霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 方便(はうべん)〔一五三二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻 篇:第2篇 東山霊地 よみ(新仮名遣い):あづもすれいち
章:第7章 方便 よみ(新仮名遣い):ほうべん 通し章番号:1532
口述日:1923(大正12)年04月07日(旧02月22日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年8月12日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
アヅモス山の社の管理をアキス、カールに命じおき、バーチルは玉国別一行とともにひとまず館に帰ることになった。
スマの里の山野田畑いっさいは、バーチル家に併呑されて里人はいずれも小作人の境遇に甘んじていた。時代が下るにつれてこの状況に不平不満の声があちらこちらから起こりだし、不穏な動きをする者、吝嗇の限りを尽くす者などが出て来た。
しかるにこの度、バーチル家は一切の資産を解放して郷民に分与することになった。郷民たちはいずれも歓喜して、バーチル夫婦を賞揚した。スマの里は憤嫉の声がなくなり、お互いに暖かな表情を顔にたたえるようになった。
玉国別一行はバーチルの居間に請ぜられて神の御教えを互いに語り合い、嬉しくその日を過ごした。チルテルは、玉国別に三五教の宣伝方法の教示を乞うた。
玉国別はチルテルの申し出を喜び、歌をもって、大神様より直授された宣伝方法と教えを伝える心得を細かに伝えた。そこには真善美愛の神の道と善言美詞の言霊の効用が説かれていた。
チルテルは明らかな教えを授けられたことに喜びの歌をもって返した。その他の人々も玉国別の説示に対する述懐をそれぞれ和歌に歌いこんだ。ワックス、エキス、ヘルマン、エルたちテルモン山のバラモン組も、改心の情を現す歌を歌った。
サーベル姫にかかっている猩々姫は、玉国別に天王の宮の石蓋を開けて竜王を救い出すことを懇願した。玉国別は夜が明けるのを待って、一同をしたがえて天王の古宮の床下を調査することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2016-09-04 17:09:47 文字数:3459 OBC :rm6007
愛善世界社版:79頁 八幡書店版:第10輯 623頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:60頁 初版: ページ備考:
001 新(あらた)に建(た)てられたアヅモス山(さん)の社(やしろ)の前(まへ)には、002アキス、003カールにワードの役(やく)を命(めい)じおき、004バーチルは玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)其(その)他(た)と共(とも)に喜(よろこ)び勇(いさ)んで、005一先(ひとま)づ館(やかた)へ帰(かへ)る事(こと)となつた。006スマの里人(さとびと)は老人(らうじん)少女(せうぢよ)を聖地(せいち)に残(のこ)し、007玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)を見送(みおく)つて、008バーチル館(やかた)に従(したが)ひ行(ゆ)く。
