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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第65巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 盗風賊雨
第1章 感謝組
第2章 古峽の山
第3章 岩侠
第4章 不聞銃
第5章 独許貧
第6章 噴火口
第7章 反鱗
第2篇 地異転変
第8章 異心泥信
第9章 劇流
第10章 赤酒の声
第11章 大笑裡
第12章 天恵
第3篇 虎熊惨状
第13章 隔世談
第14章 山川動乱
第15章 饅頭塚
第16章 泥足坊
第17章 山颪
第4篇 神仙魔境
第18章 白骨堂
第19章 谿の途
第20章 熊鷹
第21章 仙聖郷
第22章 均霑
第23章 義侠
第5篇 讃歌応山
第24章 危母玉
第25章 道歌
第26章 七福神
余白歌
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霊界物語
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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第65巻(辰の巻)
> 第4篇 神仙魔境 > 第21章 仙聖郷
<<< 熊鷹
(B)
(N)
均霑 >>>
第二一章
仙聖郷
(
せんせいきやう
)
〔一六七七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻
篇:
第4篇 神仙魔境
よみ(新仮名遣い):
しんせんまきょう
章:
第21章 仙聖郷
よみ(新仮名遣い):
せんせいきょう
通し章番号:
1677
口述日:
1923(大正12)年07月17日(旧06月4日)
口述場所:
祥雲閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年4月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6521
愛善世界社版:
230頁
八幡書店版:
第11輯 692頁
修補版:
校定版:
241頁
普及版:
105頁
初版:
ページ備考:
001
スマナー『
花
(
はな
)
は
紅
(
くれなゐ
)
葉
(
は
)
は
緑
(
みどり
)
002
錦
(
にしき
)
の
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
めぐらせる
003
中国一
(
ちうごくいち
)
のパラダイス
004
仙聖郷
(
せんせいきやう
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
005
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
楽
(
たのし
)
みを
006
味
(
あぢ
)
はひゐたる
郷
(
さと
)
なれど
007
天足彦
(
あだるのひこ
)
や
胞場姫
(
えばひめ
)
の
008
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
血筋
(
ちすぢ
)
らが
009
いつとはなしに
窺
(
うかが
)
ひて
010
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
は
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
011
荒
(
すさ
)
び
行
(
ゆ
)
くこそうたてけれ
012
虎熊山
(
とらくまやま
)
の
山砦
(
さんさい
)
に
013
巣
(
す
)
を
構
(
かま
)
へたる
盗人
(
ぬすびと
)
の
014
手下
(
てした
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
が
襲来
(
しふらい
)
し
015
吾
(
わが
)
たらちねの
父母
(
ちちはは
)
を
016
いとも
無残
(
むざん
)
に
斬
(
きり
)
殺
(
ころ
)
し
017
あが
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
や
兄弟
(
おとどい
)
の
018
命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
ひ
有金
(
ありがね
)
を
019
掠
(
かす
)
めて
帰
(
かへ
)
りし
悲
(
かな
)
しさに
020
妾
(
わらは
)
は
跡
(
あと
)
に
只
(
ただ
)
独
(
ひと
)
り
021
親
(
おや
)
と
夫
(
をつと
)
と
兄弟
(
きやうだい
)
の
022
菩提
(
ぼだい
)
を
弔
(
とむら
)
ひゐたりしに
023
人
(
ひと
)
の
悪事
(
あくじ
)
を
剔抉
(
てつけつ
)
し
024
誣告
(
ふこく
)
を
以
(
もつ
)
て
業
(
わざ
)
とする
025
テーラの
曲
(
まが
)
が
現
(
あら
)
はれて
026
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
口説
(
くど
)
き
立
(
た
)
て
027
耳
(
みみ
)
の
汚
(
けが
)
るる
世迷言
(
よまひごと
)
028
聞
(
き
)
くに
堪
(
た
)
へかねスマナーは
029
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
厭
(
いや
)
になり
030
亡
(
な
)
き
父母
(
ちちはは
)
や
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
031
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひて
天国
(
てんごく
)
に
032
上
(
のぼ
)
らむものと
胸
(
むね
)
定
(
さだ
)
め
033
遺書
(
ゐしよ
)
を
認
(
したた
)
め
吾
(
わが
)
家
(
いへ
)
を
034
二日
(
