霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
第1章 神風
第2章 多数尻
第3章 怪散
第4章 銅盥
第5章 潔別
第2篇 湖上神通
第6章 茶袋
第7章 神船
第8章 孤島
第9章 湖月
第3篇 千波万波
第10章 報恩
第11章 欵乃
第12章 素破抜
第13章 兎耳
第14章 猩々島
第15章 哀別
第16章 聖歌
第17章 怪物
第18章 船待
第4篇 猩々潔白
第19章 舞踏
第20章 酒談
第21章 館帰
第22章 獣婚
第23章 昼餐
第24章 礼祭
第25章 万歳楽
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第58巻(酉の巻)
> 第3篇 千波万波 > 第10章 報恩
<<< 湖月
(B)
(N)
欵乃 >>>
第一〇章
報恩
(
ほうおん
)
〔一四八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第3篇 千波万波
よみ(新仮名遣い):
せんぱばんぱ
章:
第10章 報恩
よみ(新仮名遣い):
ほうおん
通し章番号:
1485
口述日:
1923(大正12)年03月29日(旧02月13日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
玉国別一行を乗せた船は、仮に初稚丸と命名された。海賊船がやってくるのを見るとヤッコスは宣伝使たちに向かい、自分はバラモン軍に仕える目付役を表向きしているが、実は海賊の親分であることを明かした。
ヤッコスは自分に船の航路とこの場の始末を任せてほしいと申し出、玉国別は許した。ヤッコスは湖の水路に船を向けた。そして海賊船が初稚丸を取り囲むと、大声を上げて名乗りで、三五教の宣伝使を捕えてキヨの港に護送することろだ、と呼びかけた。
海賊船を統率していたデブは、ヤッコスの部下であった。ヤッコスはデブにうまく説明し、海賊たちは初稚丸を後に去って行った。
ヤッコスは、玉国別の仁慈無限の心に触れて、これまでやってきたことが恐ろしくなり、にわかに人間らしい気分を起こして、この場の危急を救うために部下の海賊たちを欺いたことを玉国別に懺悔した。
玉国別は、今までの怨みをそっくり湖に流して、同じ船の一蓮托生として和気あいあいとこの湖を渡ろうと一同を安堵させた。ヤッコスは櫓をあやつりながらこれまでの述懐と改心を舟歌に歌った。初稚丸は船首を再び西南に転じ、月の海面を進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5810
愛善世界社版:
127頁
八幡書店版:
第10輯 416頁
修補版:
校定版:
137頁
普及版:
49頁
初版:
ページ備考:
001
玉国別
(
たまくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
搭乗
(
たふじやう
)
した
船
(
ふね
)
は
仮
(
かり
)
に
初稚丸
(
はつわかまる
)
と
命名
(
めいめい
)
された。
002
その
理由
(
りいう
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
この
堅牢
(
けんらう
)
なる
船
(
ふね
)
を
与
(
あた
)
へられたからである。
003
月
(
つき
)
照
(
て
)
る
湖面
(
こめん
)
を
白帆
(
しらほ
)
をかかげ
南
(
みなみ
)
へ
南
(
みなみ
)
へと
急速力
(
きふそくりよく
)
にて
翔
(
かけ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
004
前方
(
ぜんぱう
)
に
当
(
あた
)
り
七八艘
(
しちはつさう
)
の
船
(
ふね
)
が
単梯陣
(
たんていぢん
)
を
張
(
は
)
つて
初稚丸
(
はつわかまる
)
目蒐
(
めが
)
けて
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
形勢
(
けいせい
)
が
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
005
ヤッコスは
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
るより
早
(
はや
)
く、
006
ヤッコス『もし、
007
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
008
あの
前方
(
ぜんぱう
)
に
並
(
なら
)
んでゐます
七八艘
(
しちはつさう
)
の
船
(
ふね
)
は
此
(
この
)
湖
(
うみ
)
に
陰顕
(
いんけん
)
出没
(
しゆつぼつ
)
して
南北
(
なんぽく
)
往来
(
ゆきき
)
の
船
(
ふね
)
を
掠
(
かす
)
める
賊船
(
ぞくせん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
009
捉
(
つか
)
まつては
一大事
(
いちだいじ
)
ですから
何
(
なん
)
とか
工夫
(
くふう
)
をせなくてはなりますまい。
010
私
(
わたし
)
はこれから
舳
(
へさき
)
を
少
(
すこ
)
しく
西南
(
せいなん
)
に
向
(
む
)
けやうと
思
(
おも
)
ひますから
其
(
その
)
覚悟
(
かくご
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さい。
011
西南
(
せいなん
)
へ
向
(
むか
)
ひますれば
暗礁
(
あんせう
)
点綴
(
てんてつ
)
して
容易
(
ようい
)
に
賊船
(
ぞくせん
)
は
追
(
お
)
つ
駆
(
か
)
ける
