霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 蓮花開(れんくわかい)〔五四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第4篇 奇窟怪巌 よみ(新仮名遣い):きくつかいがん
章:第15章 蓮花開 よみ(新仮名遣い):れんかかい 通し章番号:541
口述日:1922(大正11)年03月20日(旧02月22日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三人(音彦、亀彦、駒彦)が荒れ野の道を行くと、四五人の荒男が行く手をふさいだ。中でも頭目の男はうわばみの野呂公と名乗った。音彦は、荒男たちの脅しもどこ吹く風で、喧嘩腰に応対している。
しかし不思議にも野呂公を名乗る男は、昨晩三人が大蛙の背に乗って喧嘩していたことを知っていた。そして、自分は昨日の蛙の化身だと言う。
音彦は野呂公の正体を問いただすが、逆に醜の岩窟での修行が足りないと言われてしまう。気がつくと、布留野ケ原の荒野にいたと思った三人は、不思議にも岩窟の中をまださまよっていた。
岩窟の中に丸い光が現れると、そこから美女が現れた。三人は好い気になって、女が差し招くほうに歩を進めていった。岩窟の道はほのかに明るくなってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-26 18:01:58 OBC :rm1315
愛善世界社版:179頁 八幡書店版:第3輯 95頁 修補版: 校定版:179頁 普及版:76頁 初版: ページ備考:
001 (おと)002(かめ)003(こま)(さん)(にん)は、004荒野(あれの)(はら)西北(せいほく)()して(すす)()く。005(かたはら)(たけ)なす草原(くさはら)(なか)より(あら)はれ()でたる五六(ごろく)(にん)(あや)しの(をとこ)006大手(おほて)(ひろ)げて四方(しはう)取囲(とりかこ)み、
007『ヤイ、008何処(いづく)(やつ)()らぬが、009此処(ここ)(なん)(おも)つて()(まよ)うて()たか、010サア所有物(もちもの)一切(いつさい)悉皆(すつかり)此処(ここ)へ、011おつ()()して赤裸(まつぱだか)になれ。012さうすれば生命(いのち)(だけ)(たす)けてやらう』
013音彦(おとひこ)(なに)(ぬか)しよるのだ、014泥棒(どろぼう)()が、015(なさけ)ない(やつ)だナア。016(おほ)きな図体(づうたい)をしよつて、017(ひと)(もの)()らねば生活(せいくわつ)出来(でき)ないとは、018(なん)といふ因果(いんぐわ)(うま)(つき)だ。019一体(いつたい)貴様(きさま)(なん)()(やつ)だい』
020(をとこ)(おれ)(うはばみ)野呂公(のろこう)さまだい』
021音彦(おとひこ)道理(だうり)で、022のろのろしてけつかるワイ、023この(から)時節(じせつ)労働(らうどう)もせずに、024(あそ)んで()ふと()(やう)(わる)了見(れうけん)()すな』
025野呂公(のろこう)(なに)(ふる)(こと)()ふのだ。026(これ)でも当世向(たうせいむき)(あたら)しい(をとこ)だぞ。027(いま)人間(にんげん)泥棒(どろばう)根性(こんじやう)()(やつ)が、028一匹(いつぴき)でも半匹(はんびき)でもあるかい、029(おに)(ぞく)との()(なか)だ。030ナンダ貴様(きさま)は、031宣伝使(せんでんし)(づら)をしよつて、032偽善者(きぜんしや)骨頂(こつちやう)()が。033(うま)(かほ)にハンモックを()けた(やう)(なが)いシヤツ(づら)をしよつて………貴様(きさま)もやつぱり(かほ)ばつかりぢやない、034()(あし)(なが)い、035手長彦(てながひこ)長髄彦(ながすねひこ)眷属(けんぞく)だらう』
036音彦(おとひこ)(なに)(ぬか)しよるのだ、037マア(おれ)宣伝歌(せんでんか)を、038落着(おちつ)いて聴聞(ちやうもん)しろ』
