霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 熊鷹(くまたか)〔一六七六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第4篇 神仙魔境 よみ(新仮名遣い):しんせんまきょう
章:第20章 熊鷹 よみ(新仮名遣い):くまたか 通し章番号:1676
口述日:1923(大正12)年07月17日(旧06月4日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-04-07 14:03:15 OBC :rm6520
愛善世界社版:218頁 八幡書店版:第11輯 687頁 修補版: 校定版:229頁 普及版:98頁 初版: ページ備考:
001 三千彦(みちひこ)002スマナー(ひめ)二人(ふたり)は、003黄昏(たそがれ)(やみ)(さいは)ひ、004ソツト家路(いへぢ)(かへ)り、005裏口(うらぐち)から(かんが)へてゐた。006テーラは二三十(にさんじふ)(にん)(わか)(をとこ)(あつ)めて、
007テーラ『オイ、008(まへ)(たち)0081青年隊(せいねんたい)宣告(せんこく)をしておくが、009(この)(とほ)一家(いつか)断絶(だんぜつ)(やく)()ひ、010スマナーが(ただ)一人(ひとり)(のこ)つて()つたが、011それも(また)()うしたものか、012行衛(ゆくゑ)不明(ふめい)となつて(しま)つた。013()うなるといふと、014ここの遺産(ゐさん)法律(はふりつ)(じやう)親戚(しんせき)(もの)()がねばならぬ。015ハテ(こま)つた(こと)出来(でき)たものだ。016(おれ)(もと)より寡欲(くわよく)恬淡(てんたん)だから、017親類(しんるゐ)財産(ざいさん)()しいとは(ゆめ)にも(おも)はぬが、018これも(てん)から()つて()いた出来事(できごと)だから、019辛抱(しんばう)して遺産(ゐさん)相続(さうぞく)する(こと)にするから、020青年隊(せいねんたい)()連中(れんちう)021何卒(どうぞ)(おれ)同情(どうじやう)してくれ(たま)へ。022ホンに(こま)つた(こと)がイヒヽヽヽ到来(たうらい)したものだよ。023今日(けふ)(まへ)(たち)()(もら)うたのは、024一杯(いつぱい)(いはひ)……オツトドツコイ、025(いはひ)(どころ)家内中(かないぢう)全滅(ぜんめつ)したのだから、026()(ひと)(たましひ)(なぐさ)める(ため)にタラ(ふく)()んで(もら)ひたいのだ。027(おれ)(こしら)へた財産(ざいさん)ぢやなし、028(さけ)(くらゐ)充分(じゆうぶん)()ましてやるから、029ドシドシ()んでくれよ』
030得意面(とくいづら)をさらしてゐる。031青年(せいねん)(なか)より一人(ひとり)(をとこ)032テーラの(まへ)(すす)()り、
033ターク『オイ、034テーラ、035一家(いつか)全滅(ぜんめつ)とはそら(なに)()ふのだ。036ここにはスマナーといふ未亡人(みばうじん)(のこ)つてるぢやないか、037未亡人(みばうじん)のある以上(いじやう)は、038(きさま)自由(じいう)にはなるまいぞ。039何程(なにほど)(きさま)自由(じいう)にするといふても、040青年隊(せいねんたい)承知(しようち)せぬのだ。041(なん)(また)042スマナーさまから財産(ざいさん)管理(くわんり)依頼状(いらいじやう)でも()けてるのか、043ヨモヤ(きさま)のやうな極道(ごくだう)には、044如何(いか)にスマナーさまが血迷(ちまよ)ふたと()つても、045依頼(いらい)する(はず)があるまいぞ』
