霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二六章 若(わか)の浦(うら)〔九四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻 篇:第4篇 理智と愛情 よみ(新仮名遣い):りちとあいじょう
章:第26章 若の浦 よみ(新仮名遣い):わかのうら 通し章番号:941
口述日:1922(大正11)年09月19日(旧07月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年11月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
若の浦は昔は豊見の浦と言ったが、国玉別たちが球の玉に稚姫君命の御霊を取りかけて一つ島に斎き祀ってから、若の浦と改称したのである。この玉を納めた島は、玉留島と名付けられた。
玉留とは、玉を地中深くに埋めてその上に神社を建て、永遠に守るということである。玉留島は今は陸続きとなって玉津島と言われている。この辺りは非常に巨大な楠の木や杉の木が繁茂していた。
太古の大木からは虫のみならず、風水火の作用によって人が生まれたり、樹の魂が天狗となって生まれたりしたものである。
さて、国玉別夫婦らの奉安により、三五教の教えは紀の国はもちろん、伊勢志摩、尾張、大和、和泉方面まで拡張したのであった。
国玉別は宮殿を造営し、玉を納めて天津祝詞を奏上し祝歌を歌った。続いて玉能姫も祝歌を歌い、夫婦は永遠にこの島に鎮まって神業に奉仕することとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-09-09 14:21:26 文字数:2810 OBC :rm3326
愛善世界社版:288頁 八幡書店版:第6輯 355頁 修補版: 校定版:301頁 普及版:114頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]:出口王仁三郎全集 > 第五巻 言霊解・其他 > 【随筆・其他】 > 大木の精魂
001秋(あき)も漸(やうや)く高(たか)くして
002四方(よも)の山辺(やまべ)に佐保姫(さほひめ)の
003錦(にしき)織出(おりだ)し小男鹿(さをしか)の
004妻(つま)恋(こ)ふ声(こゑ)を聞(き)き乍(なが)ら
005心(こころ)あうたる夫婦(ふうふ)連(づ)れ
006国玉別(くにたまわけ)や玉能姫(たまのひめ)
007駒彦(こまひこ)さまと諸共(もろとも)に
008数多(あまた)の信者(しんじや)に送(おく)られて
009球(きう)の玉(たま)をば捧持(ほうぢ)しつ
010再度山(ふたたびさん)の山麓(さんろく)に
011たちたる館(やかた)を後(あと)にして
012少(すこ)しは名残(なごり)を惜(を)しみつつ
013生田(いくた)の森(もり)をくぐりぬけ
014夜(よ)を日(ひ)についで紀(き)の国(くに)の
015若(わか)の浦(うら)へと着(つ)きにける。
016 若(わか)の浦(うら)は昔(むかし)は豊見(とよみ)の浦(うら)といつた。017国玉別(くにたまわけの)命(みこと)が球(きう)の玉(たま)を捧(ほう)じ、018樟樹(しやうじゆ)鬱蒼(うつさう)として茂(しげ)れる和田中(わだなか)の一(ひと)つ島(じま)に稚姫君(わかひめぎみの)命(みこと)の御霊(みたま)を球(きう)の玉(たま)に取(と)りかけ斎(いつき)祀(まつ)つてより、019豊見(とよみ)の浦(うら)はここに若(わか)の浦(うら)と改称(かいしよう)する事(こと)となつたのである。020此(こ)の島(しま)を玉留島(たまつめじま)と名(な)づけられた。
021 玉留(たまつめ)といふ意義(いぎ)は玉(たま)を固(かた)く地中(ちちう)に埋(うづ)め、022其(その)上(うへ)に神社(かむやしろ)を建(た)てて永久(とことは)に守(まも)るといふ意味(いみ)である。023今(いま)は此(この)玉留島(たまつめじま)は陸続(りくつづ)きとなつて、024玉津島(たまつじま)と改称(かいしよう)されてゐる。