039野呂公(のろこう)貴様(きさま)は、040(かみ)だとか、041(みち)だとか、042(ぜん)だとか、043(あく)だとかほざきよつて、044世界(せかい)人間(にんげん)圧制(あつせい)(まは)宣伝使(せんでんし)だらう。045チツト頭脳(あたま)(ふる)いぞ、046是程(これほど)民衆(みんしう)運動(うんどう)(さか)んな()(なか)に、047守旧(しゆきう)(てき)(こと)()つても、048通用(つうよう)せないぞ。049吾々(われわれ)は、050貴様(きさま)のやうな(やつ)を、051ケープスタンぢやないが、052(かた)(ぱし)から一所(ひととこ)()()せて、053ガタガタと片付(かたづ)ける(つも)りだ。054通常(あたりまへ)泥棒(どろばう)だと(おも)ふな。055()()えても(せん)(こと)にして()るのだぞ』
056音彦(おとひこ)『ア、057ナント(あぶ)ない原野(げんや)だ。058全然(まるで)浮流(ふりう)水雷(すゐらい)濫設(らんせつ)した(なか)を、059(てう)努級艦(どきふかん)航海(かうかい)してる(やう)なものだ。060………ヤイ浮流(ふりう)水雷(すゐらい)!、061こちらも探海船(たんかいせん)があるぞ。062爆発(ばくはつ)さしてやらうか』
063野呂公(のろこう)『ヘン(なに)(ぬか)しよるのだい。064ベンチレータの(やう)(はな)をしよつて、065鼻々(はなはな)(もつ)不恰好(ぶかつかう)千万(せんばん)な、066鼻息(はないき)ばつかり(あら)くても、067石油(せきゆ)空缶(あきくわん)ぢやないが、068(かぜ)()いても()(やう)なビクビク(ごし)で……ナアンだ、069(ひきがへる)(いけ)(そこ)()()まれよつて…………』
070音彦(おとひこ)『ナニ、071(ひきがへる)()()まれた?、072貴様(きさま)どうして()つてるのだ』
073野呂公(のろこう)『アハヽヽヽヽ、074それだから貴様(きさま)宣伝使(せんでんし)零点(ゼロ)()ふのだ』
075音彦(おとひこ)『ソンナら貴様(きさま)一体(いつたい)何者(なにもの)だ』
076野呂公(のろこう)(ひきがへる)現実化(げんじつくわ)したのが、077(うはばみ)野呂(のろ)さまだよ』
078音彦(おとひこ)『オーさうか、079貴様(きさま)(かへる)なら、080裸体(はだか)(くら)して()ればよいのだ。081何故(なぜ)(この)(はう)()衣服(めしもの)必要(ひつえう)なのだ、082………オイ亀公(かめこう)083駒公(こまこう)084しつかりしよらぬかい。085(おれ)ばつかりに交渉(かうせふ)させよつて、086貴様(きさま)はそれでいいのか、087冷淡(れいたん)至極(しごく)(やつ)だなア』
088(かめ)089(こま)『オイ(おと)サン、090(まへ)身魂(みたま)因縁(いんねん)で、091難局(なんきよく)(あた)らなならぬ(やく)(うま)れて()()るのだよ。092吾輩(わがはい)は、093(あと)(からす)(さき)になる、094(さき)()()(くだ)されよだ。095最後(さいご)神業(しんげふ)参加(さんか)して、096抜群(ばつぐん)功名(こうみやう)手柄(てがら)(あら)はすのだよ』
097音彦(おとひこ)二十(にじつ)世紀(せいき)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(やう)(こと)()うて()やがる、098なまくらな(やつ)だナ。099何時(いつ)まで()つても、100(たな)から牡丹餅(ぼたもち)()ちては()ないぞ、101天地(てんち)(かん)真相(しんさう)()(かんが)へて()よ。102霜雪(さうせつ)(しの)いで苦労(くらう)をすればこそ、103(はる)になつて(うめ)(はな)()くのだ。104(はな)()くから()(むす)ぶのだ。105苦労(くらう)なしに(まこと)(はな)()くと(おも)ふか』
106野呂公(のろこう)『オイオイ、107喧嘩(けんくわ)宿替(やどがへ)(こま)るよ。108(おれ)をどうするのだ、109(おれ)(はう)から解決(かいけつ)をつけぬかい』
110音彦(おとひこ)八釜敷(やかまし)()ふない。111(しばら)中立(ちうりつ)厳守(げんしゆ)して()れ』
112野呂公(のろこう)(おれ)()一部隊(いちぶたい)(ろく)(にん)だ、113貴様(きさま)一行(いつかう)(わづか)(さん)(にん)114(さん)(にん)(はだか)にした(ところ)で、115(おび)(みじか)(たすき)(なが)し、116エー仕方(しかた)がない、117今回(こんくわい)(かぎ)りて、118見逃(みのが)してやらう。119以後(いご)はキツト心得(こころえ)て、120改心(かいしん)(いた)すがよからう。121アハヽヽヽヽ』
