霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二二章 獣婚(じうこん)〔一四九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻 篇:第4篇 猩々潔白 よみ(新仮名遣い):しょうじょうけっぱく
章:第22章 獣婚 よみ(新仮名遣い):じゅうこん 通し章番号:1497
口述日:1923(大正12)年03月30日(旧02月14日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
バーチルやようやく懐かしの我が家に帰ってきたが、妻のサーベルは床の間に厳然と控えてニコニコしていた。そしてバーチルの姿を見るとヒラリと床の間を飛び下りて、猿のような怪しい声を張り上げた。
サーベルは、自分は猩々の女王であり、賤しい獣の肉体のままサーベルに着いていくわけにも行かず、身を投げて死し、バーチルの妻の肉体に懸ったのだと語り始めた。
玉国別は、サーベルは一体二霊だから因縁としてこのまま仲良く暮らすのがよいとバーチルを諭した。バーチルは納得がいかない面持である。
サーベルに懸った猩々の女王はその因縁を語りだした。それによると、猩々の女王の夫の猩々王は、アヅモス山を守護していたが、バーチルの父バークスの罠にかかって命を落としたという。
そして夫猩々王の精霊は、バークスの息子であるバーチルの肉体に納まったのだという。猩々女王は夫の死後、眷属をひきつれてアヅモス山を逃げ出し、船に乗って猩々島に隠れ、夫の精霊がやってくるのを待っていたのだという。
バーチルが漁をやめられずに船に焦がれていたのも、猩々王の精霊がなした業であり、そのために難船して三年前に猩々島に流れ着き、猩々の女王と夫婦となっていたのだと明かした。
玉国別は不思議な因縁を受け入れるようバーチルを諭した。一同はこの不思議な物語を聞いてそれぞれ述懐の歌を歌った。
サーベルは我に返った。そして自分の肉体に宿っている猩々姫が語ったことや歌った歌を聞いて、覚悟はできたから、このまま一体二霊にて夫婦として過ごそうとバーチルに呼びかけた。
玉国別は、人間は精霊の宿泊所のようなものであり、その精霊は一方は愛善の徳を受けて天国に向かい、一方は悪と虚偽の愛のために地獄に向かっていると説いた。善悪混淆の中間状態にあるのが人間であるから、愛と善と信の真によってあらゆる徳を積み、天国天人の班に加わらなければならないと続けた。
そこへ下女がたくさんな馳走をこしらえて膳部を運んできた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5822
愛善世界社版:269頁 八幡書店版:第10輯 465頁 修補版: 校定版:285頁 普及版:108頁 初版: ページ備考:
001 玉国別(たまくにわけ)先頭(せんとう)にバーチルは三年振(さんねんぶ)りに(こひ)しき(わが)()表門(おもてもん)(くぐ)つた。002四辺(あたり)光景(くわうけい)自分(じぶん)不在(るす)にも似合(にあ)はず、003(きは)めて生々(いきいき)として()る。004(には)手入(てい)れも殊更(ことさら)行届(ゆきとど)き、005牡丹(ぼたん)006芍薬(しやくやく)007燕子花(あやめ)008日和草(ひよりぐさ)009その(ほか)鳳仙花(ほうせんくわ)010鶏頭(けいとう)(など)が、011広庭(ひろには)彼方(あちら)此方(こちら)主人(しゆじん)不在(るす)()らず(がほ)に、012(えん)(きそ)ふて()(ほこ)つて()る。013(すずめ)(つばめ)主人(しゆじん)(かへ)りを(しゆく)するものの(ごと)く、014殊更(ことさら)(たか)(こゑ)をして(さへづ)()した。015バーチルは感慨(かんがい)無量(むりやう)面持(おももち)にて表玄関(おもてげんくわん)より玉国別(たまくにわけ)(したが)ひ、016(おく)()(ふか)(すす)()る。