025 此(この)辺(あた)りは非常(ひじやう)に巨大(きよだい)なる杉(すぎ)の木(き)や楠(くすのき)が大地(だいち)一面(いちめん)に繁茂(はんも)してゐた。026太(ふと)い楠(くすのき)になると、027幹(みき)の周囲(まはり)百丈(ひやくぢやう)余(あま)りも廻(まは)つたのがあつた。028杉(すぎ)も亦(また)三十丈(さんじふぢやう)、029五十丈(ごじふぢやう)の幹(みき)の周囲(しうゐ)を有(いう)するものは数(かず)限(かぎ)りもなく生(は)えてゐた。030自転倒(おのころ)島(じま)に於(おい)て最(もつと)も巨大(きよだい)なる樹木(じゆもく)の繁茂(はんも)せし国(くに)なれば、031神代(かみよ)より木(き)の国(くに)と称(とな)へられてゐたのである。
032 大屋(おほや)比古(ひこ)の神(かみ)などは此(この)大木(たいぼく)の股(また)よりお生(うま)れになつたといふ事(こと)である。033また木股(きまた)の神(かみ)といふ神代(かみよ)の神(かみ)も大木(たいぼく)の精(せい)より現(あらは)れた神人(しんじん)である。
034 近代(きんだい)は余(あま)り大木(たいぼく)は少(すくな)くなつたが、035太古(たいこ)は非常(ひじやう)に巨大(きよだい)なる樹木(じゆもく)が木(き)の国(くに)のみならず、036各地(かくち)にも沢山(たくさん)に生(は)えてゐたものである。037植物(しよくぶつ)の繊維(せんゐ)が醗酵(はつかう)作用(さよう)によつて虫(むし)を生(しやう)じ、038其(そ)の虫(むし)は孵化(ふくわ)して甲虫(かぶとむし)の如(ごと)き甲虫族(かふちうぞく)を発生(はつせい)する如(ごと)く、039古(いにしへ)は大木(たいぼく)の繊維(せんゐ)により風水火(ふうすいくわ)の醗酵(はつかう)作用(さよう)によつて、040人(ひと)が生(うま)れ出(で)た事(こと)も珍(めづら)しくない。041又(また)猿(さる)などは随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)に発生(はつせい)したものである。
042 天狗(てんぐ)を木精(こだま)といふのは木(き)の魂(たましひ)といふ事(こと)であつて樹木(じゆもく)の精魂(せいこん)より発生(はつせい)する一種(いつしゆ)の動物(どうぶつ)である。043天狗(てんぐ)は人体(じんたい)に似(に)たのもあり、044或(あるひ)は鳥族(てうぞく)に似(に)たのもある。045近代(きんだい)に至(いた)つても巨大(きよだい)なる樹木(じゆもく)は之(これ)を此(この)天狗(てんぐ)の止(と)まり木(ぎ)と称(とな)へられ地方(ちはう)によつては非常(ひじやう)に恐(おそ)れられてゐる所(ところ)もある。046現代(げんだい)に於(おい)ても大森林(だいしんりん)の大樹(たいじゆ)には天狗(てんぐ)の種類(しゆるゐ)が可(か)なり沢山(たくさん)に発生(はつせい)しつつあるのである。
047 斯(かく)の如(ごと)き事(こと)を口述(こうじゆつ)する時(とき)は、048現代(げんだい)の理学者(りがくしや)や植物(しよくぶつ)学者(がくしや)は、049痴人(ちじん)の夢物語(ゆめものがたり)と一笑(いつせう)に付(ふ)して顧(かへり)みないであらうが、050併(しか)し天地(てんち)の間(あひだ)はすべて不可思議(ふかしぎ)なものである。051到底(たうてい)今日(こんにち)の所謂(いはゆる)文明(ぶんめい)人士(じんし)の智嚢(ちなう)では神(かみ)の霊能力(れいのうりよく)は分(わか)るものではない事(こと)を断言(だんげん)しておく。
