霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 白毫(びやくがう)の光(ひかり)〔八八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻 篇:第3篇 千里万行 よみ(新仮名遣い):せんりばんこう
章:第21章 白毫の光 よみ(新仮名遣い):びゃくごうのひかり 通し章番号:887
口述日:1922(大正11)年08月20日(旧06月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
赤鬼と青鬼は二人を睨み付け、火の車に乗るようにと怒鳴りたてた。秋山別はやけくそになり、逆に鬼を怒鳴りつけて車に乗らないと言い出した。モリスはおどおどして秋山別をなだめ、鬼たちに詫びる。
秋山別は鬼を買収して地獄から抜け出そうと、鬼たちに金を渡した。二人は車に乗り込んだが、鬼たちは二人を焦熱地獄に連れてきてしまう。秋山別は約束が違うと非難するが、鬼たちは、自分たちは規則通りのことをするだけだと取り合わない。
焦熱地獄に投げ込まれそうになった二人は、惟神霊幸倍坐世を一生懸命に唱えた。すると一団の火光が大音響とともに落下し、鬼も火の車も消えてしまった。そして眉間の白毫からダイヤモンドのような光を発する神人が現れた。
神人は二人に水を与えて背を撫でさすり、まだ二人には現界で働かなければならない寿命が残っていると言って、背中を打った。
秋山別とモリスが気が付くと、二人はシーズン河の川辺で国依別、安彦、宗彦に介抱されていた。二人は国依別たちに礼を述べ、河原に端座して祝詞を奏上し、神恩を感謝した。
これより二人は国依別に帰依して心から改心し、一行はアマゾン河の大森林の魔神を征服するべく進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-15 18:41:44 文字数:3225 OBC :rm3121
愛善世界社版:242頁 八幡書店版:第6輯 132頁 修補版: 校定版:249頁 普及版:114頁 初版: ページ備考:
001 二台(にだい)の火(ひ)の車(くるま)は婆(ばば)アの小屋(こや)の前(まへ)で停車(ていしや)し、002中(なか)より青(あを)赤(あか)の運転手(うんてんしゆ)、003技手(ぎしゆ)、004鶏冠(とさか)の様(やう)な、005キザのある腮(あご)をしやくり乍(なが)ら、006金銀色(きんぎんしよく)の角(つの)をニヨツと表(あら)はし、007車(くるま)より下(お)りて、008ツカツカと二人(ふたり)の前(まへ)に立塞(たちふさ)がり、
009青鬼『其(その)方(はう)は秋山別(あきやまわけ)、010モリスの両人(りやうにん)であらう。011サア冥府(めいふ)よりの迎(むか)へだ。012グヅグヅして居(ゐ)ると時間(じかん)が切(き)れる。013早(はや)く此(この)火(ひ)の車(くるま)に乗(の)れ』
014と巨眼(きよがん)をひらき睨(にら)めつけ呶鳴(どな)り立(た)てる。015秋山別(あきやまわけ)は焼糞(やけくそ)になり、
016秋山別『オウ、017俺(おれ)も男(をとこ)だ。018火(ひ)の車(くるま)が何恐(なにおそ)ろしいか。019俺(おれ)達(たち)は娑婆(しやば)に於(おい)て、020日々(にちにち)会計(くわいけい)不如意(ふによい)の為(ため)に家(いへ)には火(ひ)が降(ふ)り、021尻(しり)には火(ひ)がつき、022火(ひ)の車(くるま)を日々(にちにち)運転(うんてん)して来(き)た火宅(くわたく)の勇者(ゆうしや)だ。023乗(の)るのは少(すこ)しも厭(いと)はぬが、024併(しか)しマアよく聞(き)け。025貴様(きさま)の面(つら)は何(なん)だい。026海辺(うみべ)の銅葺(あかがねぶき)の屋根(やね)の様(やう)な洒(しや)つ面(つら)をしよつて、027斯様(かやう)な赤(あか)い車(くるま)に乗(の)り、028何(なに)をオドオドとして青(あを)ざめてゐるのだ。029チツとしつかり致(いた)さぬか。030コリヤ一匹(いつぴき)の奴(やつ)、031貴様(きさま)の面(つら)は何(なん)ぢや。