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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
第1章 主一無適
第2章 大地震
第3章 救世神
第4章 不知恋
第5章 秋鹿の叫
第6章 女弟子
第2篇 紅裙隊
第7章 妻の選挙
第8章 人獣
第9章 誤神託
第10章 噂の影
第11章 売言買辞
第12章 冷い親切
第13章 姉妹教
第3篇 千里万行
第14章 樹下の宿
第15章 丸木橋
第16章 天狂坊
第17章 新しき女
第18章 シーズンの流
第19章 怪原野
第20章 脱皮婆
第21章 白毫の光
第4篇 言霊将軍
第22章 神の試
第23章 化老爺
第24章 魔違
第25章 会合
余白歌
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海洋万里(第25~36巻)
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第31巻(午の巻)
> 第3篇 千里万行 > 第18章 シーズンの流
<<< 新しき女
(B)
(N)
怪原野 >>>
第一八章 シーズンの
流
(
ながれ
)
〔八八四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第3篇 千里万行
よみ(新仮名遣い):
せんりばんこう
章:
第18章 シーズンの流
よみ(新仮名遣い):
しーずんのながれ
通し章番号:
884
口述日:
1922(大正11)年08月20日(旧06月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
エリナも突然口調を変えて、秋山別とモリスをからかいだした。そしてモリスを置いてどこかに行こうとする。二人の男は未練たらたらでエリナを留めようとするが、逆にエリナに心底を見透かされて恥をかかされてしまう。
秋山別とモリスは馬鹿にされて怒り、エリナに打ち掛かるが、逆に首筋を掴まれてシーズン河に投げ込まれてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-04-12 18:52:19
OBC :
rm3118
愛善世界社版:
213頁
八幡書店版:
第6輯 121頁
修補版:
校定版:
219頁
普及版:
101頁
初版:
ページ備考:
001
エリナはモリスの
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
せる
姿
(
すがた
)
を
嘲笑
(
てうせう
)
的
(
てき
)
に
流
(
なが
)
し
目
(
め
)
に
見
(
み
)
やりつつ、
002
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
003
エリナ
『オイ
秋山
(
あきやま
)
君
(
くん
)
、
004
君
(
きみ
)
は
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
を
如何
(
どう
)
したのだイ。
005
まさか
君
(
きみ
)
の
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に、
006
シーズン
河
(
がは
)
へ
投身
(
とうしん
)
する
様
(
やう
)
な
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
でもあるまいがねー。
007
もし
僕
(
ぼく
)
だつたら、
008
君
(
きみ
)
の
様
(
やう
)
な
蜥蜴
(
とかげ
)
君
(
くん
)
には
命
(
いのち
)
をすてる
様
(
やう
)
なこたア、
009
馬鹿
(
ばか
)
らしくて
出来
(
でき
)
ないね、
010
又
(
また
)
君
(
きみ
)
も
君
(
きみ
)
ぢやないか、
011
あれ
程
(
ほど
)
スヰートハートしてゐた
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
が
水中
(
すゐちう
)
に
陥没
(
かんぼつ
)
したのだから、
012
此
(
この
)
際
(
さい
)
対岸
(
たいがん
)
の
火災視
(
くわさいし
)
して
居
(
ゐ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かぬぢやないか。
013
男子
(
だんし
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は
随分
(
ずいぶん
)
無情
(
むじやう
)
冷酷
(
れいこく
)
なものだね、
014
それだから
吾々
(
われわれ
)
目
(
め
)
ざめた
婦人
(
ふじん
)
達
(
たち
)
は、
015
婦人
(
ふじん
)
開放論
(
かいはうろん
)
を
唱
(
とな
)
へたり、
016
女権
(
ぢよけん
)
拡張
(
くわくちやう
)
を
高唱
(
かうしやう
)
したり、
017
婦主
(
ふしゆ
)
夫従
(
ふうじゆう
)
の
法律
(
はふりつ
)
を
制定
(
せいてい
)
せむと
躍起
(
やくき
)
運動
(
うんどう
)
をやらなくちやならないやうになつて
来
(
き
)
たのだ。
018
君
(
きみ
)
も
真
(
しん
)
に
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
に
同情
(
どうじやう
)
をよせてゐるのならば、
019
なぜ
身
(
み
)
を
挺
(
てい
)
して
水中
(
すゐちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
み
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げないのかイ。
020
此
(
この
)
渓流
(
ながれ
)
を
眺
(
なが
)
めて
恐
(
おそ
)
ろしくなつたのだなア。
021
実
(
じつ
)
に
卑怯
(
ひけふ
)
な
男
(
をとこ
)
だね。
022
こンな
男
(
をとこ
)
に
狙
(
ねら
)
はれた
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
も
迷惑
(
めいわく
)
だ。
023
僕
(
ぼく
)
だつて、
024
こンな
男子
(
だんし
)
と
一
(
いち
)
日
(
にち
)
でも
添
(
そ
)
はねばならぬと
思
(
おも
)
や、
025
紅井
