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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第31巻(午の巻)
序歌
総説
第1篇 千状万態
第1章 主一無適
第2章 大地震
第3章 救世神
第4章 不知恋
第5章 秋鹿の叫
第6章 女弟子
第2篇 紅裙隊
第7章 妻の選挙
第8章 人獣
第9章 誤神託
第10章 噂の影
第11章 売言買辞
第12章 冷い親切
第13章 姉妹教
第3篇 千里万行
第14章 樹下の宿
第15章 丸木橋
第16章 天狂坊
第17章 新しき女
第18章 シーズンの流
第19章 怪原野
第20章 脱皮婆
第21章 白毫の光
第4篇 言霊将軍
第22章 神の試
第23章 化老爺
第24章 魔違
第25章 会合
余白歌
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霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
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第31巻(午の巻)
> 第3篇 千里万行 > 第19章 怪原野
<<< シーズンの流
(B)
(N)
脱皮婆 >>>
第一九章
怪原野
(
くわいげんや
)
〔八八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第31巻 海洋万里 午の巻
篇:
第3篇 千里万行
よみ(新仮名遣い):
せんりばんこう
章:
第19章 怪原野
よみ(新仮名遣い):
かいげんや
通し章番号:
885
口述日:
1922(大正11)年08月20日(旧06月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
秋山別とモリスは、いつの間にか死に装束で猛獣の鳴き声が響くさびしい原野をとぼとぼと歩いていた。
二人の行く道は、鏡の岩で阻まれた。鏡の岩はたちまち猛火となって燃え上がり、二人は火に追われて逃げ出し、とある川辺にたどり着いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-04-13 17:04:36
OBC :
rm3119
愛善世界社版:
224頁
八幡書店版:
第6輯 125頁
修補版:
校定版:
230頁
普及版:
106頁
初版:
ページ備考:
001
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
らぬ
枯草
(
かれくさ
)
や
002
芒
(
すすき
)
の
尾花
(
をばな
)
のちらちらと
003
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて
差
(
さ
)
し
招
(
まね
)
く
004
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
只
(
ただ
)
二人
(
ふたり
)
005
行方
(
ゆくへ
)
定
(
さだ
)
めぬ
旅
(
たび
)
の
空
(
そら
)
006
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
の
007
さも
厭
(
いや
)
らしき
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
は
008
身
(
み
)
を
裂
(
さ
)
く
計
(
ばか
)
りに
思
(
おも
)
はれて
009
心
(
こころ
)
も
空
(
そら
)
にビクビクと
010
物
(
もの
)
をも
言
(
い
)
はず
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
011
道
(
みち
)
に
当
(
あた
)
りし
岩石
(
がんせき
)
は
012
あたりを
照
(
て
)
らす
鏡岩
(
かがみいは
)
013
見
(
み
)
れば
二人
(
ふたり
)
の
肉体
(
にくたい
)
は
014
三角
(
さんかく
)
霊帽
(
れいぼう
)
を
被
(
かぶ
)
りつつ
015
色
(
いろ
)
青
(
あを
)
ざめて
映
(
うつ
)
り
居
(
ゐ
)
る
016
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
して
017
(モリス)
『
秋山別
(
あきやまわけ
)
よこらどうぢや
018
川
(
かは
)
に
陥
(
おちい
)
り
水
(
みづ
)
を
呑
(
の
)
み
019
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
へた
事
(
こと
)
迄
(
まで
)
は
020
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
るが
是
(
これ
)
は
又
(
また
)
021
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
に
成
(
な
)
つたものだ
022
此処
(
ここ
)
の
地名
(
ちめい
)
は
何
(
な
)
ンと
云
(
い
)
ふか
023
鏡
(
かがみ
)
の
岩
(
いは
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
024
行手
(
ゆくて
)
にさやり
並
(
なら
)
びゐる
025
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ』と
首
(
くび
)
かたげ
026
吐息
(
といき
)
もらせば
秋山別
(
あきやまわけ
)
は
027
(秋山別)
『こりや
可怪
(
をか
)
しいぞ
可怪
(
をか
)
しいぞ
028
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
か
029
魔神
(
まがみ
)
の
死
(
し
)
の
手
(
て
)
に
捉
(
とら
)
はれて
030
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をトボトボと
031
始
(
はじ
)
めて
居
(
を
)
るのぢやあるまいか
032
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
今日
(
けふ
)
の
空
(
そら
)
033
月日
(
つきひ
)
の
影
(
かげ
)
は
更
(
さら
)
になし
034
一
(
ひと
)
つの
星
(
ほし
)
さへ
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えぬ
035
地底
(
ちそこ
)
の
国
(
くに
)
の
地獄道
(
ぢごくみち
)
036
女
(
をんな
)
に
心
(
こころ
)
曳
(
ひ
)
かされて
037
落
(
お
)
ちて
来
(
き
)
たのか
情
(
なさけ
)
無
(
な
)
や
038
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
039
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
ふ
040
道
(
みち
)
の
司
(
つかさ
)
であり
乍
(
なが
)
ら
041
尊
(
たふと
)
き
掟
(
おきて
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ
042
心猿
(
しんゑん
)
意馬
(
いば
)
の
狂
(
くる
)
ふまに
043
恋
(
こひ
)
の
魔神
