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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
第1章 神風
第2章 多数尻
第3章 怪散
第4章 銅盥
第5章 潔別
第2篇 湖上神通
第6章 茶袋
第7章 神船
第8章 孤島
第9章 湖月
第3篇 千波万波
第10章 報恩
第11章 欵乃
第12章 素破抜
第13章 兎耳
第14章 猩々島
第15章 哀別
第16章 聖歌
第17章 怪物
第18章 船待
第4篇 猩々潔白
第19章 舞踏
第20章 酒談
第21章 館帰
第22章 獣婚
第23章 昼餐
第24章 礼祭
第25章 万歳楽
余白歌
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真善美愛(第49~60巻)
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第58巻(酉の巻)
> 第1篇 玉石混淆 > 第3章 怪散
<<< 多数尻
(B)
(N)
銅盥 >>>
第三章
怪散
(
くわいさん
)
〔一四七八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第1篇 玉石混淆
よみ(新仮名遣い):
ぎょくせきこんこう
章:
第3章 怪散
よみ(新仮名遣い):
かいさん
通し章番号:
1478
口述日:
1923(大正12)年03月28日(旧02月12日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
小国姫は、三千彦の師匠である玉国別を迎え入れた。小国姫は神館のごたごたに対して弟子の三千彦から多大な助力をいただいたことを感謝した。求道居士は玉国別に挨拶し、治国別の導きで改心した経緯を語った。
ニコラスらバラモン軍の一行も玉国別に挨拶をなした。すると門前がにわかに騒がしくなってきた。三千彦が立って表門に出ると、悪酔怪会長のタンクは揉み手をしながら腰低く現れ、宮町の騒ぎを収めてくれたことを三千彦に感謝した。
三千彦は和睦の辞を述べ、スマートと共に悪酔怪員たちを連れて馬場に引き返した。タンクは縛られているワックスら四人の前で、四人の罪状を暴く歌を歌い、彼らを追放して聖地に平和をもたらすことを三千彦に訴えた。悪酔怪員たちもタンクの申し出に賛同した。
三千彦を歌をもってタンクに答え、悪酔怪の解散を提案した。タンクも悪酔怪の綱領が正しい目的でないことを認め、三千彦に賛同した。こうして町民一同和気あいあいとして悪酔怪の解散をなし、一同そろって神館に詣でて感謝祈願の言葉を奏上した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5803
愛善世界社版:
30頁
八幡書店版:
第10輯 383頁
修補版:
校定版:
32頁
普及版:
13頁
初版:
ページ備考:
001
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
の
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
002
夏
(
なつ
)
の
御空
(
みそら
)
の
真純彦
(
ますみひこ
)
003
足
(
あし
)
を
傷
(
きず
)
づく
伊太彦
(
いたひこ
)
の
004
二人
(
ふたり
)
の
弟子
(
でし
)
を
伴
(
ともな
)
ひて
005
天津
(
あまつ
)
日影
(
ひかげ
)
もテルモンの
006
珍
(
うづ
)
の
館
(
やかた
)
の
表門
(
おもてもん
)
007
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
のスマートに
008
守
(
まも
)
られながら
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る
009
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
010
矢叫
(
やさけ
)
びの
音
(
ね
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
011
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれし
三千彦
(
みちひこ
)
は
012
表
(
おもて
)
の
門
(
もん
)
の
入口
(
いりぐち
)
に
013
焦
(
こが
)
れ
慕
(
した
)
ふた
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
や
014
二人
(
ふたり
)
の
友
(
とも
)
に
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
015
嬉
(
うれ
)
しさ
余
(
あま
)
り
胸
(
むね
)
迫
(
せま
)
り
016
何
(
なん
)
の
応答
(
いらへ
)
も
泣
(
な
)
く
許
(
ばか
)
り
017
漸
(
やうや
)
く
心
(
こころ
)
取
(
と
)
り
直
(
なほ
)
し
018
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
に
静々
(
しづしづ
)
と
019
三人
(
みたり
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る
020
小国姫
(
をくにひめ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
021
デビスの
姫
(
ひめ
)
やケリナ
姫
(
ひめ
)
022
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
023
ニコラスキャプテン
初
(
はじ
)
めとし
024
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
やヘル
司
(
つかさ
)
025
マリス、リーベナ、ルイキン、ポリト
026
バットを
初
(
はじ
)
め
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
027
僕
(
しもべ
)
と
共
(
とも
)
に
控
(
ひか
)
へ
居
(
ゐ
)
る
028
小国姫
(
をくにひめ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
029
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより
喜
(
よろこ
)
びて
030
其
(
