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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
第1章 神風
第2章 多数尻
第3章 怪散
第4章 銅盥
第5章 潔別
第2篇 湖上神通
第6章 茶袋
第7章 神船
第8章 孤島
第9章 湖月
第3篇 千波万波
第10章 報恩
第11章 欵乃
第12章 素破抜
第13章 兎耳
第14章 猩々島
第15章 哀別
第16章 聖歌
第17章 怪物
第18章 船待
第4篇 猩々潔白
第19章 舞踏
第20章 酒談
第21章 館帰
第22章 獣婚
第23章 昼餐
第24章 礼祭
第25章 万歳楽
余白歌
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霊界物語
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真善美愛(第49~60巻)
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第58巻(酉の巻)
> 第4篇 猩々潔白 > 第22章 獣婚
<<< 館帰
(B)
(N)
昼餐 >>>
第二二章
獣婚
(
じうこん
)
〔一四九七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第4篇 猩々潔白
よみ(新仮名遣い):
しょうじょうけっぱく
章:
第22章 獣婚
よみ(新仮名遣い):
じゅうこん
通し章番号:
1497
口述日:
1923(大正12)年03月30日(旧02月14日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
バーチルやようやく懐かしの我が家に帰ってきたが、妻のサーベルは床の間に厳然と控えてニコニコしていた。そしてバーチルの姿を見るとヒラリと床の間を飛び下りて、猿のような怪しい声を張り上げた。
サーベルは、自分は猩々の女王であり、賤しい獣の肉体のままサーベルに着いていくわけにも行かず、身を投げて死し、バーチルの妻の肉体に懸ったのだと語り始めた。
玉国別は、サーベルは一体二霊だから因縁としてこのまま仲良く暮らすのがよいとバーチルを諭した。バーチルは納得がいかない面持である。
サーベルに懸った猩々の女王はその因縁を語りだした。それによると、猩々の女王の夫の猩々王は、アヅモス山を守護していたが、バーチルの父バークスの罠にかかって命を落としたという。
そして夫猩々王の精霊は、バークスの息子であるバーチルの肉体に納まったのだという。猩々女王は夫の死後、眷属をひきつれてアヅモス山を逃げ出し、船に乗って猩々島に隠れ、夫の精霊がやってくるのを待っていたのだという。
バーチルが漁をやめられずに船に焦がれていたのも、猩々王の精霊がなした業であり、そのために難船して三年前に猩々島に流れ着き、猩々の女王と夫婦となっていたのだと明かした。
玉国別は不思議な因縁を受け入れるようバーチルを諭した。一同はこの不思議な物語を聞いてそれぞれ述懐の歌を歌った。
サーベルは我に返った。そして自分の肉体に宿っている猩々姫が語ったことや歌った歌を聞いて、覚悟はできたから、このまま一体二霊にて夫婦として過ごそうとバーチルに呼びかけた。
玉国別は、人間は精霊の宿泊所のようなものであり、その精霊は一方は愛善の徳を受けて天国に向かい、一方は悪と虚偽の愛のために地獄に向かっていると説いた。善悪混淆の中間状態にあるのが人間であるから、愛と善と信の真によってあらゆる徳を積み、天国天人の班に加わらなければならないと続けた。
そこへ下女がたくさんな馳走をこしらえて膳部を運んできた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5822
愛善世界社版:
269頁
八幡書店版:
第10輯 465頁
修補版:
校定版:
285頁
普及版:
108頁
初版:
ページ備考:
001
玉国別
(
たまくにわけ
)
を
先頭
(
せんとう
)
にバーチルは
三年振
(
さんねんぶ
)
りに
恋
(
こひ
)
しき
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
表門
(
おもてもん
)
を
潜
(
くぐ
)
つた。
002
四辺
(
あたり
)
の
光景
(
くわうけい
)
は
自分
(
じぶん
)
の
不在
(
るす
)
にも
似合
(
にあ
)
はず、
003
極
(
きは
)
めて
生々
(
いきいき
)
として
居
(
ゐ
)
る。
004
庭
(
には
)
の
手入
(
てい
)
れも
殊更
(
ことさら
)
行届
(
ゆきとど
)
き、
005
牡丹
(
ぼたん
)
、
006
芍薬
(
しやくやく
)
、
007
燕子花
(
あやめ
)
、
008
日和草
(
ひよりぐさ
)
、
009
その
外
(
ほか
)
鳳仙花
(
ほうせんくわ
)
、
010
鶏頭
(
けいとう
)
等
(
など
)
が、
011
広庭
(
ひろには
)
の
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
に
主人
(
しゆじん
)
の
不在
(
るす
)
を
知
(
し
)
らず
顔
(
がほ
)
に、
012
艶
(
えん
)
を
競
(
きそ
)
ふて
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
