霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 ()(ねずみ)〔五三五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第2篇 洗礼旅行 よみ(新仮名遣い):せんれいりょこう
章:第9章 火の鼠 よみ(新仮名遣い):ひのねずみ 通し章番号:535
口述日:1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
日は西山に傾き、暗澹としてきた。荒野を吹く風は刻々に激しくなる。鷹彦によると、この岩窟は琵琶の湖の底を通って、コーカス山にまで通じているという。
岩窟の入口は隠されているが、子の刻になると、日の出別命が真っ赤な鼠を遣わして、入口を知らせる手はずになっている、という。
またしても日の出別命の姿は見えなくなってしまった。駒彦は昨日の化け物の仮装をして岩彦を驚かそうとしたり、一同は馬鹿なことをやってはしゃいでいる。
そこへ一天にわかに暗く、雲の渦は逆巻き、暴風に激しい雨が降り注いできた。そこへ日の出別命が岩窟上に現れた。そして岩上の潅木を截ち切ると、腰の細紐でもって弓矢をこしらえ、岩山に向かってはっしと射掛けた。
そして、今の矢を探すことで、岩窟の入口がわかるのだ、と矢の探索を一同に命じた。一同が原野に矢を探しに出ると、日の出別命は火打石を取り出して、暴風に向かって火を放った。火はたちまちごうごうと四方に燃え広がった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-26 16:57:40 OBC :rm1309
愛善世界社版:110頁 八幡書店版:第3輯 71頁 修補版: 校定版:111頁 普及版:46頁 初版: ページ備考:
001 ()西山(せいざん)(かたむ)きしと()えて、002さしも陰鬱(いんうつ)なる天地(てんち)一層(いつそう)暗澹(あんたん)(くは)へ、003荒野(あらの)吹捲(ふきまく)(かぜ)(おと)刻々(こくこく)(はげ)しくなり()たりぬ。
004鷹彦(たかひこ)『サア、005これから(いよいよ)魔窟(まくつ)探険(たんけん)だ。006充分(じうぶん)食料(しよくれう)用意(ようい)して(しま)はないと、007(この)岩窟(がんくつ)琵琶(びは)(うみ)(そこ)(とほ)つてコーカス(ざん)貫通(くわんつう)して()るのだから、008三日(みつか)009五日(いつか)010十日(とをか)(ぐらゐ)(たび)では予定(よてい)探険(たんけん)出来(でき)ない。011()づドツサリと(この)(ふくろ)にパンでも格納(かくなふ)して、012プロペラーに(いきほ)ひを()けて、013身魂(みたま)基礎(きそ)工事(こうじ)をしつかり撞固(つきかた)め、014気海(きかい)丹田(たんでん)()つて(すす)(こと)としよう。015中途(ちうと)になつて(はら)(むし)汽笛(きてき)()らすと(こま)るから準備(じゆんび)肝腎(かんじん)だ』
016岩彦(いはひこ)『ヨウ、017エライ決心(けつしん)だ、018モウ(すぐ)()くのか』
019鷹彦(たかひこ)『ナニまだまだ時機(じき)(はや)い、020(ねずみ)刻限(こくげん)だ。021(この)(むつ)ツの岩穴(いはあな)全部(ぜんぶ)(ふさ)いであるから一寸(ちよつと)やそつとには(わか)らぬ。022まして()夜中(やちう)になつて()ては猶更(なほさら)(こと)だ。023()出別(でわけの)(みこと)宣伝使(せんでんし)によつて()(こく)になれば、024真赤気(まつかいけ)(ねずみ)(あら)はれて案内(あんない)する(こと)となつてるから、025マア夫迄(それまで)()(こと)にしよう』
026音彦(おとひこ)『サア、027()れからが正念場(しやうねんば)だ。028仮令(たとへ)百千万(ひやくせんまん)悪魔(あくま)029邪神(じやしん)030一団(いちだん)となつて()(きた)(とも)この(おと)チャンは言霊(ことたま)神力(しんりき)()つて、031()()微塵(みじん)()()ばし、032(たた)(つぶ)して仕舞(しま)ふは(わけ)はない』