122音彦(おとひこ)『アハヽヽヽ、123洒落(しやれ)やがるない。124こちらが()(こと)を、125泥棒(どろばう)(はう)から()つてゐよるワ』
126野呂公(のろこう)(さき)んずれば(ひと)(せい)す、127貴様(きさま)守護神(しゆごじん)(おれ)(うつ)つて()つたのだよ』
128音彦(おとひこ)合点(がてん)のいかぬ代者(しろもの)だ。129一体(いつたい)全体(ぜんたい)貴様(きさま)何者(なにもの)だ』
130野呂公(のろこう)『ハテ執拗(しつこい)(やつ)だナ。131のろのろぢや、132貴様(きさま)のやうな気楽(きらく)(やつ)133世界(せかい)吾物(わがもの)(やう)(おも)つて()体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)人間(にんげん)をノロウのろさんだよ』
134音彦(おとひこ)(なん)だかサツパリ(わけ)(わか)らぬ(やう)になつて()た。135()(かく)136()りに(おれ)資本家(しほんか)として、137(まへ)(たち)労働者(らうどうしや)とし、138労資(らうし)協調(けふてう)会議(くわいぎ)でも、139この原野(げんや)中央(まんなか)(ひら)いたらどうだ。140原野(げんや)(あん)だからキツト原案(げんあん)通過(つうくわ)請合(うけあひ)だ、141………アーア()(なか)()うしたものだ、142()出別(でわけ)さまや、143鷹公(たかこう)144梅公(うめこう)145岩公(いはこう)()てられたと(おも)へば、146また(あたら)しい(ろく)(にん)耄碌(まうろく)(れん)()えて()た』
147野呂公(のろこう)『アハヽヽヽ、148(めくら)ばかりの宣伝使(せんでんし)だな、149(おれ)正体(しやうたい)(わか)らぬ()(こと)では、150所詮(しよせん)駄目(だめ)だ。151(しこ)岩窟(いはや)(なか)での探険(たんけん)は、152到底(たうてい)不可能(ふかのう)ぢやワイ』
153音彦(おとひこ)『コラ野呂公(のろこう)154(いづ)貴様(きさま)普通(ひととほり)(やつ)ぢやない、155(なん)でも(かは)つた化物(ばけもの)だらうが、156不幸(ふかう)にして岩窟(いはや)探険(たんけん)中止(ちうし)するの()むを()ざる、157不可抗力(ふかかうりよく)(くは)はつたものだから、158中途(ちうと)計画(けいくわく)をガラリと転覆(てんぷく)させて(しま)つたのだ。159(かへ)つて土産(みやげ)がないから、160貴様(きさま)化者(ばけもの)なら(くは)しいだらう。161どうだ、162(おれ)(かぎ)つて(はな)して()れないか』
163野呂公(のろこう)(はな)すとも(はな)すとも、164一体(いつたい)此処(ここ)何処(どこ)だと(おも)つてるのだい』
165音彦(おとひこ)(きま)つた(こと)だい、166布留野(ふるの)(はら)のタカオ山脈(さんみやく)手前(てまへ)ぢやないか』
167野呂公(のろこう)『サア、168それだから馬鹿(ばか)だよ、169此処(ここ)はやつぱり、170(しこ)岩窟(いはや)中心点(ちうしんてん)だぞ』
171 音公(おとこう)()(こす)り、172()()四辺(あたり)()れば、173岩窟(がんくつ)四方(しはう)八方(はつぱう)開展(かいてん)して()る。
174音彦(おとひこ)『オイ亀公(かめこう)175駒公(こまこう)176貴様(きさま)どう()える』
177亀彦(かめひこ)『さうだなア、178(なん)だか、179岩窟(いはや)(なか)のやうな()もするワイ』
180駒彦(こまひこ)『ホンに、181()とぼけて()たらしい、182(ゆめ)ではなからうかナア』
183野呂公(のろこう)左様(さやう)なら……』
184()ふかと()れば、185野呂公(のろこう)(ほか)()(にん)姿(すがた)()えて巌窟(がんくつ)白煙(はくえん)全然(すつかり)(つつ)まれて(しま)つた。186(たちま)ちボーとした(まる)(ひかり)(あら)はれた。
187駒彦(こまひこ)『ヨー(へん)なものが顕現(けんげん)したぞ、188用心(ようじん)せよ。189(これ)から(さき)に、190ドンナ不思議(ふしぎ)(こと)続出(ぞくしゆつ)するか測定(そくてい)(がた)い、191()身魂(みたま)土台(どだい)をぐらつかせぬ(やう)に、192(あめ)御柱(みはしら)確乎(しつかり)()てて(すす)(こと)にしようかい』