(
くれなゐ
)
君
(
くん
)
ぢやないが、
026
僕
(
ぼく
)
も
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
淵川
(
ふちがは
)
へ
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
死
(
し
)
の
神
(
かみ
)
の
手
(
て
)
にキツスをしたくなつて
来
(
く
)
るよ。
027
君
(
きみ
)
も
余程
(
よほど
)
デレ
助
(
すけ
)
の
割
(
わり
)
には、
028
物
(
もの
)
の
分
(
わか
)
らぬ
人物
(
じんぶつ
)
だね』
029
秋山別
『ヤア
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
口走
(
くちばし
)
り
出
(
だ
)
したぞ。
030
何
(
なん
)
でも
此
(
この
)
辺
(
へん
)
には
悪霊
(
あくれい
)
が
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
031
可愛相
(
かあいさう
)
に、
032
憑依
(
ひようい
)
されたのだなア。
033
オイオイ モリス
君
(
くん
)
、
034
君
(
きみ
)
もちつと
心配
(
しんぱい
)
してやつたらどうだイ。
035
何程
(
なにほど
)
拝
(
をが
)
ンで
居
(
を
)
つたつて、
036
此
(
この
)
発動
(
はつどう
)
は
容易
(
ようい
)
に
停電
(
ていでん
)
する
気遣
(
きづか
)
ひはないよ。
037
君
(
きみ
)
と
僕
(
ぼく
)
と
相提携
(
あひていけい
)
してエリナ
君
(
くん
)
を
説服
(
せつぷく
)
し、
038
元
(
もと
)
のエリナの
精神
(
せいしん
)
に
立直
(
たてなほ
)
してやらうぢやないか』
039
モリス
『オイ、
040
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
041
お
前
(
まへ
)
もヤツパリ
感染
(
かんせん
)
して
居
(
ゐ
)
るようだぞ。
042
エリナさまと
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
に
君
(
きみ
)
だの
僕
(
ぼく
)
だのと、
043
そンな
言
(
ことば
)
を
使
(
つか
)
うない。
044
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
に
俺
(
おれ
)
とか、
045
わしとか、
046
お
前
(
まへ
)
とか、
047
貴様
(
きさま
)
とか
云
(
い
)
つたら
如何
(
どう
)
だい。
048
そンな
言
(
ことば
)
を
使
(
つか
)
ふと、
049
俄
(
にはか
)
に
何
(
なん
)
だか
二十
(
にじつ
)
世紀
(
せいき
)
とか
云
(
い
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
されて
来
(
く
)
るワ』
050
秋山別
『あゝさうだつたなア。
051
ウツカリして
居
(
を
)
つて
類焼
(
るゐせう
)
の
厄
(
やく
)
に
会
(
あ
)
う
所
(
ところ
)
だつた。
052
幸
(
さいは
)
ひお
前
(
まへ
)
の
蒸気
(
じやうき
)
ポンプがあつた
為
(
ため
)
に
延焼
(
えんせう
)
の
害
(
がい
)
を
免
(
まぬが
)
れてマア
結構
(
けつこう
)
だ。
053
併
(
しか
)
しエリナさまの
此
(
この
)
発動
(
はつどう
)
は
困
(
こま
)
つたものだね』
054
エリナ
『
皆
(
みな
)
さま、
055
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さいますな。
056
妾
(
わたし
)
はおかげに
依
(
よ
)
つて、
057
精神
(
せいしん
)
快活
(
くわいくわつ
)
になりましたよ。
058
如何
(
どう
)
して
今
(
いま
)
の
様
(
やう
)
なハイカラな
御
(
お
)
転婆
(
てんば
)
になつたのでせうか。
059
わたし、
060
お
二人
(
ふたり
)
さまのお
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るのも
恥
(
はづ
)
かしうなつて
来
(
き
)
ましたワ。
061
ホヽヽヽヽ』
062
と
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
063
袖
(
そで
)
にてかくす
其
(
その
)
殊勝
(
しゆしよう
)
さ、
064
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
趣
(
おもむき
)
がある。
065
二人
(
ふたり
)
は
恍惚
(
くわうこつ
)
として、
066
エリナ
姫
(
ひめ
)
を
眺
(
なが
)
め
居
(
ゐ
)
る。
067
モリスは
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
068
一寸
(
ちよつと
)
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
069
いと
叮嚀
(
ていねい
)
な
言葉
(
ことば
)
で、
070
モリス
『
秋山
(
あきやま
)
さま、
071
今日
(
けふ
)
は
存
(
ぞん
)
じも
寄
(
よ
)
らぬ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
まして、
072
さぞさぞ
御
(
ご
)
愁歎
(
しうたん
)
で
御座
(
ござ
)
いませう、
073
御
(
お
)
察
(
さつ
)
し
申上
(
まをしあ
)
げます。
074
折角
(
せつかく
)
茲
(
ここ
)
まで
漕
(
こ
)
ぎつけて、
075
いよいよ
夫婦
(
ふうふ
)
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
をあげようと
云
(
い
)
ふ
間際
(
まきは
)
になり、
076
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
さまは
無情
(
むじやう
)
の