017 自分(じぶん)(ひさ)()りに(かへ)つて()たのだから女房(にようばう)のサーベルは(みち)四五丁(しごちやう)(よろこ)んで(むか)へに()()さうなものだのに、018どうしたものか、019玄関口(げんくわんぐち)(まで)(むか)へに()ないのは、020(なに)大病(たいびやう)でも(わづら)つて()るのではあるまいかと(あん)(なが)ら、021(わが)居間(ゐま)宣伝使(せんでんし)(とも)(すす)()れば、022サーベル(ひめ)(とこ)()儼然(げんぜん)として胡座(あぐら)をかき、023両手(りやうて)をキチンと(あは)して、024莞爾(にこにこ)(なが)(ひか)へて()る。
025 バーチルの姿(すがた)()るより(とこ)()をヒラリと()()り、026『キャッキャッ』と(あや)しき(こゑ)()()(なが)ら、
027サーベル『ホホホホホこれはこれはお旦那(だんな)(さま)028えらう(おそ)(こと)(ござ)いましたね。029(わたし)一歩(ひとあし)(さき)(まゐ)りまして(しもべ)準備(じゆんび)をさせ、030()つてゐましたのよ。031貴方(あなた)(わたし)(さん)(ねん)(あひだ)032あの(はな)(じま)()苦労(くらう)なさいましたね。033もう此処(ここ)へお(かへ)りになれば(なに)かにつけて便利(べんり)もよく、034何卒(どうぞ)幾久敷(いくひさし)偕老(かいらう)同穴(どうけつ)(ちぎり)(むす)んで(くだ)さいます(やう)にお(ねが)(まを)します。035宣伝使(せんでんし)(さま)(わたし)肉体(にくたい)()れて(かへ)つてやらうかと親切(しんせつ)仰有(おつしや)つて(くだ)さいましたが、036(なん)()つても畜生(ちくしやう)肉体(にくたい)037到底(たうてい)立派(りつぱ)貴方(あなた)(さま)のお(そば)(つか)へる(こと)出来(でき)ぬと(ぞん)じまして海中(かいちう)()(とう)じ、038(しやう)(へん)じて奥様(おくさま)肉体(にくたい)(かか)りました。039(わたし)貴方(あなた)(あい)して(くだ)さつた猩々(しやうじやう)夫人(ふじん)(ござ)います。040第二(だいに)夫人(ふじん)として使(つか)つて(くだ)さいませ』
041バーチル『はて、042合点(がてん)のゆかぬ(こと)だな。043もし先生(せんせい)(さま)044(おく)発狂(はつきやう)したのではありますまいか。045怪体(けたい)(こと)(まを)すぢや(ござ)いませぬか』
046玉国(たまくに)『いや(けつ)して発狂(はつきやう)でも(なん)でもありませぬ。047精神(せいしん)清浄(しやうじやう)潔白(けつぱく)にして純朴(じゆんぼく)無垢(むく)猩々姫(しやうじやうひめ)(さま)が、048貴方(あなた)(した)つて精霊(せいれい)となり、049奥様(おくさま)肉体(にくたい)にお宿(やど)りなさつたのですよ。050これも因縁(いんねん)(ござ)いますから仲良(なかよ)うお(くら)(くだ)さいませ』
051バーチル『(なん)だか化物(ばけもの)(やう)(かん)じが(いた)します。052(いや)らしい(もの)ですな。053さうして(おく)(たましひ)はどうなつたでせうか』
054玉国(たまくに)奥様(おくさま)とお二人(ふたり)ですよ。055つまり一体(いつたい)二霊(にれい)ですから(これ)因縁(いんねん)(あきら)めて仲良(なかよ)くお(くら)しなさるが(よろ)しい。056これには(なに)(ふか)因縁(いんねん)(この)()(からま)つてあるに(ちが)ひありませぬ』
057バーチル『へー………』