193音彦(おとひこ)貴様(きさま)神経(しんけい)過敏(くわびん)だから、194(ぢき)にさう()深案(ふかあん)じをするのだ、195何事(なにごと)惟神(かむながら)だ、196刹那心(せつなしん)だ。197()(ところ)まで()かねば(わか)るものぢやない。198取越(とりこし)苦労(ぐらう)禁物(きんもつ)だ』
199駒彦(こまひこ)『ヤアヤアあれを()よ、200(なん)だか()(たま)(なか)には、201綺麗(きれい)(かほ)()えるぢやないか、202全然(まるで)木花姫(このはなひめ)(やう)()面相(めんさう)だぞ』
203音彦(おとひこ)『ヨー、204本当(ほんたう)に、205容色(ようしよく)端麗(たんれい)206桜花(あうくわ)爛漫(らんまん)たるが(ごと)しだ。207最前(さいぜん)出現(しゆつげん)した野呂公(のろこう)(くら)ぶれば(なん)となく気持(きもち)()いワ』
208 美女(びぢよ)(かげ)(またた)(うち)に、209全身(ぜんしん)(あら)はし、210手招(てまね)きし(なが)ら、211(さん)(にん)一瞥(いちべつ)して、212足早(あしばや)何処(いづく)ともなく(はし)()く。
213音彦(おとひこ)『ヤア、214此奴(こいつ)素的(すてき)だ。215白煙(はくえん)(つつ)まれて、216たうとう姿(すがた)見失(みうしな)つたが、217吾々(われわれ)はどうでも(その)踪跡(そうせき)探索(たんさく)し、218一度(いちど)面会(めんくわい)して、219(こと)実否(じつぴ)(ただ)したいものだ』
220亀彦(かめひこ)美人(びじん)だと(おも)つて()ると、221(あて)(ちが)つて、222()()小僧(こぞう)のお(ばけ)かも()れぬぞ。223そこになつてから……ヤアやつぱり(これ)別嬪(べつぴん)ではナイスなんて()つた(ところ)で、224ガブリとやられてからはどうも仕方(しかた)がない。225慎重(しんちよう)態度(たいど)(もつ)漸進(ぜんしん)(てき)(すす)(こと)だ。226サアサア足許(あしもと)注意(ちうい)し、227この(ところ)徐行(じよかう)区域(くゐき)だ』
228音彦(おとひこ)『それでも吾輩(わがはい)(むか)つて手招(てまね)きをし、229あの(うつく)しい(やなぎ)(まゆ)(すず)しき電波(でんぱ)(おく)つた(とき)は、230(なん)とも()へぬ電気(でんき)()たれた(やう)恍惚(くわうこつ)たる次第(しだい)なりけりだ。231阿片(あへん)煙草(たばこ)熟酔(じゆくすゐ)した(とき)(やう)気分(きぶん)(おそ)はれたよ』
232亀彦(かめひこ)電波(でんぱ)といふ(こと)があるかい、233秋波(しうは)間違(まちがひ)だらう』
234音彦(おとひこ)秋波(しうは)()ふのは、235それは(ふる)(やつ)()(こと)だ。236二十一(にじふいつ)世紀(せいき)人間(にんげん)()(はや)いから、237電波(でんぱ)一秒(いちべう)時間(じかん)地球(ちきう)七回(しちくわい)(はん)すると()速力(そくりよく)で、238以心(いしん)電心(でんしん)「ネー(おと)サン」とも(なん)とも()はずに()つた(とき)容子(ようす)()つたら、239()つたものぢやない。240あの(すず)しい()をジヤイロコンパスの(やう)にクルクルと(まは)して、241()口程(くちほど)(もの)()ひ……とか()つて、242二十(にじつ)世紀(せいき)人間(にんげん)(やう)に、243(くち)物言(ものい)(やう)(ふる)めかしい(こと)はやらない、244流石(さすが)文明(ぶんめい)(てき)だ。245(いつ)分間(ぷんかん)八千(はつせん)回転(くわいてん)といふ(こひ)速力(そくりよく)だから、246(もつと)破天荒(はてんくわう)のレコード(やぶ)り……アーア色男(いろをとこ)になると(うる)さいものだワイ』
247駒彦(こまひこ)『アハヽヽヽ、248(なに)寝言(ねごと)()つて()るのだ、249(あたま)から冷水(ひやみづ)でも(かぶ)せてやらうか、250チト春先(はるさき)でボヤボヤするものだから、251逆上(ぎやくじやう)して()よるのだナ』
