて
)
へ
駆出
(
かけい
)
で、
121
カール『これはこれは、
122
貴
(
たふと
)
き
高姫
(
たかひめ
)
さまで
御座
(
ござ
)
いましたか。
123
よくマア
御
(
ご
)
入来
(
じゆらい
)
、
124
何
(
なん
)
の
用
(
よう
)
かは
存
(
ぞん
)
じませぬが、
125
今日
(
けふ
)
は
貴方
(
あなた
)
も
御
(
お
)
聞
(
きき
)
及
(
およ
)
びの
通
(
とほ
)
り、
126
瑞月
(
ずゐげつ
)
祥日
(
しやうじつ
)
と
申
(
まを
)
しまして、
127
アルゼンチン
開
(
ひら
)
けて
以来
(
このかた
)
、
128
又
(
また
)
とない
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
日柄
(
ひがら
)
で
御座
(
ござ
)
います。
129
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
130
一片
(
いつぺん
)
の
雲影
(
うんえい
)
もなき
青空
(
あをぞら
)
に、
131
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
赫々
(
かくかく
)
として
輝
(
かがや
)
かせ
玉
(
たま
)
ひ、
132
夜
(
よ
)
は
三五
(
さんご
)
の
明月
(
めいげつ
)
、
133
銀玉
(
ぎんぎよく
)
を
空
(
そら
)
に
懸
(
か
)
けたる
如
(
ごと
)
き
瑞祥
(
ずゐしやう
)
の
今日
(
こんにち
)
、
134
イヤもう
目出
(
めで
)
たうて
目出
(
めで
)
たうて、
135
鶴
(
つる
)
は
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
、
136
亀
(
かめ
)
は
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
、
137
東方朔
(
とうはうさく
)
は
九千
(
きうせん
)
年
(
ねん
)
、
138
三浦
(
みうら
)
の
王統家
(
わうすけ
)
五千歳
(
ごせんざい
)
[
※
「鶴は千年~三浦の王統家」は伊都能売神諭大正八年一月二七日の一節。
]
、
139
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
の
一厘
(
いちりん
)
の
花
(
はな
)
も
開
(
ひら
)
きそめ、
140
目出
(
めで
)
たいの
目出
(
めで
)
たくないのつて、
141
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
つても、
142
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つてグサグサした
言葉
(
ことば
)
はテンと
耳
(
みみ
)
には
這入
(
はい
)
りませぬ。
143
御用
(
ごよう
)
があれば
更
(
あらた
)
めて
明日
(
あす
)
承
(
うけたま
)
はりますから、
144
どうぞ
今日
(
けふ
)
は
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
145
貴方
(
あなた
)
も
御
(
ご
)
結婚
(
けつこん
)
の
準備
(
じゆんび
)
の
御
(
お
)
手伝
(
てつだひ
)
に
御殿
(
ごてん
)
へお
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
146
さぞ
末子姫
(
すゑこひめ
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
待
(
ま
)
ちかねで
御座
(
ござ
)
いませうぞえ』
147
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレ、
148
カール
殿
(
どの
)
、
149
お
前
(
まへ
)
に
話
(
はな
)
さうと
思
(
おも
)
つて
来
(
き
)
たのぢやない。
150
主人
(
しゆじん
)
の
松若彦
(
まつわかひこ
)
に
意見
(
いけん
)
をしようと
思
(
おも
)
うて
来
(
き
)
たのですよ。
151
主人
(
しゆじん
)
にも
取次
(
とりつ
)
がず、
152
僣越
(
せんゑつ
)
至極
(
しごく
)
にも
門前払
(
もんぜんばら
)
ひをくらはすとはチト
脱線
(
だつせん
)
ぢやありますまいか。
153
又
(
また
)
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
対
(
たい
)
し、
154
早
(
はや
)
く
御殿
(
ごてん
)
へ
上
(
あが
)
り、
155
御
(
お
)
手伝
(
てつだ
)
ひをせよと
仰有
(
おつしや
)
つたやうだが、
156
そんな
命令
(
めいれい
)
を
下
(
くだ
)
すお
前
(
まへ
)
に、
157
ヘン、
158
権利
(
けんり
)
がありますかい。
159
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると、
160
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れます。
161
さうすりやサツパリ
後
(
あと
)
の
祭
(
まつ
)
り、
162
サアもうお
前
(
まへ
)
さまに
係
(
かか
)
り
合
(
あ
)
つて
居
(
を
)
つては、
163
事
(
こと
)
が
遅
(
おく
)
れる。
164
エヽそこ
退
(
どか
)
つしやれ』
165
カール『コレコレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
166
貴方
(
あなた
)
は
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
家宅
(
かたく
)
侵入
(
しんにふ
)
をするのですか、
167
法律
(
はふりつ
)
を
心得
(
こころえ
)
てゐますかなア』
168
高姫
(
たかひめ
)
