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惟神の道
序
1 壬申所感
2 昭和維新の途上
3 神の経綸
4 活きた宗教の建設
5 愛善の道
6 青年の意気を持て
7 世界よ何処へ行く
8 愛善道の根本義
9 救世主義
10 現代と天の岩戸隠れ
11 世界に範を示せ
12 天災と人震
13 世界の大神楽
14 社会の改善と国民性
15 自主的精神に基け
16 神人の心
17 永遠の生命
18 神国に報ずるの覚悟
19 敬神と愛国
20 日本国民の本性に復れ
21 神国と太古の文明
22 言霊の活用
23 真の宗教
24 天地神明の恩恵
25 挙国更生
26 大自然と人間
27 惟神の真理
28 昭和八年を語る
29 学者の態度
30 善悪の標準
31 信教の自由
32 国防について
33 非常時の覚悟
34 日本と満州国
35 戦争と神意発動
36 神と皇上の殊恩
37 軽挙妄動を慎め
38 精神的訓練の必要
39 皇道の本義
40 天神地祇の佑護
41 教育の大本
42 信仰の異同
43 神剣の発動
44 国際経済会議の雲行
45 日本国民の自覚
46 天地自然の大法
47 皇国の天職
48 人生の本分
49 神国の大使命
50 光は東方より
51 神秘荘厳の国
52 国体を闡明せよ
53 現代の急務
54 天地の祖神を敬祭せよ
55 勤皇報国
56 斯ノ道
57 神の正道
58 敬称の精神
59 難局打開の鍵
60 大和民族の大使命
61 マツリゴトの言霊解
62 敬神の観念
63 麻柱の道
64 政治の大本
65 神習の道
66 満蒙出征の辞
67 神約の秋来る
68 教育の本領
69 日本と世界の縮図
70 真理の三階級
71 信仰即忠孝
72 帝国と皇国
73 皇国の言霊
74 世界非常時の真因
75 不言の教
76 皇道経済の確立
77 皇道の神政策
78 万民和楽の神策
79 天皇と皇帝
80 皇道経済我観
81 神聖運動について
82 皇国民に激す
83 勇往邁進あるのみ
84 汚穢物を取除け
85 皇道の輝くところ
86 神聖無比の皇国
87 天立君主立憲国
88 皇国の姿に還れ
89 宗教と政治
90 天国の国体や如何
91 ダニエルの予言と神国日本
92 霊の本の力
93 皇典と財政経済の真諦
94 皇典の奥義に徹せよ
95 愛善の実行
96 日本人の信仰
97 昭和神聖の意義
98 天を畏れよ
99 神を信じ得る幸福
100 直感の力を養へ
101 魂魄は滅びず
102 応病施薬
103 皇道は神に基く
104 皇道と人類愛善
105 天意に順応せよ
106 霊国日本
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挙国更生
インフォメーション
題名:
挙国更生
著者:
出口王仁三郎
ページ:
80
目次メモ:
概要:
備考:
出典不明
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B123900c025
001
挙国更生といふことは今度はじめて言ふのであるけれども、
002
大本の「筆先」にあるやうに明治二十五年から更生運動は始まってゐるのである。
003
政治、
004
宗教、
005
教育、
006
芸術、
007
一切の立替立直しを明治二十五年の旧正月から神様が叫ばれてゐる。
008
この更生といふことは更に生まれる、
009
あるひは新しく生まれると云ふ意味である。
010
また新しく生きる、
011
あるひは
更
(
あら
)
ためて生きる、
012
また生活を改める、
013
変更の更であって、
014
今までの一切の
謬
(
あやま
)
つてゐる矛盾したところのことを根本的に元へ、
015
本当に惟神の道へ戻して生かすといふのが更生運動であって、
016
今までの総ての宗教は一切この自己のことばかりを説き、
017
またたまには蛍火のやうな光を放って社会的の事業も義務的にやってゐるけれども、
018
これは世間でいろいろ坊主の生ぐさとか何とかいはれるのを避けるために、
019
世間の耳目を糊塗するだけぐらゐのものであって、
020
真剣な活動をやってゐない。
021
宗教にしても基督教や仏教は本当に国体を説いてゐない。
022
日本の神道宗教の中にも、
023
黒住教や大社教の如く、
024
