霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第60巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天仁和楽
第1章 清浄車
第2章 神森
第3章 瑞祥
第4章 木遣
第5章 鎮祭
第6章 満悦
第2篇 東山霊地
第7章 方便
第8章 土蜘蛛
第9章 夜光玉
第10章 玉国
第11章 法螺貝
第3篇 神の栄光
第12章 三美歌(その一)
第13章 三美歌(その二)
第4篇 善言美詞
第14章 神言
第15章 祝詞
第16章 祈言
第17章 崇詞
第18章 復祭
第19章 復活
第5篇 金言玉辞
第20章 三五神諭(その一)
第21章 三五神諭(その二)
第22章 三五神諭(その三)
第23章 三五神諭(その四)
第24章 三五神諭(その五)
第25章 三五神諭(その六)
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第60巻(亥の巻)
> 第1篇 天仁和楽 > 第1章 清浄車
<<< 総説
(B)
(N)
神森 >>>
第一章
清浄車
(
しやうじやうぐるま
)
〔一五二六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻
篇:
第1篇 天仁和楽
よみ(新仮名遣い):
てんじんわらく
章:
第1章 清浄車
よみ(新仮名遣い):
しょうじょうぐるま
通し章番号:
1526
口述日:
1923(大正12)年04月05日(旧02月20日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年8月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
スマの浜辺には山のごとく老若男女が集まって、伊太彦が率いる猩々舟の船団を歓呼で迎えていた。風は芳香を送り無声の音楽聞こえて天地は清く、また静かに賑わしく、理想の原語句を現出したごとき真善美愛の極致にたっした。
人々の心には一点の塵もとどめず互いに和気あいあいとして一切の障壁を忘れ、その睦まじきこと鴛鴦の番のごとくであった。
それにもかかわらず、猜疑心にからまれた心の暗鬼は、畏怖驚愕のあまり、バラモン教のヤッコス、サボールを駆って無残にも湖中に身を投じさせたのである。
玉国別の命で小舟を浮かばせ待っていた真純彦、三千彦は、二人が落ちた渦巻の上に舟を寄せ、二人を救い出すことができた。衆人は歓喜し、真純彦、三千彦の仁侠を手を打って感賞した。
チルテルは猩々の乗る車を造り、先頭に立って磯畑に待っている。伊太彦はまっさきに玉国別に前に進みより、歓喜の涙をたたえながら手を握りニ三回ゆすった。玉国別は感涙にむせびながら伊太彦の労をねぎらった。
宣伝使たちは里人が用意した山車に乗り、猩々たちは十数台の車に乗って、歌を歌いながらバーチルの館に帰り行く。
チルテルは猩々車の先頭に立って述懐と祝いの音頭をとった。バーチルの屋敷に着くと、一同は庭園に筵を敷いて祝いの酒に舌鼓をうち歓喜を尽くした。
バーチルとサーベル姫は一同に恭しく礼を述べた。玉国別、チルテルの一行を導いて奥の広い客間に案内した。猩々たちも続いて奥の間に進んだ。一同はそれぞれ述懐の歌を歌った。
玉国別はアヅモス山の谷あいを跋渉し、木を数多の杣人に伐採せしめ、神殿の普請に着手することとなった。里人たち、チルテルの部下たち、猩々たちは勇んで宮普請に奉仕した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2016-09-04 11:29:55
OBC :
rm6001
愛善世界社版:
9頁
八幡書店版:
第10輯 601頁
修補版:
校定版:
9頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
東西
(
とうざい
)
百
(
ひやく
)
里
(
り
)
南北
(
なんぼく
)
二百
(
にひやく
)
里
(
り
)
、
002
広袤
(
くわうぼう
)
二万
(
にまん
)
方里
(
はうり
)
のキヨメの
湖
(
うみ
)
は、
003
大小
(
だいせう
)
十二
(
じふに
)
の
島
(
しま
)
を
泛
(
うか
)
べて
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
く
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
いてゐる。
004
北方
(
ほくぱう
)
の
雲間
(
うんかん
)
にボカされたやうなテルモン
山
(
ざん
)
が
水鏡
(
みづかがみ
)
を
覗
(
のぞ
)
いてゐる。
005
饅頭笠
(
まんぢうがさ
)
の
様
(
やう
)
な
大太陽
(
だいたいやう
)
が
東
(
ひがし
)
の
波間
(
なみま
)
より
生
(
うま
)
れ
始
(
はじ
)
め、
006
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
の
階段
(
かいだん
)
をチクチクと
登
(
のぼ
)
るにつけて
其
(
その
)
形
(
かたち
)
を
小
(
ちひ
)
さくして
行
(
ゆ
)
く。
007
颯々
(
さつさつ
)
たる
夏
(
なつ
)
の
晨
(
あした
)
の
風
(
かぜ
)
は
涼
(
すず
)
しく
人
(
ひと
)
の
面
(
おもて
)
を
撫
(
な
)
で、
008
帆
(
ほ
)
をペタペタと
前後
(
ぜんご
)
に
揺
(
ゆす
)
つてゐる
長閑
(
のどか
)
さ。
009
数万
(
すうまん
)
の
鳥族
(
てうぞく
)
は
湖上
(
こじやう
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
翺翔
(
かうしやう
)
し、
010
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
を
喜
(
よろこ
)
び
祝
(
いは
)
ふ
声
(
こゑ
)
は
九天
(
きうてん
)
に
達
(
たつ
)
するかと
疑
(
うたが
)
はるる
許
(
ばか
)
りであつた。
011
白砂
(
はくしや
)
青松
(
せいしよう
)
のスマの
浜辺
(
はまべ
)
には
012
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
く
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
羅漢姿
(