046テーラ『オイ、047ターク、048そら(なに)()ふのだ。049(すで)(すで)にスマナーは遺書(かきおき)をおいて(いへ)(とび)()し、050自殺(じさつ)をすると()いて()るぞ。051(いま)(ごろ)にはどつかの谷川(たにがは)へでも()()げて()んでゐるに(ちがひ)ないワ。052さうすりや無論(むろん)(おれ)財産(ざいさん)だ。053今日(けふ)からここの主人(あるじ)(おれ)だ。054何程(なにほど)村中(むらぢう)(やつ)がゴテゴテ()つても、055()つても()れぬ親戚(しんせき)(はし)だから、056仕方(しかた)がないワ』
057ターク『そんなら(その)遺書(かきおき)()せて(もら)はふかい。058サア(みな)(まへ)()んでくれ』
059 テーラは懐中(ふところ)から遺書(かきおき)一寸(ちよつと)()し、060大勢(おほぜい)(まへ)にふり(まは)(なが)ら、
061テーラ『ソレ、062(この)(とほ)りだ』
063と、064はしくれを一寸(ちよつと)まくり、
065テーラ『オイ、066(みな)連中(れんちう)067(この)筆跡(ひつせき)はスマナーに間違(まちがひ)あるまいがな。068どうだ069(ちが)ふと(おも)(もの)(ちが)ふと()つてくれ』
070ターク『成程(なるほど)071(じつ)(うるは)しい水茎(みづくき)(あと)だ。072(この)(むら)にこれ(だけ)()(もの)は、073スマナーさまより(ほか)にはない(はず)だ』
074テーラ『そらみたか。075これで(うたがひ)()れただろ、076エヘヽヽヽ。077果報(くわはう)()()てだ。078一家(いつか)家宝(かほう)も、079山林(さんりん)田畑(でんぱた)今日(けふ)から(みな)080(この)テーラさまの所有品(しよいうひん)だ。081あゝあ、082(にはか)長者(ちやうじや)になると(なん)だか(かた)(おも)たいやうだワ。083イヤ(からだ)(おほ)きくなつたやうな()がし()した。084テモ(さて)(うる)さい(こと)だワイ。085イヒヽヽヽ』
086ターク『オイ、087(その)遺書(かきおき)(みな)(まへ)一遍(いつぺん)()んで(もら)ひたいのだ。088(なに)()いてあるか、089(わか)らぬからのう』
090テーラ『一寸(ちよつと)(まへ)()んでくれぬか。091(おれ)(ちつ)(ばか)()(わる)いのだから、092()(くれ)()(あま)(こま)かいので()えにくいワ』
093ターク『ヘーン、094(うま)(こと)()(わい)095明盲(あきめくら)(くせ)に、096(きさま)何時(いつ)やら、097(ひと)(まへ)新聞(しんぶん)逆様(さかさま)()んで()つたでないか。098……さうすると(かたはら)から、099テーラさま、100そら新聞(しんぶん)逆様(さかさま)ぢやないかと()はれた(とき)101(きさま)(まけ)(をし)みを()しやがつて……ナアニお(まへ)()せてるのだと()ひやがつた(くらゐ)だから、102こんな(うつく)しい()(きさま)()める道理(だうり)がない。103サア玉手箱(たまてばこ)(ひと)つあけてやろ。104(この)文句(もんく)()つて、105(きさま)財産(ざいさん)相続(さうぞく)するか、106(むら)共有物(きよういうぶつ)になるか、107スマナーさまの遺言(ゆいごん)(どほり)だ』
108 テーラは(やや)狼狽(らうばい)(いろ)(うか)べ、109タークの(みみ)のはたに(くち)()せ、
110『オイ、111ターク、112(おれ)都合(つがふ)(わる)(とこ)があつたら、113そこは(うま)利益(りえき)のやうに()んでくれよ。114(その)(かは)成功(せいこう)したら(きさま)財産(ざいさん)十分(じふぶん)(いち)(ぐらゐ)はやるからなア。115さうすりや(きさま)何時(いつ)(まで)難儀(なんぎ)をしてをらいでもよかろ。116(その)(かね)()つて洋行(やうかう)をして博士(はかせ)になつて()うとママだよ』
117小声(こごゑ)になつて(ささや)く。118タークは(なん)頓着(とんちやく)もなく、119巻紙(まきがみ)をくり(ひろ)げ、