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
012
然
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
も
表面
(
へうめん
)
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
仕
(
つか
)
へ
目付頭
(
めつけがしら
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りますが
海賊
(
かいぞく
)
の
大親分
(
おほおやぶん
)
です。
013
船路
(
せんろ
)
の
様子
(
やうす
)
を
知
(
し
)
つてるのは
私
(
わたし
)
許
(
ばか
)
りです。
014
もしも
強敵
(
きやうてき
)
に
出会
(
であ
)
つた
時
(
とき
)
は、
015
何時
(
いつ
)
も
此
(
この
)
航路
(
かうろ
)
をとり
逃
(
に
)
げます。
016
追駆
(
おつか
)
けて
来
(
き
)
た
船
(
ふね
)
は
必
(
かなら
)
ずその
辺
(
へん
)
で
難船
(
なんせん
)
し、
017
或
(
あるひ
)
は
沈没
(
ちんぼつ
)
するものです。
018
左様
(
さう
)
さして
頂
(
いただ
)
いても
宜
(
よろ
)
しいか』
019
玉国
(
たまくに
)
『
船路
(
せんろ
)
の
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
つてるお
前
(
まへ
)
に
何事
(
なにごと
)
も
一任
(
いちにん
)
する。
020
さア
早
(
はや
)
くその
用意
(
ようい
)
をして
呉
(
く
)
れ』
021
ヤッコス『はい、
022
御恩
(
ごおん
)
の
報
(
はう
)
じ
時
(
どき
)
で
厶
(
ござ
)
います。
023
然
(
しか
)
らばこれから
私
(
わたし
)
が
船
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
ります』
024
と
櫓
(
ろ
)
を
握
(
にぎ
)
り
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
水夫
(
かこ
)
に
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
櫂
(
かい
)
を
漕
(
こ
)
がせ
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
した。
025
賊船
(
ぞくせん
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
舳
(
へさき
)
を
転
(
てん
)
じ
初稚丸
(
はつわかまる
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふて
追駆
(
おつか
)
け
来
(
きた
)
る。
026
ヤッコスは
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
水夫
(
かこ
)
を
励
(
はげ
)
まし、
027
櫓
(
ろ
)
を
漕
(
こ
)
ぐ。
028
漸
(
やうや
)
く
危険
(
きけん
)
区域
(
くゐき
)
に
船
(
ふね
)
が
差蒐
(
さしかか
)
つた
時
(
とき
)
、
029
賊船
(
ぞくせん
)
の
二三艘
(
にさんそう
)
は
早
(
はや
)
くも
舷々
(
げんげん
)
相摩
(
あひま
)
する
処
(
ところ
)
迄
(
まで
)
、
030
近
(
ちか
)
づいて
来
(
き
)
た。
031
さうして
錨
(
いかり
)
を
初稚丸
(
はつわかまる
)
に
投
(
な
)
げつけた。
032
初稚丸
(
はつわかまる
)
は
到頭
(
たうとう
)
おつつかれて
了
(
しま
)
つた。
033
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
る
間
(
ま
)
に
八艘
(
はつさう
)
の
船
(
ふね
)
は
初稚丸
(
はつわかまる
)
の
周囲
(
しうゐ
)
に
船垣
(
ふながき
)
を
作
(
つく
)
り、
034
各自
(
めいめい
)
に
弓
(
ゆみ
)
を
満月
(
まんげつ
)
に
絞
(
しぼ
)
つて
威喝
(
ゐかつ
)
を
試
(
こころ
)
みて
居
(
ゐ
)
る。
035
ヤッコスは
大声
(
おほごゑ
)
をあげ、
036
ヤッコス『オイ、
037
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
は
賊船
(
ぞくせん
)
ではないか。
038
俺
(
おれ
)
を
誰
(
たれ
)
と
心得
(
こころえ
)
てる。
039
賊船頭
(
ぞくせんがしら
)
のヤッコスだぞ。
040
俺
(
おれ
)
は
今
(
いま
)
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
命令
(
めいれい
)
によつて
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
捕縛
(
ほばく
)
し、
041
キヨの
港
(
みなと
)
の
関所
(
せきしよ
)
に
送
(
おく
)
る
途中
(
とちう
)
だ
邪魔
(
じやま
)
をひろぐと
容赦
(
ようしや
)
は
致
(
いた
)
さぬぞ』
042
八艘
(
はつさう
)
の
船
(
ふね
)
を
統率
(
とうそつ
)
して
居
(
ゐ
)
た
海賊
(
かいぞく
)
のデブは
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
