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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第60巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天仁和楽
第1章 清浄車
第2章 神森
第3章 瑞祥
第4章 木遣
第5章 鎮祭
第6章 満悦
第2篇 東山霊地
第7章 方便
第8章 土蜘蛛
第9章 夜光玉
第10章 玉国
第11章 法螺貝
第3篇 神の栄光
第12章 三美歌(その一)
第13章 三美歌(その二)
第4篇 善言美詞
第14章 神言
第15章 祝詞
第16章 祈言
第17章 崇詞
第18章 復祭
第19章 復活
第5篇 金言玉辞
第20章 三五神諭(その一)
第21章 三五神諭(その二)
第22章 三五神諭(その三)
第23章 三五神諭(その四)
第24章 三五神諭(その五)
第25章 三五神諭(その六)
余白歌
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<<< 玉国
(B)
(N)
三美歌(その一) >>>
第一一章
法螺貝
(
ほらがひ
)
〔一五三六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻
篇:
第2篇 東山霊地
よみ(新仮名遣い):
あづもすれいち
章:
第11章 法螺貝
よみ(新仮名遣い):
ほらがい
通し章番号:
1536
口述日:
1923(大正12)年04月07日(旧02月22日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年8月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
玉国別一行はバーチル、チルテルそのほか一同に別れを告げて、ハルナの都を指して進むことになった。別れを惜しんでバーチル以下一同は袖にすがりつき、涙をたたえて別離の歌を歌う。
バーチルが述懐を込めた歌を歌い、玉国別一行が和歌で返し、またスマの里人たちが和歌で述懐と別離を歌った。
玉国別一行はスマの里を後にし、晩夏の風を浴びながら進んで行く。日がたそがれ、大原野に人通りも少なく、わずかに道のかたえにある沙羅双樹の森で一夜を過ごそうと入って行く。
この森には小さな祠が建っており、一行五人は祠の前にみのを敷いて笠を顔にかぶり、一夜を明かすことになった。
深夜になると三人組の泥棒が現れ、一行の寝息をうかがっている。泥棒の一人は元バラモン軍のベルであった。泥棒たちは、五人を襲う相談をしている。
玉国別は泥棒たちの話を聞いていたが、祠の後ろから闇夜をつらぬいて法螺の音が響いてきた。泥棒たちは驚き、ベルともう一人は逃げて行ったが、新米の乙はその場に立ちすくんでしまった。
玉国別が法螺貝の吹き主を歌で尋ねると、祠の後ろから答えたのは元バラモン軍将軍鬼春別、今は比丘となた治道居士が名乗り出た。一行は歌で泥棒の一件を述懐し、挨拶をした。
三千彦が枯れ枝に火をつけて明りを取った。治道居士は祠の後ろから現れ、玉国別一行に挨拶をなした。一行はこれまでの経緯をしばし語り合った。
玉国別は、体が休まったから夜中でも先に進もうと提案した。治道居士はしばらく同道することになった。見れば、ひとりの泥棒がしゃがんで震えている。泥棒は、自分は今日初めて、泥棒のベルという男の家来になったところだ、と言うと、こそこそと闇に姿を隠してしまった。
一行六人は法螺貝を吹く治道居士を先頭に立てて東南の方向に進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2017-05-12 17:04:03
OBC :
rm6011
愛善世界社版:
131頁
八幡書店版:
第10輯 641頁
修補版:
校定版:
139頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
玉国別
(
たまくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
はバーチル、
002
チルテル
其
(
その
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
に
暇
(
いとま
)
を
告
(
つ
)
げ
003
山野
(
さんや
)
湖河
(
こか
)
を
渡
(
わた
)
りハルナの
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
となつた。
004
別
(
わか
)
れを
惜
(
をし
)
みてバーチル
以下
(
いか
)
一同
(
いちどう
)
は
袖
(
そで
)
に
縋
(
すが
)
りつき
005
涙
(
なみだ
)
を
湛
(
たた
)
へて
別離
(
わかれ
)
の
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
006
バーチル『
神
(
かみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
宣伝使
(
せんでんし
)
007
清
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
の
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
008
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
や
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
009
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
010
その
身辺
(
しんぺん
)
を
守
(
まも
)
ります
011
尊
(
たふと
)
き
珍
(
うづ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
012
従
(
したが
)
ひ
玉
(
たま
)
ふ
真純彦
(
ますみひこ
)
013
三千彦
(
みちひこ
)
伊太彦
(
いたひこ
)
デビス
姫
(
ひめ
)
014
神
(
かみ
)
に
等
(
ひと
)
しき
御
(
おん
)
身魂
(
みたま
)
015
親子
(
おやこ
)
の
悩
(
なや
)
みを
救
(
すく
)
ひまし