その
)
坐
(
ざ
)
を
下
(
くだ
)
り
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へ
031
よくこそお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さつた
032
貴方
(
あなた
)
は
三千彦
(
みちひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
033
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
の
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
034
まあまあこれへと
請
(
しやう
)
ずれば
035
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
目礼
(
もくれい
)
し
036
其
(
その
)
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
従
(
したが
)
ひて
037
設
(
まう
)
けの
席
(
せき
)
につきにける。
038
小国姫
(
をくにひめ
)
『
此処
(
ここ
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
神館
(
かむやかた
)
、
039
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
発祥
(
はつしやう
)
の
地
(
ち
)
、
040
其
(
その
)
お
館
(
やかた
)
を
守
(
まも
)
る
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
041
いろいろと
禍
(
わざはひ
)
の
神
(
かみ
)
に
見舞
(
みま
)
はれ、
042
煩悶
(
はんもん
)
苦悩
(
くなう
)
の
最中
(
さいちう
)
へ
貴方
(
あなた
)
のお
弟子
(
でし
)
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
がお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいまして、
043
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
の
難儀
(
なんぎ
)
をお
救
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
044
其
(
その
)
胆力
(
たんりよく
)
と
義侠心
(
ぎけふしん
)
に
対
(
たい
)
し、
045
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
を
零
(
こぼ
)
して
居
(
を
)
ります。
046
何卒
(
どうぞ
)
今後
(
こんご
)
はお
見捨
(
みす
)
てなく
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します。
047
又
(
また
)
、
048
この
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
は
元
(
もと
)
は、
049
バラモン
教
(
けう
)
のカーネルさま、
050
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
に
感
(
かん
)
じ
比丘
(
びく
)
となり
三五教
(
あななひけう
)
のお
道
(
みち
)
をお
開
(
ひら
)
きなさる
道
(
みち
)
すがら、
051
私
(
わたし
)
の
娘
(
むすめ
)
二人
(
ふたり
)
の
危難
(
きなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さつた
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
で
厶
(
ござ
)
います、
052
何
(
なん
)
ともお
礼
(
れい
)
の
申
(
まをし
)
やうが
厶
(
ござ
)
いませぬ』
053
玉国
(
たまくに
)
『それはそれは、
054
結構
(
けつこう
)
なお
神徳
(
かげ
)
を
頂
(
いただ
)
かれました。
055
お
目出度
(
めでた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
056
そして
貴方
(
あなた
)
は
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
様
(
さま
)
ですか、
057
よくまア
入信
(
にふしん
)
なさいました』
058
求道
(
きうだう
)
『ハイ、
059
私
(
わたくし
)
はバラモン
軍
(
ぐん
)
のカーネル、
060
エミシと
申
(
まを
)
すもの、
061
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
062
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
に
従
(
したが
)
ひ
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
迄
(
まで
)
進軍
(
しんぐん
)
致
(
いた
)
し、
063
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
味方
(
みかた
)
の
敗戦
(
はいせん
)
によりビクの
国
(
くに
)
迄
(
まで
)
退陣
(
たいぢん
)
致
(
いた
)
し、
064
此処
(
ここ
)
を
又
(
また
)
立
(
た
)
ち
出
(
いで
)
て、
065
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
要塞
(
えうさい
)
を
構
(
かま
)
へ、
066
難攻
(
なんこう
)
不落
(
ふらく
)
と
誇
(
ほこ
)
つて
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
へ
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
がお
越
(
こし
)
になり、
067
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
をお
諭
(
さと
)
し
下
(
くだ
)
さいましてから、
068
