霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二六章 七福神(しちふくじん)〔一六八二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第5篇 讃歌応山 よみ(新仮名遣い):さんかおうさん
章:第26章 七福神 よみ(新仮名遣い):しちふくじん 通し章番号:1682
口述日:1923(大正12)年07月18日(旧06月5日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:北村隆光、加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-06-28 17:25:27 文字数:5904 OBC :rm6526
愛善世界社版:298頁 八幡書店版:第11輯 717頁 修補版: 校定版:311頁 普及版:135頁 初版: ページ備考:
001 日(ひ)の出別(でわけの)命(みこと)の左右(さいう)には道彦(みちひこ)、002安彦(やすひこ)の両人(りやうにん)が従(したが)ひ、003初稚姫(はつわかひめ)一行(いつかう)を導(みちび)いて数百旒(すうひやくりう)の五色(ごしき)の旗(はた)を風(かぜ)に翻(ひるがへ)し乍(なが)ら、004百花(ひやくくわ)爛漫(らんまん)たるゲッセマネの園(その)にと進(すす)み入(い)つた。005玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)が竜王(りうわう)の三個(さんこ)の玉(たま)を捧持(ほうぢ)して来(きた)りし其(その)功績(こうせき)を賞(しやう)する為(た)め、006特(とく)に埴安彦(はにやすひこの)尊(みこと)の命(めい)により歓迎宴(くわんげいえん)が開(ひら)かれた。007ゲッセマネの園(その)には種々(しゆじゆ)の作物(つくりもの)や、008音楽(おんがく)や演劇(えんげき)が盛(さか)んに催(もよほ)されて居(ゐ)た。009さうしてコウカス山(さん)よりは、010言依別(ことよりわけの)命(みこと)が数多(あまた)の神司(かむつかさ)を引(ひ)き連(つ)れ、011二三(にさん)日前(にちまへ)に早(はや)くも聖地(せいち)に到着(たうちやく)されて居(ゐ)た。
012 玉国別(たまくにわけ)、013真純彦(ますみひこ)は途中(とちう)に於(おい)て初稚姫(はつわかひめ)に『聖地(せいち)は結構(けつこう)な所(ところ)の恐(おそ)ろしい所(ところ)だ』と誡(いまし)められ、014筋肉(きんにく)迄(まで)緊張(きんちやう)させ居(ゐ)たにも拘(かか)はらず、015この大袈裟(おほげさ)の歓迎(くわんげい)に肝(きも)をつぶし、016夢(ゆめ)かと許(ばか)り呆(あき)れてゐる。017只(ただ)見(み)るもの、018聞(き)くもの意外(いぐわい)の事(こと)許(ばか)りで語(かた)る事(こと)も知(し)らず、019無言(むごん)の儘(まま)初稚姫(はつわかひめ)の後(うしろ)について進(すす)んで往(ゆ)く。020日出別(ひのでわけ)の神(かみ)は俄(にはか)作(づく)りの建物(たてもの)をさし示(しめ)し、
021日(ひ)の出別(でわけ)『サア皆様(みなさま)、022貴方(あなた)方(がた)の御(ご)苦労(くらう)を慰(なぐさ)める為(た)め、023神(かみ)様(さま)の思召(おぼしめし)によつて、024種々(いろいろ)の余興(よきよう)が催(もよほ)されて居(ゐ)ます。025これから此(この)建造物(けんざうぶつ)に於(おい)て、026七福神(しちふくじん)宝(たから)の入船(いりふね)と云(い)ふお芝居(しばゐ)が初(はじ)まりますから、027悠悠(ゆつくり)気(き)をゆるして御覧(ごらん)下(くだ)さいませ』
028 玉国別(たまくにわけ)は案(あん)に相違(さうゐ)しながら、