『エヽ
小癪面
(
こしやくづら
)
をさげて、
169
法律
(
はふりつ
)
の
糞
(
くそ
)
のて、
170
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだ。
171
法律
(
はふりつ
)
は
死物
(
しぶつ
)
だ、
172
生
(
い
)
きた
人間
(
にんげん
)
が
之
(
これ
)
を
使
(
つか
)
へば
活
(
い
)
きるが、
173
お
前
(
まへ
)
のやうなデモ
法律家
(
はふりつか
)
が
何
(
なに
)
を
吐
(
ほざ
)
いたつて、
174
三文
(
さんもん
)
の
価値
(
かち
)
もありませぬぞや。
175
それだから
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
法律
(
はふりつ
)
を
変
(
か
)
へるぞよと
仰有
(
おつしや
)
るのだよ』
176
カール『
高姫
(
たかひめ
)
さま
余
(
あんま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にして
下
(
くだ
)
さるな。
177
これでも
赤門出
(
あかもんで
)
のチヤキチヤキの
法学士
(
はふがくし
)
、
178
而
(
しか
)
も
優等
(
いうとう
)
で
出
(
で
)
たカールさまだよ。
179
余
(
あんま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にして
貰
(
もら
)
ひますまいかい。
180
やがて
博士
(
はかせ
)
の
称号
(
しやうがう
)
が
下
(
さが
)
らむとしてゐる
所
(
ところ
)
だ』
181
高姫
(
たかひめ
)
『
博士
(
はかせ
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れますぞえ、
182
お
前
(
まへ
)
のは
博士
(
はかせ
)
でなうて、
183
バカセだ。
184
昔
(
むかし
)
はハカセとよんだが
今
(
いま
)
はハクシと
読
(
よ
)
むのだよ。
185
読方
(
よみかた
)
も
知
(
し
)
らぬような
法学士
(
はふがくし
)
が
何
(
なん
)
になるか、
186
法学士
(
はふがくし
)
でなうて、
187
方角
(
はうがく
)
知
(
し
)
らずと
云
(
い
)
ふ
馬鹿者
(
ばかもの
)
だらう。
188
薄志
(
はくし
)
弱行
(
じやくかう
)
の
徒
(
と
)
計
(
ばか
)
りが
集
(
あつ
)
まつて
居
(
ゐ
)
るから、
189
今
(
いま
)
ではハクシといふのだ。
190
白紙
(
はくし
)
主義
(
しゆぎ
)
と
云
(
い
)
うて、
191
白紙
(
はくし
)
の
様
(
やう
)
な
清
(
きよ
)
い
精神
(
せいしん
)
なればまだしもだが、
192
真黒
(
まつくろ
)
々助
(
くろすけ
)
の
濁
(
にご
)
つた
魂
(
たましひ
)
で、
193
法学士
(
はふがくし
)
も
博士
(
はくし
)
もあつたものかいな。
194
法律
(
はふりつ
)
を
殺
(
ころ
)
して
皆
(
みな
)
墓
(
はか
)
へ
埋
(
うづ
)
めるのだから、
195
ハカセと
昔
(
むかし
)
は
云
(
い
)
つたのだ。
196
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
松若彦
(
まつわかひこ
)
さまの
庭先
(
にはさき
)
に
立
(
た
)
つて、
197
箒
(
はうき
)
を
以
(
もつ
)
て
庭掃
(
にはは
)
かせになるとこだと
云
(
い
)
つて
威張
(
ゐば
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだらう。
198
何程
(
なにほど
)
箒
(
はうき
)
(
法規
(
はふき
)
)が
立派
(
りつぱ
)
でも、
199
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
自然
(
しぜん
)
の
憲法
(
けんぱふ
)
には
抵抗
(
ていかう
)
することは
出来
(
でき
)
ますまい。
200
法律
(
はふりつ
)
と
云
(
い
)
ふものは
其
(
その
)
源
(
みなもと
)
を
神界
(
しんかい
)
の
憲法
(
けんぱふ
)
に
発
(
はつ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
201
其
(
その
)
元
(
もと
)
を
掴
(
つか
)
んだ
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
に
対
(
たい
)
し、
202
何程
(
なにほど
)
弁護士
(
べんごし
)
もどきに
滔々
(
たうたう
)
と
懸河
(
けんが
)
の
弁
(
べん
)
を
揮
(
ふる
)
つても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
203
舌端
(
ぜつたん
)
火
(
ひ
)
を
吐
(
は
)
き、
204
炎
(
ほのほ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
高姫
(
たかひめ
)
を
煙
(
けむり
)
にまき、
205
追
(
お
)
ひ
帰
(
かへ
)
さうと
思
(
おも
)
つても、
206
いつかないつかな
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の…オツトドツコイ……
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
る
様
(
やう
)
な
勢
(
いきほひ
)
でも、
207
只
(
ただ
)
一口
(
ひとくち
)
ジユンと
水
(
みづ
)
を
注
(
さ
)
したら、
208
忽
(
たちま
)
ち
消滅
(
せうめつ
)
して
了
(
しま
)
ふ
様
(
やう
)
な
屁理屈
(
へりくつ
)
を
云
(
い
)
ふものぢやありませぬぞえ。
209
それだから、
210
人間
(
にんげん
)
の
作
(
つく
)
つた
不完全
