霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一三章 隔世談(かくせいだん)〔一六六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第3篇 虎熊惨状 よみ(新仮名遣い):とらくまさんじょう
章:第13章 隔世談 よみ(新仮名遣い):かくせいだん 通し章番号:1669
口述日:1923(大正12)年07月16日(旧06月3日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6513
愛善世界社版:151頁 八幡書店版:第11輯 664頁 修補版: 校定版:157頁 普及版:71頁 初版: ページ備考:
001伊太彦(いたひこ)(かみ)(をしへ)伊太彦(いたひこ)
002初稚姫(はつわかひめ)訓戒(いましめ)
003(こひ)しき(つま)()(わか)
004一人(ひとり)トボトボ山道(やまみち)
005いとど(はげ)しき炎熱(えんねつ)
006(たたか)(なが)汗水(あせみづ)
007なりて山野(さんや)(わた)()
008(こころ)(さび)しき一人旅(ひとりたび)
009(かみ)(めぐ)みを(ちから)とし
010夜光(やくわう)(たま)(つゑ)として
011(わが)()(きみ)(つま)()
012(あん)(わづら)ひハルセイの
013(ぬま)(ほとり)()()れば
014(ひと)(かす)むる盗人(ぬすびと)
015二人(ふたり)(をとこ)(めぐ)()
016(かみ)(をしへ)()(さと)
017大泥棒(おほどろばう)(たて)()もる
018虎熊山(とらくまやま)岩窟(がんくつ)
019(つま)(みこと)やデビス(ひめ)
020二人(ふたり)()をば(たす)けむと
021(のぼ)()(をり)(かたはら)
022(はやし)(なか)(うめ)(ごゑ)
023何者(なにもの)なるか()らねども
024見捨(みす)てかねたる義侠心(ぎけふしん)
025近付(ちかづ)()れば暴虐(ばうぎやく)
026(かぎ)りを(つく)大泥棒(おほどろばう)
027ハールが(かしら)繃帯(ほうたい)
028(むし)(いき)にて(うめ)きゐる
029伊太彦(いたひこ)(たちま)三五(あななひ)
030(かみ)御名(みな)をば奉称(ほうしよう)
031(あま)数歌(かずうた)(こゑ)(たか)
032(うた)へば不思議(ふしぎ)(たちま)ちに
033(いづ)神徳(しんとく)(あら)はれて
034ハールはムツクと()(あが)
035救命(きうめい)謝恩(しやおん)宣言(のりごと)
036(よろこ)(いさ)(をり)もあれ
037エムとタツとの両人(りやうにん)
038伊太彦(いたひこ)(つかさ)(うち)(むか)
039ハールの罪悪(ざいあく)一々(いちいち)
040()(つた)ふれば伊太彦(いたひこ)
041(まこと)(みち)()(さと)
042ハールを岩窟(いはや)案内(あない)とし
043(いき)もせきせき(のぼ)()
044さしも堅固(けんご)岩窟(がんくつ)
045その入口(いりぐち)()()れば
046番人(ばんにん)一人(ひとり)()らばこそ
047藻抜(もぬ)けの(から)不思議(ふしぎ)さに
048ドンドンドンと隧道(トンネル)
049ハール、エム、タツに案内(あない)させ
050牢獄(ひとや)(まへ)()()れば
051豈計(あにはか)らむや治道(ちだう)居士(こじ)
052デビスの(ひめ)やブラヷーダ
053改心組(かいしんぐみ)一同(いちどう)
054セールの親分(おやぶん)真中(まんなか)
055四五(しご)小頭(こがしら)(とり)(かこ)
056(をしへ)()るる最中(さいちう)
057(さと)りし(とき)(うれ)しさよ
058(あん)()ごした(わが)(つま)
059無事(ぶじ)なる(かほ)一目(ひとめ)()
060()きつき()くは(おも)へども
061初稚姫(はつわかひめ)(おん)(をしへ)