252音彦(おとひこ)『それでも、253事実(じじつ)事実(じじつ)だから、254如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ぬぢやないか。255(こひ)苦労(くらう)した(こと)のない貴様(きさま)は、256門外漢(もんぐわいかん)だ、257マア(だま)つて()るがよからう。258近代(きんだい)思潮(してう)()れない、259(きう)思想(しさう)人間(にんげん)に、260(こひ)(かた)れるものかい。261(こひ)には上下(じやうげ)貧富(ひんぷ)美醜(びしう)善悪(ぜんあく)区別(くべつ)がないものだ、262エツヘン』
263亀彦(かめひこ)『アハヽヽヽ、264コンナ(わけ)(わか)らぬ魔窟(まくつ)(はい)つて()て、265ソンナ()()(こと)()つてる(ところ)ぢやあるまいぞ。266寸善(すんぜん)尺魔(しやくま)だ、267(なに)()()るか()れやしない。268チツトたしなんだが()からう』
269音彦(おとひこ)『アー、270(なん)だか没分暁漢(わからずや)ばかりと旅行(りよかう)して()ると、271気分(きぶん)(わる)くなつて、272(あたま)脚気(かつけ)(おこ)り、273(あし)()(みち)(おこ)つて()て、274(あし)頭痛(づつう)がする、275(あたま)腹痛(ふくつう)がする、276(じつ)不快(ふくわい)千万(せんばん)だ。277マアマア()(なか)(さけ)(をんな)だ、278(をんな)(こと)()つてる()にでも、279コンパスが(すす)むのだ。280(なが)道中(だうちう)に、281堅苦(かたぐる)しい(こと)ばかり()つて()つて、282御用(ごよう)(つと)まるかい』
283亀彦(かめひこ)(いやし)くも宣伝使(せんでんし)たる(もの)は、284(をんな)だの、285(さけ)だのと()(こと)は、286()りにも(くち)にすべきものでない、287(けが)らはしいワイ。288モチツト真面目(まじめ)にならないか、289世間(せけん)(やつ)誤解(ごかい)される(おそれ)があるぞ』
290音彦(おとひこ)『それは杞憂(きいう)だ。291寛厳(くわんげん)(よろ)しきを()292伸縮(しんしゆく)自在(じざい)293変幻(へんげん)出没(しゆつぼつ)(きは)まりなくして、294(はじ)めて神業(しんげふ)完成(くわんせい)するのだ。295路端(みちばた)涎掛(よだれかけ)何十(なんじふ)(まい)(くび)(かけ)()(やう)な、296無情(むじやう)無血漢(むけつかん)では、297混濁(こんだく)せる社会(しやくわい)人心(じんしん)救済(きうさい)する(こと)は、298到底(たうてい)不可能(ふかのう)だ。299操縦(さうじう)与奪(よだつ)(その)(けん)(われ)()りと()態度(たいど)(もつ)て、300衆生(しゆじやう)済度(さいど)するのが、301三五教(あななひけう)()主意(しゆい)だ。302枯木(こぼく)寒巌(かんがん)()る、303三冬(さんとう)暖気(だんき)()しと()(やう)な、304偽善(ぎぜん)(てき)頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)有苗輩(いうべうはい)では、305どうして完全(くわんぜん)神業(しんげふ)(つと)まると(おも)ふか。306貴様(きさま)(かた)(かめ)(かふ)をもぎ()つて、307(すこ)しく軟化(なんくわ)せなくつては、308(つと)まりつこはないぞ。309竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)宣伝(せんでん)(やう)失敗(しつぱい)だらけに(をは)らねばなるまい』
310 この(とき)白煙(はくえん)(にはか)消散(せうさん)し、311(ひろ)隧道(すゐだう)(ない)は、312(また)もや(あか)るくなつて()た。
313音彦(おとひこ)『ヤア、314(をんな)ならでは()()けぬ(くに)315(あま)岩戸(いはと)も、316(おと)サンの言霊(ことたま)で、317サラリと(ひら)いた、318(ひら)いた(ひら)いた()(はな)(ひら)いた、319蓮草(はす)(はな)(ひら)いた、320天明(てんめい)開天(かいてん)だ、321アハヽヽヽ』
322大正一一・三・二〇 旧二・二二 松村真澄録)
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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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