032仏像(ぶつざう)の前(まへ)に罷(まか)り出(い)でて、033婆(ばば)、034嬶(かか)の目糞(めくそ)、035鼻汁(はなしる)をぬりつけられ、036鼻(はな)つ柱(ぱしら)も何(なに)もすりむかれてゐやがる賓頭盧(びんづる)の様(やう)な真赤(まつか)な面(つら)をして何(なん)の事(こと)だい。037昼日中(ひるひなか)酒(さけ)を喰(くら)つて酔(よ)つ払(ぱら)つて居(ゐ)るのだらう。038そンな事(こと)でお役目(やくめ)が勤(つと)まるか。039俺(おれ)の顔(かほ)を見(み)て、040ビリビリ震(ふる)ひ、041真青(まつさを)な顔(かほ)する奴(やつ)や、042弁慶(べんけい)の様(やう)に酒(さけ)に喰(くら)ひ酔(よ)うて真赤(まつか)になつて居(ゐ)る様(やう)な運転手(うんてんしゆ)や車掌(しやしやう)の乗(の)つて居(ゐ)る火(ひ)の車(くるま)には、043危険(きけん)で乗(の)れたものぢやない。044マア出直(でなほ)して来(こ)い。045明日(あす)ゆつくりと乗(の)つてやるワ』
046 モリスはおどおどし乍(なが)ら、
047モリス『オイ、048秋公(あきこう)、049そンな非道(ひど)い事(こと)を言(い)うない。050モウ斯(こ)うなつては仕方(しかた)がない。051神妙(しんめう)にしてゐるのが得(とく)だよ。052……モシモシ青(あを)さま、053赤(あか)さま、054秋山別(あきやまわけ)の只今(ただいま)の御(ご)無礼(ぶれい)は何卒(どうぞ)許(ゆる)してやつて下(くだ)さいませ』
055青鬼『そりや許(ゆる)さぬ事(こと)はないが、056ここは地獄(ぢごく)の八丁目(はつちやうめ)だ。057お前(まへ)達(たち)が娑婆(しやば)に居(を)る時(とき)から言(い)つて来(き)ただらう。058それ、059地獄(ぢごく)の沙汰(さた)も○○○と云(い)ふ事(こと)を……』
060秋山別『ハヽヽヽヽ、061矢張(やつぱり)金(かね)次第(しだい)と吐(ぬか)すのかな。062それもさうだらう。063この秋様(あきさま)も娑婆(しやば)に居(を)つた時(とき)汽車(きしや)に乗(の)るのに、064普通(ふつう)の人間(にんげん)より二倍(にばい)がけ出(だ)すと、065それは都合(つがふ)の好(よ)い二等室(にとうしつ)に乗(の)せてくれよつた。066三倍(さんばい)がけ出(だ)すと、067一層(いつそう)具合(ぐあひ)のよい一等室(いつとうしつ)へ白切符(しろきつぷ)を持(も)つて乗(の)せよつた。068切符(きつぷ)でさへも、069青(あを)、070赤(あか)、071白(しろ)と三段(さんだん)に区別(くべつ)がついて居(を)る。072お前(まへ)の顔(かほ)は青切符(あをきつぷ)だな。073ヨシヨシお前(まへ)は赤切符(あかきつぷ)か、074さうすると、075赤切符(あかきつぷ)の方(はう)からきめてかからぬと、076青(あを)さまに呉(く)れてやる標準(へうじゆん)がつかないワ。077此(この)火(ひ)の車(くるま)は一(いち)哩(マイル)幾程(いくら)だイ』
078青鬼『火(ひ)の車(くるま)の運賃(うんちん)は請求(せいきう)せない。079是(これ)は冥府(めいふ)から差廻(さしまは)された特別(とくべつ)上等(じやうとう)の火(ひ)の車(くるま)だよ。080さうして俺(おれ)達(たち)は相当(さうたう)の手当(てあて)を頂(いただ)いて居(を)るのだが、081そこはそれ、082最前(さいぜん)云(い)ふた通(とほ)りだ』
083秋山別『ヨシ、084分(わか)つた。085そンな事(こと)の粋(すゐ)の利(き)かぬ秋様(あきさま)ぢやないワイ。086ここでは何(なん)と言(い)ふか知(し)らぬが、087娑婆(しやば)では袖下(そでした)と云(い)ふ物(もの)だらう。088お前(まへ)の様(やう)な洋服(やうふく)では袖(そで)もなし、089どこへ入(い)れたら宜(い)いのだ。090見当(けんたう)がつかぬぢやないか』