らかんすがた
)
が
蝟集
(
ゐしふ
)
並列
(
へいれつ
)
して
013
其
(
その
)
影
(
かげ
)
を
湖中
(
こちう
)
に
逆
(
さか
)
しまに
映
(
うつ
)
してゐる。
014
伊太彦
(
いたひこ
)
が
率
(
ひき
)
ゆる
二十艘
(
にじつそう
)
の
猩々舟
(
しやうじやうぶね
)
は
015
万歳
(
ばんざい
)
歓呼
(
くわんこ
)
の
中
(
うち
)
にチクリチクリと
磯辺
(
いそべ
)
に
向
(
むか
)
つて
近附
(
ちかづ
)
き
来
(
きた
)
る。
016
磯辺
(
いそべ
)
に
立
(
た
)
つた
群集
(
ぐんしふ
)
は
鬱金
(
うこん
)
の
鉢巻
(
はちまき
)
赤襷
(
あかだすき
)
、
017
太鼓
(
たいこ
)
や、
018
摺鉦
(
すりがね
)
や、
019
笛
(
ふえ
)
、
020
笙
(
しやう
)
、
021
篳篥
(
ひちりき
)
、
022
羯鼓
(
かつこ
)
、
023
月琴
(
げつきん
)
等
(
など
)
を
手
(
て
)
にし
024
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひの
妙技
(
めうぎ
)
を
発揮
(
はつき
)
して、
025
伊太彦
(
いたひこ
)
一行
(
いつかう
)
の
無事
(
ぶじ
)
帰港
(
きこう
)
を
祝
(
しゆく
)
してゐる。
026
淡水
(
たんすい
)
の
湖原
(
うなばら
)
は
気分
(
きぶん
)
の
悪
(
わる
)
い
潮
(
しほ
)
の
香
(
か
)
もなく、
027
風
(
かぜ
)
は
芳香
(
はうかう
)
を
送
(
おく
)
り、
028
無声
(
むせい
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
えて
人
(
ひと
)
の
耳
(
みみ
)
を
浄
(
きよ
)
め、
029
天
(
てん
)
清
(
きよ
)
く
海
(
うみ
)
青
(
あを
)
く、
030
地
(
つち
)
亦
(
また
)
清
(
きよ
)
く、
031
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
はいと
静
(
しづ
)
かにいと
賑
(
にぎは
)
しく、
032
実
(
じつ
)
に
理想
(
りさう
)
の
天国
(
てんごく
)
を
現出
(
げんしゆつ
)
せし
如
(
ごと
)
く、
033
真善
(
しんぜん
)
美愛
(
びあい
)
の
極致
(
きよくち
)
に
達
(
たつ
)
した。
034
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
にも
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
にも
一点
(
いつてん
)
の
塵
(
ちり
)
も
止
(
とど
)
めず、
035
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として、
036
親子
(
おやこ
)
の
如
(
ごと
)
く、
037
兄弟
(
きやうだい
)
の
如
(
ごと
)
く、
038
夫婦
(
ふうふ
)
の
如
(
ごと
)
く、
039
敵
(
てき
)
も
味方
(
みかた
)
も
一切
(
いつさい
)
の
障壁
(
しやうへき
)
を
忘
(
わす
)
れ、
0391
其
(
その
)
睦
(
むつ
)
まじき
事
(
こと
)
、
040
鴛鴦
(
をし
)
の
番
(
つがひ
)
の
如
(
ごと
)
し。
041
斯
(
か
)
かる
平和
(
へいわ
)
の
天地
(
てんち
)
にも
拘
(
かかは
)
らず、
042
猜疑心
(
さいぎしん
)
に
搦
(
から
)
まれたる
心
(
こころ
)
の
暗鬼
(
あんき
)
は
忽
(
たちま
)
ち
畏怖
(
ゐふ
)
驚愕
(
きやうがく
)
の
余
(
あま
)
り、
043
バラモン
教
(
けう
)
のヤッコス、
044
サボールを
駆
(
か
)
つて、
045
無残
(
むざん
)
や
湖中
(
こちう
)
に
身
(
み
)
を
投
(
とう
)
ぜしめた。
046
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
も
陸上
(
りくじやう
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
も、
047
猩々隊
(
しやうじやうたい
)
も
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て、
048
手
(
て
)
に
唾
(
つばき
)
し、
049
如何
(
いか
)
にもして
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
を
救
(
すく
)
はむと
思
(
おも
)
ふ
至情
(
しじやう
)
は
一度
(
いちど
)
に
勃発
(
ぼつぱつ
)
し、
050
同情
(
どうじやう
)
の
念
(
ねん
)
に
胸
(
むね
)
を
焦
(
こが
)
した。
051
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ、
052
予
(
かね
)
て
斯
(
か
)
くあらむと、
053
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
命
(
めい
)
に
依
(
よ
)
り
葦草
(
あしぐさ
)
の
間
(
あひだ
)
に
小舟
(
こぶね
)
を
泛
(
うか
)
ばせ
待
(
ま
)
つてゐた
真純彦
(
ますみひこ
)
、
054
三千彦
(
みちひこ
)
はスハこそ
一大事
(
いちだいじ
)
と、
055
艪櫂
(
ろかい
)
を
操
(
あやつ
)
り、
056
水面
(
すいめん
)
を
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
辷
(
すべ
)
つて、
057
ドブンと
落
(
お
)
ちた
渦巻
(
うづまき
)
の
上
(
うへ
)
に
舟
(
ふね
)
を
送
(
おく
)
り、
058
漸
(
やうや
)
くにして
二人
(
ふたり
)
を
救
(
すく
)
ふ
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
059
万一
(
まんいち
)
