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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
第1章 神風
第2章 多数尻
第3章 怪散
第4章 銅盥
第5章 潔別
第2篇 湖上神通
第6章 茶袋
第7章 神船
第8章 孤島
第9章 湖月
第3篇 千波万波
第10章 報恩
第11章 欵乃
第12章 素破抜
第13章 兎耳
第14章 猩々島
第15章 哀別
第16章 聖歌
第17章 怪物
第18章 船待
第4篇 猩々潔白
第19章 舞踏
第20章 酒談
第21章 館帰
第22章 獣婚
第23章 昼餐
第24章 礼祭
第25章 万歳楽
余白歌
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第58巻(酉の巻)
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<<< 神風
(B)
(N)
怪散 >>>
第二章
多数尻
(
たすうけつ
)
〔一四七七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第1篇 玉石混淆
よみ(新仮名遣い):
ぎょくせきこんこう
章:
第2章 多数尻
よみ(新仮名遣い):
たすうけつ
通し章番号:
1477
口述日:
1923(大正12)年03月28日(旧02月12日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
奥の一間には小国姫、ニコラス、三千彦ほか一同が打ち解けて神徳話に余念なく、茶をすすりながら懇親を結んでいる。そこへ門前が騒がしくなり、猛犬の叫び声が聞こえた。三千彦は悪酔怪員の暴動と見て、様子を見に表に駆け出した。
ニコラスはハンナを三千彦と共に向かわせた。すると三千彦が昼夜念頭を離れなかった恋しい師の君玉国別が、良友の真純彦、伊太彦とともにニコニコとして門内に入ってくるところに出くわした。
三千彦は声も出ないばかりに驚いた。伊太彦に呼びかけられてようやく三千彦は胸をなでおろし、涙を流しながら、一行に分かれてからバラモン教の聖場に入り込んで種々雑多の苦労をしたことを報告した。
玉国別はバラモン軍と悪酔怪員の同士討ちを鎮めなければと心配したが、ここはスマートに一任することにして、三千彦に案内されて館の奥の間に進んで行った。
バラモン軍の副官ハンナは部下たちが味方と戦闘しているのを見逃すわけにも行かず、驢馬にまたがって混戦の中に入り、声をからして鎮まるように下知を下した。この声に敵味方ともに水を打ったようにぴたっと戦闘は停止した。
スマートは駆けてきてワックス、エキス、ヘルマン、エルの四人を引き倒してハンナの前に引き出し来て、これらを縛れ、とワンワン吠えたてた。ハンナは四人を縛り上げて馬場の前の大杭にしばりつけた。悪酔怪員は弱きをくじき強気に従う会則を順守し、一人も残さずこそこそと家路についた。
トンクは驢馬にまたがり、十字街頭の鐘路に現れ、臆病風に吹かれた数多の男女を集めて一場の訓戒演説をはじめた。そして、三五教は三千彦に加えて三人の宣伝使が加わり、またニコラスも三五教と同盟した上に猛犬スマートが付いている以上、悪酔怪会則にしたがって降参して三五教側につくべきだと説いた。
多数決を取ったトンクに対し、人々を黒い尻をまくって否決の意を表した。そこへタンクが現れて金銀をまき散らし、自分を会長に推挙するよう人々に呼びかけた。タンクが新会長に選ばれ、トンクは副会長になりそこねてすごすとと姿を隠した。
タンクは強きについて三五教に従うのだと滑稽な歌を歌いながら、群衆の先頭に立って門内に進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-04-12 12:55:14
OBC :
rm5802
愛善世界社版:
18頁
八幡書店版:
第10輯 379頁
修補版:
校定版:
19頁
普及版:
7頁
初版:
ページ備考:
001
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
には
小国姫
(
をくにひめ
)
、
002
ニコラス、
003
三千彦
(
みちひこ
)
、
004
其
(
その
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
が
打解
(
うちと
)
けて
神徳話
(
しんとくばなし
)
に
余念
(
よねん
)
なく、
005
茶
(
ちや
)
を
啜
(
すす
)
り
乍
(
なが
)
ら
懇親
(
こんしん
)
を
結
(
むす
)
んでゐる。
006
かかる
処
(
ところ
)
へ
門前
(
もんぜん
)
俄
(
にはか
)
に
騒
(
さわ
)
がしく
猛犬
(
まうけん
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
、
007
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かぬと
何
(
いづ
)
れも
耳
(
みみ
)
を
欹
(
そばだ
)
てたが、
008
三千彦
(
みちひこ
)
は
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
009
三千
(
みち
)
『
皆
(
みな
)
さま、
010
どうやら
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
の
暴動
(
ばうどう
)
と
見
(
み
)
えます。
011
私
(
わたし
)
が
一寸
(
ちよつと
)
調
(
しら
)
べて
参
(
まゐ
)
りますから
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
して
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
012
といひ
捨
(
す
)
てて
表
(
おもて
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
す。
013
ニコラスはハンナに
命
(
めい
)
じ
三千彦
(
みちひこ
)
と
共
(
とも
)
に
表門
(
おもてもん
)
に
向
(
むか
)
はしめた。
014
表門
(
おもてもん
)
に
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば
三千彦
(
みちひこ
)
が
昼夜
(
ちうや
)
念頭
(
ねんとう
)
を
離
(
はな
)
れざりし
恋
(
こひ
)
しき
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
015
良友
(
りやういう
)
の
真純彦
(
ますみひこ
)
、
016
伊太彦
(
いたひこ
)
が
莞爾
(