016
此
(
この
)
里人
(
さとびと
)
をよく
治
(
をさ
)
め
017
珍
(
うづ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
を
建
(
た
)
て
玉
(
たま
)
ひ
018
タクシャカ
竜王
(
りうわう
)
を
初
(
はじ
)
めとし
019
サーガラ
竜王
(
りうわう
)
言向
(
ことむ
)
けて
020
世界
(
せかい
)
の
災
(
わざはひ
)
除
(
のぞ
)
きまし
021
小天国
(
せうてんごく
)
を
建設
(
けんせつ
)
し
022
恵
(
めぐ
)
みの
露
(
つゆ
)
を
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
023
垂
(
た
)
れさせ
玉
(
たま
)
ひし
有難
(
ありがた
)
さ
024
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
025
アヅモス
山
(
さん
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
026
鎮
(
しづ
)
まりまして
吾々
(
われわれ
)
を
027
導
(
みちび
)
き
玉
(
たま
)
へと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
028
祈
(
いの
)
りし
甲斐
(
かひ
)
もあら
悲
(
かな
)
し
029
教
(
をしへ
)
の
御子
(
みこ
)
を
後
(
あと
)
にして
030
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
る
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
031
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
出
(
い
)
で
玉
(
たま
)
ふ
032
その
首途
(
いでたち
)
を
見送
(
みおく
)
りて
033
悲
(
かな
)
しみ
胸
(
むね
)
に
咽返
(
むせかへ
)
り
034
涙
(
なみだ
)
は
滝
(
たき
)
と
流
(
なが
)
れ
落
(
お
)
つ
035
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
036
神
(
かみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
宣伝使
(
せんでんし
)
037
如何
(
いか
)
程
(
ほど
)
真心
(
まごころ
)
現
(
あら
)
はして
038
頼
(
たの
)
むも
詮
(
せん
)
なき
御
(
おん
)
体
(
からだ
)
039
別
(
わか
)
れを
惜
(
をし
)
むも
愚
(
おろか
)
なれ
040
さはさり
乍
(
なが
)
ら
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
よ
041
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
神業
(
しんげふ
)
を
042
無事
(
ぶじ
)
に
終
(
を
)
へさせ
玉
(
たま
)
ひなば
043
これの
聖地
(
せいち
)
を
見捨
(
みす
)
てずに
044
再
(
ふたた
)
び
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りまし
045
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
尊
(
たふと
)
き
御教
(
みをしへ
)
を
046
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
伝
(
つた
)
へませ
047
宮
(
みや
)
の
司
(
つかさ
)
のバーチルが
048
里人
(
さとびと
)
一同
(
いちどう
)
になり
代
(
かは
)
り
049
慎
(
つつし
)
み
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
050
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
051
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
052
玉国別
(
たまくにわけ
)
『バーチルの
清
(
きよ
)
き
言葉
(
ことば
)
を
名残
(
なごり
)
にて
053
いざ
立
(
た
)
ち
行
(
ゆ
)
かむ
神
(
かみ
)
のまにまに』
054
真純彦
(
ますみひこ
)
『
皇神
(
すめかみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
儘
(
まま
)
に
吾
(
われ
)
は
行
(
ゆ
)
く
055
健
(
まめや
)
かなれや
百
(
もも
)
の
人
(
ひと
)
等
(
たち
)
』
056
三千彦
(
みちひこ
)
『
縁
(
えにし
)
あらば
再
(
ふたた
)
びお
目
(
め
)
にかかるべし
057
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
世
(
よ
)
を
送
(
おく
)
りませ』
058
伊太彦
(
いたひこ
)
『
言葉
(
ことば
)
にも
尽
(
つく
)
され
難
(
がた
)
き
待遇
(
もてなし
)
を
059
受
(
う
)
けし
恵
(
めぐ
)
みを
如何
(
いか
)
に
返
(
かへ
)
さむ』
060
デビス
姫
(
ひめ
)
『いざさらば
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
061
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げむ
百人
(
ももびと
)
の
前
(
まへ
)
に』
062
アンチー『
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
に
果敢
(
はか
)
なくも
063
生
(
い
)
き
別
(
わか
)
れする
吾
(
われ
)
ぞ
悲
