霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第九章 湖月(こげつ)〔一四八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻 篇:第2篇 湖上神通 よみ(新仮名遣い):こじょうじんつう
章:第9章 湖月 よみ(新仮名遣い):こげつ 通し章番号:1484
口述日:1923(大正12)年03月28日(旧02月12日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
ダルとメートはようやく元気回復し、しわがれ声を張り上げて自分たちの経歴を歌いだした。二人は掟を破って三五教の宣伝使を船に乗せて湖を渡らせた罪で、島流しにあったという。
そしてヤッコス、ハール、サボールらがやってきて自分たちを殺して食おうと襲ってきた罪を歌い、三人に改心を訴えた。
ヤッコスは船端に立って歌い、自分はテルモン湖を見張るバラモン軍の目付頭であり、にわかにしけに出会ってツミの島に部下とともに打ち上げられたのだと述懐を歌った。そして飢えに堪えかねてダルとメートを殺そうと悪心を起こしたことを悔い、三五教の慈悲に対して改心を誓った。
続いて目付のハールも自分の身の飢えと、三五教の宣伝使に助けられた感謝と改心を歌った。そこへにわかに七八艘の海賊船が現れて船の行く手を遮った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-12-07 21:28:00 文字数:3245 OBC :rm5809
愛善世界社版:112頁 八幡書店版:第10輯 411頁 修補版: 校定版:121頁 普及版:44頁 初版: ページ備考:
001浪(なみ)より出(い)でて浪(なみ)に入(い)る
002玉兎(ぎよくと)の玉国別(たまくにわけ)司(つかさ)
003初稚姫(はつわかひめ)の賜(たまは)りし
004目無(めなし)堅間(かたま)の船(ふね)に乗(の)り
005果(はて)しも知(し)らぬ湖原(うなばら)を
006五(ご)人(にん)の男(をとこ)を救(すく)ひつつ
007欵乃(ふなうた)高(たか)く潔(いさぎよ)く
008歌(うた)ひて進(すす)む浪(なみ)の上(うへ)
009星(ほし)の光(ひかり)はキラキラと
010深(ふか)く沈(しづ)める湖(うみ)の底(そこ)
011天津(あまつ)御空(みそら)も船底(せんてい)も
012金砂(きんしや)銀砂(ぎんしや)を鏤(ちりば)めし
013其(その)中間(ちうかん)を渡(わた)り行(ゆ)く
014天(あま)の河原(かはら)は南北(なんぽく)に
015清(きよ)く流(なが)れて果(はて)もなく
016洗(あら)ふたやうな月影(つきかげ)は
017湖底(うみぞこ)深(ふか)くきらきらと
018銀竜(ぎんりう)の如(ごと)く揺(ゆ)らぎ居(を)る
019ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
020神(かみ)の依(よ)さしの宣伝使(せんでんし)
021浪音(なみおと)清(きよ)き音彦(おとひこ)の
022玉国別(たまくにわけ)を初(はじ)めとし
023星(ほし)は御空(みそら)に三千彦(みちひこ)の
024姿(すがた)を写(うつ)す真純空(ますみぞら)
025伊太彦(いたひこ)一(いち)枚(まい)隔(へだ)てたる
026千尋(ちひろ)の深(ふか)き水地獄(みづぢごく)
027デビスの姫(ひめ)と諸共(もろとも)に
028声(こゑ)爽(さはや)かに宣伝歌(せんでんか)
029歌(うた)ひ歌(うた)ひて進(すす)み行(ゆ)く
030天(あま)の川原(かはら)に棹(さを)さして
031エデンの河(かは)に船(ふね)を漕(こ)ぎ
032顕恩郷(けんおんきやう)に上(のぼ)るごと
033心(こころ)涼(すず)しく勇(いさ)ましく
034思(おも)はず知(し)らず進(すす)み行(ゆ)く
035汗(あせ)拭(ふ)き払(はら)ふ夏(なつ)の風(かぜ)
036いやな潮(うしほ)の香(にほひ)なく
037矢(や)を射(い)る如(ごと)く帆(ほ)を孕(はら)み
038マストは弓(ゆみ)に曲(まが)りつつ
039折(をり)から起(おこ)る荒浪(あらなみ)を
040乗(の)り切(き)り乗(の)り切(き)る勇(いさ)ましさ
041長(なが)らく陸路(くがぢ)の旅(たび)を経(へ)し
042玉国別(たまくにわけ)の一行(いつかう)は
043何(なん)とはなしに気(き)も勇(いさ)み
044身(み)も冴(さ)え冴(ざ)えと元気(げんき)よく
045沖(おき)の鴎(かもめ)やアンボイナ
046飛(と)び交(か)ふ景色(けしき)を賞(ほめ)ながら
047天国(てんごく)浄土(じやうど)に昇(のぼ)るごと
048風(かぜ)に任(まか)して馳(はせ)て行(ゆ)く
049危(あやふ)き命(いのち)を救(すく)はれし
050ダルとメートの両人(りやうにん)は
051漸(やうや)く元気(げんき)恢復(くわいふく)し
052皺枯(しわが)れ声(ごゑ)を張(は)り上(あ)げて
053面白(おもしろ)さうに歌(うた)ひ出(だ)す
054メート『私(わたし)の生(うま)れは月(つき)の国(くに)
055テルモン山(ざん)の南麓(なんろく)に
056首陀(しゆだ)と生(うま)れしメーテルの
057私(わたし)は一人(ひとり)の息子(むすこ)です
058三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
059これの湖水(こすい)を渡(わた)らむと
060いと懇(ねもごろ)にことわけて
061宣(の)らせたまひし時(とき)もあれ
062掟(おきて)をやぶると知(し)り乍(なが)ら
063ダルと二人(ふたり)が船(ふね)を出(だ)し
064キヨの港(みなと)にはるばると
065安着(あんちやく)したる時(とき)もあれ
066バラモン教(けう)の目付役(めつけやく)
067カンナ、ヘールの両人(りやうにん)が
068有無(うむ)を云(い)はせず引捉(ひつとら)へ
069キヨの関所(せきしよ)につれ行(ゆ)きて
070三千(さんぜん)五百(ごひやく)の笞(むち)をあて
071揚句(あげく)の果(はて)は船(ふね)に乗(の)せ
072湖中(こちう)に浮(うか)ぶツミの島(しま)
073送(おく)り届(とど)けて逸早(いちはや)く
074逃(に)げ行(ゆ)く後(あと)を打(う)ち眺(なが)め
075悲歎(ひたん)の涙(なみだ)に暮(く)れにける
076家(いへ)に残(のこ)せし父母(ちちはは)は
077如何(いか)に過(すご)させ給(たま)ふらむ
078夢(ゆめ)になりともこの様(さま)を
079知(し)らさむものと思(おも)へども
080翼(つばさ)なき身(み)は如何(いか)にせむ
081音(おと)づるよしも泣逆吃(ないじやくり)
082ダルと二人(ふたり)が抱(いだ)き合(あ)ひ
083世(よ)を果敢(はか)なみて怖(おそ)ろしき
084磯(いそ)に打(う)ち来(く)る浪(なみ)の音(おと)
085頼(たよ)りに月日(つきひ)を送(おく)りつつ
086磯辺(いそべ)の蟹(かに)や貝(かひ)を獲(と)り
087僅(わずか)に露命(ろめい)をつなぎつつ
088救(すく)ひの船(ふね)の一(いち)日(にち)も
089早(はや)く来(きた)れと天地(あめつち)の
090神(かみ)に祈(いの)りをかくる折(をり)
091漂(ただよ)ひ来(きた)る三人(みたり)連(づ)れ
092吾(われ)等(ら)の姿(すがた)を見(み)るよりも
093叩(たた)き殺(ころ)して三(さん)人(にん)が
094餌食(ゑじき)になさむと怖(おそ)ろしき
095其(その)言(こと)の葉(は)を聞(き)くよりも
096狭(せま)き岩窟(いはや)を立(た)ち出(い)でて
097敵(てき)の毒手(どくしゆ)を逃(のが)れつつ
098さしも嶮(けは)しき岩山(いはやま)を
099猿(ましら)の如(ごと)く駆(か)け登(のぼ)り
100手(て)ごろの石(いし)を手(て)に取(と)つて
101人喰(ひとく)ひ人種(じんしゆ)を打(う)ち殺(ころ)し
102吾(わが)身(み)の危難(きなん)を逃(のが)れむと
103心(こころ)を千々(ちぢ)に砕(くだ)きつつ
104最早(もはや)三人(みたり)の食人鬼(しよくじんき)
105吾(わが)なげ下(おろ)す岩片(がんぺん)に
106打(う)たれて脆(もろ)くも身(み)失(う)せしと
107思(おも)ひて窺(うかが)ひ立(たち)よれば
108豈(あに)計(はか)らむや三(さん)人(にん)は
109岩窟(いはや)の中(なか)に端坐(たんざ)して
110白(しろ)い眼(まなこ)を剥(む)きながら
111吾(われ)等(ら)二人(ふたり)の姿(すがた)をば
112見(み)つけて又(また)もや殺(ころ)さむと
113力(ちから)限(かぎ)りに追(お)ひ来(きた)る
114吾(われ)等(ら)二人(ふたり)は大切(たいせつ)の
115命(いのち)を取(と)られちやならないと
116息(いき)絶(た)え絶(だ)えに逃(に)げ出(いだ)し
117ピツタリと止(と)まつた簫(せう)の岩(いは)
118進退(しんたい)茲(ここ)に谷(きは)まりて
119窮鼠(きうそ)却(かへつ)て猫(ねこ)を食(は)む
120命(いのち)を的(まと)に逆襲(ぎやくしふ)と
121騎(こま)立(た)て直(なほ)す苦(くる)しさよ
122茲(ここ)に五(ご)人(にん)は全身(ぜんしん)の
123力(ちから)を籠(こ)めて揉(も)み合(あ)ひつ
124疲(つか)れて互(たがひ)に打(う)ち倒(たふ)れ
125前後(ぜんご)不覚(ふかく)になりにけり
126時(とき)しもあれや三五(あななひ)の
127救(すく)ひの道(みち)を述(の)べ伝(つた)ふ
128仁慈(じんじ)無限(むげん)の宣伝使(せんでんし)
129現(あら)はれまして吾々(われわれ)が
130危難(きなん)を救(すく)ひ給(たま)ひつつ
131味(あぢ)よきパンを与(あた)へまし
132安全(あんぜん)無事(ぶじ)の此(この)船(ふね)に
133助(たす)けていとど親切(しんせつ)に
134吾(われ)等(ら)が住所(すみか)に送(おく)らむと
135宣(の)らせ給(たま)ひし有難(ありがた)さ
136それに引(ひ)き換(かへ)バラモンは
137ヤッコス、ハール、サボールの
138情(なさけ)を知(し)らぬ人畜生(にんちくしやう)
139取(と)り喰(くら)はむと角(つの)を立(た)て
140迫(せま)り来(きた)るぞ怖(おそ)ろしき
141さはさりながら吾々(われわれ)は
142尊(たふと)き神(かみ)の御使(みつかひ)に
143守(まも)られ茲(ここ)にある上(うへ)は
144最早(もはや)怖(おそ)るる事(こと)はなし
145バラモン軍(ぐん)の三(さん)人(にん)よ
146汝(なれ)も心(こころ)を改(あらた)めて
147誠(まこと)の心(こころ)に立(た)ち帰(かへ)り
148悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)の精神(せいしん)を
149仁慈(じんじ)無限(むげん)の神(かみ)様(さま)に
150ならひて払(はら)ひ清(きよ)むべし
151人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
152吾(われ)は元(もと)よりバラモンの
153教(をしへ)の道(みち)の御子(みこ)なれど
154三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
155吾(わが)家(や)に一夜(ひとや)泊(とま)らせて
156誠(まこと)の道(みち)を伝(つた)へてゆ
157茲(ここ)に心(こころ)を改(あらた)めて
158御船(みふね)を出(いだ)し湖原(うなばら)を
159遠(とほ)く送(おく)りてキヨ港(みなと)
160思(おも)はぬ人(ひと)に見(み)つけられ
161身(み)の災(わざはひ)となり果(は)てて
162人喰鬼(ひとくひおに)の住(す)むと云(い)ふ
163浪風(なみかぜ)荒(あら)き浮島(うきしま)に
164流(なが)され居(ゐ)たるぞ悲(かな)しけれ
165仁慈(じんじ)無限(むげん)の大神(おほかみ)は
166珍(うづ)の使(つかひ)を遣(つか)はして
167愈(いよいよ)吾(われ)等(ら)を救(すく)ひまし
168湖路(うなぢ)を守(まも)り給(たま)ひつつ
169送(おく)らせ給(たま)ふ有難(ありがた)さ
170仮令(たとへ)天地(てんち)は変(かは)るとも
171バラモン教(けう)の御教(みをしへ)は
172孫子(まごこ)に伝(つた)へて守(まも)らない
173玉国別(たまくにわけ)の宣伝使(せんでんし)
174其(その)外(ほか)百(もも)の司(つかさ)達(たち)
175吾(われ)等(ら)を憐(あは)れみ給(たま)へかし
176皇(すめ)大神(おほかみ)の御(おん)前(まへ)に
177赤心(まごころ)捧(ささ)げ両人(りやうにん)が
178謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ願(ね)ぎまつる』
179 バラモン軍(ぐん)の捕手(とりて)、180ヤッコスは舷(ふなばた)に立(た)つてそろそろ歌(うた)ひ出(だ)した。
181ヤッコス『バラモン軍(ぐん)に仕(つか)へたる
182吾(われ)はヤッコス目付役(めつけやく)
183四(よ)人(にん)の部下(ぶか)を引(ひ)き連(つ)れて
184テルモン湖上(こじやう)を打(う)ち渡(わた)り
185ニコラス大尉(たいゐ)の後(あと)を追(お)ひ
186三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
187若(もし)も湖水(こすい)を渡(わた)りなば
188引捉(ひつつか)まへて懲(こら)せよと
189大黒主(おほくろぬし)の命(めい)を受(う)け
190船(ふね)に真帆(まほ)をば孕(はら)ませて
191北(きた)へ北(きた)へと進(すす)む折(をり)
192俄(にはか)の颶風(しけ)に出会(でつくは)し
193船(ふね)は暗礁(あんせう)に乗(の)り上(あ)げて
194船体(せんたい)忽(たちま)ち粉微塵(こなみぢん)
195衣類(いるゐ)を脱(ぬ)ぎすて辛(から)うじて
196荒浪(あらなみ)猛(たけ)る罪(つみ)の島(しま)
197命(いのち)辛々(からがら)泳(およぎ)つき
198食(しよく)を求(もと)めて遠近(をちこち)と
199彷徨(さまよ)ひ廻(まは)れど浪(なみ)荒(あら)く
200一(ひと)つの餌食(ゑじき)も無(な)かりしゆ
201三人(みたり)は磯辺(いそべ)をぶらぶらと
202足(あし)もとぼとぼ歩(あゆ)みつつ
203岩蔭(いはかげ)さして立(たち)よれば
204骨(ほね)と皮(かは)との二人(ふたり)連(づ)れ
205人喰(ひとくひ)人種(じんしゆ)にあらねども
206飢(うゑ)たる時(とき)には是非(ぜひ)もなし
207心(こころ)を鬼(おに)に持(も)ち直(なほ)し
208二人(ふたり)の男(をとこ)を打(う)ち殺(ころ)し
209一(いち)時(じ)の飢(うゑ)を凌(しの)がむと
210心(こころ)にもなき悪逆(あくぎやく)を
211企(たく)みたるこそうたてけれ
212生(うま)れついての鬼(おに)でない
213仁義(じんぎ)道徳(だうとく)一通(ひととほ)り
214習(なら)ひ覚(おぼ)へた人(ひと)の子(こ)よ
215さはさりながらやむを得(え)ず
216小人(せうにん)下司(げす)の常(つね)として
217窮(きう)すれや乱(らん)すといふ譬(たとへ)
218心(こころ)ならずも悪業(あくごふ)を
219企(たく)みたるこそ是非(ぜひ)もなき
220優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)の
221世界(せかい)に傚(なら)ふて果敢(はか)なくも
222皇(すめ)大神(おほかみ)の御教(みをしへ)を
223忘(わす)れたるこそ苦(くる)しけれ
224三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
225心(こころ)も清(きよ)き玉国(たまくに)の
226別(わけ)の命(みこと)が現(あら)はれて
227敵(かたき)と狙(ねら)ふ吾々(われわれ)を
228救(すく)はせ給(たま)ひし有難(ありがた)さ
229天(あめ)が下(した)には敵(てき)なしと
230教(をし)へられたる言(こと)の葉(は)は
231今(いま)目(ま)の当(あた)り悟(さと)りけり
232吾(われ)等(ら)も是(これ)より慎(つつし)みて
233残虐(ざんぎやく)無道(ぶだう)の行動(かうどう)を
234改(あらた)め神(かみ)の御(おん)為(ため)に
235誠(まこと)を尽(つく)し世(よ)の人(ひと)を
236救(すく)ひて人(ひと)と生(うま)れたる
237其(その)天分(てんぶん)を尽(つく)すべし
238三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)
239吾(われ)等(ら)が心(こころ)を憐(あはれ)みて
240尊(たふと)き君(きみ)の御(おん)伴(とも)に
241使(つか)はせ給(たま)へ惟神(かむながら)
242神(かみ)に誓(ちか)ひて願(ね)ぎまつる
243朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
244月(つき)落(お)ち星(ほし)は失(う)するとも
245仮令(たとへ)命(いのち)は捨(す)つるとも
246深(ふか)き恵(めぐみ)を蒙(かうむ)りし
247司(つかさ)の君(きみ)の高恩(かうおん)は
248子孫(しそん)に伝(つた)へて忘(わす)るまじ
249此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
250心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
251総(すべ)ての罪(つみ)を悉(ことごと)く
252宣(の)り直(なほ)します三五(あななひ)の
253尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)心(こころ)
254深(ふか)くも感謝(かんしや)し奉(たてまつ)る
255ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
256御霊(みたま)幸(さち)倍(はへ)ましませよ』
257 ハールは又(また)歌(うた)ふ、
258ハール『一切(いつさい)万事(ばんじ)の経緯(いきさつ)は
259目付頭(めつけがしら)のヤッコスが
260概略(がいりやく)茲(ここ)に述(の)べました
261私(わたし)も元(もと)はウラル教(けう)
262信者(しんじや)の端(はし)に加(くは)はりて
263神(かみ)の教(をしへ)を崇(あが)めつつ
264其(その)日(ひ)を送(おく)り居(ゐ)たりしが
265何分(なにぶん)酒(さけ)に身(み)を崩(くづ)し
266二世(にせ)と契(ちぎ)つた女房(にようばう)に
267夜脱(よぬ)けせられて是非(ぜひ)もなく
268彼方(あなた)此方(こなた)に彷徨(さまよ)ひつ
269心(こころ)は日(ひ)に夜(よ)に僻(ひが)み行(ゆ)く
270もう此(この)上(うへ)は盗人(ぬすびと)の
271群(むれ)に加(くは)はり長(なが)からぬ
272浮世(うきよ)を太(ふと)く暮(くら)さむと
273心(こころ)を鬼(おに)に持(も)ち直(なほ)し
274思案(しあん)に暮(く)るる折(をり)もあれ
275バラモン教(けう)のヤッコスが
276情(なさけ)の言葉(ことば)に絆(ほだ)されて
277茲(ここ)に目付(めつけ)の役(やく)となり
278一年前(いちねんまへ)から忠実(ちうじつ)に
279目付(めつけ)の役(やく)を勤(つと)めつつ
280此(この)湖原(うなばら)を越(こ)え来(きた)る
281三五教(あななひけう)の司(つかさ)をば
282一人(ひとり)残(のこ)らず引捉(ひつとら)へ
283吾(わが)身(み)の出世(しゆつせ)を誇(ほこ)らむと
284思(おも)ひ居(ゐ)たるぞ果敢(はか)なけれ
285まだ幸(さいはひ)に一(いち)人(にん)の
286三五教(あななひけう)の信者(しんじや)をも
287神(かみ)の司(つかさ)も捉(つか)まへず
288罪(つみ)を重(かさ)ねし事(こと)なきは
289せめては私(わたし)の胸(むね)やすめ
290三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)
291私(わたし)は唯今(ただいま)述(の)べました
292やうな身分(みぶん)で厶(ござ)います
293如何(いか)なる罪(つみ)がありとても
294広(ひろ)き心(こころ)に宣(の)り直(なほ)し
295赦(ゆる)させ給(たま)へどこ迄(まで)も
296御伴(みとも)に使(つか)ひ給(たま)へかし
297神(かみ)かけ念(ねん)じ奉(たてまつ)る
298ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
299御霊(みたま)幸(さち)倍(はへ)ましませよ』
300と述懐(じゆつくわい)の歌(うた)を歌(うた)ふ。301かかる所(ところ)へ七八艘(しちはつさう)の海賊船(かいぞくせん)、302船(ふね)の行手(ゆくて)に横梯陣(わうていぢん)を張(は)り、303前途(ぜんと)を壅塞(ようそく)し、304手具脛(てぐすね)引(ひ)いて待(ま)ち居(を)るものの如(ごと)くであつた。305ああ玉国別(たまくにわけ)の一行(いつかう)は如何(いか)なる運命(うんめい)に遭遇(さうぐう)するであらうか。
306(大正一二・三・二八 旧二・一二 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→