052 さて国玉別(くにたまわけ)、053玉能姫(たまのひめ)は此(この)島(しま)に社(やしろ)を造(つく)りて、054球(きう)の宝玉(ほうぎよく)を捧按(ほうあん)し、055之(これ)を稚姫君(わかひめぎみ)の大神(おほかみ)と斎(いつき)祀(まつ)り、056傍(かたはら)に広殿(ひろどの)を建(た)て、057ここにありて三五教(あななひけう)の御教(みをしへ)を木(き)の国(くに)一(いち)円(ゑん)はいふも更(さら)なり伊勢(いせ)、058志摩(しま)、059尾張(をはり)、060大和(やまと)、061和泉(いづみ)方面(はうめん)まで拡充(くわくじう)したのである。
062 国玉別(くにたまわけ)は宮殿(きうでん)を造(つく)り玉(たま)を納(をさ)めて天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、063祝歌(しゆくか)を歌(うた)ふ。064其(その)歌(うた)、
065国玉別(くにたまわけ)『朝日(あさひ)のたださす神(かみ)の国(くに)
066夕日(ゆふひ)のひてらす珍(うづ)の国(くに)
067自凝島(おのころじま)のいや果(は)てに
068打寄(うちよ)せ来(きた)る荒波(あらなみ)の
069中(なか)に浮(うか)べる珍(うづ)の島(しま)
070下津(したつ)磐根(いはね)はいや深(ふか)く
071竜宮(りうぐう)の底(そこ)まで届(とど)くなり
072千引(ちびき)の岩(いは)もて固(かた)めたる
073此(この)珍島(うづしま)は神国(かみくに)の
074堅磐(かきは)常磐(ときは)の固(かた)めぞや
075皇(すめ)大神(おほかみ)の御言(みこと)もて
076琉球島(りうきうたう)より現(あらは)れし
077球(きう)の御玉(みたま)を今(いま)ここに
078大宮柱(おほみやばしら)太知(ふとし)りて
079高天原(たかあまはら)に千木(ちぎ)高(たか)く
080仕(つか)へまつりて永久(とこしへ)に
081納(をさ)むる今日(けふ)の目出(めで)たさよ
082此(この)神国(かみくに)に此(この)玉(たま)の
083鎮(しづ)まりゐます其(その)限(かぎ)り
084自凝島(おのころじま)はいや固(かた)く
085波(なみ)も静(しづ)かに治(をさ)まりて
086青人草(あをひとぐさ)は日(ひ)に月(つき)に
087天津(あまつ)御空(みそら)の星(ほし)の如(ごと)
088浜(はま)の真砂(まさご)も数(かず)ならず
089栄(さか)えて行(ゆ)かむ神(かみ)の国(くに)
090朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
091月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
092大地(だいち)は泥(どろ)にひたるとも
093球(きう)の御玉(みたま)をかくしたる
094此(この)珍島(うづしま)は永久(とこしへ)に
095水(みづ)に溺(おぼ)れず火(ひ)にやけず
096国(くに)の守(まも)りとなりなりて
097国玉別(くにたまわけ)や玉能姫(たまのひめ)
098仕(つか)へまつりし功績(いさをし)を
099千代(ちよ)に八千代(やちよ)に止(とど)むべし
100あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
101御霊(みたま)幸(さちは)ひましまして
102皇(すめ)大神(おほかみ)の守(まも)ります
103三五教(あななひけう)は天(あめ)の下(した)
104四方(よも)の国々(くにぐに)隈(くま)もなく
105伊行(いゆ)きわたらひ神人(かみびと)は
106いと安(やす)らけく平(たひら)けく
107五六七(みろく)の御代(みよ)を楽(たの)しみて
108鳥(とり)獣(けだもの)はいふもさら
109草(くさ)の片葉(かきは)に至(いた)るまで
110各々(おのおの)其(その)所(しよ)を得(え)せしめよ
111球(きう)の御玉(みたま)に取(とり)かけし
112稚姫君(わかひめぎみ)の生御霊(いくみたま)
113木(き)の神国(かみくに)に鎮(しづ)まりて
114押(お)しよせ来(きた)る仇波(あだなみ)を
115伊吹払(いぶきはら)ひに吹(ふ)き払(はら)へ