(
かな
)
しき』
064
チルテル『
摩訶
(
まか
)
不思議
(
ふしぎ
)
深
(
ふか
)
き
縁
(
えにし
)
に
包
(
つつ
)
まれて
065
嬉
(
うれ
)
しき
夢
(
ゆめ
)
を
暫
(
しば
)
し
見
(
み
)
しかな』
066
サーベル
姫
(
ひめ
)
『いざさらば
真幸
(
まさき
)
くハルナに
出
(
い
)
でませよ
067
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
君
(
きみ
)
を
守
(
まも
)
らむ』
068
チルナ
姫
(
ひめ
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
諭
(
さと
)
しによりて
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
は
069
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
帰
(
かへ
)
りましけり。
070
山
(
やま
)
よりも
高
(
たか
)
き
恵
(
めぐ
)
みを
如何
(
いか
)
にして
071
報
(
むく
)
いむものと
心
(
こころ
)
苛
(
いら
)
ちつ』
072
テク『いざさらば
御身
(
みみ
)
健
(
すこや
)
かに
出
(
い
)
でませよ
073
君
(
きみ
)
の
前
(
まへ
)
には
敵
(
てき
)
もなければ』
074
カンナ『
思
(
おも
)
ひきや
思
(
おも
)
はぬ
人
(
ひと
)
に
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
075
又
(
また
)
も
思
(
おも
)
はぬ
別
(
わか
)
れするかな』
076
ヘール『
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
儘
(
まま
)
なれば
077
人
(
ひと
)
の
言問
(
ことと
)
ふ
道
(
みち
)
にあらまし』
078
アキス『
吾
(
わが
)
主人
(
あるじ
)
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
ひし
助
(
たす
)
け
神
(
がみ
)
079
別
(
わか
)
れむとして
涙
(
なみだ
)
零
(
こぼ
)
るる』
080
カール『
何事
(
なにごと
)
も
夢
(
ゆめ
)
の
浮世
(
うきよ
)
と
諦
(
あきら
)
めて
081
思
(
おも
)
はざるらむ
情
(
つれ
)
なき
別
(
わか
)
れを』
082
ワックス『
許々多久
(
ここたく
)
の
罪
(
つみ
)
や
穢
(
けがれ
)
を
洗
(
あら
)
はれし
083
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
今
(
いま
)
別
(
わか
)
れむとす。
084
惜
(
をし
)
めども
悔
(
くや
)
めど
泣
(
な
)
けども
如何
(
いか
)
にせむ
085
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
教司
(
をしへつかさ
)
を』
086
ヘルマン『
夢
(
ゆめ
)
の
世
(
よ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
な
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たりけり
087
夢
(
ゆめ
)
な
忘
(
わす
)
れそ
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みは』
088
エキス『ワックスや
主人
(
あるじ
)
の
君
(
きみ
)
を
悩
(
なや
)
めたる
089
懺悔
(
ざんげ
)
の
涙
(
なみだ
)
とどめ
兼
(
か
)
ねつつ。
090
玉国別
(
たまくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
を
091
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
払
(
はら
)
はせ
玉
(
たま
)
へ』
092
エル『テルモンの
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
立
(
た
)
ち
別
(
わか
)
れ
093
又
(
また
)
もや
神
(
かみ
)
に
別
(
わか
)
れむとぞする』
094
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
猩々
(
しやうじやう
)
の
翁
(
おきな
)
媼
(
おうな
)
に
物
(
もの
)
申
(
まを
)
す
095
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
安
(
やす
)
くましませ』
096
翁
(
おきな
)
『スメールのこれの
神山
(
みやま
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
097
ありて
御世
(
みよ
)
をば
守
(
まも
)
らむとぞ
思
(
おも
)
ふ』
098
媼
(
おうな
)
『
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
のタクシャカ
竜王
(
りうわう
)
と
相並
(
あひなら
)
び
099
これの
聖地
(
せいち
)
を
永遠
(
とは
)
に
守
(
まも
)
らむ』
100
玉国別
(
たまくにわけ
)
『いざさらば
諸人
(
もろびと
)
等
(
たち
)
に
物申
(
ものまう
)
す
101
安
(
やす
)
くましませ
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に』
102
○
103
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
104
無限
(
むげん
)
の
神力
(
しんりき
)
現
(
あら
)
はして
105
麻
(
あさ
)
の
如
(
ごと
)
くに
乱
(
みだ
)
れたる
106
諸人
(
もろびと
)
等
(
たち
)
の
