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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第33巻(申の巻)
序歌
瑞祥
第1篇 誠心誠意
第1章 高論濁拙
第2章 灰猫婆
第3章 言霊停止
第4章 楽茶苦
第2篇 鶴亀躍動
第5章 神寿言
第6章 皮肉歌
第7章 心の色
第8章 春駒
第9章 言霊結
第10章 神歌
第11章 波静
第12章 袂別
第3篇 時節到来
第13章 帰途
第14章 魂の洗濯
第15章 婆論議
第16章 暗夜の歌
第17章 感謝の涙
第18章 神風清
第4篇 理智と愛情
第19章 報告祭
第20章 昔語
第21章 峯の雲
第22章 高宮姫
第23章 鉄鎚
第24章 春秋
第25章 琉の玉
第26章 若の浦
伊豆温泉旅行につき訪問者人名詠込歌
附記 湯ケ島所感
余白歌
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<<< 灰猫婆
(B)
(N)
楽茶苦 >>>
第三章
言霊
(
ことたま
)
停止
(
ていし
)
〔九一八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
篇:
第1篇 誠心誠意
よみ(新仮名遣い):
せいしんせいい
章:
第3章 言霊停止
よみ(新仮名遣い):
ことたまていし
通し章番号:
918
口述日:
1922(大正11)年08月26日(旧07月4日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年11月10日
概要:
舞台:
ウヅの館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
言依別命は、激しい喧嘩の後を見て取って、これはどうしたことかと高姫に尋ねるが、高姫はこれも全部、言依別命のせいだと悪態をつく。また春彦と言い合いになるが、やにわに高姫は泡を吹いてその場に倒れてしまった。
春彦はいい気味だと嘲るが、言依別命とカールに諭され促され、三人は禊をして高姫に鎮魂を施した。
高姫は目をさまし、三人は高姫に話しかけるが、高姫は一時的に言霊の使用を神様より許されておらず、身振り手振りで不満と反対をあらわしている。
言依別命は高姫が言霊を再び使用できるようにと神様に祈願したが、なにゆえか言霊の発射がうまくできなかった。しかたなく春彦に高姫の介抱を願いおき、自分の館をさして帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-07-08 17:50:09
OBC :
rm3303
愛善世界社版:
30頁
八幡書店版:
第6輯 267頁
修補版:
校定版:
31頁
普及版:
13頁
初版:
ページ備考:
001
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
此
(
この
)
灰
(
はひ
)
まぶれ
騒動
(
さうだう
)
を
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
て、
002
顔
(
かほ
)
をしかめ
乍
(
なが
)
ら、
003
言依別命
『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
004
言依別
(
ことよりわけ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
005
コリヤまあ
如何
(
どう
)
なさいました。
006
カールに
春彦
(
はるひこ
)
、
007
お
前
(
まへ
)
さまも
灰
(
はひ
)
まぶれぢやないか』
008
カール『ハイ、
009
さつぱり
灰猫婆
(
はひねこばば
)
に
灰
(
はひ
)
を
吹
(
ふ
)
かれまして、
010
イヤもう
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り、
011
ハイ
北
(
ぼく
)
ハイ
陣
(
ぢん
)
の
為体
(
ていたらく
)
で
御座
(
ござ
)
います。
012
ハイ
もうさつぱり、
013
さ
ハイ
が
付
(
つ
)
きませぬワイ。
014
どうぞ
御
(
ご
)
ハイ
慮
(
りよ
)
下
(
くだ
)
さいませぬ
様
(
やう
)
に、
015
ハイ
願
(
ぐわん
)
致
(
いた
)
します』
016
春彦
(
はるひこ
)
『
紅塵
(
こうぢん
)
万丈
(
ばんぢやう
)
……でなくて、
017
薩張
(
さつぱり
)
ハイ
塵万丈
(
ぢんばんぢやう
)
な
目
(
め
)
にあひました。
018
ハイ
神楽
(
かぐら
)
の
舞
(
まひ
)
を
一
(
ひと
)
つ
舞
(
ま
)
うて
見
(
み
)
ましたが、
019
何分
(
なにぶん
)
爺
(
おやぢ
)
になる
役
(
やく
)
が
ハイ
カラですものだから、
020
薩張
(
さつぱり
)
采
(
さい
)
ハイ
をふり
損
(
そこな
)
つて、
021
灰猫婆
(
はひねこば
)
アさまに
咬
(
か
)
みつかれました』
022
言依別
(
ことよりわけ
)
『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
023
大変
(
たいへん
)
な
喧嘩
(
けんくわ
)
をしたと
見
(
み
)
えますな。
024
………
高姫
(
たかひめ
)
さま、
025
コリヤ
一体
(
いつたい
)
如何
(
どう
)
して
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
が
突発
(
とつぱつ
)
したのですか、
026
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
事情
(
じじやう
)
があるでせう。
027
お
差支
(
さしつかへ
)
なくば
其
(
その
)
理由
(
りいう
)
を
拝聴
(
はいちやう
)
したいものですな』
028
高姫
(
たかひめ
)
『あのマア
言
(
こと
)
さまの
白々
(
しらじら
)
しい
事
(
こと
)
ワイの。
029
甘
(
うま
)
く
両人
(
りやうにん
)
に
言
(
い
)
ひ
含
(
ふく
)
ませ、
030
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
アをこんな
目
(
め
)
にあはしておいて、
031
ヘン、
032
そんな
計略
(
けいりやく
)
は
最早
(
もはや
)
駄目
(
だめ
)
ですよ。
033
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
にお
前
(
まへ
)
も
改心
(
かいしん
)
をなさいませ。
034
ドハイカラ
奴
(
め
)
が……』
035
言依別
(
ことよりわけ
)
『コレハ コレハ、
036
思
(
おも
)
ひがけなき
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
……』
037
高姫
(
たかひめ
)
『
思
(
おも
)
ひがけないでせう、
038
それだけ
死際
(
しにぎは
)
の
悪
(
わる
)
い
高姫
(
たかひめ
)
とは、
039
いかなお
前
(
まへ
)
でも
思
(
おも
)
ひがけなかつたでせう、
040
ホツホヽヽヽ。
041
憎
(
にく
)
まれ
子
(
ご
)
世
(
よ
)
に
覇張
(
はば
)
る……とか
申
(
まを
)
しましてな、
042
折角
(
せつかく
)
国依別
(
くによりわけ
)
が
甘
(
うま
)
くドハイカラの
言
(
こと
)
さまに
取込
(
とりこ
)
み、
043
今晩
(
こんばん
)
は
男蝶
(
をてふ
)
女蝶
(
めてふ
)
の
花
(
はな
)
の
盃
(
さかづき
)
酌
(
つぎ
)
かはす
段取
(
だんどり
)
まで、
044
やうやう
漕
(
こ
)
ぎつけた
所
(
ところ
)
、
045
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
046
月
(
つき
)
に
叢雲
(
むらくも
)
、
047
花
(
はな
)
に
嵐
(
あらし
)
の
高姫
(
たかひめ
)
婆風
(
ばばかぜ
)
が、
048
情
(
つれ
)
なくも
吹
(
ふ
)
きすさみ、
049
半開
(
はんかい
)
の
莟
(
つぼみ
)
を
散
(
ち
)
らさうとする。
050
其
(
その
)
防禦網
(
ぼうぎよあみ
)
を……
否
(
いな
)
網
(
あみ
)
所
(
どころ
)
か、
051
妨害
(
ばうがい
)
を
根絶
(
こんぜつ
)
せむと
甘
(
うま
)
く
企
(
たく
)
んだお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
のお
手際
(
てぎは
)
、
052
実
(
じつ
)
に
見上
(
みあ
)
げたもので
御座
(
ござ
)
いますワイ。
053
オツホヽヽヽ。
054
何程
(
なにほど
)
琉
(
りう
)
の
玉
(
たま
)
や
球
(
きう
)
の
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れたと
云
(
い
)
つて、
055
琉球
(
りうきう
)
相
(
さう
)
にして
居
(
を
)
つても、
056
肝腎
(
かんじん
)
の
身魂
(
みたま
)
が
曇
(
くも
)
り
切
(
き
)
り、
057
灰泥
(
はひどろ
)
の
様
(
やう
)
になつて
居
(
を
)
つては、
058
玉
(
たま
)
の
効用
(
かうよう
)
はサツパリ
玉
(
たま
)
無
(
な
)
しですよ』
059
春彦
(
はるひこ
)
『コラ
灰猫婆
(
はひねこばば
)
ア!
貴様
(
きさま
)
は
比喩方
(
たとへかた
)
のない
悪垂婆
(
あくたればば
)
アだ。
060
改心
(
かいしん
)
をしたり、
061
慢心
(
まんしん
)
をしたり、
062
モウ
是
(
これ
)
から
先
(
さき
)
は
何
(
なに
)
をするのだ。
063
疑心
(
ぎしん
)
暗鬼
(
あんき
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
奴
(
め
)
が』
064
高姫
(
たかひめ
)
『
改心
(
かいしん
)
慢心
(
まんしん
)
の
後
(
あと
)
は
感心
(
かんしん
)
だよ。
065
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
のどこ
迄
(
まで
)
も
執念深
(
しふねんぶか
)
い
計略
(
けいりやく
)
には
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
実
(
じつ
)
に
感心
(
かんしん
)
……
否
(
いな
)
寒心
(
かんしん
)
せざるを
得
(
え
)
ませぬワイ。
066
オツホヽヽヽ』
067
と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り『ウーン』と
反
(
そ
)
り
返
(
かへ
)
り、
068
癲癇
(
てんかん
)
の
様
(
やう
)
に
口
(
くち
)
から
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
069
手足
(
てあし
)
をピリピリと
震
(
ふる
)
はせて、
070
其
(
その
)
場
(
ば
)
にふん
伸
(
の
)
びて
了
(
しま
)
つた。
071
春彦
(
はるひこ
)
『
余
(
あま
)
り
逆理屈
(
さかりくつ
)
ばかりを
云
(
い
)
ふものだから、
072
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて、
073
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りふん
伸
(
の
)
びて
了
(
しま
)
つたのだ。
074
……なあカール、
075
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
神
(
かみ
)
は、
076
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
確
(
たしか
)
に
居
(
を
)
られますねえ』
077
言依別
(
ことよりわけ
)
『オイお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
、
078
そんな
事
(
こと
)
言
(
い
)
つてゐる
時
(
とき
)
ぢやない。
079
早
(
はや
)
く
灰
(
はひ
)
を
掃除
(
さうぢ
)
して、
080
顔
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
081
手
(
て
)
を
清
(
きよ
)
め、
082
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御
(
ご
)
恢復
(
くわいふく
)
を
祈
(
いの
)
らなならないぢやないか』
083
春彦
(
はるひこ
)
『
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
、
084
こんな
婆
(
ばば
)
アは
懲戒
(
みせしめ
)
の
為
(
ため
)
に、
085
斯
(
か
)
うやつて
冷
(
つめ
)
たくなる
所
(
ところ
)
まで
放
(
はう
)
つといてやつたら
如何
(
どう
)
でせう。
086
実
(
じつ
)
に
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
ですから、
087
又
(
また
)
呼
(
よ
)
び
生
(
い
)
かしてやらうものなら、
088
それこそ
反対
(
はんたい
)
に
団子
(
だんご
)
理屈
(
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ね、
089
殺人
(
さつじん
)
未遂犯
(
みすゐはん
)
で
告訴
(
こくそ
)
するの
何
(
なん
)
のと、
090
命
(
いのち
)
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
うた
恩人
(
おんじん
)
に
向
(
むか
)
つて、
091
仇
(
あだ
)
を
返
(
かへ
)
すのですから、
092
幸
(
さいは
)
ひ、
093
自分
(
じぶん
)
が
勝手
(
かつて
)
に
死
(
し
)
んだのですから、
094
こんな
厄介者
(
やつかいもの
)
はモウ
放
(
はう
)
つといたらどうでせうなア。
095
カールに
対
(
たい
)
しても、
096
実
(
じつ
)
に
私
(
わたくし
)
としては
助
(
たす
)
けてやつて
呉
(
く
)
れとは
申
(
まを
)
されませぬワイ』
097
カール『そんな
御
(
お
)
気遣
(
きづか
)
ひは
要
(
い
)
りませぬ。
098
サア
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
全快
(
ぜんくわい
)
の
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
を
致
(
いた
)
しませう』
099
と
門先
(
かどさき
)
を
流
(
なが
)
れる
小川
(
をがは
)
に
飛込
(
とびこ
)
み、
100
身
(
み
)
をきよめ、
101
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
病気
(
びやうき
)
恢復
(
くわいふく
)
の
祈願
(
きぐわん
)
をこめ
始
(
はじ
)
めた。
102
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
103
反魂
(
はんこん
)
の
神術
(
かむわざ
)
を
修
(
しう
)
して
居
(
を
)
る。
104
春彦
(
はるひこ
)
も
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
105
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
をこめた。
106
漸
(
やうや
)
くにして
高姫
(
たかひめ
)
は
息
(
いき
)
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し、
107
目
(
め
)
をキヨロつかせ
乍
(
なが
)
ら、
108
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
をマンジリともせずに
打眺
(
うちなが
)
めてゐる。
109
言依別
(
ことよりわけ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
110
お
気
(
き
)
がつきましたか、
111
大変
(
たいへん
)
に
心配
(
しんぱい
)
を
致
(
いた
)
しましたよ』
112
高姫
(
たかひめ
)
は
耳
(
みみ
)
は
聞
(
きこ
)
えるが、
113
まだ
言霊
(
ことたま
)
の
応用
(
おうよう
)
を
許
(
ゆる
)
されてゐなかつた。
114
蚕
(
かひこ
)
の
蛹
(
さなぎ
)
か
芋虫
(
いもむし
)
のやうに
面
(
つら
)
をふくらし、
115
プリンと
体
(
からだ
)
を
振
(
ふ
)
つて、
116
背中
(
せなか
)
を
向
(
む
)
けて、
117
……
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れな。
118
そんな
上手
(
じやうず
)
追従
(
つゐしやう
)
は
喰
(
く
)
ひませぬぞ……といふ
意思
(
いし
)
を
表示
(
へうじ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
119
春彦
(
はるひこ
)
は
又
(
また
)
もや
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
にまはり、
120
春彦
(
はるひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
121
御
(
ご
)
気分
(
きぶん
)
は
如何
(
いかが
)
ですかな』
122
と
尋
(
たづ
)
ぬれば、
123
又
(
また
)
もプリンと
背中
(
せなか
)
を
向
(
む
)
ける。
124
カールも
亦
(
また
)
前
(
まへ
)
に
寄
(
よ
)
つて、
125
カール『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
126
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
疑
(
うたがひ
)
を
晴
(
は
)
らし、
127
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
されては
如何
(
いかが
)
ですか、
128
余
(
あま
)
り
執拗
(
しつこう
)
過
(
す
)
ぎるぢやありませぬか』
129
と
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
けば、
130
又
(
また
)
もやプリンと
背中
(
せなか
)
を
向
(
む
)
ける。
131
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
を
一人
(
ひとり
)
々々
(
ひとり
)
、
132
弓張
(
ゆみはり
)
はぢきでもする
様
(
やう
)
に
彼方
(
あちら
)
へ
向
(
む
)
き
此方
(
こちら
)
へ
向
(
む
)
き、
133
恰度
(
ちやうど
)
、
134
操
(
あやつ
)
り
人形
(
にんぎやう
)
の
様
(
やう
)
に
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
に
尻
(
しり
)
を
卸
(
おろ
)
した
儘
(
まま
)
、
135
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
回転
(
くわいてん
)
して
居
(
ゐ
)
る。
136
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
使用
(
しよう
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
より
止
(
と
)
められて
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
り、
137
又
(
また
)
もや
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
つて、
138
言語
(
げんご
)
の
自由
(
じいう
)
に
発
(
はつ
)
し
得
(
う
)
る
様
(
やう
)
と
祈願
(
きぐわん
)
をこめた。
139
されど
何故
(
なにゆゑ
)
か
容易
(
ようい
)
に
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
することが
出来
(
でき
)
なかつた。
140
言依別
(
ことよりわけ
)
はカールを
従
(
したが
)
へ、
141
目礼
(
もくれい
)
し
乍
(
なが
)
ら、
142
春彦
(
はるひこ
)
に
介抱
(
かいほう
)
を
命
(
めい
)
じ
置
(
お
)
き
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
143
(
大正一一・八・二六
旧七・四
松村真澄
録)
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