(
まがみ
)
に
取
(
とり
)
つかれ
044
亡
(
ほろ
)
びの
淵
(
ふち
)
に
陥落
(
かんらく
)
し
045
ここ
迄
(
まで
)
来
(
きた
)
る
恥
(
はづ
)
かしさ
046
今
(
いま
)
より
心
(
こころ
)
を
取直
(
とりなほ
)
し
047
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
048
魂
(
たま
)
を
清
(
きよ
)
めて
天地
(
あめつち
)
の
049
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
返
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
050
申
(
まを
)
さにやならない
吾々
(
われわれ
)
が
051
深
(
ふか
)
き
罪
(
つみ
)
をば
惟神
(
かむながら
)
052
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
053
聞直
(
ききなほ
)
しませ
黄泉津
(
よもつ
)
神
(
かみ
)
054
モリス
秋山別
(
あきやまわけ
)
二人
(
ふたり
)
055
慎
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
056
旭日
(
あさひ
)
はてる
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
057
月
(
つき
)
はみつ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くるとも
058
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
059
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
060
モウ
是
(
こ
)
れからは
是
(
こ
)
れからは
061
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
があらうとも
062
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
してはなりませぬ
063
是
(
これ
)
から
心得
(
こころえ
)
ます
故
(
ゆゑ
)
に
064
ま
一度
(
いちど
)
元
(
もと
)
の
現界
(
げんかい
)
へ
065
どうぞ
帰
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
されよ
066
それも
叶
(
かな
)
はぬ
事
(
こと
)
ならば
067
マ
一度
(
いちど
)
慕
(
した
)
うたあの
女
(
をんな
)
068
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
やエリナ
姫
(
ひめ
)
069
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
はして
下
(
くだ
)
さませ
070
会
(
あ
)
うてサツパリ
今迄
(
いままで
)
の
071
無礼
(
ぶれい
)
の
罪
(
つみ
)
を
詫
(
わび
)
あげて
072
許
(
ゆる
)
し
受
(
う
)
けねば
如何
(
どう
)
しても
073
心
(
こころ
)
が
咎
(
とが
)
めて
仕様
(
しやう
)
がない
074
ここは
地獄
(
ぢごく
)
の
八丁目
(
はつちやうめ
)
075
善悪
(
ぜんあく
)
邪正
(
じやせい
)
を
立分
(
たてわ
)
ける
076
真澄
(
ますみ
)
の
鏡
(
かがみ
)
に
照
(
て
)
らされて
077
私
(
わたし
)
の
汚
(
きたな
)
い
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
078
愛想
(
あいさう
)
がつきて
参
(
まゐ
)
りました
079
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
080
ヒルの
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
にして
081
情
(
なさけ
)
容赦
(
ようしや
)
もアラシカの
082
峠
(
たうげ
)
を
渡
(
わた
)
りはるばると
083
国依別
(
くによりわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
084
恋
(
こひ
)
の
仇敵
(
かたき
)
と
狙
(
ねら
)
ひつつ
085
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りし
愚
(
おろか
)
さよ
086
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
087
谷
(
たに
)
に
架
(
か
)
けたる
丸木橋
(
まるきばし
)
088
そつと
柱
(
はしら
)
を
取
(
と
)
りはづし
089
藤
(
ふぢ
)
の
蔓
(
つる
)
をば
結
(
むす
)
び
付
(
つ
)
け
090
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
茂
(
しげ
)
みに
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し
091
恋
(
こひ
)
の
仇敵
(
かたき
)
が
此
(
この
)
橋
(
はし
)
を
092
渡
(
わた
)
ると
見
(
み
)
たら
両人
(
りやうにん
)
が
093
息
(
いき
)
を
合
(
あは
)
して
引落
(
ひきおと
)
し
094
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をさしてやろと
095
企
(
たく
)
むだ
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
096
思
(
おも
)
うた
女
(
をんな
)
をやすやすと
097
向方
(
むかふ
)
に
渡
(
わた
)
らせ
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
098
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
追
(
お
)
ひかくる
099
どうしたものか
両人
(
りやうにん
)
の
100
恋
(
こひ
)
しき
女
(
をんな
)
の
影
(
かげ
)
見
(
み
)
えず
101
四方
(
よも
)
に
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
りつつ
102
眼
(
まなこ
)
光
(
ひか
)
らせ
山桃
(
やまもも
)
の
103
大木
(
おほき
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
立寄
(
たちよ
)
れば
104
忽
(
たちま
)
ち
空
(
そら
)
に
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
105
ブラジル
山
(
やま
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
106
天狂坊
(
てんきやうばう
)
が
現
(
あら
)
はれて
107
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