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
へ
御
(
お
)
旅立
(
たびだち
)
、
077
さぞ
御
(
お
)
淋
(
さび
)
しう
御座
(
ござ
)
いませう。
078
身
(
み
)
につまされて
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
に
堪
(
た
)
へませぬ』
079
秋山別
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
080
紅井
(
くれなゐ
)
の
花
(
はな
)
も
半開
(
はんかい
)
にして
散
(
ち
)
りました。
081
無情
(
むじやう
)
の
嵐
(
あらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、
082
手
(
て
)
もなく
打
(
うち
)
おとされ、
083
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
で
御座
(
ござ
)
います』
084
と
鼻
(
はな
)
をすする。
085
エリナ
『モシ
秋山
(
あきやま
)
さま、
086
あなた
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
を
本当
(
ほんたう
)
に
女房
(
にようばう
)
にする
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へでしたか』
087
秋山別
『ハイ
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
吾
(
わが
)
目
(
め
)
にちらつき、
088
一刻
(
いつこく
)
も
忘
(
わす
)
れた
事
(
こと
)
のない
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
さま、
089
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
090
ヒルの
都
(
みやこ
)
の
楓別
(
かへでわけ
)
さまが
此
(
この
)
事
(
こと
)
をお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばしたら、
091
嘸
(
さぞ
)
お
歎
(
なげ
)
き
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
092
エリナ
『あの
方
(
かた
)
を
本当
(
ほんたう
)
の
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
と
秋山
(
あきやま
)
さまは
思
(
おも
)
つてゐらつしやいますのですか。
093
あの
方
(
かた
)
は
旭
(
あさひ
)
……
否々
(
いないな
)
旭
(
あさひ
)
の
直刺
(
たださ
)
す、
094
夕日
(
ゆふひ
)
の
日
(
ひ
)
照
(
て
)
らすヒルの
国
(
くに
)
の
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
によく
似
(
に
)
た
御
(
お
)
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
095
妾
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へでは
少
(
すこ
)
しくお
背
(
せ
)
が
高
(
たか
)
い
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
しまして、
096
どうも
合点
(
がてん
)
が
参
(
まゐ
)
りませぬワ』
097
秋山別
『ハイ
何分
(
なにぶん
)
十九
(
じふく
)
の
花盛
(
はなざか
)
り、
098
背
(
せ
)
の
伸
(
の
)
びる
最中
(
さいちう
)
ですからなア。
099
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は、
100
三日
(
みつか
)
見
(
み
)
ぬ
間
(
ま
)
に
桜
(
さくら
)
哉
(
かな
)
で、
101
見違
(
みちが
)
へるように
変
(
かは
)
るもので
御座
(
ござ
)
います。
102
私
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
外
(
ほか
)
の
方
(
かた
)
とは
思
(
おも
)
ひませぬワ』
103
エリナ
『そんならエリナの
私
(
わたし
)
はどう
見
(
み
)
えますか』
104
秋山別
『
秋山
(
あきやま
)
の
目
(
め
)
にはどうも
見
(
み
)
えませぬな。
105
別
(
べつ
)
に
変
(
かは
)
つた
所
(
ところ
)
もない
様
(
やう
)
です』
106
エリナ
『
折角
(
せつかく
)
此処
(
ここ
)
まで
御
(
お
)
伴
(
とも
)
願
(
ねが
)
ひましたが、
107
これで
妾
(
わらは
)
はお
暇
(
いとま
)
致
(
いた
)
します。
108
お
二人共
(
ふたりとも
)
、
109
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
よく
御
(
ご
)
修業
(
しうげふ
)
遊
(
あそ
)
ばし、
110
天晴
(
あつぱ
)
れ
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
となつて、
111
ヒルの
国
(
くに
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
112
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
めて
下
(
くだ
)
さいませ、
113
左様
(
さやう
)
ならば……』
114
と
足早
(
あしばや
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
かうとするのを、
115
モリスは
周章
(
あわ
)
てて、
116
モリス
『モシモシ、
117
エリナさま、
118
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
119
私
(
わたし
)
が
此処迄
(
ここまで
)
はるばるやつて