にこにこ
)
として
門内
(
もんない
)
に
潜
(
くぐ
)
り
来
(
きた
)
るにパツと
出会
(
でつくは
)
した。
017
三千彦
(
みちひこ
)
は
倒
(
たふ
)
れぬばかりに
且
(
か
)
つ
驚
(
おどろ
)
きかつ
喜
(
よろこ
)
び、
018
アツと
云
(
い
)
つたきり
暫
(
しば
)
らくは
言葉
(
ことば
)
も
出
(
で
)
なかつた。
019
伊太
(
いた
)
『やア、
020
お
前
(
まへ
)
は
三千彦
(
みちひこ
)
ぢやないか。
021
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
はお
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
と
共
(
とも
)
に、
022
どれ
丈
(
だ
)
けお
前
(
まへ
)
を
探
(
さが
)
して
居
(
を
)
つたか
知
(
し
)
れないのだ。
023
処
(
ところ
)
もあらうにバラモン
教
(
けう
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
納
(
をさ
)
まりかへつて
居
(
ゐ
)
るとは
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ。
024
これは
何
(
なに
)
か
様子
(
やうす
)
があるのだらう。
025
さア
早
(
はや
)
くお
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げぬか』
026
三千彦
(
みちひこ
)
は
胸
(
むね
)
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
027
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
028
三千
(
みち
)
『
御
(
お
)
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
、
029
よう
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
030
貴方
(
あなた
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねむものと、
031
バラモン
教
(
けう
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
み、
032
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
と
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
しました。
033
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかるとは
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せで
厶
(
ござ
)
います。
034
さア
奥
(
おく
)
へお
通
(
とほ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
035
玉国
(
たまくに
)
『あ、
036
三千彦
(
みちひこ
)
殿
(
どの
)
、
037
まア
結構
(
けつこう
)
だつたな。
038
随分
(
ずいぶん
)
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はお
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
案
(
あん
)
じて
居
(
ゐ
)
たのだ。
039
只今
(
ただいま
)
無事
(
ぶじ
)
な
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
040
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
はない。
041
然
(
しか
)
し
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りバラモン
軍
(
ぐん
)
と
無頼漢
(
ぶらいかん
)
との
同士打
(
どうしう
)
ちが
初
(
はじ
)
まつてるが、
042
もとは
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
に
対
(
たい
)
しての
挑戦
(
てうせん
)
であつたが、
043
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
相手
(
あひて
)
が
変
(
かは
)
つて
味方
(
みかた
)
の
同士打
(
どうしう
)
ちとなつた。
044
実
(
じつ
)
に
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だから
之
(
これ
)
を
一先
(
ひとま
)
づ
鎮撫
(
ちんぶ
)
せなくてはなるまい。
045
緩
(
ゆつく
)
り
奥
(
おく
)
で
休息
(
きうそく
)
する
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かぬぢやないか』
046
三千
(
みち
)
『
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
047
スマートさまに
一任
(
いちにん
)
して
置
(
お
)
けば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
ですよ。
048
アハハハハ』
049
真純
(
ますみ
)
『うん、
050
そらさうだ。
051
吾々
(
われわれ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
よりも
余程
(
よほど
)
神力
(
しんりき
)
が
備
(
そな
)
はつて
居
(
ゐ
)
るのだからな、
052
四足
(
よつあし
)
だつて
余
(
あんま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
に
出来
(
でき
)
ぬぢやないか。
053
吾々
(
われわれ
)
はスマート
大明神
(
だいみやうじん
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
かつたのだ。
054
アハハハハハ』
055
と
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