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
の
中
(
うち
)
一人
(
ひとり
)
たり
共
(
とも
)
、
060
生命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
ふ
如
(
ごと
)
き
不吉事
(
ふきつじ
)
あらば、
061
至善
(
しぜん
)
至真
(
ししん
)
至美
(
しび
)
の
天地
(
てんち
)
に
瑕瑾
(
かきん
)
を
印
(
いん
)
し
062
光玉
(
くわうぎよく
)
に
曇
(
くも
)
りのかかりし
如
(
ごと
)
くなるべかりしを、
063
事
(
こと
)
なくして
済
(
す
)
みたるは、
064
実
(
じつ
)
に
平和
(
へいわ
)
の
祥徴
(
しやうちよう
)
なりと
衆人
(
しうじん
)
一度
(
いちど
)
に
歓喜
(
くわんき
)
し、
065
且
(
か
)
つ
真純彦
(
ますみひこ
)
、
066
三千彦
(
みちひこ
)
が
仁侠
(
じんけふ
)
を
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
感賞
(
かんしやう
)
した。
067
スマの
関守
(
せきもり
)
チルテルは、
068
十数台
(
じふすうだい
)
の
猩々車
(
しやうじやうぐるま
)
を
造
(
つく
)
り、
069
種々
(
いろいろ
)
の
花
(
はな
)
を
飾
(
かざ
)
りて、
070
数多
(
あまた
)
の
兵士
(
へいし
)
に
引
(
ひ
)
かせ
乍
(
なが
)
ら、
071
猩々隊
(
しやうじやうたい
)
を
迎
(
むか
)
へむ
為
(
ため
)
、
072
チルテルが
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
0721
磯端
(
いそばた
)
に
待
(
ま
)
つてゐる。
073
伊太彦
(
いたひこ
)
は
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
舟
(
ふね
)
を
離
(
はな
)
れて
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
みより、
074
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
を
湛
(
たた
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
075
固
(
かた
)
く
其
(
その
)
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り
二三回
(
にさんくわい
)
揺
(
ゆす
)
つた。
076
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
感涙
(
かんるゐ
)
に
咽
(
むせ
)
び
乍
(
なが
)
ら、
077
稍
(
やや
)
かすんだ
声
(
こゑ
)
にて、
078
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
伊太彦
(
いたひこ
)
殿
(
どの
)
、
079
天晴
(
あつぱ
)
れお
手柄
(
てがら
)
、
080
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつた。
081
予定
(
よてい
)
の
時刻
(
じこく
)
に
先立
(
さきだ
)
つて、
082
無事
(
ぶじ
)
帰
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たのは
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
と、
083
汝
(
なんぢ
)
が
至誠
(
しせい
)
の
賜物
(
たまもの
)
である。
084
サア
是
(
これ
)
からバーチル
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
つて
種々
(
いろいろ
)
の
珍
(
めづ
)
らしい
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はう』
085
伊太彦
(
いたひこ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
086
然
(
しか
)
らばお
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
しませう』
087
バーチル、
088
サーベル
姫
(
ひめ
)
は
美
(
うる
)
はしき
山車
(
だんじり
)
を
飾
(
かざ
)
り
立
(
た
)
て、
089
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
090
真純彦
(
ますみひこ
)
、
091
伊太彦
(
いたひこ
)
、
092
三千彦
(
みちひこ
)
、
093
デビス
姫
(
ひめ
)
を
搭乗
(
たふじやう
)
せしめ、
094
自分
(
じぶん
)
も
山車
(
だんじり
)
の
前方
(
ぜんぱう
)
に
立
(
た
)
ち、
095
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
096
里人
(
さとびと
)
に
太綱
(
ふとづな
)
を
以
(
もつ
)
て
輓
(
ひ
)
かせつつ
帰
(
かへ
)
りゆく。
097
十数台
(
じふすうだい
)
のチルテルが
設備
(
せつび
)
した
車
(
くるま
)
には
三百
(
さんびやく
)
三十三
(
さんじふさん
)
体
(
たい
)
の
眷族
(
けんぞく
)
が
搭乗
(
たふじやう
)
し、
098
キヤツ キヤツと
歓声
(
くわんせい
)
を
挙
(
あ
)
げ
乍
(
なが
)
ら、
099
ヂリリヂリリと
輓
(
ひ
)
かれ
行
(
ゆ
)
く。
100
鐘
(
かね
)
、
101
太鼓
(
たいこ
)
、
102
拍子木
(
ひやうしぎ
)
、
103
縦笛
(
たてぶえ
)
、
104
横笛
(
よこぶえ
)
、
105
羯鼓
(
かつこ
)
、
106
月琴
(
げつきん
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
音楽
(
おんがく