062あたりの(ひと)手前(てまへ)をば
063(はぢ)らひ(くる)しさ相忍(あひしの)
064ハールを()れて(ただ)二人(ふたり)
065虎熊山(とらくまやま)(あと)にして
066セルの山辺(やまべ)()()れば
067(かみ)(めぐ)みの(もも)(はな)
068(ところ)()(まで)()(にほ)
069(はちす)(はな)殊更(ことさら)
070(しろ)(あを)黄色(きいろ)(むらさき)
071(えん)(きそ)ひてザワザワと
072(すず)しき(かぜ)(ひるがへ)
073(ゑみ)(たた)へて(むか)へゐる
074あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
075(われ)(たふと)大神(おほかみ)
076御稜威(みいづ)()けて大野原(おほのはら)
077(とら)()山辺(やまべ)(つつが)なく
078神都(みやこ)をさして(すす)()
079(こころ)(うち)(たの)しけれ
080朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
081(つき)()つとも()くるとも
082(つき)()(ほし)()ゆるとも
083印度(いんど)(うみ)はあするとも
084虎熊山(とらくまやま)破裂(はれつ)して
085熔岩(ようがん)四方(よも)()らすとも
086いかでか(おそ)れむ惟神(かむながら)
087(かみ)(まか)せし吾々(われわれ)
088(いた)(ところ)青山(せいざん)
089()びを(てい)して()てるあり
090(おも)へば(おも)へば有難(ありがた)
091天国(てんごく)浄土(じやうど)光景(くわうけい)
092(いま)()(あた)(なが)めつつ
093(たふと)(きよ)三五(あななひ)
094(をしへ)(みち)(すす)()
095あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
096御霊(みたま)のふゆを()(まつ)る』
097 二抱(ふたかか)へもあらうといふパインが、098一方(いつぱう)(やま)099一方(いつぱう)野辺(のべ)細道(ほそみち)(かたはら)に、100(つき)(かさ)(ひろ)げたやうに(ただ)一本(いつぽん)(そび)()つてゐる。101その(まつ)木蔭(こかげ)に、102四五(しご)(にん)(をとこ)(くび)(あつ)めて何事(なにごと)か、103ヒソビソ(はなし)(ふけ)つてゐた。
104(かふ)『オイ、105そこら(ぢう)民家(みんか)(あさ)つて、106葡萄酒(ぶだうしゆ)やいろいろの(さかな)掠奪(りやくだつ)して()たが、107(しか)(はや)(かへ)らないと、108今夜(こんや)結婚(けつこん)()()はないかも()れぬぞ。109さうすりや(また)親分(おやぶん)から叱言(こごと)頂戴(ちやうだい)せなならぬからのう』
110(おつ)『どれ(ほど)(いそ)いだ(ところ)で、111(これ)(だけ)道程(みちのり)だ。112到底(たうてい)今夜(こんや)()()ひさうな(こと)はないわ。113一層(いつそう)(こと)114(さけ)(さかな)もここにあるから、115(この)(まつ)()(した)で、116一杯(いつぱい)やらうではないか』
117(かふ)『そんな(こと)したら、118それこそ大変(たいへん)だ。119(おれ)(たち)(すぐ)破門(はもん)されて(しま)ふぞ。120破門(はもん)だけならいいが、121(よそ)()(しや)べると()つて手足(てあし)をフン(しば)られ、122噴火口(ふんくわこう)()()れられて()よ。123あつたら(いのち)(だい)なしだ。124貴様(きさま)(さけ)(くら)ふとワヤな(こと)()ふから駄目(だめ)だ』
125(おつ)(なに)126(かま)ふものかい。127かうして()(にん)()れば、128(ひと)つの(むら)でも団体(だんたい)でも(つく)れるから、129あんな(たか)(やま)()かずに、130(ひと)新団体(しんだんたい)でも(こしら)へて自由(じいう)行動(かうどう)でも()つたらどうだ』