心
(
こころ
)
をば
107
一
(
ひと
)
つに
治
(
をさ
)
め
悠々
(
いういう
)
と
108
スマの
里
(
さと
)
をば
後
(
あと
)
にして
109
晩夏
(
ばんか
)
の
風
(
かぜ
)
を
浴
(
あ
)
び
乍
(
なが
)
ら
110
稲葉
(
いなば
)
のそよぐ
細道
(
ほそみち
)
を
111
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
に
身
(
み
)
を
固
(
かた
)
め
112
二
(
ふた
)
つの
玉
(
たま
)
を
捧
(
ささ
)
げつつ
113
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
114
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
黄昏
(
たそが
)
れて
来
(
き
)
た。
115
広袤
(
くわうぼう
)
千里
(
せんり
)
の
大原野
(
だいげんや
)
、
116
人通
(
ひとどほり
)
も
尠
(
すく
)
なく
117
僅
(
わづ
)
かに
道
(
みち
)
の
傍
(
かたへ
)
の
娑羅
(
さら
)
双樹
(
さうじゆ
)
の
森
(
もり
)
を
認
(
みと
)
めて
一夜
(
いちや
)
の
雨宿
(
あまやど
)
りをなさむと
足
(
あし
)
を
速
(
はや
)
めたり。
118
此
(
この
)
森
(
もり
)
には
半
(
なかば
)
破
(
やぶ
)
れた
小
(
ちひ
)
さき
祠
(
ほこら
)
が
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
119
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
蓑
(
みの
)
を
布
(
し
)
き
120
笠
(
かさ
)
を
顔
(
かほ
)
に
被
(
かぶ
)
つて
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
す
事
(
こと
)
とした。
121
夜
(
よ
)
は
深々
(
しんしん
)
と
更渡
(
ふけわた
)
り
水
(
みづ
)
も
眠
(
ねむ
)
れる
丑満
(
うしみつ
)
の
頃
(
ころ
)
となつた。
122
窺
(
うかが
)
ひ
寄
(
よ
)
つて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
123
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
寝息
(
ねいき
)
を
考
(
かんが
)
へ、
124
甲
(
かふ
)
『オイ、
125
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
、
126
どうやら
此奴
(
こいつ
)
ア
物
(
もの
)
になりさうだぞ。
127
うまく
行
(
ゆ
)
けば
一生
(
いつしやう
)
遊
(
あそ
)
んで
暮
(
くら
)
す
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
る
様
(
やう
)
にならうも
知
(
し
)
れぬから、
128
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
も
俺
(
おれ
)
の
指揮
(
しき
)
に
従
(
したが
)
つて
捨身
(
しやしん
)
的
(
てき
)
大活動
(
だいくわつどう
)
をやつて
呉
(
く
)
れ』
129
乙
(
おつ
)
『ハヽヽヽハイ、
130
カヽヽヽ
畏
(
かしこ
)
まりました。
131
中々
(
なかなか
)
鼾
(
いびき
)
の
高
(
たか
)
い
連中
(
れんちう
)
で……』
132
甲
(
かふ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
、
133
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
る
人間
(
にんげん
)
の
鼾
(
いびき
)
が
怖
(
こは
)
うて
此
(
この
)
商売
(
しやうばい
)
が
出来
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
ふか』
134
乙
(
おつ
)
『まだシヽヽヽ
新米
(
しんまい
)
で
厶
(
ござ
)
いますから
135
根
(
ね
)
つから
勝手
(
かつて
)
が
分
(
わか
)
りませぬので……』
136
丙
(
へい
)
『モシ、
137
ベルの
親方
(
おやかた
)
さま、
138
此奴
(
こいつ
)
アまだ
間
(
ま
)
が
厶
(
ござ
)
いませぬから
仕方
(
しかた
)
が
厶
(
ござ
)
いませぬ。
139
何
(
なに
)
、
140
これ
位
(
くらゐ
)
の
仕事
(
しごと
)
は
私
(
わたし
)
一人
(
ひとり
)
で
結構
(
けつこう
)
です。
141
何程
(
なにほど
)
新米
(
しんまい
)
だつて
三月
(
みつき
)
すれば
古米
(
こまい
)
になりますからな』
142
乙
(
おつ
)
『オイ、
143
三月
(
みつき
)
経
(
た
)
つたら
古米
(
こまい
)
になるとは、
144
それは
何
(
なん
)
だ、
145
米相場
(
こめさうば
)
でもしようと
云
(
い
)
ふのか、
146
こんな
処
(
ところ
)
で
店屋
(
みせや
)
もないぢやないか』
147
甲
(
かふ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
ぢやな。
148
貴様
(
きさま
)
は
乞食
(
こじき
)
もようさらさず、
149
たまたま
泥棒
(
どろばう
)
に
連
(
つ
)
れて
来
(
く
)
れば、
150
その
腰
(
こし
)
は
何
(
なん
)
だ。
151
痳病患者
(
りんびやうやみ
)
か
梅毒患者
(
ひえかき
)
の
様
(
やう
)
な
態
(
ざま
)
しやがつて……
見
(
み
)
つともない』
152
乙
(
おつ
)
『ヘヽヽヽヽ
痳病
(
りんびやう
)
もチツト
許
(
ばか
)
り
患
(
わづら
)
うて
居
(
ゐ
)