(
ふくわんぜん
)
な
学問
(
がくもん
)
は
駄目
(
だめ
)
だと
云
(
い
)
ふのですよ。
211
『
学
(
がく
)
ありたとて、
212
知慧
(
ちゑ
)
ありたとて、
213
神界
(
しんかい
)
の
仕組
(
しぐみ
)
は
人民
(
じんみん
)
では
分
(
わか
)
るものではないぞよ』と
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
根本
(
こつぽん
)
を
御
(
お
)
造
(
つく
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
大先祖
(
おほせんぞ
)
の
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
が
仰
(
あほせ
)
られて
御座
(
ござ
)
るぢやありませぬか。
214
其
(
その
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
片腕
(
かたうで
)
となつて
御
(
お
)
手伝
(
てつだ
)
ひ
申
(
まを
)
す
身魂
(
みたま
)
の
云
(
い
)
ふことを、
215
揚
(
あ
)
げ
面
(
づら
)
して
聞
(
き
)
くと
云
(
い
)
ふやうな
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
の
罰当
(
ばちあた
)
りが、
216
どこにありますか。
217
エーエ
面倒
(
めんだう
)
臭
(
くさ
)
い、
218
家宅
(
かたく
)
侵入
(
しんにふ
)
だらうが、
219
何
(
なん
)
だらうが、
220
そんな
事
(
こと
)
を
構
(
かま
)
うてゐる
暇
(
ひま
)
がない、
221
カールさますつこんでゐなさい』
222
斯
(
か
)
く
争
(
あらそ
)
ふ
所
(
ところ
)
へ、
223
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
慌
(
あわ
)
ただしく、
224
何事
(
なにごと
)
ならむと
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
より
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
225
松若彦
(
まつわかひこ
)
『ヤア
貴方
(
あなた
)
は
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
226
何
(
なに
)
御用
(
ごよう
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
227
なることならば
明日
(
みやうにち
)
、
228
どうぞ
御
(
お
)
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいませ。
229
万一
(
まんいち
)
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
ければ、
230
私
(
わたくし
)
の
方
(
はう
)
から
明日
(
みやうにち
)
更
(
あらた
)
めて
御
(
お
)
伺
(
うかが
)
ひ
致
(
いた
)
す
考
(
かんが
)
へで
御座
(
ござ
)
いますから……』
231
高姫
(
たかひめ
)
『
間髪
(
かんぱつ
)
を
容
(
い
)
れざる
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
今日
(
こんにち
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
232
そんな
暢気
(
のんき
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
られませぬ。
233
何
(
なん
)
でもかでも、
234
お
前
(
まへ
)
が
発頭人
(
ほつとうにん
)
だから、
235
ここで
一
(
ひと
)
つ
生命
(
いのち
)
に
代
(
か
)
へても
往生
(
わうじやう
)
させねばならぬ
大問題
(
だいもんだい
)
が
差迫
(
さしせま
)
つて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
ります。
236
後
(
あと
)
の
後悔
(
こうくわい
)
は
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひませぬからなア』
237
松若彦
(
まつわかひこ
)
『これはこれは
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
かと
思
(
おも
)
へば、
238
大変
(
たいへん
)
な
急用
(
きふよう
)
との
御
(
お
)
話
(
はなし
)
、
239
そんなら
私
(
わたし
)
も
結婚
(
けつこん
)
の
準備
(
じゆんび
)
に
付
(
つ
)
いて、
240
何
(
なに
)
かと
繁忙
(
はんばう
)
をきはめ、
241
只今
(
ただいま
)
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
館
(
やかた
)
へ
出仕
(
しゆつし
)
する
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
いましたが、
242
僅
(
わづか
)
五
(
ご
)
分間
(
ふんかん
)
だけ
繰合
(
くりあは
)
せまして
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
243
高姫
(
たかひめ
)
『
別
(
べつ
)
に
五
(
ご
)
分間
(
ふんかん
)
もかかりませぬ。
244
お
前
(
まへ
)
さまが
高姫
(
たかひめ
)
の
云
(
い
)
ふことを……ウンさうか、
245
御尤
(
ごもつと
)
も……と
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
に
一
(
ひと
)
つふりさへすれば、
246
