霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 陥穽(おとしあな)〔五三八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第3篇 探険奇聞 よみ(新仮名遣い):たんけんきぶん
章:第12章 陥穽 よみ(新仮名遣い):おとしあな 通し章番号:538
口述日:1922(大正11)年03月18日(旧02月20日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
日の出別命の出現で元気付いた岩彦は、女に降伏を迫る。女は、岩彦に降伏したような口ぶりをし、日の出別命には、岩彦はデモ宣伝使だから係わり合いにならないように、と言うと、すっと煙のように消えてしまった。
岩彦は、やはり妖怪変化であったかと威張っている。すると、外でガクリと異様な音がした。女は小窓の外から中をのぞき、岩窟の中にずっと居て修行をしなさい、と言う。そして、日の出別命と一緒にどこかへ行ってしまった。
鷹彦は神変不可思議の術を使って、小さい鷹となって小窓から外に出ることができた。岩彦は鷹彦に助けを求めるが、鷹彦は薄情な物言いをして、岩彦をからかっている。しかし岩彦もそれに強気で返している。
鷹彦は岩窟の扉を開けた。勢い余って岩の部屋の中に転げ込んだすきに、五人はさっさと外へ出て、扉を閉めてしまった。今度は五人で鷹彦をからかっているが、鷹彦はまたもや術を使って小窓から抜け出してしまった。
鷹彦は、岩彦がしょうもないことばかり言うから、日の出別命に置いてけぼりをくったのだ、と小言を言った。一同は日の出別命を追って駆け出した。
またもや大きな岩壁につきあたった。岩壁には、広い階段が上に彫ってあり、また細い道が続いている。どちらを行ったらよいかで、議論になった。亀彦一人が、暗くても細い道を行こうと言い、残りの五人は上の広い階段を登って行った。
亀彦は一人暗い低い道を進んで行くと、上から、広い道を行ったはずの五人が落ちてきて、井戸に落ち込んでしまった。亀彦と岩彦はこっけいな問答をするが、そのうちに井戸に落ちた五人は石段を登って上がってきた。
このとき、前方から怪しい宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-26 17:58:24 OBC :rm1312
愛善世界社版:146頁 八幡書店版:第3輯 84頁 修補版: 校定版:146頁 普及版:62頁 初版: ページ備考:
001 ()出別(でわけの)(かみ)出現(しゆつげん)に、002形勢(けいせい)もつとも(あやふ)かりし岩公(いはこう)は、003(にはか)元気(げんき)づき、
004岩彦(いはひこ)『サア妖怪(えうくわい)変化(へんげ)魔性(ましやう)(をんな)005(なん)()つても、006モウ駄目(だめ)だ。007三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)大将(たいしやう)(あら)はれた以上(いじやう)は、008最早(もはや)(うん)()きだ。009どうだ、010(かみ)(さま)経綸(けいりん)()ふものは、011用意(ようい)周到(しうたう)なものだぞ』
012(をんな)(わたし)は、013あなたの(やう)(つよ)いお(かた)には()()きます。014モウ(これ)御免(ごめん)(かうむ)ります』
015岩彦(いはひこ)(ざま)()やがれ、016大蛇(をろち)化者(ばけもの)()が。017()()くと自白(じはく)したぢやないか』
