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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第33巻(申の巻)
序歌
瑞祥
第1篇 誠心誠意
第1章 高論濁拙
第2章 灰猫婆
第3章 言霊停止
第4章 楽茶苦
第2篇 鶴亀躍動
第5章 神寿言
第6章 皮肉歌
第7章 心の色
第8章 春駒
第9章 言霊結
第10章 神歌
第11章 波静
第12章 袂別
第3篇 時節到来
第13章 帰途
第14章 魂の洗濯
第15章 婆論議
第16章 暗夜の歌
第17章 感謝の涙
第18章 神風清
第4篇 理智と愛情
第19章 報告祭
第20章 昔語
第21章 峯の雲
第22章 高宮姫
第23章 鉄鎚
第24章 春秋
第25章 琉の玉
第26章 若の浦
伊豆温泉旅行につき訪問者人名詠込歌
附記 湯ケ島所感
余白歌
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第33巻(申の巻)
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<<< 春秋
(B)
(N)
若の浦 >>>
第二五章
琉
(
りう
)
の
玉
(
たま
)
〔九四〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
篇:
第4篇 理智と愛情
よみ(新仮名遣い):
りちとあいじょう
章:
第25章 琉の玉
よみ(新仮名遣い):
りゅうのたま
通し章番号:
940
口述日:
1922(大正11)年09月19日(旧07月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年11月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
東助は道中、秋彦とともに生田の森の館に夜明け頃立ち寄った。国玉別夫婦は水ごり中で不在であったが、東助は急ぐたびだからと留守役の駒彦に告げて、さっさと行ってしまった。
水ごりから戻ってきた国玉別夫婦は、駒彦をやって東助に一言お詫びを伝えに追いかけさせた。
日暮れのころ、高姫が佐田彦とともに慌ただしくやってきた。高姫は用向きを伝えると、玉能姫に東助がここに来たかと尋ねた。玉能姫は、東助は朝早くに自分たちが不在のうちに出立してしまったと答えた。
高姫は自分の昔の夫であった東助に一言恨み言を言いたいがために、玉能姫に舟を出すようにとごねだした。そこへ駒彦が返ってきて、すでに東助は淡路島へ帰って支度を整え、フサの国に向かって船出してしまったと伝えた。
高姫はそれを聞いて、もう東助のことは思うまいとあきらめた。翌日、国玉別は琉の玉を高姫に渡して、生田の森の館を引き継いだ。そして自分たち夫婦は球の玉を奉じて紀の国に祀る神業の仕えるのだと伝えた。
高姫は生田の森で琉の玉を守護することとなり、国玉別、玉能姫、駒彦は紀の国の若の浦を指して進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-15 03:13:15
OBC :
rm3325
愛善世界社版:
277頁
八幡書店版:
第6輯 351頁
修補版:
校定版:
290頁
普及版:
109頁
初版:
ページ備考:
001
東助
(
とうすけ
)
は
秋彦
(
あきひこ
)
と
共
(
とも
)
に
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
の
若彦
(
わかひこ
)
(
今
(
いま
)
は
国玉別
(
くにたまわけ
)
)の
館
(
やかた
)
に
翌日
(
あくるひ
)
の
夜明
(
よあ
)
け
頃
(
ごろ
)
、
002
一寸
(
ちよつと
)
立寄
(
たちよ
)
つて
見
(
み
)
た。
003
昔
(
むかし
)
は
人
(
ひと
)
は
一夜
(
いちや
)
の
中
(
うち
)
に
五十
(
ごじふ
)
里
(
り
)
や
八十
(
はちじふ
)
里
(
り
)
は
平気
(
へいき
)
で
跋渉
(
ばつせふ
)
したものである。
004
東助
(
とうすけ
)
『
国玉別
(
くにたまわけ
)
さまは
居
(
を
)
られますかなア』
005
と
訪
(
おとな
)
ふ
声
(
こゑ
)
に
駒彦
(
こまひこ
)
はあわてて
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
006
駒彦
(
こまひこ
)
『コレハコレハ
総務
(
そうむ
)
さまで
御座
(
ござ
)
いますか。
007
……ヤアお
前
(
まへ
)
は
秋彦
(
あきひこ
)
、
008
久振
(
ひさしぶ
)
りだつたなあ』
009
秋彦
(
あきひこ
)
『ウン』
010
東助
(
とうすけ
)
『
夫婦
(
ふうふ
)
は
居
(
を
)
られるかなア』
011
と
重
(
かさ
)
ねて
問
(
と
)
へば
駒彦
(
こまひこ
)
は、
012
駒彦
(
こまひこ
)
『ハイ、
013
今朝
(
けさ
)
のお
礼
(
れい
)
を
済
(
す
)
ませ、
014
夫婦
(
ふうふ
)
連
(
づ
)
れにて
軈
(
やが
)
て
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
が
見
(
み
)
えるだらうから、
015
それ
迄
(
まで
)
に
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
へ
水垢離
(
みづごり
)
を
取
(
と
)
りに
往
(
い
)
つて
来
(
く
)
るから、
016
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つてゐて
貰
(
もら
)
へとの
命令
(
めいれい
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
017
どうぞ
暫
(
しばら
)
く
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
下
(
くだ
)
さいませ。
018
やがてお
帰
(
かへ
)
りになるでせうから……』
019
東助
(
とうすけ
)
『
別
(
べつ
)
に
用
(
よう
)