三千彦
(
みちひこ
)
に
案内
(
あんない
)
されて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
056
ハンナは
部下
(
ぶか
)
の
兵士
(
へいし
)
が
無頼漢
(
ぶらいかん
)
と
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
戦
(
たたか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのを
見逃
(
みのが
)
す
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
057
直
(
ただ
)
ちに
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
り
両方
(
りやうはう
)
混戦
(
こんせん
)
の
中
(
なか
)
に
駆
(
か
)
け
入
(
い
)
つて
声
(
こゑ
)
を
嗄
(
か
)
らし『
鎮
(
しづ
)
まれ
鎮
(
しづ
)
まれ』と
厳
(
きび
)
しき
下知
(
げち
)
を
伝
(
つた
)
へた。
058
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くより
敵味方
(
てきみかた
)
ともに
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
つたる
如
(
ごと
)
くピタンと
戦闘
(
せんとう
)
は
停止
(
ていし
)
された。
059
スマートは
忽
(
たちま
)
ち
駆
(
か
)
け
来
(
きた
)
り、
060
ワックス、
061
エキス、
062
ヘルマン、
063
エルの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
探
(
さが
)
し
索
(
もと
)
めて
引倒
(
ひきたふ
)
し、
064
ハンナの
前
(
まへ
)
に
一々
(
いちいち
)
引
(
ひ
)
き
来
(
きた
)
りワンワンと
叫
(
さけ
)
んで、
065
之
(
これ
)
を
縛
(
しば
)
れよとの
意
(
い
)
を
示
(
しめ
)
した。
066
ハンナは
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
手早
(
てばや
)
く
縛
(
ばく
)
し
上
(
あ
)
げ、
067
馬場
(
ばんば
)
の
前
(
まへ
)
の
大杭
(
おほぐひ
)
にシカと
縛
(
しば
)
りつけた。
068
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き
強
(
つよ
)
きに
従
(
したが
)
ふ
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
は、
069
会則
(
くわいそく
)
を
遵守
(
じゆんしゆ
)
して
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず、
070
コソコソと
己
(
おの
)
が
家路
(
いへぢ
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
071
トンクは
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
つた
儘
(
まま
)
、
072
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
の
鐘路
(
しようろ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
073
臆病風
(
おくびやうかぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれた
数多
(
あまた
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
を
集
(
あつ
)
めて
一場
(
いちぢやう
)
の
訓戒
(
くんかい
)
演説
(
えんぜつ
)
をはじめて
居
(
ゐ
)
る。
074
トンク『
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
の
中
(
なか
)
には
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
も
水平怪
(
すいへいくわい
)
員
(
ゐん
)
も、
075
其
(
その
)
他
(
た
)
町内
(
ちやうない
)
有志
(
いうし
)
諸君
(
しよくん
)
も
居
(
を
)
られますが、
076
よくまア
会則
(
くわいそく
)
を
遵守
(
じゆんしゆ
)
し、
077
一
(
いち
)
人
(
にん
)
も
残
(
のこ
)
らず
退却
(
たいきやく
)
して
下
(
くだ
)
さいました。
078
実
(
じつ
)
に
幹部
(
かんぶ
)
たる
吾々
(
われわれ
)
は、
079
諸君
(
しよくん
)
の
行動
(
かうどう
)
に
対
(
たい
)
し、
080
欣幸
(
きんかう
)
措
(
お
)
く
能
(
あた
)
はざる
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
081
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
は
神館
(
かむやかた
)
には
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
の
魔法使
(
まはふづかひ
)
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
大先生
(
だいせんせい
)
、
082
並
(
なら
)
びに
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
魔法使
(
まはふづかひ
)
、
083
それ
故
(
ゆゑ
)
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
に
比較
(
ひかく
)
すれば
先方
(
せんぱう
)
は
弱者
(
じやくしや
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
084
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らもはや
今日
(
こんにち
)
は
新
(
あらた
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
魔法使
(