ふつか
)
以前
(
いぜん
)
に
立
(
たち
)
出
(
い
)
でて
035
白骨堂
(
はくこつだう
)
に
勤経
(
ごんぎやう
)
し
036
いよいよ
茲
(
ここ
)
に
昇天
(
しようてん
)
の
037
覚悟
(
かくご
)
を
定
(
さだ
)
むる
折
(
をり
)
もあれ
038
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
039
神力
(
しんりき
)
無双
(
むそう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
が
040
現
(
あら
)
はれましてスマナーが
041
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こころ
)
の
無分別
(
むふんべつ
)
042
うまらに
委曲
(
つばら
)
に
諭
(
さと
)
しまし
043
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
宣
(
の
)
らせしゆ
044
俄
(
にはか
)
に
胸
(
むね
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
045
真如
(
しんによ
)
の
日月
(
じつげつ
)
輝
(
かがや
)
きて
046
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
き
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
と
047
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
りし
嬉
(
うれ
)
しさよ
048
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
049
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
来
(
きた
)
り
眺
(
なが
)
むれば
050
いとど
騒
(
さわ
)
がし
人
(
ひと
)
の
声
(
こゑ
)
051
様子
(
やうす
)
あらむと
裏口
(
うらぐち
)
ゆ
052
一間
(
ひとま
)
に
入
(
い
)
りて
窺
(
うかが
)
へば
053
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
むだう
)
のテーラさま
054
妾
(
わらは
)
が
家
(
いへ
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
055
占領
(
せんりやう
)
せむと
狂
(
くる
)
ひ
立
(
た
)
ち
056
ターク、インター
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
057
青年隊
(
せいねんたい
)
の
人々
(
ひとびと
)
と
058
争
(
あらそ
)
ひゐるこそ
歎
(
うた
)
てけれ
059
最早
(
もはや
)
妾
(
わらは
)
は
健在
(
まめやか
)
に
060
命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
ちて
帰
(
かへ
)
りなば
061
テーラさまの
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
062
必
(
かなら
)
ず
無用
(
むよう
)
に
遊
(
あそ
)
ばせよ
063
捕手
(
とりて
)
の
役人
(
やくにん
)
キングレス
064
其
(
その
)
他
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
に
065
はるばる
来
(
きた
)
り
玉
(
たま
)
ひたる
066
好意
(
かうい
)
を
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
067
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
068
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立分
(
たてわ
)
ける
069
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
070
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
071
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
072
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
073
世
(
よ
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
074
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
きしより
075
妾
(
わらは
)
はテーラの
計画
(
けいくわく
)
を
076
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
憎
(
にく
)
まない
077
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り
078
身
(
み
)
の
潔白
(
けつぱく
)
を
示
(
しめ
)
されよ
079
青年
(
せいねん
)
会長
(
くわいちやう
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
080
清
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
は
081
少時
(
しばらく
)
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りませ
082
妾
(
わらは
)
が
為
(
ため
)
に
御心
(
みこころ
)
を