018(をんな)『ヤア()出別(でわけの)(みこと)(さま)019()(むか)へに()(くだ)さいました。020(いは)サンのやうな(わか)らずやは、021今後(こんご)(けつ)して、022(かか)()はない(やう)にして(くだ)さい。023(この)(かた)優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)024弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)025身勝手(みがつて)千万(せんばん)な、026非人道(ひじんだう)(てき)027デモ宣伝使(せんでんし)ですから………』
028岩彦(いはひこ)『ヤイヤイ、029馬鹿(ばか)にするない、030()いかと(おも)つて…………、031(をんな)似合(にあ)はぬ暴言(ばうげん)()(やつ)だ』
032(をんな)『さようなら、033ゆつくりと()休息(きうそく)なさいませ』
034()(なが)ら、035岩壁(がんぺき)(ほそ)(あな)から、036スツと(けむり)(やう)()けて(しま)つた。
037岩彦(いはひこ)『ヤア(あん)(たが)はぬ妖怪(えうくわい)変化(へんげ)正体(しやうたい)(あら)はしよつて、038アンナ(くび)這入(はい)らぬやうな(あな)から()仕舞(しまひ)よつた。039オイ鷹公(たかこう)040音公(おとこう)041梅公(うめこう)042(かめ)043(こま)どうだ、044(おれ)天眼通(てんがんつう)(えら)いものだらう。045鷹公(たかこう)(やつ)め、046(だま)されよつて、047丁寧(ていねい)言葉(ことば)使(つか)つて()たが()うなる以上(いじやう)貴様(きさま)眼力(がんりき)(そこ)()えた』
048鷹彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、049弥之助(やのすけ)人形(にんぎやう)空威張(からいば)りはやめてくれ』
050 ()()(うち)051ガクリと異様(いやう)(おと)がした。
052岩彦(いはひこ)『ヤア(へん)(おと)がしたぞ、053一体(いつたい)コラどうだ』
054 (をんな)(そと)より(しろ)(かほ)を、055岩壁(がんぺき)(あな)から、056ニヨツと突出(つきだ)し、
057(をんな)(いは)サン、058マアマア十日(とをか)二十日(はつか)(ひやく)(にち)も、059(ゆつく)りこの岩窟(いはや)()逗留(とうりう)(あそ)ばして(くだ)さいませ入口(いりくち)はポンと()()めてありますから、060(そと)から悪者(わるもの)這入(はい)()づかひもなければあなた(がた)()けて()気遣(きづか)ひも()りませぬよ。061ナンにも()げるものはありませぬから(いは)(あぶら)なつと(ねぶ)つて、062…………ネー……温順(おとな)しく()修行(しうぎやう)をなさいませ。063(わたし)()出別(でわけの)(みこと)サンと、064()()()つて…………オホヽヽヽヽ、065(うれ)し、066マアゆつくりお(くつろ)(あそ)ばせ。067アバヨ』
068岩彦(いはひこ)『ヤア大変(たいへん)だ、069最前(さいぜん)(おと)は、070入口(いりくち)()()めよつたのだな。071こりや()うしては()られぬワイ』
072(をんな)()られなくつても、073()うして()らねば仕方(しかた)がありませぬよ。074イヤ出方(でかた)がありませぬワ。075(まへ)サン()出方(でかた)()りては、076此方(こちら)にも(また)077(なん)とか仕方(しかた)()りませう』
078岩彦(いはひこ)『イヤア、079強圧(きやうあつ)(てき)強談(がうだん)だ、080(ひと)()かけに()らぬ(もの)081(やさ)しい(かほ)をして、082(のみ)一匹(いつぴき)(ころ)さぬやうな容子(ようす)で、083(こころ)(うち)夜叉(やしや)(やう)だ。084オイ一統(いつとう)(もの)085入口(いりくち)があつたら、086キツト出口(でぐち)()るに(ちが)ひないぞ。087この(あな)から(ひと)つ、088()(かけ)て、089()くなと、090()すなとやつて()ようかい。091(ろく)(しやく)男子(だんし)が、092繊弱(かよわ)(をんな)一人(ひとり)監禁(かんきん)されて、093どうぞ(ゆる)して(くだ)さいなぞと、094()はれた義理(ぎり)ぢやない。095…………モシモシ()出別(でわけの)(みこと)さま、096貴神(あなた)どうかして(くだ)さらないか』