まはふづかひ
)
の
大先生
(
だいせんせい
)
が
御
(
ご
)
出現
(
しゆつげん
)
遊
(
あそ
)
ばされ、
085
又
(
また
)
武器
(
ぶき
)
を
携
(
たづさ
)
へたニコラスキャプテンが
五十
(
ごじふ
)
の
兵士
(
へいし
)
を
引率
(
いんそつ
)
して
館
(
やかた
)
を
固
(
かた
)
くお
守
(
まも
)
りになり、
086
三五教
(
あななひけう
)
の
魔法使
(
まはふづかひ
)
と
同盟
(
どうめい
)
遊
(
あそ
)
ばした
上
(
うへ
)
は、
087
忽
(
たちま
)
ち
地位
(
ちゐ
)
転倒
(
てんたう
)
して
先方
(
せんぱう
)
は
強者
(
きやうしや
)
となり、
088
吾々
(
われわれ
)
は
弱者
(
じやくしや
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
立
(
た
)
たねばならなくなりました。
089
加
(
くは
)
ふるにスマートと
云
(
い
)
ふ、
090
あの
猛犬
(
まうけん
)
大明神
(
だいみやうじん
)
は
中々
(
なかなか
)
の
強者
(
きやうしや
)
で
厶
(
ござ
)
います。
091
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
弱者
(
じやくしや
)
は
弱者
(
じやくしや
)
として
独立
(
どくりつ
)
する
訳
(
わけ
)
にはゆきませぬ。
092
会則
(
くわいそく
)
にある
通
(
とほ
)
り、
093
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き、
094
強
(
つよ
)
きに
従
(
したが
)
ふのが
吾々
(
われわれ
)
の
本領
(
ほんりやう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
095
それ
故
(
ゆゑ
)
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
は
神館
(
かむやかた
)
に
至
(
いた
)
り
心
(
こころ
)
から
帰順
(
きじゆん
)
致
(
いた
)
し、
096
馬場
(
ばんば
)
に
繋
(
つな
)
ぎあるワックス
等
(
たち
)
に
大痛棒
(
だいつうぼう
)
を
加
(
くは
)
へ
天晴
(
あつぱれ
)
融通
(
ゆうづう
)
を
利
(
き
)
かし、
097
三五教
(
あななひけう
)
及
(
およ
)
びバラモン
軍
(
ぐん
)
に
帰順
(
きじゆん
)
の
誠
(
まこと
)
を
現
(
あら
)
はし、
098
身
(
み
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
図
(
はか
)
るを
以
(
もつ
)
て
第一
(
だいいち
)
と
心得
(
こころえ
)
ます。
099
皆
(
みな
)
さまの
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
は
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
100
と
呼
(
よば
)
はつた。
101
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
を
初
(
はじ
)
め、
102
その
他
(
た
)
の
連中
(
れんちう
)
はトンクの
詭弁
(
きべん
)
に
何
(
いづ
)
れも
感心
(
かんしん
)
し、
103
一
(
いち
)
も
二
(
に
)
もなく
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
賛意
(
さんい
)
を
表
(
へう
)
した。
104
トンクは
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
威猛高
(
ゐたけだか
)
になり、
105
トンク『
皆
(
みな
)
さま、
106
早速
(
さつそく
)
の
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
、
107
トンク
身
(
み
)
にとり
満足
(
まんぞく
)
に
存
(
ぞん
)
じます。
108
就
(
つい
)
てはワックスの
会長
(
くわいちやう
)
を
皆様
(
みなさま
)
より
免
(
めん
)
じ、
109
新
(
あらた
)
に
強者
(
きやうしや
)
を
会長
(
くわいちやう
)
に
任命
(
にんめい
)
されむ
事
(
こと
)
を
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します。
110
その
強者
(
きやうしや
)
とは
申
(
まを
)
す
迄
(
まで
)
もなく
私
(
わたし
)
はトンクだと
思
(
おも
)
ひます。
111
トンクに
御
(
ご
)
賛成
(
さんせい
)
の
方
(
かた
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
112
不賛成
(
ふさんせい
)
の
方
(
かた
)
は
背
(
せな
)
を
向
(
む
)
けて
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
113
何事
(
なにごと
)
も
多数決
(
たすうけつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから』
114
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つもの
半分
(
はんぶん
)
、
115
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて
背
(
せ
)
をそむけるもの
半分
(
はんぶん
)
、
116
トンクは
馬上
(
ばじやう
)
より
之
(
これ
)
を
眺
(
なが
)
めて、
117
トンク『
皆
(
みな
)
さま、
118
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さる
方
(
かた
)
が
半分
(
はんぶん
)
、
119
尻
(
けつ
)
を
捲
(
まく
)
つて
反対
(
はんたい
)
を
表
(
へう
)
する
方
(
かた
)
が
半分
(
はんぶん
)
と
見
(
み
)
えます。
120
これでは
ハンケツ
がつきませぬ。
121
何
(
なん
)
とか、
122
も
一度
(
いちど
)
考
(
かんが
)
へ
直
(
なほ
)
して
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