083
配
(
くば
)
らせ
玉
(
たま
)
ひし
慰安
(
いやしろ
)
の
084
御酒
(
みき
)
御饌
(
みけ
)
仕
(
つか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
り
085
妾
(
わらは
)
が
寸志
(
すんし
)
を
現
(
あら
)
はさむ
086
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
たせ
玉
(
たま
)
へかし
087
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
088
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
れる
上
(
うへ
)
からは
089
いかに
捕手
(
とりて
)
の
数
(
かず
)
多
(
おほ
)
く
090
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
091
テーラが
如何
(
いか
)
に
騒
(
さわ
)
ぐ
共
(
とも
)
092
物
(
もの
)
の
数
(
かず
)
にはあらざらめ
093
あゝ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し
094
天地
(
てんち
)
に
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
まして
095
吾
(
わが
)
家
(
や
)
を
守
(
まも
)
り
吾
(
わが
)
身
(
み
)
をば
096
厚
(
あつ
)
く
恵
(
めぐ
)
ませ
玉
(
たま
)
ひけり
097
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
098
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ
099
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
100
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
101
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
102
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つは
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
103
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
外
(
はづ
)
れたる
104
テーラの
如
(
ごと
)
き
行
(
おこな
)
ひは
105
いかでか
神
(
かみ
)
の
許
(
ゆる
)
すべき
106
省
(
かへり
)
み
玉
(
たま
)
へテーラさま
107
スマナー
姫
(
ひめ
)
が
赤心
(
まごころ
)
を
108
こめて
忠告
(
ちうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る
109
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
110
御霊
(
みたま
)
のふゆを
賜
(
たま
)
へかし』
111
と
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
112
三千彦
(
みちひこ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
113
しづしづと
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
から
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
114
逃腰
(
にげごし
)
になつてゐたテーラは、
115
「コリヤたまらぬ」と
上
(
あが
)
り
口
(
ぐち
)
より
慌
(
あわ
)
てて
庭
(
には
)
にひつくり
返
(
かへ
)
り、
116
向
(
むか
)
ふ
脛
(
ずね
)
を
打
(
う
)
ち
四這
(
よつばひ
)
となつて
裏口
(
うらぐち
)
の
闇
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
逃出
(
にげだ
)
して
了
(
しま
)
つた。
117
キングレス
其
(
その
)
他
(
た
)
の
面々
(
めんめん
)
は
118
何
(
いづ
)
れも
真
(
まこと
)
の
捕手
(
とりて
)
にあらず、
119
テーラが
虎熊山
(
とらくまやま
)
の
盗人
(
ぬすびと
)
をワザとに
変装
(
へんさう
)
させ、
120
此
(
この
)
狂言
(
きやうげん
)
を
描
(
か
)
いたのであつた。
121
そして
二
(
に
)
週間
(
しうかん
)
以前
(
いぜん
)
に
躍
(
をど
)
り
込
(
こ
)
み、
122
家内
(
かない
)
を
殆
(
ほとん
)
ど
全滅
(
ぜんめつ
)
の
厄
(
やく
)
に
会
(
あ
)
はせた
泥棒
(
どろばう
)
も、
123
又
(
また
)
キングレスの
部下
(
ぶか
)
の
者
(
もの
)
であつた。
124
キングレスはスマナー
姫
(
ひめ
)
の
言霊
(
ことたま
)
と
三千彦
(
みちひこ
)
の
神力
(
しんりき
)
に
圧倒
(
あつたう
)
され、
125
五体
(
ごたい
)
俄
(
にはか
)
に
戦慄
(
せんりつ
)
し、
126
其
(
その
)
場
(
ば
)
にドツと
尻餅
(
しりもち
)
をつき、
127
口
(
くち
)
許
(
ばか
)
りポカンとあけて、
128
慄
(
ふる
)
うてゐる。
129
捕手
(
とりて
)
に
化
(
ば
)
けてゐた
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
小泥棒
(
こどろばう
)
も
同
(
おな
)
じく、
130
