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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第13巻(子の巻)
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凡例
総説
第1篇 勝利光栄
第1章 言霊開
第2章 波斯の海
第3章 波の音
第4章 夢の幕
第5章 同志打
第6章 逆転
第2篇 洗礼旅行
第7章 布留野原
第8章 醜の窟
第9章 火の鼠
第3篇 探険奇聞
第10章 巌窟
第11章 怪しの女
第12章 陥穽
第13章 上天丸
第4篇 奇窟怪巌
第14章 蛙船
第15章 蓮花開
第16章 玉遊
第17章 臥竜姫
第18章 石門開
第19章 馳走の幕
第20章 宣替
第21章 本霊
第5篇 膝栗毛
第22章 高加索詣
第23章 和解
第24章 大活躍
信天翁(三)
余白歌
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霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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第13巻(子の巻)
> 第4篇 奇窟怪巌 > 第19章 馳走の幕
<<< 石門開
(B)
(N)
宣替 >>>
第一九章
馳走
(
ちそう
)
の
幕
(
まく
)
〔五四五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
篇:
第4篇 奇窟怪巌
よみ(新仮名遣い):
きくつかいがん
章:
第19章 馳走の幕
よみ(新仮名遣い):
ちそうのまく
通し章番号:
545
口述日:
1922(大正11)年03月21日(旧02月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年10月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行は出雲姫の案内で、タカオ山脈のコシの峠に着いた。日の出別命、岩彦、鷹彦、梅彦らが岩石の上に体を伸ばして寝ている。
出雲姫は、日の出別らは休息中なので、一同はここで日の出別らが起きるまで待っているように、と言って素早くどこかへ行ってしまった。
三人は寝ている宣伝使らに、何とかしていたずらしてやろう、と相談を始めた。岩彦にいたずらしようと足を引っ張ると、岩彦も鷹彦も起きていて、三人を叱り付ける。
鷹彦が三人の前に立って、霧水を吹きかけた。すると不思議にも、またしても三人は岩窟の中で、臥竜姫の館に居るのであった。
琵琶を抱えた美人が現れ、三人に蛇や虫や蛙の料理を勧める。そして美人は、自分はうわばみの野呂公の妻である、と告げた。
音彦は女を化け物と思い、退治しようといきり立つが、逆に身魂が磨けていないことを女に指摘されて、馬鹿にされてしまう。
亀彦は怒って剣を抜いて立ち上がろうとするが、体の自由がきかない。駒彦も音彦も動けなくなってしまっていた。祝詞を唱えようとするが、脱線してまともに唱えることができなくなっている。
女は、三人が宣伝使の証である被面布を紛失していることを指摘した。ここに至って音彦はついに観念し、すべてを相手に任せる気持ちになった。
すると女は、ようやく三人の心の岩戸が開けたことを告げた。そして、ここは岩窟の中心点であり、この岩窟は木花咲耶姫命の経綸の聖場にして、高照姫神が鎮まる御舎であることを明かした。
そして執着心を捨てた心であれば、岩窟の探検を無事に終えられるであろうことを告げ、姿を隠した。
音彦、亀彦、駒彦は今まで自分の心の中に迷い・曇りがあったことを悟り、神言を奏上した。三人は打って変わって野卑な言葉使いを改め、探検を続けることとなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-11-26 18:07:43
OBC :
rm1319
愛善世界社版:
211頁
八幡書店版:
第3輯 107頁
修補版:
校定版:
212頁
普及版:
92頁
初版:
ページ備考:
001
音彦
(
おとひこ
)
、
002
亀彦
(
かめひこ
)
、
003
駒彦
(
こまひこ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
004
出雲姫
(
いづもひめ
)
に
誘
(
さそ
)
はれ、
005
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて
漸
(
やうや
)
くタカオ
山脈
(
さんみやく
)
のコシの
峠
(
たうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
に
着
(
つ
)
いた。
006
此処
(
ここ
)
には
巨大
(
きよだい
)
にして
平面
(
へいめん
)
なる
数個
(
すうこ
)
の
岩石
(
がんせき
)
があり、
007
峠
(
たうげ
)
の
両側
(
りやうがは
)
に
竝立
(
へいりつ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
008
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
を
初
(
はじ
)
め、
009
鷹彦
(
たかひこ
)
、
010
岩彦
(
いはひこ
)
、
011
梅彦
(
うめひこ
)
はその
中
(
なか
)
の
最
(
もつと
)
も
巨大
(
きよだい
)
なる
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に、
012
足
(
あし
)
を
延
(
の
)
ばして
寝転
(
ねころ
)
び
休
(
やす
)
らい
居
(
ゐ
)
る。
013
出雲姫
(
いづもひめ
)
『
音彦
(
おとひこ
)
様
(
さま
)
、
014
その
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
、
015
サゾお
疲労
(
くたびれ
)
でせう。
016
これがコシの
峠
(
たうげ
)
の
登
(
のぼ
)
り
口
(
くち
)
で
御座
(
ござ
)
います。
017
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
一行
(
いつかう
)
は、
018
今
(
いま
)
お
睡眠中
(
やすみちう
)
ですから、
019
お
目
(
め
)
の
覚
(
さ
)
める
迄
(
まで
)
、
020
静
(
しづ
)
かに
此処
(
ここ
)
で、
021
あなた
方
(
がた
)
も
足
(
あし
)
を
延
(
の
)
ばして
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
下
(
くだ
)
さいませ。
022
妾
(
わたし
)
は
少
(
すこ
)
しく
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
の
都合
(
つがふ
)
に
依
(
よ
)
りて、
023
一足
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
へ
参
(
まゐ
)
ります。
024
また
後
(
のち
)
ほどフサの
都
(
みやこ
)
でお
目
(
め
)
にかかる
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう』
025
と
言
(
い
)
ひ
遺
(
のこ
)
し、
026
足早
(
あしばや
)
に
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
くその
早
(
はや
)
さ、
027
音彦
(
おとひこ
)
『ヤアナンダ、
028
折角
(
せつかく
)
美人
(
びじん
)
の
道連
(
みちづれ
)
が
出来
(
でき
)
たと
思
(
おも
)
へば、
029
コンナ
処
(
ところ
)
でアリヨウスを
喰
(
く
)
はされて、
030
奴拍子
(
どべうし
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
事
(
こと
)
だ。
031
天
(
あま
)
の
磐船
(
いはふね
)
から
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
032
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
墜落
(
つゐらく
)
させよつた
腹癒
(
はらい
)
せに、
033
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
を
初
(
はじ
)
め
一行
(
いつかう
)
の
連中
(
れんちう
)
に
対
(
たい
)
し、
034
報復
(
はうふく
)
手段
(
しゆだん
)
を、
035
講究