もないのだから、
020
夫婦
(
ふうふ
)
が
帰
(
かへ
)
られたら、
021
東助
(
とうすけ
)
がフサの
国
(
くに
)
の
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
御
(
ご
)
神務
(
しんむ
)
を
帯
(
お
)
びて
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
、
022
一寸
(
ちよつと
)
訪問
(
はうもん
)
したと
伝
(
つた
)
へておいてくれ。
023
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
は
一刻
(
いつこく
)
も
猶予
(
いうよ
)
は
出来
(
でき
)
ないから………』
024
と
云
(
い
)
ひすて、
025
早
(
はや
)
くも
此
(
この
)
場
(
ば
)
をスタスタと
立去
(
たちさ
)
りにける。
026
秋彦
(
あきひこ
)
も
兄
(
あに
)
の
駒彦
(
こまひこ
)
に
折角
(
せつかく
)
会
(
あ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
027
碌々
(
ろくろく
)
に
詞
(
ことば
)
も
交
(
かは
)
し
得
(
え
)
ざる
本意
(
ほんい
)
なさに、
028
後
(
あと
)
ふり
返
(
かへ
)
りふり
返
(
かへ
)
り
名残
(
なごり
)
を
惜
(
を
)
しみつつ、
029
東助
(
とうすけ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
つて
明石
(
あかし
)
の
港
(
みなと
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
030
後
(
あと
)
に
駒彦
(
こまひこ
)
は
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
031
駒彦
(
こまひこ
)
『あゝ
何
(
なん
)
としたすげない
人
(
ひと
)
だらう。
032
いつも
朴訥
(
ぼくとつ
)
な
東助
(
とうすけ
)
さまだと
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
つたが、
033
コリヤ
又
(
また
)
余
(
あま
)
り
愛想
(
あいさう
)
がなさすぎる。
034
国玉別
(
くにたまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
も
夫婦
(
ふうふ
)
だ、
035
何故
(
なぜ
)
こんな
時
(
とき
)
に
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
なんかへ
行
(
ゆ
)
くのだらう。
036
行
(
い
)
きたけりやモ
少
(
すこ
)
し
早
(
はや
)
く
往
(
い
)
つて、
037
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
れば
良
(
よ
)
いのに、
038
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
膨
(
ふく
)
れたとか、
039
ふくれぬとか、
040
何
(
なん
)
とか
彼
(
かん
)
とか
云
(
い
)
つて、
041
小言
(
こごと
)
ばかり
仰有
(
おつしや
)
るものだから、
042
女房
(
にようばう
)
に
甘
(
あま
)
い
国公
(
くにこう
)
も、
043
夜分
(
やぶん
)
は
碌々
(
ろくろく
)
によう
寝
(
ね
)
ないと
見
(
み
)
えて、
044
朝寝
(
あさね
)
をするのだ。
045
それだから
斯
(
こ
)
んなことが
出来
(
でき
)
て
来
(
く
)
るのだ。
046
エヽまあまあなんでこれ
程
(
ほど
)
遅
(
おそ
)
いのだろ。
047
これから
一走
(
ひとはし
)
り
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
せば、
048
秋彦
(
あきひこ
)
に
会
(
あ
)
はれぬ
事
(
こと
)
はないが、
049
又
(
また
)
不在
(
るす
)
にしておいては、
050
おれの
役
(
やく
)
がすまぬなり、
051
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
た。
052
これだから
若夫婦
(
わかふうふ
)
の
世話
(
せわ
)
はするものぢやないと
人
(
ひと
)
が
言
(
い
)
ふのだ。
053
東助
(
とうすけ
)
さまも
大方
(
おほかた
)
早
(
はや
)
く
淡路島
(
あはぢしま
)
へ
立寄
(
たちよ
)
つて
女房
(
にようばう
)
のお
百合
(
ゆり
)
に
会
(
あ
)
ひ、
054
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
でもいちやつかうと
思
(
おも
)
うて、
055
倉皇
(
さうくわう
)
として
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
したのだらう。
056
ヤツパリ
夫婦
(
ふうふ
)
といふものは
互
(
たがひ
)
に
恋
(
こひ
)
しいものと
見
(
み
)
えるワイ。
057
おれも
早
(
はや
)
く
修行
(
しうぎやう
)
をして
結構
(
けつこう
)
な
女房
(
にようばう
)
を
持
(
も
)
ち、
058
家庭
(
かてい
)
を
作
(
つく
)
つて、
059
……コレ
駒彦
(
こまひこ
)
……イヤ
女房
(
にようばう
)
……と
意茶
(
いちや
)
ついて
見
(
み
)
たいものだ。
060
あゝ
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
い、
061
男同志
(
をとこどうし
)
の
兄弟
(
きやうだい
)
にさへ
碌々
(
ろくろく
)
話
(
はなし
)
も
出来
(
でき
)
ぬやうな
詰
(