います』
123
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
と
共
(
とも
)
に
今度
(
こんど
)
は
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
黒
(
くろ
)
い
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つてトンクの
方
(
はう
)
に
向
(
む
)
けた。
124
さうして
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
より『
即
(
そく
)
ケツ
否
(
ひ
)
ケツ』と
叫
(
さけ
)
ぶものがある。
125
トンクは
馬上
(
ばじやう
)
より
歯
(
は
)
ぎしりをし
乍
(
なが
)
ら、
126
トンク『エー、
127
尻太異
(
けつたい
)
な
事
(
こと
)
だな』
128
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
りチヨク チヨクと
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たのはタンクであつた。
129
タンクはトランクの
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き、
130
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
を
掴
(
つか
)
んでは
投
(
な
)
げ、
131
掴
(
つか
)
んでは
投
(
な
)
げ、
132
タンク『
皆
(
みな
)
さま、
133
私
(
わたし
)
が
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
怪長
(
くわいちやう
)
の
候補者
(
こうほしや
)
で
厶
(
ござ
)
います。
134
今
(
いま
)
黄白
(
くわうはく
)
を
斯
(
か
)
くの
通
(
とほ
)
り
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らしますから
十分
(
じふぶん
)
拾得
(
しふとく
)
競争
(
きやうさう
)
をやつて
下
(
くだ
)
さい。
135
拾得
(
しふとく
)
された
方
(
かた
)
は
其
(
その
)
方
(
かた
)
の
所有
(
しよいう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
136
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
神聖
(
しんせい
)
なる
一票
(
いつぺう
)
を
此
(
この
)
タンクにお
与
(
あた
)
へ
下
(
くだ
)
されむ
事
(
こと
)
を
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します』
137
と
掴
(
つか
)
んでは
投
(
な
)
げ、
138
掴
(
つか
)
んでは
投
(
な
)
げ、
139
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
駒
(
こま
)
を
進
(
すす
)
めて
残
(
のこ
)
らず
万遍
(
まんべん
)
なく
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らして
了
(
しま
)
つた。
140
トンクも
手早
(
てばや
)
く
馬
(
うま
)
から
下
(
お
)
り、
141
矢庭
(
やには
)
に
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
を
拾
(
ひろ
)
つては
懐中
(
ふところ
)
につつ
込
(
こ
)
み、
142
再
(
ふたた
)
び
馬上
(
ばじやう
)
につつ
立
(
た
)
ち
選挙
(
せんきよ
)
の
様子
(
やうす
)
を
観望
(
くわんばう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
143
タンクは
全部
(
ぜんぶ
)
黄白
(
くわうはく
)
を
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らし、
144
もはや
欠
(
か
)
けたカンツも
無
(
な
)
くなつて
居
(
ゐ
)
た。
145
タンクは
馬上
(
ばじやう
)
より
雷声
(
らいせい
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
146
タンク『
皆
(
みな
)
さま、
147
私
(
わたし
)
を
怪長
(
くわいちやう
)
に
選挙
(
せんきよ
)
して
下
(
くだ
)
さいますまいか。
148
賛成
(
さんせい
)
の
方
(
かた
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
149
万一
(
まんいち
)
不賛成
(
ふさんせい
)
のお
方
(
かた
)
は
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて
屁
(
へ
)
を
一発
(
いつぱつ
)
手向
(
たむ
)
けて
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
い。
150
何程
(
なにほど
)
お
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
られても、
151
屁
(
へ
)
の
出
(
で
)
ない
方
(
かた
)
は
賛成
(
さんせい
)
と
認
(
みと
)
めます』
152
とうまく
孫呉
(
そんご
)
の
屁法
(
へいはふ
)
で
予防線
(
よばうせん
)
を
張
(
は
)
つて
了
(
しま
)
つた。
153
ここに
半分
(
はんぶん
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
半分
(
はんぶん
)
は
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
らず、
154
手
(
て
)
も
拍
(
う
)
たず、
155
茫然
(
ばうぜん
)
として
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
156
タンクは
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
して
馬上