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
131
ふるひ
戦
(
をのの
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
132
三千彦
(
みちひこ
)
は
厳然
(
げんぜん
)
として
座敷
(
ざしき
)
の
中央
(
ちうあう
)
に
座
(
ざ
)
を
構
(
かま
)
へ、
133
青年隊
(
せいねんたい
)
並
(
ならび
)
に
泥棒組
(
どろばうぐみ
)
に
向
(
むか
)
つて、
134
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
挨拶
(
あいさつ
)
に
代
(
か
)
へて
謡
(
うた
)
つた。
135
三千彦
(
みちひこ
)
『
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
136
神
(
かみ
)
に
斉
(
ひと
)
しき
者
(
もの
)
ならば
137
天地
(
てんち
)
を
経綸
(
けいりん
)
すると
云
(
い
)
ふ
138
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御使
(
みつかひ
)
ぞ
139
小
(
ちひ
)
さき
欲
(
よく
)
に
捉
(
とら
)
はれて
140
広
(
ひろ
)
き
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
自
(
おのづか
)
ら
141
身
(
み
)
の
置所
(
おきどこ
)
もなき
迄
(
まで
)
に
142
狭
(
せば
)
め
行
(
ゆ
)
くこそ
歎
(
うた
)
てけれ
143
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
らぬ
天地
(
あめつち
)
の
144
清
(
きよ
)
けく
広
(
ひろ
)
き
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
145
安養
(
あんやう
)
浄土
(
じやうど
)
の
楽
(
たの
)
しみを
146
得
(
え
)
させむ
為
(
ため
)
にウブスナの
147
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
にあれませる
148
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
垢
(
あか
)
を
洗
(
あら
)
ふてふ
149
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
神柱
(
かむばしら
)
150
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
151
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
を
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
152
放
(
はな
)
ち
玉
(
たま
)
ひて
曲神
(
まがかみ
)
の
153
虜
(
とりこ
)
となれる
人々
(
ひとびと
)
を
154
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
155
計
(
はか
)
らせ
玉
(
たま
)
ふ
尊
(
たふと
)
さよ
156
吾
(
わ
)
れは
三千彦
(
みちひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
157
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
158
フサの
国
(
くに
)
をば
横断
(
わうだん
)
し
159
漸
(
やうや
)
く
茲
(
ここ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
160
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
き
仙聖郷
(
せんせいきやう
)
161
高天原
(
たかあまはら
)
の
楽園
(
らくゑん
)
も
162
怪
(
あや
)
しき
雲霧
(
くもきり
)
立
(
たち
)
こめて
163
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
と
成
(
なり
)
さがり
164
悪鬼
(
あくき
)
羅刹
(
らせつ
)
は
縦横
(
じうわう
)
に
165
跳梁
(
てうりやう
)
跋扈
(
ばつこ
)
なしにける
166
此
(
この
)
惨状
(
さんじやう
)
を
一瞥
(
いちべつ
)
し
167
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
168
いかでか
看過
(
かんくわ
)
すべけむや
169
吾
(
わが
)
宣
(
の
)
る
教
(
をしへ
)
は
皇神
(
すめかみ
)
の
170
聖
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
勅言
(
ちよくげん
)
ぞ
171
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
耳
(
みみ
)
すませ
172
謹
(
つつし
)
み
畏
(
かしこ
)
みきこしめせ
173
弱味
(
よわみ
)
につけ
込
(
こ
)
む
風
(
かぜ
)
の
神
(
かみ
)
174
寄
(
よ
)
るべ
渚
(
なぎさ
)
の
未亡人
(
みばうじん
)
175
スマナー
姫
(
ひめ
)
の
留守宅
(
るすたく
)
へ
176
をどり
込
(
こ
)
みたるテーラこそ
177
げにも
憐
(
あは
)
れな
曲津身
(
まがつみ
)
の
178
醜
(
しこ
)
の
虜
(
とりこ
)
となり
果
(
はて
)
て
179
重
(
おも
)
き
罪
(
つみ
)
をば
知
(
し
)
らずして
180
犯
(
をか
)
したるこそうたてけれ
181
キングレスや
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
182
捕手
(
とりて
)
と
称
(
しよう
)
する
人々
(
ひとびと
)
よ
183
汝
(
なれ
)
は
真
(
まこと
)
の
捕吏
(
ほり
)
ならず
184
どこかの
山
(
やま
)
に
山砦
(
さんさい
)
を
185
構
(
かま
)
へて
旅人
(
りよにん
)
をおびやかす
186
大泥棒
(
おほどろばう
)
と
覚
(
おぼ
)
えたり
187
誠
(
まこと
)
捕手
(
とりて
)
の
役
(
やく
)
ならば
188
繊弱
(
かよわ
)
き
姫
(
ひめ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
189
いかでか
打
(
う
)
たれて
倒
(
たふ
)
るべき
190
心
(
こころ
)
に
弱味
(
よわみ
)
のある
者
(
もの
)
は
191
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
の
言霊
(
ことたま
)
も
192
きつく
恐
(
おそ
)
るるものぞかし
193
許
(
ゆる
)
しがたなき
奴
(
やつ
)
なれど
194
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
同
(
おな
)
じ
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
の
195
同胞
(
はらから
)
なれば
咎
(
とが
)
めずて
196
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
にまつろはせ
197
救
(
すく
)
ひやらむと
思
(
おも
)
ふこそ
198
吾
(
わが
)
赤心
(
まごころ
)
の
願
(
ねがひ
)
ぞや
199
心
(
こころ
)
を
直
(
なほ
)
し
魂
(
たま
)
清
(
きよ
)
め
200
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
尽
(
つく
)
せし
罪科
(
つみとが
)
を
201
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
202
包
(
つつ
)
まずかくさずさらけ
出
(
だ
)
し
203
今後
(
こんご
)
を
戒
(
いまし
)
め
善道
(
ぜんだう
)
に
204
いづれも
揃
(
そろ
)
うて
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
れ
205
吾
(
わ
)
れも
汝
(
なんぢ
)
も
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
206
いかに
曇
(
くも
)
れる
魂
(
たましひ
)
も
207
研
(
みが
)
き
上
(
あ
)
ぐれば
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
208
水晶魂
(
すいしやうみたま
)
となりぬべし
209
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
210
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
211
旭
(
あさひ
)
はてる
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
212
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
213
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
214
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
215
誠
(
まこと
)
にまさる
力
(
ちから
)
なし
216
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
主権
(
しゆけん
)
を
握
(
にぎ
)
る
共
(
とも
)
217
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
欠
(
か
)
くならば
218
これ
風前
(
ふうぜん
)
の
燈火
(
ともしび
)
ぞ
219
省
(
かへり
)
み
玉
(
たま
)
へ
諸人
(
もろびと
)
よ
220
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
が
221
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ
大神
(
おほかみ
)
の
222
神心
(
みこころ
)
審
(
つぶ
)
さに
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
ふ
223
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
224
御霊
(
みたま
)
幸
(
さきは
)
ひましませよ』
225
と
繰返
(
くりかへ
)
し
繰返
(
くりかへ
)
し
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
以
(
もつ
)
て
一同
(
いちどう
)
に
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
した。
226
キングレスは
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
流
(
なが
)
し、
227
犬突這
(
いぬつくばひ
)
となつて
三千彦
(
みちひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
228
キング『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
の
前
(
まへ
)
に、
229
私
(
わたくし
)
は
一切
(
いつさい
)
の
罪悪
(
ざいあく
)
を
打
(
うち
)
あけて
白状
(
はくじやう
)
を
致
(
いた
)
します。
230
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
はあなたの
御教
(
みをしへ
)
に
従
(
したが
)
ひ、
231
善道
(
ぜんだう
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
りまするから、
232
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
罪
(
つみ
)
をお
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
233
私
(
わたくし
)
の
如
(
ごと
)
き
悪人
(
あくにん
)
は
又
(
また
)
と
世界
(
せかい
)
に
厶
(
ござ
)
いますまい。
234
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
虎熊山
(
とらくまやま
)
の
山砦
(
さんさい
)
に
立籠
(
たてこ
)
もり、
235
十
(
じふ
)
里
(
り
)
四方
(
しはう
)
の
村々
(
むらむら
)
を
劫
(
おび
)
やかし、
236
旅人
(
たびびと
)
を
苦
(
くるし
)
め
居
(
を
)
りましたる
所
(
ところ
)
、
237
バラモン
教
(
けう
)
の
軍人
(
ぐんじん
)
たりし、
238
セール、
239
ハールの
両人
(
りやうにん
)
、
240
沢山
(
たくさん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
引
(
ひき
)
つれ、
241
虎熊山
(
とらくまやま
)
に
登
(
のぼ
)
り
来
(
きた
)
り、
242
私
(
わたくし
)
等
(
たち
)
の
部下
(
ぶか
)
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
と
共
(
とも
)
に
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いましめ
)
られ、
243
止
(
や
)
むをえず
降服
(
かうふく
)
致
(
いた
)
し、
244
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
乾児
(
こぶん
)
となり、
245
此方
(
こちら
)
の
方面
(
はうめん
)
へ
働
(
はたら
)
きに
出
(
で
)
て
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
います。
246
そして
此
(
この
)
郷
(
さと
)
のテーラといふ
男
(
をとこ
)
は、
247
吾々
(
われわれ
)
仲間
(
なかま
)
と
常
(
つね
)
に
気脈
(
きみやく
)
を
通
(
つう
)
じ、
248
家尻切
(
やじりきり
)
、
249
庫破
(
くらやぶ
)
りの
手引
(
てびき
)
きをしてをつた
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
250
二
(
に
)
週間
(
しうかん
)
以前
(
いぜん
)
に
当家
(
たうけ
)
を
鏖殺
(
おうさつ
)
し、
251
此
(
この
)
財産
(
ざいさん
)
を
横領
(
わうりやう
)
せむと、
252
彼
(
か
)
れテーラの
献策
(
けんさく
)
に
仍
(
よ
)
り、
253
抜刀
(
ばつたう
)
を
以
(
もつ
)
て
押
(
おし
)
入
(
い
)
り、
254
家族
(
かぞく
)
を
全滅
(
ぜんめつ
)
させむと
計
(
はか
)
りました
所
(
ところ
)
、
255
天罰
(
てんばつ
)
忽
(
たちま
)
ち
酬
(
むく
)
い
来
(
き
)
て、
256
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
のスマナー
姫
(
ひめ
)
さまを
打
(
うち
)
漏
(
も
)
らし、
257
それが
為
(
ため
)
に
忽
(
たちま
)
ち
陰謀
(
いんぼう
)
露顕
(
ろけん
)
致
(
いた
)
し、
258
身動
(
みうご
)
きもならぬ
神罰
(
しんばつ
)
にあてられ、
259
懺悔
(
ざんげ
)
の
情
(
じやう
)
に
堪
(
た
)
へませぬ。
260
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
赦
(
ゆる
)
しがたき
吾々
(
われわれ
)
なれ
共
(
ども
)
、
261
今
(
いま
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
のお
詞
(
ことば
)
の
通
(
とほ
)
り、
262
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
263
命
(
いのち
)
丈
(
だけ
)
はお
助
(
たす
)
けを
願
(
ねが
)
ひます。
264
たつて
許
(
ゆる
)
さぬと
仰有
(
おつしや
)
れば、
265
是非
(
ぜひ
)
も
厶
(
ござ
)
いませねば、
266
私
(
わたくし
)
の
命
(
いのち
)
をお
取
(
と
)
り
下
(
くだ
)
され、
267
部下
(
ぶか
)
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
命
(
いのち
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいまして、
268
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
に
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
をお
伝
(
つた
)
へ
下
(
くだ
)
さつた
上
(
うへ
)
、
269
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
に
御
(
お
)
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さいますやう』
270
と
面
(
おもて
)
に
誠
(
まこと
)
を
現
(
あら
)
はして、
271
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
謝罪
(
しやざい
)
する。
272
三千
(
みち
)
『
人間界
(
にんげんかい
)
から
云
(
い
)
へば
赦
(
ゆる
)
しがたない
大罪人
(
だいざいにん
)
、
273
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
今日
(
こんにち
)
の
法律
(
はふりつ
)
に
依
(
よ
)
れば、
274
強盗
(
がうたう
)
殺人
(
さつじん
)
罪
(
ざい
)
として
首
(
くび
)
のない
代物
(
しろもの
)
だが、
275
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
にまします
故
(
ゆゑ
)
、
276
改心
(
かいしん
)
さへすればキツとお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さるだらう。
277
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
三千彦
(
みちひこ
)
は
人
(
ひと
)
を
審判
(
さば
)
く
権利
(
けんり
)
もなければ、
278
許
(
ゆる
)
す
権利
(
けんり
)
もない。
279
従
(
したが
)
つてお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
を
苦
(
くる
)
しめる
権能
(
けんのう
)
もない。
280
どうか
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り、
281
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
神
(
かみ
)
さまにお
仕
(
つか
)
へして、
282
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
誠
(
まこと
)
の
人間
(
にんげん
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
ひたい。
283
それが
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
三千彦
(
みちひこ
)
の
希望
(
きばう
)
である。
284
其処
(
そこ
)
にゐるキングレスの
部下
(
ぶか
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
、
285
拙者
(
せつしや
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
心
(
こころ
)
にはまつたならば、
286
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
で
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
詫
(
わび
)
をなさるがよからう。
287
又
(
また
)
青年会
(
せいねんくわい
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
も
288
此
(
この
)
郷
(
さと
)
はウラル
教
(
けう
)
の
教
(
をしへ
)
を
奉
(
ほう
)
ずると
聞
(
き
)
いてゐるが、
289
どうか
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
を
誤解
(
ごかい
)
せぬ
様
(
やう
)
、
290
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
歩
(
あゆ
)
んで
下
(
くだ
)
さい。
291
真
(
しん
)
にウラル
教
(
けう
)
の
教
(
をしへ
)
が
拡
(
ひろ
)
まつてゐるならば、
292
此
(
この
)
仙聖郷
(
せんせいきやう
)
は
昔
(
むかし
)
の
儘
(
まま
)
に、
293
天下
(
てんか
)
の
安楽郷
(
あんらくきやう
)
として、
294
太平
(
たいへい
)
無事
(
ぶじ
)
でなければならぬのだ。
295
然
(
しか
)
るにかかる
惨事
(
さんじ
)
の
突発
(
とつぱつ
)
するといふのは、
296
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
反
(
そむ
)
いた
点
(
てん
)
があるのではあるまいかと、
297
此
(
この
)
三千彦
(
みちひこ
)
は
愚考
(
ぐかう
)
致
(
いた
)
します。
298
そしてスマナー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
親
(
おや
)
兄弟
(
きやうだい
)
夫
(
をつと
)
に
別
(
わか
)
れ、
299
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しく
暮
(
くら
)
してゐられるのだから、
300
青年
(
せいねん
)
の
方々
(
かたがた
)
は
陰
(
いん
)
に
陽
(
やう
)
に、
301
親切
(
しんせつ
)
に
守
(
まも
)
つて
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
302
そしてどこ
迄
(
まで
)
も
父母
(
ふぼ
)
祖先
(
そせん
)
の
霊
(
みたま
)
に
対
(
たい
)
し
孝養
(
かうやう
)
を
尽
(
つく
)
し、
303
亡
(
な
)
き
夫
(
をつと
)