131 (へい)132(てい)133()(さん)(にん)()()つて、
134(さん)(にん)『イヤ、135賛成(さんせい)136(おつ)()(とほ)りだ。137(べつ)にセールの大将(たいしやう)を、138さう(こは)がるに(およ)ばぬぢやないか。139あんな大将(たいしやう)(かしら)(あふ)いでると、140何時(いつ)どんな()()はされるか(わか)りはせぬぞ。141あの副親分(ふくおやぶん)()い、142あれ(だけ)(ほね)()つて基礎(きそ)(かた)めたが、143(つひ)暗打(やみうち)にあつて(あたま)()つて(しま)つたぢやないか。144(おれ)やハールの親分(おやぶん)()(どく)(たま)らぬわ。145その(とき)から岩窟(いはや)()()さう()()さうと(おも)つて()つたのだが、146今度(こんど)大親分(おほおやぶん)婚礼(こんれい)材料(ざいれう)(あつ)めて()いと()して()れた(とき)147(ふたた)岩窟(いはや)(かへ)るまいと覚悟(かくご)をきめた(くらゐ)だから、148マア一杯(いつぱい)ここでやつて相談(さうだん)をきめようぢやないか』
149(かふ)『トランスの相談(さうだん)をきめると()つても、150(べつ)立派(りつぱ)(あん)()まいぢやないか』
151(おつ)(やかま)しう()ふな。152(おれ)()(とほ)りにせい。153(おれ)はこう()えても餓鬼(がき)会社(くわいしや)社長(しやちやう)をやつて()つたものだ。154田舎(いなか)(むら)ではあるけれど、155それでも、156ザツと五十軒(ごじつけん)ばかりの戸主(こしゆ)から(えら)まれて村会(そんくわい)議員(ぎゐん)157(いな)村会(そんくわい)代議士(だいぎし)一度(いちど)当選(たうせん)した(をとこ)だぞ。158(なん)()つても尋常(じんじやう)大学(だいがく)出身者(しゆつしんしや)だからな』
159(へい)『アハヽヽヽ、160尋常(じんじやう)大学(だいがく)()いて(あき)れるわい。161村会(そんくわい)代議士(だいぎし)なんてまだ()(はじ)めだ。162戸別(こべつ)巡礼(じゆんれい)をやつて、163ヤツとの(こと)村会(そんくわい)議員(ぎゐん)になつたのだらう』
164(てい)(なに)165此奴(こいつ)村会(そんくわい)議員(ぎゐん)どころか、166此奴(こいつ)奉公(ほうこう)して()つた主人(しゆじん)村会(そんくわい)議員(ぎゐん)になつて()つたのだ。167その(こと)()つてるのだよ』
168(へい)『アハヽヽヽ、169大方(おほかた)170そんな(こと)だらうと(おも)つて()つた』
171(おつ)馬鹿(ばか)()ふない。172主人(しゆじん)がならうと、173(おれ)がならうと、174(おな)一軒(いつけん)(うち)住居(ぢうきよ)してる以上(いじやう)(おな)(こと)ぢやないか。175エー、176(おく)さまは村会(そんくわい)代議士(だいぎし)夫人(ふじん)(あが)められてゐる以上(いじやう)は、177(おれ)だつて村会(そんくわい)代議士(だいぎし)家僕(かぼく)だ、178主人(しゆじん)(こころ)(しもべ)(こころ)179(しもべ)(こころ)主人(しゆじん)(こころ)()(こと)()らぬかい。180(わけ)(わか)らぬ(やつ)だな』
181(へい)『どちらが(わけ)(わか)らぬか、182本当(ほんたう)(わか)らぬわい。183(こま)つた唐変木(たうへんぼく)だな。184オイ村会(そんくわい)代議士(だいぎし)185そんなら(ひと)(あん)()して()れ。186その(うへ)賛否(さんぴ)(けつ)(あた)へねばならぬからのう』
187(おつ)『ヨシ、188かう()(こと)があらうと(おも)つて、189(まへ)から腹案(ふくあん)(こしら)へて()つてゐたのだ。