翻然
(
ほんぜん
)
として
悟
(
さと
)
り、
069
今
(
いま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となり、
070
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
さして
頂
(
いただ
)
いて
居
(
ゐ
)
ます。
071
足
(
たら
)
はぬ
某
(
それがし
)
、
072
何卒
(
なにとぞ
)
厚
(
あつ
)
き
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
をお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まをし
)
ます』
073
玉国
(
たまくに
)
『お
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き
合
(
あ
)
うて、
074
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てさせて
頂
(
いただ
)
きませう』
075
求道
(
きうだう
)
『
此処
(
ここ
)
に
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
る
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
は、
076
バラモン
軍
(
ぐん
)
の、
077
ニコラスと
云
(
い
)
ふ、
078
キャプテンで
厶
(
ござ
)
います、
079
其
(
その
)
他
(
た
)
の
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
何
(
いづ
)
れも
下士官
(
かしくわん
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
080
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
変心
(
へんしん
)
及
(
およ
)
び
其
(
その
)
後
(
ご
)
の
模様
(
もやう
)
を
調査
(
てうさ
)
すべく、
081
先刻
(
せんこく
)
この
館
(
やかた
)
に
御
(
ご
)
出張
(
しゆつちやう
)
になり、
082
吾々
(
われわれ
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、
083
漸
(
やうや
)
く
賛成
(
さんせい
)
下
(
くだ
)
さつた
所
(
ところ
)
です。
084
何卒
(
なにとぞ
)
宜敷
(
よろし
)
く
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げます』
085
玉国
(
たまくに
)
『
何分
(
なにぶん
)
お
互
(
たがひ
)
に
宜敷
(
よろし
)
く
願
(
ねが
)
ひませう。
086
ああ、
087
貴方
(
あなた
)
がニコラス
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
088
や、
089
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
初
(
はじ
)
めてお
目
(
め
)
にかかります。
090
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
には
敵
(
てき
)
もなければ
味方
(
みかた
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬ、
091
同
(
おな
)
じ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
育
(
はぐく
)
まれて
居
(
ゐ
)
る
吾々
(
われわれ
)
人間
(
にんげん
)
は
互
(
たがひ
)
に
仲
(
なか
)
よくせねばなりませぬからなア』
092
ニコラス
以下
(
いか
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
はハツと
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
093
『
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まをし
)
ます』
094
と
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
挨拶
(
あいさつ
)
をする。
095
斯
(
かか
)
る
所
(
ところ
)
に
門前
(
もんぜん
)
俄
(
にはか
)
に
騒
(
さわ
)
がしく
擦鉦
(
すりがね
)
の
音
(
おと
)
、
096
大声
(
おほごゑ
)
に
歌
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る。
097
三千彦
(
みちひこ
)
はツと
立
(
た
)
つて
何事
(
なにごと
)
ならむと
表門
(
おもてもん
)
に
出
(
で
)
た。
098
スマートは
厳然
(
げんぜん
)
として
門
(
もん
)
を
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
099
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
長
(
ちやう
)
タンクは
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ちて
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
100
三千彦
(
みちひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ
揉手
(
もみで
)
をしながら、
101
米搗
(
こめつき
)
バツタのやうにピヨコ ピヨコと
腰
(
こし
)
を
折
(
を
)
り
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
102
媚
(
こび
)
を
呈
(
てい
)
し
乍
(
なが
)
ら、
103
タンク『エエ、
104
これはこれは、
105
三五教
(
あななひけう
)
の
大
(
だい
)
宣伝使
(
せんでんし
)
、
106
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
107
まアよく
遥々
(
はるばる
)