来
(
き
)
たのは、
120
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
か、
121
貴女
(
あなた
)
御存
(
ごぞん
)
じでせうなア』
122
エリナ
『ハイよく
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。
123
あなた
方
(
がた
)
御
(
お
)
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
は
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
となつて、
124
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
を
女房
(
にようばう
)
にせうと、
125
昼
(
ひる
)
も
夜
(
よる
)
も
争
(
あらそ
)
ひ、
126
修羅
(
しうら
)
をもやして
御座
(
ござ
)
つたのぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
127
私
(
わたし
)
はホンのあなたの
目
(
め
)
から
副産物
(
ふくさんぶつ
)
位
(
くらゐ
)
に
見做
(
みな
)
されて
居
(
を
)
つた
はした
女
(
をんな
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ。
128
あなた
方
(
がた
)
も
当
(
たう
)
の
目的物
(
もくてきぶつ
)
たる
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
が、
129
斯
(
こ
)
うお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
以上
(
いじやう
)
は、
130
最早
(
もはや
)
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
する
執着心
(
しふちやくしん
)
も
離
(
はな
)
れたでせう。
131
妾
(
わらは
)
はあなた
方
(
がた
)
に
対
(
たい
)
して
何
(
なん
)
の
関係
(
くわんけい
)
もない
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
132
お
先
(
さき
)
へ、
133
すまぬ
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら、
134
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう。
135
男
(
をとこ
)
の
方
(
かた
)
と
伴
(
つ
)
らつて
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
ると、
136
又
(
また
)
世間
(
せけん
)
が
何
(
なん
)
とかかとか
噂
(
うはさ
)
を
立
(
た
)
て、
137
うるさくて
堪
(
たま
)
りませぬから、
138
浮名
(
うきな
)
を
立
(
た
)
てられ
濡
(
ぬ
)
れ
衣
(
ぎぬ
)
を
着
(
き
)
せられない
中
(
うち
)
に、
139
茲
(
ここ
)
を
妾
(
わらは
)
が
立去
(
たちさ
)
つた
方
(
はう
)
が、
140
双方
(
さうはう
)
の
利益
(
りえき
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
141
秋山別
『エヽ
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
142
秋山別
(
あきやまわけ
)
も
茲
(
ここ
)
まで
斯
(
こ
)
うして
参
(
まゐ
)
りましたのも、
143
あなた
方
(
がた
)
のお
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひ、
144
夫婦
(
ふうふ
)
の
約束
(
やくそく
)
を
結
(
むす
)
び、
145
円満
(
ゑんまん
)
なる
家庭
(
かてい
)
を
作
(
つく
)
り、
146
神業
(
しんげふ
)
を
勤
(
つと
)
めようと
思
(
おも
)
つて、
147
参
(
まゐ
)
つたので
厶
(
ござ
)
いますから、
148
ここで
御
(
お
)
別
(
わか
)
れするのは、
149
実
(
じつ
)
に
本意
(
ほんい
)
なう
厶
(
ござ
)
います。
150
サア、
151
エリナさま
是
(
これ
)
からあなたは
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
、
152
余
(
あま
)
り
悪
(
わる
)
うも
厶
(
ござ
)
いますまいなア』
153
エリナ
『ホヽヽヽヽ、
154
おいて
下
(
くだ
)
さいませ。
155
あなたは
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
におなり
遊
(
あそ
)
ばし、
156
死
(
し
)
ねば
諸共
(
もろとも
)
死出
(
しで
)
の
山
(
やま
)
、
157
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
も
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いてなぞと、
158
仰有
(
おつしや
)
つて、
159
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
をお
口説
(
くど
)
き
遊
(
あそ
)
ばした
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いませう。
160
それ
丈
(
だけ
)
思
(
おも
)
ひ
込
(
こ
)
ンだ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
現在
(
げんざい
)
、
161
此
(
この
)
谷川
(
たにがは
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げてお
死
(
な
)
くなり
遊
(
あそ
)
ばしたのを、
162
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げるといふ