ます。
153
梅毒
(
ひえ
)
も
漸
(
やうや
)
く
癒
(
なほ
)
りかけた
処
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
154
アイタヽヽヽ
痳病
(
りんびやう
)
の
話
(
はなし
)
すると
俄
(
にはか
)
に
痛
(
いた
)
くなつて
来
(
き
)
ました、
155
もう
動
(
うご
)
けませぬ。
156
アイタヽヽヽ』
157
と
屁太
(
へた
)
る。
158
ベル『オイ、
159
バット、
160
もう
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い、
161
何程
(
なにほど
)
大勢
(
おほぜい
)
居
(
を
)
つても
寝首
(
ねくび
)
を
締
(
し
)
めるのは
容易
(
ようい
)
なものだ。
162
サアこんな
腰抜
(
こしぬ
)
けは
放
(
ほ
)
つといて
163
貴様
(
きさま
)
と
俺
(
おれ
)
が
両方
(
りやうはう
)
から
仕事
(
しごと
)
に
取
(
と
)
りかからうぢやないか』
164
バット『ハイ、
165
承知
(
しようち
)
しました。
166
吾々
(
われわれ
)
が
運
(
うん
)
の
開
(
ひら
)
け
時
(
どき
)
、
167
この
機会
(
きくわい
)
を
逸
(
いつ
)
して、
168
どうして
頭
(
あたま
)
が
上
(
あが
)
りませう』
169
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
最初
(
さいしよ
)
から
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
密々話
(
ひそひそばなし
)
を
一言
(
いちごん
)
も
洩
(
も
)
らさず
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
170
かかる
所
(
ところ
)
へ『ブーブー』と
闇
(
やみ
)
を
貫
(
つらぬ
)
く
法螺
(
ほら
)
の
声
(
こゑ
)
、
171
社
(
やしろ
)
の
後
(
うしろ
)
より
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
172
泥棒
(
どろばう
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
乙
(
おつ
)
を
社前
(
しやぜん
)
に
残
(
のこ
)
し
乍
(
なが
)
ら
闇
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
173
法螺
(
ほら
)
の
声
(
こゑ
)
は
益々
(
ますます
)
高
(
たか
)
く
響
(
ひび
)
いて
来
(
く
)
る。
174
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
法螺
(
ほら
)
の
音
(
ね
)
の
静
(
しづ
)
まるを
待
(
ま
)
つて、
175
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
山川
(
やまかは
)
の
枉
(
まが
)
拭
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ふ
法螺
(
ほら
)
の
貝
(
かひ
)
176
何処
(
いづく
)
の
人
(
ひと
)
の
弄
(
すさ
)
びなるらむ。
177
御社
(
みやしろ
)
の
傍
(
かたはら
)
近
(
ちか
)
く
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
178
この
言霊
(
ことたま
)
の
主
(
ぬし
)
は
何人
(
なにびと
)
』
179
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
より、
180
『
吾
(
われ
)
こそは
鬼春別
(
おにはるわけ
)
のなれの
果
(
はて
)
181
比丘
(
びく
)
と
仕
(
つか
)
ふる
治道
(
ちだう
)
居士
(
こじ
)
ぞや』
182
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
服
(
まつろ
)
ひし
183
バラモン
軍
(
ぐん
)
のゼネラルなりしか。
184
吾
(
われ
)
こそは
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
185
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
に
会
(
あ
)
ひにけるかな』
186
治道
(
ちだう
)
『
懐
(
なつか
)
しや
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
187
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
か
嬉
(
うれ
)
し
恥
(
はづか
)
し』
188
三千彦
(
みちひこ
)
『
泥棒
(
どろばう
)
が
吾
(
わが
)
懐
(
ふところ
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
189
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き
来
(
きた
)
る
可笑
(
をか
)
しさ』
190
伊太彦
(
いたひこ
)
『
盗人
(
ぬすびと
)
を
追
(
お
)
ひ
払
(
はら
)
ひたる
法螺
(
ほら
)
の
貝
(
かひ
)
191
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てたるは
神
(
かみ
)
にぞ
在
(
ま
)
さむ』
192
三千彦
(
みちひこ
)
『
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
ぶ
治道
(
ちだう
)
居士
(
こじ
)
とは
汝
(
な
)
が
事
(
こと
)
か
193
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
