霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 噴火口(ふんくわこう)〔一六六二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第1篇 盗風賊雨 よみ(新仮名遣い):とうふうぞくう
章:第6章 噴火口 よみ(新仮名遣い):ふんかこう 通し章番号:1662
口述日:1923(大正12)年07月15日(旧06月2日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6506
愛善世界社版:73頁 八幡書店版:第11輯 637頁 修補版: 校定版:77頁 普及版:37頁 初版: ページ備考:
001 エムは伊太彦(いたひこ)(さき)()ち、002(ふる)(ごゑ)()(なが)ら、003道々(みちみち)(うた)(のぼ)()く。
004エム『バラモン(けう)軍人(いくさびと)
005伍長(ごちやう)となつた(この)エムは
006鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)
007猪倉山(ゐのくらやま)(とりで)にて
008(いくさ)解散(かいさん)した(ゆゑ)
009是非(ぜひ)なく(ここ)盗人(ぬすびと)
010なり(さが)りたる()因果(いんぐわ)
011ウントコドツコイ ハアハアハア
012(おん)大将(たいしやう)比丘(びく)となり
013(かね)沢山(どつさり)(ふところ)
014()れてどこかに()げて()
015(あと)(のこ)つた雑兵(ざふひやう)
016ウントコドツコイきつい(さか)
017目腐(めくさ)(がね)(いただ)いて
018(つき)(みやこ)(かへ)ろにも
019旅費(りよひ)にも()らぬあはれさに
020やけをおこして(さけ)()
021(いま)(せん)なき真裸体(まつぱだか)
022セールの大将(たいしやう)(したが)ふて
023虎熊山(とらくまやま)岩窟(がんくつ)
024(ひと)のいやがる盗人(ぬすびと)
025乾児(こぶん)のはしに(くは)へられ
026(わづか)(いのち)(たも)ちつつ
027(かぜ)()いてもビツクビク
028(やま)()つても(むね)(をど)
029ドキドキドキと()(なか)
030(おそ)(をのの)(くら)しつつ
031今日(けふ)()(まで)()れて()
032ウントコドツコイ ドツコイシヨ
033折角(せつかく)(ひと)(うま)()
034(ひと)(ふところ)あてにする
035(わる)泥棒(どろばう)となり(さが)
036(この)()(しの)(くる)しさよ
037(くに)にまします両親(りやうしん)
038(あに)(いもと)()いたなら
039(さぞ)(おどろ)(こと)だらう
040(むね)勲章(くんしやう)をブラさげて
041天晴(あつぱれ)手柄(てがら)(あら)はしつ
042(かへ)つて()るかと朝夕(あさゆふ)
043家族(かぞく)()つて()るだらうに
044(おも)へば(おも)へば(なさけ)ない
045つまらぬ(こと)になつて()
046それでも()はんが(かな)しさに
047泥棒(どろばう)仲間(なかま)(くは)へられ
048(わる)(こと)とは()(なが)
049(なが)太刀(だんびら)()りまはし
050(ひと)(おど)して(かね)()
051こんな商売(しやうばい)をいつ(まで)
052(つづ)けて()つた(こと)ならば
053梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
054大国彦(おほくにひこ)大神(おほかみ)
055(たちま)冥罰(めいばつ)(あた)るだらう
056(はや)(こころ)(あらた)めて
057(ぜん)(しん)との真道(まさみち)
058(かへ)()いとは(おも)へども
059(なに)()つても(かね)()きや
060(ぜん)をせうにも(みち)()
061()むを()ずして悪党(あくたう)
062仲間(なかま)今日(けふ)(まで)()れて()
063ツクヅク(この)()(いや)になり
064(つみ)(ほろ)ぼしに虎熊(とらくま)
065噴火口(ふんくわこう)にと()()げて
066(ほろ)びて(しまは)ふと(おも)ふたが
067(なん)だか(いのち)()しくなり
068臆病風(おくびやうかぜ)にさそはれて
069(しに)さへならぬ(くる)しさよ
070タールの(やつ)二人(ふたり)()
071(この)山口(やまぐち)(あら)はれて
072往来(ゆきき)(ひと)(かす)めむと
073(はなし)にふける(をり)もあれ
074四辺(あたり)木魂(こだま)をひびかせて
075(たちま)(きこ)ゆるホラの(こゑ)
076(たましひ)ふるひ(しん)()
077身体(しんたい)(たちま)戦慄(せんりつ)
078密樹(みつじゆ)(かげ)()(ひそ)
079因果(いんぐわ)(さだ)むる(をり)もあれ
080鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)
081比丘(びく)姿(すがた)(あら)はれて
082()(にん)弟子(でし)()(むか)
083善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)(ことわり)
084()かせたまふぞ有難(ありがた)
085ここにいよいよ村肝(むらきも)
086(こころ)(そこ)より(あらた)めて