それで
万事
(
ばんじ
)
解決
(
かいけつ
)
がつくのだ』
247
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
、
248
国依別
(
くによりわけ
)
、
249
竜国別
(
たつくにわけ
)
より
昨夜
(
さくや
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
妨害
(
ばうがい
)
運動
(
うんどう
)
を
早
(
はや
)
くも
聞
(
き
)
かされてゐたので、
250
テツキリ、
251
此
(
この
)
事
(
こと
)
ならむと
早合点
(
はやがつてん
)
し、
252
松若彦
(
まつわかひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま……
如何
(
いか
)
にも
御尤
(
ごもつと
)
も、
253
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
りに
致
(
いた
)
します……ウンウン……』
254
ガクリガクリと
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
にふり、
255
松若彦
(
まつわかひこ
)
『
左様
(
さやう
)
なら……』
256
と
言
(
い
)
つたきり、
257
足早
(
あしばや
)
に
裏口
(
うらぐち
)
よりぬけ
出
(
いだ
)
し、
258
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
の
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して、
259
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
260
高姫
(
たかひめ
)
『コレ……
松
(
まつ
)
、
261
ワヽ
若
(
わか
)
、
262
ヒヽ
彦
(
ひこ
)
何
(
なに
)
をビコビコとしてゐるのだ。
263
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
にかくれて
居
(
を
)
つても、
264
埒
(
らち
)
はあきませぬぞえ。
265
……ヤツパリ
気
(
き
)
が
咎
(
とが
)
めると
見
(
み
)
えて、
266
蒟蒻
(
こんにやく
)
のやうにビリビリふるつて、
267
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
隠
(
かく
)
れたのだな。
268
蚤
(
のみ
)
が
蒲団
(
ふとん
)
の
縫目
(
ぬひめ
)
に
頭
(
あたま
)
計
(
ばか
)
り
隠
(
かく
)
して、
269
尻
(
しり
)
を
出
(
だ
)
しとるやうな、
270
アザとい
事
(
こと
)
をしたつて
駄目
(
だめ
)
ですよ。
271
今日
(
けふ
)
は
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
の、
272
とつときの
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
を
現
(
あら
)
はして
侵入
(
しんにふ
)
しますぞ。
273
今日
(
けふ
)
は
肉体
(
にくたい
)
の
高姫
(
たかひめ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬぞ。
274
改
(
あらた
)
めてカールさま、
275
念
(
ねん
)
押
(
お
)
しておくから、
276
後
(
あと
)
で
刑法
(
けいはふ
)
だの、
277
民法
(
みんぽふ
)
だのと
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さるなや』
278
と
云
(
い
)
ひながら
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
さして
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
くかけ
込
(
こ
)
んだ。
279
見
(
み
)
れば
松若彦
(
まつわかひこ
)
の
影
(
かげ
)
もない。
280
高姫
(
たかひめ
)
『ハテ、
281
どこへ
隠
(
かく
)
れたか』
282
と
言
(
い
)
ひつつ、
283
窓
(
まど
)
をガラリと
開
(
あ
)
けて
外面
(
そと
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
284
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
、
285
裏道
(
うらみち
)
を
尻
(
しり
)
ひつからげて、
286
どこかを
指
(
さ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えた。
287
高姫
(
たかひめ
)
は
地団駄
(
ぢだんだ
)
ふんで
悔
(
くや
)
しがり、
288
高姫
(
たかひめ
)
『エヽ
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
松若彦
(
まつわかひこ
)
、
289
彼奴
(
あいつ
)
を
往生
(
わうじやう
)
させねば
此
(
この
)
世
(
よ
)
はサツパリ
泥海
(
どろうみ
)
だ。
290
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
だ』
291
と
云
(
い
)
ひながら、
292
裏口
(
うらぐち
)
あけて
松若彦
(
まつわかひこ
)
が
後
(
あと
)
をトントントンと
追
(
お
)
つかけて
行
(
ゆ
)
く。
293
(
大正一一・八・二四
旧七・二
松村真澄
録)
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【第1章 高論濁拙|第33巻|海洋万里|霊界物語|/rm3301】
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