つま
)
らぬことがあるものか』
062
と
呟
(
つぶや
)
いてゐる。
063
そこへ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは
国玉別
(
くにたまわけ
)
、
064
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
であつた。
065
駒彦
(
こまひこ
)
『コレ
国
(
くに
)
さま、
066
玉
(
たま
)
さま、
067
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるのだ。
068
とうとう
東助
(
とうすけ
)
が
愛想
(
あいさう
)
をつかして
帰
(
かへ
)
つて
了
(
しま
)
ひました。
069
秋彦
(
あきひこ
)
までが……』
070
国玉別
(
くにたまわけ
)
『
東助
(
とうすけ
)
が
帰
(
かへ
)
つたとは、
071
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
だ』
072
駒彦
(
こまひこ
)
『
誰
(
たれ
)
のこともあつたものか。
073
国玉別
(
くにたまわけ
)
さま、
074
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
075
よい
加減
(
かげん
)
にしておきなさい。
076
聖地
(
せいち
)
の
総務
(
そうむ
)
の
東助
(
とうすけ
)
さまがここへ
一寸
(
ちよつと
)
お
寄
(
よ
)
りになり、
077
お
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
不在
(
ふざい
)
を
見
(
み
)
て、
078
何
(
なん
)
とマア
仲
(
なか
)
の
良
(
よ
)
い
夫婦
(
ふうふ
)
ぢやなア……と
思
(
おも
)
はれたか、
079
思
(
おも
)
はれぬか、
080
そりや
知
(
し
)
らぬが、
081
どうぞ
宜
(
よろ
)
しうと
云
(
い
)
つて、
082
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
かれました。
083
秋彦
(
あきひこ
)
までが、
084
折角
(
せつかく
)
兄弟
(
きやうだい
)
に
対面
(
たいめん
)
し
乍
(
なが
)
ら、
085
ロクに
私
(
わたし
)
に
詞
(
ことば
)
も
交
(
かは
)
さず、
086
明石
(
あかし
)
の
港
(
みなと
)
まで
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたのですよ。
087
まだ
半時
(
はんとき
)
許
(
ばか
)
り
前
(
さき
)
だから、
088
私
(
わたし
)
はこれから
追
(
お
)
つかけて、
089
弟
(
おとうと
)
にモウ
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
うて
来
(
き
)
ます。
090
どうぞお
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
此処
(
ここ
)
に
仲好
(
なかよ
)
うしてゐて
下
(
くだ
)
さい。
091
何
(
なに
)
か
伝言
(
ことづけ
)
があるなら
申上
(
まをしあ
)
げますから……』
092
玉能姫
(
たまのひめ
)
『それはそれは
誠
(
まこと
)
に
不都合
(
ふつがふ
)
な
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いましたなア……
国玉別
(
くにたまわけ
)
さま
如何
(
どう
)
致
(
いた
)
しませうか』
093
国玉別
(
くにたまわけ
)
『
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけてでも
行
(
い
)
かうものなら、
094
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
の
気性
(
きしやう
)
としてどんなに
怒
(
おこ
)
られるか
知
(
し
)
れたものぢやない。
095
いつそ
駒彦
(
こまひこ
)
に
往
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はう。
096
……コレ
駒彦
(
こまひこ
)
、
097
国玉別
(
くにたまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
誠
(
まこと
)
にすまぬことで
御座
(
ござ
)
いましたとお
詫
(
わび
)
をしてゐたと、
098
是
(
これ
)
だけ
言
(
い
)
つてくれ。
099
其
(
その
)
外
(
ほか
)
のことは
何
(
なん
)
にも
言
(
い
)
はぬが
宜
(
よろ
)
しいぞ』
100
駒彦
(
こまひこ
)
『ヨシ
合点
(
がつてん
)
だ!』
101
といひ
乍
(
なが
)
ら
尻
(
しり
)
ひつからげ、
102
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
に
姿
(
すがた
)
をかくした
限
(
き
)
り
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れ
過
(
すぎ
)
まで
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
なかつた。
103
其
(
その
)
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
頃
(
ごろ
)
、
104
高姫
(
たかひめ
)
は
佐田彦
(
さだひこ
)
と
共
(
とも
)
に
慌
(
あわ
)
ただしくやつて
来
(
き
)
た。
105
高姫
(
たかひめ
)
『モシモシ
国玉別
(
くにたまわけ
)
さま、
106
私
(
わたし
)
は
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
107