と
神館
(
かむやかた
)
にお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいまして、
108
館
(
やかた
)
の
危難
(
きなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さり、
109
これの
館
(
やかた
)
の
黒雲
(
くろくも
)
を
除
(
のぞ
)
き、
110
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
にお
治
(
をさ
)
め
下
(
くだ
)
さいました
段
(
だん
)
、
111
宮町
(
みやまち
)
一同
(
いちどう
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
112
国民
(
こくみん
)
一同
(
いちどう
)
の
感謝
(
かんしや
)
措
(
お
)
かざる
所
(
ところ
)
です。
113
私
(
わたし
)
は
天下
(
てんか
)
の
無頼漢
(
ぶらいかん
)
、
114
イヤ、
115
オツトドツコイ
無頼漢
(
ぶらいかん
)
を
懲
(
こら
)
す、
116
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
怪長
(
くわいちやう
)
タンクと
云
(
い
)
ふ
ケチナ
野郎
(
やらう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
117
怪員
(
くわいゐん
)
一同
(
いちどう
)
に
代
(
かは
)
り、
118
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
高徳
(
かうとく
)
を
感謝
(
かんしや
)
する
為
(
ため
)
に
罷
(
まか
)
りつん
出
(
で
)
ました。
119
スマート
様
(
さま
)
にもそれはそれは
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
御
(
ご
)
尽力
(
じんりよく
)
に
預
(
あづか
)
りまして
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
120
ワックス、
121
ヘルマン、
122
エキス、
123
エルの
悪人輩
(
あくにんばら
)
が
集
(
あつ
)
まりまして、
124
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
を
盗
(
ぬす
)
むやら、
125
家々
(
いへいへ
)
の
宝
(
たから
)
を
盗
(
ぬす
)
むやら
騒動
(
さうだう
)
をおつ
始
(
ぱじ
)
め、
126
どうとも
斯
(
か
)
うともならない
難儀
(
なんぎ
)
で
厶
(
ござ
)
いましたが、
127
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
のお
出
(
いで
)
以来
(
いらい
)
、
128
風塵
(
ふうじん
)
治
(
をさ
)
まり、
129
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
の
端緒
(
たんちよ
)
を
得
(
え
)
ましたのは、
130
私
(
わたし
)
等
(
ら
)
の
抃舞
(
べんぶ
)
措
(
お
)
く
能
(
あた
)
はざる
所
(
ところ
)
です。
131
何卒
(
なにとぞ
)
吾々
(
われわれ
)
の
至誠
(
しせい
)
をお
認
(
みと
)
め
下
(
くだ
)
さいまして、
132
今後
(
こんご
)
御
(
ご
)
贔屓
(
ひいき
)
下
(
くだ
)
さるやうお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します。
133
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
り
数多
(
あまた
)
の
町民
(
ちやうみん
)
が
参
(
まゐ
)
りましたのも
皆
(
みな
)
、
134
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
高徳
(
かうとく
)
を
感謝
(
かんしや
)
せむ
為
(
ため
)
に
参上
(
さんじやう
)
致
(
いた
)
しましたので
厶
(
ござ
)
いますから、
135
何卒
(
どうぞ
)
宜敷
(
よろし
)
く
可愛
(
かあい
)
がつて
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
います』
136
三千
(
みち
)
『ヤア
夫
(
それ
)
は
結構
(
けつこう
)
だ。
137
吾々
(
われわれ
)
に
対
(
たい
)
する
誤解
(
ごかい
)
が
解
(
と
)
けましたかな。
138
今後
(
こんご
)
は
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
きやうて、
139
お
館
(
やかた
)
のため、
140
お
国
(
くに
)
のため
協力
(
けふりよく
)
一致
(
いつち
)
、
141
誠
(
まこと
)
を
捧
(
ささ
)
げられむ
事
(
こと
)
を
祈
(
いの
)
ります。
142
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
143
かう
大勢
(
おほぜい
)
館
(
やかた
)
へ
入
(
はい
)
り
込
(
こ
)
まれましては
小国別
(
をくにわけ
)
様
(
さま
)
も
御
(
ご
)
病中
(
びやうちう
)
なり、
144
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
をせられませうから、
145
門前
(
もんぜん
)
の
馬場
(
ばんば
)
にてお
目
(
め
)
にかかりませう』
146
とスマートを
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ
門
(
もん
)
を
出
(
い
)
で、
147
階段
(
かいだん
)
を
下
(
くだ
)
り
草
(
くさ
)
青
(
あを
)
き
馬場
(
ばんば
)
に
出
(
いで
)
立
(
た
)
ち
見
(
み
)
れば、
148
五十
(
ごじふ
)
の
兵士
(
へいし
)
は
列
(
れつ
)
を
正
(
ただ
)
し、
149
ワックス
外
(
ほか
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