(
かうきう
)
せなくてはならうまい』
036
亀彦
(
かめひこ
)
『ヤア
幸
(
さいは
)
ひ
羽
(
はね
)
の
無
(
な
)
い
磐船
(
いはふね
)
の
上
(
うへ
)
に、
037
四
(
よ
)
人
(
にん
)
がゴロリとやつて
居
(
ゐ
)
るのだから、
038
ナントか
一
(
ひと
)
つ
嚇
(
おど
)
かしてやらうかなア』
039
駒彦
(
こまひこ
)
『コラ
措
(
お
)
け
措
(
お
)
け、
040
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
041
神変
(
しんぺん
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
所持
(
しよぢ
)
して
居
(
ゐ
)
るから、
042
反対
(
あべこべ
)
に
吾々
(
われわれ
)
がやられるかも
知
(
し
)
れやしない。
043
先
(
ま
)
づおとなしくして
下
(
した
)
から
出
(
で
)
て、
044
マ
一度
(
いちど
)
ご
保護
(
ほご
)
を
受
(
う
)
ける
方
(
はう
)
が、
045
賢明
(
けんめい
)
な
行方
(
やりかた
)
だよ』
046
音彦
(
おとひこ
)
『それでもあまり
吾々
(
われわれ
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にしよつたから、
047
何
(
なん
)
とかして、
048
吃驚
(
びつくり
)
をさしてやらねば
虫
(
むし
)
が
得心
(
とくしん
)
せぬぢやないか』
049
亀彦
(
かめひこ
)
『
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢやないか。
050
宣伝使
(
せんでんし
)
が
未
(
ま
)
だソンナ
卑劣
(
けち
)
な
根性
(
こんじやう
)
を
保留
(
ほりう
)
して
居
(
を
)
るのか』
051
音彦
(
おとひこ
)
『アハヽヽヽ、
052
亀公
(
かめこう
)
、
053
貴様
(
きさま
)
は
馬鹿
(
ばか
)
正直
(
しやうぢき
)
な
奴
(
やつ
)
だ。
054
誰
(
たれ
)
がソンナ
心
(
こころ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
るものか、
055
あまり
嬉
(
うれ
)
しいから、
056
一寸
(
ちよつと
)
貴様
(
きさま
)
がどう
云
(
い
)
ふか
心
(
こころ
)
を
曳
(
ひ
)
いて
見
(
み
)
たのだ。
057
神
(
かみ
)
はトコトンまで
気
(
き
)
を
引
(
ひ
)
くぞよ、
058
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
されよ、
059
改心
(
かいしん
)
ほど
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
はないぞよ』
060
亀彦
(
かめひこ
)
『アハヽヽヽ、
061
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ』
062
音彦
(
おとひこ
)
『
岩
(
いは
)
に
松
(
まつ
)
の
堅
(
かた
)
い
神代
(
かみよ
)
が
造
(
つく
)
られて、
063
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
と
致
(
いた
)
すぞよ』
064
駒彦
(
こまひこ
)
『
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に、
065
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
が
寝
(
ね
)
て
居
(
を
)
るぢやないか、
066
もはや
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
は
建設
(
けんせつ
)
されたやうなものだよ』
067
音彦
(
おとひこ
)
『
巌
(
いは
)
に
松
(
まつ
)
が
生
(
は
)
えて、
068
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
になるといふ
瑞祥
(
ずゐしやう
)
だ。
069
どうぞ
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は、
070
これなりに
眼
(
め
)
を
覚
(
さま
)
さず、
071
蒲鉾板
(
かまぼこいた
)
の
様
(
やう
)
に
岩
(
いは
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うて、
072
何時
(
いつ
)
までも
竪磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
して
下
(
くだ
)
さらば、
073
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
が
勇
(
いさ
)
んで
暮
(
くら
)
す
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
になるけれどなア。
074
ワツハヽヽヽ』
075
駒彦
(
こまひこ
)
『
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
岩公
(
いはこう
)
が、
076
フンゾリ
返
(
かへ
)
り、
077
鷹公
(
たかこう
)
が
高鼾
(
たかいびき
)
をかき、
078
梅公
(
うめこう
)
がウメイ
塩梅
(
あんばい
)
で、
079
スウスウとスウさうな
鼻息
(
はないき
)
をして
睡眠
(
やす
)
んで
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
ふのも、
080
神代
(
かみよ
)
の
出現
(
しゆつげん
)
する
瑞祥
(
ずゐしやう
)
だアハヽヽヽ』
081
音彦
(
おとひこ
)
『そこへお
出
(
いで
)
になつたのが
音
(
おと
)
サンだ。
082
コンナ
結構
(
けつこう
)
な
神徳
(
しんとく
)
は、
083
亀
(
かめ
)
の
齢
(
よはひ
)
の
亀
(
かめ
)
サンぢやないが、
084
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
も
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
も
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
音
(
おと
)
サン
様
(
やう
)
にして、
085
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
くと
云
(
い
)
ふ
前兆
(
ぜんてう
)
だ。
086
困
(
こま
)
つたのは
駒公
(
こまこう
)
だ………イヤ
困
(
こま
)
るのは
駒
(
こま
)
サン
計
(
ばか
)
りでない、
087
ウラル
教
(
けう
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
、
088
八頭
(
やつがしら
)
八尾
(
やつを
)
の
大蛇
(
をろち
)
と、
089
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
のコンコンサンだ………』
090
駒彦
(
こまひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
にするない、
091
俺
(
おれ
)
計
(
ばか
)
り
継児
(
ままこ
)
扱
(
あつか
)
ひにしよつて………コシの
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
すのは、
092
駒
(
こま
)
サンの
御用
(
ごよう
)
だ、
093
何程
(
なにほど
)
足
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
いと
云
(
い
)
つても、
094
駒
(
こま
)
サンがヒーンヒンヒンと、
095
一
(
ひと
)
つ
鼻息
(
はないき
)
を
荒
(
あら
)
くし
足掻
(
あがき
)
を
行
(
や
)
つたら、
096
スツテントーと、
097
大地
(
だいち
)
へ
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
の
曲芸
(
きよくげい
)
を
演
(
えん
)
じ、
098
この
深
(
ふか
)
い
谷底
(
たにぞこ
)
へ
着陸
(
ちやくりく
)
し、