相手
(
あひて
)
にし
108
からかひ
始
(
はじ
)
めた
厭
(
いや
)
らしさ
109
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだつ
折柄
(
をりから
)
に
110
夢寐
(
むび
)
にも
忘
(
わす
)
れぬ
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
の
111
やさしき
女
(
をんな
)
やエリナの
姿
(
すがた
)
112
いよいよ
茲
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれて
113
心
(
こころ
)
の
丈
(
たけ
)
を
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ひ
114
野暮
(
やぼ
)
な
天狗
(
てんぐ
)
と
罵
(
ののし
)
りつ
115
草野
(
くさの
)
を
分
(
わ
)
けてシーズンの
116
河
(
かは
)
の
畔
(
ほとり
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
117
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
は
一転
(
いつてん
)
し
118
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
嘲弄
(
てうろう
)
し
119
愛想
(
あいさう
)
づかしの
数々
(
かずかず
)
も
120
余
(
あま
)
り
憎
(
にく
)
しと
思
(
おも
)
はずに
121
女
(
をんな
)
の
心
(
こころ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めつ
122
此
(
この
)
猛烈
(
まうれつ
)
な
恋路
(
こひぢ
)
をば
123
とげねばおかぬと
焦
(
あせ
)
る
中
(
うち
)
124
紅井姫
(
くれなゐひめ
)
は
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て
125
シーズン
河
(
がは
)
の
激流
(
げきりう
)
に
126
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
飛込
(
とびこ
)
めば
127
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えて
白浪
(
しらなみ
)
の
128
会
(
あ
)
はぬ
昔
(
むかし
)
となりにけり
129
モリスはエリナの
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
130
茲
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
131
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
は
執拗
(
しつえう
)
に
132
エリナに
向
(
むか
)
つていろいろと
133
口説
(
くど
)
きたつれど
忽
(
たちま
)
ちに
134
はぢき
返
(
かへ
)
した
肱鉄砲
(
ひぢでつぱう
)
135
もろくも
打
(
う
)
たれてシーズンの
136
河
(
かは
)
にザンブと
投
(
な
)
げられて
137
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
え
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
138
命
(
いのち
)
消
(
き
)
えしと
思
(
おも
)
ひきや
139
吾身
(
わがみ
)
はここに
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
140
霊衣
(
れいい
)
に
包
(
つつ
)
まれ
来
(
きた
)
り
居
(
を
)
る
141
げにも
不思議
(
ふしぎ
)
な
次第
(
しだい
)
なり
142
仮令
(
たとへ
)
地獄
(
ぢごく
)
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
143
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
の
人影
(
ひとかげ
)
は
144
どつかに
有
(
あ
)
りそなものである
145
実
(
じつ
)
に
淋
(
さび
)
しい
此
(
この
)
旅路
(
たびぢ
)
146
夢
(
ゆめ
)
なら
夢
(
ゆめ
)
ではや
醒
(
さ
)
めよ
147
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
148
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませ』と
149
歌
(
うた
)
ひてここを
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
く
150
鏡
(
かがみ
)
の
岩
(
いは
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
151
猛火
(
まうくわ
)
となりて
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
り
152
二人
(
ふたり
)
の
間近
(
まぢか
)
にごうごうと
153
烈
(
はげ
)
しき
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
て
乍
(
なが
)
ら
154
紅蓮
(
ぐれん
)
の
舌
(
した
)
を
振
(
ふり
)
まはし
155
焼尽
(
やきつく
)
さむと
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
る
156
怖
(
こわ
)
さに
二人
(
ふたり
)
は
全身
(
ぜんしん
)
の
157
足
(
あし
)
に
力
(
ちから
)
をこめ
乍
(
なが
)
ら
158
後
(
あと
)
をも
見
(
み
)
ずにスタスタと
159
当途
(
あてど
)
もなしに
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
160
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
ぞ
寂
(
さび
)
しけれ。
161
秋山別
(
あきやまわけ
)
、
162
モリスの
両人
(
りやうにん
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかあたりの
光景
(
くわうけい
)
、
163
現界
(
げんかい
)
に
比
(
くら
)
べて
最
(
もつと
)
も
変
(
かは
)
りたる
寂寥
(
せきれう
)
の
原野
(
げんや
)
を、
164
猛火
(
まうくわ
)
の
舌
(
した
)
に
追
(
お
)
はれ
乍
(
なが
)
ら、
165
力限
(
ちからかぎ
)
りに
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し、
166
とある
川辺
(
かはべ
)
に
着
(
つ
)
きにける。
167
(
大正一一・八・二〇
旧六・二八
松村真澄
録)
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