087(あく)をフツツリ(おも)()
088これから難行(なんぎやう)苦行(くぎやう)して
089(ひと)つの仕事(しごと)(くら)ひつき
090()()(くだ)父母(ちちはは)
091安心(あんしん)させむものをぞと
092(ここ)(まで)(かへ)()()れば
093泥棒(どろばう)仲間(なかま)のタツ(こう)
094路傍(ろばう)(いし)(こし)かけて
095やすんで()るのに出会(でつくは)
096鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)
097(をしへ)言葉(ことば)受売(うけうり)
098(はじ)めて()つた(とこ)だつた
099そこへ伊太彦(いたひこ)宣伝使(せんでんし)
100宣伝歌(せんでんか)をば(うた)ひつつ
101(あら)はれまして両人(りやうにん)
102(まなこ)をいからし詰問(きつもん)
103たしなめたまふ権幕(けんまく)
104(おそ)ろし(やつ)(あつ)まつた
105泥棒(どろばう)岩窟(いはや)案内(あんない)
106()かけて()くのは(なさけ)ない
107これもやつぱり旧悪(きうあく)
108(むく)いが()たのか(かな)しさよ
109梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
110(あは)れみ(たま)ひエム、タツの
111二人(ふたり)氏子(うぢこ)(つつが)なく
112岩窟(いはや)()りぬけ本国(ほんごく)
113()ちかへるべく(まも)りませ
114ウントコドツコイ ドツコイシヨ
115アイタタ タツタ(つまづ)いた
116肝心要(かんじんかなめ)親指(おやゆび)
117(つめ)がおきたか()(にじ)
118本当(ほんたう)(いた)(くる)しいわ
119これこれもうし宣伝使(せんでんし)
120(わたし)(ゆび)伊太(いたひこ)
121(かみ)(つかさ)(あか)()
122(わたし)(こころ)表現(へうげん)
123あはれみたまひて逸早(いちはや)
124(この)案内(あんない)(ゆる)しませ
125(なん)だか(さき)(おそ)ろしい
126(あし)はブルブル(ふる)ひだし
127(こし)はワナワナ(をのの)いて
128もはや一歩(いつぽ)()かれない
129あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
130御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
131伊太(いた)『アハヽヽヽ、132()(よわ)(やつ)だなア。133ようそんな(こと)(いま)(まで)泥棒(どろばう)出来(でき)たものだなア、134まア一服(いつぷく)せい』
135エム『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。136そんなら此処(ここ)(ひと)つ、137一服(いつぷく)(いた)しませう』
138(さん)(にん)阪道(さかみち)(かたはら)(いき)(やす)めて()る。139伊太彦(いたひこ)(こころ)()(ごと)(いそ)げども、140何分(なにぶん)(みち)不案内(ふあんない)(こと)とて、141(この)両人(りやうにん)案内(あんない)させるより良法(りやうはふ)はないと(かん)じ、142二人(ふたり)(いた)はつて、143(しばら)休息(きうそく)(ゆる)したのである。
144伊太彦(いたひこ)(あふ)()れば虎熊山(とらくまやま)(いただき)
145(てん)(むか)つて(ほのほ)()きつつ。
146()(かみ)(あさ)(ゆふ)なに(すさ)ぶなる
147(この)高山(たかやま)曲津見(まがつみ)宿(やど)
148盗人(ぬすびと)(かしら)(すく)岩窟(いはやど)
149二人(ふたり)(ひめ)()(かこ)つらむ。
150(よる)(ひか)(たま)(ちから)(あら)はして
151(まが)(かしら)()らさむとぞ(おも)ふ。
152()西(にし)(はや)(かたむ)きて(やま)(たか)
153(いそ)ぎて()けよ二人(ふたり)案内者(あないしや)
154エム『(こころ)のみ千々(ちぢ)(あせ)れど如何(いか)にせむ
155足腰(あしこし)(ふる)(まま)ならぬ()は』
156タツ『竜神(りうじん)(たま)をいだきし(きみ)ならば
157(おそ)れは(あら)(ひと)(のぼ)りませ。
158(よる)(ひか)(たま)()ちます(きみ)ならば
159案内(あない)(ひと)如何(いか)()るべき』
160伊太彦(いたひこ)(なんぢ)()言葉(ことば)(かま)(あやふ)きを
161のがれむとする卑怯者(ひけふもの)ぞや。
162()()てよ(こころ)持方(もちかた)(ひと)つにて
163(やす)(のぼ)れむ(この)阪道(さかみち)も』
164エム『是非(ぜひ)もなし(つかさ)言葉(ことば)(したが)ひて
165(いのち)(かぎ)りに案内(あんない)やせむ』
166タツ『のがるべき(みち)にあらねば(われ)(また)
167エムのしりへに(したが)ひゆかむ』
168 かく(うた)ひながら、169二人(ふたり)屠所(としよ)()かるる(ひつじ)(ごと)く、170ハアハアと(いき)(くる)しげに(のぼ)りゆく。
171大正一二・七・一五 旧六・二 於祥雲閣 加藤明子録)
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