058サーベル『(わたし)(をつと)はアヅモス(さん)天王(てんわう)(もり)守護(しゆご)して()猩々(しやうじやう)(ござ)いましたが、059バーチルさまの父上(ちちうへ)バークスさまが(わたし)(をつと)(おとし)にかけ(いのち)()られました。060それ(ゆゑ)精霊(せいれい)()(ところ)がありませぬので、061バークス(さま)()息子(そくし)062(すなは)(この)(をつと)バーチルさまの肉体(にくたい)(をさ)まりましたので(ござ)います。063()はばバーチルさまの精霊(せいれい)(わたし)(をつと)(ござ)います。064(わたし)眷族(けんぞく)()()れ、065アヅモス(さん)(もり)()()し、066磯辺(いそべ)(つな)いであつた(ふね)眷族(けんぞく)()せ、067(やうや)猩々(しやうじやう)(しま)(わた)つて(をつと)()るのを()つて()りました。068それ(ゆゑ)(わたし)精霊(せいれい)(をつと)精霊(せいれい)(かよ)ひし()めバーチルさまは(うみ)()るのが()きになり、069(れふ)(あそ)ばし到頭(たうとう)漁船(ぎよせん)難破(なんぱ)して(わたし)(しま)漂着(へうちやく)(あそ)ばす(やう)(をつと)精霊(せいれい)(いた)したので(ござ)います。070(けつ)して三年前(さんねんぜん)から夫婦(ふうふ)になつたのでは(ござ)いませぬ』
071バーチル『はてな、072さうすると(わし)矢張(やつぱ)二人暮(ふたりぐら)しであつたのか。073(なん)とまア合点(がてん)のいかぬものだな。074いつの()にか猩々彦(しやうじやうひこ)生宮(いきみや)となつてゐたものと()える。075()ても()ても合点(がつてん)のゆかぬ(こと)だな』
076玉国(たまくに)霊魂(みたま)(ちから)()ふものは(おそ)ろしいもので(ござ)いますよ。077()はば貴方(あなた)肉体(にくたい)はバーチルさまと猩々彦(しやうじやうひこ)合体(がつたい)078奥様(おくさま)肉体(にくたい)はサーベル(ひめ)猩々姫(しやうじやうひめ)合体(がつたい)ですから一夫婦(ひとふうふ)二夫婦(ふたふうふ)生活(せいくわつ)(いとな)んでゐる(やう)なものです』
079バーチル『(おも)ひきや猩々彦(しやうじやうひこ)肉宮(にくみや)
080()らず()らずに()()ごしける。
081()(ひる)(うみ)(うへ)のみ憧憬(あこが)れて
082(すなど)りせしも仇事(あだごと)でなし』
083サーベル『(こころ)なき(ひと)(ほこ)をば()(なが)
084猩々(しやうじやう)(しま)より(たま)(かよ)はせつ。
085猩々(しやうじやう)果敢(はか)なき()をば()(なが)
086(もの)()(ひと)宿(やど)(うれ)しさ』
087伊太彦(いたひこ)『これはしたり(おも)ひも()らぬローマンスを
088()のあたり()(いぶ)かしさかな。
089三千彦(みちひこ)(かみ)(つかさ)(こころ)せよ
090(なれ)猩々(しやうじやう)身霊(みたま)ならずや』
091三千彦(みちひこ)『バーチルは(たから)()める(ひと)なれば
092二重(にぢう)生活(せいくわつ)(くる)しからまじ。
093さり(なが)(たから)(まづ)しき三千彦(みちひこ)
094二重(にぢう)生活(せいくわつ)する(すべ)もなし』
095デビス(ひめ)(われ)とても矢張(やつぱり)二重(にぢう)生活(せいくわつ)
096(かみ)()さしの(せい)守護神(しゆごじん)()す』
097伊太彦(いたひこ)『それならば(おれ)矢張(やつぱり)(おな)(こと)
098(ほん)(せい)(ふく)三重(さんぢう)生活(せいくわつ)
099真純彦(ますみひこ)()(なか)(ひと)(いづ)れも(おな)(こと)
100(ぜん)(あく)との(たま)容物(いれもの)
101玉国別(たまくにわけ)天地(あめつち)(まこと)(みち)(さと)りけり
102(こころ)より()(ひと)生涯(しやうがい)
103猩々(しやうじやう)(みな)天地(あめつち)生神(いきがみ)
104(たふと)(たま)(わか)れなりけり。
105猩々姫(しやじやうひめ)主人(あるじ)(つく)誠心(まごころ)
106()るにつけても(なみだ)こぼるる』
107三千彦(みちひこ)(ひと)(かは)()(けだもの)(おほ)()
108(けもの)(かは)()たる(ひと)あり。
109毛衣(けごろも)()いで芽出(めで)たく猩々姫(しやうじやうひめ)
110(いま)(あらた)めて(ひと)(かは)()る。
111つまを()二人(ふたり)(なか)(また)二人(ふたり)
112つま()(ひと)獣婚(じうこん)重婚(ぢうこん))と()ふ』