120ターク『サア、121青年隊(せいねんたい)()連中(れんちう)122(いま)(この)遺書(かきおき)朗読(らうどく)(いた)します。123テーラの(うん)不運(ふうん)(これ)できまる(ところ)だ』
124 大勢(おほぜい)一同(いちどう)()()つて『ヒヤ ヒヤ』と(むか)へる。
125ターク『(ひとつ)126(わらは)(こと)如何(いか)なる前生(ぜんせい)(つみ)(めぐ)(きた)りしや、127(おや)兄弟(きやうだい)(をつと)(まで)128無残(むざん)最期(さいご)()げ、129(あと)(さび)しく一人(ひとり)空閨(くうけい)(まも)り、130()両親(りやうしん)孝養(かうやう)(つく)し、131(をつと)貞節(ていせつ)(まも)()りし(ところ)132(ひと)悪事(あくじ)剔抉(てつけつ)(くわん)(うつた)ふるを専業(せんげふ)とするテーラの(いや)(をとこ)133(あさ)から(ばん)まで、134(ばん)から夜明(よあけ)(まで)135(いや)らしく無体(むたい)恋慕(れんぼ)をなし、136未亡人(みばうじん)(あなど)り、137(さけ)(かん)せよ、138(かた)()て、139(あし)()め……は()(おろ)か、140身分(みぶん)にも似合(にあ)はぬ不埒(ふらち)(こと)強請(きやうせい)(いた)し、141()つてもゐても()られなく(あひ)()りし(ゆゑ)142(わらは)覚悟(かくご)をきはめ、143白骨堂(はくこつだう)(まへ)にて自刃(じじん)(いた)し、144(をつと)(あと)()(つもり)(さふらふ)145(つい)ては(むら)人々(ひとびと)(ならび)青年隊(せいねんたい)皆々(みなみな)(さま)146テーラの悪党(あくたう)糾弾(きうだん)(あそ)ばした(うへ)147(ところ)(ばらひ)になし(くだ)され(たく)(ひとへ)(ねがひ)(あげ)(まゐ)らせ(さふらふ)148(また)(をつと)遺産(ゐさん)(のこ)らず(かね)()へ、149白骨堂(はくこつだう)立派(りつぱ)()()(くだ)され、150山林(さんりん)田畑(でんぱた)白骨堂(はくこつだう)維持費(ゐぢひ)として村人(むらびと)(おい)て、151保管(ほくわん)(くだ)さる(やう)(ひとへ)(ねん)()(まゐ)らせ(さふらふ)152(まこと)(まこと)(いや)らしきテーラの(ため)に、153(この)()()心持(こころもち)(あひ)(なり)(さふらふ)(もの)なれば、154()れテーラは(わらは)(ため)には不倶(ふぐ)戴天(たいてん)仇敵(きうてき)にて御座(ござ)(さふらふ)155(かり)にも村長(むらをさ)(つま)たる(わらは)(むか)つて、156(いや)しき番太(ばんた)()(もつ)恋慕(れんぼ)するなどとは(じつ)言語(ごんご)道断(どうだん)振舞(ふるまひ)にて、157(くや)しく腹立(はらだ)たしく(ぞん)(さふらふ)158(この)(むら)古来(こらい)よりの(おきて)にてらし、159(かく)(ごと)不倫常(ふりんじやう)人物(じんぶつ)は、160(いち)()(はや)(たた)(ばらひ)になし(くだ)さらむことを、161懇願(こんぐわん)(いた)します。
162   仙聖郷(せんせいきやう)()一同(いちどう)(さま)(および)青年隊(せいねんたい)()一同(いちどう)(さま)
163スマナーより
164謹言(きんげん)
165 テーラは(まゆ)逆立(さかだ)て、166(つら)をふくらせ、167ヤケクソになつて、168(しり)ひきまくり、169あぐらをかいて、170悪胴(わるどう)をすゑて(しま)つた。
171ターク『ハヽヽヽ、172オイ、173テーラ、174(きさま)()しからぬ(やつ)だ。175(いま)(この)遺書(かきおき)文句(もんく)()いただらう。176馬鹿(ばか)(やつ)だなア、177サアとつとと此処(ここ)()つて()け』