縛
(
ばく
)
したまま
警護
(
けいご
)
して
居
(
ゐ
)
る。
150
軍人側
(
ぐんじんがは
)
と、
151
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
側
(
がは
)
とはいつしか
和睦
(
わぼく
)
が
出来
(
でき
)
たと
見
(
み
)
えて
互
(
たがひ
)
にニコニコ
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
152
タンクは
再
(
ふたた
)
び
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
り、
153
ワックス
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
馬
(
うま
)
を
留
(
とど
)
め
大音声
(
だいおんじやう
)
にて
演説
(
えんぜつ
)
を
初
(
はじ
)
めかけた。
154
三千彦
(
みちひこ
)
は
麗
(
うるは
)
しき
赤
(
あか
)
、
155
白
(
しろ
)
、
156
黄
(
き
)
、
157
紫
(
むらさき
)
のデリケートの
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
き
満
(
み
)
ちた
青芝
(
あをしば
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
お
)
ろし、
158
スマートの
頭
(
かしら
)
を
撫
(
な
)
で
乍
(
なが
)
ら、
159
ニコニコとして
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
160
タンク『そもそも
此処
(
ここ
)
に
繋
(
つな
)
がれし
161
テルモン
山
(
ざん
)
の
神館
(
かむやかた
)
162
荒
(
あら
)
し
廻
(
まは
)
りしワックスや
163
其
(
その
)
外
(
ほか
)
三人
(
みたり
)
の
悪漢
(
わるもの
)
は
164
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
御
(
おん
)
宝
(
たから
)
165
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
横奪
(
わうだつ
)
し
166
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
を
苦
(
くる
)
しめて
167
ギウギウ
云
(
い
)
はせ
吾
(
わが
)
恋
(
こひ
)
の
168
野望
(
やばう
)
を
甘
(
うま
)
く
達
(
たつ
)
せむと
169
所在
(
あらゆる
)
手段
(
しゆだん
)
を
廻
(
めぐ
)
らして
170
悪
(
あく
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
したる
171
極悪
(
ごくあく
)
無道
(
ぶだう
)
の
痴漢
(
しれもの
)
ぞ
172
三五教
(
あななひけう
)
の
神使
(
かむづかひ
)
173
三千彦
(
みちひこ
)
さまの
威
(
ゐ
)
に
打
(
う
)
たれ
174
如何
(
いかん
)
ともする
術
(
すべ
)
もなく
175
首
(
くび
)
も
廻
(
まは
)
らぬ
苦
(
くる
)
しさに
176
魔法使
(
まはふづかひ
)
と
布令
(
ふれ
)
廻
(
まは
)
し
177
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
町民
(
ちやうみん
)
を
178
甘
(
うま
)
く
偽
(
いつは
)
り
暴動
(
ばうどう
)
を
179
起
(
おこ
)
させたるぞ
憎
(
にく
)
らしき
180
此
(
この
)
宮町
(
みやまち
)
の
町民
(
ちやうみん
)
は
181
テルモン
山
(
ざん
)
の
霊地
(
れいち
)
をば
182
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
によく
守
(
まも
)
り
183
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
184
報
(
むく
)
ひむ
為
(
ため
)
に
赤誠
(
まごころ
)
を
185
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
尽
(
つく
)
すのみ
186
知
(
し
)
らぬが
仏
(
ほとけ
)
の
町民
(
ちやうみん
)
は
187
家令
(
かれい
)
の
悴
(
せがれ
)
ワックスが
188
企
(
たく
)
みの
罠
(
わな
)
におとされて
189
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
神人
(
しんじん
)
に
190
刄向
(
はむ
)
かひ
奉
(
まつ
)
りし
愚
(
おろか
)
さよ
191
悪
(
あく
)
に
長
(
た
)
けたるワックスは
192
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
蔽
(
おほ
)
はむと
193
茲
(
ここ
)
に
一計
(
いつけい
)
案出
(
あんしゆつ
)
し
194
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
を
組織
(
そしき
)
して
195
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き
強
(
つよ
)
きをば
196
助
(
たす
)
けむものと
主張
(
しゆちやう
)
しつ
197
数百
(
すうひやく
)
余人
(
よにん
)
の
団体
(
だんたい
)
を
198
造
(
つく
)
りて
誠
(
まこと
)
の
神人
(
しんじん
)
を
199
悩
(
なや
)
まし
奉
(
まつ
)
り
神館
(
かむやかた
)
200
占領
(
せんりやう
)
せむと
企
(
たく
)
みたる
201
其
(
その
)
悪計
(
あくけい
)
ぞ
怖
(
おそ
)
ろしき
202
天罰
(
てんばつ
)
忽
(
たちま
)
ち
報
(
むく
)
ひ
来
(
き
)
て
203
己
(
おの
)
が
率
(
ひき
)
ゆる
怪員
(
くわいゐん
)
に
204
手
(
て
)
もなく
体
(
からだ
)
を
縛
(
しば
)
られて
205
これの
馬場
(
ばんば
)
に
万世
(
よろづよ
)
の
206
恥
(
はぢ
)
を
晒
(