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
つて、
108
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
の
守護職
(
しゆごしよく
)
となり、
109
はるばると
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ました。
110
お
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
事
(
こと
)
は
疾
(
と
)
つくに
御存
(
ごぞん
)
じでせうなア』
111
と
門口
(
かどぐち
)
から
出
(
だ
)
しぬけに
喚
(
わめ
)
いてゐる。
112
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くよりあわただしく
表
(
おもて
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
113
玉能姫
(
たまのひめ
)
『これはこれは
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
114
能
(
よ
)
うこそいらせられました。
115
サアお
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
116
貴女
(
あなた
)
の
此所
(
ここ
)
へお
越
(
こ
)
しになることは、
117
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
以前
(
いぜん
)
より、
118
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
から
通知
(
つうち
)
が
御座
(
ござ
)
いまして、
119
其
(
その
)
用意
(
ようい
)
の
為
(
ため
)
にいろいろ
道具
(
だうぐ
)
の
取片付
(
とりかたづけ
)
も
致
(
いた
)
し、
120
今日
(
けふ
)
は
名残
(
なごり
)
に
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
へ
禊
(
みそぎ
)
に
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
121
サア
今日
(
けふ
)
からは
貴女
(
あなた
)
は
此
(
この
)
館
(
やかた
)
の
主人
(
あるじ
)
、
122
どうぞ
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
奥
(
おく
)
へお
通
(
とほ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
123
高姫
(
たかひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』
124
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
125
何
(
なん
)
となくそはそはしい
様子
(
やうす
)
で、
126
そこらあたりをキヨロキヨロと
見
(
み
)
まはしつつ、
127
言
(
い
)
ひ
憎
(
にく
)
さうに、
128
モヂモヂし
乍
(
なが
)
ら、
129
高姫
『あの……
東助
(
とうすけ
)
さまはここへ
御
(
お
)
立寄
(
たちよ
)
りにはなりませなんだかなア』
130
玉能姫
(
たまのひめ
)
『ハイ、
131
今朝
(
けさ
)
早々
(
さうさう
)
お
尋
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さつた
相
(
さう
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
132
折
(
をり
)
あしく
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
へ
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
水行
(
すいぎやう
)
に
参
(
まゐ
)
り、
133
不在中
(
ふざいちゆう
)
だつたものですから、
134
門
(
かど
)
の
閾
(
しきゐ
)
も
跨
(
また
)
げずに、
135
秋彦
(
あきひこ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
にお
帰
(
かへ
)
りなつたといふことです。
136
大方
(
おほかた
)
今頃
(
いまごろ
)
は
淡路島
(
あはぢしま
)
の
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
へでもお
立寄
(
たちよ
)
りになつて、
137
今晩
(
こんばん
)
はゆつくりお
休
(
やす
)
み
遊
(
あそ
)
ばし、
138
明日
(
みやうにち
)
更
(
あらた
)
めてお
出
(
い
)
でになるでせう』
139
高姫
(
たかひめ
)
『ヤアそりや
大変
(
たいへん
)
だ。
140
如何
(
どう
)
しても
斯
(
か
)
うしても
東助
(
とうすけ
)
さまに
一目
(
ひとめ
)
お
目
(
め
)
にかかり、
141
一言
(
ひとこと
)
恨
(
うら
)
みいはねばなりませぬ。
142
イヤ
一言
(
ひとこと
)
御
(
お
)
礼
(
れい
)
をいはねばならないのです。
143
コレ
国玉別
(
くにたまわけ
)
さま、
144
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
145
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
146
一
(
ひと
)
ツ
舟
(
ふね
)
を
急
(
いそ
)
いで
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
147
そして
淡路島
(
あはぢしま
)
まで