091青鬼『袖(そで)がなくても、092ポケツトが洋服(やうふく)の随所(ずいしよ)に拵(こしら)へてあるワイ。093其(その)ポケツトの重(おも)い、094軽(かる)いに依(よ)つて、095焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)のドン底(そこ)へ連(つ)れて行(ゆ)くか、096但(ただし)はモツトモツト楽(らく)な神界(しんかい)の入口(いりくち)へ送(おく)つてやるか、097ソリヤ分(わか)らぬ。098○(まる)次第(しだい)だからな』
099秋山別『それならモリ公(こう)のと俺(おれ)のと一緒(いつしよ)にやるから、100二人(ふたり)共(とも)同(おな)じ所(ところ)へ助(たす)けるのだぞ。101就(つ)いてはお前(まへ)達(たち)、102二台(にだい)の火(ひ)の車(くるま)に四(し)人(にん)だから、103百(ひやく)両(りやう)づつやつても四百(しひやく)両(りやう)。104此(この)婆(ば)アさまに篏口料(かんこうれう)を渡(わた)しておかねばなるまい。105さうすると五百(ごひやく)両(りやう)、106一寸(ちよつと)懐中(ふところ)が揉(も)めるのだが、107エヽ仕方(しかた)がない。108思(おも)ひ切(き)つてエヽ二人(ふたり)で五百(ごひやく)両(りやう)、109よく撿(あらた)めて受取(うけと)つたがよからう』
110青鬼『コリヤコリヤ其(その)方(はう)は怪(け)しからぬ事(こと)を致(いた)す奴(やつ)だ。111賄賂(わいろ)を以(もつ)て此(この)方(はう)を買収(ばいしう)せうと致(いた)す不届(ふとど)きな奴(やつ)。112之(これ)を受取(うけと)るのは易(やす)いけれ共(ども)、113俺(おれ)も又(また)収賄(しうわい)の罪(つみ)に問(と)はれ、114貴様(きさま)は又(また)贈賄罪(ぞうわいざい)として益々(ますます)罪(つみ)が重(おも)くなるから、115以後(いご)は心得(こころえ)たがよからう。116但(ただし)今日(けふ)に限(かぎ)り忘(わす)れておく程(ほど)に……』
117秋山別『以後(いご)は謹(つつし)めと仰有(おつしや)らなくても、118最早(もはや)之丈(これだけ)出(だ)して了(しま)へば、119無一物(むいつぶつ)で御座(ござ)る。120そンならすつかり忘(わす)れて了(しま)ふが、121互(たがひ)に結構(けつこう)尻(ケツ)の穴(アナ)だ』
122青鬼『ヨシヨシ忘(わす)れて遣(つか)はす。123サア早(はや)く乗(の)れ。124少(すこ)しは熱(あつ)いぞ。125其(その)代(かは)り窓(まど)を明(あ)け放(はな)しておいてやらう』
126 秋(あき)、127モリの二人(ふたり)は脱皮婆(だつぴばば)アに向(むか)ひ、
128秋山別、モリス『お婆(ば)アさま、129大(おほ)きに御(お)世話(せわ)になりました。130お蔭(かげ)で天国(てんごく)へ旅行(りよかう)致(いた)します。131左様(さやう)なら……』
132と五(ご)人(にん)に百(ひやく)両(りやう)づつを投渡(なげわた)し、133二台(にだい)の火(ひ)の車(くるま)に分乗(ぶんじやう)し、134ブウブウブウと音(おと)を立(た)て、135臭(くさ)い屁(へ)を放(ひ)り乍(なが)ら、136砂煙(すなけぶり)を濠々(もうもう)と立(た)たせ、137一目散(いちもくさん)に北(きた)へ北(きた)へと駆(か)けり行(ゆ)く。
138 火(ひ)の車(くるま)は何時(いつ)の間(ま)にか驀地(まつしぐら)に逸走(いつそう)し、139鉄(かね)の壁(かべ)を以(もつ)て高(たか)く囲(かこ)まれたる赤(あか)き焦熱(しやうねつ)地獄(ぢごく)の門(もん)の前(まへ)に横付(よこづ)けとなつた。
140青鬼『サア、141此処(ここ)が焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)だ。142オイ赤(あか)、143白(しろ)、144黒(くろ)共(ども)、145早(はや)く此奴(こいつ)等(ら)二人(ふたり)を引摺(ひきず)り落(おと)し、146門内(もんない)へ投込(なげこ)め。147俺(おれ)の命令(めいれい)だ』
148秋山別『モシモシ青(あを)さま、149ソリヤ約束(やくそく)が違(ちが)うぢやありませぬか。150地獄(ぢごく)の沙汰(さた)も金(かね)次第(しだい)と云(い)ふ事(こと)をお忘(わす)れになりましたか』