に
会
(
あ
)
ひにけるかな』
194
治道
(
ちだう
)
『
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
ビクトル
山
(
さん
)
の
比丘
(
びく
)
となり
195
四方
(
よも
)
を
逍遥
(
さまよ
)
ふ
修験者
(
しうげんじや
)
ぞや。
196
武士
(
もののふ
)
の
矢猛心
(
やたけごころ
)
を
抑
(
おさ
)
へつつ
197
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
よ』
198
デビス
姫
(
ひめ
)
『
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
唯
(
ただ
)
只管
(
ひたすら
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
199
比丘
(
びく
)
の
司
(
つかさ
)
の
心
(
こころ
)
雄々
(
をを
)
しき。
200
吾
(
わ
)
れも
亦
(
また
)
テルモン
山
(
ざん
)
の
神館
(
かむやかた
)
201
バラモン
神
(
がみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
身
(
み
)
ぞや』
202
治道
(
ちだう
)
『テルモンの
大海原
(
おほうなばら
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
203
漸
(
やうや
)
くここに
吾
(
われ
)
は
着
(
つ
)
きぬる。
204
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れを
休
(
やす
)
めむと
205
祠
(
ほこら
)
の
蔭
(
かげ
)
に
憩
(
いこ
)
ひ
居
(
ゐ
)
たりし。
206
皇神
(
すめかみ
)
の
縁
(
えにし
)
の
糸
(
いと
)
につながれて
207
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
会
(
あ
)
ふぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
208
三千彦
(
みちひこ
)
は
燧
(
ひうち
)
を
取
(
とり
)
出
(
だ
)
し
209
闇
(
やみ
)
を
探
(
さぐ
)
つて
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
枯枝
(
かれえだ
)
の
端
(
はし
)
を
掻
(
か
)
き
集
(
あつ
)
め、
210
パツと
火
(
ひ
)
を
点
(
てん
)
じた。
211
治道
(
ちだう
)
居士
(
こじ
)
は
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
より
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
212
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
213
さも
嬉
(
うれ
)
しげに、
214
治道
(
ちだう
)
『
貴方
(
あなた
)
は
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
き
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
215
これは
不思議
(
ふしぎ
)
な
処
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
216
私
(
わたし
)
はバラモン
教
(
けう
)
のゼネラルで
厶
(
ござ
)
いましたが、
217
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
に
於
(
おい
)
て
吾
(
わが
)
部下
(
ぶか
)
の
片彦
(
かたひこ
)
、
218
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
が
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
打
(
うち
)
悩
(
なや
)
まされ、
219
実
(
じつ
)
に
見苦
(
みぐる
)
しき
敗
(
はい
)
をとりました。
220
それに
就
(
つ
)
いて
221
私
(
わたし
)
は
到底
(
たうてい
)
武力
(
ぶりよく
)
を
以
(
もつ
)
て
神力
(
しんりき
)
に
勝
(
か
)
つ
事
(
こと
)
の
不可能
(
ふかのう
)
なるを
悟
(
さと
)
りました。
222
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
223
数千
(
すうせん
)
人
(
にん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
引率
(
ひきつ
)
れ
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
命
(
めい
)
を
受
(
う
)
けて
征途
(
せいと
)
に
上
(
のぼ
)
るゼネラルの
分際
(
ぶんざい
)
として、
224
直
(
ただ
)
ちに
軍籍
(
ぐんせき
)
を
捨
(
す
)
て、
225
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
入
(
い
)
らむとするも
事情
(
じじやう
)
が
許
(
ゆる
)
しませぬので
226
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
2261
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
と
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
、
227
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
にて
半永久
(
はんえいきう
)
的
(
てき
)
陣営
(
ぢんえい
)
を
