霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 土蜘蛛(つちぐも)〔一五三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻 篇:第2篇 東山霊地 よみ(新仮名遣い):あづもすれいち
章:第8章 土蜘蛛 よみ(新仮名遣い):つちぐも 通し章番号:1533
口述日:1923(大正12)年04月07日(旧02月22日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年8月12日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玉国別一行はふたたびアヅモス山に登り、もとの古社の跡に近寄ってみれば、猩々姫の言葉通り五寸ばかり上土をめくると、長方形の石蓋が現れてきた。
玉国別は石蓋を取り除くための祈願を奏上した。大神に無事を祈り終ると、金てこを岩のすき間に押し込んで石蓋を取り除いた。黒煙もうもうと立ち上り、しばし当りがまったく見えない状態となった。黒煙が風に吹き飛ばされると、岩との入り口には階段が見えた。
玉国別は、伊太彦にワックス、エルを共につけて岩窟の探検を命じた。三人は蜘蛛の巣をはらいながら下って行く。不思議にも隧道は燐光が輝いて足元が見えるほど明るかった。
長い隧道を上り下り、右に左に折れながら進んで行くと、にわかに明るいところに出た。そこに三尺ばかりの丸い茶褐色のものが横たわっていた。エルが力ませに杖で打つと、それは数千年を経た穴蜘蛛であった。蜘蛛は逃げて行った。
エルは景気づけに滑稽な歌を歌いながら進んで行った。角を曲がると、デビス姫が立っていた。二人は本物のデビス姫と思い、ワックスは口説き始めた。
伊太彦がこの女に関わってはならないと忠告し、ややワックスは躊躇した。エルはワックスの代理として手を握ろうと手を出した。女がエルの手を唇に当てたとたん、エルは悲鳴を上げて倒れてしまった。
女は大蜘蛛の正体を表し、休んでいたところを殴った敵だ、と言い捨てて這って行ってしまった。
伊太彦はエルの傷に息を吹きかけて天の数歌を歌った。半時ばかりしてようやくエルは正気付いたが、痛さをこらえて意気消沈の態で二人の跡に従って進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-05-11 22:37:11 OBC :rm6008
愛善世界社版:93頁 八幡書店版:第10輯 627頁 修補版: 校定版:100頁 普及版:60頁 初版: ページ備考:
001 玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)はバーチルの(やかた)(たち)()で、002(ふたた)びアヅモス(さん)のもとの古社(ふるやしろ)(あと)近寄(ちかよ)()れば003猩々姫(しやうじやうひめ)言葉(ことば)(たが)はず、004五寸(ごすん)(ばか)上土(うはつち)をめくつて()ると、005長方形(ちやうはうけい)石蓋(いしぶた)(あら)はれて()た。
006 玉国別(たまくにわけ)()石蓋(いしぶた)()(のぞ)きの祈願(きぐわん)奏上(そうじやう)したり。
 
007『スメールの(うづ)聖地(せいち)に、008宮柱(みやばしら)(ふと)しく()てて常久(とこしへ)に、009(しづ)まり()ますバラモンの、010(をしへ)御祖(みおや)大国彦(おほくにひこ)御舎(みあらか)を、011(つか)へまつりし(ふる)(あと)石蓋(いしぶた)を、012猩々姫(しやうじやうひめ)(ねが)ひによりて、013(こころ)(きよ)()(きよ)め、014(うづ)言霊(ことたま)()()げて、015三千(さんぜん)(ねん)(むかし)より、016(ふう)()きたる玉手箱(たまてばこ)017(かみ)(めぐ)みを(かうむ)りて、018(いよいよ)(ひら)(たてまつ)る。019(あふ)(ねが)はくは(この)神業(かむわざ)(つか)へまつる人々(ひとびと)は、020(こころ)(ただ)しく(きよ)(なほ)くして、021(かみ)(みたま)(かへ)りし(うづ)御宝(みたから)なれば、022如何(いか)なる(かみ)()すかは()らねども(かなら)(とが)(きた)(たま)(こと)なく、023いと安々(やすやす)(これ)岩戸(いはと)(ひら)かせ(たま)へ。024(また)これの岩窟(いはやど)(しの)()りて025神代(かみよ)ながらの秘事(ひめごと)()(すむや)かに(さぐ)らせ(たま)へ。026惟神(かむながら)(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)(つつし)(うやま)()(まつ)る。