178テーラ『ヘン、179(なん)()つても親族(しんぞく)(はし)だ。180ゴテゴテ(ぬか)すと、181裁判(さいばん)してでも()つてみせうぞ。182(まへ)(たち)はバータラ()財産(ざいさん)占領(せんりやう)せうと(おも)うて(たく)んでゐるのだらう。183(なん)()つても相続権(さうぞくけん)(おれ)にあるのだから、184村中(むらぢう)喧嘩(けんくわ)をしても美事(みごと)()つて()せう。185(おれ)(きさま)()つてる(とほ)り、186(うへ)役人(やくにん)接近(せつきん)偵羅(ていら)をやつてるのだから、187(おれ)()(こと)(なん)でもお(とり)(あげ)になるのだ。188(きさま)()(こと)はお(とり)(あげ)にならぬのだ。189(うそ)でも(なん)でも偵羅(ていら)といふ肩書(かたがき)(たい)採用(さいよう)して(くだ)さるのだ。190(おれ)()機嫌(きげん)(そん)じてみよ。191(きさま)()がバータラ()財産(ざいさん)横領(わうりやう)(くはだ)てたと(うつた)へてみよ。192(きさま)()横領罪(わうりやうざい)とか騒擾罪(さうぜうざい)とかで、193万古(まんご)末代(まつだい)(この)()(あか)りの()えぬ(ところ)へやつて(しま)ふがそれでもよいか。194第一(だいいち)タークの(やつ)195此奴(こいつ)張本人(ちやうほんにん)だ。196首魁(しゆくわい)死刑(しけい)(しよ)すといふ刑法(けいはふ)()つてるか。197(おそ)(なが)らと、198(この)テーラさまの三寸(さんずん)(した)(うご)くが最後(さいご)199(きさま)(いのち)()いのだから……()うだ。200それでも(おれ)意志(いし)反対(はんたい)する(つも)りか、201エヽーン』
202ターク『どうなつと勝手(かつて)にせい。203(ぜん)はしまひにや(わか)るから。204(あく)(はじ)めは(うま)()きよるが、205九分(くぶ)九厘(くりん)(ばけ)(あら)はれるからのう』
206テーラ『アハツハ、207それだから(きさま)目出度(めでた)いといふのだ。208今日(こんにち)制度(せいど)()つてるか、209今日(こんにち)()(なか)紳士(しんし)紳商(しんしやう)官吏(くわんり)天下(てんか)だぞ。210(おれ)(たち)もヤツパリ官吏(くわんり)(した)(はたら)いてる(もの)だ。211人民(じんみん)のクセに(なに)()ふのだ。212時勢(じせい)()らぬと()つても(あんま)りぢやないか。213(なに)(ほど)(ぜん)(こと)でも○○のする(こと)(ぶつ)(つぶ)して(しま)ふのが今日(こんにち)()(かた)だ。214(なに)(ほど)(わる)(こと)でも○○がすれば(ぜん)となつて(とほ)るのだ。215(ちつ)改心(かいしん)して天下(てんか)趨勢(すうせい)(かんが)へてみたら()うだい』
216 タークは青年会(せいねんくわい)会長(くわいちやう)をしてゐる(こと)とて、217一寸(ちよつと)気骨(きこつ)のある(をとこ)218中々(なかなか)テーラのおどしには容易(ようい)には()らない。
219ターク『ヘン、220バンタのザマして(えら)(さう)()ふない、221冷飯(ひやめし)()が。222グヅグヅ(ぬか)すと、223村内(そんない)一同(いちどう)同盟軍(どうめいぐん)(つく)り、224(きさま)冷飯(ひやめし)供給(きようきふ)しない(こと)にするぞ。225(なに)(ほど)官吏(くわんり)下役(したやく)だと威張(ゐば)つて()つても、226糧道(りやうだう)()たれちや駄目(だめ)だらう……。227オイ、228(みな)連中(れんちう)229心配(しんぱい)するにや(およ)ばぬから、230(この)テーラをスマナーさまの遺書(かきおき)(とほ)り、231()(ぱら)うて(むら)()かないやうにせうぢやないか』
232 青年(せいねん)(なか)より(すこ)()(たか)い、233インターはつかつかと(まへ)(すす)(きた)り、