033鷹彦(たかひこ)『オイコラ音公(おとこう)034(いま)からさう逆上(のぼせ)るな、035キニーネでもあれば頓服(とんぷく)でもさせてやるけれど生憎(あひにく)持合(もちあは)せがなくて仕方(しかた)がない』
036音彦(おとひこ)『ナーニ悪魔(あくま)頓服(とんぷく)させるのだ。037ヤア(この)(へん)穴恐(あなおそ)ろしい(あな)(くち)らしいぞ。038刻限(こくげん)()(まで)は、039稲荷(いなり)サンの昼寝(ひるね)とやらうかい』
040亀彦(かめひこ)(なん)だ、041()(たい)(こと)()ふぢやないか、042稲荷(いなり)昼寝(ひるね)とは(なん)(こと)だい』
043鷹彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、044(あな)のふちにころりだ。045それにしても、046()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)姿(すがた)(また)もや紛失(ふんしつ)して仕舞(しま)つたぢやないか、047一行中(いつかうちう)大巨頭(だいきよとう)()らなくなつては、048指揮(しき)命令(めいれい)がうまく()かない。049何程(なにほど)岩公(いはこう)万丈(ばんぢやう)気焔(きえん)()げた(ところ)(かぜ)()うなものだ。050危機(きき)一髪(いつぱつ)の、051ハツハツになつて、052(すぐ)にベソをかくのだから(たよ)りないものだ』
053岩彦(いはひこ)『オイオイ、054手際(てぎは)拝見(はいけん)してから(のち)()うて(もら)はうかい、055貴様(きさま)気焔(きえん)とは(わけ)(ちが)うのだ。056(あさ)つぱらは滅茶(めつちや)矢鱈(やたら)はつしやいで、057昼前(ひるまへ)になるとヤアモウ機械(きかい)(あぶら)()れたの一歩(いつぽ)行進(かうしん)出来(でき)ないなぞと、058弱音(よわね)()きよるからコンナ(よわ)(やつ)途連(みちづ)れにして()ると、059同行者(どうぎやうしや)並大抵(なみたいてい)(こと)ぢやない。060忌憚(きたん)()駄法螺(だぼら)噴火口(ふんくわこう)から(てん)(こが)()うに噴出(ふんしゆつ)させるなり、061(ついで)(うん)(わる)(さき)ばしりの(くそ)をプンプンと()()きよるなり、062嗚呼(ああ)糞慨(ふんがい)(いた)屁口(へーこう)千万(せんばん)だ』
063鷹彦(たかひこ)『オイオイ、064ソンナ馬鹿話(ばかばなし)()つてる(ところ)ぢやないぞ。065それ()ろ、066茅原(かやはら)(なか)昨夜(ゆふべ)()(やつ)が………』
067岩彦(いはひこ)『ヤ(また)()よつたな。068今度(こんど)(ばけ)(やつ)069位置(ゐち)変更(へんかう)しよつて、070味方(みかた)間近(まぢか)攻寄(せめよ)つたりと()光景(くわうけい)だ。071オイ(ばけ)サン、072昨日(きのふ)岩公(いはこう)とチツト岩公(いはこう)(ちが)うのだい。073(この)(しこ)巌窟(いはや)をよく()よ。074(おれ)(うで)(まさ)(かく)(とほ)りだ。075何時(いつ)でも愚図(ぐづ)々々(ぐづ)洒落(しやれ)(こと)をしよると()むを()ない、076直接(ちよくせつ)行動(かうどう)()るから覚悟(かくご)(いた)せ』
077化物(ばけもの)『アハヽヽヽ、078(おれ)(おれ)だ、079岩公(いはこう)胆試(きもだめ)しに一寸(ちよつと)()けて()せてやつたのだよ』
080岩彦(いはひこ)『さういふ貴様(きさま)一体(いつたい)(たれ)だ』
081化物(ばけもの)(ひと)こまらす(こま)サンだ。082それでも貴様(きさま)(この)(やみ)(おれ)(かほ)()えるのかい』