)
に
送
(
おく
)
られ、
107
各
(
おのおの
)
唄
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
つて
賑々
(
にぎにぎ
)
しく
大道
(
だいだう
)
を
練
(
ね
)
り
行
(
ゆ
)
く。
108
チルテルは
猩々車
(
しやうじやうぐるま
)
の
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
109
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
音頭
(
おんどう
)
をとつた。
110
群衆
(
ぐんしう
)
は
一節
(
ひとふし
)
々々
(
ひとふし
)
其
(
その
)
あとをつけ
乍
(
なが
)
ら、
111
手
(
て
)
をふり
腰
(
こし
)
を
振
(
ふ
)
り、
112
狂喜
(
きやうき
)
の
如
(
ごと
)
く
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ふ。
113
チルテル『
酒
(
さけ
)
のイヅミのアヅモス
山
(
さん
)
の
114
ヨーイセ、ソーラセ
115
パインや
樟
(
くす
)
の
繁茂
(
はんも
)
せる
116
梢
(
こずゑ
)
に
鷹
(
たか
)
が
巣
(
す
)
をつくる
117
鳥
(
とり
)
の
司
(
つかさ
)
の
禿鷲
(
はげわし
)
さまが
118
千羽
(
せんば
)
万羽
(
まんば
)
と
子
(
こ
)
を
生
(
う
)
んで
119
スマの
中空
(
ちうくう
)
に
舞
(
ま
)
ひ
遊
(
あそ
)
ぶ
120
ヨーイセ、ソーラセー
121
みみづく、
梟
(
ふくろ
)
や
山鳩
(
やまばと
)
が
122
又
(
また
)
も
梢
(
こずゑ
)
に
巣
(
す
)
をくんで
123
バーチルさまの
万歳
(
ばんざい
)
を
124
祝
(
いは
)
ふも
目出度
(
めでた
)
き
夏
(
なつ
)
の
空
(
そら
)
125
ヨーイセ、ソーラセ
126
千歳
(
ちとせ
)
の
鶴
(
つる
)
は
舞
(
ま
)
ひ
遊
(
あそ
)
び
127
八千代
(
やちよ
)
の
亀
(
かめ
)
は
舞
(
ま
)
ひ
遊
(
あそ
)
ぶ
128
前代
(
ぜんだい
)
未聞
(
みもん
)
の
盛典
(
せいてん
)
に
129
敵
(
てき
)
と
味方
(
みかた
)
の
隔
(
へだ
)
てなく
130
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すい
)
地
(
ち
)
も
結
(
むす
)
び
合
(
あ
)
ひ
131
世界
(
せかい
)
を
一
(
ひと
)
つに
相丸
(
あひまる
)
め
132
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
133
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
慎
(
つつし
)
みて
134
老
(
おい
)
と
若
(
わか
)
きの
隔
(
へだ
)
てなく
135
仰
(
あふ
)
ぎ
敬
(
うやま
)
ふ
今日
(
けふ
)
の
空
(
そら
)
136
ヤートコセー、ヨーイヤナ
137
アレワイセー、コレワイセ
138
ソーリヤ、ヨーイトセー
139
カンカンチキチン カンチキチン
140
チキチン チキチン カンチキチン
141
ドンドコ ドンドコ ドコドコドン
142
ヒユーヒユーヒユーヒユーヒユーヒユーヒユー
143
猩々
(
しやうじやう
)
ケ
島
(
しま
)
に
流
(
なが
)
されし
144
三百
(
さんびやく
)
有余
(
いうよ
)
の
眷族
(
けんぞく
)
は
145
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
開
(
ひら
)
かれて
146
全
(
まつた
)
く
日出
(
ひので
)
の
御代
(
みよ
)
となり
147
五六七
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
の
松
(
まつ
)
の
代
(
よ
)
を
148
目出
(
めで
)
たく
祝
(
いは
)
ふスマの
里
(
さと
)
149
鷹
(
たか
)
の
棲
(
す
)
まひしアヅモスの
150
元
(
もと
)
の
屋敷
(
やしき
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り
151
天王
(
てんわう
)
の
森
(
もり
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
と
152
再
(
ふたた
)
び
仕
(
つか
)
ふる
世
(
よ
)
となりぬ
153
ヨーイセ、ソーラセ
154
かかる
目出
(
めで
)
たき
神代
(
かみよ
)
をば
155
招来
(
せうらい
)
したる
神人
(
しんじん
)
は
156
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
157
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
賜物
(
たまもの
)
ぞ
158
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
能
(
よ
)
く
仕
(
つか
)
へ
159
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
三五
(
あななひ
)
の
160
教司
(
をしへつかさ
)
や
信徒
(
まめひと
)
を
161
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
光
(
ひか
)
らせつ
162
片
(
かた
)
ツぱしから
捕縛
(
ほばく
)
して
163
苦
(
くるし
)
め
悩
(
なや
)
めし
吾々
(
われわれ
)
も
164
転迷
(
てんめい
)
開悟
(
かいご
)
の
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
き
165
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
くバラモンの
166
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