097日の出別『ヤア、098(いは)サンマアゆつくり()休息(きうそく)なさいませ、099……ヤア(をんな)のお(かた)100(これ)から天国(てんごく)へでも旅行(りよかう)(いた)しませうか』
101(をんな)有難(ありがた)うございます、102(わたし)貴方(あなた)と、103たとへ半時(はんとき)でも、104一緒(いつしよ)(つら)つて(ある)かして(もら)へば、105()んでも(のこ)(こと)()りませぬワ、106ホヽヽヽ』
107岩彦(いはひこ)『ヤアまた()かしたりな()かしたりな、108(わたし)アンタと半時(はんとき)でも一緒(いつしよ)(ある)(こと)出来(でき)れば、109()んでも得心(とくしん)だ」とかナンとか()かしよつて、110仕様(しやう)もないローマンスを(ひと)(まへ)展開(てんかい)させよつて、111馬鹿(ばか)にしてけつかる。112オヽもう何処(どこ)やら()つて仕舞(しまひ)よつた。113エー怪体(けつたい)(わる)い』
114鷹彦(たかひこ)『ヤア折角(せつかく)(おれ)所有(しよいう)にしようと(おも)つて()つたのに、115外部(はた)から()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)がやつて()て、116サツパリ横領(わうりやう)して(しま)つた。117エー自棄(やけ)だ………と()つて、118どうも仕方(しかた)がないワ、119(おれ)(ひと)つ、120あの(をんな)ぢやないが、121この(あな)から()けてやらうかい』
122()(なが)ら、123鷹彦(たかひこ)は、124神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)(じゆつ)(もつ)て、125身体(しんたい)縮小(しゆくせう)し、126(ちひ)さい(たか)となつてスツと()()した。
127岩彦(いはひこ)『ヤアまた()よつた、128オイ鷹公(たかこう)129アヽ貴様(きさま)(えら)(やつ)だ。130最前(さいぜん)石蓋(いしぶた)()げて、131吾々(われわれ)(もと)(ところ)歓迎(くわんげい)するのだぞ』
132鷹彦(たかひこ)『コレコレ(いは)サン()一統(いつとう)(さま)へ、133(わらは)(これ)より()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)と、134()()()つて天国(てんごく)旅行(りよかう)(いた)します。135コンナローマンスをお()にかけて()まないが、136(これ)因縁(いんねん)づくぢやと(あきら)めて(くだ)しやンせ、137オホヽヽヽヽ、138アバヨ』
139岩彦(いはひこ)『ヤイヤイ(たか)(やつ)140ナンだ、141化女(ばけをんな)真似(まね)をしよつて、142ソンナ()()(こと)かい。143(おれ)(たち)()にもなつて()よ』