083岩彦(いはひこ)『オツト()つた、084()えるでもなし、085()えぬでもなし、086何だか亡国(ばうこく)(てき)悲調(ひてう)()びた異声(いせい)怪音(くわいおん)(みみ)(えい)ずるのだ。087(おれ)(みみ)重宝(ちようほう)なものだぞ、088(みみ)()()()くのだから化物(ばけもの)よりも上手(うはて)()宣伝使(せんでんし)さまだ。089馬鹿(ばか)真似(まね)をして(あと)でベソをかくな。090(なん)(いなご)か、091ばつた(やう)草叢(くさむら)にもぐり()んで、092あつちやに()び、093こつちやに()び、094()びあるきよつて、095それだから飛沫(とばしり)ものと()ふのだ。096まるで際物師(きはものし)()うな芸当(げいたう)をやらかして、097胆力(たんりよく)無双(むさう)(いは)さまを恐喝(きようかつ)しようと(おも)つたつて(その)()()はぬぞ』
098駒彦(こまひこ)『アー(おれ)(この)岩窟(がんくつ)探険(たんけん)()かくれば、099ドンナ(やつ)()()るか(わか)らないから一寸(ちよつと)化物(ばけもの)予習(よしふ)()つてみたのだ。100どうぞ今後(こんご)()贔屓(ひいき)にお引立(ひきたて)(ねが)ひまして、101引続(ひきつづ)不相変(あひかはらず)予習(よしふ)(ねが)ひます』
102岩彦(いはひこ)洒落(しやれ)どころかい、103戦場(せんぢやう)(むか)つて(なに)をソンナ気楽(きらく)(こと)()つて()るのだ。104ソンナ(こと)では屹度(きつと)途中(とちう)屁子垂(へこた)れる(こと)確定(かくてい)(てき)事実(じじつ)だ。105貴様(きさま)のしくじる(こと)(すで)(すで)閻魔(えんま)登記簿(とうきぼ)にチヤンと印紙(いんし)()つて登録済(とうろくずみ)になつて()るのだ』
106駒彦(こまひこ)『オイオイ、107貴様(きさま)(なに)()つて()るのだ。108登録済(とうろくずみ)だの登記簿(とうきぼ)だのつて、109ソンナ言葉(ことば)基督(キリスト)降誕後(かうたんご)二十(にじつ)世紀(せいき)人間(にんげん)のぬかす(こと)だ。110(いま)紀元前(きげんぜん)五十(ごじふ)(まん)(ねん)(むかし)だぞ』
111岩彦(いはひこ)過去(くわこ)112現在(げんざい)113未来(みらい)超越(てうゑつ)した霊界(れいかい)物語(ものがたり)だ、114ソンナ(こと)当然(あたりまへ)だよ。115チツポケな時代(じだい)だとか、116言葉(ことば)だとかに(とら)はれて()(やう)小人物(せうじんぶつ)無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)神界(しんかい)経綸(けいりん)(わか)つてたまるものかい。117(がく)118古今(ここん)(あつ)し、119知識(ちしき)東西(とうざい)(つらぬ)くと()三五教(あななひけう)(しん)宣伝使(せんでんし)だよ。120貴様(きさま)もちつと文明(ぶんめい)空気(くうき)()ふたが()からう』
121駒彦(こまひこ)(なん)だ、122()(ぶん)(めい)(こと)をよう(さへづ)(やつ)だ。123今日(こんにち)原始(げんし)時代(じだい)に、124文明(ぶんめい)(くそ)のつて(けつ)があきれるワイ』
125岩彦(いはひこ)文明(ぶんめい)逆転(ぎやくてん)旅行(りよかう)()(こと)()らぬのか。126()れでも、127マア()()れ、128地上(ちじやう)人間(にんげん)(まめ)(やう)胆玉(きもだま)になつた二十(にじつ)世紀(せいき)()非文明(ひぶんめい)()(なか)()()ると、129何処(どこ)かに(めう)(やつ)(あら)はれて屹度(きつと)吾々(われわれ)(いま)()りつつある行動(かうどう)を、130寝物語(ねものがたり)にほざく(やつ)出来(でき)()るかも()れぬのだ。131その(とき)にまた歴史(れきし)繰返(くりかへ)すと()うてその時代(じだい)人間(にんげん)が、132これは非文明(ひぶんめい)とか、133非真理(ひしんり)とか、134屁理窟(へりくつ)()うとか()はぬとかほざく(やう)なものだ。135マアマア(だま)つて(とき)(うつ)るを()つたが()からうぞい』
136 またもや一天(いつてん)(にはか)(くら)逆巻(さかま)(くも)(うづ)137暴風(ばうふう)しばく(あめ)槍衾(やりふすま)(つつ)まれにけり。