099
プロペラを
粉砕
(
ふんさい
)
して、
100
吠面
(
ほえづら
)
をかわかねばならぬのは、
101
今
(
いま
)
に
一目
(
いちもく
)
瞭然
(
れうぜん
)
だよ』
102
音彦
(
おとひこ
)
『
峠
(
たうげ
)
に
掛
(
かか
)
つたから、
103
駒
(
こま
)
サンが
敵愾心
(
てきがいしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
104
奮闘
(
ふんとう
)
する
様
(
やう
)
に、
105
一寸
(
ちよつと
)
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
つて
見
(
み
)
たのだ。
106
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
い
気
(
き
)
で
云
(
い
)
つたのぢやない。
107
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
108
凡
(
すべ
)
ての
事
(
こと
)
を
善意
(
ぜんい
)
に
解釈
(
かいしやく
)
するのだ。
109
痩馬
(
やせうま
)
の
様
(
やう
)
に、
110
営養
(
えいやう
)
不良
(
ふりやう
)
神経
(
しんけい
)
過敏
(
くわびん
)
な
面
(
つら
)
をして
居
(
を
)
るから、
111
一
(
ひと
)
つ
春駒
(
はるこま
)
の
勇
(
いさ
)
むやうにヒントを
与
(
あた
)
へたのだよ』
112
駒彦
(
こまひこ
)
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだい。
113
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
盲目漢
(
まうもくかん
)
が、
114
吾々
(
われわれ
)
の
人格
(
じんかく
)
をヒントする
資格
(
しかく
)
が
有
(
あ
)
るかい。
115
屁
(
へ
)
なつと
喰
(
くら
)
うとけ………
駒
(
こま
)
サンの
尻
(
しり
)
からヘイヘイ ハイハイと
云
(
い
)
つて、
116
ドウドウ(
同道
(
どうだう
)
)すれば
良
(
い
)
いのだ。
117
アハヽヽヽ』
118
音彦
(
おとひこ
)
『
音高
(
おとたか
)
し
音高
(
おとたか
)
し。
119
折角
(
せつかく
)
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
が、
120
積日
(
せきじつ
)
の
疲労
(
ひらう
)
を
休養
(
きうやう
)
して
御座
(
ござ
)
るのに、
121
お
眼
(
め
)
を
覚
(
さま
)
しては
済
(
す
)
まないぞ。
122
チット
音
(
おと
)
なしくせぬかい。
123
貴様
(
きさま
)
は
人情
(
にんじやう
)
を
解
(
かい
)
せない
奴
(
やつ
)
だよ』
124
駒彦
(
こまひこ
)
『どうぞ
音
(
おと
)
なしく、
125
この
場
(
ば
)
の
結末
(
けつまつ
)
は
音
(
おん
)
便
(
びん
)
に
願
(
ねが
)
ひます。
126
それにしても
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
は、
127
特別
(
とくべつ
)
待遇
(
たいぐう
)
として、
128
岩公
(
いはこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
129
ナントか
一
(
ひと
)
つ
悪戯
(
いたづら
)
をやらないと
景物
(
けいぶつ
)
がないぢやないか』
130
岩彦
(
いはひこ
)
『
古池
(
ふるいけ
)
に
飛込
(
とびこ
)
んで、
131
脂
(
あぶら
)
を
取
(
と
)
られた
音公
(
おとこう
)
、
132
化玉
(
ばけたま
)
に
出会
(
であ
)
つて、
133
魂
(
たま
)
をひしがれた
駒公
(
こまこう
)
、
134
亀公
(
かめこう
)
未
(
ま
)
だ
改心
(
かいしん
)
が
貴様
(
きさま
)
は
出来
(
でき
)
ぬか』
135
音
(
おと
)
、
136
亀
(
かめ
)
、
137
駒
(
こま
)
一時
(
いつとき
)
に、
138
音、亀、駒
『ヤー
此奴
(
こいつ
)
あ
狸寝
(
たぬきね
)
をやつて
居
(
ゐ
)
よつたな、
139
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
奴
(
やつ
)
だ。
140
これだから
現代
(
げんだい
)
の
人間
(
にんげん
)
は
油断
(
ゆだん
)
が
出来
(
でき
)
ぬと
云
(
い
)
ふのだ。
141
岩公
(
いはこう
)
の
寝
(
いね
)
の
悪
(
わる
)
さ、
142
見
(
み
)
られた
態
(
ざま
)
ぢやないワ。
143
一方
(
いつぱう
)
の
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎよつて、
144
一方
(
いつぱう
)
の
眼
(
め
)
を
猟師
(
れふし
)
が
兎
(
うさぎ
)
でも
狙
(
ねら
)
ふ
様
(
やう
)
に、
145
クルリと
開
(
あ
)
けて
眠
(
ね
)
てる
奴
(
やつ
)
は、
146
どうせ
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
ではない。
147
此奴
(
こいつ
)
は
横死
(
わうし
)
の
相
(
さう
)
がある、
148
可哀相
(
かあいさう
)
なものだ。
149
寝
(
ね
)
る
時
(
とき
)
にはグツタリと
寝
(
ね
)
、
150
起
(
お
)
きる
時
(
とき
)
には
潔
(
いさぎよ
)
く
起
(
お
)
きて
活動
(
くわつどう
)
するのが
人間
(
にんげん
)
の
本分
(
ほんぶん
)
だ。
151
こいちや
因果者
(
いんぐわもの
)
だから、
152
半分
(
はんぶん
)
寝
(
ね
)
て
半分
(
はんぶん
)
の
目
(
め
)
は
起
(
お
)
きて
居
(
ゐ
)
やがる』
153
駒彦
(
こまひこ
)
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
よ、
154
右
(
みぎ
)
の
眼
(
め
)
はウラル
教
(
けう
)
、
155
左
(
ひだり
)
の
眼
(
め
)
は
三五教
(
あななひけう
)
だ。
156
まだ
守護神
(
しゆごじん
)
が
改心
(
かいしん
)
せぬと
見
(
み
)
えてウラめし
相
(
さう
)
に、
157
片一方
(
かたいつぱう
)
の
目
(
め
)
は
団栗
(
どんぐり
)
の
様
(
やう
)
な
恰好
(
かつかう
)
して
睨
(
にら
)
んでけつかるのだ。
158
………オイ
岩公
(
いはこう
)
、
159
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
起
(
お
)
きぬかい』
160
岩彦
(
いはひこ
)
『グウグウ…………』
161
音彦
(
おとひこ
)
『ヤアナンだ。
162
寝言
(
ねごと
)
ぬかしてけつかつたのだナア。
163
それにしても、
164
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けて
寝
(
ね
)
る
奴
(
やつ
)
は
厭
(
いや
)
らしいぢやないか』
165
亀彦
(
かめひこ
)
『さうだ、
166
本当
(
ほんたう
)
に
厭
(
いや
)
らしい。
167
どうぢや、
168
片一方
(
かたいつぱう
)
の
目
(
め
)
を
剔出
(
てきしゆつ
)
してやつたら
本当
(
ほんたう
)
に
改心
(
かいしん
)
するかも
知
(
し
)
れないぞ。
169
三五教
(
あななひけう
)
の
北光
(
きたてるの
)
神
(
かみ
)
の
様
(
やう
)
に「あゝ
有難
(
ありがた
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
170
私
(
わたくし
)
はまだ
一
(
ひと
)
つの
目
(
め
)
を
与
(
あた
)
へて
貰
(
もら
)
ひました」ナンて
言
(
い
)
ひよれば、
171
本当
(
ほんたう
)
に
改心
(
かいしん
)
をしてるのだが………
一
(
ひと
)
つ
改心
(
かいしん
)
の
有無
(
うむ
)
を
試験
(
しけん
)
してやらうか』
172
駒彦
(
こまひこ
)
『ソンナ
事
(
こと
)
をしたら、
173
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
にお
目玉
(