144鷹彦(たかひこ)『(義太夫(ぎだいふ)口調(くてう))「お(まへ)はお(まへ)145(わらは)(わらは)146マアマアゆつくりと、147十日(とをか)二十日(はつか)(ひやく)(にち)も、148(せん)(ねん)(まん)(ねん)化石(くわせき)になる(まで)ゆつくり()逗留(とうりう)(あそ)ばせや。149千松(せんまつ)ぢやないが、150(いち)(ねん)()つてもまだ()えぬ、151()(ねん)()つてもまだ()えぬ、152(せん)(ねん)(まん)(ねん)()つたとて、153(なん)便(たよ)りがあろかいな、154郷里(くに)(のこ)つた、155貴様(きさま)たちの女房(にようばう)(さぞ)(なげ)くであらう。156(おも)へば(おも)へば()(どく)やな、157(かみ)(ほとけ)もなきものか、158(ちから)(おも)(いは)サンは、159何処(どこ)にどうして御座(ござ)るやら、160()ひたい()たいと()(くれ)に、161こがれ(した)ふて()るものを、162(なん)便(たよ)りも(なし)(つぶて)163(つぶて)(やう)(なみだ)こぼして、164三千(さんぜん)世界(せかい)()(なか)(わし)ほど因果(いんぐわ)()にあらうか、165アーどうしようぞいなどうしようぞいなア……」と悲劇(ひげき)(まく)()りる、166その種蒔(たねまき)だ。167マア精出(せいだ)して、168(たね)でも()いて()くが()からう、169(せん)(ねん)ほど(さき)()つた(とき)に、170この岩窟(いはや)(なか)岩公(いはこう)といふ岩固(がんこ)(をとこ)化石(くわせき)して…………と()つて、171涎掛(よだれかけ)でも()つて参拝(さんぱい)する(やつ)があるかも()れやしないぞ。172(ひと)一代(いちだい)()末代(まつだい)だ、173(これ)()(はなし)(たね)だ。174(たね)()いて(なへ)()ちたら()()くぞよ、175刈込(かりこ)みになりたら手柄(てがら)をさして、176(もと)(もど)らすぞよ………と三五教(あななひけう)(をしへ)にある(とほ)りだ。177国治立(くにはるたち)大神(おほかみ)さまでさへ、178(なが)らく押込(おしこ)められて御座(ござ)つた(くらゐ)だから、179()(かみ)(さま)にあやかつて、180三千(さんぜん)(ねん)修行(しうぎやう)をなさるが、181宣伝使(せんでんし)各位(かくゐ)光栄(くわうえい)だらう。182アハヽヽヽ、183オホヽヽヽ』
184岩彦(いはひこ)『ナアンダ、185一人(ひとり)()つて(をとこ)(をんな)(わら)(やう)をしよつて、186化物(ばけもの)みたよな(やつ)だナ』
187鷹彦(たかひこ)(きま)つた(こと)だ、188肉体(にくたい)(をとこ)(れい)(をんな)だ、189変性(へんじやう)女子(によし)守護神(しゆごじん)だ』
190岩彦(いはひこ)『エー、191変性(へんじやう)女子(によし)男子(だんし)もあつたものかい。192遍照(へんぜう)金剛(こんがう)(ぬか)さずに、193(はや)開岩(かいがん)せぬか…………オイ門番(もんばん)()が、194愚図(ぐづ)々々(ぐづ)いたして()ると、195免職(めんしよく)をさそか』
196鷹彦(たかひこ)『ホヽヽヽヽ、197(いは)さま、198免職(めんしよく)さすとはソラ(たれ)に、199………あなたは岩戸(いはと)押込(おしこ)められて(すで)(すで)面色(めんしよく)なしだ、200終身官(しうしんくわん)だな、201終身(しうしん)此処(ここ)に、202晏如(あんじよ)として、203就職(しうしよく)なさるが(よろ)しからう』
204岩彦(いはひこ)複雑(ふくざつ)なる問題(もんだい)は、205一切(いつさい)総括(そうくわつ)して、206()(かく)この岩窟(がんくつ)(ひら)いて()れたがよからうぞ』
207鷹彦(たかひこ)『イヤー、208(さき)()く、209モウ是丈(これだけ)イチヤつかして()れば充分(じうぶん)だ、210エー仕方(しかた)がない、211()けてやらうかい』
212岩彦(いはひこ)何時(いつ)までもこの(はう)岩戸(いはと)押込(おしこ)めておくと、213咫尺(しせき)暗澹(あんたん)昼夜(ちうや)(べん)ぜずだ。214(ばけ)(をんな)()んで()鈿女(うづめの)(みこと)俳優技(わざおぎ)()せて()れぬか。215さうでないと、216容易(ようい)にお()ましにならぬぞ』
