霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第13巻(子の巻)
モノログ
凡例
総説
第1篇 勝利光栄
第1章 言霊開
第2章 波斯の海
第3章 波の音
第4章 夢の幕
第5章 同志打
第6章 逆転
第2篇 洗礼旅行
第7章 布留野原
第8章 醜の窟
第9章 火の鼠
第3篇 探険奇聞
第10章 巌窟
第11章 怪しの女
第12章 陥穽
第13章 上天丸
第4篇 奇窟怪巌
第14章 蛙船
第15章 蓮花開
第16章 玉遊
第17章 臥竜姫
第18章 石門開
第19章 馳走の幕
第20章 宣替
第21章 本霊
第5篇 膝栗毛
第22章 高加索詣
第23章 和解
第24章 大活躍
信天翁(三)
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスク完了しました
。どうもありがとうございます。
|
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第13巻(子の巻)
> 第1篇 勝利光栄 > 第4章 夢の幕
<<< 波の音
(B)
(N)
同志打 >>>
第四章
夢
(
ゆめ
)
の
幕
(
まく
)
〔五三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
篇:
第1篇 勝利光栄
よみ(新仮名遣い):
しょうりこうえい
章:
第4章 夢の幕
よみ(新仮名遣い):
ゆめのまく
通し章番号:
530
口述日:
1922(大正11)年03月16日(旧02月18日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年10月30日
概要:
舞台:
シヅの森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
日の出別宣伝使は上陸し、フサの都さして出発した。ウラル教の六人の宣伝使たちはその後をそっとつけていく。
砂塵を浴びながら原野を進み、日の出別命はシヅの森に着いて、一夜を明かすことになった。
ウラル教の宣伝使たちも到着し、点呼をするが、肝心の岩公がはぐれてしまったことに気づく。仲間たちは、岩公は普段いばっているからその報いだ、と話あっていたが、そこへ闇の中から大きな声が聞こえてきた。
暗がりの大声は、アーメニヤの神都は荒廃し、ウラル教にもはや勢いはないとして、三五教への改心を迫った。
化け物のような声にどう対処しようかと一同が相談していると、巨大な光が現れて、その中から恐ろしい朱色の顔をした怪物が、舌先に人の首を乗せている。よく見れば、岩彦の首であった。
鷹彦は怒って、岩彦の敵とばかりにウラル教の宣伝歌を歌って化け物をやっつけようとするが、化け物は、ウラル教の宣伝歌を聞くとかえって気分がよくなる、と言う。
仕方がないので、三五教の宣伝歌をうろ覚えで歌うが、それは梅彦、亀彦、駒彦、音彦に食いつけよ、というおかしな歌であった。
仲間は鷹彦を責めるが、鷹彦は、実は自分は三五教の宣伝使であり、今までウラル教に潜伏して布教の妨害をしていたのだ、と正体を明かす。
と、化け物の口から岩彦が落ちてきた。そこで一同は目を覚ます。シヅの森でみな夢を見ていたのであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
サルヂニヤ島(サルジニヤ)
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-11-26 16:48:29
OBC :
rm1304
愛善世界社版:
54頁
八幡書店版:
第3輯 51頁
修補版:
校定版:
55頁
普及版:
22頁
初版:
ページ備考:
001
鶴山丸
(
つるやままる
)
は、
002
ペルシャ
湾
(
わん
)
のタルの
港
(
みなと
)
に
寄港
(
きかう
)
した。
003
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
004
此処
(
ここ
)
に
上陸
(
じやうりく
)
してフサの
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
005
ウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
006
岩彦
(
いはひこ
)
、
007
梅彦
(
うめひこ
)
、
008
音彦
(
おとひこ
)
、
009
亀彦
(
かめひこ
)
、
010
駒彦
(
こまひこ
)
、
011
鷹彦
(
たかひこ
)
の
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
互
(
たがひ
)
に
目配
(
めくば
)
せしながらタルの
港
(
みなと
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し、
012
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
013
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
強風
(
きやうふう
)
の
景物
(
けいぶつ
)
砂塵
(
さぢん
)
を
浴
(
あ
)
び、
014
灰泥餅
(
はいどろもち
)
のやうになつて、
015
最大
(
さいだい
)
急行
(
きふかう
)
の
突喊
(
とつかん
)
命令
(
めいれい
)
を
下
(
くだ
)
しつつ、
016
シヅの
森
(
もり
)
に
向
(
むか
)
つて
電光
(
でんくわう
)
の
如
(
ごと
)
く
疾走
(
しつそう
)
する。
017
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
は、
018
暴風
(
ばうふう
)
強雨
(
きやうう
)
我不関
(
われくわんせず
)
焉
(
えん
)
といつたやうな
調子
(
てうし
)
で
悠々
(
いういう
)
として
原野
(
げんや
)
に
遊
(
あそ
)
べる
野馬
(
やば
)
を
御
(
ぎよ
)
し、
019
チヨクチヨクと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
020
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
くに
黄昏
(
たそが
)
れたと
見
(
み
)
え、
021
暗
(
くら
)