(
ばじやう
)
より
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかが
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
157
此
(
この
)
時
(
とき
)
トンクはタンクの
撒
(
ま
)
いた
金銀
(
きんぎん
)
を
馬上
(
ばじやう
)
より
見
(
み
)
せびらかし
乍
(
なが
)
ら、
158
トンク『
皆
(
みな
)
さま、
159
最前
(
さいぜん
)
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さつたお
方
(
かた
)
は
私
(
わたし
)
の
賛成者
(
さんせいしや
)
と
認
(
みと
)
めます。
160
今
(
いま
)
タンクさまに
対
(
たい
)
して
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
たず、
161
尻
(
しり
)
を
向
(
む
)
けない
方
(
かた
)
は
中立者
(
ちうりつしや
)
と
認
(
みと
)
めます。
162
その
方
(
かた
)
に
対
(
たい
)
して
此
(
この
)
黄白
(
くわうはく
)
を
撒
(
さん
)
ずる
考
(
かんが
)
へですから
賛成
(
さんせい
)
の
方
(
かた
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
163
今
(
いま
)
ここで
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らしますと、
164
二重取
(
にぢうど
)
りされると
折角
(
せつかく
)
の
賛成者
(
さんせいしや
)
の
手
(
て
)
に
入
(
い
)
りませぬから、
165
私
(
わたし
)
の
宅
(
たく
)
でお
渡
(
わた
)
ししませう。
166
少
(
すくな
)
くとも
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
はありますから
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
に
分配
(
ぶんぱい
)
しても
十
(
じふ
)
両
(
りやう
)
づつは
確
(
たしか
)
で
厶
(
ござ
)
います。
167
さア
一
(
いち
)
、
168
二
(
に
)
、
169
三
(
さん
)
で
願
(
ねが
)
ひます』
170
今度
(
こんど
)
は
如何
(
どう
)
したものか、
171
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つて
口屁
(
くちべ
)
をプウプウと
鳴
(
な
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
172
中
(
なか
)
には
尻
(
けつ
)
から
黒
(
くろ
)
い
湿
(
しめ
)
つぽい
輪廓
(
りんくわく
)
の
不完全
(
ふくわんぜん
)
な
煙
(
けむり
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
す
奴
(
やつ
)
も
少
(
すこ
)
しはあつた。
173
トンク『
然
(
しか
)
らば
拙者
(
せつしや
)
が
副怪長
(
ふくくわいちやう
)
となり、
174
タンクさまを
怪長
(
くわいちやう
)
に
選
(
えら
)
んで
下
(
くだ
)
さい。
175
さうすれば
双方
(
さうはう
)
共
(
とも
)
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
ちますから』
176
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
から、
177
『オーイ、
178
トンク、
179
貴様
(
きさま
)
の
今
(
いま
)
持
(
も
)
つてる
金
(
かね
)
は
皆
(
みんな
)
タンクさまの
撒
(
ま
)
いた
金
(
かね
)
だ。
180
副怪長
(
ふくくわいちやう
)
に
任
(
にん
)
じて
欲
(
ほ
)
しけりや
皆
(
みな
)
バラ
撒
(
ま
)
くのだ。
181
そしたら
副怪長
(
ふくくわいちやう
)
にしてやろう』
182
トンク『
成程
(
なるほど
)
然
(
しか
)
らば
皆
(
みな
)
さまに
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らしますから、
183
よう
拾
(
ひろ
)
はない
人
(
ひと
)
は
運命
(
うんめい
)
だと
諦
(
あきら
)
めて
下
(
くだ
)
さい。
184
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
半数者
(
はんすうしや
)
以上
(
いじやう
)
の
賛成
(
さんせい
)
があれば
可
(
い
)
いのです』
185
と
懐
(
ふところ
)
より
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
らず
取
(
と
)
り
出
(
いだ
)
し、
186
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
にまき
散
(
ち
)
らして
了
(
しま
)
つた。
187
此
(
この
)
潮時
(
しほどき
)
を
見済
(
みす
)
まし、
188
タンクは
大音声
(
だいおんじやう
)
、
189
タンク『
皆
(
みな
)
さま、
190
私
(
わたし
)
を
怪長
(
くわいちやう
)
に
選
(
えら
)
んで
下
(
くだ
)
さつた
事
(
こと
)
を
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
します。
191
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
運動費
(
うんどうひ
)
が
無
(
な
)
くては
今日
(
こんにち
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
駄目
(
だめ
)
です。
192
墓標
(
ぼへう
)
議員
(
ぎゐん
)
の
事故
(
じこ
)
議員
(
ぎゐん
)
、
193
妥協
(
だけふ
)
議員
(
ぎゐん
)
にならうと
思
(
おも
)
つても、
194
五万
(
ごまん
)
や
十万
(
じふまん
)
の
金
(
かね
)
が
入
(
い
)
る
時節
(
じせつ
)
ですから、
195
無一文
(
むいちもん
)
で
議員
(
ぎゐん
)
にならう
等
(
など
)
とは
余
(
あま
)
り
虫
(
むし
)
が
良
(
よ
)
すぎます。
196
私
(
わたし
)
は
副怪長
(
ふくくわいちやう
)
なんかは
必要
(
ひつえう
)
はないと
思
(
おも
)
ひます。
197
官
(
くわん
)
の
為
(
ため
)
人
(
ひと
)
を
選
(
えら
)
むのではなく、
198
人
(
ひと
)
の
為
(
ため
)
に
官
(
くわん
)
を
作
(
つく
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
最
(
もつと
)
も
不利益
(
ふりえき
)
且
(
か
)
つ
不経済
(
ふけいざい
)
、
199
秩序
(
ちつじよ
)
紊乱
(
ぶんらん
)
の
端緒
(
たんちよ
)
を
開
(
ひら
)
くもの
私
(
わたし
)
は
副怪長
(
ふくくわいちやう
)
の
必要
(
ひつえう
)
はないと
思
(
おも
)
ひます。
200
皆
(
みな
)
さま、
201
必要
(
ひつえう
)
と
認
(
みと
)
めた
方
(
かた
)
は
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
202
不必要
(
ふひつえう
)
と
認
(
みと
)
めた
方
(
かた
)
は、
203
も
一度
(
いちど
)
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つてトンクさまの
方
(
はう
)
へ
見
(
み
)
せて
下
(
くだ
)
さい。
204
それを
以
(
もつ
)
て
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
意志
(
いし
)
を
明
(
あきら
)
かに
致
(
いた
)
します』
205
一同
(
いちどう
)
は
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
真黒
(
まつくろ
)
の
尻
(
しり
)
を
捲
(
まく
)
つてトンクの
方
(
はう
)
へ
尻
(
しり
)
をさし
向
(
む
)
け、
206
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
にピシヤ ピシヤと
黒
(
くろ
)
い
臀肉
(
でんにく
)
を
叩
(
たた
)
いて
見
(
み
)
せた。
207
トンクはスゴスゴと
驢馬
(
ろば
)
の
尻
(
しり
)
を
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
叩
(
たた
)
き、
208
業腹
(
ごふばら
)
煮
(
に
)
やして
何処
(
どこ
)
ともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
209
これよりタンクは
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
凱旋歌
(
がいせんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
神館
(
かむやかた
)
をさして
練
(
ね
)
り
込
(
こ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
210
大勢
(
おほぜい
)
は
擦鉦
(
すりがね
)
を
叩
(
たた
)
き、
211
歌
(
うた
)
に
合
(
あは
)
せて
拍子
(
ひやうし
)
をとり
跟
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
212
『
扨
(
さ
)
ても
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
は
213
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き
強者
(
きやうしや
)
には
214
恐
(
おそ
)
れて
従
(
したが
)
ふ
卑怯者
(
ひけふもの
)
215
平安
(
へいあん
)
無事
(
ぶじ
)
が
第一
(
だいいち
)
だ
216
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
にはドツと
逃
(
に
)
げ
217
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
にはドツと
行
(
ゆ
)
け
218
これが
軍
(
いくさ
)
の
駆引
(
かけひき
)
だ
219
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
220
いやいや
軍
(
いくさ
)
のみでない
221
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
その
通
(
とほ
)
り
222
どんな
商売
(
しやうばい
)
致
(
いた
)
しても
223
小
(
ちひ
)
さい
店
(
みせ
)
を
踏
(
ふ
)
み
倒
(
たふ
)
し
224
小
(
ちひ
)
さい
資本
(
しほん
)
の
会社
(
くわいしや
)
をば
225
片
(
かた
)
ツ
端
(
ぱし
)
から
押
(
お
)
し
倒
(
たふ
)
し
226
大
(
おほ
)
きな
奴
(
やつ
)
には
尾
(
を
)
を
巻
(
ま
)
いて
227
暫
(
しば
)
らく
忍
(
しの
)
び
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ち
228
いつとはなしに
強
(
つよ
)
くなり
229
大
(
おほ
)
きくなつたその
時
(
とき
)
に
230
己
(
おの
)
が
所信
(
しよしん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
し
231
世界
(
せかい
)
の
強者
(
きやうしや
)
と
崇
(
あが
)
められ
232
優勝
(
いうしよう
)
劣敗
(
れつぱい
)
経
(
たて
)
となし
233
弱肉
(
じやくにく
)
強食
(
きやうしよく
)
緯
(
ぬき
)
として
234
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
るが
利口者
(
りこうもの
)
235
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
236
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
に
現
(
あれ
)
ませる
237
三五教
(
あななひけう
)
の
魔法使
(
まはふづかひ
)
238
三千彦
(
みちひこ
)
さまは
弱
(
よわ
)
いとは
239
云
(
い
)
へど
其
(
その
)
実
(
じつ
)
強
(
つよ
)
い
人
(
ひと
)
240
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
魔法
(
まはふ
)
をば
241
使
(
つか
)
つて
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
苦
(
くる
)
しめつ
242
何処
(
どこ
)
々々
(
どこ
)
迄
(
まで
)
もやり
通
(
とほ
)
す
243
こんなお
方
(
かた
)
に
逆
(
さか
)
らうて
244
どうして
吾
(
わが
)
身
(
み
)
が
立
(
た
)
つものか
245
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
246
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き
強
(
つよ
)
きをば
247
助
(
たす
)
ける
吾々
(
われわれ
)
怪員
(
くわいゐん
)
は
248
ワックス、エキス、ヘルマンや
249
エルの
司
(
つかさ
)
を
虐
(
しへた
)
げて
250
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
至誠
(
しせい
)
をば
251
現
(
あら
)
はし
館
(
やかた
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
252
そこはそれそれ
都合
(
つがふ
)
よく
253
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
胡麻
(
ごま
)
を
摺
(
す
)
り
254
身
(
み
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
図
(
はか
)
るのだ
255
こんな
神謀
(
しんぼう
)
鬼策
(
きさく
)
をば
256
もしもトンクが
怪長
(
くわいちやう
)
なら
257
どうして
捻
(
ひね
)
り
出
(
だ
)
されよか
258
智慧
(
ちゑ
)
の
袋
(
ふくろ
)
のタンクさま
259
神謀
(
しんぼう
)
鬼策
(
きさく
)
の
妙案
(
めうあん
)
は
260
胸
(
むね
)
の
袋
(
ふくろ
)
にタンク
山
(
さん
)
に
261
蔵
(
しま
)
つて
厶
(
ござ
)
るぞ
皆
(
みな
)
さまよ
262
心
(
こころ
)
を
丈夫
(
ぢやうぶ
)
に
持
(
も
)
つが
良
(
よ
)
い
263
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
264
早
(
はや
)
くも
馬場
(
ばんば
)
に
近
(
ちか
)
づいた
265
皆
(
みな
)
さま
声
(
こゑ
)
を
打揃
(
うちそろ
)
へ
266
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
267
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
万歳
(
ばんざい
)
を
268
ここから
唱
(
とな
)
へ
上
(
あ
)
げませう
269
それに
続
(
つづ
)
いてスマートの
270
犬
(
いぬ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
の
万歳
(
ばんざい
)
を
271
三唱
(
さんしやう
)
し
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
みませう
272
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン
273
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
274
叶
(
かな
)
はぬから
叶
(
かな
)
はぬから
275
目玉
(
めだま
)
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
しましませよ
276
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
277
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
278
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
279
強
(
つよ
)
きを
助
(
たす
)
け
弱
(
よわ
)
きをば
280
挫
(
くじ
)
くが
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
ぞや
281
大魚
(
たいぎよ
)
は
小魚
(
せうぎよ
)
を
呑
(
の
)
み
喰
(
くら
)
ひ
282
大獣
(
たいじう
)
は
小獣
(
せうじう
)
を
噛
(
か
)
み
喰
(
くら
)
ひ
283
強者
(
きやうしや
)
は
弱者
(
じやくしや
)
を
虐
(
しへた
)
げる
284
富者
(
ふうしや
)
は
貧者
(
ひんじや
)
をこき
使
(
つか
)
ひ
285
役人
(
やくにん
)
さまは
平民
(
へいみん
)
を
286
奴隷
(
どれい
)
の
如
(
ごと
)
く
足
(
あし
)
にかけ
287
腮
(
あご
)
をしやくつて
使
(
つか
)
ふのだ
288
これが
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
ぞや
289
必
(
かなら
)
ず
迷
(
まよ
)
ふちやならないぞ
290
チヤンチキ チヤンチキ チヤンチキチン』
291
と
勝手
(
かつて
)
な
熱
(
ねつ
)
を
吹
(
ふ
)
き
悠々
(
いういう
)
として
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
り、
292
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち
早
(
はや
)
くも
門内
(
もんない
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
293
(
大正一二・三・二八
旧二・一二
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
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