113サーベル『有難(ありがた)(かみ)大路(おほぢ)目覚(めざ)めたる
114(みち)(つかさ)(いづ)言霊(ことたま)
115バーチル『()うならば(ただ)何事(なにごと)(かみ)(さま)
116(まか)せて()をば(やす)(わた)らむ。
117猩々姫(しやうじやうひめ)(つま)(からだ)宿(やど)として
118(われ)(つか)へよ千代(ちよ)八千代(やちよ)に』
119アンチー『これは(また)(おも)ひもよらぬ出来事(できごと)
120(あき)()てたる(わが)(こころ)かな。
121さり(なが)(なさけ)(みち)(おな)(こと)
122殊更(ことさら)(きよ)(ひめ)御心(みこころ)
123アキス『奥様(おくさま)(ただ)一心(いつしん)(おも)ひつめ
124猩々(しやうじやう)(ひめ)(つか)へけるかな』
125カール『肉体(にくたい)はよし猩々(しやうじやう)()すとても
126(こころ)(きよ)(ひめ)(たふと)き』
127玉国別(たまくにわけ)霊界(れいかい)のその消息(せうそく)詳細(まつぶさ)
128(をし)(たま)ひぬ(いづ)大神(おほかみ)
129(とり)(けもの)虫族(むしけら)草木(くさき)(いた)るまで
130(すめ)大神(おほかみ)(うづ)(みたま)よ。
131()ちて()くばかりが(ひと)所作(しよさ)でなし
132(まこと)()つる(ひと)(ひと)なれ。
133(ひと)(おほ)(ひと)(なか)にも(ひと)ぞなき
134あらぬ(けもの)(ひと)(かは)()て。
135表面(うはべ)こそ(ひと)()ゆれど(たましひ)
136(けもの)(おほ)(いま)()(なか)
137サーベル『猩々姫(しやうじやうひめ)(しばら)(ひか)(たてまつ)
138サーベル(ひめ)(くち)(ゆづ)りて』
139サーベル『()(きみ)(かへ)りまししと()きしより
140(こころ)(いさ)みぬ()もたなしらに。
141()(きみ)(かば)(たま)ひし猩々姫(しやうじやうひめ)
142(わが)()宿(やど)(さだ)めましける。
143(なん)となく()(すこや)かになりにけり
144(はら)(ちから)()()ちしより。
145猩々(しやうじやう)(ひめ)(みこと)生身霊(いくみたま)
146(わが)()(つよ)(まも)りますらむ』
147伊太彦(いたひこ)何事(なにごと)(かみ)のまにまに(ひと)()
148(つか)ふべき(よし)(いま)(さと)りぬ』
149サーベル(ひめ)『これは これは旦那(だんな)(さま)150(なつか)しう(ござ)います。151ようまア無事(ぶじ)でお(かへ)(くだ)さいました。152貴方(あなた)行衛(ゆくゑ)(わか)らなくなつてからと()ふものは朝夕(あさゆふ)アヅモス(さん)天王(てんわう)(もり)参拝(さんぱい)(いた)し、153種々(いろいろ)()祈願(きぐわん)()めましたが、154どうしても()所在(ありか)(わか)りませぬので、155荒波(あらなみ)()まれて魚腹(ぎよふく)(はうむ)られた(こと)観念(くわんねん)しまして、156(かたち)(ばか)りの野辺(のべ)(おく)りを()ませ、157(あさ)天王(てんわう)(もり)(をつと)冥福(めいふく)(いの)り、158(ゆふべ)はアヅモス(さん)山腹(さんぷく)(はか)参詣(さんけい)し、159(かな)しき光陰(くわういん)今日(こんにち)(まで)(おく)つて(まゐ)りました。160さうした(ところ)161二三(にさん)(にち)以前(いぜん)より(にはか)(わたし)(からだ)(おも)くなり、162(はら)(なか)から種々(いろいろ)(こと)(ささや)()し、163貴方(あなた)(ちか)(うち)無事(ぶじ)にお(かへ)りになるとの()らせ、164それ(ゆゑ)二人(ふたり)(しもべ)浜辺(はまべ)()し、165(かへ)りを()たせて()りました。166(わたし)肉体(にくたい)には猩々姫(しやうじやうひめ)とやら()精霊(せいれい)宿(やど)つてる(やう)(ござ)いますが、167最前(さいぜん)からの猩々姫(しやうじやうひめ)(うた)()きまして、168最早(もはや)覚悟(かくご)(いた)しました。169何卒(どうぞ)仲良(なかよ)くして()ふて(くだ)さいませ。170(ねが)ひで(ござ)います』