を
辞職
(
じしよく
)
して
167
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
三五
(
あななひ
)
の
168
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
進
(
すす
)
みけり
169
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
170
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
171
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
172
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
173
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
す
174
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
抱
(
いだ
)
かれて
175
今日
(
けふ
)
の
祝
(
いはひ
)
に
列
(
つら
)
なりし
176
其
(
その
)
喜
(
よろこ
)
びは
天地
(
あめつち
)
も
177
一度
(
いちど
)
に
揺
(
ゆ
)
るぐ
許
(
ばか
)
り
也
(
なり
)
178
ヨーイセー、ソーラセ
179
引
(
ひ
)
けよ
引
(
ひ
)
け
引
(
ひ
)
け
猩々車
(
しやうじやうぐるま
)
180
ドツコイシヨウ ドツコイシヨウ
181
砂
(
すな
)
敷
(
しき
)
つめし
此
(
この
)
街道
(
かいだう
)
182
車
(
くるま
)
の
轍
(
わだち
)
のきしる
音
(
おと
)
183
引手
(
ひきて
)
の
一度
(
いちど
)
に
唄
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
184
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
か
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
か
185
例
(
ためし
)
も
知
(
し
)
らぬ
楽
(
たの
)
しさは
186
高天原
(
たかあまはら
)
の
天国
(
てんごく
)
の
187
其
(
その
)
儘
(
まま
)
姿
(
すがた
)
をうつしたる
188
歓喜
(
くわんき
)
の
波
(
なみ
)
は
漂
(
ただよ
)
ひぬ
189
ドツコイセー ドツコイセー
190
ヤートコセーのヨーイヤナ
191
チヤンチヤンチキチン チヤンチキチン
192
チキチン チキチン チヤンチキチン
193
ドンドコ ドンドコ ドコドコドン
194
ヒユーヒユードンドン ヒユードンドン』
195
『
清
(
きよ
)
めの
湖
(
うみ
)
に
三歳
(
みとせ
)
ぶり
196
漂
(
ただよ
)
ひ
暮
(
くら
)
したアンチーは
197
猩々
(
しやうじやう
)
の
島
(
しま
)
のお
客
(
きやく
)
さま
198
漸
(
やうや
)
く
無事
(
ぶじ
)
に
迎
(
むか
)
へ
来
(
き
)
て
199
スマの
磯辺
(
いそべ
)
につくや
否
(
いな
)
200
数多
(
あまた
)
の
男女
(
なんによ
)
に
迎
(
むか
)
へられ
201
抃舞
(
べんぶ
)
雀躍
(
じやくやく
)
魂
(
たましひ
)
の
202
置
(
おき
)
どこさへも
知
(
し
)
らぬ
身
(
み
)
の
203
歓迎車
(
くわんげいぐるま
)
の
梶
(
かぢ
)
を
把
(
と
)
り
204
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
る
嬉
(
うれ
)
しさよ
205
ヨーイセー、ソーラセ
206
皆
(
みな
)
さま
揃
(
そろ
)
うて
曳
(
ひ
)
いてくれ
207
先方
(
むかう
)
に
見
(
み
)
ゆる
森蔭
(
もりかげ
)
は
208
バーチルさまの
御
(
おん
)
館
(
やかた
)
209
静
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つた
邸内
(
ていない
)
も
210
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
足日
(
たるひ
)
から
211
三百
(
さんびやく
)
有余
(
いうよ
)
の
眷族
(
けんぞく
)
が
212
老木
(
らうぼく
)
茂
(
しげ
)
る
森
(
もり
)
の
上
(
へ
)
に
213
梢
(
こずゑ
)
を
伝
(
つた
)
ひ
飛
(
とび
)
まはり
214
キヤツキヤツキヤツと
賑
(
にぎは
)
しく
215
宙空
(
ちうくう
)
に
音楽
(
おんがく
)
相奏
(
あひかな
)
で
216
イヅミの
国
(
くに
)
の
隆昌
(
りうしやう
)
を
217
祝
(
ことほ
)
ぎまつる
事
(
こと
)
だらう
218
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
219
教
(
をしへ
)
の
司
(
つかさ
)
が
村肝
(
むらきも
)
の
220
心
(
こころ
)
を
一
(
ひと
)
つになし
玉
(
たま
)
ひ
221
真善
(
しんぜん
)
美愛
(
びあい
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
222
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
立
(
た
)
て
玉
(
たま
)
ふ
223
聖
(
ひじり
)
の
御世
(
みよ
)
とはなりにけり
224
ヨーイセー、ソーラセ
225
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
226
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
227
テルモン
山
(
ざん
)
は
海
(
うみ
)
となり
228
キヨメの
湖
(
うみ
)
は
山
(
やま
)
となり
229
天変
(
てんぺん
)
地妖
(
ちえう
)
の
災
(
わざはひ