に、
304
貞操
(
ていさう
)
を
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
られるやう、
305
保護
(
ほご
)
して
下
(
くだ
)
さる
様
(
やう
)
、
3051
願
(
ねが
)
つておきますよ』
306
タークは
感涙
(
かんるい
)
に
咽
(
むせ
)
び
乍
(
なが
)
ら、
307
ターク『
有難
(
ありがた
)
し
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のあれまして
308
亡
(
ほろ
)
ぼし
玉
(
たま
)
ひぬ
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
を。
309
御詞
(
みことば
)
を
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
能
(
よ
)
く
守
(
まも
)
り
310
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
に
仕
(
つか
)
へ
進
(
すす
)
まむ』
311
インター『われも
亦
(
また
)
教司
(
をしへつかさ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
312
肝
(
きも
)
に
銘
(
めい
)
じて
忘
(
わす
)
れざるらむ』
313
三千彦
(
みちひこ
)
『みちのくの
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
にも
皇神
(
すめかみ
)
の
314
守
(
まも
)
りありせば
安
(
やす
)
くましませ。
315
古
(
いにしへ
)
の
仙聖郷
(
せんせいきやう
)
に
立直
(
たてなほ
)
し
316
笑
(
ゑ
)
み
栄
(
さか
)
えつつ
永久
(
とこしへ
)
にあれよ』
317
スマナー
姫
(
ひめ
)
『
三千彦
(
みちひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
助
(
たす
)
けられ
318
今日
(
けふ
)
は
嬉
(
うれ
)
しくゑみ
栄
(
さか
)
えける。
319
おそひ
来
(
く
)
る
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
影
(
かげ
)
もなく
320
亡
(
ほろ
)
びし
今日
(
けふ
)
ぞいとど
嬉
(
うれ
)
しき』
321
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
村
(
むら
)
の
中老
(
ちうらう
)
、
322
各自
(
てんで
)
に
得物
(
えもの
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
323
裏口
(
うらぐち
)
表口
(
おもてぐち
)
より
慌
(
あわただ
)
しく
走
(
はし
)
り
来
(
く
)
る。
324
又
(
また
)
スマナー
姫
(
ひめ
)
を
捜
(
さが
)
しに
行
(
い
)
つた
青年
(
せいねん
)
は、
325
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
遠路
(
ゑんろ
)
の
為
(
ため
)
、
326
一人
(
ひとり
)
も
未
(
ま
)
だ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
ない。
327
裏口
(
うらぐち
)
の
水門壺
(
すいもんつぼ
)
の
中
(
なか
)
にアブアブして
苦
(
くる
)
しんでゐる
男
(
をとこ
)
を
見
(
み
)
れば、
328
逃
(
に
)
げしなに
過
(
あやま
)
つて
落
(
おち
)
込
(
こ
)
んだテーラであつた。
329
俄
(
にはか
)
に
大地
(
だいち
)
はビリビリと
震動
(
しんどう
)
し、
330
四辺
(
あたり
)
の
山岳
(
さんがく
)
は
轟々
(
ぐわうぐわう
)
と
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
したとみるまに、
331
轟前
(
ぐわうぜん
)
たる
爆音
(
ばくおん
)
、
332
天地
(
てんち
)
もわるる
許
(
ばか
)
りに
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
り、
333
水門壺
(
すいもんつぼ
)
におちて
居
(
ゐ
)
た、
334
テーラは
其
(
その
)
震動
(
しんどう
)
にはね
飛
(
と
)
ばされて、
335
二三間
(
にさんげん
)
飛
(
とび
)
上
(
あが
)
り、
336
どんと
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げ
付
(
つ
)
けられ、
337
苦
(
くる
)
しげに
泡
(
あわ
)
をふいてゐる。
338
此
(
この
)
音響
(
おんきやう
)
は
虎熊山
(
とらくまやま
)
の
火山
(
くわざん
)
が
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
爆発
(
ばくはつ
)
した
響
(
ひびき
)
であつた。
339
(
大正一二・七・一七
旧六・四
於祥雲閣
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 熊鷹
(B)
(N)
均霑 >>>
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山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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【第21章 仙聖郷|第65巻|山河草木|霊界物語|/rm6521】
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