親切
(
しんせつ
)
も
無
(
な
)
ければ、
163
遺骸
(
なきがら
)
を
捜
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して
叮嚀
(
ていねい
)
に
葬
(
ほうむ
)
ると
云
(
い
)
ふ
誠
(
まこと
)
もなく、
164
今
(
いま
)
お
死
(
な
)
くなりになつた
計
(
ばか
)
りの
最中
(
さいちう
)
に、
165
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのですか。
166
それだから
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
仕方
(
しかた
)
のないものだ……と
云
(
い
)
つて
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
から
注意
(
ちうい
)
人物視
(
じんぶつし
)
されるのですよ。
167
ヘン
阿呆
(
あほ
)
らしい、
168
当座
(
たうざ
)
の
花
(
はな
)
にしておいて、
169
妾
(
わたし
)
を
玩弄物
(
おもちや
)
になさらうと、
170
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へになつても、
171
そンな
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
は
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
半人
(
はんにん
)
だつてありさうな
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬよ。
172
そンな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
は
言
(
い
)
はずにおきなさいませ。
173
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
してもお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ですワ』
174
秋山別
『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
175
左様
(
さやう
)
な
水臭
(
みづくさ
)
い
心
(
こころ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬが、
176
何程
(
なにほど
)
悔
(
くや
)
みたとて、
177
焦
(
あせ
)
つたとても、
178
一旦
(
いつたん
)
死
(
し
)
ンだ
人
(
ひと
)
は
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
道理
(
だうり
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ。
179
私
(
わたし
)
が
涙
(
なみだ
)
をこぼして
泣
(
な
)
かうものなら、
180
それこそ
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
の
魂
(
たましひ
)
は
宙宇
(
ちうう
)
に
迷
(
まよ
)
うて、
181
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
へも
能
(
よ
)
う
行
(
ゆ
)
かず、
182
苦労
(
くらう
)
をなさるのが
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
御座
(
ござ
)
います。
183
それ
故
(
ゆゑ
)
私
(
わたし
)
がフツツリと
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
上
(
あ
)
げた
方
(
はう
)
が、
184
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
執着
(
しふちやく
)
が
残
(
のこ
)
らないで、
185
早
(
はや
)
く
成仏
(
じやうぶつ
)
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
だらうと
思
(
おも
)
ひ
余
(
あま
)
つての
親切
(
しんせつ
)
、
186
腹
(
なか
)
の
中
(
なか
)
で
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
表面
(
うはべ
)
は
斯
(
こ
)
う
綺麗
(
きれい
)
に
賑
(
にぎ
)
やかさうに
言
(
い
)
つて
居
(
を
)
るのですよ。
187
どうぞ
恋
(
こひ
)
しい
女
(
をんな
)
に
別
(
わか
)
れた
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
、
188
推量
(
すいりやう
)
なさつて
下
(
くだ
)
さい』
189
と
涙
(
なみだ
)
をふき、
190
秋山別
『これ
程
(
ほど
)
心底
(
しんてい
)
の
深
(
ふか
)
い
男
(
をとこ
)
を
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
つ
女房
(
にようばう
)
はさぞさぞ
幸福
(
かうふく
)
でせう。
191
エリナさま
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
りましたら、
192
一滴
(
いつてき
)
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
を
注
(
そそ
)
いで
下
(
くだ
)
さい。
193
そして
私
(
わたし
)
の
此
(
この
)
悲
(
かな
)
しみを
慰
(
なぐさ
)
める
為
(
ため
)
に、
194
二世
(
にせ
)
も
三世
(
さんせ
)
も
変
(
かは
)
らぬ
夫婦
(
ふうふ
)
ぢやと、
195
一口
(
ひとくち
)
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
196
さうすれば
私
(
わたし
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