造
(
つく
)
り、
228
戦
(
たたか
)
ふ
心
(
こころ
)
もなく
229
徒
(
いたづら
)
に
光陰
(
くわういん
)
を
濫費
(
らんぴ
)
して
居
(
を
)
りましたが、
230
遂
(
つひ
)
に
軍隊
(
ぐんたい
)
を
二
(
ふた
)
つに
分
(
わか
)
ち
231
三千
(
さんぜん
)
余
(
よ
)
騎
(
き
)
を
率
(
ひき
)
ゐてライオン
川
(
がは
)
を
横断
(
わうだん
)
し、
232
ビクトル
山
(
さん
)
の
麓
(
ふもと
)
に
陣営
(
ぢんえい
)
を
構
(
かま
)
へ、
233
ここにても
亦
(
また
)
思
(
おも
)
はぬ
失敗
(
しつぱい
)
をとり、
234
再
(
ふたた
)
び
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
山寨
(
さんさい
)
に
立籠
(
たてこ
)
もり
235
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
浴
(
あ
)
びせられ、
236
ここに
全
(
まつた
)
く
菩提心
(
ぼだいしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
237
至善
(
しぜん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
信従
(
しんじゆう
)
する
証拠
(
しようこ
)
として
頭
(
かしら
)
を
剃
(
そ
)
り
落
(
こぼ
)
ち
238
円頂
(
ゑんちやう
)
緇衣
(
しえ
)
の
比丘姿
(
びくすがた
)
となり、
239
ビクトル
山
(
さん
)
の
傍
(
かたはら
)
に
草庵
(
さうあん
)
を
結
(
むす
)
び、
240
吾々
(
われわれ
)
同志
(
どうし
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝
(
せんでん
)
に
廻
(
まは
)
つて
居
(
を
)
ります。
241
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
の
事
(
こと
)
も
242
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
より
詳
(
くは
)
しく
承
(
うけたま
)
はり、
243
一度
(
いちど
)
尊
(
たふと
)
き
謦咳
(
けいがい
)
に
接
(
せつ
)
し
度
(
た
)
きものと
祈
(
いの
)
つて
居
(
を
)
りましたが、
244
思
(
おも
)
はぬ
処
(
ところ
)
で
面会
(
めんくわい
)
を
得
(
え
)
まして
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
嬉
(
うれ
)
しさが
漂
(
ただよ
)
ひました。
245
何卒
(
どうぞ
)
御
(
お
)
見捨
(
みすて
)
なく
御
(
ご
)
懇意
(
こんい
)
に
願
(
ねが
)
ひます』
246
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
貴方
(
あなた
)
がバラモン
軍
(
ぐん
)
の
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか、
247
不思議
(
ふしぎ
)
の
縁
(
えん
)
で
不思議
(
ふしぎ
)
な
処
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
248
これも
全
(
まつた
)
く
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せで
厶
(
ござ
)
いませう。
249
此
(
この
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
真純彦
(
ますみひこ
)
、
250
三千彦
(
みちひこ
)
、
251
伊太彦
(
いたひこ
)
、
252
デビス
姫
(
ひめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
253
何卒
(
どうぞ
)
今後
(
こんご
)
は
御
(
ご
)
入魂
(
じつこん
)
に
願
(
ねが
)
ひます』
254
治道
(
ちだう
)
『
網笠
(
あみがさ
)
一
(
ひと
)
つ、
255
蓑
(
みの
)
一
(
ひと
)
つ、
256
杖
(
つゑ
)
一本
(
いつぽん
)
の
修験者
(
しうげんじや
)
、
257
何卒
(
なにとぞ
)
共
(
とも
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き
合
(
あ
)
うて
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
させて
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
います』
258
真純彦
(
ますみひこ
)
『
初
(
はじ
)
めてお
目
(
め
)
にかかります。
259
いやもう
何
(
なん
)
にも
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げませぬ。
260
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
互
(
たがひ
)
に
力
(
ちから
)
になり
合
(
あ
)
つて
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう』
261
伊太彦
(
いたひこ
)
『
私
(
わたし
)
は
狼狽者
(
とばしりもの
)
の
名
(
な
)
を
売
(
う
)
つた
伊太彦
(
いたひこ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
262
三千彦
(
みちひこ
)
『
私
(
わたし
)
は
三千彦
(
みちひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
263
いつも
伊太彦
(
いたひこ
)
殿
(
どの
)
に
女
