霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 怪物(くわいぶつ)〔一四九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻 篇:第3篇 千波万波 よみ(新仮名遣い):せんぱばんぱ
章:第17章 怪物 よみ(新仮名遣い):かいぶつ 通し章番号:1492
口述日:1923(大正12)年03月29日(旧02月13日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
初稚丸はフクの島に着いた。荒波が岸を噛み、剣呑にして寄りつくことができない大難関である。山の中腹に大きな岩窟が自然にうがたれており、その中に何かが動いているように見えた。
バーチルは岩窟に動く影が、三年前に行方不明になった僕のアンチーの人影に似ているのに驚いて、玉国別に報告した。玉国別は確認のために島に上陸することとした。
船を海中の岩島に寄せ、伊太彦、バーチル、メート、ダルの四人が上陸した。船を認めて岩窟から駆け降りてきた男は、間違いなくバーチルの僕アンチーであった。
アンチーは主人との再会に涙を流し、この島に打ち上げられてから、初稚姫という女神に助けられて命をつないだことを明かした。初稚姫は三日ほど前にもアンチーの前に現れ、三年の修業ができたから、これでアンチーも立派な人間になるだろうとのお告げを残して、犬に乗って南の方に去って行ったことを語った。
一行はアンチーを船に助け上げて出航した。船中ではアンチーの漂流譚に花が咲いている。アンチーは助け出された嬉しさに、島で一人作っていた唄を織り交ぜて舟歌を披露した。
伊太彦は独り者同士仲良くしようとアンチーに呼びかけ、笑っている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2016-09-02 19:39:14 OBC :rm5817
愛善世界社版:205頁 八幡書店版:第10輯 443頁 修補版: 校定版:217頁 普及版:81頁 初版: ページ備考:
001 初稚丸(はつわかまる)は、002漂渺(へうべう)たる海路(うなぢ)(わた)つて(やうや)周囲(しうゐ)二十五(にじふご)(ちやう)ばかりのフクの(しま)についた。003非常(ひじやう)荒波(あらなみ)(きし)()剣呑(けんのん)にして()りつく(こと)出来(でき)ない大難関(だいなんくわん)である。004()れば(やま)中腹(ちうふく)非常(ひじやう)(おほ)きい岩窟(がんくつ)自然(しぜん)穿(うが)たれて(その)(なか)(なに)(うご)いて()るやうに()えて()る。005伊太彦(いたひこ)一目(ひとめ)()るより、
006伊太(いた)猩々(しやうじやう)猩々(しやうじやう)だ、007これバーチルさまお(まへ)()親類(しんるい)かも()れないよ。008(ひと)(なん)とかして(しま)(こぎ)つけ、009正体(しやうたい)調(しら)べて()たいものだなア』
010 バーチルは一目(ひとめ)()るより、011アツと(さけ)んで(たふ)れむ(ばか)りになつた。
012伊太(いた)『ア、013此奴(こいつ)不思議(ふしぎ)だ。014バーチルさま、015()怪物(くわいぶつ)姿(すがた)()てお(まへ)さまはアツと()つて(たふ)れかけたが一体(いつたい)(なん)だ。016(なに)心当(こころあた)りがあるのかなア』
017バーチル『ハイ、018どうも明瞭(はつきり)(いた)しませぬが、019(なん)だか()たやうな(をとこ)姿(すがた)()えましたから(おも)はず(さけ)んだので(ござ)います』
020伊太(いた)矢張(やつぱ)別世界(べつせかい)()んで()ただけあつて、021神経(しんけい)過敏(くわびん)になつて()るのだ。022(しか)しこんな(はな)(じま)人間(にんげん)のやうなものが()んで()るとは不思議(ふしぎ)だよ。023矢張(やつぱり)難破船(なんぱせん)()つたものが、024こんな(しま)()()げられて()るのかも()れない。025ヤヤ好奇心(かうきしん)(おこ)つて仕様(しやう)がない、026危険(きけん)でも(あが)つて正体(しやうたい)調(しら)べようぢやないか。027(ひと)先生(せんせい)(わたし)魔窟(まくつ)探険(たんけん)(おほ)せつけ(くだ)さるまいかなア』
028玉国(たまくに)『ウン、029(ひと)つやつて()たがよからう。030バーチルさまは随分(ずゐぶん)(しま)になれて()るから、031探険(たんけん)には適任(てきにん)だらう』
032バーチル『ハイ、033何卒(どうぞ)(わたくし)にもお(ゆる)(くだ)さい。034どうしても調(しら)べなければならないやうな()がします』
035 怪物(くわいぶつ)(この)(ふね)()るより(あわ)ただしく岩窟(がんくつ)()険阻(けんそ)岩角(いはかど)(ましら)(ごと)(くだ)(きた)り、036()だらけの(かほ)をさらし(なが)ら、
037『オーイ、038オーイ』
039手招(てまね)きして()る。040(この)(とき)(ふね)一町(いつちやう)(ばか)手前(てまへ)(まで)(すす)んで()る。041(やうや)くにして海中(かいちう)突出(とつしゆつ)して()岩島(いはじま)(ふね)()せ、042(から)うじて、043伊太彦(いたひこ)044バーチル、045メート、046ダルの()(にん)(しま)()けつけた。047(じつ)危険(きけん)(きは)まる芸当(げいたう)である。048一丈(いちぢやう)(ばか)りの(たま)となつて(りう)天上(てんじやう)する(ごと)く、049()()浪飛沫(なみしぶき)(じつ)悽惨(せいさん)()()たれざるを()なかつた。050()(にん)(くつ)せず(をとこ)(そば)(はし)()り、051不思議(ふしぎ)さうに(かほ)(のぞ)いて()る。052(あや)しの(をとこ)()(にん)(かほ)をつくづくと(なが)め、
053(をとこ)『あ、054貴方(あなた)()主人(しゆじん)(さま)ぢや(ござ)いませぬか、055ようまア()(くだ)さいました』
056バーチル『やア、057(まへ)(しもべ)のアンチーであつたか。058どうしてこんな(ところ)(たす)かつて()たのだ。059あの荒波(あらなみ)()まれて(みづ)藻屑(もくづ)になり、060最早(もはや)(この)()では()へないものと覚悟(かくご)して()た、061ようまア(いき)()()れた。062(わたし)(いま)(この)(ふね)(たす)けられ(かへ)途中(とちう)063潮流(てうりう)都合(つがふ)でこんな(ところ)へやつて()たのだ。064これも矢張(やつぱり)(かみ)(さま)のお()(あは)せであつたか』
065 アンチーは、066(ひげ)だらけの(かほ)(なみだ)をハラハラと(なが)し、067男泣(をとこな)きに()()した。
068伊太(いた)『これアンチーさま、069(なに)()くのだ。070(しつか)りせないか、071サアこれからお(まへ)()れて(かへ)るのだから、072(なに)アンチル(こと)()らぬ、073安心(あんしん)して()いて()るのだ。074(しか)(おれ)(なん)だか(なみだ)のやつ、075無断(むだん)両眼(りやうがん)から()()して()る』
076と、077はや()(ごゑ)になつて()る。
078 アンチーは(なみだ)()にて(ぬぐ)ひながら、
079アンチー『旦那(だんな)(さま)080(わたし)貴方(あなた)一緒(いつしよ)(なみ)()まれ、081人事(じんじ)不省(ふせい)(おちい)(この)(しま)()()げられて()ました(ところ)へ、082初稚姫(はつわかひめ)(さま)とか()綺麗(きれい)女神(めがみ)(さま)がお()しになり、083いろいろ介抱(かいはう)して(くだ)さいました。084(その)(かげ)今日(けふ)(まで)(いのち)(たも)つて()りました。085(さいはひ)(この)(しま)には御存(ごぞん)じの(とほ)沢山(たくさん)(とり)()ますなり、086(また)(すこ)しの果物(くだもの)()のり、087(それ)(ゆゑ)どうなりかうなり一人(ひとり)食料(しよくれう)(あた)へられました』
088伊太(いた)『ハテ、089合点(がてん)のゆかぬ(こと)()ふぢやないか。090初稚姫(はつわかひめ)(さま)昨日(きのふ)此方(こちら)へお(とほ)りになつた(ばか)りだ。091さうして、092(ふね)にでも()つてお(いで)になつたか、093(ただし)は、094(いぬ)にでも()つて()られたか、095合点(がてん)のゆかぬ(こと)だなア』
096アンチー『いえいえ(ふね)()たず(いぬ)()れず、097何処(どこ)ともなくお(いで)になり、098(また)何処(どこ)ともなく姿(すがた)をお()(あそ)ばしました。099(それ)から二三(にさん)日前(にちまへ)にも立派(りつぱ)姿(すがた)(あら)はし、100(まへ)(むか)ひに()てやるからと仰有(おつしや)いました、101「お(まへ)(さん)(ねん)修業(しふげふ)出来(でき)たから、102これで立派(りつぱ)人間(にんげん)になるであらう、103夢々(ゆめゆめ)(うたが)ふな」と仰有(おつしや)つたきり今度(こんど)(いぬ)()荒浪(あらなみ)(わた)り、104(みなみ)(はう)()して(かへ)つて仕舞(しま)はれました。105本当(ほんたう)不思議(ふしぎ)のことで(ござ)います』
106伊太(いた)成程(なるほど)初稚姫(はつわかひめ)(さま)生神(いきがみ)(さま)だと()いて()たが(えら)いものだなア。107第一(だいいち)天国(てんごく)天人(てんにん)だと()(こと)だが、108さうでなければこんな(はな)(わざ)出来(でき)るものでない。109これを(おも)へば(おれ)(たち)のお師匠(ししやう)さまもまだまだ修業(しふげふ)をせねば駄目(だめ)だなア。110(なに)はさて()き、111いつ(かぜ)(あら)うなるかも()れないから、112この危険(きけん)区域(くゐき)(いち)()(はや)()りませう』
113(たてがみ)(ふる)ふて(たけ)(くる)白浪(しらなみ)(なか)(くぐ)()け、114(ここ)()(にん)無事(ぶじ)船中(せんちう)(ひと)となり、115(いそ)舳先(へさき)(てん)じ、116櫓櫂(ろかい)(あやつ)り、117潮流(てうりう)(したが)うて、118西南(せいなん)さして(すす)()(こと)となつた。119船中(せんちう)にはアンチーの漂流談(へうりうだん)種々(いろいろ)(はな)()いた。
120伊太(いた)『もし()一同(いちどう)さま、121(なん)不思議(ふしぎ)(こと)があるものですなア。122(この)(かた)はバーチルさまの(しもべ)だつたさうです。123三年前(さんねんまへ)難船(なんせん)して主従(しゆじう)(いづ)れも無人島(むじんたう)(いのち)(たも)ち、124(また)吾々(われわれ)(ふね)一時(いつとき)(たす)けらるるとは(じつ)奇中(きちう)()ぢやありませぬか。125こんな(こと)(おも)ふと、126吾々(われわれ)一挙(いつきよ)一動(いちどう)大神(おほかみ)(さま)(つな)(あやつ)られて()るやうな心持(こころもち)(いた)しますなア』
127玉国(たまくに)何事(なにごと)人間(にんげん)(かみ)(さま)のお道具(だうぐ)だから(ただ)惟神(かむながら)にお(まか)せするより(ほか)128(みち)はないのだ。129何事(なにごと)(みな)神業(かむわざ)だから、130(これ)からお(まへ)もどんな(こと)があつても(いま)(まで)のやうにブツブツ小言(こごと)()つたり理窟(りくつ)(なら)べたりするものぢやありませぬよ。131(かみ)(さま)がよい実物(じつぶつ)教育(けういく)をして(くだ)さつたのだからなア』
132伊太(いた)成程(なるほど)133(じつ)有難(ありがた)いもので(ござ)いますなア。134オイ、135真純彦(ますみひこ)136三千彦(みちひこ)()両人(りやうにん)137こんな(こと)(おも)ふと、138ゾツとするやうだなア、139(わたし)はもう(かみ)(さま)(おそ)ろしくなつて()た』
140三千(みち)如何(いか)にもお(まへ)()(とほ)りだ。141何事(なにごと)人間(にんげん)(かんが)へではいくものでない。142(それ)だから(わたし)御用(ごよう)途中(とちう)にデビス(ひめ)()れて()くものではないと、143一度(いちど)(こば)んで()たが、144これも(かみ)(さま)思召(おぼしめし)だと(おも)ふて()れて()たのだよ』
145伊太(いた)『アハハハハ。146(なん)とまア、147えらい(ところ)へロジツクが()()まつたものだなア。148これも(みな)(かみ)(さま)()都合(つがふ)かなア、149エヘヘヘヘ』
150三千(みち)伊太彦(いたひこ)さま、151エヘヘヘヘ、152()(その)言霊(ことたま)(いろ)には(おほい)吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)悔蔑(ぶべつ)嘲笑(てうせう)して()形跡(けいせき)()えるぢや()いか。153本当(ほんたう)冗談(じやうだん)ぢやない。154(わたし)真剣(しんけん)だからなア』
155伊太(いた)『プツフフフフ、156それや真剣(しんけん)だらう。157(わたし)だつてこんなナイスと道連(みちづ)れになるのなら、158真剣(しんけん)真剣(しんけん)159大真剣(だいしんけん)になるのだがなア』
160三千(みち)『エエどこ(まで)馬鹿(ばか)にしたものだなア。161(しか)(なん)()ふても足弱(あしよわ)(をんな)()れて()るのだから(まけ)()きませう。162()(ところ)(まで)()つたら(わか)りませうかい。163万一(まんいち)(をんな)()れて()くが(わる)いのなら、164玉国別(たまくにわけ)先生(せんせい)がお()めなさるに(ちが)ひない、165(だま)つていらつしやる(ところ)()れば(なに)()都合(つがふ)のある(こと)だらう。166なア真純彦(ますみひこ)さま、167貴方(あなた)はどう(おも)ひます』
168真純(ますみ)(わたし)(なん)とも(まをし)ませぬ。169よいとか(わる)いとか()ふだけの知識(ちしき)()ければ権能(けんのう)もありませぬ。170何事(なにごと)惟神(かむながら)だとお(かげ)(いただ)いて()ります』
171伊太(いた)『ハハハハハ。172さうすると伊太彦(いたひこ)さまの敗北(はいぼく)かな、173(おそ)()りました。174到底(たうてい)(くわ)(もつ)(しう)(てき)する(こと)出来(でき)ませぬ。175もう(この)(うへ)(つつし)んで()夫婦(ふうふ)前途(ぜんと)(しゆく)します。176そして悋気(りんき)がましい(こと)はこれより()めますから、177何卒(どうぞ)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)しを(ねが)ひませう』
178玉国(たまくに)『まアまアこれで内訌(ないこう)(をさ)まり、179一先(ひとま)安心(あんしん)だ』
180 アンチーは(うれ)しさの(あま)り、181無雑作(むざふさ)()えた(ひげ)()(なが)ら、182(しま)(つく)つて(うた)つて()(うた)(まじ)へて船唄(ふなうた)(うた)ひ、183一同(いちどう)()愛嬌(あいけう)(きよう)した。
184アンチー『イヅミの(くに)のスマの(さと)
185バーチルさまの(いへ)()
186(つか)へて(ここ)二十(にじふ)(ねん)
187日日(ひにち)毎日(まいにち)主従(しうじゆう)
188月夜(つきよ)(やみ)(へだ)てなく
189キヨメの(うみ)(うろくず)
190()きまはしつつ殺生(せつしやう)した
191(その)天罰(てんばつ)(むく)()
192漁舟(すなどりぶね)沈没(ちんぼつ)
193(ちから)(おも)(わが)主人(あるじ)
194行衛(ゆくゑ)()れずなり(たま)
195(あと)(のこ)つたアンチーは
196(ひと)()(しま)(たす)けられ
197(とり)(たまご)果物(くだもの)
198()りて(やうや)生命(せいめい)
199(たも)()るこそ果敢(はか)なけれ
200(おき)(はるか)見渡(みわた)せば
201(かす)かに白帆(しらほ)(かげ)()ゆる
202()べど(さけ)べど(この)(しま)
203危険(きけん)区域(くゐき)()(ゆゑ)
204(とり)(ほか)より近寄(ちかよ)らぬ
205(こゑ)(から)して(さけ)べども
206()()(きた)(なみ)()
207()まれて(こゑ)(ひび)かない
208八千八(はつせんや)(こゑ)時鳥(ほととぎす)
209この岩洞(いはあな)姿(すがた)をば
210(かく)して朝夕(あさゆふ)()くばかり
211もう(この)(うへ)因果腰(いんぐわごし)
212(さだ)めて(しま)(わう)となり
213いや永久(とこしへ)にセリバシー
214生涯(しやうがい)此処(ここ)(おく)らむと
215(おも)(さだ)めし(くる)しさよ
216朝日(あさひ)(そら)煌々(くわうくわう)
217(かがや)きたまひ()(まも)
218(つき)姿(すがた)はテラテラと
219(ひる)(よる)との(へだ)てなく
220(めぐみ)(つゆ)()れたまひ
221果敢(はか)なき()をば(まも)ります
222(この)フク(じま)につきしより
223(なが)年月(としつき)(ひと)(こゑ)
224一度(いちど)()いた(こと)はない
225(かもめ)(こゑ)()(とり)
226(ゆふべ)(そら)(かへ)()
227(つばさ)をやすめ(あさ)まだき
228朝日(あさひ)(のぼ)るを()ちかねて
229チンチン チユンチユン(さわ)がしく
230さながら天女(てんによ)音楽(おんがく)
231(そう)する(ごと)(きこ)()
232(この)(こゑ)こそは(わが)()をば
233(なぐさ)めたまふ(かみ)(こゑ)
234(かたじけ)なしと()(をが)
235(かぜ)()かれ(あめ)()
236(やうや)(ここ)(まで)ながらへぬ
237明日(あす)をも()らぬ(ひと)()
238(ひと)なき(しま)(たふ)れなば
239(わが)遺骸(なきがら)如何(いか)にせむ
240せめて(いのち)のある(うち)
241()(をど)らして水底(みなそこ)
242()()(この)()(くる)しみを
243(のが)れむものと幾度(いくたび)
244(おも)(わづら)()たりしが
245ハツと(こころ)()(なほ)
246()くも月日(つきひ)(おん)(まも)
247(わが)()(うへ)()(うへ)
248いつかは海路(かいろ)(かぜ)()
249(たす)けの(ふね)(あら)はれて
250(こひ)しきスマの故郷(ふるさと)
251(かへ)られる(こと)もあらうかと
252()()(なほ)()()つて
253天地(てんち)御恩(ごおん)感謝(かんしや)しつ
254際限(さいげん)もなき海原(うなばら)
255(なが)めて(また)もや(いき)かへり
256いつしか(さび)しさ(かな)しさも
257歓喜(くわんき)(なみだ)となりかはる
258(ひと)(こころ)()ちやうで
259安全(あんぜん)地帯(ちたい)(この)(しま)
260地獄(ぢごく)(そこ)(かん)じたり
261天国(てんごく)浄土(じやうど)(かん)じつつ
262悲喜(ひき)交々(こもごも)生涯(しやうがい)
263(おく)りし(われ)(くし)びなれ
264ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
265(かみ)御霊(みたま)幸倍(さちはへ)
266今日(けふ)生日(いくひ)生時(いくとき)
267三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
268初稚姫(はつわかひめ)のお弟子(でし)なる
269数多(あまた)(つかさ)(たす)けられ
270(また)もや(こひ)しき(おん)(あるじ)
271無事(ぶじ)なお(かほ)()(をが)
272(ひさ)(ぶり)にて故郷(ふるさと)
273(かへ)()くこそ(うれ)しけれ
274(うれ)(なみだ)(むね)()
275(こころ)はいそいそ()()(おも)
276(ゆめ)(うつつ)(まぼろし)
277(われ)()()がはかられぬ
278(ふか)(めぐみ)のキヨの(うみ)
279浪間(なみま)(すべ)(かへ)()
280スマの(やかた)(かへ)りなば
281主人(あるじ)(つま)のサーベルさま
282(うれ)(なみだ)(たた)へつつ
283手足(てあし)()りつきし()みつき
284(よろこ)びたまふ(こと)だらう
285(わたし)(もと)より独身者(ひとりもの)
286ようまアお(かへ)りなさつたと
287(おと)のう(つま)()りませぬ
288(おも)へば(おも)へば味気(あぢき)なき
289憂世(うきよ)(わた)独身者(ひとりもの)
290(あはれ)みたまへ惟神(かむながら)
291(かみ)(をしへ)神司(かむづかさ)
292(こころ)(つも)りしありたけを
293(ひと)つも(のこ)さず()()して
294(すく)ひを(ねが)(たてまつ)
295三年振(さんねんぶり)にて(うみ)(うへ)
296目無(めなし)堅間(かたま)(ふね)()
297(かへ)りて()くぞ有難(ありがた)
298主従(しゆじゆう)二人(ふたり)(つつし)みて
299(この)()(すく)大神(おほかみ)
300御前(みまへ)感謝(かんしや)(たてまつ)
301ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
302御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
303伊太(いた)『アハハハハ、304矢張(やつぱり)アンチーさまも一人(ひとり)(さび)しいと()えるな、
305(いへ)(かへ)つて()()(わたし)
306(かど)(むか)へる(つま)はない。
307()筆法(ひつぱふ)ぢやな。308それや(わたし)(おな)(こと)だ。309折角(せつかく)宣伝使(せんでんし)(さま)のお(とも)して、310功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はし(いへ)(かへ)つた(ところ)で、311(かんが)へて()れば(つま)もなし、312ほんに(おも)へば(おも)へば(さび)しいものだよ。313(まへ)三千彦(みちひこ)さまの夫婦(ふうふ)()れを()(けなり)うなつて()たのだな。314(しか)しこの伊太彦(いたひこ)双手(もろて)()げて賛成(さんせい)だ。315ヤア(これ)(おれ)一人(ひとり)知己(ちき)()たものだ。316同病(どうびやう)相憐(あひあは)れむと()(こと)があるからアンチーさま今後(こんご)(わたし)(かた)握手(あくしゆ)をして(たがひ)(ちから)にならうぢやないか。317(まへ)(わたし)私交(しかう)(じやう)(こと)だから(べつ)先生(せんせい)(ゆる)しを()ける必要(ひつえう)もなし、318三千彦(みちひこ)さまや、319真純彦(ますみひこ)さまに気兼(きがね)()らぬ。320(ひと)日英(にちえい)同盟(どうめい)でもやらうぢやないか。321なあアンチーさま』
322アンチー『ハイ、323有難(ありがた)う、324何分(なにぶん)宜敷(よろし)(ねが)ひます。325(わたし)何時(いつ)(まで)()主人(しゆじん)(うち)()厄介(やくかい)になつて()るのも(つま)りませぬから、326(なん)とか(くに)(かへ)つたら()()(かた)(かんが)へねばならないと(おも)ふて()ます』
327伊太(いた)『ヤア、328そりや感心(かんしん)だ、329さうなくてはならぬ。330もし三千彦(みちひこ)さま、331(わたし)同性(どうせい)女房(にようばう)()ちましたから、332何卒(どうぞ)宜敷(よろし)()交際(かうさい)(ねが)ひます、333アハハハハ』
334大正一二・三・二九 旧二・一三 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)

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