190○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
191まア、192こんなものだよ。193どうだ賛成(さんせい)だらうな。194アハヽヽヽ』
195(へい)『いや、196大方(おほかた)賛成(さんせい)だ。197(しか)し、198宣伝使(せんでんし)199比丘(びく)(たい)する条目(でうもく)だけは削除(さくぢよ)して()しいものだな』
200(おつ)『そら(また)何故(なぜ)だ。201(あや)しい(こと)()ふぢやないか』
202(へい)宣伝使(せんでんし)比丘(びく)神仏(しんぶつ)(つか)へるものだ。203あんな(もの)(むか)へば、204(たちま)(ばち)(あた)り、205身体(からだ)(うご)けぬやうになるからな』
206(おつ)『アハヽヽヽ、207()(よわ)いものだな。208宣伝使(せんでんし)(なに)(こは)い。209()寸鉄(すんてつ)()びるでなし、210まるで(はうき)蜻蛉(とんぼ)(おさ)へるやうなものだ』
211(かふ)『そんな(こと)()はずに(はや)(かへ)らうぢやないか』
212(おつ)矢釜(やかま)しう()ふない。213(かへ)()(やつ)はトツトと(かへ)れ。214そして親分(おやぶん)二人(ふたり)のナイスをおいて脂下(やにさが)つてゐる(ところ)を、215ケナリさうな(かほ)して(ゆび)(くは)へて()せて(もら)へ。216それが貴様(きさま)(しやう)()うてるわい。217ウツフヽヽヽ。218これ(だけ)沢山(たくさん)(さけ)(さかな)()つて()(なが)ら、219(また)(ひと)()られるのも残念(ざんねん)だ。220(この)(まつ)(した)鱈腹(たらふく)()つて、221新団体(しんだんたい)組織(そしき)して活躍(くわつやく)するのだ。222どうだ(へい)223(てい)224()225賛成(さんせい)だらう』
226(へい)(てい)()賛成(さんせい)々々(さんせい)
227(おつ)『これ()()(にん)まで大多数(だいたすう)賛成(さんせい)があるのに、228(ただ)一人(ひとり)異議(いぎ)(とな)へるのは、229(おれ)(たち)計画(けいくわく)裏切(うらぎ)るものだ。230エー面倒(めんだう)(くさ)い。231(ひと)つバラしてやらうかい。232(これ)泥棒(どろばう)練習(れんしふ)になり肝玉(きもだま)(すは)つていいぞ』
233(かふ)『オイ、234コラコラそんな無茶(むちや)(こと)()ふない。235(おれ)一口(ひとくち)異見(いけん)(とな)へたと()つて、236バラすの(なん)のつて、237(あんま)りぢやないか』
238(おつ)『あんまりも(くそ)もあつたものかい。239貴様(きさま)常平生(つねへいぜい)から大将(たいしやう)のお(ひげ)(ちり)(ばか)(はら)ひやがつて、240(おれ)(たち)悪口(わるくち)(ばか)()げた(やつ)だ。241サア(さん)(にん)兄弟(きやうだい)242此奴(こいつ)をヤツつけて(しま)へ』
243 ここに()(にん)(かふ)(いち)(にん)()りまいて、244四辺(あたり)棒千切(ぼうちぎれ)(ひろ)()ちかかつた。245(かふ)矢庭(やには)木片(きぎれ)(ひろ)ひ、246(ちから)(かぎ)りに防禦(ばうぎよ)(つと)めてゐる。
247 かかる(ところ)四辺(あたり)木精(こだま)(ひび)かして(きこ)えて()たのは宣伝歌(せんでんか)(こゑ)であつた。248()(にん)各自(めいめい)(きず)だらけになつたまま、249その()平太(へた)つて(しま)つた。
250 ハールは伊太彦(いたひこ)(したが)ひ、251ここ(まで)やつて()()(にん)(をとこ)(たふ)れてゐるのに不審(ふしん)(おこ)し、252わざわざ(まつ)()根元(ねもと)()(みち)して調(しら)べて()ると、253(いま)(まで)使(つか)つて()()(にん)部下(ぶか)であつた。254ハールは大喝(だいかつ)一声(いつせい)255()()(なが)ら、