)
が
230
一度
(
いちど
)
に
起
(
おこ
)
る
事
(
こと
)
あるも
231
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
救
(
すく
)
はれし
232
神
(
かみ
)
の
選
(
えら
)
みしスマの
里
(
さと
)
233
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
動
(
うご
)
かまじ
234
勇
(
いさ
)
めよ
勇
(
いさ
)
め
里人
(
さとびと
)
よ
235
風
(
かぜ
)
は
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
236
宙空
(
ちうくう
)
に
奏
(
かな
)
で
百
(
もも
)
の
木
(
き
)
は
237
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
腰
(
こし
)
を
曲
(
ま
)
げ
乍
(
なが
)
ら
238
ダンスを
演
(
えん
)
じて
吾々
(
われわれ
)
が
239
無事
(
ぶじ
)
の
帰郷
(
ききやう
)
を
祝
(
いは
)
ふ
也
(
なり
)
240
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
め
惟神
(
かむながら
)
241
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せて
何事
(
なにごと
)
も
242
日々
(
ひび
)
の
業務
(
げふむ
)
を
勤
(
つと
)
めつつ
243
バーチルさまを
親
(
おや
)
となし
244
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
を
師
(
し
)
となして
245
卑屈
(
ひくつ
)
猜疑
(
さいぎ
)
の
精神
(
せいしん
)
を
246
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
247
速川
(
はやかは
)
の
瀬
(
せ
)
に
流
(
なが
)
しすて
248
清浄
(
しやうじやう
)
無垢
(
むく
)
の
魂
(
たま
)
となり
249
永
(
なが
)
く
天与
(
てんよ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
を
250
仰
(
あふ
)
ぎまつらむ
世
(
よ
)
となりぬ
251
引
(
ひ
)
けよ
引
(
ひ
)
け
引
(
ひ
)
け
御車
(
みくるま
)
の
252
此
(
この
)
太綱
(
ふとづな
)
の
切
(
き
)
れるまで
253
ヨイトコセー ヨイトコセー』
254
新
(
あらた
)
に
開鑿
(
かいさく
)
された
広
(
ひろ
)
い
街道
(
かいだう
)
に
白砂
(
しらすな
)
を
布
(
し
)
きつめた
上
(
うへ
)
を
255
漸
(
やうや
)
くにしてアヅモス
山
(
さん
)
の
南麓
(
なんろく
)
、
256
バーチルが
宏大
(
くわうだい
)
なる
屋敷
(
やしき
)
を
指
(
さ
)
して、
257
歓喜
(
くわんき
)
の
裡
(
うち
)
に
着
(
つ
)
いた。
258
これより
一同
(
いちどう
)
は
邸園
(
ていゑん
)
に
蓆
(
むしろ
)
を
布
(
し
)
き、
259
祝
(
いはひ
)
の
酒
(
さけ
)
に
舌鼓
(
したつづみ
)
を
打
(
う
)
ち、
260
歓喜
(
くわんき
)
を
尽
(
つく
)
す
事
(
こと
)
となつた。
261
バーチル、
262
サーベル
姫
(
ひめ
)
は
一同
(
いちどう
)
に
恭
(
うやうや
)
しく
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べ、
263
玉国別
(
たまくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
及
(
および
)
チルテルの
一行
(
いつかう
)
を
導
(
みちび
)
いて、
264
奥
(
おく
)
の
広
(
ひろ
)
き
客間
(
きやくま
)
に
招待
(
せうたい
)
した。
265
三百
(
さんびやく
)
有余
(
いうよ
)
の
猩々
(
しやうじやう
)
は
何
(
なん
)
の
会釈
(
ゑしやく
)
もなく、
266
車
(
くるま
)
より
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
飛
(
とび
)
下
(
お
)
り、
267
バーチルの
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
268
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
うごなはつて、
269
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
を
塞
(
ふさ
)
いで
了
(
しま
)
つた。
270
玉国別
(
たまくにわけ
)
『バーチルの
君
(
きみ
)
は
嬉
(
うれ
)
しくおぼすらむ
271
数多
(
あまた
)
の
御子
(
みこ
)
を
目
(
ま
)
のあたりみて』
272
バーチル『
三歳
(
みとせ
)
ぶり
吾
(
わ
)
が
子
(
こ
)
の
如
(
ごと
)
く
愛
(
め
)
でゐたる
273
猿
(
ましら
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
274
サーベル
姫
(
ひめ
)
『
生
(
う
)
みの
子
(
こ
)
のいや
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
栄
(
さか
)
えしも
275
皆
(
みな
)
天地
(
あめつち
)
の
恵
(
めぐみ
)
なりけり
276
物
(
もの
)
云
(
い
)
はぬ
吾
(
わ
)
が
子
(
こ
)
なれども
魂
(
たましひ
)
は
277
吾
(
わ
)
れに
通
(
かよ
)
ひぬ
子
(
こ
)
の
事々
(
ことごと
)
は』
278
チルテル『
鳥
(
とり
)
獣
(
けもの
)
虫族
(
むしけら
)
迄
(
まで
)
も
救
(
すく
)
うてふ
279
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