151青鬼『定(き)まつた事(こと)だよ。152其(その)方(はう)がどうぞ只今(ただいま)限(かぎ)り忘(わす)れてくれと云(い)つたぢやないか。153何(なに)もかも忘(わす)れた此(この)方(はう)、154規則(きそく)通(どほ)り打込(うちこ)めば宜(い)いのだよ』
155秋山別『ソリヤ違(ちが)ひませう。156そンな事(こと)を仰有(おつしや)ると、157閻魔(えんま)さまに会(あ)つた時(とき)、158一伍(いちぶ)一什(しじふ)を申上(まをしあ)げますぞや。159さうすればお前(まへ)さまも忽(たちま)ち、160首(くび)が飛(と)ンで、161吾々(われわれ)と同様(どうやう)に焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)へ落(おと)されますよ』
162青鬼『ハヽヽヽヽヽ、163馬鹿(ばか)正直(しやうぢき)な奴(やつ)だなア。164鬼(おに)には鬼(おに)の閥(ばつ)があるから、165外(ほか)から指一本(ゆびいつぽん)触(さ)へる事(こと)が出来(でき)るものかい。166野暮(やぼ)な事(こと)を申(まを)すな。167山猟師(やまれふし)は熊(くま)、168鹿(しか)を獲(と)り、169海漁師(うみれうし)は魚(うを)を取(と)り、170猫(ねこ)は鼠(ねずみ)を捕(と)り、171猿(さる)は蚤(のみ)を取(と)り、172吾々(われわれ)は亡者(もうじや)を取(と)るのが商売(しやうばい)だ。173仮令(たとへ)善(よ)からうが悪(あし)からうが、174そンな事(こと)に頓着(とんちやく)はない。175何(なん)でもかでも、176一人(ひとり)でも余計(よけい)引張(ひつぱり)込(こ)みて来(く)れば、177俺(おれ)達(たち)の収入(しうにふ)が良(よ)くなるのだから、178愚痴(ぐち)つぽい事(こと)を言(い)はずに、179いい加減(かげん)に諦(あきら)めたが宜(よ)からうぞ。180閻魔(えんま)さまに言(い)ふなら言(い)うてみよ、181吾々(われわれ)と同(おな)じ穴(あな)の狐(きつね)だ。182キツト貴様(きさま)達(たち)がお目玉(めだま)を貰(もら)ふにきまつてゐるワ』
183モリス『何(なん)とマア善(ぜん)を褒(ほ)め悪(あく)を懲(こら)す、184神聖(しんせい)な所(ところ)だとモリスも思(おも)つて居(ゐ)たのに、185丸(まる)でこんな事(こと)なら、186世(よ)の中(なか)は暗(くら)がりだ。187天地(てんち)晦冥(くわいめい)暗澹(あんたん)として咫尺(しせき)を弁(べん)ぜず、188天(あま)の岩戸(いはと)隠(がく)れの世(よ)の中(なか)だないか』
189青鬼『きまつた事(こと)だよ。190それだから此処(ここ)を冥府(めいふ)と云(い)ふのだ。191せうもない三五教(あななひけう)なぞと、192そこらを明(あ)かくし、193誠(まこと)とか云(い)つて、194古(ふる)い道徳(だうとく)を振(ふり)まはし、195俺(おれ)達(たち)役人(やくにん)……厄鬼(やくおに)共(ども)の領分(りやうぶん)を侵害(しんがい)致(いた)すから、196何(なん)でも一寸(ちよつと)かかりがあつたら、197引張(ひつぱり)込(こ)まうと、198手具脛(てぐすね)引(ひ)いて待(ま)つてゐた所(ところ)だ。199よくもマア引掛(ひつかか)つて来(き)よつた。200馬鹿者(ばかもの)だなア。201サア早(はや)くキリキリと立(た)てい』
202と青(あを)赤(あか)白(しろ)の鬼(おに)共(ども)は二人(ふたり)を引捉(ひつとら)へ、203無理(むり)に鉄門(てつもん)の中(なか)へ押込(おしこ)まうとしてゐる。204押込(おしこ)まれては一大事(いちだいじ)と、205一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて『惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』を奏上(そうじやう)する折(をり)しも、206忽(たちま)ち前方(ぜんぱう)より一団(いちだん)の火光(くわくわう)あたりを照(て)らし、207矢(や)を射(い)る如(ごと)く、208此(この)場(ば)に現(あら)はれて大音響(だいおんきやう)と共(とも)に爆発(ばくはつ)した。