027 (ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)028あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
 
029(うづ)()(ごと)(とな)()げ、030忌鋤(いむすき)忌鍬(いむくは)(もつ)(つち)をかき()け、031(あら)(きよ)めし金梃(かなてこ)(いは)隙間(すきま)()()み、032(やうや)くにして(ひろ)(あつ)岩蓋(いはぶた)(とり)(のぞ)いた。033黒煙(こくえん)濛々(もうもう)として(たち)(のぼ)り、034少時(しばし)咫尺(しせき)(べん)ぜざる(ごと)惨澹(さんたん)たる光景(くわうけい)であつた。035(をり)から()()科戸(しなど)(かぜ)(くろ)(けぶり)何処(いづく)ともなく()()せて036岩戸(いはと)入口(いりぐち)階段(かいだん)まで(あきら)かに()えて()た。
037玉国別(たまくにわけ)千早(ちはや)()(むかし)ながらの秘事(ひめごと)
038(ひら)()めたる今朝(けさ)目出度(めでた)き』
039バーチル『九頭竜(くづりう)(いや)常久(とこしへ)(ふう)じたる
040岩戸(いはと)(ひら)今日(けふ)目出度(めでた)さ』
041サーベル(ひめ)神代(かみよ)より()ひつぎ(かた)りつぎ(きた)
042タクシャカ竜王(りうわう)()はむ今日(けふ)かな』
043伊太彦(いたひこ)(われ)(いま)(この)岩窟(いはやど)奥底(おくそこ)
044(さぐ)()むとす(ゆる)させ(たま)へ』
045玉国別(たまくにわけ)何事(なにごと)先立(さきだ)たむとする伊太彦(いたひこ)
046インクリネーション(あら)はれにけり』
047伊太彦(いたひこ)何事(なにごと)(ひと)先立(さきだ)(すす)まむと
048するは(わが)()のテーストなりけり』
049三千彦(みちひこ)伊太彦(いたひこ)(その)ネーチュア(あら)はれて
050(あやふ)(あな)(すす)まむとぞする』
051伊太彦(いたひこ)『これしきの岩窟(いはや)(さぐ)るは(かた)からじ
052朝飯前(あさめしまへ)のメデオーカ(ごと)ぞや』
053 玉国別(たまくにわけ)伊太彦(いたひこ)総取締(そうとりしまり)となし、054ワックス、055エル二人(ふたり)(ともな)はしめ、056一同(いちどう)岩窟(いはや)入口(いりぐち)()たせ()き、057(なが)(つな)(さき)(すず)をつけて(あな)入口(いりぐち)()けおき、058危急(ききふ)場合(ばあひ)(この)(つな)()けば援兵(ゑんぺい)何人(なにびと)()()れる(やう)(たの)()き、059数千(すうせん)(ねん)秘密(ひみつ)(かぎ)(さぐ)るべく060蜘蛛(くも)()(はら)(はら)階段(かいだん)をドンドンと(くだ)つて()く。061不思議(ふしぎ)にも(なが)(ふか)隧道(すゐだう)燐光(りんくわう)燦爛(さんらん)として(かがや)き、062あまり足許(あしもと)(なや)みを(うつた)へない(まで)(あか)かつた。
063 (さん)(にん)はタクシャカ竜王(りうわう)幽閉所(いうへいしよ)(きこ)えたる岩窟(がんくつ)(あま)数歌(かずうた)(うた)(なが)ら、064(あるひ)(くだ)(あるひ)(のぼ)り、065(みぎ)(ひだり)()(まは)(なが)(あし)(まか)せて(さぐ)()く。066(にはか)にクワツと(あか)るい(ところ)がある。067(ちか)づき()れば直径(ちよくけい)三尺(さんじやく)(ばか)りの(まる)茶褐色(ちやかつしよく)不思議(ふしぎ)(もの)隧道(すゐだう)真中(まんなか)(よこ)たはり、068薄明(うすあか)燈火(あかり)放射(はうしや)して()る。069(みみ)をすまして()()れば070ブーンブーンと不思議(ふしぎ)(こゑ)(きこ)える。071(さん)(にん)少時(しばし)茫然(ばうぜん)として(この)(あや)しき物体(ぶつたい)(なが)めて()た。072(にはか)にブツブツブツと(かゆ)()える(やう)(おと)(たか)(きこ)えて()た。