029玉国(たまくに)『いや、030どうしてどうして、031そんな気楽(きらく)な事(こと)が出来(でき)ませうか。032真純彦(ますみひこ)に持(も)たせた此(この)宝玉(ほうぎよく)を、033無事(ぶじ)神(かみ)様(さま)にお渡(わた)しする迄(まで)は、034芝居(しばゐ)所(どころ)では厶(ござ)いませぬ。035是(これ)ばかりは平(ひら)にお恕(ゆる)し下(くだ)さいませ。036うつかりして九分(くぶ)九厘(くりん)で顛覆(てんぷく)しては大変(たいへん)ですからなア』
037と038何処(どこ)迄(まで)も警戒(けいかい)し体(からだ)を固(かた)くして居(ゐ)る。
039日(ひ)の出別(でわけ)『決(けつ)して決(けつ)して御(ご)心配(しんぱい)なさいますな。040此(この)通(とほ)り貴方(あなた)方(がた)の御(ご)到着(たうちやく)を祝(いは)ふために宝(たから)の入船(いりふね)と云(い)ふ神劇(しんげき)が催(もよほ)されて居(ゐ)るのです。041貴方(あなた)も宝(たから)を抱(いだ)いてヨルダン河(がは)を船(ふね)にて渡(わた)り、042この聖地(せいち)へお這(はい)りになつたのですから、043宝(たから)の入船(いりふね)の主人公(しゆじんこう)は貴方(あなた)方(がた)ですよ』
044玉国(たまくに)『ハイ。045真純彦(ますみひこ)、046お前(まへ)はどう考(かんが)へるか。047どうも大教主(だいけうしゆ)のお言葉(ことば)が私(わし)には些(ちつ)と許(ばか)り解(かい)し兼(か)ねるのだがなア』
048真純(ますみ)『先生(せんせい)、049これや神(かみ)様(さま)から気(き)を引(ひ)かれて居(ゐ)るのかも知(し)れませぬよ。050兎(と)も角(かく)お断(ことわ)りを申(まをし)て、051早(はや)く此(この)玉(たま)を埴安彦(はにやすひこ)の神(かみ)様(さま)にお渡(わた)しして来(こ)うではありませぬか。052さうでなくてはお芝居(しばゐ)を見(み)る気(き)がしませぬわ』
053初稚(はつわか)『決(けつ)して御(ご)心配(しんぱい)は要(い)りませぬ。054這入(はい)つて御覧(ごらん)なさいませ。055いやいや貴方(あなた)方(がた)が役者(やくしや)にならねばならぬのですよ。056やがて治道(ちだう)居士(こじ)、057伊太彦(いたひこ)、058三千彦(みちひこ)、059デビス姫(ひめ)、060ブラヷーダさまが見(み)えることですから、061七福神(しちふくじん)になつて貰(もら)ふ積(つも)りです。062治道(ちだう)居士(こじ)さまは布袋(ほてい)、063玉国別(たまくにわけ)さまが寿老人(じゆらうじん)、064真純彦(ますみひこ)さまが毘沙門天(びしやもんてん)、065伊太彦(いたひこ)さまが大黒(だいこく)さま、066三千彦(みちひこ)さまが恵比寿(ゑびす)さま、067それから、068デビス姫(ひめ)さまが弁財天(べんざいてん)、069と云(い)ふやうに、070各自(めいめい)にちやんとお役(やく)が定(きま)つて居(ゐ)るのです。071サアどうぞ楽屋(がくや)へお這入(はい)り下(くだ)さい。072私(わたし)等(たち)は見(み)せて貰(もら)ふのです。073実(じつ)の所(ところ)は貴方(あなた)方(がた)に役者(やくしや)になつて貰(もら)ふのですから、074是(これ)も御(ご)神業(しんげふ)だと思(おも)つてお勤(つと)め下(くだ)さいませ』
075玉国(たまくに)『ハテナ、076些(ちつ)とも合点(がつてん)が往(ゆ)きませぬわ。077御(ご)命令(めいれい)とあれば俄(にはか)俳優(はいいう)になつてもよろしいが、078てんで台詞(せりふ)が分(わか)りませぬからねえ』
079日(ひ)の出別(でわけ)『台詞(せりふ)なんか要(い)りませぬよ。080其(その)時(とき)神(かみ)様(さま)が憑(うつ)つて口(くち)を借(か)りて仰有(おつしや)いますから、081承諾(しようだく)なさればよいのです』
082真純(ますみ)『モシ先生(せんせい)、083イヤ寿老人(じゆらうじん)さま、084神(かみ)様(さま)の命令(めいれい)だ、085千(せん)両(りやう)役者(やくしや)になりませうか』