197
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
が
何程
(
なにほど
)
お
喜
(
よろこ
)
びなさるか
知
(
し
)
れませぬ。
198
エヽ
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
199
あゝどうせうぞいなア』
200
とワザと
泣
(
な
)
いて
見
(
み
)
せる。
201
エリナは
冷
(
ひや
)
やかに
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
202
エリナ
『それだから
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
は
困
(
こま
)
るのですよ。
203
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
位
(
くらゐ
)
に
其
(
その
)
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
ですか。
204
本当
(
ほんたう
)
に
厭
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
205
モリスさま、
206
お
前
(
まへ
)
さまも、
207
こンな
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
と
何時迄
(
いつまで
)
も
一所
(
いつしよ
)
に
歩
(
ある
)
いてゐると
馬鹿
(
ばか
)
にせられますよ。
208
いい
加減
(
かげん
)
に
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
大活動
(
だいくわつどう
)
をなされませ。
209
何
(
なん
)
ですか
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
210
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
が
恋
(
こひ
)
を
争
(
あらそ
)
ひ、
211
終局
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
には、
212
秋山別
(
あきやまわけ
)
に
甘
(
うま
)
く
丸
(
まる
)
めこまれ、
213
エヽそンなら
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
に
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
、
214
体
(
からだ
)
を
割
(
わ
)
つて
分
(
わ
)
ける
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かないから、
215
当座
(
たうざ
)
の
鼻塞
(
はなふさ
)
ぎに、
216
エリナ
でも
女房
(
にようばう
)
にせうか、
217
そして
暫
(
しばら
)
く
辛抱
(
しんばう
)
をするのだ、
218
などと
虫
(
むし
)
のよい
考
(
かんが
)
へを
以
(
もつ
)
て、
219
能
(
よ
)
うマアはるばると、
220
阿呆
(
あほ
)
らしうもない、
221
こンな
所迄
(
とこまで
)
お
出
(
い
)
でになりましたなア。
222
何程
(
なにほど
)
エリナが
馬鹿
(
ばか
)
な
女
(
をんな
)
だつて、
223
そンな
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひに
使
(
つか
)
はれてなりますか。
224
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にして
下
(
くだ
)
さるなや。
225
エリナだつて
矢張
(
やつぱり
)
性念
(
しやうねん
)
もありますよ。
226
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
様
(
さま
)
とどれ
丈
(
だけ
)
、
227
どこが
違
(
ちが
)
つて
居
(
を
)
りますか。
228
只
(
ただ
)
人間
(
にんげん
)
のきめた
貴族
(
きぞく
)
とか
平民
(
へいみん
)
とかの
階級
(
かいきふ
)
に
高下
(
かうげ
)
がある
丈
(
だけ
)
ぢやありませぬか。
229
いい
加減
(
かげん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして、
230
こンな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
はおよしなさいませ。
231
まだ
女
(
をんな
)
に
対
(
たい
)
して
云々
(
うんぬん
)
する
丈
(
だけ
)
の、
232
あなたの
体
(
からだ
)
に
資格
(
しかく
)
が
付
(
つ
)
いてゐませぬよ。
233
エリナが
別
(
わか
)
れに
臨
(
のぞ
)
ンで、
234
お
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
の
前途
(
ぜんと
)
の
為
(
ため
)
に
訓戒
(
くんかい
)
しておきますワ』
235
モリスはあはてて、
236
モリス
『モシモシあなた
俄
(
には
)
かに
御
(
お
)
心変
(
こころがは
)
はりがしたのですか。
237
そンな
筈
(
はず
)
ぢやなかつたになア』
238
エリナ
『モリスさまの
勝手
(
かつて
)
に
御
(
お
)
定
(
き
)
めになつた
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
のエリナは
女房
(
にようばう
)
だつたさうですねエ』
239
モリス
『イエ、
240
どうしてどうして
夢
(
ゆめ
)
所
(
どころ
)
か
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
ですよ。
241
さう
悪
(
わる
)
く
取
(
と
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
ります。
242
どうぞ
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