234インタ『ヤア、235会長(くわいちやう)236(きみ)(せつ)には賛成(さんせい)だ。237(いち)百姓(ひやくしやう)238()宣伝使(せんでんし)239(さん)商売(あきなひ)240()職人(しよくにん)241()毘丘(びく)242(ろく)巫子(みこ)243(しち)乞食(こじき)244(はち)バンタ、245()汚家(をげ)246(じふ)隠亡(おんぼ)247()つて、248社会(しやくわい)階級(かいきふ)自然(しぜん)()まつて()るのだ。249第一(だいいち)(くらゐ)するお百姓(ひやくしやう)さまを(つか)まへて、250番太(ばんた)(なに)()ふのだ。251野良犬(のらいぬ)()が。252そんな(おど)文句(もんく)(こは)うて、253(この)(あく)()(なか)に、254(いち)(にち)だつて生活(せいくわつ)がつづけられるかい。255馬鹿(ばか)だなア』
256テーラ『(やかま)しい(わい)257番太(ばんた)(なに)258それ(ほど)(いや)しいのだい。259今日(こんにち)衡平(かうへい)運動(うんどう)さへ(おこ)つてるぢやないか。260衡平団(かうへいだん)勢力(せいりよく)()らぬか。261時勢(じせい)(おく)れの頓馬(とんま)野郎(やらう)だな。262(いま)おれがヒユーと(ひと)(ふえ)()かうものなら、263()れこそ捕手(とりて)裏山(うらやま)にかくしてあるのだ。264何百(なんびやく)(にん)といふ(ほど)やつて()て、265(むら)(やつ)一人(ひとり)(のこ)らず、266(らう)()()んで(しま)ふのだから、267それでも()いか。268仙聖郷(せんせいきやう)長者(ちやうじや)財産(ざいさん)は、269(ひやく)(にん)(せん)(にん)家族(かぞく)一生(いつしやう)(あそ)んで(くら)しても()きない(ほど)あるのだから、270(おれ)(たち)上官(じやうくわん)一寸(ちよつと)(まをし)()げ、271財産(ざいさん)没収(ぼつしう)準備(じゆんび)がしてあるのだ。272マゴマゴしてると(きさま)たちの身辺(しんぺん)(あぶ)ないぞ。273サア(ふえ)()かうか、274(ふえ)()いたが最後(さいご)275(きさま)たちの(いのち)風前(ふうぜん)燈火(ともしび)だ。276テモさても(あはれ)(もの)(わい)277アツハツハ』
278ターク『オイ青年隊(せいねんたい)279此奴(こいつ)ア、280うつかりして()れぬぞ。281(みな)(うち)から四五(しご)(にん)手分(てわ)けして、282村中(むらぢう)中老組(ちうらうぐみ)()んで()てくれ。283そして各自(めんめ)得物(えもの)(たづさ)へて()いと()つてくれ。284そして(あと)(のこ)つた青年(せいねん)各自(めんめ)(くは)なり、285手斧(ちよんの)なり、286(かま)なり、287鶴嘴(つるばし)なり、288百姓(ひやくしやう)道具(だうぐ)()つて用心(ようじん)せい。289此奴(こいつ)(こと)だから、290どんな(こと)してるか(わか)らぬから、291準備(じゆんび)をしておかなならぬからのう』
292大声(おほごゑ)怒鳴(どな)()した。293()()いた青年(せいねん)跣足(はだし)裏口(うらぐち)から(とび)()し、294村中(むらぢう)中老組(ちうらうぐみ)(よび)(あつ)めにいつた。295テーラは懐中(ふところ)から呼子(よびこ)(ふえ)(とり)()し、296(しき)りにヒヨロ ヒヨロ ヒヨロと(ふき)()てる。297(たちま)数百(すうひやく)(にん)足音(あしおと)298(たい)(かた)めた黒装束(くろしやうぞく)捕手(とりて)は、299十手(じつて)300叉又(さしまた)301(かま)302(やり)なんど()()(たづさ)へ、303バラバラと(とび)()んで()た。