217鷹彦(たかひこ)()らず(ぐち)(たた)くない。218サア手力男(たぢからを)(かみ)さまが、219岩戸(いはと)(ひら)くから、220サツサと()()い。221天照(あまてらす)大神(おほかみ)(さま)のやうな奇麗(きれい)な「あな面白(おもしろ)や、222あなさやけおけ」と()つた(やう)な、223(あい)女神(めがみ)なれば、224(ひら)きごたへがあるが、225この岩戸(いはと)(びら)きは、226五百(ごひやく)羅漢(らかん)陳列会(ちんれつくわい)()るよなシヤツ(つら)渋紙(しぶかみ)さま(ばか)りだから、227(ひら)きごたへがないワ。228(しか)(なが)ら、229(たび)(みち)づれ()(なさけ)だ。230(なさけ)(もつ)開扉(かいひ)してやらう』
231岩彦(いはひこ)『オツト()つた、232海河(うみかは)山野(やまぬ)233種々(いろいろ)美味物(うましもの)八足(やたり)机代(つくゑしろ)置足(おきた)らはして、234(たてま)つる(こと)(わす)れなよ…………()いと()つたつて、235(かがみ)もなければ(つるぎ)もなし、236五百津(いほつ)美須麻琉(みすまる)(たま)()くして、237さう易々(やすやす)とお()ましになると(おも)ふか。238香具(かぐ)果物(このみ)でも、239木机(きづくゑ)にピラミツドの(やう)横山(よこやま)(ごと)置足(おきた)らはし、240()供物(くもつ)建築法(けんちくはふ)()心得(こころえ)て、241粗相(そさう)のない(やう)に、242天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、243太玉串(ふとたまぐし)(たてまつ)れ』
244鷹彦(たかひこ)(なに)(ぬか)しよるのだ。245千手(せんじゆ)観音(くわんおん)(やう)に、246(おれ)一人(ひとり)でソンナ八人芸(はちにんげい)出来(でき)るかい。247愚図(ぐづ)々々(ぐづ)いふと、248千代(ちよ)八千代(やちよ)永久(とこしへ)に、249岩戸(いはと)(なか)閉門(へいもん)だぞ』
250岩彦(いはひこ)『ヤア、251もうお供物(くもつ)免除(めんぢよ)してやらう。252()(かく)253(ひら)けば()いのだ。254貴様(きさま)もコンナ魔窟(まくつ)単身(ひとり)()かれては、255(おほい)寂寥(せきれう)(かん)ずるだらう』
256鷹彦(たかひこ)『エー仕方(しかた)がない』
257()(なが)ら、258(ちから)()めて、259岩壁(がんぺき)をウンと()した。260(おも)つたよりも(いは)()(かる)く、261(いきほひ)(あま)つて鷹彦(たかひこ)は、262岩戸(いはと)(なか)(また)もや飛込(とびこ)み、263膝頭(ひざがしら)()つて『アイタヽ』と()(さす)つて()る。264その()()(にん)は、265逸早(いちはや)(おもて)()()し、266(そと)より石門(せきもん)をピシヤツと()ぢた。
267岩彦(いはひこ)『サア()()はりだ、268今度(こんど)は、269太玉(ふとたまの)(みこと)も、270児屋根(こやねの)(みこと)も、271(なに)もかも、272五伴男(いつとものを)(そろ)うたのだ。273オイ鷹津(たかつ)(かみ)さま、274どうだ』
275鷹彦(たかひこ)(かは)れば(かは)()(なか)だ。276サア貴様(きさま)277岩戸(いはと)(まへ)天津(あまつ)祝詞(のりと)(かしこ)(かしこ)奏上(そうじやう)するのだぞ、278アハヽヽヽ』
279音彦(おとひこ)『オイ岩公(いはこう)280コンナ洒落(しやれ)ばつかりに、281貴重(きちよう)光陰(くわういん)濫費(らんぴ)しては()まらぬぢやないか。282(いち)()(はや)前進(ぜんしん)だ』
283亀彦(かめひこ)『オイオイ音公(おとこう)()つた、284この岩窟(いはや)(なか)鷹彦(たかひこ)は、285どうするのだ』