たまには国体を説いてゐるものもあるが、
025
ただ教規の上に書いてあるだけで、
026
その実布教師といふものは国体の何たるかを知らぬ者ばかりである。
027
基督教や仏教、
028
天理教、
029
金光教の如き宗教になると、
030
国家観念といふものは少しもない。
031
表面では少しぐらゐ言うてゐるものもあるが、
032
本当に布教師が信徒に向って説いてゐるところは、
033
ただ下手な倫理学に神さまをそこへもって行って練り薬をこしらへて
教
(
をしへ
)
を説いてゐるだけで、
034
その中には仏教の説もあり、
035
基督教の説もあり、
036
儒教の説も入ってゐるのであって、
037
誠心誠意神道を説いてゐるものは一つもない。
038
神道は宇宙に
瀰漫
(
びまん
)
してゐるところの道を説くものである。
039
それ故に皇道とも云ふ。
040
皇道は
統
(
す
)
べる道である。
041
この根本の教は明治維新後神道宗教が出来、
042
いろいろと当局者もやって来たけれども、
043
本当の精神を失うて了うて、
044
今日のやうな腐敗堕落した世の中になったのである。
045
それが為に経済も行き詰り、
046
政治も行き詰り、
047
教育も行き詰り、
048
芸術も行き詰り、
049
一切のものが丁度お筆先にある「石で手をつめた」といふやうに行きも戻りもならぬといふやうになってゐる。
050
これは何故であるかといへば、
051
矢張り日本皇国の道を忘れて、
052
ごく浅薄な上面ばらりの伏見人形のやうな、
053
表面
(
おもてむき
)
は立派で裏に回ると素焼の土がそのままである、
054
かういふやうな見かけ倒しの
香具師
(
やし
)
ばかりに眩惑されてやって来たが為に、
055
かういふ時代を招致したのである。
056
神さまは前もってさういふ事は御存じである。
057
明治二十五年には腐敗したとはいへ
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
も今より余程しっかりしてをり、
058
生活状態も質素であり、
059
政治も緊張してをり、
060
宗教も謹慎して道を説いてをったのである。
061
けれどもその時代に今日の事を先達をしていはれたのであるから、
062
明治二十五年に書いてあるが、
063
今日の状態が書かれてゐるわけで、
064
丁度今日更生運動を起こすのは時期に適してゐるのである。
065
更生運動をやるに当って、
066
一々政治、
067
宗教についてここで細かく言ふわけには行かぬが、
068
今日の状態を見れば大抵分ってゐる。
069
一切万事全部更生して行けばよい。
070
みな謬ってゐるといふ事だけは確かである。
071
第一金銀為本の政策といふ事がこの世の中に災ひしてゐる。
072
外国は日本のやうな万世一系の天立君主がない為に、
073
勢ひを得れば
君
(
きみ
)
となり主権者になるが、
074
勢ひを失へば
奴
(
やっこ
)
となり家来となる。
075
あるひは殺されて了うたりする。
076
さういふやうなほとんど畜類に等しいやうな政体をもってゐる国であるから、
077
どうしても金とか銀とかいふやうな形のものがなければみな承知しない。
078
けれども我が国は万世一系の神様直々の御系統の陛下がお出で遊ばされるのであるから、
079
これくらゐ尊いものはない。
080
神さまが世界で一番尊い、
081
その御系統であり御直系である陛下より尊いものは他にない。
082
その陛下の
御稜威
(
みいづ
)
といふものを元としてやったら日本の国はすべて大丈夫である。
083
経済なんか心配はいらない。
084
明治維新の時に兵馬の権を陛下に臣民が奉って、
085
いよいよ日本の国は強くなって来たのである。
086
けれども戦争を起こさうと思へば第一金が必要である。
087
この経済の全権を陛下にお還ししなかったとふことが今日の禍いをなしてゐる。
088
外国に色々なことを云うて内兜を見られないでも、
089
自由自在に国運の発展が陛下の御名により御稜威によって出来るのである。
090
それについては私も三十年間叫んで来たけれども、
091
その時代の当局の
忌諱
(
きき
)
に触れたり何かして、
092
ハッキリと書く事が出来なかったが、
093
やはり今日はそこまで更生せなくては、
094