有難
(
ありがた
)
くぞ
思
(
おも
)
ふ』
280
真純彦
(
ますみひこ
)
『
大空
(
おほぞら
)
も
大海原
(
おほうなばら
)
もすみ
渡
(
わた
)
る
281
島
(
しま
)
に
育
(
そだ
)
ちし
身魂
(
みたま
)
ぞきよき』
282
伊太彦
(
いたひこ
)
『かく
許
(
ばか
)
り
楽
(
たの
)
しき
事
(
こと
)
があらむとは
283
吾
(
わ
)
れさへ
夢
(
ゆめ
)
に
悟
(
さと
)
らざりけり』
284
三千彦
(
みちひこ
)
『
天地
(
あめつち
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
四方
(
よも
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
の
285
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
今日
(
けふ
)
の
喜
(
よろこ
)
び』
286
デビス
姫
(
ひめ
)
『
吾
(
わ
)
れも
亦
(
また
)
神
(
かみ
)
の
御業
(
みわざ
)
を
了
(
を
)
へし
上
(
うへ
)
は
287
御子
(
みこ
)
の
数々
(
かずかず
)
生
(
う
)
まむとぞ
思
(
おも
)
ふ』
288
伊太彦
(
いたひこ
)
『
三千
(
さんぜん
)
の
物
(
もの
)
言
(
い
)
はぬ
子
(
こ
)
を
生
(
う
)
み
並
(
なら
)
べ
289
喜
(
よろこ
)
び
胸
(
むね
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
となれ』
290
三千彦
(
みちひこ
)
『
三千
(
さんぜん
)
や
五千
(
ごせん
)
の
御子
(
みこ
)
は
何
(
なん
)
のその
291
百千万
(
ももちよろづ
)
の
教御子
(
をしへみこ
)
生
(
う
)
む』
292
アンチー『アヅモスの
山
(
やま
)
に
棲
(
す
)
まへる
百鳥
(
ももどり
)
も
293
教
(
をしへ
)
の
御子
(
みこ
)
の
数
(
かず
)
に
入
(
い
)
らなむ』
294
アキス『
吾
(
わ
)
れとても
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
御子
(
みこ
)
となりぬ
295
恵
(
めぐみ
)
の
乳
(
ちち
)
を
含
(
ふく
)
みし
身
(
み
)
なれば』
296
カール『さる
昔
(
むかし
)
猿
(
さる
)
が
三匹
(
さんびき
)
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
て
297
アヅモス
山
(
やま
)
の
使
(
つかひ
)
とぞなる』
298
テク『
其
(
その
)
子孫
(
しそん
)
茂
(
しげ
)
り
栄
(
さか
)
えて
三百
(
さんびやく
)
の
299
珍
(
うづ
)
の
猿
(
ましら
)
の
御子
(
みこ
)
となりける』
300
カンナ『
惟神
(
かむながら
)
人
(
ひと
)
の
種
(
たね
)
をば
地
(
ち
)
に
蒔
(
ま
)
いて
301
青人草
(
あをひとぐさ
)
と
育
(
そだ
)
て
玉
(
たま
)
ひぬ。
302
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
花
(
はな
)
咲
(
さき
)
みのる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
303
吾
(
われ
)
のみ
一人
(
ひとり
)
花
(
はな
)
なかるらむ』
304
ヘール『
初花
(
はつはな
)
の
露
(
つゆ
)
の
唇
(
くちびる
)
吸
(
す
)
はむとて
305
驚
(
おどろ
)
かされぬ
珍
(
うづ
)
の
白狐
(
びやくこ
)
に』
306
チルナ
姫
(
ひめ
)
『
咲
(
さ
)
くとても
容易
(
ようい
)
にチルナ
初花
(
はつはな
)
の
307
香
(
かを
)
りを
千代
(
ちよ
)
の
枝
(
えだ
)
にとどめて。
308
チルテルの
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
も
惟神
(
かむながら
)
309
目覚
(
めざ
)
め
玉
(
たま
)
ひし
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ』
310
ワックス『テルモンの
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
を
追
(
おひ
)
出
(
だ
)
され
311
今日
(
けふ
)
は
嬉
(
うれ
)
しき
春
(
はる
)
に
会
(
あ
)
ふ
哉
(
かな
)
』
312
ヘルマン『うたかたの
夢
(
ゆめ
)
と
消
(
き
)
え
行
(
ゆ
)
く
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
は
313
皆
(
みな
)
皇神
(
すめかみ
)
の
光
(
ひかり
)
なりけり』
314
エキス『
五百笞
(
いほむち
)
を
大勢
(
おほぜ
)
の
前
(
まへ
)
で
加
(
くは
)
へられ
315
尻
(
しり
)
おちつきし
今日
(
けふ
)
の
喜
(
よろこ
)
び』
316
エル『ミカエルの
珍
(
うづ
)
の
司
(
つかさ
)
の
現
(
あら
)
はれて
317
百
(
もも
)
の
罪科
(
つみとが
)
払
(
はら
)
ひ
玉
(
たま
)
ひぬ』
318
ハール『
情
(
なさけ
)
ある
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
を
疑
(
うたが
)
ひて
319
海
(
うみ
)
に
堕
(
お
)
ちたる
人
(
ひと
)
もありけり』
320
ヤッコス『
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
の
深
(
ふか
)
きを
思
(
おも
)
ひ
泛
(
うか
)
べては
321
世
(
よ
)
にやすやすと
永
(
なが
)
らへぬべき。
322
さり
乍
(
なが
)
ら
恵
(
めぐみ
)
の
深
(
ふか
)
き
神司
(
かむづかさ
)
323
浮