009 元来(ぐわんらい)スマの里(さと)は何(いづ)れも山野(さんや)田畠(でんばた)一切(いつさい)、010バーチルの富豪(ふうがう)に併呑(へいどん)され、011里人(さとびと)は何(いづ)れも小作人(こさくにん)の境遇(きやうぐう)に甘(あま)んじてゐた。012併(しか)し乍(なが)ら日(ひ)歩(あゆ)み月(つき)進(すす)み星(ほし)移(うつ)るに従(したが)ひて、013彼方(あちら)此方(こちら)に不平(ふへい)不満(ふまん)の声(こゑ)が起(おこ)り出(だ)し、014ソシァリストやコンミュニスト等(など)が現(あら)はれて来(き)た。015中(なか)には極端(きよくたん)なるマンモニストもあつて、016僅(わづ)かの財産(ざいさん)を地底(ちてい)に埋匿(まいとく)し、017吝嗇(りんしよく)の限(かぎ)りを尽(つく)す小作人(こさくにん)も現(あら)はれてゐた。018然(しか)るに此(この)度(たび)、019アヅモス山(さん)の御(ご)造営(ざうえい)完了(くわんれう)と共(とも)に、020一切(いつさい)の資産(しさん)を開放(かいはう)して郷民(きやうみん)に万遍(まんべん)なく分与(ぶんよ)する事(こと)となり、021郷民(きやうみん)は何(いづ)れも歓喜(くわんき)して、022リパブリックの建設者(けんせつしや)として、023バーチル夫婦(ふうふ)を、024口(くち)を極(きは)めて賞揚(しやうやう)する事(こと)となつた。025俄(にはか)にスマの里(さと)は憤嫉(ふんしつ)の声(こゑ)なく、026各(おのおの)和煦(わく)の色(いろ)を顔面(がんめん)に湛(たた)へて、027オブチーミストの安住所(あんぢうしよ)となつた。
028 サーベル姫(ひめ)は村人(むらびと)の代表者(だいへうしや)を十数(じふすう)人(にん)膝元(ひざもと)に集(あつ)めて、029一切(いつさい)の帳簿(ちやうぼ)を取(とり)出(だ)し、030快(こころよ)く之(これ)を手(て)に渡(わた)し、031自分(じぶん)は夫(をつと)と共(とも)に永遠(ゑいゑん)に、032アヅモス山(さん)の大神(おほかみ)に仕(つか)ふる事(こと)を約(やく)した。033ここに又(また)もや郷民(きやうみん)の祝宴(しゆくえん)は盛大(せいだい)に開(ひら)かれ、034夫婦(ふうふ)の万歳(ばんざい)を祝(しゆく)し合(あ)うた。
035 さて玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)はバーチルの居間(ゐま)に請(しやう)ぜられ、036各(おのおの)歓(くわん)を尽(つく)して、037尊(たふと)き神(かみ)の御教(みをしえ)を互(たがひ)に語(かた)り合(あ)ひつつ、038嬉(うれ)しく其(その)日(ひ)を過(す)ごした。
039チルテル『玉国別(たまくにわけ)様(さま)にお願(ねが)ひが厶(ござ)います。040私(わたし)も此(この)通(とほ)り菩提心(ぼだいしん)を起(おこ)し、041一切(いつさい)の世染(せぜん)[※世塵(せじん)の誤字か?]を捨(す)て、042惟神(かむながら)の大道(おほみち)を遵奉(じゆんぽう)し奉(たてまつ)る嬉(うれ)しき身(み)の上(うへ)となりましたのも、043全(まつた)く貴師(あなた)の御(ご)余光(よくわう)で厶(ござ)います。044就(つい)ては宏遠(こうゑん)微妙(びめう)なる御(ご)教理(けうり)も承(うけたま)はりたく、045且(かつ)又(また)自分(じぶん)の歓(よろこ)びを衆生(しゆじやう)に分(わか)ち、046神業(しんげふ)の一端(いつたん)に奉仕(ほうし)したく存(ぞん)じて居(を)りますから、047三五教(あななひけう)式(しき)の宣伝(せんでん)方法(はうはふ)を御(ご)教示(けうじ)願(ねが)ひたいもので厶(ござ)います』
048玉国別(たまくにわけ)『それは誠(まこと)に結構(けつこう)な思召(おぼしめし)、049玉国別(たまくにわけ)も歓喜(くわんき)の情(じやう)に堪(た)へませぬ。050左様(さやう)ならば吾々(われわれ)の051大神(おほかみ)様(さま)より直授(ちよくじゆ)された宣伝(せんでん)方法(はうはふ)に就(つい)て、052少(すこ)し許(ばか)り御(お)伝(つた)へを致(いた)しませう。
053神(かみ)の恵(めぐみ)を身(み)に禀(う)けて
054世人(よびと)を救(すく)ひ助(たす)けむと
055四方(よも)に教(をしへ)を開(ひら)くなる