256ハール『こらツ、257者共(ものども)258(なに)(いた)して()るか』
259(かふ)『ハイ、260親方(おやかた)261よう()(くだ)さいました。262(いま)()(にん)(やつ)め、263貴方(あなた)大親分(おほおやぶん)(たい)し、264謀反(むほん)相談(さうだん)(いた)しましたので、265(わたし)意見(いけん)しました(ところ)266大変(たいへん)(はら)()て、267(ころ)してやらうと()つて()んな()()はせました。268(わたし)(ちから)一杯(いつぱい)(たたか)ひ、269()みどろになつて()ります(ところ)へ、270(おそ)ろしい宣伝歌(せんでんか)(きこ)えましたので、271(たれ)尻餅(しりもち)をついて身動(みうご)きが出来(でき)ぬやうになつたのです。272何卒(どうぞ)副親分(ふくおやぶん)(さま)273(わたし)(たす)けて(くだ)さいませ』
274ハール『ア、275(まへ)はオスだつたな。276そして其処(そこ)(たふ)れてゐる(やつ)は、277メスにキス、278バツタにイナゴだな。279こりやこりやメス、280キス、281バツタにイナゴ、282その(かほ)(なん)だ。283ヤツパリ貴様(きさま)相変(あひかは)らず泥棒(どろばう)をやらうとするのか。284もういい加減(かげん)改心(かいしん)したらどうだ。285オス貴様(きさま)泥棒(どろばう)なんか、286(わる)(こと)(いた)すでないぞ』
287オス『ヘイ、288泥棒(どろばう)はもう出来(でき)ませぬか』
289ハール『ウン、290(なに)()新規(しんき)()(なほ)しだ。291虎熊山(とらくまやま)岩窟(いはや)最早(もはや)(ほろ)びて(しま)ふたのだ。292それ(ゆゑ)(おれ)(やかた)()かれ、293()(ところ)()いので(にはか)改心(かいしん)して宣伝使(せんでんし)のお(とも)をして、294(まこと)(みち)(たび)をしてゐるのだ。295貴様(きさま)もいい加減(かげん)泥棒(どろばう)商売(しやうばい)()めたがよからうぞ』
296メス『もしもし副親分(ふくおやぶん)さま、297そりや本当(ほんたう)ですか。298(わたし)(いま)299貴方(あなた)には()まないが、300あまり親分(おやぶん)横暴(わうばう)(こと)をやるので、301(じつ)愛憎(あいそ)をつかし新団体(しんだんたい)組織(そしき)し、302(いま)ここで定款(ていくわん)まで(こしら)へ、303発会式(はつくわいしき)(をは)つた(ところ)(ござ)います。304そした(ところ)305オスの(やつ)306反対(はんたい)(とな)へるものだから、307(この)(やう)時勢(じせい)()はぬ骨董品(こつとうひん)片付(かたづ)けた(はう)がよいと(おも)ひ、308()のめさうとした(ところ)(ござ)います。309何卒(どうぞ)310貴方(あなた)311(わたし)(たち)団長(だんちやう)となつて一旗(ひとはた)()げて(くだ)さいますまいかな』
312ハール『馬鹿(ばか)()ふな。313泥棒(どろばう)はスツカリ廃業(はいげふ)したのだ。314ここに(ござ)宣伝使(せんでんし)神力(しんりき)無双(むさう)生神(いきがみ)(さま)だ。315(ふところ)夜光(やくわう)(たま)()つて(ござ)るから、316貴様(きさま)()(こころ)(そこ)()にとる(ごと)御存(ごぞん)じだぞ』
317メス『ハイ、318貴方(あなた)本当(ほんたう)廃業(はいげふ)なさつたのなら仕方(しかた)がありませぬ。319(わたし)(たち)勝手(かつて)小団体(せうだんたい)(つく)つて商売(しやうばい)繁昌(はんじやう)のため大活動(だいくわつどう)(いた)しますから』