(
うか
)
ばせ
玉
(
たま
)
ひぬ
命
(
いのち
)
助
(
たす
)
けて』
324
サボール『
情
(
なさけ
)
ある
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
325
今
(
いま
)
は
怖
(
おそ
)
れの
夢
(
ゆめ
)
も
醒
(
さ
)
めけり』
326
サーベル
姫
(
ひめ
)
『
子
(
こ
)
よ
孫
(
まご
)
よ
汝
(
なれ
)
は
之
(
これ
)
より
門
(
かど
)
に
出
(
で
)
て
327
神酒
(
みき
)
に
浸
(
ひた
)
れよ
心
(
こころ
)
ゆく
迄
(
まで
)
』
328
伊太彦
(
いたひこ
)
『
猩々
(
しやうじやう
)
の
御子
(
みこ
)
に
代
(
かは
)
りて
物
(
もの
)
申
(
まう
)
さむ
329
吾
(
わが
)
たらちねの
深
(
ふか
)
き
御恵
(
みめぐ
)
み。
330
今日
(
けふ
)
よりはアヅモス
山
(
さん
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り
331
昔
(
むかし
)
のままに
神仕
(
かみづか
)
へせむ。
332
此
(
この
)
館
(
やかた
)
木々
(
きぎ
)
の
茂
(
しげ
)
みの
深
(
ふか
)
ければ
333
千代
(
ちよ
)
の
棲処
(
すみか
)
になさむとぞ
思
(
おも
)
ふ。
334
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
は
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うへ
)
に
騒
(
さわ
)
げ
共
(
ども
)
335
吾
(
われ
)
は
梢
(
こずゑ
)
によりて
騒
(
さわ
)
がむ。
336
夜着
(
よぎ
)
一
(
ひと
)
つ
箸
(
はし
)
一本
(
いつぽん
)
も
要
(
い
)
りませぬ
337
木々
(
きぎ
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
取
(
と
)
りて
食
(
くら
)
へば。
338
折々
(
をりをり
)
に
酒倉
(
さかぐら
)
開
(
ひら
)
きなみなみと
339
神酒
(
みき
)
を
与
(
あた
)
へよ
百
(
もも
)
の
御子
(
みこ
)
等
(
ら
)
に』
340
バーチル『
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
俄
(
にはか
)
に
御子
(
みこ
)
を
得
(
え
)
たりけり
341
妻
(
つま
)
の
御腹
(
みはら
)
をからざる
御子
(
みこ
)
を』
342
サーベル
姫
(
ひめ
)
『
身体
(
からたま
)
はよし
借
(
か
)
らずとも
汝
(
な
)
が
身魂
(
みたま
)
343
吾
(
われ
)
に
睦
(
むつ
)
びて
生
(
うま
)
せ
玉
(
たま
)
ひぬ』
344
バーチル『バーチルと
猩々彦
(
しやうじやうひこ
)
の
和合
(
わがふ
)
して
345
生
(
う
)
みし
子
(
こ
)
なれば
他人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
でなし』
346
玉国別
(
たまくにわけ
)
『いざさらばこれの
宴会
(
うたげ
)
を
切
(
き
)
りあげて
347
神
(
かみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
進
(
すす
)
み
詣
(
まう
)
でむ』
348
テク『バーチルの
家
(
いへ
)
をば
守
(
まも
)
るテク
司
(
つかさ
)
349
従
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
かむ
君
(
きみ
)
の
背後
(
しりへ
)
に』
350
之
(
これ
)
より
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
一同
(
いちどう
)
と
共
(
とも
)
に、
351
アヅモス
山
(
さん
)
の
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
の
谷間
(
たにあひ
)
を
跋渉
(
ばつせう
)
し、
352
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
木
(
き
)
を
数多
(
あまた
)
の
杣人
(
そまびと
)
に
伐採
(
ばつさい
)
せしめ、
353
手斧
(
てをの
)
の
音
(
おと
)
勇
(
いさ
)
ましく
宮
(
みや
)
の
普請
(
ふしん
)
の
木作
(
きづく
)
りに
着手
(
ちやくしゆ
)
する
事
(
こと
)
となつた。
354
数多
(
あまた
)
の
里人
(
さとびと
)
を
始
(
はじ
)
め、
355
チルテルの
部下
(
ぶか
)
並
(
ならび
)
に
猩々隊
(
しやうじやうたい
)
は
昼夜
(
ちうや
)
の
別
(
べつ
)
なく
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで、
356
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
り、
357
或
(
あるひ
)
は
運
(
はこ
)
び、
358
或
(
あるひ
)
は
削
(
けづ
)
り、
359
身
(
み
)
の
疲
(
つか
)
れも
打
(
うち
)
忘
(
わす
)
れて
宮普請
(
みやぶしん
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
となつた。
360
(
大正一二・四・五
旧二・二〇
於皆生温泉浜屋
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 総説
(B)
(N)
神森 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第60巻(亥の巻)
> 第1篇 天仁和楽 > 第1章 清浄車
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第1章 清浄車|第60巻|真善美愛|霊界物語|/rm6001】
合言葉「みろく」を入力して下さい→