さは
一
(
ひと
)
しきり
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
き
)
た。
022
もはや
一寸
(
いつすん
)
も
進
(
すす
)
むことが
出来
(
でき
)
ない。
023
ここに
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
は
馬
(
うま
)
を
乗
(
の
)
り
捨
(
す
)
て、
024
親譲
(
おやゆづ
)
りの
交通
(
かうつう
)
機関
(
きくわん
)
に
砂煙
(
すなけむり
)
を
立
(
た
)
てながら、
025
シヅの
森
(
もり
)
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
り、
026
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
さむと
簑
(
みの
)
を
木蔭
(
こかげ
)
に
敷
(
し
)
いて
眠
(
ねむり
)
につく。
027
岩
(
いは
)
、
028
梅
(
うめ
)
、
029
音
(
おと
)
、
030
亀
(
かめ
)
、
031
駒
(
こま
)
、
032
鷹
(
たか
)
のウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
033
タルの
港
(
みなと
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めてシヅの
森
(
もり
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
き
)
たり。
034
梅彦
(
うめひこ
)
『ヤア、
035
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
がシヅの
森
(
もり
)
だ。
036
サア
人員
(
じんゐん
)
点呼
(
てんこ
)
だ、
037
一
(
いち
)
、
038
二
(
に
)
、
039
三
(
さん
)
、
040
四
(
し
)
、
041
五
(
ご
)
、
042
』
043
梅彦
(
うめひこ
)
『
六
(
ろく
)
は
無
(
な
)
いのか、
044
オイ
誰
(
たれ
)
だ、
045
途中
(
とちう
)
落伍
(
らくご
)
した
奴
(
やつ
)
がありさうだナア』
046
音彦
(
おとひこ
)
『
闇
(
くら
)
がり
道
(
みち
)
を
強行
(
きやうかう
)
的
(
てき
)
行進
(
かうしん
)
を
続
(
つづ
)
けたものだから、
047
岩公
(
いはこう
)
の
奴
(
やつ
)
たうとう
落伍
(
らくご
)
しよつたな。
048
口程
(
くちほど
)
にもない
奴
(
やつ
)
だ。
049
空虚
(
くうきよ
)
なる
器物
(
きぶつ
)
は
強大
(
きやうだい
)
なる
音響
(
おんきやう
)
を
発
(
はつ
)
すと
云
(
い
)
うて、
050
実力
(
じつりよく
)
のないものだ。
051
言葉
(
ことば
)
多
(
おほ
)
ければ
品
(
しな
)
少
(
すくな
)
しだ。
052
吾々
(
われわれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
しようと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのに、
053
岩公
(
いはこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
054
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
きよつて、
055
たうとう
議会
(
ぎくわい
)
の
停会
(
ていくわい
)
と
来
(
き
)
たものだから、
056
一
(
いち
)
も
取
(
と
)
らず
二
(
に
)
も
取
(
と
)
らず、
057
その
間
(
あひだ
)
に
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
058
この
広
(
ひろ
)
いフサの
国
(
くに
)
に
上陸
(
じやうりく
)
して
仕舞
(
しま
)
はれた』
059
亀彦
(
かめひこ
)
『
彼奴
(
あいつ
)
は
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つたところうでモウ
駄目
(
だめ
)
だよ。
060
自分
(
じぶん
)
ほど
偉
(
えら
)
い
者
(
もの
)
は
無
(
な
)
いと
定
(
き
)
めて
居
(
ゐ
)
るのだから
馬耳
(
ばじ
)
東風
(
とうふう
)
、
061
余程
(
よほど
)
酷
(
きつ
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はねば、
062
免疫性
(
めんえきせい
)
の
無感覚
(
むかんかく
)
者
(
しや
)
だから
目
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めないよ。
063
多分
(
たぶん
)
タルの
川
(
かは
)
の
崖道
(
がけみち
)
の
断巌
(
だんがん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
から
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
をやつてタルの
川
(
かは
)
の
川底
(
かはぞこ
)
へでも
有事
(
いうじ
)
着陸
(
ちやくりく
)
したのだらう。
064
今頃
(
いまごろ
)
にはプロペラーが
折
(
を
)
れたので
谷底
(
たにそこ
)
で
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まつて
岩彦
(
いはひこ
)
が
岩
(
いは
)
を
抱
(
かか
)
へてアヽ
いは
ぬは
云
(
い
)
ふに
弥勝
(
いやまさ
)
る、
065
鶴山丸
(
つるやままる
)
の
中
(
なか
)
で、
066
あんな
いは
いでもよい
事
(
こと
)
を
いは
なかつたらよかつたになぞと
云
(
い
)
つて
こうかい
して
居
(
ゐ
)
るだらう』
067
駒彦
(
こまひこ