めだま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
するぞ』
174
音彦
(
おとひこ
)
『お
目玉
(
めだま
)
を
一
(
ひと
)
つ
頂戴
(
ちやうだい
)
すれば
返
(
かへ
)
してやれば
良
(
い
)
いのぢやないか。
175
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づつ
)
貰
(
もら
)
つたら、
176
まだ
二
(
ふた
)
つ
余
(
あま
)
るといふ
勘定
(
かんぢやう
)
だ。
177
アハヽヽヽ、
178
………オイどこぞ
其処
(
そこ
)
らに
竹片
(
たけぎれ
)
でもないか、
179
一寸
(
ちよつと
)
探
(
さが
)
して
来
(
こ
)
い』
180
駒彦
(
こまひこ
)
『
岩公
(
いはこう
)
の
目
(
め
)
は
岩目
(
がんもく
)
と
書
(
か
)
く。
181
眼目
(
がんもく
)
を
無
(
な
)
くしては
宣伝使
(
せんでんし
)
が
勤
(
つと
)
まろまい』
182
音彦
(
おとひこ
)
『ナニ
所存
(
しよぞん
)
の
片目
(
かため
)
ぢや。
183
岩
(
いは
)
の
信仰
(
しんかう
)
を
岩
(
いは
)
の
如
(
ごと
)
く
片目
(
かため
)
と
云
(
い
)
ふ
洒落
(
しやれ
)
だ』
184
亀彦
(
かめひこ
)
『
目惑
(
めいわく
)
千万
(
せんばん
)
な
事
(
こと
)
だ。
185
どれ、
186
其処
(
そこ
)
らにないか
探
(
さが
)
して
来
(
き
)
てやらうか。
187
併
(
しか
)
し
夫
(
そ
)
れ
迄
(
まで
)
に
緊急
(
きんきふ
)
動議
(
どうぎ
)
がある』
188
駒彦
(
こまひこ
)
『
緊急
(
きんきふ
)
動議
(
どうぎ
)
とは
何
(
なん
)
だ』
189
亀彦
(
かめひこ
)
『
北光
(
きたてるの
)
神
(
かみ
)
は、
190
覚醒
(
かくせい
)
状態
(
じやうたい
)
で
目
(
め
)
を
突
(
つ
)
かれたのだ。
191
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
端座
(
たんざ
)
して、
192
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
を
説
(
と
)
いて
居
(
を
)
る
時
(
とき
)
に
突
(
つ
)
かねば、
193
騙討
(
だましうち
)
は
卑怯
(
ひけふ
)
だぞ。
194
寝鳥
(
ねどり
)
を
締
(
し
)
める
様
(
やう
)
な
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
は、
195
宣伝使
(
せんでんし
)
の
為
(
な
)
すべき
事
(
こと
)
ではあるまいぞ』
196
音彦
(
おとひこ
)
『そらさうだ、
197
一
(
ひと
)
つ
起
(
おこ
)
してやらうかい』
198
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
199
岩公
(
いはこう
)
の
足
(
あし
)
をグイグイと
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱ
)
る。
200
岩彦
(
いはひこ
)
『ダダ
誰
(
だれ
)
だ、
201
俺
(
おれ
)
の
足
(
あし
)
をひつぱる
奴
(
やつ
)
は、
202
大方
(
おほかた
)
音公
(
おとこう
)
だらう。
203
北光
(
きたてるの
)
神
(
かみ
)
の
様
(
やう
)
に
片目
(
かため
)
にしてやらうかい、
204
ナア
音公
(
おとこう
)
、
205
グウグウ ムニヤムニヤ』
206
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア
怪体
(
けつたい
)
な
奴
(
やつ
)
ぢや、
207
やつぱり
此奴
(
こいつ
)
は
半眠
(
はんみん
)
半醍
(
はんせい
)
状態
(
じやうたい
)
だ。
208
自己
(
じこ
)
催眠術
(
さいみんじゆつ
)
にかかりよつて
幻覚
(
げんかく
)
でも
起
(
おこ
)
して
居
(
ゐ
)
ると
見
(
み
)
えるワイ』
209
鷹彦
(
たかひこ
)
『アハヽヽヽヽ』
210
梅彦
(
うめひこ
)
『ウフヽヽヽヽ』
211
亀彦
(
かめひこ
)
『ヤア
一時
(
いつとき
)
に
覚醒
(
かくせい
)
状態
(
じやうたい
)
になりよつたなア』
212
鷹彦
(
たかひこ
)
『オイ
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
213
何処
(
どこ
)
を
間誤
(
まご
)
ついて
居
(
を
)
つたのだ。
214
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
顔
(
かほ
)
はなんだ、
215
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
だらけぢやないか。
216
いつ
手水
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
うたか
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
な
面付
(
つらつき
)
しよつて、
217
その
態
(
ざま
)
は
一体
(
いつたい
)
どうしたのだ』
218
音彦
(
おとひこ
)
『
曖昧
(
あいまい
)
濛糊
(
もうこ
)
として
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬやうになつて
来
(
き
)
たワイ』
219
鷹彦
(
たかひこ
)
『
狸穴
(
たぬきあな
)
にひつぱり
込
(
こ
)
まれよつて、
220
ナニ
今頃
(
いまごろ
)
に
寝言
(
ねごと
)
を
云
(
い
)
つてるのだ。
221
此処
(
ここ
)
はどこだと
思
(
おも
)
つてるツ』
222
音彦
(
おとひこ
)
『どこだつて、
223
此処
(
ここ
)
ぢやと
思
(
おも
)
つてるのだ』
224
鷹彦
(
たかひこ
)
『
此処
(
ここ
)
は
定
(
きま
)
つてる、
225
地名
(
ちめい
)
は
何
(
なん
)
だ』
226
音彦
(
おとひこ
)
『
知名
(
ちめい
)
の
士
(
し
)
は、
227
鷹公
(
たかこう
)
、
228
梅公
(
うめこう
)
、
229
岩公
(
いはこう
)
、
230
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ』
231
鷹彦
(
たかひこ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
、
232
所
(
ところ
)
の
名
(
な
)
は
何処
(
どこ
)
だと
云
(
い
)
うのだ』
233
音彦
(
おとひこ
)
『
所
(
ところ
)
の
名
(
な
)
は、
234
やつぱり
所
(
ところ
)
だ』
235
鷹彦
(
たかひこ
)
『
今
(
いま
)
は
何時
(
なんどき
)
ぢやと
思
(
おも
)
つとる』
236
音彦
(
おとひこ
)
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
237
昨日
(
きのふ
)
の
今頃
(
いまごろ
)
とは、
238
言
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
丈
(
だけ
)
遅
(
おそ
)
いのだ』
239
鷹彦
(
たかひこ
)
『オイ
岩公
(
いはこう
)
、
240
起
(
おき
)
ぬか
起
(
おき
)
ぬか、
241
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
、
242
ド
狸
(
たぬき
)
に
魅
(
つま
)
まれて
来
(
き
)
よつて、
243
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
だらけになつて、
244
催眠術
(
さいみんじゆつ
)
にかかつた
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
をほざきよるのだ。
245
一寸
(
ちよつと
)
やそつとに、
246
覚醒
(
かくせい
)
する
予算
(
よさん
)
がつかぬ、
247
強度
(
きやうど
)
の
催眠
(
さいみん
)
状態
(
じやうたい
)
だから。
248
一
(
ひと
)
つ
貴様
(
きさま
)
と
協力
(
けふりよく
)
して
片一方
(
かたいつぱう
)
の
目
(
め
)
を
剔
(
ゑぐ
)