086玉国(たまくに)『何(なん)と云(い)つても神(かみ)様(さま)の御(ご)命令(めいれい)とあれば背(そむ)く訳(わけ)には行(ゆ)きますまい。087勤(つと)めさして頂(いただ)きませう。088そして三千彦(みちひこ)、089伊太彦(いたひこ)はもはや此方(こちら)へ見(み)えて居(を)りますか。090どうしても吾々(われわれ)とは二三(にさん)日(にち)後(おく)れるやうに思(おも)ひますがなア』
091言依別(ことよりわけ)『時間(じかん)空間(くうかん)を超越(てうゑつ)したる神(かみ)の道(みち)、092そんな御(ご)心配(しんぱい)は要(い)りませぬ。093直(すぐ)に今(いま)此処(ここ)へお出(いで)になりますよ。094総(すべ)て神(かみ)様(さま)の御国(みくに)は想念(さうねん)の世界(せかい)ですから、095想念(さうねん)の儘(まま)になるのです。096此処(ここ)が外(ほか)の地点(ちてん)とは違(ちが)つて尊(たふと)い所以(ゆゑん)です。097さうでなくてはエルサレムと云(い)つて神(かみ)様(さま)がお集(あつ)まり遊(あそ)ばす道理(だうり)がありませぬから』
098玉国(たまくに)『左様(さやう)ならばお受(う)け致(いた)します』
099真純(ますみ)『私(わたし)も先生(せんせい)と同様(どうやう)お受(うけ)を致(いた)します』
100と云(い)ふや否(いな)や、101二人(ふたり)の姿(すがた)は忽(たちま)ち七福神(しちふくじん)の中(なか)の一人(ひとり)となつて居(ゐ)た。102いつの間(ま)にやら、103治道(ちだう)居士(こじ)、104三千彦(みちひこ)、105伊太彦(いたひこ)、106デビス姫(ひめ)、107ブラヷーダ姫(ひめ)其(その)外(ほか)の人々(ひとびと)は集(あつ)まり来(きた)りて、108何(いづ)れも七福神(しちふくじん)の姿(すがた)となつて居(ゐ)る。109愈(いよいよ)茲(ここ)に七福神(しちふくじん)宝(たから)の入船(いりふね)の奉祝(ほうしゆく)神劇(しんげき)は演(えん)ぜられた。110数多(あまた)の神司(かむつかさ)や信者(しんじや)は、111此(この)広(ひろ)き建物(たてもの)の中(なか)に、112立錐(りつすい)の余地(よち)なき迄(まで)に集(あつ)まつて、113愉快(ゆくわい)げに観覧(くわんらん)し、114其(その)妙技(めうぎ)を口(くち)を極(きは)めて賞揚(しやうやう)した。115神劇(しんげき)の次第(しだい)は左記(さき)の通(とほ)りであつた。
116抑(そもそも)我(わが)日(ひ)の下(もと)は神(かみ)の御国(みくに)なり
117天地(てんち)ひらけ陰陽(いんやう)分(わか)れ
118青人草(あをひとくさ)を始(はじ)めとし
119万物(ばんぶつ)爰(ここ)に発生(はつせい)して
120天地人(てんちじん)の三体(さんたい)備(そな)はりぬ
121天津(あまつ)御国(みくに)の太元(たいげん)は
122大国常立(おほくにとこたち)の大御神(おほみかみ)
123又(また)の御名(みな)は天照皇(あまてらすすめ)大御神(おほみかみ)なり
124地津(くにつ)神(かみ)の太元(たいげん)は豊国主(とよくにぬし)の大御神(おほみかみ)
125又(また)の御(おん)名(な)は神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)
126豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みづほ)の国(くに)産土山(うぶすなやま)の
127底津(そこつ)岩根(いはね)に宮柱(みやばしら)太敷(ふとしき)立(た)て
128三五(あななひ)の神(かみ)の都(みやこ)を奠(さだ)め賜(たま)ひしより
129千代(ちよ)万代(よろづよ)に動(ゆる)ぎなく
130天下(てんか)泰平(たいへい)国土(こくど)安穏(あんのん)
131五穀(ごこく)成就(じやうじゆ)万民(ばんみん)鼓腹(こふく)撃壤(げきじやう)の楽(たのし)みを享(う)く
132実(げ)に有難(ありがた)き神(かみ)の国(くに)の
133草木(くさき)も靡(なび)く君(きみ)が御代(みよ)
134かくも目出度(めでたき)国(くに)の中(うち)に
135四海(しかい)波風(なみかぜ)豊(ゆたか)にて
136雲井(くもゐ)の空(そら)に寿(ほ)ぎ舞(ま)ふ鶴(つる)や
137千年(ちとせ)の松(まつ)の緑(みどり)の色(いろ)深(ふか)く
138万歳(ばんざい)の亀(かめ)も楽(たの)しむ天教(てんけう)の山(やま)の
139高(たか)く澄(す)みきる月(つき)のあたり
140たなびく霞(かすみ)の中(なか)よりも
141真帆(まほ)をば風(かぜ)に孕(はら)ませつ
142浮(う)かれ入(い)り来(く)る宝(たから)の御船(みふね)
143七五三(しめ)の静波(しづなみ)かきわけて
144積(つ)み込(こ)む宝(たから)の数々(かずかず)や
145まばゆきばかりあたりを照(て)らす
146うるはしさ
147丁子(ちやうし)や分銅(ふんどう)の玉(たま)の袋(ふくろ)に
148黄金(こがね)の鍵(かぎ)もかくれ蓑(みの)
149七宝(しちぽふ)壮厳(さうごん)の雨(あめ)に濡(ぬ)れし
150小笠(こがさ)の露(つゆ)や玉(たま)の光(ひかり)と
151打出(うちで)の小槌(こづち)
152七福神(しちふくじん)の銘々(めいめい)が
153乗合舟(のりあひぶね)の話(はなし)こそ面白(おもしろ)き。
154 中(なか)にも口(くち)まめな福禄寿(ふくろくじゆ)長(なが)い天窓(あたま)を振(ふ)り立(た)てて、
155福禄(ふくろく)『天下(てんか)無双(むそう)のナイスお弁(べん)さま、156イナ弁財(べんざい)天女(てんによ)どの、157貴女(こなた)は新(あたら)しい女(をんな)と見(み)えて、158こんな変痴(へんち)奇珍(きちん)な男子(だんし)計(ばか)りの船(ふね)の中(なか)へ、159案内(あんない)もせないのに、160何(なん)と思(おも)つて同席(どうせき)の栄(えい)を賜(たま)はつたのかな』
161 弁天女(べんてんによ)は面(おも)恥(は)ゆげに莞爾(くわんじ)と笑(ゑ)み乍(なが)ら、
162弁天(べんてん)『ホヽヽヽ、163アノまあ福禄寿(ふくろくじゆ)さまの御(お)言葉(ことば)とも覚(おぼ)えませぬ。164好(よ)く考(かんが)へて御覧(ごらん)、165何程(なにほど)新(あたら)しい女(をんな)だとて、166ナイスだとて、167五百(ごひやく)羅漢堂(らかんだう)を覗(のぞ)いたやうなスタイルして居(ゐ)らつしやる醜男子(ぶをとこ)の側(そば)に来(こ)られないと云(い)ふ法律(はふりつ)は発布(はつぷ)されては居(を)りますまい。168五六七(みろく)の御代(みよ)が開(ひら)ける魁(さきがけ)として、169今度(こんど)エルサレムの宮(みや)に於(おい)て、170玉照彦(たまてるひこの)命(みこと)、171玉照姫(たまてるひめの)命(みこと)二柱(ふたはしら)の神(かみ)様(さま)のお目出度(めでた)い御(ご)婚礼(こんれい)があるので、172御(お)祝(いはひ)のため貴神(きしん)等(ら)は、173この宝舟(たからぶね)に乗(の)つて聖地(せいち)エルサレムの竜宮城(りうぐうじやう)へ昇(のぼ)られるのでせう。174何程(なにほど)福(ふく)の神(かみ)だと云(い)つて、175男子(をとこ)許(ばか)りでは花(はな)も実(み)もありますまい。176昔(むかし)から七福神(しちふくじん)は聞(き)いて居(ゐ)るが、177六福神(ろくふくじん)は聞(き)いた事(こと)が無(な)い。178夫(そ)れで妾(わたし)が天津(あまつ)神(かみ)様(さま)の御(ご)命令(めいれい)で、179俄(にはか)に貴神(あなた)等(たち)の仲間(なかま)に加(くは)はつたのですよ』
180福禄(ふくろく)『コレお弁(べん)さま、181御(ご)心配(しんぱい)下(くだ)さるな。182この福禄寿(ふくろくじゆ)一神(いつしん)あつても下(した)から読(よ)み上(あ)げて見(み)ると十六福(じふろくふく)の神(かみ)だよ。183ヘン済(す)みませぬナア。184そこへ寿老人(じゆらうじん)(十六神(じふろくじん))を加(くは)へて三十二(さんじふに)神(しん)ですよ185アハヽヽヽヽ。186それよりも身(み)の上(うへ)話(ばなし)でも聞(き)かして貰(もら)つた上(うへ)、187都合(つがふ)によつて加(くは)へて上(あ)げようかい』