さら
)
すぞ
可笑
(
をか
)
しけれ
207
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
208
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
はいつ
迄
(
まで
)
も
209
悪
(
あく
)
の
企
(
たく
)
みを
許
(
ゆる
)
さむや
210
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
はタンクと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
211
六百
(
ろくぴやく
)
人
(
にん
)
の
町民
(
ちやうみん
)
に
212
やつと
選
(
えら
)
まれ
長
(
をさ
)
となり
213
今
(
いま
)
又
(
また
)
茲
(
ここ
)
に
悪酔怪
(
かたまり
)
の
214
頭
(
かしら
)
とおされ
町民
(
ちやうみん
)
を
215
代表
(
だいへう
)
なして
三五
(
あななひ
)
の
216
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
217
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
を
顕彰
(
けんしやう
)
し
218
御国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さむと
219
衆
(
しう
)
を
率
(
ひ
)
きつれ
来
(
きた
)
りたり
220
赦
(
ゆる
)
させたまへ
惟神
(
かむながら
)
221
神
(
かみ
)
かけ
念
(
ねん
)
じ
奉
(
たてまつ
)
る
222
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
223
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
224
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
225
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
226
身
(
み
)
の
過
(
あやまち
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
227
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
228
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
の
前
(
まへ
)
なれど
229
これに
繋
(
つな
)
ぎし
四人
(
よにん
)
連
(
づ
)
れ
230
これの
聖地
(
せいち
)
を
朝夕
(
あさゆふ
)
に
231
掻
(
か
)
き
乱
(
みだ
)
し
行
(
ゆ
)
く
曲者
(
くせもの
)
ぞ
232
必
(
かなら
)
ず
許
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
ふ
無
(
な
)
く
233
厳
(
きび
)
しき
笞
(
むち
)
を
加
(
くは
)
へつつ
234
これの
聖地
(
せいち
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
いだ
)
し
235
懲
(
こら
)
しめたまへ
惟神
(
かむながら
)
236
六百
(
ろくぴやく
)
人
(
にん
)
になり
代
(
かは
)
り
237
更
(
あらた
)
め
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
238
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
239
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ
240
かかる
悪魔
(
あくま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
241
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
する
其
(
その
)
内
(
うち
)
は
242
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
も
243
如何
(
いか
)
なる
誠
(
まこと
)
の
御教
(
みをしへ
)
も
244
如何
(
いか
)
で
開
(
ひら
)
けむ
常闇
(
とこやみ
)
の
245
世
(
よ
)
は
追
(
お
)
ひ
追
(
お
)
ひと
曇
(
くも
)
るのみ
246
ああ
願
(
ねが
)
はくば
三千彦
(
みちひこ
)
の
247
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
248
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
願
(
ねが
)
ひを
逸早
(
いちはや
)
く
249
聞
(
き
)
き
取
(
と
)
りたまひ
片時
(
かたとき
)
も
250
早
(
はや
)
く
聖地
(
せいち
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
いだ
)
し
251
これの
霊地
(
れいち
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
252
除
(
のぞ
)
かせ
給
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎまつる
253
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
254
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
255
と
歌
(
うた
)
をもつて
演説
(
えんぜつ
)
に
代
(
か
)
へ、
256
且
(
か
)
つ
三千彦
(
みちひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
257
是
(
これ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
悪党
(
あくたう
)
を
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