つてやつたら、
249
チツとは
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
くだらう』
250
岩彦
(
いはひこ
)
『そら
面白
(
おもしろ
)
からう。
251
吾輩
(
わがはい
)
の
目
(
め
)
の
玉
(
たま
)
を
抜
(
ぬ
)
いてやるなんて、
252
明盲
(
あきめくら
)
奴
(
め
)
が
最前
(
さいぜん
)
から
岩上
(
がんじやう
)
会議
(
くわいぎ
)
をやつて
居
(
ゐ
)
よつたのだ。
253
オイ
音公
(
おとこう
)
、
254
亀公
(
かめこう
)
、
255
駒公
(
こまこう
)
、
256
目
(
め
)
を
出
(
だ
)
せツ』
257
音彦
(
おとひこ
)
『この
頃
(
ごろ
)
は
春先
(
はるさき
)
で、
258
何処
(
どこ
)
の
草木
(
くさき
)
も
沢山
(
たくさん
)
に
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
るワイ。
259
ナンダか
頭
(
あたま
)
がポカポカして
来
(
き
)
だした。
260
アハヽヽ』
261
鷹公
(
たかこう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
にスツと
立
(
た
)
ち、
262
プウプウプウと
霧水
(
きりみづ
)
を、
263
面上
(
めんじやう
)
目
(
め
)
がけて
吹
(
ふ
)
きかけた。
264
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
初
(
はじ
)
めて
吃驚
(
びつくり
)
し、
265
三
(
さん
)
人
(
にん
)
『ヤア
此処
(
ここ
)
はどこだ。
266
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
ぢやないか』
267
とキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
す。
268
琵琶
(
びは
)
の
声
(
こゑ
)
は
幽
(
かす
)
かに
聞
(
きこ
)
えて、
269
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
より
玉
(
たま
)
の
中
(
なか
)
から
現
(
あら
)
はれた
美人
(
びじん
)
の
顔
(
かほ
)
に
酷似
(
そつくり
)
の
主
(
ぬし
)
が
琵琶
(
びは
)
を
抱
(
かか
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
270
ニコニコとして
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
271
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
附近
(
あたり
)
をキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
せば、
272
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
姿
(
すがた
)
も、
273
その
他
(
た
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
影
(
かげ
)
も、
274
巌
(
いは
)
も
何
(
なに
)
も
無
(
な
)
い。
275
以前
(
いぜん
)
の
石畳
(
いしだたみ
)
をもつて
繞
(
めぐ
)
らしたる
岩窟内
(
がんくつない
)
の
女神
(
めがみ
)
の
屋敷
(
やしき
)
であつた。
276
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア
夢
(
ゆめ
)
とも
現
(
うつつ
)
とも
何
(
なん
)
とも
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬぢやないか。
277
やつぱり
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
だけの
特色
(
とくしよく
)
が
有
(
あ
)
るワイ』
278
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
目
(
め
)
を
見張
(
みは
)
り、
279
首
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
怪訝
(
けげん
)
の
念
(
ねん
)
に
打
(
う
)
たれ、
280
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
281
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
の
態
(
てい
)
にて、
282
一言
(
いちごん
)
も
発
(
はつ
)
せず、
283
沈黙
(
ちんもく
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
284
琵琶
(
びは
)
を
抱
(
かか
)
へた
美人
(
びじん
)
は、
285
しとやかに
襠姿
(
うちかけすがた
)
の
儘
(
まま
)
、
286
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
静
(
しづ
)
かに
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
287
美人
『コレハコレハ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
288
能
(
よ
)
くも
妾
(
わらは
)
が
茅屋
(
あばらや
)
を
御
(
ご
)
訪問
(
はうもん
)
下
(
くだ
)
さいました、
289
嘸々
(
さぞさぞ
)
お
腹
(
なか
)
が
空
(
す
)
いたで
御座
(
ござ
)
いませう。
290
蜥蜴
(
とかげ
)
の
吸物
(
すひもの
)
に
百足
(
むかで
)
のおひたし、
291
蛙
(
かはず
)
の
膾
(
なます
)
に
蛇
(
へび
)
の
蒲焼
(
かばやき
)
、
292
お
口
(
くち
)
に
合
(
あ
)
ひますまいが、
293
ゆるりとお
食
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
294
コレコレ
松
(
まつ
)
や、
295
春
(
はる
)
や、
296
お
客様
(
きやくさま
)
に
御
(
お
)
膳
(
ぜん
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
く
)
るのだよ』
297
音彦
(
おとひこ
)
『イヤー、モシモシ
滅相
(
めつさう
)
な。
298
蜥蜴
(
とかげ
)
や
百足
(
むかで
)
、
299
蛙
(
かへる
)
、
300
蛇
(
へび
)
、
301
ソンナ
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
いたしましては、
302
冥加
(
みやうが
)
に
尽
(
つ
)
きまする。
303
どうぞ
御
(
お
)
構
(
かま
)
ひ
下
(
くだ
)
さいますな』
304
美人
(
びじん
)
『オホヽヽヽヽ、
305
お
嫌
(
きら
)
ひとあれば
仕方
(
しかた
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
306
然
(
しか
)
らば
なめくぢ
のつくり
身
(
み
)
に、
307
蚯蚓
(
みみず
)
の
饂飩
(
うどん
)
でも
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
308
音彦
(
おとひこ
)
『イヤ、
309
コレハコレハ
一向
(
いつかう
)
不調法
(
ぶてうはふ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
310
どうぞ
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
311
このお
宅
(
たく
)
は
何時
(
いつ
)
もさういふ
物
(
もの
)
を
召
(
め
)
しあがるのですかなア』
312
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
313
妾
(
わらは
)
は
蛙
(
かはず
)
が
大好物
(
だいかうぶつ
)
ですよ』
314
音彦
(
おとひこ
)
『オイオイ
亀公
(
かめこう
)
、
315
駒公
(
こまこう
)
、
316
どうやら
此奴
(
こいつ
)
ア
怪
(
あや
)
しいぞ。
317
ノロノロと
違
(
ちが
)
うか』
318
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
319
妾
(
わらは
)
の
夫
(
をつと
)
は
蟒
(
うはばみ
)
の
野呂公
(
のろこう
)
と
申
(
まを
)
します』
320
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア
失敗
(
しま
)
つた、
321
野呂公
(
のろこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
322
到頭
(
たうと
)
計略
(
けいりやく
)
にかけよつて、
323
コンナ
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
へ
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱ
)
り
込
(
こ
)
みよつたのだらう、
324
油断
(
ゆだん
)
の
出来
(
でき
)
ぬ
奴
(
やつ
)
だ。
325
斯
(
か
)
う
立派
(
りつぱ
)
な
邸宅
(
ていたく
)
と
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
るが、
326
どうやら、
327
フル
野ケ原
(
のがはら
)
の
草
(
くさ
)
茫々
(
ばうばう
)
と
生
(
は
)
えたシクシク
原
(
はら
)
ではあるまいかな。
328
オイ
亀公
(
かめこう
)
、
329
駒公
(
こまこう
)
、
330
一寸
(
ちよつと
)
そこらを
撫
(
な
)
でて
見
(
み
)
よ、
331
立派
(
りつぱ
)
な
座敷
(
ざしき
)
の
様
(
やう
)
なが、
332
ヒヨツとしたら
芝
(
しば
)
ツ
原
(
ぱら
)
かも
知
(
し
)
れぬぞ』
333
美人
(
びじん
)
『イヤお
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
、
334
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
335
………あなた
方
(
がた
)
は
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
探検
(
たんけん
)
はどうなさいました』
336
音彦
(
おとひこ
)
『
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の、
337
いま
探険
(
たんけん
)
最中
(
さいちう
)
だ。
338
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
かと
思
(
おも
)
へば、
339
野
(
の
)
ツ
原
(
ぱら
)
のやうでもあり、
340
野原
(
のはら
)
かと
思
(
おも
)
へば、
341
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
でもあり、
342
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか、
343
一向
(
いつかう
)
合点
(
がてん
)
が
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
らぬワイ。
344
ナンでも
貴様
(
きさま
)
は
大化物
(
おほばけもの
)
に
相違
(
さうゐ
)
ない。
345
もう
斯
(
か
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は、
346
ウラル
教
(
けう
)
の
地金
(
ぢがね
)
を
現
(
あら
)
はし、
347
双刃
(
もろは
)
の
劔
(
つるぎ
)
の
刄
(
は
)
の
続
(
つづ
)
く
限
(
かぎ
)
り、
348
斬
(
き
)
つて
斬
(
き
)
つて
切
(
き
)
りまくり、
349
荒
(
あ
)
れて
荒
(
あ
)
れて
暴
(
あ
)
れ
廻
(
まは
)
り、
350
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
化物
(
ばけもの
)
の
正体
(
しやうたい
)
を、
351
天日
(
てんじつ
)
に
曝
(
さら
)
して、
352
天下
(
てんか
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
断
(
た
)
つてやるから、
353
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
354
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
355
あのマア
音
(
おと
)
サンの
気張
(
きば
)
り
様
(
やう
)
、
356
苧殻
(
をがら
)
に
固糊
(
かたのり
)
をつけたやうな
腕
(
うで
)
を
振
(
ふ
)
りまはして
力味
(
りきみ
)
シヤンス
事
(
こと
)
ワイナ。
357
肝腎
(
かんじん
)
の
身魂
(
みたま
)
も
研
(
みが
)
けずに、
358
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に………イヤイヤ
腹
(
はら
)
の
岩窟
(
いはや
)
に、
359
沢山
(
たくさん
)
の
曲津
(
まがつ
)
を
棲息
(
せいそく
)
させて、
360
足許
(
あしもと
)
の
掃除
(
さうぢ
)
もせずに、
361
おほけなくも、
362
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
悪魔
(
あくま
)
退治
(
たいぢ
)
とお
出掛
(
でかけ
)
なさつた、
363
心根
(
こころね
)
がいじらしう
御座
(
ござ
)
ンす。
364
ホヽヽヽヽ』
365
亀彦
(
かめひこ
)
『エー
言
(
い
)
はして
置
(
お
)
けば、
366
ベラベラ
能
(
よ
)
う
囀
(
さへづ
)
る
野呂蛇
(
のろへび
)
奴
(
め
)
が、
367
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするな。
368
一寸
(
いつすん
)
の
虫
(
むし
)
にも
五分
(
ごぶ
)
の
魂
(
たましひ
)
だ。
369
一寸刻
(
いつすんきざみ
)
の
五分試
(
ごぶだめ
)
し、
370
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
れよ』
371
と
双刃
(
もろは
)
の
劔
(
つるぎ
)
に
手
(
て
)
をかけて
立上
(
たちあが
)
らむとし、
372
亀彦
(
かめひこ
)
『アイタヽヽヽ、
373
ナンダ、
374
床板
(
ゆかいた
)
が
足
(
あし
)
に
固着
(
こちやく
)
して
了
(
しま
)
つた』
375
美人
(
びじん
)
『
亀
(
かめ
)
サン、
376
それはお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま、
377
床板
(
ゆかいた
)
に
足
(
あし
)
が
固着
(
こちやく
)
しましたか。
378
コチヤ
苦
(
く
)
にならぬ、
379
コチヤ
構
(
かま
)
やせぬ。
380
ホヽヽヽヽ』
381
亀彦
(
かめひこ
)
『エーもう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は、
382
破
(
やぶ
)
れかぶれだ。
383
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ。
384
オイ
駒公
(
こまこう
)
、
385
しつかりせぬかい。
386
この
阿魔女
(
あまつちよ
)
を、
387
俺
(
おれ
)
に
代
(
かは
)
つてブスリとやるのだ』
388
駒彦
(
こまひこ
)
『
八釜
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
ふない、
389
俺
(
おれ
)
の
身体
(
からだ
)
は、
390
信神
(
しんじん
)
堅固
(
けんご
)
なものだ。
391
首
(
くび
)
から
下
(
した
)
は
斯
(
か
)
ういふ
場合
(
ばあひ
)
に
天然
(
てんねん
)
的
(
てき
)
にビクとも
動
(
うご
)
かぬ
一大
(
いちだい
)
特性
(
とくせい
)
を、
392
完全
(
くわんぜん
)
に
具備
(
ぐび
)
して
御座
(
ござ
)
るのだよ』
393
亀彦
(
かめひこ
)
『
何
(
なに
)
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
394
貴様
(
きさま
)
は
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
したな』
395
駒彦
(
こまひこ
)
『
吾輩
(
わがはい
)
の
身心
(
しんしん
)
は
鞏固
(
きようこ
)
不抜
(
ふばつ
)
なものだ、
396
ビクとも
致
(
いた
)
さぬ
某
(
それがし
)
だ』
397
亀彦
(
かめひこ
)
『ヤイ
音公
(
おとこう
)
、
398
貴様
(
きさま
)
なにマゴマゴしてるのだ。
399
二人
(
ふたり
)
の
敵
(
かたき
)
を
討
(
う
)
たぬかい』
400
音彦
(
おとひこ
)
『
敵
(
かたき
)
を
討
(
う
)
てと
云
(
い
)
つたつて、
401
堅木
(
かたき
)
所
(
どころ
)
か、
402
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
も、
403
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
も
生
(
は
)
えて
居
(
ゐ
)
ないぢやないか。
404
難
(
かた
)
きを
避
(
さ
)
けて
易
(
やす
)
きに
就
(
つ
)
くが
処世
(
しよせい
)
の
要点
(
えうてん
)
だよ』
405
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
406
モシモシお
三
(
さん
)
人
(
にん
)
様
(
さま
)
、
407
あなた
様
(
さま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
丈
(
だけ
)
あつて、
408
随分
(
ずゐぶん
)
お
堅
(
かた
)
いお
方
(
かた
)
、
409
あなたの
肝腎
(
かんじん
)
の
霊
(
みたま
)
も、
410
霊肉
(
れいにく
)
一致
(
いつち
)
して
堅
(
かた
)
くなつて
下
(
くだ
)
さらむ
事
(
こと
)
を
希望
(
きばう
)
いたします』
411
亀彦
(
かめひこ
)
『エー
放
(
ほ
)
つときやがれ。
412
オーさうだ、
413
良
(
い
)
い
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した、
414
神言
(
かみごと
)
だ。
415
悪魔
(
あくま
)
調伏
(
てうふく
)
の
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
武器
(
ぶき
)
を
所持
(
しよぢ
)
して
居
(
を
)
るこの
方
(
はう
)
を、
416
ナント
心得
(
こころえ
)
とる。
417
サアこれから
言霊
(
ことたま
)
の
乱射
(
らんしや
)
だぞ。
418
生命
(
いのち
)
の
惜
(
をし
)
い
奴
(
やつ
)
は、
419
一時
(
ひととき
)
も
早
(
はや
)
く
逃
(
に
)
げたがよからうぞ』
420
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
421
あなたの
言霊
(
ことたま
)
は、
422
三味線
(
さみせん
)
玉
(
だま
)
ですよ。
423
ソンナボンボン
三味線
(
さみせん
)
でも、
424
神力
(
しんりき
)
が
現
(
あら
)
はれますかな』
425
亀彦
(
かめひこ
)
『エー
八釜
(
やかま
)
しいワー、
426
最前
(
さいぜん
)
も
貴様
(
きさま
)
の
宅
(
うち
)
の
石門
(
せきもん
)
を
開
(
ひら
)
いた、
427
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
経験
(
けいけん
)
があるのだ。
428
吾輩
(
わがはい
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
敬虔
(
けいけん
)
の
態度
(
たいど
)
を
以
(
もつ
)
て、
429
経験
(
けいけん
)
の
為
(
ため
)
に
聴聞
(
ちやうもん
)
を
致
(
いた
)
せ』
430
美人
(
びじん
)
『オホヽヽヽ、
431
どうぞ
聴聞
(
ちやうもん
)
さして
下
(
くだ
)
さいませ。
432
妾
(
わらは
)
が
為
(
ため
)
に
頂門
(
ちやうもん
)
の
一針
(
いつしん
)
、
433
あなたの
為
(
ため
)
にも
前門
(
ぜんもん
)
の
狼
(
おほかみ
)
後門
(
こうもん
)
の
虎
(
とら
)
、
434
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
用心
(
ようじん
)
なされませや』
435
亀彦
(
かめひこ
)
『エー
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
居
(
ゐ
)
よる、
436
………オイ
音
(
おと
)
サン、
437
駒
(
こま
)
サン、
438
言霊
(
ことたま
)
の
一斉
(
いつせい
)
射撃
(
しやげき
)
だ。
439
鶴翼
(
かくよく
)
の
陣
(
ぢん
)
を
張
(
は
)
つて、
440
一声
(
いつせい
)
天地
(
てんち
)
を
震憾
(
しんかん
)
し、
441
一音
(
いちおん
)
風雨
(
ふうう
)
雷霆
(
らいてい
)
を
叱咤
(
しつた
)
する、
442
無限
(
むげん
)
絶対力
(
ぜつたいりよく
)
の
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
太祝詞
(
ふとのりと
)
、
443
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
の
発射
(
はつしや
)
だよ』
444
音彦
(
おとひこ
)
『タ、
445
タ、
446
カ、
447
カ、
448
タカ、
449
ヒ、
450
ヒ、
451
ヒ、
452
コ、
453
ニ、
454
ホ、
455
ホカサレ、
456
ヒ、
457
ヒノデノ、
458
ワケニ、
459
ス、
460
ステラレ…………』
461
亀彦
(
かめひこ
)
『オイ
音公
(
おとこう
)
、
462
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ、
463
「
高天原
(
たかあまはら
)
」を
言
(
い
)
ふのだぞ』
464
音彦
(
おとひこ
)
『ナンだか
知
(
し
)
らないが、
465
自然
(
しぜん
)
的
(
てき
)
に
脱線
(
だつせん
)
するのだ』
466
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽヽ、
467
モシモシ
音
(
おと
)
サン、
468
亀
(
かめ
)
サン、
469
駒
(
こま
)
サン、
470
あなた
方
(
がた
)
は
何
(
なに
)
がお
商売
(
しやうばい
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
471
音彦
(
おとひこ
)
『いまさら
尋
(
たづ
)
ねるに
及
(
およ
)
ばぬ、
472
勿体
(
もつたい
)
なくも、
473
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
だ。
474
この
方
(
はう
)
の
被面布
(
ひめんぷ
)
が
目
(
め
)
に
着
(
つ
)
かぬか、
475
盲女
(
めくらをんな
)
奴
(
め
)
』
476
美人
(
びじん
)
『
被面布
(
ひめんぷ
)
は、
477
どこに
御
(
ご
)
所持
(
しよぢ
)
で
御座
(
ござ
)
います、
478
お
頭
(
つむ
)
にも
懸
(
かか
)
つて
居
(
を
)
らぬ
様
(
やう
)
ですが』
479
音公
(
おとこう
)
は
頭
(
あたま
)
へ
手
(
て
)
をあげて
見
(
み
)
て、
480
音彦
(
おとひこ
)
『ヤア
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
消滅
(
せうめつ
)
して
了
(
しま
)
ひよつた。
481
………オイ
亀公
(
かめこう
)
、
482
駒公
(
こまこう
)
、
483
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
被面布
(
ひめんぷ
)
はどうした』
484
亀
(
かめ
)
、
485
駒
(
こま
)
『ヤア
吾々
(
われわれ
)
も
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
486
過激
(
くわげき
)
な
労働
(
らうどう
)
をしたので、
487
磨滅
(
まめつ
)
して
了
(