043
デブ『あ、
044
親方
(
おやかた
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか。
045
えらい
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
しました。
046
貴方
(
あなた
)
のお
乗込
(
のりこみ
)
の
御
(
ご
)
用船
(
ようせん
)
とは
知
(
し
)
らず、
047
よい
獲物
(
えもの
)
が
現
(
あら
)
はれたと、
048
全隊
(
ぜんたい
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて、
049
ここ
迄
(
まで
)
おつ
駆
(
か
)
けて
来
(
き
)
ました。
050
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まない
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
051
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
052
ヤッコス『
今後
(
こんご
)
は
必
(
かなら
)
ず
心得
(
こころえ
)
たが
宜
(
よ
)
からう。
053
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
安閑
(
あんかん
)
として
此
(
この
)
湖上
(
こじやう
)
に
悪性
(
あくしやう
)
商売
(
しやうばい
)
が
出来
(
でき
)
るのも
皆
(
みな
)
此
(
この
)
ヤッコスがバラモン
軍
(
ぐん
)
の
目付頭
(
めつけがしら
)
になつてる
余徳
(
よとく
)
ぢやないか。
054
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
首
(
かぶり
)
を
振
(
ふ
)
らうものなら、
055
忽
(
たちま
)
ち
数千
(
すうせん
)
人
(
にん
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
を
以
(
もつ
)
て
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
を
捕縛
(
ほばく
)
し、
056
且
(
かつ
)
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
住宅
(
ぢうたく
)
を
皆
(
みな
)
知
(
し
)
つてるから、
057
妻子
(
さいし
)
眷族
(
けんぞく
)
も
召捕
(
めしと
)
つて
重
(
おも
)
い
成敗
(
せいばい
)
に
会
(
あ
)
はされるのだ。
058
それよりもこれから
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
んで、
059
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
七八十
(
しちはちじふ
)
人
(
にん
)
やつて
来
(
く
)
るから、
060
それを
捕縛
(
ほばく
)
すべく
進
(
すす
)
んだが
宜
(
よ
)
からう。
061
それを
巧
(
うま
)
くやつたならば、
062
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
望
(
のぞ
)
み
次第
(
しだい
)
の
褒美
(
ほうび
)
を、
063
関所
(
せきしよ
)
の
役人
(
やくにん
)
に
執持
(
とりも
)
つて
貰
(
もら
)
つてやらう。
064
さア
行
(
ゆ
)
け。
065
後
(
あと
)
に
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
は
皆
(
みんな
)
弱虫
(
よわむし
)
許
(
ばか
)
りだ。
066
一番
(
いちばん
)
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
はここに
五六
(
ごろく
)
人
(
にん
)
ふん
縛
(
じば
)
つて
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのだ。
067
グヅグヅしてゐると
影
(
かげ
)
を
見失
(
みうしな
)
ふかも
知
(
し
)
れぬぞ。
068
早
(
はや
)
く
船
(
ふね
)
を
引返
(
ひつかへ
)
し、
069
真北
(
まきた
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
んだが
宜
(
よ
)
からう』
070
デブ『はい、
071
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
072
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しう
願
(
ねが
)
ひます。
073
さア
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
074
舳
(
へさき
)
を
北
(
きた
)
に
向
(
む
)
け、
075
急速力
(
きふそくりよく
)
で
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
せ』
076
と
命令
(
めいれい
)
した。
077
忽
(
たちま
)
ち
八艘
(
はつさう
)
の
船
(
ふね
)
は
船首
(
せんしゆ
)
を
北
(
きた
)
に
向
(
む
)
け