日本の国の皇祖皇宗の御遺訓通り、
095
隆々として大八洲の国を安国と平けく治めることが出来なくなってゐるのである。
096
まづ一番がけに更生すべきものは経済の根本更生である。
097
経済が豊かでなかったならば、
098
宗教が何ほどあっても、
099
これを聞くところに行かない。
100
それだけの余裕が無いのである。
101
だから人心はますます悪くなって来る。
102
政治家も経済のために先繰り精神が悪くなり、
103
悪化して来るのである。
104
経済の根本を謬ってゐるがために芸術家も心が卑しくなって本当の芸術品が出来ない。
105
自分の第一、
106
生活問題が頭に入ってゐるから、
107
昔の名人のやうに、
108
絵を描いても彫刻をしても何をしても、
109
経済を度外して趣味一方でやることが出来なくなってゐるからロクなものが出来ない。
110
その他農業でいへば、
111
今までの農業は日本人の戸数の少ない地面の沢山の時の、
112
何百年何千年前からの農業を踏襲してゐるのである。
113
しかるに今日は人口がこれだけ殖えて来てゐる。
114
人口が殖えてかへって不毛の土地が沢山出来る。
115
家を余計建てて行けばそこに物が出来なくなる。
116
そして食ふものは余計必要が起って来る。
117
これはどうしてもこのままにしてをったらいかぬから、
118
二度作をやる。
119
一年に二度取る、
120
三度取るといふことを考へねばならぬ。
121
陸地に稲が出来なかったのも、
122
陸地に稲を作って水田と同じやうに作ったならば、
123
山にも畑にも稲が出来るやうになって来る。
124
農は国家の
大本
(
たいほん
)
である。
125
農業から更生せねばいけない。
126
農は国家の大本であると共に皇室の大本である。
127
大嘗会
(
だいじやうゐ
)
の時にでも天皇
御親
(
おんみづか
)
ら田を植ゑ、
128
稲をお作りになられる。
129
皇后陛下は蚕を
養
(
か
)
うて機を織られる。
130
これは農業の型を示されたのである。
131
天照皇大神以来、
132
農業をもって国を建てられたのである。
133
農は国家の大本といふことは皇室の大本といふことである。
134
農業は皇祖皇宗が教へられて皇室に伝はつてゐるところのものである。
135
農業がなかったならば、
136
日本の国民及び世界の国民は一日も生命を保つことが出来ぬ。
137
それから今日は生活費が沢山要るといふけれども、
138
自分らの若い時分からみると非常に贅沢になってゐる。
139
百姓といふものは働いて麦飯が満足に食へなかった。
140
この頃でも収穫から勘定してみると、
141
一日が十銭くらゐにしかならない。
142
私どもの子供時分には八厘くらゐしかならなかった。
143
それでも大根の葉っぱを入れたり、
144
赤葉を入れ草を混ぜて食ひ、
145
食へるものは木の葉も食って、
146
そこに麦飯を入れてやっと百姓が生命を保ってゐた。
147
それでもウンともグウともいはず、
148
それがためにまた死ぬ者もなく、
149
痩せ衰へるものもなかった。
150
今日は世の中が文明のお蔭で非常に結構になって、
151
そんなことはせなくてもよいけれども、
152
もう少し生活費の倹約といふことを考へ、
153
実行することが第一更生だと思ふ。
154
農家を更生させるには、
155
収穫のことを考へのも大切だが、
156
使はぬ、
157
冗費を省くことが大切である。
158
一方には収穫を、
159
一方には冗費を省くことを考へたならば、
160
農村の更生は数年の間に緒について、
161
幾分かよい方に向ふだらうと思ふ。
162
個人の家でいうても、
163
貧乏になるのと金持ちになるのとの境はどこにあるかといへば、
164
ただ一日のことである。
165
明日食ふ食料を今日食ふ人は貧乏である。
166
昨日働いて得たものを今日食ふ人が金持ちである。
167
それだけで金ののびる者とのびない者が出来る。
168
貧乏になり金持ちになる分水嶺は何でもない、
169
ちょっとの心得やうである。
170
これはどんなにでもなって来ると思ふ。
171
この更生運動も、
172
さういふ小さいところにあると思ふ。
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