霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 感謝(かんしや)の涙(なみだ)〔九三二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻 篇:第3篇 時節到来 よみ(新仮名遣い):じせつとうらい
章:第17章 感謝の涙 よみ(新仮名遣い):かんしゃのなみだ 通し章番号:932
口述日:1922(大正11)年08月29日(旧07月7日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年11月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
高島丸はテルの国から西へ進んで、現今の日本国台湾島へ戻ってきた。今日の航路から見ると反対方向へ迂回しているのは、三十万年前の地球の傾斜と潮流に関係している。当時は蒸気の動力はないが、先客一同がかわるがわる櫓かいを漕いで進む船で、風の有無にかかわらず航行ことができた。
一行は竹島丸に乗り換えて、由良港の秋山彦の館に安着した。夕餉を済ませた高姫らはくたびれて各自寝間にて寝てしまったが、言依別命から監視役を命じられて来た松彦は、一睡もせずに秋山彦夫婦と、高姫の身の上や麻邇の宝珠に関することを協議した。
聖地からは東助、加米彦らが高姫たちを迎えに由良川を下ってやってきた。松彦は神素盞嗚尊と言依別命からの密書を携えていたので、秋山彦は密書について協議すべく、高姫、鷹依姫、竜国別を招いて意見を聞くことになった。
秋山彦は、竜宮の一つ島から五個の麻邇の玉が出た際、高姫、黒姫、鷹依姫、竜国別がその御用をしなければならない因縁だったのだと明かした。しかし高姫と黒姫は一つ島に来ていながら、この島には玉はないとあきらめて帰ってしまった。
また鷹依姫と竜国別は焦って、見当違いの高砂島に玉探しに行ってしまっていた。そこでやむを得ず、黄竜姫、蜈蚣姫、友彦、テールス姫に臨時に御用をさせたのだと明かした。
秋山彦は、今度麻邇の玉の御用をし損なったら末代取り返しがつかないことになるので、神素盞嗚大神様が、吾が子である言依別命に罪を負わせてお膳立てをしたのだと高姫たちに明かした。そして、神素盞嗚大神、言依別命、国依別からの神書を取り出した。
高姫はここで初めて大神の大慈大悲の心と、言依別命と国依別の真心を悟った。そして鷹依姫、竜国別とともにその場に泣き崩れ、神恩に感謝したのであった。
そこへ、筑紫の島から玉治別と秋彦が、黒姫を連れて帰ってきた。ここに四人の身魂は久しぶりに顔を見合わせることになった。
秋山彦は神書を開いて読み上げた。
国治立命は国武彦命と身を下し給い、豊国姫命は国大立命と身を下し給うた。国大立命は再び変じて神素盞嗚尊となった。
国武彦命は四尾山に隠れ給い、神素盞嗚尊はウブスナ山の斎苑館に隠れ給うた。これは神政成就の錦の機を織りなす神界の大準備に着手すべき身魂の因縁である。
稚姫君命の御霊の裔である初稚姫は金剛不壊の如意宝珠を永遠に守護し、国直姫命の御霊の裔である玉能姫は紫の玉を守護し、言依別命は黄金の玉を守護する。
梅子姫命は紫の麻邇の玉を守護し、高姫は青色の麻邇の玉を守護し、黒姫は赤色の麻邇の玉を守護し、鷹依姫は白色の麻邇の玉を守護し、竜国別は黄色の麻邇の玉を守護する。
これがそれぞれの身魂の因縁であり、これより四人は麻邇の宝珠を取り出し、綾の聖地に向かうべし。
万劫末代の神業であるため、なんとしても四人に神業を成就させるべく、高姫以下の改心が遅れた罪を言依別命に負わせて、麻邇の玉の御用を命じるものである。
四人は感謝の涙にむせび、神殿に感謝の祝詞を奏上した。秋山彦は黄金の鍵を取り出して高姫に渡した。そして密かに沓島に至って命じられたとおりに玉を取り出し、聖地に戻って神業に参加するようにと申し渡した。