209火(ひ)の車(くるま)も四(よ)つの鬼(おに)共(ども)もどこへ消(き)え失(う)せたか、210影(かげ)も形(かたち)もなくなつて了(しま)つた。211忽然(こつぜん)として現(あら)はれた眉間(みけん)の白毫(びやくがう)よりダイヤモンドの如(ごと)き光輝(くわうき)を発(はつ)する神人(しんじん)一人(ひとり)、212二人(ふたり)の脇立(わきだち)を連(つ)れ、213二人(ふたり)が前(まへ)に近寄(ちかよ)り、214頭(あたま)を撫(な)で、215背(せ)を撫(な)で、216水(みづ)を与(あた)へ、
217神人(国依別)『ヤアお前(まへ)は秋山別(あきやまわけ)か、218お前(まへ)はモリスか、219まだここへ来(く)るのは早(はや)い。220現界(げんかい)に於(おい)て働(はたら)かねばならぬ寿命(じゆめう)が残(のこ)つてゐるぞ。221しつかり致(いた)せ』
222と拳(こぶし)を固(かた)めて、223背中(せなか)を二(ふた)つ三(みつ)つウンと云(い)ふ程(ほど)打据(うちす)ゑられ、224二人(ふたり)はハツと驚(おどろ)き、225正気(しやうき)に復(ふく)し、226そこらキヨロキヨロ見(み)まはせば、227豈計(あにはか)らむや、228シーズン河(がは)の河辺(かはべ)りに、229三(さん)人(にん)の男(をとこ)に救(すく)ひ上(あ)げられ介抱(かいほう)されてゐた。230此(この)三(さん)人(にん)は国依別(くによりわけの)命(みこと)、231安彦(やすひこ)、232宗彦(むねひこ)の一行(いつかう)である。
233 秋山別(あきやまわけ)は驚(おどろ)いて、
234秋山別『ヤアこれはこれは国依別(くによりわけ)の宣伝使(せんでんし)様(さま)、235私(わたくし)のような悪人(あくにん)を能(よ)くマアお見捨(みすて)もなく御(お)救(すく)ひ下(くだ)さいました。236実(じつ)に有難(ありがた)う御座(ござ)います。237モウ少(すこ)しの事(こと)で焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)へ落(おと)される所(ところ)で御座(ござ)いました』
238モリス『誠(まこと)に以(もつ)て御(ご)無礼(ぶれい)計(ばか)り致(いた)しました。239モリスの様(やう)な悪人(あくにん)を能(よ)くマア助(たす)けて下(くだ)さいました』
240国依別『決(けつ)して御(お)礼(れい)を仰有(おつしや)るには及(およ)びませぬ。241大神(おほかみ)様(さま)が私(わたくし)に此(この)御用(ごよう)を仰(あふ)せつけられたので御座(ござ)います。242どうぞ大神(おほかみ)様(さま)へ厚(あつ)く御(お)礼(れい)を申上(まをしあ)げて下(くだ)さいませ』
243 二人(ふたり)は『ハイ有難(ありがた)う』と河原(かはら)に行儀(げうぎ)よく端坐(たんざ)し、244拍手(はくしゆ)を打(う)ち、245天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、246神恩(しんおん)を感謝(かんしや)する。
247 是(これ)より秋山別(あきやまわけ)、248モリスの二人(ふたり)は心(こころ)の底(そこ)より悔(く)ゐ改(あらた)め、249且(か)つ国依別(くによりわけ)を神(かみ)の如(ごと)くに敬(うやま)ひ、250更(あらた)めて弟子(でし)となり、251ハルの国(くに)の大原野(だいげんや)を渉(わた)り或(あるひ)は高山(かうざん)を踏(ふ)み越(こ)え、252アマゾン河(がは)の両岸(りやうがん)にある大森林(だいしんりん)の魔神(まがみ)を征服(せいふく)すべく、253宣伝歌(せんでんか)を唄(うた)ひ乍(なが)ら、254意気(いき)揚々(やうやう)として進(すす)み行(ゆ)く。255あゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
256(大正一一・八・二〇 旧六・二八 松村真澄録)
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