聖場
(
せいぢやう
)
より
追放
(
つゐはう
)
されむ
事
(
こと
)
を
祈
(
いの
)
つた。
258
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
員
(
ゐん
)
一同
(
いちどう
)
は、
259
一斉
(
いつせい
)
に
手
(
て
)
を
打
(
う
)
つてタンクの
説
(
せつ
)
に
賛成
(
さんせい
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
した。
260
三千彦
(
みちひこ
)
は
歌
(
うた
)
をもつて
之
(
これ
)
に
答
(
こた
)
ふ。
261
三千彦
(
みちひこ
)
『
世
(
よ
)
は
常闇
(
とこやみ
)
となり
果
(
は
)
てて
262
悪魔
(
あくま
)
は
天下
(
てんか
)
を
横行
(
わうかう
)
し
263
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
は
腥
(
なまぐさ
)
く
264
絶
(
た
)
ゆる
間
(
ま
)
のなき
人馬
(
じんば
)
の
音
(
ね
)
265
払
(
はら
)
はむよしもなきままに
266
難
(
なや
)
み
苦
(
くる
)
しむ
宮町
(
みやまち
)
の
267
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
心根
(
こころね
)
は
268
今
(
いま
)
更
(
さら
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
られけり
269
テルモン
山
(
ざん
)
の
峰
(
みね
)
清
(
きよ
)
く
270
蓮華
(
はちす
)
の
花
(
はな
)
の
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
271
芳香
(
はうかう
)
薫
(
くん
)
じ
夏風
(
なつかぜ
)
に
272
揺
(
ゆ
)
られて
御代
(
みよ
)
の
泰平
(
たいへい
)
を
273
謳
(
うた
)
へど
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
館
(
やかた
)
274
日毎
(
ひごと
)
夜毎
(
よごと
)
に
憂愁
(
いうしう
)
に
275
包
(
つつ
)
まれたまひ
神柱
(
かむばしら
)
276
小国別
(
をくにのわけ
)
や
姫
(
ひめ
)
命
(
みこと
)
277
其
(
その
)
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
の
乙女
(
をとめ
)
達
(
たち
)
278
其
(
その
)
身
(
み
)
の
不覚
(
ふかく
)
を
歎
(
なげ
)
きつつ
279
家令
(
かれい
)
の
悴
(
せがれ
)
ワックスが
280
醜
(
しこ
)
の
猛
(
たけ
)
びに
敵
(
てき
)
し
得
(
え
)
ず
281
持
(
も
)
ち
倦
(
あぐ
)
みます
時
(
とき
)
もあれ
282
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
283
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
現
(
あら
)
はれし
284
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
は
身
(
み
)
を
砕
(
くだ
)
き
285
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
め
種々
(
くさぐさ
)
の
286
難
(
なや
)
みに
会
(
あ
)
いて
漸
(
やうや
)
うに
287
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
を
包
(
つつ
)
みたる
288
醜
(
しこ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
289
旭
(
あさひ
)
の
豊阪
(
とよさか
)
登
(
のぼ
)
るごと
290
漸
(
やうや
)
く
生
(
うま
)
れ
代
(
かは
)
りけり
291
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
292
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
の
著
(
いちじる
)
く
293
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
の
深
(
ふか
)
きをば
294
喜
(
よろこ
)
び
祝
(
いは
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
り
295
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
も
漸
(
やうや
)
くに
296
現
(
あら
)
はれまして
神館
(
かむやかた
)
297
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
へと
歓
(
えら
)
ぎつつ
298
元
(
もと
)
の
姿
(
すがた
)
となりにけり
299
さはさりながら
団体
(
だんたい
)
の
300
長
(
をさ
)
とあれますタンクさま
301
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
綱領
(
かうりやう
)
は
302
弱
(
よわ
)
きを
挫
(
くじ
)
き
強
(
つよ
)
きをば
303
助
(
たす
)
くるよしに
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
ぶ
304
悪魔
(
あくま
)
に
等
(
ひと
)
しき
団体
(
だんたい
)
は
305
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
306
背反
(
はいはん
)
したる
暴挙
(
ばうきよ
)
ぞや
307
いと
速
(
すみやか
)
に
改
(
あらた
)
めて
308
此
(
この
)
団体
(
だんたい
)
を
解散
(
かいさん
)
し
309
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
310
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せば