四人は喜び勇んで裏口から抜け出し、沓島に向かって漕ぎ出した。高姫以下四人は、神素盞嗚尊の無限の仁慈のお計らいによって罪穢れを赦され、身魂相応因縁の御用を奉仕させられることとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-12-25 20:04:00 文字数:3388 OBC :rm3317
愛善世界社版:186頁 八幡書店版:第6輯 319頁 修補版: 校定版:195頁 普及版:70頁 初版: ページ備考:
001 高島丸(たかしままる)はテルの国(くに)、002ハラの港(みなと)より西(にし)へ西(にし)へと進(すす)んで、003現今(げんこん)の日本国(にほんこく)台湾島(たいわんたう)へ帰(かへ)つて来(き)た。
004 今日(こんにち)の航路(かうろ)より見(み)れば全然(ぜんぜん)反対(はんたい)の道(みち)をとり、005且(か)つ非常(ひじやう)に迂回(うくわい)して居(ゐ)るのは、006三十万(さんじふまん)年前(ねんぜん)の地球(ちきう)の傾斜(けいしや)の関係(くわんけい)及(および)潮流(てうりう)の関係(くわんけい)に依(よ)つたものである。007蒸気(じやうき)の力(ちから)を以(もつ)て自由(じいう)自在(じざい)に航行(かうかう)する現代(げんだい)に比(くら)ぶれば、008非常(ひじやう)に不便(ふべん)なものであつた。009併(しか)し乍(なが)ら其(その)速力(そくりよく)は今日(こんにち)の二十(にじふ)浬(ノツト)以上(いじやう)を、010風(かぜ)なき時(とき)と雖(いへど)も、011航行(かうかう)する事(こと)が出来(でき)たのである。012其(その)故(ゆゑ)は例(たと)へば二百(にひやく)人(にん)乗(の)りの船(ふね)ならば、013船(ふね)の両舷側(りやうげんそく)に百本(ひやくぽん)の艪櫂(ろかい)がついてゐて、014二百(にひやく)人(にん)の乗客(じやうきやく)の中(うち)百(ひやく)人(にん)は、015力(ちから)限(かぎ)りに艪櫂(ろかい)を漕(こ)ぎ、016稍(やや)疲労(ひらう)したる時(とき)は、017又(また)百(ひやく)人(にん)これに代(かは)り、018交(かは)る交(がは)る艪櫂(ろかい)を漕(こ)いだものである。019船頭(せんどう)は只(ただ)船(ふね)の方向(はうかう)を定(さだ)め、020水先(みづさき)を調(しら)べ、021舵(かぢ)をとるのみであつた。022大(おほ)きな船(ふね)になると、023二階造(にかいづく)りになり、024下(した)からも、025上(うへ)からも船(ふね)を漕(こ)ぐ仕掛(しかけ)になつて居(ゐ)た。026恰度(ちやうど)舷(ふなばた)を見(み)ると、027蜈蚣(むかで)の足(あし)の様(やう)に見(み)ゆる船(ふね)の造(つく)り方(かた)であつた。028それ故(ゆゑ)非常(ひじやう)な速力(そくりよく)で、029少々(せうせう)の荒波(あらなみ)位(くらゐ)には少(すこ)しも弱(よわ)らなかつたのである。030且(かつ)又(また)昔(むかし)の人(ひと)は総(そう)じて剛胆者(がうたんもの)が多(おほ)く、031臆病者(おくびやうもの)は頭(あたま)から乗船(じやうせん)を許(ゆる)さなかつたのである。032故(ゆゑ)に余(あま)り役(やく)に立(た)たぬ老人(としより)や、033子供(こども)の船客(せんきやく)は皆無(かいむ)と云(い)つても良(よ)い位(くらゐ)であつた。034特別(とくべつ)の事情(じじやう)ある者(もの)でなければ、035船(ふね)に乗(の)ることを互(たがひ)に戒(いまし)めて許(ゆる)さなかつたものである。