116自凝島(おのころじま)は永久(とこしへ)に
117栄(さか)え栄(さか)えて神人(かみびと)の
118ゑらぎ楽(たの)しむ楽園地(らくゑんち)
119天国(てんごく)浄土(じやうど)の有様(ありさま)を
120いや永久(とこしへ)に保(たも)ちつつ
121千代(ちよ)に栄(さか)えを松緑(まつみどり)
122世(よ)はくれ竹(たけ)の起(お)きふしに
123心(こころ)を清(きよ)め身(み)を浄(きよ)め
124仕(つか)へまつらむ夫婦(めをと)連(づ)れ
125心(こころ)の駒彦(こまひこ)潔(いさぎよ)く
126神(かみ)の御前(みまへ)に服(まつ)ろひて
127恵(めぐみ)も開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)
128一度(いちど)に薫(かを)る時津風(ときつかぜ)
129松(まつ)の神代(かみよ)の礎(いしづゑ)を
130樟(くす)の木(き)の根(ね)のいや固(かた)に
131杉(すぎ)の木立(こだち)のすぐすぐと
132守(まも)らせ給(たま)へ惟神(かむながら)
133神(かみ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎまつる
134神(かみ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎまつる』
135と歌(うた)ひ終(をは)り拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)して、136傍(かたはら)の樟(くす)の根(ね)に腰(こし)打(うち)かけた。137玉能姫(たまのひめ)は又(また)歌(うた)ふ。
138玉能姫『南(みなみ)に広(ひろ)き海(うみ)をうけ
139東(ひがし)に朝日(あさひ)を伏(ふ)し拝(をが)み
140西(にし)に二日(ふつか)の月(つき)を見(み)る
141此(この)珍島(うづしま)に畏(かしこ)くも
142稚姫君(わかひめぎみ)の御(おん)霊魂(みたま)
143斎(いつ)きまつりて三五(あななひ)の
144神(かみ)の司(つかさ)の宣伝使(せんでんし)
145国玉別(くにたまわけ)や玉能姫(たまのひめ)
146心(こころ)の駒彦(こまひこ)諸共(もろとも)に
147大宮柱(おほみやばしら)太(ふと)しりて
148朝(あさ)な夕(ゆふ)なに仕(つか)へゆく
149其(その)神業(かむわざ)ぞ尊(たふと)けれ
150天教山(てんけうざん)に現(あ)れませし
151神(かむ)伊邪諾(いざなぎの)大御神(おほみかみ)
152神(かむ)伊邪冊(いざなみの)大御神(おほみかみ)
153日(ひ)の出神(でのかみ)や木(こ)の花(はな)の
154咲耶(さくや)の姫(ひめ)の御言(みこと)もて
155天(あめ)の下(した)なる国々(くにぐに)を
156開(ひら)き給(たま)ひし神(かみ)の道(みち)
157神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
158瑞(みづ)の御霊(みたま)は畏(かしこ)くも
159高天原(たかあまはら)を退(やら)はれて
160大海原(おほうなばら)の国々(くにぐに)を
161巡(めぐ)り給(たま)ひて許々多久(ここたく)の
162教司(をしへつかさ)を配(くば)りつつ
163数多(あまた)の神(かみ)や人々(ひとびと)を
164教(をし)へ導(みちび)き鳥(とり)獣(けもの)
165虫(むし)けら草木(くさき)に至(いた)るまで
166恵(めぐみ)の露(つゆ)をたれ給(たま)ひ
167コーカス山(ざん)や斎苑(いそ)館(やかた)
168綾(あや)の聖地(せいち)に天降(あも)りまし
169仁慈(じんじ)無限(むげん)の神徳(しんとく)を
170施(ほどこ)し玉(たま)ふ有難(ありがた)さ
171妾(わらは)も同(おな)じ三五(あななひ)の
172神(かみ)の大道(おほぢ)の宣伝使(せんでんし)
173大海原(おほうなばら)を打渡(うちわた)り