013
雀
(
すずめ
)
や
燕
(
つばめ
)
は
主人
(
しゆじん
)
の
帰
(
かへ
)
りを
祝
(
しゆく
)
するものの
如
(
ごと
)
く、
014
殊更
(
ことさら
)
高
(
たか
)
い
声
(
こゑ
)
をして
囀
(
さへづ
)
り
出
(
だ
)
した。
015
バーチルは
感慨
(
かんがい
)
無量
(
むりやう
)
の
面持
(
おももち
)
にて
表玄関
(
おもてげんくわん
)
より
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひ、
016
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
017
自分
(
じぶん
)
が
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだから
女房
(
にようばう
)
のサーベルは
道
(
みち
)
の
四五丁
(
しごちやう
)
も
喜
(
よろこ
)
んで
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
さうなものだのに、
018
どうしたものか、
019
玄関口
(
げんくわんぐち
)
迄
(
まで
)
も
迎
(
むか
)
へに
来
(
こ
)
ないのは、
020
何
(
なに
)
か
大病
(
たいびやう
)
でも
患
(
わづら
)
つて
居
(
ゐ
)
るのではあるまいかと
案
(
あん
)
じ
乍
(
なが
)
ら、
021
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
と
共
(
とも
)
に
進
(
すす
)
み
見
(
み
)
れば、
022
サーベル
姫
(
ひめ
)
は
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
儼然
(
げんぜん
)
として
胡座
(
あぐら
)
をかき、
023
両手
(
りやうて
)
をキチンと
合
(
あは
)
して、
024
莞爾
(
にこにこ
)
し
乍
(
なが
)
ら
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
025
バーチルの
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
をヒラリと
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り、
026
『キャッキャッ』と
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ
乍
(
なが
)
ら、
027
サーベル『ホホホホホこれはこれはお
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
028
えらう
遅
(
おそ
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いましたね。
029
妾
(
わたし
)
は
一歩
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
へ
参
(
まゐ
)
りまして
僕
(
しもべ
)
に
準備
(
じゆんび
)
をさせ、
030
待
(
ま
)
つてゐましたのよ。
031
貴方
(
あなた
)
も
妾
(
わたし
)
と
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
が
間
(
あひだ
)
、
032
あの
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
に
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
なさいましたね。
033
もう
此処
(
ここ
)
へお
帰
(
かへ
)
りになれば
何
(
なに
)
かにつけて
便利
(
べんり
)
もよく、
034
何卒
(
どうぞ
)
幾久敷
(
いくひさし
)
く
偕老
(
かいらう
)
同穴
(
どうけつ
)
の
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
んで
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します。
035
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
も
妾
(
わたし
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
つてやらうかと
親切
(
しんせつ
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいましたが、
036
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
畜生
(
ちくしやう
)
の
肉体
(
にくたい
)
、
037
到底
(
たうてい
)
立派
(
りつぱ
)
な
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
のお
側
(
そば
)
に
仕
(
つか
)
へる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬと
存
(
ぞん
)
じまして
海中
(
かいちう
)
に
身
(
み
)
を
投
(
とう
)
じ、
038
性
(
しやう
)
を
変
(
へん
)
じて
奥様
(
おくさま
)
の
肉体
(
にくたい
)
に
憑
(
かか
)
りました。
039
妾
(
わたし
)
は
貴方
(
あなた
)
の
愛
(
あい
)
して
下
(
くだ
)
さつた
猩々
(
しやうじやう
)
夫人
(
ふじん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
040
第二
(
だいに
)
夫人
(
ふじん
)
として
使
(
つか
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
041
バーチル『はて、
042
合点
(
がてん
)
のゆかぬ
事
(
こと
)
だな。
043
もし
先生
(
せんせい
)
様
(
さま
)
、
044
奥
(
おく
)
は
発狂
(
はつきやう
)
したのではありますまいか。
045
怪体
(
けたい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
046
玉国
(
たまくに
)
『いや
決
(
けつ
)
して
発狂
(
はつきやう
)
でも
何
(
なん
)
でもありませぬ。
047
精神
(
せいしん
)
清浄
(
しやうじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
にして
純朴
(
じゆんぼく
)
無垢
(
むく
)
な
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
様
(
さま
)
が、
048
貴方
(
あなた
)
を
慕
(
した
)
つて
精霊
(
せいれい
)
となり、
049
奥様
(
おくさま
)
の
肉体
(
にくたい
)
にお
宿
(
やど
)
りなさつたのですよ。
050
これも
因縁
(
いんねん
)
で
厶
(
ござ
)
いますから
仲良
(
なかよ
)
うお
暮
(
くら
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
051
バーチル『
何
(
なん
)
だか
化物
(
ばけもの
)
の
様
(
やう
)
な
感
(
かん
)
じが
致
(
いた
)
します。
052
嫌
(
いや
)
らしい
者
(
もの
)
ですな。
053
さうして
奥
(
おく
)
の
魂
(
たましひ
)
はどうなつたでせうか』
054
玉国
(
たまくに
)
『
奥様
(
おくさま
)
とお
二人
(
ふたり
)
ですよ。
055
つまり
一体
(
いつたい
)
二霊
(
にれい
)
ですから
之
(
これ
)
も
因縁
(
いんねん
)
と
諦
(
あきら
)
めて
仲良
(
なかよ
)
くお
暮
(
くら
)
しなさるが
宜
(
よろ
)
しい。
056
これには
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
が
此
(
この
)
家
(
や
)
に
絡
(
からま
)
つてあるに
違
(
ちが
)
ひありませぬ』
057
バーチル『へー………』
058
サーベル『
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
はアヅモス
山
(
さん
)
の
天王
(
てんわう
)
の
森
(
もり
)
を
守護
(
しゆご
)
して
居
(
ゐ
)
る
猩々
(
しやうじやう
)
で
厶
(
ござ
)
いましたが、
059
バーチルさまの
父上
(
ちちうへ
)
バークスさまが
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
を
罠
(
おとし
)
にかけ
命
(
いのち
)
を
奪
(
と
)
られました。
060
それ
故
(
ゆゑ
)
精霊
(
せいれい
)
の
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
がありませぬので、
061
バークス
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
息子
(
そくし
)
、
062
即
(
すなは
)
ち
此
(
この
)
夫
(
をつと
)
バーチルさまの
肉体
(
にくたい
)
に
納
(
をさ
)
まりましたので
厶
(
ござ
)
います。
063
云
(
い
)
はばバーチルさまの
精霊
(
せいれい
)
は
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
064
妾
(
わたし
)
は
眷族
(
けんぞく
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
065
アヅモス
山
(
さん
)
の
森
(
もり
)
を
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し、
066
磯辺
(
いそべ
)
に
繋
(
つな
)
いであつた
船
(
ふね
)
に
眷族
(
けんぞく
)
を
乗
(
の
)
せ、
067
漸
(
やうや
)
く
猩々
(
しやうじやう
)
の
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