056至仁(しじん)至愛(しあい)の神司(かむづかさ)
057たらむとすれば何時(いつ)とても
058心(こころ)を安(やす)く穏(おだや)かに
059歓喜(くわんき)の情(じやう)を湛(たた)へつつ
060蒼生(あをひとぐさ)に打(うち)向(むか)ひ
061幽玄(いうげん)微妙(びめう)の道(みち)を説(と)け
062清浄(しやうじやう)無垢(むく)の霊地(れいち)にて
063座床(ざしやう)を造(つく)り身(み)を浄(きよ)め
064塵(ちり)や芥(あくた)を排除(はいじよ)して
065汚(けが)れに染(そ)まぬ衣(きぬ)をつけ
066心(こころ)も身(み)をも清(きよ)くして
067始(はじ)めて宝座(ほうざ)に着席(ちやくせき)し
068人(ひと)の尋(たづ)ねに従(したが)ひて
069極(きは)めて平易(へいい)に道(みち)を説(と)け
070比丘(びく)や比丘尼(びくに)や信徒(まめひと)や
071王侯(わうこう)貴人(きじん)さまざまの
072前(まへ)をも怖(お)ぢず赤心(まごころ)を
073尽(つく)して微妙(びめう)の意義(いぎ)を説(と)き
074面貌(めんばう)声色(せいしよく)和(やは)らげて
075人(ひと)の身魂(みたま)をよく査(しら)べ
076因縁(いんねん)比喩(たとえ)を敷衍(ふえん)して
077天地(てんち)の道理(だうり)を説(と)きさとせ
078人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
079善言(ぜんげん)美詞(びし)の言霊(ことたま)を
080一人(ひとり)も嫌(きら)ふ者(もの)はない
081もし聴衆(ちやうしう)の其(その)中(うち)に
082汝(なんぢ)が説(せつ)を攻撃(こうげき)し
083或(あるひ)は非難(ひなん)するあれば
084吾(わが)身(み)を深(ふか)く省(かへり)みよ
085神(かみ)にかなはぬ言霊(ことたま)を
086心(こころ)の曲(まが)の汚(けが)れより
087不知(しらず)不識(しらず)に発(はつ)せるを
088必(かなら)ず覚悟(かくご)し得(う)るならむ
089百千万(ひやくせんまん)の敵(てき)とても
090只(ただ)一言(ひとこと)の善言(ぜんげん)に
091感(かん)じて忽(たちま)ち強力(きやうりよく)の
092神(かみ)の味方(みかた)となりぬべし
093仮令(たとへ)数万(すまん)の吾(わが)部下(ぶか)を
094味方(みかた)となして誇(ほこ)るとも
095只(ただ)一言(ひとこと)の悪言(あくげん)に
096感(かん)じて忽(たちま)ち怨敵(をんてき)と
097掌(てのひら)覆(かへ)す如(ごと)くなる
098此(この)真諦(しんたい)を省(かへり)みて
099必(かなら)ず過(あやま)つ事(こと)勿(なか)れ
100只(ただ)何事(なにごと)も世(よ)の中(なか)は
101すべて善事(ぜんじ)に宣(の)り直(なほ)し
102愛(あい)の善(ぜん)をば能(よ)く保(たも)ち
103信(しん)の真(しん)をば能(よ)く悟(さと)り
104而(しか)して後(のち)に世(よ)の人(ひと)に
105真(まこと)の道(みち)を説(と)くならば
106如何(いか)なる外道(げだう)の曲人(まがびと)も
107決(けつ)して反(そむ)くものでない
108誠(まこと)一(ひと)つは世(よ)を救(すく)ふ
109神(かみ)の教(をしえ)は目(ま)のあたり
110現(あら)はれ来(きた)る摩訶(まか)不思議(ふしぎ)
111すべて天地(てんち)は言霊(ことたま)の
112御水火(みいき)に仍(よ)りて創造(さうざう)され
113又(また)言霊(ことたま)の御水火(みいき)にて
114規則(きそく)正(ただ)しく賑(にぎは)しく
115治(をさ)まり栄(さか)ゆるものぞかし
116あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
117真善(しんぜん)美愛(びあい)の神(かみ)の道(みち)
118学(まな)ばせ玉(たま)へバラモンの
119軍(いくさ)に仕(つか)へし諸人(もろびと)よ
120玉国別(たまくにわけ)の神司(かむづかさ)
121心(こころ)の岩戸(いはと)を押(おし)開(ひら)き
122茲(ここ)に一言(ひとこと)宣(の)り申(まを)す
123あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
124神(かみ)の授(さづ)けし言霊(ことたま)の
125厳(いづ)の伊吹(いぶき)ぞ尊(たふと)けれ
126旭(あさひ)は照(て)る共(とも)曇(くも)る共(とも)
127月(つき)は盈(み)つ共(とも)虧(か)くる共(とも)
128大三災(だいさんさい)の来(きた)る共(とも)
129神(かみ)に受(う)けたる言霊(ことたま)を
130清(きよ)く涼(すず)しく宣(の)るならば
131すべての災(わざはひ)忽(たちま)ちに
132雲(くも)を霞(かすみ)と消(き)え失(う)せむ
133守(まも)らせ玉(たま)へ言霊(ことたま)の
134善言(ぜんげん)美詞(びし)の太祝詞(ふとのりと)
135心(こころ)を清(きよ)め身(み)を浄(きよ)め
136其(その)行(おこな)ひを清(きよ)くして
137厳(いづ)の言霊(ことたま)宣(の)るなれば
138雲井(くもゐ)に高(たか)き天界(てんかい)の
139皇(すめ)大神(おほかみ)もエンゼルも
140地上(ちじやう)に現(あ)れます神々(かみがみ)も
141蒼生(あをひとぐさ)も草(くさ)や木(き)も
142其(その)神徳(しんとく)を慕(した)ひつつ
143これの教(をしへ)を守(まも)るべし
144偉大(ゐだい)なる哉(かな)言霊(ことたま)の
145皇(すめ)大神(おほかみ)の御(お)活動(はたらき)
146仰(あふ)ぎ敬(うや)まひ奉(たてまつ)れ
147仰(あふ)ぎ敬(うやま)ひ奉(たてまつ)れ』
148チルテル『バラモン教(けう)の神柱(かむばしら)
149大黒主(おほくろぬし)に従(したが)ひて
150左手(ゆんで)にコーラン捧(ささ)げつつ
151右手(めて)に剣(つるぎ)を握(にぎ)りしめ
152折伏(しやくふく)摂受(せつじゆ)の剣(けん)として
153外道(げだう)の道(みち)を辿(たど)りつつ
154今(いま)迄(まで)暮(くら)し来(きた)りしが
155玉国別(たまくにわけ)の師(し)の君(きみ)に
156誠(まこと)の道(みち)を教(をし)へられ
157布教(ふけう)伝道(でんだう)の方便(はうべん)を
158いと明(あきら)かに授(さづ)けられ
159心(こころ)の暗(やみ)も晴(は)れ渡(わた)り
160旭(あさひ)の豊栄(とよさか)昇(のぼ)る如(ごと)
161身(み)も健(すこや)かになりにけり
162いざ此(この)上(うへ)は真心(まごころ)の
163限(かぎ)りを尽(つく)して愛善(あいぜん)の
164徳(とく)を養(やしな)ひ信真(しんしん)の
165覚(さと)りを開(ひら)き詳細(まつぶさ)に
166一切(いつさい)衆生(しゆじやう)を救済(きうさい)し
167天地(てんち)の御子(みこ)と生(うま)れたる
168其(その)本分(ほんぶん)を尽(つく)すべし
169あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
170三五教(あななひけう)を守(まも)ります
171厳(いづ)の御霊(みたま)や瑞御霊(みづみたま)
172玉照彦(たまてるひこ)や玉照姫(たまてるひめ)の
173雄々(をを)しき聖(きよ)き御柱(みはしら)に
174従(したが)ひ奉(まつ)り八十(やそ)の国(くに)
175八十(やそ)の島々(しまじま)隈(くま)もなく
176神(かみ)の教(をしへ)の司(つかさ)とし
177沐雨(もくう)櫛風(しつぷう)厭(いと)ひなく
178神(かみ)の御(おん)為(ため)世(よ)の為(ため)に
179所在(あらゆる)ベストを尽(つく)すべし
180守(まも)らせ玉(たま)へ惟神(かむながら)
181神(かみ)の御前(みまへ)に赤心(まごころ)を
182捧(ささ)げて祈(いの)り奉(たてまつ)る
183アヅモス山(さん)の宮司(みやづかさ)
184バーチル夫婦(ふうふ)も今(いま)よりは
185聖(きよ)き尊(たふと)き三五(あななひ)の
186教(をしへ)を守(まも)り玉(たま)ひつつ
187東(ひがし)の宮(みや)と西(にし)の宮(みや)
188心(こころ)に隔(へだ)つる事(こと)もなく
189いと忠実(まめやか)に朝夕(あさゆふ)に
190仕(つか)へ玉(たま)はれ惟神(かむながら)
191神(かみ)の光(ひかり)に照(てら)されて
192バラモン軍(ぐん)に仕(つか)へたる
193チルテル司(つかさ)が願(ね)ぎ奉(まつ)る
194あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
195御霊(みたま)幸(さきは)ひましませよ』
196カンナ『キャプテンの司(つかさ)の君(きみ)に従(したが)ひて
197吾(われ)も進(すす)まむ神(かみ)の大道(おほぢ)へ』
198ヘール『久方(ひさかた)の天津(あまつ)御神(みかみ)の音信(おとづれ)を
199今(いま)目(ま)のあたり聞(き)くぞ尊(たふと)き』
200チルナ姫(ひめ)『背(せ)の君(きみ)は全(まつた)く人(ひと)となりましぬ
201心(こころ)に棲(す)める曲(まが)のはなれて』
202チルテル『わが魂(たま)はさまで悪(あ)しくは思(おも)はねど
203寄(よ)りくる曲(まが)を防(ふせ)ぎかねつつ。
204力(ちから)なき吾(わが)魂(たましひ)も今(いま)は早(は)や
205千引(ちびき)の岩(いは)の動(うご)かずなりぬ』
206チルナ姫(ひめ)『背(せ)の君(きみ)の珍(うづ)の言霊(ことたま)聞(き)こしより
207心(こころ)の曲(まが)も消(き)え失(う)せにけり』
208真純彦(ますみひこ)『師(し)の君(きみ)の初(はじ)めて宣(の)らす言霊(ことたま)を
209聞(き)きし吾(われ)こそ嬉(うれ)しかりけり』
210三千彦(みちひこ)『斎苑(いそ)館(やかた)立(たち)出(い)で月日(つきひ)数(かず)重(かさ)ね
211初(はじ)めて聞(き)きし吾師(わがし)の言葉(ことば)』
212伊太彦(いたひこ)『一(いち)と言(い)へば十(じふ)百(ひやく)千(せん)を悟(さと)るてふ
213身魂(みたま)ならでは詮(せん)すべもなし。
214一(いち)聞(き)いて直(ただ)ちに島(しま)に打(うち)渡(わた)り
215功績(いさを)を立(た)てし猩々舟(しやうじやうぶね)哉(かな)』
216三千彦(みちひこ)『すぐに又(また)鼻(はな)をば高(たか)め足許(あしもと)に
217眼(まなこ)失(うしな)ひ躓(つまづ)くなゆめ』
218伊太彦(いたひこ)『皇神(すめかみ)の選(え)りに選(え)りたる吾(わが)魂(たま)は
219いかでか汝(なれ)に比(くら)ぶべきやは』
220真純彦(ますみひこ)『うぬぼれて深谷川(ふかたにがは)に落(お)ち込(こ)むな
221慢心(まんしん)すればすぐに躓(つまづ)く』
222伊太彦(いたひこ)『吾(われ)とても誇(ほこ)る心(こころ)はなけれ共(ども)
223魂(たま)はいそいそ笑(ゑ)み栄(さか)え来(き)て』
224デビス姫(ひめ)『何事(なにごと)も人(ひと)に先立(さきだ)つ伊太彦(いたひこ)の
225神(かみ)の使(つかひ)のいとど畏(かしこ)き』
226チルテル『伊太彦(いたひこ)の得意(とくい)や実(げ)にも思(おも)ふべし
227獣(けもの)の皮(かは)着(き)し人(ひと)を迎(むか)へて』
228カンナ『獣(けもの)とは云(い)へど此(この)世(よ)の人草(ひとぐさ)に
229優(まさ)る霊(みたま)を持(も)てる尊(たふと)さ』
230ヘール『かく迄(まで)も人(ひと)の心(こころ)の曇(くも)りしかと