になつて
下
(
くだ
)
さいな』
243
エリナ
『
男
(
をとこ
)
の
方
(
はう
)
から
女房
(
にようばう
)
になつて
下
(
くだ
)
さいな……などと
頼
(
たの
)
む
様
(
やう
)
な
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
は、
244
頭
(
あたま
)
から
嫌
(
きら
)
ひですわいな』
245
秋山別
『コレコレ エリナ
殿
(
どの
)
、
246
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
眼鏡
(
めがね
)
にかなつた
女
(
をんな
)
だから、
247
秋山別
(
あきやまわけ
)
が
抜擢
(
ばつてき
)
して、
248
吾
(
わが
)
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
にして
遣
(
つか
)
はす。
249
一旦
(
いつたん
)
女房
(
にようばう
)
と
致
(
いた
)
した
以上
(
いじやう
)
は、
250
少々
(
せうせう
)
の
瑕瑾
(
かきん
)
や
失敗
(
しつぱい
)
位
(
くらゐ
)
は、
251
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
位
(
くらゐ
)
の
雅量
(
がりやう
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る
此
(
この
)
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
252
実
(
じつ
)
にエリナ
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
も
仕合
(
しあは
)
せで
御座
(
ござ
)
らうなア』
253
エリナ
『えゝおきなさいよ。
254
ヒヨツトコ
男
(
をとこ
)
の
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
計
(
ばか
)
りが、
255
二人
(
ふたり
)
も
斯
(
こ
)
ンな
処
(
ところ
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
ンで
来
(
き
)
て、
256
アタ
態
(
ざま
)
の
悪
(
わる
)
い、
257
いい
加減
(
かげん
)
に
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
りなさい、
258
馬鹿
(
ばか
)
だなア。
259
君
(
きみ
)
もモチと
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つてゐたのに、
260
余
(
あま
)
りの
腰抜
(
こしぬけ
)
野郎
(
やらう
)
で、
261
僕
(
ぼく
)
も
愛想
(
あいさう
)
がつきた。
262
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
へなと、
263
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
死
(
し
)
ンだ
方
(
はう
)
が、
264
社会
(
しやくわい
)
の
為
(
ため
)
だらうよ』
265
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
266
モリス
両人
(
りやうにん
)
はムツと
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て、
267
秋山別、モリス
『
言
(
い
)
はしておけば、
268
際限
(
さいげん
)
もなく、
269
裸一貫
(
はだかいつくわん
)
の
丈夫
(
ますらを
)
に
向
(
むか
)
つて、
270
罵詈
(
ばり
)
雑言
(
ざふごん
)
、
271
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
了見
(
れうけん
)
致
(
いた
)
さぬ。
272
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
だ。
273
サア
覚悟
(
かくご
)
せよ』
274
と
鉄拳
(
てつけん
)
を
固
(
かた
)
めて
左右
(
さいう
)
より
打
(
う
)
つてかかるを、
275
エリナは
右
(
みぎ
)
にすかし、
276
左
(
ひだり
)
に
避
(
さ
)
け、
277
遂
(
つひ
)
には
秋山別
(
あきやまわけ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
掴
(
つか
)
むでシーズン
河
(
がは
)
の
激流
(
げきりう
)
へザンブと
計
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
みにけり。
278
モリス
『
何
(
なに
)
、
279
猪口才
(
ちよこざい
)
な』
280
とモリスは
力限
(
ちからかぎ
)
りに
打
(
う
)
つてかかるを、
281
エリナは、
282
『エヽ
面倒
(
めんだう
)
なり』と
又
(
また
)
もや
首筋
(
くびすぢ
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み、
283
激流
(
げきりう
)
目
(
め
)
がけて、
284
ザンブと
計
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
285
煙
(
けぶり
)
となつて、
286
自分
(
じぶん
)
も
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
287
二人
(
ふたり
)
は
激流
(
げきりう
)
に
呑
(
の
)
まれ、
288
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
さへ
見
(
み
)
えず
只
(
ただ
)
激流
(
げきりう
)
の
音
(
おと
)
のみ
聞
(
きこ
)
へける。
289
(
大正一一・八・二〇
旧六・二八
松村真澄
録)
290
(昭和九・一二・一九 於富山市 王仁校正)
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