つて
夫
(
をつと
)
の
来
(
く
)
るのを
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
りました。
068
それ
故
(
ゆゑ
)
妾
(
わたし
)
の
精霊
(
せいれい
)
が
夫
(
をつと
)
の
精霊
(
せいれい
)
と
通
(
かよ
)
ひし
為
(
た
)
めバーチルさまは
海
(
うみ
)
を
見
(
み
)
るのが
好
(
す
)
きになり、
069
漁
(
れふ
)
を
遊
(
あそ
)
ばし
到頭
(
たうとう
)
漁船
(
ぎよせん
)
は
難破
(
なんぱ
)
して
妾
(
わたし
)
の
島
(
しま
)
へ
漂着
(
へうちやく
)
遊
(
あそ
)
ばす
様
(
やう
)
に
夫
(
をつと
)
の
精霊
(
せいれい
)
が
致
(
いた
)
したので
厶
(
ござ
)
います。
070
決
(
けつ
)
して
三年前
(
さんねんぜん
)
から
夫婦
(
ふうふ
)
になつたのでは
厶
(
ござ
)
いませぬ』
071
バーチル『はてな、
072
さうすると
私
(
わし
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り
二人暮
(
ふたりぐら
)
しであつたのか。
073
何
(
なん
)
とまア
合点
(
がてん
)
のいかぬものだな。
074
いつの
間
(
ま
)
にか
猩々彦
(
しやうじやうひこ
)
の
生宮
(
いきみや
)
となつてゐたものと
見
(
み
)
える。
075
扨
(
さ
)
ても
扨
(
さ
)
ても
合点
(
がつてん
)
のゆかぬ
事
(
こと
)
だな』
076
玉国
(
たまくに
)
『
霊魂
(
みたま
)
の
力
(
ちから
)
と
云
(
い
)
ふものは
恐
(
おそ
)
ろしいもので
厶
(
ござ
)
いますよ。
077
云
(
い
)
はば
貴方
(
あなた
)
の
肉体
(
にくたい
)
はバーチルさまと
猩々彦
(
しやうじやうひこ
)
の
合体
(
がつたい
)
、
078
奥様
(
おくさま
)
の
肉体
(
にくたい
)
はサーベル
姫
(
ひめ
)
と
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
の
合体
(
がつたい
)
ですから
一夫婦
(
ひとふうふ
)
で
二夫婦
(
ふたふうふ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
を
営
(
いとな
)
んでゐる
様
(
やう
)
なものです』
079
バーチル『
思
(
おも
)
ひきや
猩々彦
(
しやうじやうひこ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
と
080
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
世
(
よ
)
を
過
(
す
)
ごしける。
081
夜
(
よ
)
も
昼
(
ひる
)
も
湖
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
のみ
憧憬
(
あこが
)
れて
082
漁
(
すなど
)
りせしも
仇事
(
あだごと
)
でなし』
083
サーベル『
心
(
こころ
)
なき
人
(
ひと
)
の
矛
(
ほこ
)
をば
避
(
さ
)
け
乍
(
なが
)
ら
084
猩々
(
しやうじやう
)
ケ
島
(
しま
)
より
魂
(
たま
)
通
(
かよ
)
はせつ。
085
猩々
(
しやうじやう
)
の
果敢
(
はか
)
なき
身
(
み
)
をば
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
086
物
(
もの
)
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
に
宿
(
やど
)
る
嬉
(
うれ
)
しさ』
087
伊太彦
(
いたひこ
)
『これはしたり
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬローマンスを
088
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
る
訝
(
いぶ
)
かしさかな。
089
三千彦
(
みちひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
心
(
こころ
)
せよ
090
汝
(
なれ
)
も
猩々
(
しやうじやう
)
の
身霊
(
みたま
)
ならずや』
091
三千彦
(
みちひこ
)
『バーチルは
宝
(
たから
)
に
富
(
と
)
める
人
(
ひと
)
なれば
092
二重
(
にぢう
)
生活
(
せいくわつ
)
苦
(
くる
)
しからまじ。
093
さり
乍
(
なが
)
ら
宝
(
たから
)
貧
(
まづ
)
しき
三千彦
(
みちひこ
)
は
094
二重
(
にぢう
)
生活
(
せいくわつ
)
する
術
(
すべ
)
もなし』
095
デビス
姫
(
ひめ
)
『
吾
(
われ
)
とても
矢張
(
やつぱり
)
二重
(
にぢう
)
生活
(
せいくわつ
)
よ
096
神
(
かみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
正
(
せい
)
守護神
(
しゆごじん
)
在
(
ま
)
す』
097
伊太彦
(
いたひこ
)
『それならば
俺
(
おれ
)
も
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
098
本
(
ほん
)
正
(
せい
)
副
(
ふく
)
の
三重
(
さんぢう
)
生活
(
せいくわつ
)
』
099
真純彦
(
ますみひこ
)
『
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
人
(
ひと
)
は
何
(
いづ
)
れも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
100
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
との
魂
(
たま
)
の
容物
(
いれもの
)
』
101
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
天地
(
あめつち
)
の
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
悟
(
さと
)
りけり
102
心
(
こころ
)
より
来
(
く
)
る
人
(
ひと
)
の
生涯
(
しやうがい
)
。
103
猩々
(
しやうじやう
)
も
皆
(
みな
)
天地
(
あめつち
)
の
生神
(
いきがみ
)
の
104
尊
(
たふと
)
き
霊
(
たま
)
の
分
(
わか
)
れなりけり。
105
猩々姫
(
しやじやうひめ
)
主人
(
あるじ
)
に
尽
(
つく
)
す
誠心
(
まごころ
)
を
106
見
(
み
)
るにつけても
涙
(
なみだ
)
こぼるる』
107
三千彦
(
みちひこ
)
『
人
(
ひと
)
の
皮
(
かは
)
着
(
き
)
た
獣
(
けだもの
)
の
多
(
おほ
)
き
世
(
よ
)
に
108
獣
(
けもの
)
の
皮
(
かは
)
を
着
(
き
)
たる
人
(
ひと
)
あり。
109
毛衣
(
けごろも
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
芽出
(
めで
)
たく
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
110
今
(
いま
)
更
(
あらた
)
めて
人
(
ひと
)
の
皮
(
かは
)
着
(
き
)
る。
111
つまを
持
(
も
)
つ
二人
(
ふたり
)
の
中
(
なか
)
に
又
(
また
)
二人
(
ふたり
)
112
つま
持
(
も
)
つ
人
(
ひと
)
を
獣婚
(
じうこん
)
(
重婚
(
ぢうこん
)
)と
謂
(
い
)
ふ』
113
サーベル『
有難
(
ありがた
)
し
神
(
かみ
)
の
大路
(
おほぢ
)
に
目覚
(
めざ
)
めたる
114
道
(
みち
)
の
司
(
つかさ
)
の
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
』
115
バーチル『
斯
(
か
)
うならば
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
116
任
(
まか
)
せて
世
(
よ
)
をば
安
(
やす
)
く
渡
(
わた
)
らむ。
117
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
妻
(
つま
)
の
体
(
からだ
)
を
宿
(
やど
)
として
118
吾
(
われ
)
に
仕
(
つか
)
へよ
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に』
119
アンチー『これは
又
(
また
)
思
(
おも
)
ひもよらぬ
出来事
(
できごと
)
よ
120
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
てたる
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
かな。
121
さり
乍
(
なが
)
ら
情
(
なさけ
)
の
道
(
みち
)
は
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
122
殊更
(
ことさら
)
清
(
きよ
)
き
姫
(
ひめ
)
の
御心
(
みこころ
)
』
123
アキス『
奥様
(
おくさま
)
と
只
(
ただ
)
一心
(
いつしん
)
に
思
(
おも
)
ひつめ
124
猩々
(
しやうじやう
)
の
姫
(
ひめ
)
に
仕
(
つか
)
へけるかな』
125
カール『
肉体
(
にくたい
)
はよし
猩々
(
しやうじやう
)
に
在
(
ま
)
すとても
126
心
(
こころ
)
の
清
(
きよ
)
き
姫
(
ひめ
)
ぞ
尊
(
たふと
)
き』
127
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
霊界
(
れいかい
)
のその
消息
(
せうそく
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
128
教
(
をし
)
へ
玉
(
たま
)
ひぬ
厳
(
いづ
)
の
大神
(
おほかみ
)
。
129
鳥
(
とり
)
獣
(
けもの
)
虫族
(
むしけら
)
草木
(
くさき
)
に
至
(
いた
)
るまで
130
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
珍
(
うづ
)
の
霊
(
みたま
)
よ。
131
立
(
た
)
ちて
行
(
ゆ
)
くばかりが
人
(
ひと
)
の
所作
(
しよさ
)
でなし
132
誠
(
まこと
)
を
立
(
た
)
つる
人
(
ひと
)
ぞ
人
(
ひと
)
なれ。
133
人
(
ひと
)
多
(
おほ
)
き
人
(
ひと
)
の
中
(
なか
)
にも
人
(
ひと
)
ぞなき
134
あらぬ
獣
(
けもの
)
が
人
(
ひと
)
の
皮
(
かは
)
着
(
き
)
て。
135
表面
(
うはべ
)
こそ
人
(
ひと
)
と
見
(
み
)
ゆれど
魂
(
たましひ
)
は
136
獣
(
けもの
)
の
多
(
おほ
)
き
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
』
137
サーベル『
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
暫
(
しばら
)
く
控
(
ひか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
る
138
サーベル
姫
(
ひめ
)
に
口
(
くち
)
を
譲
(
ゆづ
)
りて』
139
サーベル『
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
帰
(
かへ
)
りまししと
聞
(
き
)
きしより
140
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
みぬ
身
(
み
)
もたなしらに。
141
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
を
庇
(
かば
)
ひ
玉
(
たま
)
ひし
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
142
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
宿
(
やど
)
と
定
(
さだ
)
めましける。
143
何
(
なん
)
となく
身
(
み
)
も
健
(
すこや
)
かになりにけり
144
腹
(
はら
)
に
力
(
ちから
)
の
充
(
み
)
ち
満
(
み
)
ちしより。
145
猩々
(
しやうじやう
)
の
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
生身霊
(
いくみたま
)
146
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
強
(
つよ
)
く
守
(
まも
)
りますらむ』
147
伊太彦
(
いたひこ
)
『
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
のまにまに
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
148
仕
(
つか
)
ふべき
由
(
よし
)
今
(
いま
)
や
悟
(
さと
)
りぬ』
149
サーベル
姫
(
ひめ
)
『これは これは
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
150
お
懐
(
なつか
)
しう
厶
(
ござ
)
います。
151
ようまア
無事
(
ぶじ
)
でお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいました。
152
貴方
(
あなた
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
が
分
(
わか
)
らなくなつてからと
云
(
い
)
ふものは
朝夕
(
あさゆふ
)
アヅモス
山
(
さん
)
の
天王
(
てんわう
)
の
森
(
もり
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
致
(
いた
)
し、
153
種々
(
いろいろ
)
と
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めましたが、
154
どうしても
御
(
お
)
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
りませぬので、
155
荒波
(
あらなみ
)
に
呑
(
の
)
まれて
魚腹
(
ぎよふく
)
に
葬
(
はうむ
)
られた
事
(
こと
)
と
観念
(
くわんねん
)
しまして、
156
形
(
かたち
)
許
(
ばか
)
りの
野辺
(
のべ
)
の
送
(
おく
)
りを
済
(
す
)
ませ、
157
朝
(
あさ
)
は
天王
(
てんわう
)
の
森
(
もり
)
に
夫
(
をつと
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
り、
158
夕
(
ゆふべ
)
はアヅモス
山
(
さん
)
の
山腹
(
さんぷく
)
の
墓
(
はか
)
に
参詣
(
さんけい
)
し、
159
悲
(
かな
)
しき
光陰
(
くわういん
)
を
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
160
さうした
所
(
ところ
)
、
161
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
以前
(
いぜん
)
より
俄
(
にはか
)
に
妾
(
わたし
)
の
体
(
からだ
)
が
重
(
おも
)
くなり、
162
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
から
種々
(
いろいろ
)
の
事
(
こと
)
を
囁
(
ささや
)
き
出
(
だ
)
し、
163
貴方
(
あなた
)
が
近
(
ちか
)
い
中
(
うち
)
に
無事
(
ぶじ
)
にお
帰
(
かへ
)
りになるとの
知
(
し
)
らせ、
164
それ
故
(
ゆゑ
)
二人
(
ふたり
)
の
僕
(
しもべ
)
を
浜辺
(
はまべ
)
に
出
(
だ
)
し、
165
お
帰
(
かへ
)
りを
待
(
ま
)
たせて
居
(
を
)
りました。
166
妾
(
わたし
)
の
肉体
(
にくたい
)
には
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
とやら
云
(
い
)
ふ
精霊
(
せいれい
)
が
宿
(
やど
)
つてる
様
(
やう
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
167
最前
(
さいぜん
)
からの
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
きまして、
168
最早
(
もはや
)
覚悟
(
かくご
)
は
致
(
いた
)
しました。
169
何卒
(
どうぞ
)
仲良
(
なかよ
)
くして
添
(
そ
)
ふて
下
(
くだ
)
さいませ。
170
お
願
(
ねが
)
ひで
厶
(
ござ
)
います』
171
バーチル『ああ
女房
(
にようばう
)
、
172
どうやら
本性
(
ほんしやう
)
になつたらしい。
173
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はお
前
(
まへ
)
の
本当
(
ほんたう
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
き
)
きたかつたのだ。
174
今
(
いま
)
詠
(
よ
)
んだ
歌
(
うた
)
はお
前
(
まへ
)
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るかな』
175
サーベル『はい、
176
妾
(
わたし
)
は
貴方
(
あなた
)
の
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り
歌
(
うた
)
なんか
一
(
ひと
)
つも
出来
(
でき
)
ませぬ。
177
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
様
(
さま
)
が
妾
(
わたし
)
に
代
(
かは
)
つて
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
んでやらうと
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
仰有
(
おつしや
)
いまして、
178
あの
通
(
とほ
)
り
珍
(
めづ
)
らしい
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
めたので
厶
(
ござ
)
います』
179
バーチル『うん、
180
さうに
違
(
ちが
)
ひない。
181
到底
(
たうてい
)
お
前
(
まへ
)
の
考
(
かんが
)
へではあんな
詩才
(
しさい
)
があるとは
思
(
おも
)
はなかつた。
182
ほんに
不思議
(
ふしぎ
)
なものだな』
183
伊太彦
(
いたひこ
)
『さうすると
奥様
(
おくさま
)
よりも
猩々姫
(
しやうじやうひめ
)
さまの
方
(
はう
)
が
余程
(
よほど
)
詩才
(
しさい
)
に
富
(
と
)
んでゐられると
見
(
み
)
えますな。
184
いや
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つた。
185
之
(
これ
)
では
人間
(
にんげん
)
も
廃業
(
はいげふ
)
し
度
(
た
)
くなつて
来
(
く
)
る』
186
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
伊太彦
(
いたひこ
)
さま、
187
お
前
(
まへ
)
だつてチヨコチヨコ
妙
(
めう
)
な
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふが
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
の
知識
(
ちしき
)
の
産物
(
さんぶつ
)
ぢやないよ。
188
皆
(
みんな
)
副守
(
ふくしゆ
)
先生
(
せんせい
)
がお
前
(
まへ
)
の
口
(
くち
)
を
借
(
か
)
つて
厶
(
ござ
)
る
丈
(
だ
)
けだよ。
189
人
(
ひと
)
は
精霊
(
せいれい
)
のサツクの
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
だからな。
190
アハハハハ』
191
伊太
(
いた
)
『
精霊
(
せいれい
)
のサツク、
192
ヘー、
193
つまらぬものですな。
194
さう
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると
別
(
べつ
)
に
歌
(
うた
)
を
稽古
(
けいこ
)
したでもなし、
195
直
(
すぐ
)
に
当意
(
たうい
)
即妙
(
そくめう
)
の
名歌
(
めいか
)
が
浮
(
うか
)
んで
来
(
く
)
ると
思
(
おも
)
つたら、
196
矢張
(
やつぱり
)
守護神
(
しゆごじん
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
つたのですかな。
197
さうすると
私
(
わたし
)
の
御
(
ご
)
本体
(
ほんたい
)
は
何処
(
どこ
)
にあるのでせうかな』
198
玉国
(
たまくに
)
『
人間
(
にんげん
)
は
凡
(
すべ
)
て
精霊
(
せいれい
)
の
宿泊所
(
しゆくはくしよ
)
の
様
(
やう
)
なものだ。
199
そして
其
(
その
)
精霊
(
せいれい
)
は
一方
(
いつぱう
)
は
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
を
受
(
う
)
けて
天国
(
てんごく
)
に
向
(
むか
)
ひ、
200
一方
(
いつぱう
)
は
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
との
愛
(
あい
)
の
為
(
ため
)
に
地獄
(
ぢごく
)
に
向
(
むか
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
201
善悪
(
ぜんあく
)
混淆
(
こんかう
)
の
中間
(
ちうかん
)
状態
(
じやうたい
)
にゐるのが
所謂
(
いはゆる
)
人間
(
にんげん
)
だ。
202
それだから
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
と
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
るのも
決
(
けつ
)
して
誣言
(
ぶげん
)
ではないよ。
203
どうしても
人間
(
にんげん
)
は
愛
(
あい
)
の
善
(
ぜん
)
と
信
(
しん
)
の
真
(
しん
)
に
依
(
よ
)
つて
所在
(
あらゆる
)
徳
(
とく
)
を
積
(
つ
)
み
天国
(
てんごく
)
天人
(
てんにん
)
の
班
(
はん
)
に
加
(
くは
)
はらなねばならないのだ。
204
生
(
い
)
き
乍
(
なが
)
ら
天人
(
てんにん
)
の
列
(
れつ
)
に
加
(
くは
)
はつて
厶
(
ござ
)
るのは、
205
あの
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
だ。
206
あの
様
(
やう
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
にならなくては
到底
(
たうてい
)
人間
(
にんげん
)
として
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
た
功能
(
こうのう
)
がないのだ。
207
それで
私
(
わし
)
等
(
たち
)
も
早
(
はや
)
くその
域
(
ゐき
)
に
達
(
たつ
)
したいと
思
(
おも
)
つて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
るのだよ』
208
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ
下女
(
げぢよ
)
は
沢山
(
たくさん
)
な
馳走
(
ちそう
)
を
拵
(
こしら
)
へ、
209
下女
(
げぢよ
)
『さア
皆
(
みな
)
さま、
210
御飯
(
ごはん
)
が
出来
(
でき
)
ました。
211
悠
(
ゆつ
)
くりお
食
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
212
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
膳部
(
ぜんぶ
)
を
運
(
はこ
)
び
来
(
く
)
る。
213
(
大正一二・三・三〇
旧二・一四
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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