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けて
下
(
くだ
)
さい。
148
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
は
舟
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
るのが
大変
(
たいへん
)
お
上手
(
じやうづ
)
だから……』
149
国玉別
(
くにたまわけ
)
『
又
(
また
)
貴方
(
あなた
)
は
俄
(
にはか
)
に
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
をお
慕
(
した
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすのですな。
150
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
事情
(
じじやう
)
が
御座
(
ござ
)
いますか』
151
高姫
(
たかひめ
)
『
事情
(
じじやう
)
がなうて
何
(
なん
)
としよう。
152
私
(
わたし
)
の
恋
(
こひ
)
しい
恋
(
こひ
)
しい
昔
(
むかし
)
の
夫
(
をつと
)
で
御座
(
ござ
)
んすワイナ。
153
サア
早
(
はや
)
く
舟
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さいなア。
154
コレ
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
155
一生
(
いつしやう
)
の
願
(
ねが
)
ひぢや、
156
早
(
はや
)
う
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さらぬと
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひませぬ』
157
玉能姫
(
たまのひめ
)
『モシ
国玉別
(
くにたまわけ
)
様
(
さま
)
、
158
舟
(
ふね
)
を
出
(
だ
)
して
送
(
おく
)
つて
上
(
あ
)
げませうかなア』
159
国玉別
(
くにたまわけ
)
『
折角
(
せつかく
)
のお
頼
(
たの
)
みだから、
160
送
(
おく
)
つて
上
(
あ
)
げたいが、
161
昔
(
むかし
)
の
恋男
(
こひをとこ
)
だなんて
聞
(
き
)
く
上
(
うへ
)
は、
162
ウツカリ
送
(
おく
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
くまい。
163
東助
(
とうすけ
)
さまの
御
(
お
)
心
(
こころ
)
も
分
(
わか
)
らず、
164
ウツカリ
送
(
おく
)
つて
行
(
ゆ
)
かうものなら、
165
それこそ
何
(
ど
)
んなお
目玉
(
めだま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
するか
分
(
わか
)
るまいぞや。
166
いつもの
東助
(
とうすけ
)
様
(
さま
)
ならば、
167
ゆつくりと
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
休
(
やす
)
んで
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さるのだけれど、
168
閾
(
しきゐ
)
もまたげずに
行
(
ゆ
)
かれたとこを
思
(
おも
)
へば、
169
高姫
(
たかひめ
)
さまが
後
(
あと
)
からお
出
(
いで
)
になるのを
知
(
し
)
つて、
170
うるさがつて
逃
(
に
)
げられたのかも
分
(
わか
)
らぬから、
171
此奴
(
こいつ
)
ア
一
(
ひと
)
つ
考
(
かんが
)
へものだ』
172
高姫
(
たかひめ
)
『エヽ
人情
(
にんじやう
)
を
知
(
し
)
らぬ
冷酷
(
れいこく
)
な
動物
(
どうぶつ
)
だなア。
173
そんなことで
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
出来
(
でき
)
ますか。
174
チツト
粋
(
すゐ
)
を
利
(
き
)
かしたら
如何
(
どう
)
だなア』
175
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しもスタスタと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのは
駒彦
(
こまひこ
)
であつた。
176
国玉別
(
くにたまわけ
)
『ヤア
駒彦
(
こまひこ
)
か。
177
東助
(
とうすけ
)
さまに
会
(
あ
)
うて
来
(
き
)
たか』
178
駒彦
(
こまひこ
)
『ハイ
都合
(
つがふ
)
よく
明石
(
あかし
)
の
港
(
みなと
)
で
追
(
お
)
つ
着
(
つ
)
き、
179
秋彦
(
あきひこ
)
にも
会
(
あ
)
ひ、
180
それから
舟
(
ふね
)
で
淡路島
(
あはぢしま
)
のお
宅
(
たく
)
まで
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
け、
181
お
百合
(
ゆり
)
さまと
面会
(
めんくわい
)
の
上
(
うへ
)
酒
(
さけ
)
を
汲
(
く
)
みかはし、
182
私
(
わたし
)
達
(
たち
)
兄弟
(
きやうだい
)
もドツサリと
頂
(
いただ
)
きました』
183
高姫
(
たかひめ
)
『コレお
前
(
まへ
)
は
駒彦
(
こまひこ
)
だつたな。
184
そして
東助
(
とうすけ
)
さまはまだ
淡路島
(
あはぢしま
)
にゐられますかな』
185
駒彦
(
こまひこ
)
『ヤア
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
か、
186
お
珍
(
めづ
)
らしい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
187