073エル『おいワックス、074此奴(こいつ)(なん)でもモンスターに(ちが)ひない。075(この)(つゑ)(ひと)つポカンと一撃(いちげき)(くは)へたら如何(どう)だらうかな』
076ワックス『()()て、077(なに)()よるか()れぬ。078うつかり相手(あひて)にならうものなら、079それこそ大変(たいへん)だ』
080伊太彦(いたひこ)『アハヽヽヽ、081丁度(ちやうど)エルさまが(うし)()(つぶ)された代物(しろもの)(やう)だな。082ポツポツと湯気(ゆげ)()つて()(やう)だ。083此奴(こいつ)大方(おほかた)田野(たの)危平(きへい)八畳敷(はちでふじき)(おと)して()いたのかも()れないぞ』
084エル『曲津(まがつ)(やつ)085逸早(いちはや)くこんな(ところ)先走(さきばし)りをしやがつて、086(おれ)(たち)睾丸(きんたま)087オツトドツコイ肝玉(きもたま)(つぶ)さうと(たく)んで、088失礼(しつれい)千万(せんばん)な、089吾々(われわれ)行路(かうろ)(さへぎ)つてゐやがるのだらう。090(ひと)()るれば(ひと)()り、091(うま)()るれば(うま)()(てい)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)092エルさまは到底(たうてい)(この)(まま)差許(さしゆる)(こと)出来(でき)ぬ。093(また)飽迄(あくまで)此奴(こいつ)如何(どう)とかせなくては向側(むかう)(わた)(こと)出来(でき)ぬぢやないか。094のうワックス、095貴様(きさま)随分(ずいぶん)横着者(わうちやくもの)だつたが、096此奴(こいつ)には閉口(へいこう)したと()沈黙(ちんもく)(まも)つてるぢやないか。097モンスターが(おそ)ろしい(やう)(こと)098岩窟(いはや)探険(たんけん)がどうして出来(でき)るものか。099もし伊太彦(いたひこ)さま、100(この)モンスターを(わたし)処分(しよぶん)さして(くだ)さいませぬか』
101伊太彦(いたひこ)(よろ)しい、102(まへ)(ちから)(ひと)退散(たいさん)さして()るのもよからう』
103エル『そんなら退散(たいさん)さして御覧(ごらん)()れませう。104大山(たいざん)鳴動(めいどう)して(ねずみ)一匹(いつぴき)かも()れませぬぞ』
105()(なが)(つゑ)真向(まつかう)()(かざ)(かま)(ごし)になつて、106エイヤと一声(ひとこゑ)107ウンと()つた。108(たちま)怪物(くわいぶつ)(くろ)細長(ほそなが)(あし)数十本(すうじつぽん)ニユーツと()()し、109(まる)(からだ)七八(しちはつ)(しやく)(ばか)りの中空(ちうくう)()かしてガサリガサリと()()した。110よくよく()れば数千(すうせん)(ねん)(ごふ)()たる穴蜘蛛(あなぐも)(あし)(すく)めてここに(ねむ)つて()たのであつた。
111エル『アツハヽヽヽ(なん)だ、112蜘蛛(くも)親方(おやかた)()113エルさまの()威勢(ゐせい)(おそ)れ、114(なが)いコンパスを運転(うんてん)させ、115(からだ)(ちう)(うか)べて(くも)(かすみ)()()せやがつた。116イヒヽヽヽヽエルさまの神力(しんりき)によつてくもなく退散(たいさん)(つかまつ)り……(あと)をも()ずになりにける……だ。117おいワックス、118今度(こんど)(なに)()ても(おれ)はもう(かま)はぬから、119(まへ)(ばん)だ、120(しつか)りやり(たま)へ』
121ワックス『ここの蜘蛛(くも)(りん)(いき)()うて()ると()えて(からだ)(まで)(ひか)つて()やがる。122本当(ほんたう)(めう)(こと)があるものだ。123サア(これ)から四辺(あたり)(こころ)(くば)十二分(じふにぶん)注意(ちうい)(はら)つて(すす)(こと)にしよう。124伊太彦(いたひこ)(さま)125貴方(あなた)随分(ずいぶん)狼狽者(あわてもの)126否々(いやいや)(なん)でも先鞭(せんべん)をつけるお(かた)だと玉国別(たまくにわけ)さまが()つて()られたぢやありませぬか。127今度(こんど)貴方(あなた)率先(そつせん)して怪物(くわいぶつ)退治(たいぢ)をやつて(いただ)()いものですな』