286音彦(おとひこ)『ナニ(かま)ふものか、287人間(にんげん)一人(ひとり)(くらゐ)288どうなつたつて()つとけ』
289岩彦(いはひこ)『アハ、290面白(おもしろ)面白(おもしろ)い』
291()(なが)ら、292以前(いぜん)岩穴(いはあな)から、293(くろ)(かほ)をちよつと()し、
294岩彦(いはひこ)『ホヽヽヽヽ、295モシモシ(たか)サンとやら、296(わらは)(これ)より五人(ごにん)(づれ)この岩窟(いはや)探険(たんけん)し、297(まへ)さまの(やう)瓢箪面(へうたんづら)曲津(まがつ)(かみ)を、298(かた)(ぱし)から言向和(ことむけやは)し、299勝利(しようり)光栄(くわうえい)(かみ)となつて(かへ)つて()(まで)300(せん)(ねん)でも(まん)(ねん)でも此処(ここ)晏如(あんじよ)として、301堅磐(かきは)常磐(ときは)鎮座(ちんざ)ましませや、302ホヽヽヽ』
303鷹彦(たかひこ)『アハヽヽ、304(なに)(ぬか)しよるのだ。305(たか)さまは、306貴様(きさま)最前(さいぜん)()()ただらう、307(はり)(あな)からでもお()ましになる、308不思議(ふしぎ)(かみ)(さま)だよ』
309()(なが)ら、310(ふたた)(たか)となつて(あな)より飛出(とびだ)し、311()()身体(しんたい)膨張(ばうちよう)し、312一丈(いちぢやう)(あま)りの(はね)(ひろ)げて、313バタバタと()ばたきした。
314岩彦(いはひこ)『ヤア(えら)元気(げんき)だナア。315オイオイ()うなれば、316(たか)さまも(はな)せるワイ。317(いま)美人(びじん)(あと)(ひと)つ、318空中(くうちう)滑走(くわつそう)()つて、319捕獲(ほくわく)して()()れないか。320所有権(しよいうけん)(いは)さまにあるのだから、321都合(つがふ)によれば、322賃貸借(ちんたいしやく)ぐらゐは許可(きよか)してやるワ』
323鷹彦(たかひこ)貴様(きさま)仕様(しやう)もない(こと)()ひ、324(なが)らく洒落(しやれ)るものだから、325肝腎(かんじん)()出別(でわけの)(みこと)さまに()つとけぼりを(くら)つたのだ。326サーサ(これ)から全速力(ぜんそくりよく)()して、327岩窟内(がんくつない)駆歩(かけあし)だ、328落伍(らくご)せない(やう)に…………()()けツ、329(みぎ)(まは)れオイ、330(いち)()(さん)……』
331鷹公(たかこう)駆出(かけだ)した。332()(にん)是非(ぜひ)なく追跡(ついせき)する、333ピタツと行当(ゆきあた)つた第二(だいに)岩壁(がんぺき)
334鷹彦(たかひこ)『ヨー、335コラ大変(たいへん)だ。336如何(いか)行詰(ゆきつま)りの()(なか)だと()つても、337()(がん)行詰(ゆきつま)つては仕方(しかた)がない。338ナンとか(ひと)善後策(ぜんごさく)講究(かうきう)せなくてはなるまい』
339岩彦(いはひこ)『サア臨時(りんじ)議会(ぎくわい)開会(かいくわい)だツ』
340亀彦(かめひこ)議会(ぎくわい)無用論(むようろん)持上(もちあが)つた今日(こんにち)は、341チツト遅臭(おそくさ)いぞ。342ソンナ珍聞漢(ちんぷんかん)発議(はつぎ)をする(やつ)が、343何処(どこ)にあるかい。344五十万(ごじふまん)(ねん)将来(さき)二十(にじつ)世紀(せいき)とやらの人間(にんげん)(ほざ)(やう)(こと)()ふものぢやないワ』
345駒彦(こまひこ)『ヤア(きう)すれば(たつ)すと()(こと)がある。346オイオイ貴様(きさま)347一寸(ちよつと)(よこ)(はう)()い。348坦々(たんたん)たる大道(だいだう)開鑿(かいさく)されて()るぢやないか』