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にグイグイと
櫂
(
かい
)
の
音
(
おと
)
賑
(
にぎは
)
しく
鳥
(
とり
)
の
飛
(
た
)
つ
如
(
ごと
)
き
勢
(
いきほひ
)
で
遠
(
とほ
)
ざかり
行
(
ゆ
)
く。
078
ヤッコス『アハハハハハ、
079
もし、
080
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
081
悪人
(
あくにん
)
も
斯
(
こ
)
んな
時
(
とき
)
には
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふもので
厶
(
ござ
)
いませうがな。
082
私
(
わたし
)
も
昨日
(
きのふ
)
迄
(
まで
)
のヤッコスであればここで
怎
(
ど
)
んな
謀反
(
むほん
)
を
起
(
おこ
)
すか
分
(
わか
)
らないのですが、
083
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
のお
心
(
こころ
)
に
感
(
かん
)
じ、
084
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
が
恐
(
おそ
)
ろしくなりまして、
085
今日
(
けふ
)
は
漸
(
やうや
)
く
人間
(
にんげん
)
らしい
気分
(
きぶん
)
になりました。
086
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いたものが
嘘
(
うそ
)
偽
(
いつは
)
りを
申
(
まを
)
すのは
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
とは
存
(
ぞん
)
じ
乍
(
なが
)
ら、
087
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
臨機
(
りんき
)
応変
(
おうへん
)
の
処置
(
しよち
)
を
採
(
と
)
らなくてはならぬと
存
(
ぞん
)
じ、
088
心
(
こころ
)
にもなき
偽
(
いつは
)
りを
申
(
まを
)
しました。
089
何卒
(
なにとぞ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
詫
(
わび
)
を
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
からして
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
お
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
090
と
真心
(
まごころ
)
を
面
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はして
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る。
091
玉国
(
たまくに
)
『ハハハハハやア
感心
(
かんしん
)
だ。
092
人喰
(
ひとくひ
)
人種
(
じんしゆ
)
が
俄
(
にはか
)
に
如来
(
によらい
)
様
(
さま
)
になつたのだな。
093
それではダル、
094
メート
様
(
さま
)
も、
095
もはや
喰
(
く
)
はれる
心配
(
しんぱい
)
もないから
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
怨
(
うら
)
みをスツクリ
湖
(
うみ
)
に
流
(
なが
)
して
同
(
おな
)
じ
船
(
ふね
)
の
一蓮
(
いちれん
)
托生
(
たくしやう
)
、
096
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
と
打解
(
うちとけ
)
て
此
(
この
)
湖
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
らうぢやないか』
097
バラモン
組
(
ぐみ
)
、
098
並
(
ならび
)
にメート、
099
ダルの
両人
(
りやうにん
)
は『ハイ』と
嬉
(
うれ
)
しげに
差俯向
(
さしうつむ
)
き
涙
(
なみだ
)
さへ
滲
(
にじ
)
ませて
居
(
ゐ
)
る。
100
ヤッコスは
櫓
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
初
(
はじ
)
めた。
101
一同
(
いちどう
)
は
舷
(
ふなばた
)
を
叩
(
たた
)
いて
賑々
(
にぎにぎ
)
しく
之
(
これ
)
に
和
(
わ
)
した。
102
その
声
(
こゑ
)
は
水面
(
すいめん
)
に
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
り
海底
(
かいてい
)
の
竜神
(
りうじん
)
を
驚
(
おどろ
)
かす
許
(
ばか
)
りに
思
(
おも
)
はれた。
103
ヤッコス『テルモン
湖水
(
こすい
)
に
昔
(
むかし
)
から
104
鬼
(
おに
)
よ
悪魔
(
あくま
)
と
呼
(
よ
)
ばれつつ
105
往来
(
ゆきき
)
の
船
(
ふね
)
を
引捕
(
ひつと
)
らへ
106
宝
(
たから
)
を
奪
(
うば
)
ひ
衣
(
きぬ
)
を
剥
(
は
)
ぎ
107
尊
(
たふと
)
き
人
(
ひと
)
の
命
(
いのち
)
まで
108
とりて
其
(
その
)
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
りたる
109
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
のヤッコスも
110
バラモン
軍
(
ぐん
)
の
勢
(
いきほひ
)
に
111
辟易
(
へきえき
)
してゆ
黄白
(
くわうはく
)
を
112
数多
(
あまた
)
散
(
さん
)
じて
賄賂
(
わいろ
)
とし
113
キヨの
港
(
みなと
)
の
関守
(
せきもり
)
に
114
うまく
取入
(
とりい
)
りバラモンの
115
目付頭
(
めつけがしら
)
と
選
(
えら
)
まれて
116
密
(
ひそ
)
かに
海賊
(
かいぞく
)
使役
(
しえき
)
しつ
117
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
とに
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
る
118
此
(
この
)
ヤッコスも
天命
(
てんめい
)
尽
(
つ
)
き
119
勝手
(
かつて
)
覚
(
おぼ
)
えし
海原
(
うなばら
)
も
120
俄
(
にはか
)
の
暴風
(
しけ
)
に
進路
(
しんろ
)
をば
121
謬
(
あやま
)
り
暗礁
(
あんせう
)
に
乗
(
の
)
り
上
(
あ
)
げ
122
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
船
(
ふね
)
砕
(
くだ
)
き
123
ここに
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
真裸体
(
まつぱだか
)
124
波
(
なみ
)
を
潜
(
くぐ
)
りて
漸
(
やうや
)
くに
125
水泳
(
すいえい
)
に
長
(
た
)
けた
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
126
人
(
ひと
)
の
恐
(
おそ
)
れて
寄
(
よ
)
りつかぬ
127
荒波
(
あらなみ
)
狂
(
くる
)
ふツミ
島
(
じま
)
へ
128
命
(
いのち
)
からがら
泳
(
およ
)
ぎつき
129
飢
(
うゑ
)
に
迫
(
せま
)
りて
罪人
(
つみびと
)
を
130
屠
(
ほふ
)
り
殺
(
ころ
)
して
喰
(
くら
)
はむと
131
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
格闘
(
かくとう
)
し
132
互
(
たがひ
)
に
体
(
からだ
)
は
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
て
133
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
えむとする
時
(
とき
)
に
134
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
三五
(
あななひ
)
の
135
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
136
現
(
あら
)
はれまして
吾々
(
われわれ
)
が
137
危
(
あやふ
)
き
命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
ひまし
138
清
(
きよ
)
き
教
(
をしへ
)
を
諄々
(
じゆんじゆん
)
と
139
説
(
と
)
き
玉
(
たま
)
ひたる
有難
(
ありがた
)
さ
140
流石
(
さすが
)
無道
(
ぶだう
)
の
吾々
(
われわれ
)
も
141
神
(
かみ
)
の
御声
(
みこゑ
)
に
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし
142
有難涙
(
ありがたなみだ
)
にくれ
乍
(
なが
)
ら
143
初稚丸
(
はつわかまる
)
に
乗
(
の
)
せられて
144
キヨの
港
(
みなと
)
に
帰
(
かへ
)
らむと
145
波
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ
146
前方
(
ぜんぱう
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
八艘
(
はつさう
)
の
147
船
(
ふね
)
は
正
(
まさ
)
しく
吾
(
わが
)
部下
(
ぶか
)
の
148
デブの
率
(
ひき
)
ゆる
賊船
(
ぞくせん
)
と
149
見
(
み
)
るより
早
(
はや
)
く
進路
(
しんろ
)
をば
150
転
(
てん
)
じて
湖中
(
こちう
)
の
危険地
(
きけんち
)
と
151
聞
(
きこ
)
えし
灘
(
なだ
)
に
駆
(
か
)
け
向
(
むか
)
ふ
152
湖
(
うみ
)
に
慣
(
な
)
れたる
賊船
(
ぞくせん
)
は
153
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
くおツついて
154
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
獲物
(
えもの
)
ぞと
155
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
取囲
(
とりかこ
)
む
156
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
恩人
(
おんじん
)
の
157