311
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
共
(
とも
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
312
これの
聖地
(
せいち
)
を
守
(
まも
)
るべし
313
顧
(
かへり
)
りみたまへ
惟神
(
かむながら
)
314
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
赤心
(
まごころ
)
を
315
捧
(
ささ
)
げて
茲
(
ここ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる
316
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
317
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
318
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
319
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
320
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
皆
(
みな
)
来
(
きた
)
れ
321
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
目的
(
もくてき
)
は
322
決
(
けつ
)
して
世
(
よ
)
の
為
(
た
)
め
人
(
ひと
)
の
為
(
た
)
め
323
利益
(
りえき
)
となるべきものでなし
324
否々
(
いないな
)
却
(
かへつ
)
て
世
(
よ
)
を
汚
(
けが
)
し
325
大混乱
(
だいこんらん
)
の
種
(
たね
)
ぞかし
326
顧
(
かへり
)
み
給
(
たま
)
へタンクさま
327
其
(
その
)
外
(
ほか
)
会員
(
くわいゐん
)
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
328
三五教
(
あななひけう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
が
329
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
めて
宣
(
の
)
りまつる
330
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
331
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
332
タンク『いざさらば
君
(
きみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
ひて
333
これの
集団
(
つどひ
)
を
解
(
と
)
き
放
(
はな
)
ちなむ。
334
この
集団
(
つどひ
)
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
の
心
(
こころ
)
より
335
出
(
い
)
でしに
非
(
あら
)
ずワックスの
胸
(
むね
)
。
336
ワックスの
百
(
もも
)
の
企
(
たく
)
みの
現
(
あら
)
はれし
337
上
(
うへ
)
は
尚更
(
なほさら
)
何
(
なん
)
の
要
(
えう
)
なき。
338
弱
(
よわ
)
きをば
挫
(
くじ
)
き
強
(
つよ
)
きを
助
(
たす
)
くるは
339
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
仕業
(
しわざ
)
なるらむ』
340
三千彦
(
みちひこ
)
『
健気
(
けなげ
)
なるタンクの
君
(
きみ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
は
341
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御声
(
みこゑ
)
とぞ
思
(
おも
)
ふ。
342
いざ
早
(
はや
)
く
曲
(
まが
)
の
集団
(
つどひ
)
を
解
(
と
)
きほどき
343
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
赤心
(
まごころ
)
ささげよ』
344
かく
歌
(
うた
)
を
取
(
と
)
り
交
(
かは
)
し、
345
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として
茲
(
ここ
)
に
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
の
解散
(
かいさん
)
をなし、
346
町民
(
ちやうみん
)
一同
(
いちどう
)
打
(
う
)
ち
揃
(
そろ
)
ひ、
347
神館
(
かむやかた
)
に
恭
(
うやうや
)
しく
詣
(
まう
)
でて
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
言葉
(
ことば
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
348
中空
(
ちうくう
)
には
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
349
天津
(
あまつ
)
乙女
(
をとめ
)
の
姿
(
すがた
)
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
嬉
(
うれ
)
しげに
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ひ、
350
優曇華
(
うどんげ
)
の
花弁
(
はなびら
)
風
(
かぜ
)
に
翻
(
ひるがへ
)
り、
351
各人
(
かくじん
)
の
頭
(
あたま
)
にパラリパラリと
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
る。
352
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
353
(
大正一二・三・二八
旧二・一二
於皆生温泉浜屋
加藤明子
録)
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