320ハール『オイ、321やめたらどうだ。322そんな(こと)()ふと虎熊山(とらくまやま)破裂(はれつ)したらどうする。323破裂(はれつ)前兆(ぜんてう)として、324あの(とほ)噴煙(ふんえん)濛々(もうもう)(たち)(あが)つてるぢやないか。325あの鳴動(めいどう)()け。326(おれ)(たち)仲間(なかま)霊山(れいざん)(けが)したによつて、327(やま)(かみ)(さま)立腹(りつぷく)して(ござ)るのだ。328貴様(きさま)もここで改心(かいしん)せなくちや虎熊山(とらくまやま)熔岩(ようがん)(おし)(つぶ)されて(しま)ふぞ』
329メス『今更(いまさら)泥棒(どろばう)をやめた(ところ)で、330(これ)()商売(しやうばい)()し、331仕方(しかた)がありませぬわ。332人間(にんげん)意志(いし)自由(じいう)(いう)してゐますから、333何卒(どうぞ)(わたし)意志(いし)(まで)束縛(そくばく)して(くだ)さいますな。334のう、335キス、336バツタ、337イナゴ、338さうぢやないか』
339 (さん)(にん)一度(いちど)に、
340『ウン、341さうださうだ、342泥棒(どろぼう)三日(みつか)したら(あぢ)(わす)れられぬと()ふから、343今更(いまさら)やめいと()つても()められるものかい。344(おれ)(たち)(はじ)めから泥棒(どろばう)したくはなかつたが、345セール、346ハールの親方(おやかた)がすすめたから(はじ)めたのだ。347折角(せつかく)(なが)348ハール親分(おやぶん)提案(ていあん)には賛成(さんせい)する(こと)出来(でき)ませぬわい』
349ハール『左様(さやう)(こと)(まを)してゐると(いま)虎熊山(とらくまやま)破裂(はれつ)し、350貴様(きさま)()滅亡(めつぼう)せなくてはならぬぞ』
351メス『ハヽヽヽ、352虎熊山(とらくまやま)(むかし)古来(こらい)から噴火(ふんくわ)してゐますよ。353(うな)るのも鳴動(めいどう)するのも今日(けふ)(はじ)まつた(こと)ぢやありませぬわい。354(おほ)きにお世話(せわ)さまです。355貴方(あなた)のやうに泥棒心(どろばうごころ)(にはか)()くなるやうな腰抜(こしぬ)けには、356(よう)はありませぬわ』
357身体(からだ)丈夫(ぢやうぶ)になつたのでソロソロ(つよ)くなり、358(また)もや泥棒(どろばう)至上(しじやう)主義(しゆぎ)(さか)んに()()てる。359(へい)360(てい)361()(さん)(にん)川水(かはみづ)(なが)るる(ごと)泥棒(どろばう)有益(いうえき)なる(こと)をまくし()て、362ハールを手古摺(てこず)らしてゐる。363(くも)にかすんだ虎熊山(とらくまやま)鳴動(めいどう)(にはか)猛烈(まうれつ)となり、364大地(だいち)はビリビリビリと(ふる)()して()た。365流石(さすが)()(にん)真青(まつさを)になつて(くさ)()ぶり()いてゐる。366轟然(ぐわうぜん)たる一発(いつぱつ)(ひびき)(とも)に、367虎熊山(とらくまやま)大爆発(だいばくはつ)()たし、368黒煙(こくえん)(てん)(みなぎ)り、369熔岩(ようがん)(あめ)(ごと)く、3691四方(しはう)散乱(さんらん)370(すう)()(へだ)てた(この)地点(ちてん)(まで)()つて()た。371一同(いちどう)(おそ)(をのの)いて(にはか)(こころ)(ひるがへ)し、372改心(かいしん)祈願(きぐわん)をなし(はじ)めた。373(かみ)御恵(みめぐみ)か、374(あめ)(ごと)()(きた)つた巨大(きよだい)なる熔岩(ようがん)一人(ひとり)(きず)つけずにをさまつて(しま)つた。375これより一同(いちどう)改心(かいしん)(たふと)(こと)(さと)り、376伊太彦(いたひこ)宣伝使(せんでんし)(したが)ひお(れい)(まゐ)りと(しよう)して聖地(せいち)エルサレムへ(むか)(こと)となつた。
377大正一二・七・一六 旧六・三 於祥雲閣 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki