かたく氷りし 深山の雪も
そよと吹き来る 春風に
誘はれながら 溶け初めぬ
とけて流れて 谷川の
同じ水とぞ なりにけり
流れ流れて 末遠く
野初の草葉を ひたし行く
草は根本を 露はされ
風にさそわれ 延び始む
風と水とは 草むらを
繁らす種と なりにけむ
耳根にすだく あの虫も
ここを宿とや ひそむらむ
溶ける氷と 春風は
草と虫との 始めなり
結びし霜と 秋風は
草と虫との 終はりなり
廻りめぐりて 幾千代も
同じことをば 繰り返す〈序歌〉
我身をばキリストなりと崇めつつ生命捨てむと言ふ人ぞ憂し〈第3章〉
教主を崇むるために皇神の光忘るる転きまめ人よ〈第4章〉
吾が作と思へど可笑さ堪へがてに吹き出だしたり校正しながら〈第9章〉
まめ人の神を忘れて只吾をあがむることの如何に苦しき〈第10章〉
求むべきものを求めず只吾に権威を強ゆる人恐ろしも〈第11章〉
熱烈な信仰はげむ人の中に吾を誤る曲ぞ沢なる〈第13章〉
厳御魂より尊しと狂ひたる人の言葉を聞くはうれたき〈第13章〉
現し世の身の救ひのみに憧憬れて御霊の幸を知らぬ人あり〈第14章〉
精霊の世界を救ふ神の使をこの世の神と見るはうたてき〈第14章〉
古のエスキリストも嘗めましきその苦しみを吾に見るかな〈第15章〉
熱信な御弟子のために苦しみし神の独り子吾に似たるも〈第15章〉
吾が持てる心の誠を知らずしてあらぬこといふ人のうたてさ〈第15章(三版)〉
神のため大君のため国のため尽くすわが身に二心あるべき〈第18章〉
神の御名を世界に広く現はして永久に生きなむ律に死すとも〈第19章〉
心せまき教を御子に囲まれて身動きならぬ吾が身なるかな〈第19章〉
古の神代の奇しき物語に朝夕吾は御魂を砕きつ〈第20章〉
心血も涸れなむとす骨も肉も砕けなむとす物語して〈第20章〉
朝夕に吾を敬ひ愛しつつ吾をそこなふ人の多かり〈第21章〉
より以上吾が力量を過信して吾が霊体まで破る人あり〈第21章〉
今は早身も霊魂も疲れ果てぬ教の御子の脱線おもひて〈第22章〉
父上とすがる吾が子の言の葉に振り返りては又も笑ひぬ〈第22章〉
神国の元の姿に還さむと思ふ夕べに啼きわたる雁〈第22章(三版)〉
幼児の舌もまはらぬ言の葉に愛はますます高まりけるかも〈第23章〉
抱きたる幼き児ろを眠らせて寝させて頬に吸ひつきて見し〈第23章〉
静かなる夜なりと外をながむれば尾の上の雪に月はさしをり〈第24章〉
君見むと今宵も宿を出で行けば寒月ふるひ吾を見守る〈第24章〉
暖かき母が慈愛に涙しつ今朝も急ぎぬ神の御前に〈第25章〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]