349一同(いちどう)『ヨー()()る、350サア(これ)からこの階段(かいだん)(あが)らうかい』
351亀彦(かめひこ)『マア()()て、352あまり(たか)(ところ)(あが)ると、353(また)()ちるぞ』
354鷹彦(たかひこ)()ちたつて()いぢやないか、355滅多(めつた)(てん)墜落(つゐらく)する(おそれ)はないワ、356貴様(きさま)(やう)に、357井戸(ゐど)着水(ちやくすゐ)するのとは天地(てんち)相違(さうゐ)だ。358ヨー此処(ここ)にも(みち)がある、359何方(どちら)(みち)()つたら()からうかナア』
360岩彦(いはひこ)いはいでも(きま)つて()る。361一目(いちもく)瞭然(れうぜん)362(ひろ)(みち)(あか)るい(みち)()けば()いぢやないか』
363亀彦(かめひこ)新道(しんだう)旧道(きうだう)二路(ふたみち)(こしら)へてあるぞよ。364新道(しんだう)()けば、365(はじ)めは(らく)(やう)なが、366()()つた(ところ)(みち)()くなりて(また)(もと)(ところ)後戻(あともど)りを(いた)さねばならぬぞよ』
367音彦(おとひこ)(なに)(ぬか)しよるのだ。368ソンナ(みち)(こと)ぢやないワ。369(かみ)(さま)(をしへ)(みち)(こと)仰有(おつしや)るのだぞ。370頭脳(あたま)(わる)(やつ)だナ』
371亀彦(かめひこ)(おれ)(すこ)(くら)くつても、372細路(ほそみち)下道(したみち)(すす)んで()かうと(おも)ふ』
373岩彦(いはひこ)勝手(かつて)にせい。374(こころ)(くら)(やつ)は、375(くら)(ところ)()きたがるものだ………オイ(みな)連中(れんちう)376どちらにするか』
377(おと)378(こま)379(たか)380(うめ)一度(いちど)に、
381音、駒、鷹、梅(ひろ)(みち)(ひろ)(みち)
382()(にん)は、383岩路(いはみち)階段(かいだん)(のぼ)つて()く、384亀公(かめこう)唯一人(ただひとり)385やや(くら)き、386(ひく)(みち)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、387四五丁(しごちやう)(ばか)(すす)()くと、388(たちま)頭上(づじやう)より、389(くろ)(かげ)()(いつ)落下(らくか)(きた)り、390暗黒(あんこく)なる陥穽(おとしあな)にゾボゾボゾボと(おと)()てて落込(おちこ)んだ。
391亀彦(かめひこ)『ヤア(なん)だ、392(うへ)から獅子(しし)でも()ちて()よつたのかナ、393コンナ岩窟(がんくつ)のトンネルの(なか)(また)しても(また)しても、394陥穽(おとしあな)(こしら)へよつて………鷹公(たかこう)395岩公(いはこう)此処(ここ)()つたら、396また「議会(ぎくわい)開会(かいくわい)だ」などと洒落(しやれ)よるのだけれど、397(おれ)一人(ひとり)では、398議会(ぎくわい)(ひら)(わけ)にも()かず、399(こま)つた(こと)だ。400彼奴(あいつ)401何処(どこ)()きよつたのか()らぬ。402(なに)()()れ、403何者(なにもの)だか(ひと)つトツクリと正体(しやうたい)見届(みとど)けてやらう』
404(くび)()ばして、405足許(あしもと)()()(なが)ら、406(こは)さうに(のぞ)()んだ。407井戸(ゐど)(なか)より、
408岩彦(いはひこ)『ヤア貴様(きさま)亀公(かめこう)ぢやないか、409(おれ)(たす)けて()れぬかい』
410亀彦(かめひこ)『さういふ(こゑ)岩公(いはこう)だナ』
411岩彦(いはひこ)『オーさうだ、412(いは)サンに(たか)サン、413(おと)サン(うめ)サン、414(こま)サンだ』