128伊太彦(いたひこ)玉国別(たまくにわけ)(さま)のお(とも)をして()(とき)は、129どうしても(わし)先駆(せんく)(つと)めねばならない。130(しか)(なが)今日(けふ)(さん)(にん)総統者(そうとうしや)だから、131チツト(ばか)慎重(しんちよう)態度(たいど)(まも)つてるのだ。132まあエルさま、133先走(さきばし)りとなつて(はつしや)いで(くだ)さい。134まさかとなれば(この)伊太彦(いたひこ)宣伝使(せんでんし)がお(たす)(まを)すから』
135エル『ヘヽヽヽヽうまい(こと)仰有(おつしや)いますワイ。136(なん)ですか、137その足許(あしもと)は、138膝坊主(ひざぼし)大変(たいへん)活動(くわつどう)してるぢやありませぬか。139急性(きふせい)恐怖病(きようふびやう)(おこ)つたのでせう』
140伊太彦(いたひこ)(なに)141急性(きうせい)沈着病(ちんちやくびやう)勃発(ぼつぱつ)したのだ。142(けつ)して心配(しんぱい)()らぬ。143サア(すす)んだり(すす)んだり』
144エル『(なん)だかチツと(ばか)寂寥(せきれう)(かん)()たれて()ました。145(ひと)(うた)(うた)つて元気(げんき)をつけますから(はや)して(くだ)さい、146(たの)みますよ』
147ワックス『アハヽヽヽ、148到頭(たうとう)エルの(やつ)149生地(きぢ)(あら)はしやがつたな。150空威張(からゐば)りの睾丸潰(きんたまつぶ)しの大将(たいしやう)()151ウツフヽヽヽ』
152エル『こりやこりやワックス馬鹿(ばか)息子(むすこ)
153オツトドツコイこりや(ちが)うた
154善言(ぜんげん)美詞(びし)(この)(をしえ)
155(わす)れて(くち)(すべ)らせた
156ワックスさまよチツト(ばか)
157(はら)()つかは()らねども
158()つてる(とほ)りの狼狽者(あわてもの)
159(おも)はぬ(くち)(すべ)りました
160(かみ)(こころ)見直(みなほ)して
161(けつ)して(おこ)つちやなりませぬ
162岩戸(いはと)(くち)からドンドンと
163(かぎ)()られぬ階段(かいだん)
164(くだ)りて(また)(のぼ)りつめ
165(みぎ)(ひだり)屈曲(くつきよく)
166(やうや)くここに()()れば
167パツと(ひか)るは摩訶(まか)不思議(ふしぎ)
168合点(がてん)()かぬモンスター
169(ひと)調(しら)べて()むものと
170金剛杖(こんがうづゑ)をば()(かざ)
171ウンと(ばか)りに(うち)()うる
172ポンと(おと)して黒煙(くろけぶり)
173鳥賊(いか)(すみ)をば()(やう)
174四辺(あたり)真黒(まつくろ)々助(くろすけ)
175(つつ)んで(しま)つた可笑(をか)しさよ
176(しばら)(なが)()(うち)
177数多(あまた)のコンパス附着(ふちやく)して
178怪体(けたい)(からだ)中空(ちうくう)
179ヒヨロリ ヒヨロリと(ゆす)りつつ
180前方(ぜんぱう)さして()げて()
181此奴(こいつ)あテツキリ蜘蛛(くも)(せい)
182何処(どこ)々々(どこ)(まで)もおつついて
183往生(わうじやう)させねば()かないぞ
184此方(こちら)(いのち)をとらるるか
185向方(むかう)往生(わうじやう)さしてやるか
186(ふた)つの(うち)(ひと)つをば
187(えら)まにやならぬ(いま)破目(はめ)
188梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
189オツトドツコイ(くに)(おや)
190国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
191何卒(なにとぞ)エルに神力(しんりき)
192(うで)(たわわ)(あた)へませ
193(ひとへ)(ねが)(たてまつ)
194伊太彦(いたひこ)(つかさ)(したが)ひて
195(はじ)めて岩窟(いはや)探険(たんけん)
196出掛(でか)けた吾々(われわれ)両人(りやうにん)
197到底(たうてい)様子(やうす)(わか)らない
198如何(いか)なる(まが)陥穽(かんせい)
199()ちて(いのち)(おと)すやら
200(いま)から(あん)()ごされる
201あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
202御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
203 ()(うた)(なが)(また)もや(まが)(かど)()いた。204(かど)(まが)るや(いな)やワックスの(うつつ)()かして恋慕(れんぼ)して()たデビス(ひめ)起居(たちゐ)物腰(ものごし)(しとや)かに、205(そで)にて(あか)(くち)(かく)(なが)ら、206(やや)伏目勝(ふしめが)ちにスツクと()つて()る。207エルは(いきほひ)よく(すす)途端(とたん)に、208(この)(をんな)衝突(しようとつ)し、
209エル『アイタヽヽヽヽ210こりや阿魔(あま)(ちよ)211往来(わうらい)真中(まんなか)(だま)つて()てつて()やがるものだから、212到頭(たうとう)(おれ)出歯(でば)をきつい()()つて(しま)つたぢやないか。213これ()よ、214(この)(とほ)()(あひだ)から(くろ)()がポトポトと(なが)れてゐる。215(わる)(こと)(いた)しました」と一言(ひとこと)(あやま)らぬかい。216馬鹿(ばか)だな』
217(をんな)『ホヽヽヽヽ、218貴方(あなた)狼狽者(あわてもの)のエルさまぢやありませぬか。219(ひる)最中(さいちう)大道(だいだう)(ある)いては(うし)(しり)衝突(しようとつ)し、220(また)()んな(ところ)(あたい)のお(いど)衝突(しようとつ)し、221出歯(でば)()つとは天下(てんか)一品(いつぴん)のチヨカ(すけ)だな』
222エル『ヤア、223デビス(ひめ)(さま)(ござ)いましたか。224(はら)(わる)い、225吾々(われわれ)吃驚(びつくり)さそうと(おも)つて、226ソツと階段(かいだん)(くだ)り、227あの四辻(よつつじ)から、228ここへ先廻(さきまは)りして吃驚(びつくり)さす(かんが)へですな。229本当(ほんたう)(ひめ)(さま)三千彦(みちひこ)(つかさ)(おく)さまになつてから大変(たいへん)なお転婆(てんば)になりましたな。230おいワックス、231貴様(きさま)もこんな(ところ)で、232改心(かいしん)したと()ふものの幾分(いくぶん)未練(みれん)(のこ)つて()るだらうから、233一言(ひとくち)(うら)みの(かず)陳列(ちんれつ)して(ひめ)(さま)のお()きに(たつ)したらどうだ。234こんな()機会(きくわい)一生(いつしやう)(あひだ)(また)とは()いぞよ。235(おれ)邪魔(じやま)になるなら友達(ともだち)(よしみ)()()かしてやる。236モシ伊太彦(いたひこ)さま、237(すこ)しの()238(ひか)へて()りませうかな』
239伊太彦(いたひこ)『………………』
240ワックス『これは これは、241デビス(ひめ)(さま)242この(おそ)ろしい岩窟内(がんくつない)(をんな)一人(ひとり)探険(たんけん)とは(じつ)(おそ)()りました。243いや感心(かんしん)(いた)しました。244その健気(けなげ)なお(こころざし)看破(かんぱ)して245(この)ワックスは何時(いつ)(こころ)(なや)めたので(ござ)いますよ。246三千彦(みちひこ)(さま)のお(そば)(ちか)(にかは)(やう)(ひつ)ついて(よろこ)んで()らつしやるものだから247(かほ)()(なが)(まま)ならず、248(まる)写真(しやしん)()()(やう)だつたが、249今日(けふ)一言(ひとくち)(ぐらゐ)言葉(ことば)をかけて(くだ)さるでせうね』
250(をんな)『ホヽヽこれワックスさま、251貴方(あなた)はそこ(まで)(あたい)本当(ほんたう)(おも)つて(くだ)さるのですか。252本当(ほんたう)ならば(うれ)しいワ』
253ワックス『(さけ)()まずに、254どうして(をとこ)(をんな)(つか)まへて(うそ)()へませう。255心底(しんそこ)から()()だから、256ここ(まで)(じつ)(ところ)()いて()たのですよ。257チツトは(をとこ)(こころ)にも同情(どうじやう)()せて(もら)つても(あま)(ばち)(あた)りますまいがな』
258エル『アハヽヽヽヽおい、259ワックス、260そこだ そこだ、261正念場(しやうねんば)だ、262(しつか)りやれ、263ワツシヨ ワツシヨ』
264(をんな)『ホヽヽヽヽあのエルさまの睾丸潰(きんたまつぶ)しさま、265(いぬ)(なん)ぞの(やう)(けし)をかけなくても()いぢやありませぬか』