231思(おも)へばいとど悲(かな)しくなりぬ』
232アンチー『アヅモスの山(やま)に棲(す)まへる鳥翼(とりつばさ)
233人(ひと)にあらねど人(ひと)を見下(みおろ)す。
234人々(ひとびと)の頭(かしら)の上(うへ)を悠々(いういう)と
235舞(ま)ひて遊(あそ)べる鷹(たか)ぞ恨(うら)めし』
236バーチル『何事(なにごと)も天地(てんち)の神(かみ)の御心(みこころ)に
237任(まか)すは人(ひと)の務(つと)めなるらむ』
238サーベル姫(ひめ)『天地(あめつち)の神(かみ)も諾(うべな)ひ玉(たま)ふらむ
239心(こころ)清(きよ)けき此(この)人々(ひとびと)を』
240テク『朝夕(あさゆふ)によからぬ事(こと)のみ漁(あさ)りつつ
241暮(くら)し来(きた)りし吾(われ)ぞうたてき。
242さり乍(なが)ら恵(めぐみ)も深(ふか)き大神(おほかみ)の
243御手(みて)に救(すく)はれ勇(いさ)む今日(けふ)かな』
244ワックス『テルモンの山(やま)を立出(たちい)で今(いま)此処(ここ)に
245仇(あだ)と思(おも)ひし人(ひと)と並(なら)びぬ。
246仇(あだ)とのみ思(おも)ひし事(こと)は夢(ゆめ)となり
247今(いま)は救(すく)ひの神(かみ)と見(み)る哉(かな)』
248エキス『相共(あひとも)に悪(あ)しき事(こと)のみ謀(はか)り合(あ)ひ
249神(かみ)を汚(けが)せし事(こと)の悔(くや)しさ。
250町人(まちびと)の前(まへ)に恥(はぢ)をば曝(さら)されて
251尻(しり)叩(たた)かれし事(こと)ぞ恥(はづ)かし。
252今日(けふ)よりは心(こころ)の駒(こま)を立直(たてなほ)し
253進(すす)みて行(ゆ)かむ神(かみ)の大道(おほぢ)に』
254ヘルマン『吾(われ)も亦(また)善(よ)からぬ友(とも)に誘(いざな)はれ
255ワックスを責(せ)めし事(こと)の愚(おろ)かさ。
256三五(あななひ)の神(かみ)の司(つかさ)を殺(ころ)さむと
257大海原(おほうなばら)に待(ま)ちし愚(おろ)かさ。
258皇神(すめかみ)の厳(いづ)の力(ちから)におぢ恐(おそ)れ
259今(いま)は全(まつた)く猫(ねこ)となりけり』
260エル『神館(かむやかた)小国別(をくにわけ)の身失(みう)せしと
261思(おも)ひて世人(よびと)欺(あざむ)きし吾(われ)。
262くさぐさの罪(つみ)を重(かさ)ねし吾(われ)なれど
263救(すく)ひ玉(たま)ひぬ誠(まこと)の神(かみ)は。
264スメールの御山(みやま)に清(きよ)く現(あ)れませる
265神(かみ)の御稜威(みいづ)を仰(あふ)ぐ尊(たふと)さ。
266いかならむ魔神(まがみ)の襲(おそ)ひ来(きた)るとも
267今日(けふ)の心(こころ)は千代(ちよ)に変(か)へなむ』
268サーベル姫(ひめ)『吾(われ)こそは猩々姫(しやうじやうひめ)の霊(みたま)なり
269玉国別(たまくにわけ)に願言(ねぎごと)やせむ。
270天王(てんわう)の宮(みや)の御跡(みあと)の石蓋(いしぶた)を
271開(あ)けて竜王(りうわう)救(すく)ひ玉(たま)はれ』
272玉国別(たまくにわけ)『汝(な)が願(ねがひ)諾(うべな)ひまつり之(これ)よりは
273アヅモス山(さん)の神(かみ)を救(すく)はむ』
274 かく互(たがひ)に歌(うた)を取(とり)かはし、275十二分(じふにぶん)の歓喜(くわんき)を尽(つく)し、276玉国別(たまくにわけ)は一同(いちどう)を従(したが)へ再(ふたた)び天王(てんわう)の古宮(ふるみや)の床下(ゆかした)を調査(てうさ)すべく、277夜(よ)の明(あ)くるを待(ま)つて進(すす)み行(ゆ)く事(こと)となつた。
278(大正一二・四・七 旧二・二二 於皆生温泉浜屋 松村真澄録)
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