(
をんな
)
を
連
(
つ
)
れて
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
つて
揶揄
(
からか
)
はれ
通
(
どほ
)
しで
264
閉口
(
へいこう
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります』
265
治道
(
ちだう
)
『ハヽヽヽヽ
何分
(
なにぶん
)
若
(
わか
)
いお
方
(
かた
)
は
元気
(
げんき
)
が
宜
(
よろ
)
しいから
面白
(
おもしろ
)
いでせう』
266
デビス
姫
(
ひめ
)
『ゼネラル
様
(
さま
)
、
267
妾
(
わたし
)
はテルモン
山
(
ざん
)
の
神館
(
かむやかた
)
の
司
(
つかさ
)
小国別
(
をくにわけ
)
の
娘
(
むすめ
)
デビス
姫
(
ひめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
268
不思議
(
ふしぎ
)
な
縁
(
えん
)
で
此
(
この
)
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
に
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けられ、
269
ハルナの
都
(
みやこ
)
へお
伴
(
とも
)
を
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
270
して
271
之
(
これ
)
から
貴方
(
あなた
)
は
何方
(
どちら
)
へおいでになりますか』
272
治道
(
ちだう
)
『これは
又
(
また
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
御縁
(
ごえん
)
で
厶
(
ござ
)
る。
273
貴女
(
あなた
)
が
小国別
(
をくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
息女
(
むすめご
)
とは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
りませなンだ。
274
かうなる
上
(
うへ
)
は
275
何
(
いづ
)
れも
三五教
(
あななひけう
)
のピュウリタンとして
互
(
たがひ
)
に
打
(
うち
)
解
(
と
)
け
276
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
させて
頂
(
いただ
)
きませう』
277
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
最早
(
もはや
)
体
(
からだ
)
も
余程
(
よほど
)
、
278
疲
(
つか
)
れも
休
(
やす
)
まつた
様
(
やう
)
ですから
夜中
(
やちう
)
なれども
大明
(
おほあか
)
りがして
居
(
を
)
りますから、
279
ボツボツ
進
(
すす
)
みませう』
280
治道
(
ちだう
)
『どうか
私
(
わたし
)
も
途中
(
とちう
)
迄
(
まで
)
なりとお
伴
(
とも
)
をさして
頂
(
いただ
)
きませう』
281
と
立
(
たち
)
上
(
あが
)
る。
282
側
(
そば
)
を
見
(
み
)
れば
一人
(
ひとり
)
の
泥棒
(
どろばう
)
が
踞
(
しやが
)
んで
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
283
治道
(
ちだう
)
『オ、
284
お
前
(
まへ
)
は
何者
(
なにもの
)
だ。
285
泥棒
(
どろばう
)
の
片割
(
かたわれ
)
ではないか』
286
乙
(
おつ
)
『はい、
287
私
(
わたし
)
は
乞食
(
こじき
)
で
厶
(
ござ
)
いますが
288
今日
(
けふ
)
初
(
はじ
)
めて
泥棒
(
どろばう
)
のベルと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
の
家来
(
けらい
)
となり、
289
三人
(
さんにん
)
連
(
づ
)
れにて
此
(
この
)
人々
(
ひとびと
)
の
跡
(
あと
)
をつけ
狙
(
ねら
)
ひ、
290
ここ
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りましたが
法螺貝
(
ほらがひ
)
の
声
(
こゑ
)
で
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かしました。
291
二人
(
ふたり
)
は
何処
(
どこ
)
かへ
風
(
かぜ
)
を
喰
(
くら
)
つて
逃
(
に
)
げたで
厶
(
ござ
)
いませう』
292
治道
(
ちだう
)
『はてな、
293
ベルが
又
(
また
)
泥棒
(
どろばう
)
をして
居
(
を
)
るのかな』
294
と
頻
(
しき
)
りに
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
295
泥棒
(
どろばう
)
の
乙
(
おつ
)
はコソコソと
闇
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
296
一行
(
いつかう
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
治道
(
ちだう
)
居士
(
こじ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
て
297
東南
(
とうなん
)
に
道
(
みち
)
を
転
(
てん
)
じて
露
(
つゆ
)
おく
野路
(
のぢ
)
を
足許
(
あしもと
)
忙
(
いそが
)
しく
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
298
(
大正一二・四・七
旧二・二二
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
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