随分
(
ずゐぶん
)
貴女
(
あなた
)
も
玉
(
たま
)
の
事
(
こと
)
について、
188
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
には
面白
(
おもしろ
)
い
経歴
(
けいれき
)
が
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
りますなア。
189
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
神懸
(
かむがかり
)
[
※
三版・御校正本・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。
]
で
竹生島
(
ちくぶしま
)
へお
越
(
こ
)
しになつたり、
190
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
をなさいましたですなア。
191
未
(
いま
)
だに
時々
(
ときどき
)
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
して、
192
国玉別
(
くにたまわけ
)
様
(
さま
)
と
話
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
るのですよ。
193
随分
(
ずゐぶん
)
玉
(
たま
)
にかけては、
194
貴女
(
あなた
)
も
偉
(
えら
)
いものですなア』
195
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
駒彦
(
こまひこ
)
、
196
玉
(
たま
)
の
事
(
こと
)
は
如何
(
どう
)
でも
宜
(
よろ
)
しい、
197
暇
(
ひま
)
な
時
(
とき
)
に
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さい。
198
東助
(
とうすけ
)
さまは
如何
(
どう
)
して
居
(
を
)
られますかなア。
199
サア
早
(
はや
)
く
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
200
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く、
201
気
(
き
)
がせけてなりませぬワイナ』
202
駒彦
(
こまひこ
)
『
東助
(
とうすけ
)
さまですか、
203
明石
(
あかし
)
海峡
(
かいけふ
)
で
別
(
わか
)
れました。
204
モウ
今頃
(
いまごろ
)
にやあの
勢
(
いきほひ
)
で
行
(
ゆ
)
かれたら、
205
高砂
(
たかさご
)
の
沖
(
おき
)
へでもかかつてゐられるでせう。
206
私
(
わたし
)
は
小舟
(
こぶね
)
でたつた
一人
(
ひとり
)
、
207
ここまで
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
ました。
208
そして
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
でいろいろと
道草
(
みちくさ
)
をくつて
居
(
を
)
りましたから、
209
大分
(
だいぶん
)
時間
(
じかん
)
がたつて
居
(
を
)
りますよ。
210
高姫
(
たかひめ
)
さまは
東助
(
とうすけ
)
さまに
何
(
なに
)
か
急用
(
きふよう
)
があるのですか』
211
高姫
(
たかひめ
)
『エヽもう
宜
(
よろ
)
しい。
212
東助
(
とうすけ
)
の
事
(
こと
)
は
思
(
おも
)
ひますまい』
213
国玉別
(
くにたまわけ
)
『サア
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
214
何卒
(
どうぞ
)
ここに
洗足
(
せんそく
)
の
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
いて
居
(
を
)
りますから、
215
之
(
これ
)
を
使
(
つか
)
つてお
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ、
216
事務
(
じむ
)
の
引継
(
ひきつ
)
ぎをせなくてはなりませぬから、
217
引継
(
ひきつ
)
いだ
以上
(
いじやう
)
は
最早
(
もはや
)
此処
(
ここ
)
は
貴女
(
あなた
)
のお
館
(
やかた
)
ですから、
218
どうぞ
御
(
ご
)
ゆつくりとくつろいで
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
219
高姫
(
たかひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』
220
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
221
佐田彦
(
さだひこ
)
に
足
(
あし
)
を
洗
(
あら
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
222
塵
(
ちり
)
を
打払
(
うちはら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
223
笠
(
かさ
)
をぬぎ
蓑
(
みの
)
をすて、
224
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へ
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
225
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
主客
(
しゆきやく
)
共
(
とも
)
に
安
(
やす
)
く
寝
(
しん
)
につき、
226
翌日
(
あくるひ
)
国玉別
(
くにたまわけ
)
は
琉
(
りう
)
の
玉
(
たま
)
を
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