)
『
航海
(
かうかい
)
は
吾々
(
われわれ
)
もして
来
(
き
)
たぢやないか。
068
後
(
あと
)
の
後悔
(
こうくわい
)
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
たず、
069
ぢやない
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たずだ。
070
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此処
(
ここ
)
はシヅの
森
(
もり
)
と
云
(
い
)
ふて、
071
バの
字
(
じ
)
とケの
字
(
じ
)
の
出
(
で
)
る
処
(
ところ
)
と
云
(
い
)
ふ
有名
(
いうめい
)
な
妖怪窟
(
ようくわいくつ
)
だ。
072
オイ
確
(
しつ
)
かりせぬと、
073
トンダ
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ふか
知
(
し
)
れやしないぞ。
074
岩彦
(
いはひこ
)
は
云
(
い
)
は
ひこで
好
(
よ
)
いと
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
に
行
(
い
)
かない、
075
吾々
(
われわれ
)
も
極力
(
きよくりよく
)
捜索
(
そうさく
)
をやつて
彼
(
かれ
)
の
潜伏所
(
せんぷくしよ
)
を
突
(
つ
)
き
留
(
と
)
めねば
宣伝使
(
せんでんし
)
の
役
(
やく
)
が
勤
(
つと
)
まらない。
076
アーメニヤに
帰
(
かへ
)
つて、
077
あの
大
(
おほ
)
きな
岩公
(
いはこう
)
をまさか
紛失
(
ふんしつ
)
したとも、
078
途中
(
とちう
)
で
遺失
(
ゐしつ
)
したとも、
079
また
磨滅
(
まめつ
)
して
仕舞
(
しま
)
つたとも
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
かぬからなア』
080
梅彦
(
うめひこ
)
『
何
(
なん
)
だ。
081
遺失
(
ゐしつ
)
だの
磨滅
(
まめつ
)
だのと、
082
恰
(
まる
)
で
手荷物
(
てにもつ
)
のやうに
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るじやないか、
083
些
(
ち
)
と
言霊
(
ことたま
)
を
慎
(
つつし
)
まむかい』
084
駒彦
(
こまひこ
)
『マア、
085
マア、
086
今晩
(
こんばん
)
はこれで
打切
(
うちき
)
りとして、
087
明朝
(
みやうてう
)
早々
(
さうさう
)
捜索
(
そうさく
)
兼
(
けん
)
探険
(
たんけん
)
と
出
(
で
)
かけよう。
088
鼻
(
はな
)
を
摘
(
つま
)
まれても
分
(
わか
)
らぬやうな
此
(
この
)
暗夜
(
やみよ
)
にどうして
居所
(
ゐどころ
)
が
分
(
わか
)
るものか。
089
木乃伊
(
みいら
)
取
(
と
)
りが
木乃伊
(
みいら
)
になるやうな
慘虐事
(
ざんぎやくじ
)
が
継続
(
けいぞく
)
しては
堪
(
たま
)
らぬからなア』
090
鷹彦
(
たかひこ
)
『
君
(
きみ
)
達
(
たち
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
冷淡
(
れいたん
)
な
男
(
をとこ
)
だなア。
091
人情
(
にんじやう
)
軽薄
(
けいはく
)
なる
事
(
こと
)
紙
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
しだよ』
092
梅彦
(
うめひこ
)
『それや
貴様
(
きさま
)
、
093
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
使
(
つかひ
)
だもの、
094
紙
(
し
)
辺
(
へん
)
暗雲
(
あんうん
)
に
包
(
つつ
)
まれ
咫尺
(
しせき
)
も
弁
(
べん
)
ぜざる
深夜
(
しんや
)
に、
095
どう
心配
(
しんぱい
)
したつて
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まつた
此
(
この
)
場
(
ば
)
の
光景
(
くわうけい
)
、
096
否
(
いな
)
暗景
(
あんけい
)
だ。
097
如何
(
どう
)
とも
策
(
さく
)
の
施
(
ほどこ
)
す
余地
(
よち
)
が
無
(
な
)
いぢやないか』
098
鷹彦
(
たかひこ
)
『
何
(
なに
)
、
099
暗
(
くら
)
くつても
矢張
(
やつぱ
)
り
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
つた
神国
(
しんこく
)
の
地
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
居
(
ゐ
)
る
吾々
(
われわれ
)
だ。
100
如何
(
いか
)
に
妖怪
(
えうくわい
)
が
現
(
あら
)
はれるシヅの
森
(
もり
)
だと
云
(
い
)
つても、
101
これも
矢張
(
やつぱ
)
り
神国
(
しんこく
)
の
断片
(
だんぺん
)
だ。
102
誰
(
たれ
)
か
一人
(
ひとり
)
此処
(
ここ
)
に
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にして
後
(
あと
)
四
(
し
)
人
(
にん
)
は
岩公
(
いはこう
)
の
捜索
(
そうさく
)
だよ』
103
音彦
(
おとひこ
)
『おとましい、
104
この
深夜
(
しんや
)
に
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
四
(
し
)
人
(
にん
)
とはどうだ。
105
何故
(
なぜ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
と
云
(
い
)
はないのだ』
106
駒彦
(
こまひこ
)
『
言霊
(
ことたま
)
と
云
(
い
)
ふものは
妙
(
めう
)
なものだ。
107
まかり
間違
(
まちが
)
へば
岩彦
(
いはひこ
)
は
死人
(
しにん
)
になつて
居
(
ゐ
)
るかも
知
(
し
)
れやしないぞ、
108
よい
辻占
(
つじうら
)
だ。
109
マア
如何
(
どう
)
でも
好
(
い
)
いぢやないか、
110
明日
(
あす
)
は
明日
(
あす
)
の
事
(
こと
)
だ』
111
鷹彦
(
たかひこ
)
『
たか
が
知
(
し
)
れた
宣伝使
(
せんでんし
)
の
一羽
(
いちは
)
や
二羽
(
には
)
、
112
無
(
な
)
くなつたつて
構
(
かま
)
ふものかい。
113
彼奴
(
あいつ
)
は
余
(
あんま
)
り
自負心
(
じふしん
)
が
強
(
つよ
)
いから、
114
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
懲罰
(
ちようばつ
)
に
遇
(
あ
)
うて
居
(
ゐ
)
るのだ。
115
何時
(
いつ
)
も
豪
(
えら
)
さうに
聖人
(
せいじん
)
振
(
ぶ
)
つて、
116
宇宙
(
うちう
)
間
(
かん
)
の
無限
(
むげん
)
絶対
(
ぜつたい
)
なる
不可解
(
ふかかい
)
的
(
てき
)
な
事実
(
じじつ
)
を
道破
(
だうは
)
したものは
此
(
この
)
岩彦
(
いはひこ
)
だ……ナンテ
駄法螺
(
だぼら
)
を
吹
(
ふ
)
きよつて
吾々
(
われわれ
)
を
煙
(
けむ
)
に
巻
(
ま
)
いて
居
(
ゐ
)
たが、
117
フサの
海
(
うみ
)
の
暴風雨
(
しけ
)
に
出遇
(
であ
)
つた
時
(
とき
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
六ケ敷
(
むつかしい
)
顔
(
かほ
)
をしとつたよ。
118
負惜
(
まけをし
)
みで
声
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
ててオイオイと
吠
(
ほ
)
えはせなかつたが、
119
力
(
ちから
)
一ぱい
気張
(
きば
)
つて
涙
(
なみだ
)
と
泣面
(
なきづら
)
の
保留
(
ほりう
)
をして
居
(
ゐ
)
たのは
確
(
たしか
)
な
事実
(
じじつ
)
だよアハヽヽヽ』
120
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
時
(
とき
)
しも
鼓膜
(
こまく
)
の
運命
(
うんめい
)
を
危殆
(
きたい
)
ならしむる
如
(
ごと
)
きドラ
声
(
こゑ
)
が
暗中
(
あんちう
)
より
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
121
梅彦
(
うめひこ
)
『ヤア
唸
(
うな
)
るぞ、
122
唸
(
うな
)
るぞ、
123
大変
(
たいへん
)
だぞ』
124
音彦
(
おとひこ
)
『ヤイ、
125
何者
(
なにもの
)
なればこの
深夜
(
しんや
)
に
唸
(
うな
)
るのだ。
126
この
方
(
はう
)
はウナル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
127
ウナル
彦
(
ひこ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
だぞ。
128
何
(
なん
)
ぼなと
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
け、
129
太鼓
(
たいこ
)
を
打
(
う
)
て、
130
もつともつと
馬力
(
ばりき
)
を
出
(
だ
)
して
喉
(
のど
)
が
裂
(
さ
)
ける
程
(
ほど
)
呶鳴
(
どな
)
つたがよいわ。
131
シヅの
森
(
もり
)
は
静
(
しづか
)
な
処
(
ところ
)
だと
思
(
おも
)
へば、
132
反対
(
あべこべ
)
に
喧
(
やかま
)
しの
森
(
もり
)
の、
133
騒
(
さわ
)
がしの
森
(
もり
)
の、
134
呶鳴
(
どな
)
りの
森
(
もり
)
だ。
135
呶鳴
(
どな
)
るなら
呶鳴
(
どな
)
れ、
136
どうなり
ても
構
(
かま
)
はぬ、
137
命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずの
宣伝使
(
せんでんし
)
の
音
(
おと
)
さまだ。
138
オイオイ
梅
(
うめ
)
、
139
亀
(
かめ
)
、
140
鷹
(
たか
)
、
141
駒
(
こま
)
、
142
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
も
何
(
なん
)
とか
防戦
(
ばうせん
)
せむかい。
143
大
(
おほ
)
きな
言霊
(
げんれい
)
を
出
(
だ
)
しよつて、
144
吾々
(
われわれ
)
の
耳
(
みみ
)
の
鼓膜
(
こまく
)
を
破裂
(
はれつ
)
させようとかかつて
居
(
ゐ
)
やがるのだよ』
145
暗中
(
あんちう
)
より
一層
(
いつそう
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
146
(化物)
『オヽヽー
音公
(
おとこう
)
、
147
駒
(
こま
)
の
鼓膜
(
こまく
)
が
破
(
やぶ
)
れるどころか、
148
鷹
(
たか
)
のやうな
高声
(
たかごゑ
)
で
呶鳴
(
どな
)
つてやるから、
149
胆
(
きも
)
が
破裂
(
はれつ
)
せぬやうに
用心
(
ようじん
)
を
致
(
いた
)
せ』
150
鷹彦
(
たかひこ
)
『
何
(
なん
)
ぢや、
151
ケ、
152
ケ、
153
怪体
(
けつたい
)
な
奴
(
やつ
)
が、
154
飛
(
と
)
んで
出
(
で
)
よつたものだ。
155
オイ、
156
ドラ
声
(
ごゑ
)
先生
(
せんせい
)
、
157
俺
(
おれ
)
を
誰人
(
どなた
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
を
)
る』
158
暗
(
くら
)
がりの
大声
(
おほごゑ
)
、
159
(化物)
『ウラル
教
(
けう
)
の
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
、
160
よつく
聞
(
き
)
け。
161
アーメニヤの
神都
(
しんと
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
零敗
(
れいはい
)
に
帰
(
き
)
し。
162
今
(
いま
)
は
僅
(
わづか
)
に
美山彦
(
みやまひこ
)
、
163
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
が
弧塁
(
こるゐ
)
を
死守
(
ししゆ
)
するのみ、
164
実
(
じつ
)
に
惨
(
みぢめ
)
なものだ。
165
アーメニヤの
城壁
(
じやうへき
)
は
所々
(
ところどころ
)
くたぶれ
果
(
は
)
て、
166
穴
(
あな
)
だらけ、
167
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
はコーカス
山
(
ざん
)
に
帰
(
かへ
)
つて
往
(
ゆ
)
くつもりであらうが、
168
コーカス
山
(
ざん
)
は、
169
もはや
三五教
(
あななひけう
)
の
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
に
帰
(
き
)
して
了
(
しま
)
つたぞ。
170
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
に
改心
(
かいしん
)
いたせばよし、
171
違背
(
ゐはい
)
に
及
(
およ
)
ばば
汝
(
なんぢ
)
が
生命
(
いのち
)
は
風前
(
ふうぜん
)
の
灯火
(
ともしび
)
、
172
また
岩彦
(
いはひこ
)
のやうな
運命
(
うんめい
)
に
陥
(
おちい
)
るぞ。
173
アハヽヽヽ、
174
オホヽヽヽ、
175
ウフヽヽヽ、
176
イヒヽヽヽ、
177
エヘヽヽヽ』
178
と
五韻
(
ごゐん
)
を
離
(
はな
)
れた
鶴
(
つる
)
のやうな
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
179
亀彦
(
かめひこ
)
『オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
180
これや
一
(
ひと
)
つ
作戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
を
遣
(
や
)
り
直
(
なほ
)
さねばならなくなつたぞ。
181
新規
(
しんき
)
蒔直
(
まきなほ
)
し、
182
吾々
(
われわれ
)
は
兎角
(
とかく
)
善
(
ぜん
)
と
信
(
しん
)
じた
事
(
こと
)
は
飽迄
(
あくまで
)
も
決行
(
けつかう
)
せなくてはならないのだ。
183
どうだ
岩公
(
いはこう
)
は
今
(
いま
)
のバーとケーサンの
言葉
(
ことば
)
によれば、
184
どうやら
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
疑
(
うたが
)
ひなしだ。
185
吾々
(
われわれ
)
も
一
(
ひと
)
つ
我
(
が
)
を
折
(
を
)
らねばなるまい、
186
アヽ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だワイ』
187
音彦
(
おとひこ
)
『
何
(
なん
)
だ、
188
弱々
(
よわよわ
)
しい
亡国
(
ばうこく
)
的
(
てき
)
の
哀音
(
あいおん
)
を
吐
(
は
)
き、
189
絶望
(
ぜつばう
)
的
(
てき
)
悲調
(
ひてう
)
を
帯
(
お
)
びたその
世迷言
(
よまひごと
)
は、
190
貴様
(
きさま
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
の
天職
(
てんしよく
)
を
忘
(
わす
)
れたのか』
191
亀彦
(
かめひこ
)
『
宣伝
(
せんでん
)
万化
(
ばんくわ
)
、
192
隠顕
(
いんけん
)
出没
(
しゆつぼつ
)
極
(
きは
)
まり
無
(
な
)
きが、
193
宣伝使
(
せんでんし
)
の
正
(
まさ
)
に
用
(
もち
)
ふべき
神秘
(
しんぴ
)
だよ。
194
貴様
(
きさま
)
のやうな
杓子
(
しやくし
)
定規
(
ぢやうぎ
)
でこの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
渡
(
わた
)
れるものか。
195
郷
(
がう
)
に
入
(
い
)
つては
郷
(
がう
)
に
従
(
したが
)
へ、
196
時
(
とき
)
の
力
(
ちから
)
には
抵抗
(
ていかう
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない。
197
この
頃
(
ごろ
)
は
桜
(
さくら
)
のシーズンだと
云
(
い
)
ふのに
如何
(
どう
)
だ。
198
花
(
はな
)
もなければ
葉
(
は
)
も
萎
(
しほ
)
れ、
199
山野
(
さんや
)
はほとんど
冬
(
ふゆ
)
のやうだ。
200
これも
天
(
てん
)
の
時
(
とき
)
だ、
201
何時
(
いつ
)
までも
春
(
はる
)
は
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
く、
202
秋
(
あき
)
は
紅葉
(
もみぢ
)
が
照
(
て
)
ると
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
訳
(
わけ
)
が
違
(
ちが
)
ふぞ』
203
かく
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
折
(
をり
)
しも、
204
俄
(
にはか
)
に
クワツ
と
明
(
あか
)
くなつて
来
(
き
)
た。
205
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
ぐる
途端
(
とたん
)
に、
206
アツと
一声
(
ひとこゑ
)
大地
(
だいち
)
に
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れたり。
207
巨大
(
きよだい
)
なる
光
(
ひか
)
り
物
(
もの
)
の
中
(
なか
)
より、
208
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
恐
(
おそ
)
ろしき
朱色
(
しゆいろ
)
の
顔色
(
がんしよく
)
に、
209
アーク
灯
(
とう
)
のやうに
光
(
ひか
)
つた
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
いた
怪物
(
くわいぶつ
)
、
210
五六
(
ごろく
)
尺
(
しやく
)
もあるやうな
舌
(
した
)
の
先
(
さき
)
に
何
(
なん
)
だか
人
(
ひと
)
の
首
(
くび
)
のやうな
物
(
もの
)
を
乗
(
の
)
せてペロペロさして
居
(
ゐ
)
る。
211
よくよく
見
(
み
)
れば
岩彦
(
いはひこ
)
の
首
(
くび
)
である。
212
梅彦
(
うめひこ
)
『アヽ、
213
岩々
(
いはいは
)
、
214
岩公
(
いはこう
)
が
いは
された』
215
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア、
216
モシモシ
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
の
白
(
しろ
)
い
目玉
(
めだま
)
サン、
217
それや
余
(
あんま
)
り
胴欲
(
どうよく
)
だ。
218
その
首
(
くび
)
は
岩彦
(
いはひこ
)
の
首
(
くび
)
ぢやないか、
219
あまりだよ』
220
化物
(
ばけもの
)
『
余
(
あま
)
り
退屈
(
たいくつ
)
なのでア
首
(
くび
)
が
出
(
で
)
たのだよ。
221
人肉
(
じんにく
)
の
温
(
あたたか
)
い
奴
(
やつ
)
を
食
(
く
)
ひ
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たら、
222
此処
(
ここ
)
に
四
(
よつ
)
つ
五
(
いつ
)
つ
転
(
ごろ
)
ついて
居
(
ゐ
)
るワイ、
223
ヤア
甘
(
うま
)
い
甘
(
うま
)
い、
224
天道
(
てんだう
)
は
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
さず、
225
化物
(
ばけもの
)
は
人
(
ひと
)
を
食
(
く
)
ふ、
226
美味
(
うま
)
さうな
奴
(
やつ
)
が
来
(
き
)
たものだワイ。
227
アハヽヽ、
228
イヒヽヽ、
229
ウフヽヽ、
230
エヘヽヽ、
231
オホヽヽ』
232
鷹彦
(
たかひこ
)
『コラ、
233
バヽバケモノ、
234
了見
(
れうけん
)
せないぞ。
235
今
(
いま
)
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れ、
236
俺
(
おれ
)
がウラル
教
(
けう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つてやるわ』
237
化物
(
ばけもの
)
『ウラル
教
(
けう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
うと
気分
(
きぶん
)
が
好
(
よ
)
くなつて、
238
益々
(
ますます
)
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
が
食
(
く
)
ひ
度
(
た
)
くなつて
来
(
く
)
る。
239
食
(
く
)
はれぬ
前
(
まへ
)
にこの
世
(
よ
)
の
歌
(
うた
)
ひ
納
(
をさ
)
め、
240
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
つて
呉
(
く
)
れまいか』
241
鷹彦
(
たかひこ
)
『ヨー、
242
此奴
(
こいつ
)
は
零敗
(
れいはい
)
の
大当違
(
おほあてちが
)
ひだ。
243
ソンナラ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
はう』
244
化物
(
ばけもの
)
『ウン、
245
そいつは
困
(
こま
)
る。
246
しかし
貴様
(
きさま
)
はウラル
教
(
けう
)
だ。
247
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
知
(
し
)
らう
筈
(
はず
)
が
無
(
な
)
い。
248
マアマア
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
249
歌
(
うた
)
ふなら
歌
(
うた
)
つて
見
(
み
)
よ、
250
アハヽヽ、
251
イヒヽヽ、
252
ウフヽヽ』
253
鷹彦
(
たかひこ
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしよるのだ。
254
不完全
(
ふくわんぜん
)
な
奇数
(
きすう
)
的
(
てき
)
の
馬鹿
(
ばか
)
笑
(
わら
)
ひをしよつて、
255
俺
(
おれ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
聞
(
き
)
いて
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
すな。
256
オイ
梅公
(
うめこう
)
、
257
音公
(
おとこう
)
、
258
亀公
(
かめこう
)
、
259
駒公
(
こまこう
)
、
260
鷹
(
たか
)
サンと
一緒
(
いつしよ
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふのだ。
261
サア
今度
(
こんど
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
だぞ』
262
亀彦
(
かめひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
は
一向
(
いつかう
)
不案内
(
ふあんない
)
だ。
263
まして
宣伝歌
(
せんでんか
)
なぞはサツパリ
分
(
わか
)
らないよ』
264
鷹彦
(
たかひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
はウラル
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
であつて
不心得
(
ふこころえ
)
な
奴
(
やつ
)
だ。
265
三五教
(
あななひけう
)
を
征服
(
せいふく
)
しようと
思
(
おも
)
へば、
266
敵
(
てき
)
の
総
(
すべ
)
ての
教理
(
けうり
)
を
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
置
(
お
)
いて、
267
ウラル
教
(
けう
)
との
優劣
(
いうれつ
)
を
判断
(
はんだん
)
し、
268
ウラル
教
(
けう
)
が
三五教
(
あななひけう
)
と、
269
どの
辺
(
へん
)
が
勝
(
まさ
)
つて
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
ふ
点
(
てん
)
を
宣伝
(
せんでん
)
するのが、
270
宣伝使
(
せんでんし
)
の
役
(
やく
)
ぢやないか。
271
俺
(
おれ
)
はウラル
教
(
けう
)
だから
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
は
研究
(
けんきう
)
するのも
汚
(
けが
)
らはしいと
云
(
い
)
ふやうな
事
(
こと
)
で、
272
どうして
敵
(
てき
)
に
向
(
むか
)
つて
勝利
(
しようり
)
を
得
(
う
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか、
273
エヽ
仕方
(
しかた
)
がないデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
ばかりだナア。
274
サアこの
鷹
(
たか
)
サンが
俄
(
にはか
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
宙返
(
ちうがへ
)
り
飛行
(
ひかう
)
をやつて
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れる。
275
化物
(
ばけもの
)
の
奴
(
やつ
)
、
276
今
(
いま
)
くたばるか、
277
くたばらぬか、
278
試
(
ため
)
して
見
(
み
)
るのだ。
279
もし
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
で
化物
(
ばけもの
)
が
滅
(
ほろ
)
びたら
矢張
(
やつぱ
)
り
三五教
(
あななひけう
)
が
豪
(
えら
)
いのだから、
280
そこで
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
も
決心
(
けつしん
)
するのだぞ。
281
サア
俺
(
おれ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
聴
(
き
)
いて
見
(
み
)
ろ』
282
と
云
(
い
)
ひながら
怪
(
あや
)
しき
化物
(
ばけもの
)
の
顔
(
かほ
)
をグツと
睨
(
にら
)
み
付
(
つ
)
け、
283
鷹彦
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて お
膳
(
ぜん
)
と
箸
(
はし
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
284
この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
化物
(
ばけもの
)
が あつて
耐
(
たま
)
るかシヅの
森
(
もり
)
285
静
(
しづか
)
になれよ
静
(
しづか
)
になれよ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
286
宣伝
(
せんでん
)
万化
(
ばんくわ
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
の
向
(
むか
)
ふを
張
(
は
)
つて
跳
(
は
)
ね
廻
(
まは
)
る
287
梅彦
(
うめひこ
)
、
288
亀彦
(
かめひこ
)
、
289
駒彦
(
こまひこ
)
や おとなしうない
音彦
(
おとひこ
)
の
290
頭
(
あたま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
食
(
く
)
ひつけよ』
291
音、
292
亀『コラコラ
鷹公
(
たかこう
)
、
293
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしよるのだ。
294
貴様
(
きさま
)
は
極端
(
きよくたん
)
な
個人
(
こじん
)
主義
(
しゆぎ
)
だなア。
295
一連
(
いちれん
)
托生
(
たくしやう
)
、
296
無我
(
むが
)
平等
(
びやうどう
)
のウラル
教
(
けう
)
、
297
オツトどつこい
三五教
(
あななひけう
)
の
精神
(
せいしん
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るか』
298
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽヽ、
299
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
だなア、
300
俺
(
おれ
)
を
一体
(
いつたい
)
誰
(
だれ
)
だと
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
301
抑々
(
そもそも
)
アーメニヤを
出立
(
しゆつたつ
)
するその
時
(
とき
)
より、
302
吾
(
われ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
鷹彦
(
たかひこ
)
と
云
(
い
)
ふサルジニヤの
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
居
(
を
)
つた
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
303
猫
(
ねこ
)
を
被
(
かぶ
)
つてウラル
教
(
けう
)
に
這入
(
はい
)
り、
304
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
に
加
(
くは
)
はりて
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
渡
(
わた
)
り、
305
飯依彦
(
いひよりひこ
)
と
以心
(
いしん
)
伝心
(
でんしん
)
的
(
てき
)
作戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
をやつて
居
(
ゐ
)
るのも
気
(
き
)
がつかず、
306
悪
(
あく
)
の
企
(
たくみ
)
は
注意
(
ちうい
)
周到
(
しうたう
)
にして
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬやうに
見
(
み
)
えるが、
307
肝腎
(
かんじん
)
の
身魂
(
みたま
)
に
執着
(
しふちやく
)
があるから
足許
(
あしもと
)
が
真暗
(
まつくら
)
がり、
308
この
鷹
(
たか
)
サンの
化物
(
ばけもの
)
に
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かなかつたのだよ。
309
アハヽヽヽ、
310
オホヽヽヽ、
311
イヒヽヽヽ、
312
ウフヽヽヽ、
313
エヘヽヽヽ』
314
梅、
315
駒『
何
(
なん
)
だ、
316
貴様
(
きさま
)
までが
俄
(
にはか
)
に
化物
(
ばけもの
)
の
後継
(
あとつぎ
)
をしよつて、
317
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
からと
下
(
した
)
からと、
318
化物
(
ばけもの
)
の
包囲
(
はうゐ
)
攻撃
(
こうげき
)
をやられて
耐
(
たま
)
つたものぢやないワイ』
319
頭
(
あたま
)
の
化物
(
ばけもの
)
、
320
大
(
おほ
)
きな
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して、
321
化物
『アハヽヽー、
322
イヒヽヽー』
323
亀、
324
音『ヤア、
325
又
(
また
)
やりよつた。
326
上下
(
じやうげ
)
挟撃
(
けふげき
)
、
327
えらい
敵
(
てき
)
の
術策
(
じゆつさく
)
に
陥
(
おちい
)
つたものだワイ』
328
頭
(
あたま
)
の
化物
(
ばけもの
)
、
329
化物
(
ばけもの
)
『オホヽヽー』
330
と
笑
(
わら
)
つた
途端
(
とたん
)
に、
331
舌
(
した
)
の
先
(
さき
)
から
つる
つると
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
をしながら
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
着陸
(
ちやくりく
)
した
男
(
をとこ
)
がある。
332
一同
(
いちどう
)
『ヤア
岩
(
いは
)
、
333
岩
(
いは
)
、
334
岩彦
(
いはひこ
)
か、
335
貴様
(
きさま
)
は
一体
(
いつたい
)
どうして
居
(
ゐ
)
たのだ。
336
化物
(
ばけもの
)
の
喉
(
のど
)
から
出
(
で
)
て
来
(
き
)
よつて、
337
恰
(
まる
)
で、
338
飴
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
からお
多
(
た
)
ヤンと
金太
(
きんた
)
サンが
飛
(
と
)
んで
出
(
で
)
たやうな
曲芸
(
きよくげい
)
だ。
339
誰
(
たれ
)
にソンナ
手品
(
てじな
)
を
教
(
をし
)
へて
貰
(
もら
)
ひよつたのだい』
340
岩彦
(
いはひこ
)
『オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
341
よい
加減
(
かげん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まさぬかい。
342
何
(
なに
)
をウンウンと
唸
(
うな
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ、
343
此処
(
ここ
)
はシヅの
森
(
もり
)
だぞ、
344
静
(
しづか
)
にせないと
化物
(
ばけもの
)
が
出
(
で
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だよ』
345
一同
(
いちどう
)
『ムニヤ ムニヤ、
346
アーアー
恐
(
こは
)
かつた、
347
エライ
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たワイ』
348
岩彦
(
いはひこ
)
『アハヽヽヽ』
349
(
大正一一・三・一六
旧二・一八
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 波の音
(B)
(N)
同志打 >>>
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第13巻(子の巻)
> 第1篇 勝利光栄 > 第4章 夢の幕
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第4章 夢の幕|第13巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1304】
合言葉「みろく」を入力して下さい→