しま
)
つたらしいワイ』
488
美人
(
びじん
)
『ホヽヽヽそれでは、
489
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
も
被免
(
ひめん
)
になりませう。
490
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さま』
491
音彦
(
おとひこ
)
『エーけつたいの
悪
(
わる
)
い、
492
一体
(
いつたい
)
此処
(
ここ
)
はどこだ。
493
モウ
吾輩
(
わがはい
)
も
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
ぐから、
494
魔性
(
ましやう
)
の
女
(
をんな
)
、
495
斯
(
か
)
う
五里
(
ごり
)
霧中
(
むちゆう
)
に
彷徨
(
さまよ
)
つては
仕方
(
しかた
)
がない。
496
頭
(
あたま
)
からカブリなと
呑
(
の
)
みなと、
497
勝手
(
かつて
)
にせい。
498
俺
(
おれ
)
の
身体
(
からだ
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
貴様
(
きさま
)
に
任
(
まか
)
した、
499
エー
棄鉢
(
すてばち
)
だツ』
500
美人
(
びじん
)
『ヤア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
、
501
そこまで
行
(
い
)
つたら、
502
あなたの
臍下
(
さいか
)
丹田
(
たんでん
)
も、
503
岩戸
(
いはと
)
が
開
(
ひら
)
けました、
504
能
(
よ
)
う
改心
(
かいしん
)
して
下
(
くだ
)
さいました。
505
此処
(
ここ
)
はフル
野ケ原
(
のがはら
)
の
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
中心点
(
ちうしんてん
)
、
506
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめの
)
命
(
みこと
)
が
経綸
(
けいりん
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
、
507
高照姫
(
たかてるひめの
)
神
(
かみ
)
の
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
鎮
(
しづ
)
まり
給
(
たま
)
ふ
岩窟
(
いはや
)
第一
(
だいいち
)
の
珍
(
うづ
)
の
御舎
(
みあらか
)
で
御座
(
ござ
)
います。
508
サアサアこれから
妾
(
わたし
)
が
先達
(
せんだつ
)
となつて、
509
この
岩窟
(
いはや
)
の
探険
(
たんけん
)
を
首尾
(
しゆび
)
能
(
よ
)
く
終了
(
しうれう
)
させませう。
510
決
(
けつ
)
して
執着心
(
しふちやくしん
)
を、
511
又
(
また
)
もや
持
(
も
)
たぬ
様
(
やう
)
に、
512
今
(
いま
)
の
心
(
こころ
)
になつて
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
して
下
(
くだ
)
さい。
513
この
先
(
さき
)
種々
(
いろいろ
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
が
現
(
あら
)
はれても、
514
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なされますな。
515
生命
(
いのち
)
を
棄
(
す
)
てると
云
(
い
)
ふ
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へならば、
516
ドンナ
難関
(
なんくわん
)
でも、
517
無事
(
ぶじ
)
に
通過
(
つうくわ
)
が
出来
(
でき
)
ますから………サア
斯
(
か
)
う
定
(
きま
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
518
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
当館
(
たうやかた
)
を
御
(
ご
)
出立
(
しゆつたつ
)
遊
(
あそ
)
ばして、
519
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
修業場
(
しうげふば
)
を
巡回
(
じゆんくわい
)
して
下
(
くだ
)
さい。
520
何
(
いづ
)
れ
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にも、
521
その
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
にも、
522
この
岩窟内
(
がんくつない
)
で
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
が
出来
(
でき
)
ませう、
523
左様
(
さやう
)
なら』
524
と
徐々
(
しづしづ
)
と
襖
(
ふすま
)
を
開
(
ひら
)
いて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したりける。
525
音彦
(
おとひこ
)
『アヽ
随分
(
ずゐぶん
)
吾々
(
われわれ
)
の
身魂
(
みたま
)
は、
526
種々
(
いろいろ
)
の
残滓物
(
ざんさぶつ
)
が
蓄積
(
ちくせき
)
してると
見
(
み
)
えて、
527
散々
(
さんざん
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされたが、
528
何
(
なん
)
だか
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
つた
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
になつた。
529
気分
(
きぶん
)
も
晴々
(
せいせい
)
として
来
(
き
)
た、
530
サア
是
(
これ
)
から
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
探険
(
たんけん
)
だ。
531
あまり
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
依頼
(
たより
)
にするものだから、
532
妙
(
めう
)
な
幻覚
(
げんかく
)
を
起
(
おこ
)
したり、
533
迷
(
まよ
)
うたのだ。
534
改
(
あらた
)
めて
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
535
岩窟
(
いはや
)
の
探険
(
たんけん
)
と
出掛
(
でかけ
)
ることとしようかい』
536
亀
(
かめ
)
、
537
駒
(
こま
)
『
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
538
結構
(
けつこう
)
さまで
御座
(
ござ
)
います。
539
謹
(
つつし
)
んでお
伴
(
とも
)
を
致
(
いた
)
しませう』
540
音彦
(
おとひこ
)
『アヽあなた
方
(
がた
)
も、
541
是
(
これ
)
で
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
が
使
(
つか
)
へる
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
ました、
542
私
(
わたくし
)
もどうぞあなた
方
(
がた
)
のお
力
(
ちから
)
を
借
(
か
)
つて、
543
共
(
とも
)
に
岩窟
(
いはや
)
の
修業
(
しうげふ
)
をさして
頂
(
いただ
)
きませう。
544
サア
皆
(
みな
)
さま
参
(
まゐ
)
りませう』
545
と
今
(
いま
)
までの
野卑
(
やひ
)
な
言葉
(
ことば
)
を
改
(
あらた
)
め、
546
心
(
こころ
)
より
清々
(
せいせい
)
として、
547
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
岩窟
(
いはや
)
の
探険
(
たんけん
)
に
出
(
で
)
かける
事
(
こと
)
となりける。
548
(
大正一一・三・二一
旧二・二三
松村真澄
録)
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