415亀彦(かめひこ)(たす)けて(くれ)()つたつて、416どうにも()うにも、417()()(やう)()いぢやないか。418マアさう(やかま)()はずに()つて()れ。419(いま)臨時(りんじ)議会(ぎくわい)(ひら)いて()るから、420開会(かいくわい)(うへ)(たす)けるか(たす)けぬかが決定(きま)るのだ。421アハヽヽヽ』
422岩彦(いはひこ)馬鹿(ばか)にしよるナ、423最前(さいぜん)敵討(かたきう)ちをしようと(おも)つてけつかるナ』
424亀彦(かめひこ)『さうだから、425あまり高上(たかあが)りすると、426逆様(さかさま)地獄(ぢごく)(そこ)(おと)されるのだよ。427どうだ、428(これ)慢神心(まんしんごころ)をスツパリと()()つて改心(かいしん)(いた)すか』
429岩彦(いはひこ)改心(かいしん)(いた)すも(いた)さぬも()つたものかい。430改心(かいしん)のし()つた(もの)改心(かいしん)()つてたまるかい。431改心(かいしん)()(こと)は、432貴様(きさま)のやうな不完全(ふくわんぜん)人間(にんげん)必要(ひつえう)言葉(ことば)だ。433(われ)()(たい)しては、434辞典(じてん)から改心(かいしん)二字(にじ)除去(ぢよきよ)すべきものだ………(おほ)きに(はばか)りさま、435エライご心配(しんぱい)()けました。436此処(ここ)にもどうやら、437立派(りつぱ)段梯子(だんばしご)(かか)つて()ります。438アハ……』
439()(なが)ら、440()(にん)はゲラゲラ(わら)(わら)(あが)つて()た。
441亀彦(かめひこ)『ナンダ、442一寸(ちよつと)()れて()らぬぢやないか』
443鷹彦(たかひこ)『きまつた(こと)だい、444井戸(ゐど)(そこ)転落(てんらく)した(とき)に、445この(たか)サンが、446両翼(りやうよく)をパツと(ひら)いて、447井戸(ゐど)一面(いちめん)閉塞(へいそく)したのだ。448そこへ四匹(しひき)小雀(こすずめ)()りて()て、449ポンと()まつたものだから()れさうな(はず)があるかい』
450岩彦(いはひこ)小雀(こすずめ)とは、451チト残酷(ざんこく)ぢやないか。452ナア(うめ)453(おと)454(こま)()連中(れんちう)………』
455鷹彦(たかひこ)『それでも生命(いのち)(おや)だ。456ナント()はれたつて、457チツト(くらゐ)隠忍(いんにん)するのだ。458忍耐(にんたい)成功(せいこう)基礎(もと)だから、459アハヽヽ』
460岩彦(いはひこ)第二(だいに)の………これは陥穽(おとしあな)だ。461(これ)から前途(さき)に、462ドンナ(こと)悪神(わるがみ)(やつ)463(たく)んで()るか(わか)つたものぢやない。464うつかりと(ある)けたものぢやないワ。465(さいは)此処(ここ)に、466(たか)サンを飛行船(ひかうせん)にして、467吾々(われわれ)()(にん)操縦(さうじう)する(こと)にしたら、468都合(つがふ)()いぢやないか』
469鷹彦(たかひこ)『この飛行船(ひかうせん)は、470()出別(でわけ)(さま)とあの女神(めがみ)(さま)との御用(ごよう)だ。471()(どく)さま、472生憎(あいにく)さまだ、473アハヽヽヽ』
474 この(とき)前方(ぜんぱう)薄暗(うすぐら)隧道(すゐだう)(なか)より、475(あや)しき宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)()たる。
476一同(いちどう)『ヤア、477()(おぼ)えのある宣伝歌(せんでんか)だ、478ハテナ』
479大正一一・三・一八 旧二・二〇 松村真澄録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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