304テーラ『これはこれはお役人(やくにん)(さま)305()()(くだ)さいました。306ここに()(やつ)()当家(たうけ)財産(ざいさん)横領(わうりやう)せうと(いた)し、307(いま)()(とほ)り、308数十(すうじふ)(めい)(もつ)押寄(おしよ)せて()たのです。309つまり騒擾罪(さうぜうざい)ですから、310一番(いちばん)にターク、311インターの首魁(しゆくわい)をフン(じば)つて(くだ)さいませ。312親戚(しんせき)(わたし)()うしても遺産(ゐさん)相続(さうぞく)すべき権利(けんり)(ござ)いますから、313(うま)()()れば、314役人(やくにん)()一同(いちどう)分配(ぶんぱい)(いた)しますからなア、315(けつ)してお約束(やくそく)(たが)へませぬから、316()安心(あんしん)(うへ)何卒(どうぞ)此奴(こいつ)()をおくくり(くだ)さいませ』
317 捕手(とりて)(かしら)キングレスは威丈高(ゐたけだか)になり、
318『オイ、319当家(たうけ)一人(ひとり)(のこ)らず不慮(ふりよ)炎難(さいなん)にかかつて滅亡(めつぼう)し、320憂愁(いうしう)空気(くうき)(ただよ)うてるにも(かか)はらず、321(その)(はう)不都合(ふつがふ)千万(せんばん)にも当家(たうけ)財産(ざいさん)横領(わうりやう)せむと押寄(おしよ)せて()たのか、322返答(へんたふ)次第(しだい)()つては容赦(ようしや)(いた)さぬが()うだ。323当家(たうけ)一人(ひとり)(のこ)らず滅亡(めつぼう)したのだから、324親類(しんるゐ)関係(くわんけい)のテーラが遺産(ゐさん)相続(さうぞく)するのは法律(はふりつ)(ゆる)(ところ)だ。325不都合(ふつがふ)千万(せんばん)な、326マゴマゴしてると(みな)捕縛(ほばく)するぞ』
327ターク『モシ、328キングレスさまとやら、329万々一(まんまんいち)330未亡人(みばうじん)のスマナーさまが(いき)(のこ)つて()つたら()うなりますか。331それでも遺産(ゐさん)をテーラが相続(さうぞく)せねばならぬのですか。332左様(さやう)法律(はふりつ)()()いた(こと)(ござ)いませぬが…』
333キング『きまつた(こと)だ。334もし未亡人(みばうじん)()るとすれば、335(かへつ)てテーラが財産(ざいさん)横領(わうりやう)(くはだ)てた(こと)になり、336大罪人(だいざいにん)となる(ところ)だ。337(しか)(なが)(いま)軒下(のきした)(かく)れて()いて()れば、338(をつと)(あと)()うて自殺(じさつ)をすると(まを)し、339書置(かきおき)まで(のこ)しておいたぢやないか』
340ターク『成程(なるほど)341()れには間違(まちがひ)(ござ)いませぬが、342もしも()なずに()つたら、343矢張(やつぱり)344テーラの(もの)にはなりますまいな』
345キング『無論(むろん)(こと)だ』
346テーラ『アハヽヽヽ、347(なん)()つても(うん)()いて()たのだから……オイ、348ターク、349インター、350駄目(だめ)だよ。351神妙(しんめう)捕縛(ほばく)されるか。352(ただ)しは(ここ)であやまるなら、353(おれ)(むら)のよしみで(ゆる)して(もら)うてやる。354()うだ。355返答(へんたふ)(はや)(いた)せ』
356 (この)(あひだ)五六(ごろく)(にん)青年(せいねん)中老(ちうらう)をかり(あつ)めると()つて()たのは、357(その)(じつ)白骨堂(はくこつだう)のあたりにまだスマナーが()きてうろついて()りはせぬか、358それさへ()ればテーラの(はな)をあかしてやるのに好都合(かうつがふ)だと、359()ひき(そで)ひき捜索(さうさく)()たのであつた。360かかる(ところ)(かす)かな(をんな)(うた)(こゑ)(きこ)えて()た。
361大正一二・七・一七 旧六・四 於祥雲閣 松村真澄録)

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