171バーチル『ああ女房(にようばう)172どうやら本性(ほんしやう)になつたらしい。173(じつ)(ところ)はお(まへ)本当(ほんたう)(こゑ)()きたかつたのだ。174(いま)()んだ(うた)はお(まへ)(おぼ)えて()るかな』
175サーベル『はい、176(わたし)貴方(あなた)御存(ごぞん)じの(とほ)(うた)なんか(ひと)つも出来(でき)ませぬ。177猩々姫(しやうじやうひめ)(さま)(わたし)(かは)つて(うた)()んでやらうと(はら)(なか)仰有(おつしや)いまして、178あの(とほ)(めづ)らしい(うた)()めたので(ござ)います』
179バーチル『うん、180さうに(ちが)ひない。181到底(たうてい)(まへ)(かんが)へではあんな詩才(しさい)があるとは(おも)はなかつた。182ほんに不思議(ふしぎ)なものだな』
183伊太彦(いたひこ)『さうすると奥様(おくさま)よりも猩々姫(しやうじやうひめ)さまの(はう)余程(よほど)詩才(しさい)()んでゐられると()えますな。184いや(おそ)()つた。185(これ)では人間(にんげん)廃業(はいげふ)()くなつて()る』
186玉国別(たまくにわけ)伊太彦(いたひこ)さま、187(まへ)だつてチヨコチヨコ(めう)(うた)(うた)ふが(けつ)してお(まへ)知識(ちしき)産物(さんぶつ)ぢやないよ。188(みんな)副守(ふくしゆ)先生(せんせい)がお(まへ)(くち)()つて(ござ)()けだよ。189(ひと)精霊(せいれい)のサツクの(やう)(もの)だからな。190アハハハハ』
191伊太(いた)精霊(せいれい)のサツク、192ヘー、193つまらぬものですな。194さう(かんが)へて()ると(べつ)(うた)稽古(けいこ)したでもなし、195(すぐ)当意(たうい)即妙(そくめう)名歌(めいか)(うか)んで()ると(おも)つたら、196矢張(やつぱり)守護神(しゆごじん)さまが仰有(おつしや)つたのですかな。197さうすると(わたし)()本体(ほんたい)何処(どこ)にあるのでせうかな』
198玉国(たまくに)人間(にんげん)(すべ)精霊(せいれい)宿泊所(しゆくはくしよ)(やう)なものだ。199そして(その)精霊(せいれい)一方(いつぱう)愛善(あいぜん)(とく)()けて天国(てんごく)(むか)ひ、200一方(いつぱう)(あく)虚偽(きよぎ)との(あい)(ため)地獄(ぢごく)(むか)つて()る。201善悪(ぜんあく)混淆(こんかう)中間(ちうかん)状態(じやうたい)にゐるのが所謂(いはゆる)人間(にんげん)だ。202それだから八衢(やちまた)人足(にんそく)(かみ)(さま)仰有(おつしや)るのも(けつ)して誣言(ぶげん)ではないよ。203どうしても人間(にんげん)(あい)(ぜん)(しん)(しん)()つて所在(あらゆる)(とく)()天国(てんごく)天人(てんにん)(はん)(くは)はらなねばならないのだ。204()(なが)天人(てんにん)(れつ)(くは)はつて(ござ)るのは、205あの初稚姫(はつわかひめ)(さま)だ。206あの(やう)立派(りつぱ)()精神(せいしん)にならなくては到底(たうてい)人間(にんげん)として(うま)れて()功能(こうのう)がないのだ。207それで(わし)(たち)(はや)くその(ゐき)(たつ)したいと(おも)つて(かみ)(さま)御用(ごよう)(つと)めて()るのだよ』
208 ()(はな)(ところ)下女(げぢよ)沢山(たくさん)馳走(ちそう)(こしら)へ、
209下女(げぢよ)『さア(みな)さま、210御飯(ごはん)出来(でき)ました。211(ゆつ)くりお(あが)(くだ)さいませ』
212()(なが)膳部(ぜんぶ)(はこ)()る。
213大正一二・三・三〇 旧二・一四 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→