命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
ひ
高恩
(
かうおん
)
に
158
報
(
むく
)
ひまつるは
此
(
この
)
時
(
とき
)
と
159
幸
(
さいは
)
ひ
部下
(
ぶか
)
のデブ
以下
(
いか
)
に
160
嚇
(
おど
)
し
文句
(
もんく
)
や
偽
(
いつはり
)
を
161
並
(
なら
)
べて
漸
(
やうや
)
く
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
162
初
(
はじ
)
めて
胸
(
むね
)
もサヤサヤと
163
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りたる
月
(
つき
)
の
空
(
そら
)
164
実
(
げ
)
にも
芽出度
(
めでた
)
き
次第
(
しだい
)
なり
165
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
166
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
倍
(
はへ
)
ましまして
167
暗礁
(
あんせう
)
点綴
(
てんてつ
)
する
湖
(
うみ
)
を
168
無事
(
ぶじ
)
に
彼岸
(
ひがん
)
に
達
(
たつ
)
せしめ
169
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
をやすやすと
170
キヨの
港
(
みなと
)
へ
着
(
つ
)
かしめよ
171
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
昔
(
むかし
)
より
172
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
は
露知
(
つゆし
)
らず
173
善
(
ぜん
)
と
真
(
しん
)
とに
背
(
せな
)
を
向
(
む
)
け
174
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
とに
一心
(
いつしん
)
に
175
心
(
こころ
)
を
曇
(
くも
)
らせ
居
(
ゐ
)
たるこそ
176
実
(
げ
)
にも
愚
(
おろか
)
の
至
(
いた
)
りぞと
177
省
(
かへり
)
みすれば
後
(
さき
)
の
世
(
よ
)
が
178
いと
恐
(
おそ
)
ろしくなりにけり
179
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
180
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
181
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
182
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
す
183
三五教
(
あななひけう
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
184
今
(
いま
)
まで
犯
(
をか
)
せし
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
185
赦
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
186
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
187
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
188
これの
湖水
(
こすい
)
は
乾
(
かわ
)
くとも
189
仮令
(
たとへ
)
命
(
いのち
)
は
失
(
う
)
するとも
190
一旦
(
いつたん
)
神
(
かみ
)
に
真心
(
まごころ
)
を
191
捧
(
ささ
)
げ
奉
(
まつ
)
りしヤッコスは
192
如何
(
いか
)
でか
曲
(
まが
)
に
溺
(
おぼ
)
れむや
193
憐
(
あは
)
れみ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
194
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
195
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
196
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
漸
(
やうや
)
くに
船首
(
せんしゆ
)
を
再
(
ふたた
)
び
西南
(
せいなん
)
に
転
(
てん
)
じ
潮流
(
てうりう
)
にのつて
月
(
つき
)
の
海面
(
かいめん
)
を
辷
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
197
(
大正一二・三・二九
旧二・一三
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 湖月
(B)
(N)
欵乃 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第58巻(酉の巻)
> 第3篇 千波万波 > 第10章 報恩
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第10章 報恩|第58巻|真善美愛|霊界物語|/rm5810】
合言葉「みろく」を入力して下さい→