138音彦(おとひこ)『ヤヽヽヽ、139(また)どつさりとあめ利加(りか)フラン西()とけつかるワイ。140(ねずみ)(やつ)(はや)()つて()岩窟(がんくつ)吾々(われわれ)明示(めいじ)して()れないと、141こつちの(はう)(さき)()(ねずみ)になつちまふわ』
142駒彦(こまひこ)(その)(ざま)はなんだ、143(ねこ)()はれた(ねずみ)のやうな腰付(こしつき)をしよつて、144ニヤンチウ不格好(ぶかくかう)(なさけ)ないていたらくだい』
145鷹彦(たかひこ)『オイオイ言霊(ことたま)奏上(そうじやう)だ。146貴様(きさま)()(ひま)だと(すぐ)にはしやぎよつて(さわ)がしくて仕様(しやう)がない。147篏口令(かんこうれい)(かは)りに間断(かんだん)なく祝詞(のりと)奏上(そうじやう)宣伝歌(せんでんか)合唱(がつしやう)厳命(げんめい)する』
148岩彦(いはひこ)()はしておけば際限(さいげん)もなき(その)暴言(ばうげん)149貴様(きさま)()(こと)()くものは、150この(ひろ)天地(てんち)(あひだ)(ねずみ)一匹(いつぴき)あるものかい。151あまりメートルを()()ぎると汽缶(きくわん)破裂(はれつ)するぞ』
152 (この)(とき)()出別(でわけの)(みこと)(また)もや忽然(こつぜん)として岩上(がんじやう)(あら)はれける。
153一同(いちどう)弥陀(みだ)来向(らいかう)だ、154生神(いきがみ)顕現(けんげん)だ、155有難(ありがた)有難(ありがた)い』
156岩彦(いはひこ)『モシモシ()出別(でわけの)(みこと)(さま)157ドウゾ(はや)火鼠(ひねずみ)()出現(しゆつげん)(あそ)ばすやうに斡旋(あつせん)(らう)()つて(くだ)さいナ』
158日の出別『ヨシヨシ、159(いま)だ』
160()ひながら、161()出別(でわけの)(みこと)岩上(がんじやう)密生(みつせい)せる灌木(くわんぼく)(もと)()()(すゑ)打断(うちた)ちて、162(こし)細紐(ほそひも)()きこれを(しば)つて(ゆみ)(こしら)へ、163(かや)(ぢく)()つて()(つく)り、164東西(とうざい)延長(えんちやう)せる岩山(いはやま)(むか)つて、165発矢(はつし)射放(いはな)ちける。
166日の出別『サアよほど(てん)(あか)くなつて()た。167いま(わし)射放(いはな)つた()(ひろ)つて()い。168さうすれば入口(いりぐち)がはつきりと(わか)るのだ』
169鷹彦(たかひこ)『これから十万(じふまん)(ねん)未来(みらい)(おい)て、170大国主(おほくにぬしの)(かみ)()(ひろ)ひに原野(げんや)()つた(やう)古事(こじ)ではない未来(みらい)事実(じじつ)だ。171(ひろ)ひには()きませうが、172(その)(とき)のやうに原野(げんや)()をかけて()かれては(こま)りますぜ』
173()出別(でわけ)『マア吾々(われわれ)(めい)のまにまに(さが)して()るのだよ』
174岩彦(いはひこ)『サアサ、175()れから(なが)()探索隊(たんさくたい)編成(へんせい)だ。176(いづ)()出別(でわけ)()ふから、177()()して()くには(ちが)ひない、178さうすると、179(うち)ホラホラ()スブスブと(ねずみ)先生(せんせい)()つて()ると()段取(だんどり)だナ。180全隊(ぜんたい)(すす)め、181(いち)()(さん)
182暗雲(やみくも)()()したり。
183 ()出別(でわけ)(ただ)ちに燧石(ひうち)()()折柄(をりから)()()暴風(ばうふう)(むか)つて()(はな)てば、184(たちま)轟々(がうがう)たる(おと)()()四方(よも)()(ひろ)がりぬ。185嗚呼(ああ)鷹彦(たかひこ)以下(いか)運命(うんめい)如何(いか)()()くならむか。
186大正一一・三・一七 旧二・一九 谷村真友録)
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