差出
(
さしだ
)
し、
227
国玉別
(
くにたまわけ
)
『これが
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
より
預
(
あづか
)
りました
琉
(
りう
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
で
御座
(
ござ
)
います。
228
貴女
(
あなた
)
は
此
(
この
)
玉
(
たま
)
を
何処
(
どこ
)
までも
保護
(
ほご
)
して
長
(
なが
)
く
此
(
この
)
森
(
もり
)
にお
止
(
とど
)
まり
下
(
くだ
)
さいませ。
229
私
(
わたし
)
は
神命
(
しんめい
)
に
依
(
よ
)
り、
230
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
231
駒彦
(
こまひこ
)
と
共
(
とも
)
に
球
(
きう
)
の
玉
(
たま
)
を
持
(
も
)
つて、
232
紀
(
き
)
の
国路
(
くにぢ
)
へ
参
(
まゐ
)
り、
233
之
(
これ
)
を
祀
(
まつ
)
らねばなりませぬから、
234
どうぞ、
235
宜
(
よろ
)
しうお
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
します』
236
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
237
何卒
(
どうぞ
)
宜
(
よろ
)
しく』
238
高姫
(
たかひめ
)
『ハイ、
239
畏
(
かしこ
)
まりました。
240
私
(
わたし
)
のやうな
者
(
もの
)
が、
241
尊
(
たふと
)
い
琉
(
りう
)
の
玉
(
たま
)
を
保護
(
ほご
)
さして
頂
(
いただ
)
くといふ
事
(
こと
)
は、
242
何
(
なん
)
とした
冥加
(
みやうが
)
に
余
(
あま
)
つた
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
243
キツト
大切
(
たいせつ
)
にお
守
(
まも
)
り
致
(
いた
)
しますから、
244
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
245
国玉別
(
くにたまわけ
)
『
早速
(
さつそく
)
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
下
(
くだ
)
さつた
上
(
うへ
)
は、
246
一刻
(
いつこく
)
も
猶予
(
いうよ
)
がなりませぬ。
247
サア
是
(
これ
)
より
球
(
きう
)
の
玉
(
たま
)
を
捧
(
ほう
)
じ、
248
紀
(
き
)
の
国
(
くに
)
へ
参
(
まゐ
)
りますから、
249
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よくお
勤
(
つと
)
めなさいませ』
250
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
駒彦
(
こまひこ
)
、
251
サア
参
(
まゐ
)
りませう………
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
左様
(
さやう
)
ならば
暫
(
しばら
)
くお
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
します』
252
高姫
(
たかひめ
)
『どうぞ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
に
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
をお
勤
(
つと
)
めあそばすやう
祈
(
いの
)
つて
居
(
を
)
ります。
253
そんならそこ
迄
(
まで
)
私
(
わたくし
)
がお
送
(
おく
)
り
致
(
いた
)
しますから、
254
コレ
佐田彦
(
さだひこ
)
、
255
此
(
この
)
宝玉
(
ほうぎよく
)
の
番
(
ばん
)
をしてゐて
下
(
くだ
)
さい』
256
国玉別
(
くにたまわけ
)
『イエイエそれには
及
(
およ
)
びませぬ。
257
此
(
この
)
玉
(
たま
)
が
館
(
やかた
)
にある
以上
(
いじやう
)
は、
258
あなたは
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
は
此
(
この
)
家
(
いへ
)
をお
出
(
で
)
ましになつてはいけませぬ』
259
高姫
(
たかひめ
)
『
左様
(
さやう
)
ならば、
260
是非
(
ぜひ
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
261
ここでお
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
しませう』
262
と
門口
(
かどぐち
)
に
見送
(
みおく
)
る。
263
国玉別
(
くにたまわけ
)
、
264
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
265
駒彦
(
こまひこ
)
は
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
信徒
(
しんと
)
に
送
(
おく
)
られ、
266
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
紀
(
き
)
の
国
(
くに
)
の
若
(
わか
)
の
浦
(
うら
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
267
(
大正一一・九・一九
旧七・二八
松村真澄
録)
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