036 高姫(たかひめ)一行(いつかう)は漸(やうや)くにして、037月日(つきひ)を重(かさ)ね自転倒(おのころ)島(じま)の由良(ゆら)の港(みなと)に安着(あんちやく)した。038秋山彦(あきやまひこ)は錦(にしき)の宮(みや)の玉照彦(たまてるひこ)、039玉照姫(たまてるひめ)の命(めい)に依(よ)り、040高姫(たかひめ)一行(いつかう)が由良(ゆら)の港(みなと)に帰(かへ)り来(きた)ることを前知(ぜんち)し、041数多(あまた)の里人(さとびと)を集(あつ)め、042埠頭(ふとう)に一行(いつかう)を迎(むか)ふべく、043十曜(とえう)の神旗(しんき)を海風(かいふう)に翻(ひるがへ)し乍(なが)ら、044今(いま)や遅(おそ)しと待(ま)ちつつあつた。
045 此処(ここ)へ竹島丸(たけしままる)は波(なみ)を蹴(け)つて、046高姫(たかひめ)一行(いつかう)を乗(の)せて帰(かへ)り来(く)るのであつた。047高姫(たかひめ)一行(いつかう)は、048台湾(たいわん)のキルの港(みなと)より竹島丸(たけしままる)に乗(の)り替(か)へたのである。049高姫(たかひめ)一行(いつかう)六(ろく)人(にん)外(ほか)に松彦(まつひこ)、050鶴公(つるこう)の二人(ふたり)を加(くは)へて八(はち)人(にん)は、051秋山彦(あきやまひこ)の迎(むか)への人数(にんず)に送(おく)られて、052勇(いさ)ましげに秋山彦(あきやまひこ)館(やかた)に入(い)り、053息(いき)を休(やす)むる事(こと)となつた。054其(その)夜(よ)は何(いづ)れも草臥果(くたびれは)て、055夕餉(ゆふげ)を喫(きつ)したる儘(まま)、056這(は)ふが如(ごと)くグタリとした体(からだ)を、057与(あた)へられた各自(かくじ)の寝間(ねま)に運(はこ)び、058つぶれた様(やう)に寝(ね)て了(しま)つた。
059 言依別(ことよりわけの)命(みこと)より監視役(かんしやく)を命(めい)ぜられて、060従(つ)いて来(き)た松彦(まつひこ)は、061其(その)夜(よ)は一睡(いつすゐ)もせず、062秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)と共(とも)に、063高姫(たかひめ)の身(み)の上(うへ)に関(くわん)する事(こと)、064及(およ)び麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)の御用(ごよう)の件(けん)に就(つい)て、065ひそかに協議(けふぎ)を凝(こ)らし、066夜(よ)の明(あ)くる頃(ころ)漸(やうや)くにして寝(しん)に就(つ)いた。067秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)も亦(また)昨夜(さくや)の疲労(ひらう)を慰(ゐ)すべく、068太陽(たいやう)の高(たか)く昇(のぼ)る頃(ころ)まで白河(しらかは)夜船(よぶね)の夢(ゆめ)を貪(むさぼ)ることとなつた。
069 聖地(せいち)よりは東助(とうすけ)を初(はじ)め、070加米彦(かめひこ)其(その)他(た)の面々(めんめん)が高姫(たかひめ)一行(いつかう)を迎(むか)ふべく、071由良川(ゆらがは)を下(くだ)つて此処(ここ)にやつて来(き)たのである。072秋山彦(あきやまひこ)館(やかた)は俄(にはか)の客(きやく)にて、073下僕(しもべ)共(ども)は上(うへ)を下(した)へと大繁忙(だいはんばう)を極(きは)め、074馳走(ちそう)の用意(ようい)に差(さし)かかつて居(ゐ)る。
075 秋山彦(あきやまひこ)は高姫(たかひめ)、076鷹依姫(たかよりひめ)、077竜国別(たつくにわけ)の三(さん)人(にん)を一間(ひとま)に招(まね)き、078松彦(まつひこ)が齎(もたら)せる神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)及(およ)び言依別(ことよりわけの)命(みこと)の密書(みつしよ)の件(けん)に就(つい)て、079三(さん)人(にん)に対(たい)し、080意見(いけん)を聞(き)くこととなつた。
081秋山彦(あきやまひこ)『高姫(たかひめ)さま、082其(その)他(た)のお二方(ふたかた)、083永(なが)らくの間(あひだ)、084御(ご)遠方(ゑんぱう)の所(ところ)、085御(ご)苦労(くらう)で御座(ござ)いました。086大神(おほかみ)様(さま)に於(お)かせられても、087さぞ御(ご)満足(まんぞく)の事(こと)で御座(ござ)いませう。088就(つ)いては麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)の件(けん)で御座(ござ)いますが、089竜宮島(りうぐうじま)より迎(むか)へられた五個(ごこ)の中(うち)、090其(その)四(よ)つまで紛失(ふんしつ)致(いた)しました事(こと)は、091実(じつ)に神界(しんかい)経綸(けいりん)上(じやう)大変(たいへん)な不都合(ふつがふ)で御座(ござ)います。092これに就(つい)てあなた方(がた)に今(いま)一度(いちど)お世話(せわ)になつて、093四(よつ)つの玉(たま)を発見(はつけん)して頂(いただ)かねばならないので御座(ござ)いますが、094如何(いかが)でせう、095お世話(せわ)になれるでせうか』
096高姫(たかひめ)『ハイ、097私(わたくし)は金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)を初(はじ)め、098其(その)他(ほか)一切(いつさい)の玉(たま)に関(くわん)し、099最早(もはや)何(なん)の執着(しふちやく)もなくなりましたから、100此(この)事(こと)計(ばか)りは、101最早(もはや)断念(だんねん)して居(を)ります。102此(この)広(ひろ)い世(よ)の中(なか)、103言依別(ことよりわけの)命(みこと)がどうかされたのでせうから、104いくら捜(さが)しても駄目(だめ)です。105どうぞ玉(たま)の事(こと)だけはモウ言(い)はないでおいて下(くだ)さいませ』
106秋山彦(あきやまひこ)『如何(いか)なる神界(しんかい)の御用(ごよう)を致(いた)すのも、107皆(みな)神(かみ)様(さま)からの御(ご)命令(めいれい)、108身魂(みたま)相応(さうおう)の因縁(いんねん)がなくては出来(でき)ないので御座(ござ)います。109就(つ)いては、110鷹依姫(たかよりひめ)様(さま)、111竜国別(たつくにわけ)様(さま)、112モウ一人(ひとり)の黒姫(くろひめ)様(さま)、113此(この)四(よ)人(にん)の方(かた)が、114麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)の御用(ごよう)をして下(くだ)さらねばならない因縁(いんねん)で御座(ござ)いますが、115生憎(あいにく)竜宮島(りうぐうじま)より五色(いついろ)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)が現(あら)はれ玉(たま)ふ時機(じき)到来(たうらい)して、116惟神(かむながら)的(てき)に高姫(たかひめ)様(さま)、117黒姫(くろひめ)様(さま)お二人(ふたり)を竜宮(りうぐう)の一(ひと)つ島(じま)へお導(みちび)きになりましたなれど、118あなた方(がた)は此(この)一(ひと)つ島(じま)には最早(もはや)玉(たま)はない、119外(ほか)を捜(さが)さうと云(い)つて、120お帰(かへ)りになられました。121それ故(ゆゑ)止(や)むを得(え)ず、122神界(しんかい)の思召(おぼしめし)に依(よ)つて、123梅子姫(うめこひめ)様(さま)は紫(むらさき)の玉(たま)の御用(ごよう)、124これは身魂(みたま)の因縁(いんねん)で当然(たうぜん)錦(にしき)の宮(みや)へお持帰(もちかへ)りにならねばならぬ御(お)役(やく)で御座(ござ)いました。125それから青色(コーマ)の玉(たま)は高姫(たかひめ)様(さま)、126赤色(せきしよく)の玉(たま)は黒姫(くろひめ)様(さま)、127白色(はくしよく)の玉(たま)は鷹依姫(たかよりひめ)様(さま)、128黄金(わうごん)の玉(たま)は竜国別(たつくにわけ)様(さま)が御用(ごよう)遊(あそ)ばす、129昔(むかし)からの因縁(いんねん)にきまつて居(を)つたのです。130併(しか)し乍(なが)ら、131四(よ)人(にん)の方(かた)はいろいろと神界(しんかい)の時節(じせつ)を待(ま)たずお焦(あせ)りになつて、132何(いづ)れも方角(はうがく)違(ちが)ひの方(はう)へ往(い)ていらツしやつたものですから、133神界(しんかい)のお計(はか)らひにて、134黄竜姫(わうりようひめ)、135蜈蚣姫(むかでひめ)、136友彦(ともひこ)、137テールス姫(ひめ)の四柱(よはしら)が此(この)自転倒(おのころ)島(じま)まで臨時(りんじ)御用(ごよう)を遊(あそ)ばしたので御座(ござ)います。138併(しか)し乍(なが)ら身魂(みたま)の因縁(いんねん)だけの御用(ごよう)を、139今度(こんど)は勤(つと)めねばならないのですから、140神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)様(さま)、141言依別(ことよりわけの)命(みこと)様(さま)のお計(はか)らひにて、142紫(むらさき)の玉(たま)を除(のぞ)く外(ほか)四(よつ)つの玉(たま)は言依別(ことよりわけの)命(みこと)様(さま)が責任(せきにん)を負(お)ひ、143或(ある)地点(ちてん)にお隠(かく)しになつてゐるので御座(ござ)います。144どうしても因縁(いんねん)だけの事(こと)を勤(つと)めねばならぬのであります。145今度(こんど)の御用(ごよう)を仕損(しぞこな)つたら、146モウ此(この)先(さき)は末代(まつだい)取返(とりかへ)しが出来(でき)ませぬから、147そんな事(こと)があつては、148あなた方(がた)にお気(き)の毒(どく)だと、149大慈(だいじ)大悲(だいひ)の大御心(おほみこころ)より神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)様(さま)が吾(わが)子(こ)の言依別(ことよりわけの)命(みこと)様(さま)に責任(せきにん)を負(お)はせ、150罪(つみ)を着(き)せ、151あゝ云(い)ふ具合(ぐあひ)にお取扱(とりあつか)ひになつたので御座(ござ)いますよ。152今(いま)此処(ここ)にウヅの国(くに)より、153松彦(まつひこ)の司(つかさ)に事依(ことよ)さし神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)様(さま)を初(はじ)め、154言依別(ことよりわけの)命(みこと)、155国依別(くによりわけの)命(みこと)より神書(しんしよ)が届(とど)きました。156どうぞ之(これ)を御(お)披(ひら)き下(くだ)されば、157玉(たま)の所在(ありか)もスツカリお分(わか)りでせう。158どうぞ御(ご)苦労(くらう)ですが、159モウ一働(ひとはたら)き御用(ごよう)を願(ねが)ひませう』
160 高姫(たかひめ)は初(はじ)めて大神(おほかみ)の大(だい)慈悲心(じひしん)と、161言依別(ことよりわけの)命(みこと)及(およ)び国依別(くによりわけの)命(みこと)の真心(まごころ)を悟(さと)り、162感謝(かんしや)の涙(なみだ)に暮(く)れて其(その)場(ば)に泣(な)き倒(たふ)れた。163鷹依姫(たかよりひめ)、164竜国別(たつくにわけ)も声(こゑ)を放(はな)つて、165其(その)神恩(しんおん)の深(ふか)きに号泣(がうきふ)して居(ゐ)る。
166 斯(か)かる所(ところ)へ筑紫(つくし)の島(しま)より黒姫(くろひめ)の所在(ありか)を尋(たづ)ね、167玉治別(たまはるわけ)、168秋彦(あきひこ)の両人(りやうにん)、169黒姫(くろひめ)を伴(つ)れて帰(かへ)り来(きた)り、170茲(ここ)に四(よ)人(にん)の身魂(みたま)は久(ひさ)しぶりに顔(かほ)を見合(みあは)す事(こと)となつた。
171 秋山彦(あきやまひこ)は黒姫(くろひめ)に重(かさ)ねて前述(ぜんじゆつ)の次第(しだい)を物語(ものがた)り、172神書(しんしよ)を開(ひら)いて読(よ)み聞(き)かせた。173黒姫(くろひめ)、174玉治別(たまはるわけ)等(ら)の筑紫島(つくしじま)に於(お)ける活動(くわつどう)の模様(もやう)は後日(ごじつ)に稿(かう)を改(あらた)め、175述(の)ぶる事(こと)と致(いた)します。
176 秋山彦(あきやまひこ)は神文(しんもん)を押(おし)戴(いただ)き、177静(しづ)かに開(ひら)いて、178四(よ)人(にん)の前(まへ)に読(よ)み上(あ)げた。179其(その)神文(しんもん)、
180『此(この)度(たび)、181国治立(くにはるたちの)命(みこと)、182国武彦(くにたけひこの)命(みこと)と身(み)を下(くだ)し玉(たま)ひ、183また豊国姫(とよくにひめの)命(みこと)は国大立(くにひろたちの)命(みこと)となり再(ふたた)び変(へん)じて神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)となり、184国武彦(くにたけひこの)命(みこと)は聖地(せいち)四尾山(よつをざん)に隠(かく)れ、185素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)はウブスナ山(やま)の斎苑(イソ)の館(やかた)に隠(かく)れて、186神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の錦(にしき)の機(はた)を織(お)りなす神界(しんかい)の大準備(だいじゆんび)に着手(ちやくしゆ)すべき身魂(みたま)の因縁(いんねん)である。187それに付(つ)いて、188稚姫君(わかひめぎみの)命(みこと)の御霊(みたま)の裔(すゑ)なる初稚姫(はつわかひめ)は金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)を永遠(ゑいゑん)に守護(しゆご)し、189国直姫(くになほひめの)命(みこと)の御霊(みたま)の裔(すゑ)なる玉能姫(たまのひめ)は紫(むらさき)の玉(たま)の守護(しゆご)に当(あた)り、190言依別(ことよりわけの)命(みこと)は黄金(わうごん)の玉(たま)を永遠(ゑいゑん)に守護(しゆご)し、191梅子姫(うめこひめの)命(みこと)は紫色(むらさきいろ)の麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)の御用(ごよう)に仕(つか)へ、192高姫(たかひめ)は青色(せいしよく)の麻邇(まに)の宝玉(ほうぎよく)、193黒姫(くろひめ)は赤色(せきしよく)の麻邇(まに)の宝玉(ほうぎよく)、194鷹依姫(たかよりひめ)は白色(はくしよく)の麻邇(まに)の宝玉(ほうぎよく)、195竜国別(たつくにわけ)は黄色(わうしよく)の麻邇(まに)の宝玉(ほうぎよく)を守護(しゆご)すべき身魂(みたま)の因縁(いんねん)なれば、196これより四(よ)人(にん)は麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)を取出(とりだ)し、197綾(あや)の聖地(せいち)に向(むか)ふべし。198控(ひか)への身魂(みたま)は何程(なにほど)にてもありとは云(い)へども、199成(な)るべくは因縁(いんねん)の身魂(みたま)に此(この)御用(ごよう)を命(めい)じたく、200万劫(まんがふ)末代(まつだい)の神業(しんげふ)なれば、201高姫(たかひめ)以下(いか)の改心(かいしん)の遅(おく)れたる為(ため)、202神業(しんげふ)の遅滞(ちたい)せし罪(つみ)を言依別(ことよりわけの)命(みこと)に負(お)はせて、203高姫(たかひめ)以下(いか)に万劫(まんがふ)末代(まつだい)の麻邇(まに)の神業(しんげふ)を命(めい)ずるものなり。204……神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)』
205と記(しる)してあつた。206四(よ)人(にん)は感謝(かんしや)の涙(なみだ)にむせび乍(なが)ら、207直(ただ)ちに手(て)を拍(う)ち、208神殿(しんでん)に感謝(かんしや)の祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)した。209秋山彦(あきやまひこ)は黄金(こがね)の鍵(かぎ)を持(も)ち出(い)でて、210高姫(たかひめ)に渡(わた)し、
211秋山彦(あきやまひこ)『いざ四(よ)人(にん)の方々(かたがた)、212吾(わが)館(やかた)の裏門(うらもん)よりひそかに由良(ゆら)の港(みなと)に出(い)で、213沓島(めしま)に渡(わた)り、214麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)の四個(よんこ)の玉(たま)を、215各自(かくじ)命(めい)ぜられたる如(ごと)く取出(とりだ)し、216秘(ひそか)に聖地(せいち)へ帰(かへ)り、217尊(たふと)き神業(しんげふ)に参加(さんか)されたし。218此(この)事(こと)、219聖地(せいち)其(その)他(た)の神司(かむつかさ)、220信徒(しんと)の耳(みみ)に入(い)らば、221却(かへつ)て四(よ)人(にん)の神徳(しんとく)信用(しんよう)に関係(くわんけい)する事(こと)大(だい)なれば、222一切(いつさい)秘密(ひみつ)を守(まも)り、223大神(おほかみ)の御(ご)意志(いし)を奉戴(ほうたい)し、224今迄(いままで)の罪(つみ)を贖(あがな)ひ、225天晴(あつぱ)れ麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)の神司(かむつかさ)として聖地(せいち)にあつて奉仕(ほうし)されむ事(こと)を希望(きばう)致(いた)します。226サア早(はや)く早(はや)く……』
227と急(せ)き立(た)てられ、228四(よ)人(にん)は喜(よろこ)び勇(いさ)んで、229裏口(うらぐち)より秘(ひそか)に脱(ぬ)け出(い)で沓島(めしま)に向(むか)つて進(すす)み行(ゆ)く。
230 此(この)事(こと)玉治別(たまはるわけ)を初(はじ)め、231加米彦(かめひこ)、232テー、233カー、234常彦(つねひこ)、235其(その)他(た)の神司(かむつかさ)、236聖地(せいち)の紫姫(むらさきひめ)、237黄竜姫(わうりようひめ)、238蜈蚣姫(むかでひめ)、239友彦(ともひこ)、240テールス姫(ひめ)其(その)他(た)の神司(かむつかさ)も信徒(しんと)も永遠(ゑいゑん)に知(し)る者(もの)がなかつたのである。
241 高姫(たかひめ)外(ほか)三(さん)人(にん)は素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)の仁慈(じんじ)無限(むげん)のお計(はか)らひにて、242罪穢(つみけが)れを許(ゆる)され、243身魂(みたま)相応(さうおう)因縁(いんねん)の御用(ごよう)を完全(くわんぜん)に奉仕(ほうし)させられたのである。244アヽ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
245(大正一一・八・二九 旧七・七 松村真澄録)
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