174山川(やまかは)幾(いく)つふみ越(こ)えて
175やうやく玉能(たまの)の姫(ひめ)となり
176生田(いくた)の森(もり)に年(とし)永(なが)く
177仕(つか)へまつりし折(をり)もあれ
178夫(つま)の命(みこと)の若彦(わかひこ)は
179言依別(ことよりわけ)の御言(みこと)もて
180琉球(りうきう)の島(しま)より宝玉(ほうぎよく)を
181捧(ほう)じて目出(めで)たく再度(ふたたび)の
182山(やま)の麓(ふもと)の神館(かむやかた)
183生田(いくた)の森(もり)に帰(かへ)りまし
184ここに夫婦(ふうふ)は同棲(どうせい)の
185恵(めぐみ)に浴(よく)し朝夕(あさゆふ)に
186琉(りう)と球(きう)との神宝(しんぽう)を
187固(かた)く守(まも)りて居(ゐ)る間(うち)に
188玉照彦(たまてるひこ)や玉照姫(たまてるひめ)の
189貴(うづ)の命(みこと)の御言(みこと)もて
190生田(いくた)の森(もり)の館(やかた)をば
191高姫司(たかひめつかさ)に相渡(あいわた)し
192琉(りう)の玉(たま)をば残(のこ)しおき
193球(きう)の神宝(しんぽう)を捧持(ほうぢ)して
194木(き)の神国(かみくに)に打渡(うちわた)り
195大海原(おほうなばら)に漂(ただよ)へる
196堅磐(かきは)常磐(ときは)の岩(いは)が根(ね)に
197宮居(みやゐ)を建(た)てて厳(おごそ)かに
198稚姫君(わかひめぎみ)の御霊(みたま)とし
199仕(つか)へまつれと宣(の)り給(たま)ふ
200あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
201神(かみ)の御言(みこと)はそむかれず
202住(すみ)なれかけし館(やかた)をば
203後(あと)に見(み)すててはるばると
204此(この)島国(しまぐに)に来(き)て見(み)れば
205思(おも)ひもよらぬ珍(うづ)の国(くに)
206木々(きぎ)の色艶(いろつや)美(うる)はしく
207野山(のやま)は錦(にしき)の機(はた)を織(お)り
208川(かは)の流(なが)れはさやさやと
209自然(しぜん)の音楽(おんがく)奏(かな)でつつ
210天国(てんごく)浄土(じやうど)の如(ごと)くなり
211殊(こと)に尊(たふと)き此(この)島(しま)に
212珍(うづ)の社(やしろ)を建(た)て上(あ)げて
213いや永久(とこしへ)に守(まも)る身(み)は
214げにも嬉(うれ)しき優曇華(うどんげ)の
215花(はな)咲(さ)く春(はる)に会(あ)ふ心地(ここち)
216皇(すめ)大神(おほかみ)の御恵(みめぐみ)の
217深(ふか)きを今更(いまさら)思(おも)ひ知(し)り
218感謝(かんしや)の涙(なみだ)しとしとと
219口(くち)には言(い)はれぬ嬉(うれ)しさよ
220稚姫君(わかひめぎみの)大御神(おほみかみ)
221汝(なれ)が命(みこと)は此(この)島(しま)に
222いや永久(とこしへ)に鎮(しづ)まりて
223普(あまね)く世人(よびと)の身魂(みたま)をば
224守(まも)らせ給(たま)へ惟神(かむながら)
225神(かみ)の御前(みまへ)に只管(ひたすら)に
226玉能(たまの)の姫(ひめ)が願(ね)ぎまつる
227あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
228御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
229と歌(うた)ひ終(をは)り、230永久(とこしへ)に此(この)島(しま)に鎮(しづ)まり神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)する事(こと)とはなりける。
231(大正一一・九・一九 旧七・二八 松村真澄録)
232(昭和一〇・六・一〇 王仁校正)
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