266エル『コレ、267(ひめ)さま、268一生(いつしやう)懸命(けんめい)ですよ。269友人(いうじん)(こひ)(かな)へてやり()いばつかりに(ほね)()つて()るのですから、270(あま)(にく)うはありますまい。271貴女(あなた)だつてこんな(ところ)一人(ひとり)()つてる(くらゐ)だから万更(まんざら)ワックスがお(きら)ひでない(こと)(ひやく)承知(しようち)272(せん)合点(がつてん)(わたし)273随分(ずいぶん)()()かして()げますよ。274(しか)(なが)伊太彦(いたひこ)さまがチツト(ばか)(けぶ)たうなつて()た。275モシ伊太彦(いたひこ)さま、276(おもて)(おもて)277(うら)(うら)278滅多(めつた)三千彦(みちひこ)さまの(おく)さまをワックスが()らうと()ふのぢやないから、279握手(あくしゆ)(ぐらゐ)大目(おほめ)()てやつて(くだ)さるでせうな』
280伊太彦(いたひこ)『オイ、281両人(りやうにん)282(この)(をんな)(ゆび)一本(いつぽん)でも()へる(こと)はならぬぞ。283大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)するからの』
284エル『()ても()ても融通(ゆうづう)()かぬ唐変木(たうへんぼく)だな。285おいワックス、286(おれ)三千彦(みちひこ)さまに弁解(べんかい)をしてやるから一寸(ちよつと)形式(けいしき)だけ握手(あくしゆ)やつたら如何(どう)だ』
287(をんな)『もし、288エルさま、289ワックスさまの代理(だいり)として貴方(あなた)握手(あくしゆ)しようぢやありませぬか、290握手(あくしゆ)したと()つても(けつ)して(こころ)貴方(あなた)(うつ)しませぬよ』
291エル『おいワックス、292(おれ)代理権(だいりけん)執行(しつかう)しても滅多(めつた)姦通(かんつう)訴訟(そしよう)(おこ)さないだらうな』
293ワックス『うん』
294エル『ハヽア、295此奴(こいつ)296(わり)とは()(よわ)(やつ)だ。297(はづ)かしいと()えるな。298それでは(この)エルが(しばら)弁理(べんり)公使(こうし)(つと)めてやらう。299サア、300デビスさま、301()()して御覧(ごらん)
302(をんな)『はい、303有難(ありがた)(ござ)います。304サア貴方(あなた)のお(てて)をズツと()ばして(くだ)さい』
305エル『仮令(たとへ)代理権(だいりけん)にもせよ、306こんなナイスに()(にぎ)られるのはチツト気分(きぶん)(わる)い……(こと)はないワイ。307エヘヽヽヽおい、308ワックス、309すみませぬな。310(かなら)()(わる)うして(くだ)さるな、311伊太彦(いたひこ)さま、312何卒(どうぞ)ここは宣伝使(せんでんし)のお(なさけ)(もつ)大目(おほめ)()(くだ)さい。313エツヘヽヽヽヽ』
314(うれ)(さう)(わら)(なが)らグツと()をつき()した。315(をんな)はエルの()(にぎ)るや(いな)(あか)(くちびる)へペタリと()てたと(おも)途端(とたん)316エルはキヤツと悲鳴(ひめい)()(その)()(たふ)れて(しま)つた。317(をんな)(たちま)般若(はんにや)(やう)(めん)になり、
318(をんな)『ケラケラケラケラケラ、319(わし)折角(せつかく)(やす)んでる(ところ)金剛杖(こんがうづゑ)(あたま)(なぐ)りやがつたから320(その)敵討(かたきうち)だ、321イツヒヽヽヽ』
322(あご)をしやくる途端(とたん)(また)もとの大蜘蛛(おほくも)となり323(かず)(かぎ)りもなきコンパスをニユツと(あら)はし324七八(しちはつ)(しやく)(うへ)(はう)(からだ)(うか)してノソリノソリと(おく)目蒐(めが)けて()うて()く。325伊太彦(いたひこ)(ただち)近寄(ちかよ)つてエルの傷所(きずしよ)(いき)()きかけ326(あま)数歌(かずうた)(うた)()げた。327半時(はんとき)(ばか)()つてエルは(やうや)正気(しやうき)づき、328(いた)さを(こら)(なが)意気(いき)消沈(せうちん)(てい)329二人(ふたり)(あと)(したが)ひおづおづし(なが)(すす)()く。
330大正一二・四・七 旧二・二二 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)

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