188弁天(べんてん)『三十二(さんじふに)神(しん)の処(ところ)へ妾(わたし)が一神(いつしん)加(くは)はれば、189三十三(さんじふさん)相(さう)の瑞(みづ)の御魂(みたま)ですよ。190一神(いつしん)欠(か)けても三十三魂(みづみたま)にはなりますまい。191女(をんな)は社交(しやかう)上(じやう)の花(はな)ですからねー。192妾(わたし)の素性(すじやう)を一通(ひととほ)り聞(き)かして上(あ)げますから、193十六神(じふろくじん)さま謹聴(きんちやう)なさいませ194ホヽヽヽヽ』
195六福(ろくふく)『謹聴(きんちやう)々々(きんちやう)ヒヤヒヤ』
196弁天(べんてん)『妾(わたし)は神代(かみよ)の昔(むかし)の或(あ)る歳(とし)、197頃(ころ)は弥生(やよひ)の己(つちのと)の巳日(みのひ)、198二本竹(にほんだけ)の根節(ねぶし)を揃(そろ)へて、199動(ゆる)ぎ出(い)でたる嶋(しま)だと云(い)ふので、200竹生島(たけのしま)と称(とな)へられる、201裏(うら)の国(くに)の琵琶(びは)の湖(みづうみ)に浮(うか)べる一(ひと)つの嶋(しま)に、202天降(あまくだ)りました天女(てんによ)の中(なか)でも、203最(もつと)も勝(すぐ)れたナイスの乙女(をとめ)ですよ。204自分(じぶん)から申(まを)しますと何(な)んだか自慢(じまん)するやうですが、205神徳(しんとく)があまりあらたかなと言(い)ふので、206世人(せじん)より妙音(めうおん)弁財(べんざい)天女(てんによ)と崇(あが)められ、207妾(わらは)の身体(からだ)は引(ひつ)張(ぱ)り凧(だこ)の様(やう)に日(ひ)の下(もと)の国(くに)の四方(しはう)に分霊(ぶんれい)を祭(まつ)られて居(を)ります。208先(ま)づ東(ひがし)の国(くに)では江(え)の島(しま)、209西(にし)の国(くに)では宮嶋(みやじま)に、210今(いま)一体(いつたい)は勿体(もつたい)なくも古(いにしへ)、211伊邪那岐(いざなぎの)尊(みこと)、212伊邪那美(いざなみの)尊(みこと)の二柱(ふたはしら)の神(かみ)様(さま)が天(あめ)の浮橋(うきはし)に渡(わた)らせたまひ、213大海原(おほうなばら)に天降(あまくだ)り、214始(はじ)めて開(ひら)かれたる淤能碁呂(おのごろ)嶋(じま)、215その時(とき)、216鶺鴒(せきれい)と云(い)ふ小鳥(ことり)に夫婦(ふうふ)の道(みち)を教(をし)へられ、217天照(あまてらす)大神(おほかみ)を生(う)み給(たま)ふてより、218又(また)一名(いちめい)を日(ひ)の出嶋(でじま)と名付(なづ)けられ、219この国人(くにびと)に帰依(きえ)せられ、220福徳(ふくとく)を授(さづ)けしによつて、221美人(びじん)賢婦(けんぷ)の標本(へうほん)として七福神(しちふくじん)の列(れつ)に加(くは)はつた事(こと)は、222十六(じふろく)福神(ふくじん)さまも遠(とほ)うの昔(むかし)に御(ご)存知(ぞんぢ)の筈(はず)。223アナタも何時(いつ)の間(ま)にやら福禄寿(ふくろくじゆ)でなくて、224モウロク(最(も)う六(ろく))十三(じふさん)になりましたねー、225ホヽヽヽヽ』
226福禄(ふくろく)『ヒドイなア』
227六福(ろくふく)『アハヽヽ。228オホヽヽヽヽヽ』
229 顔色(かほいろ)の黒(くろ)いのを自慢(じまん)の大黒天(だいこくてん)は、230槌(つち)を持(も)つた儘(まま)座(ざ)に直(なほ)り、
231大黒(だいこく)『弁天(べんてん)ナイスの今(いま)の話(はなし)を聞(き)いた以上(いじやう)は拙者(せつしや)も男(をとこ)だ。232一(ひと)つ身(み)の上(うへ)話(ばなし)を初(はじ)めて見(み)よう。233一同(いちどう)御(ご)迷惑(めいわく)ながら御(お)聴聞(きき)なさいませ。
234抑(そもそ)も拙者(せつしや)は、235神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の御子(みこ)にて、236八百米(やほよね)杵築(きづき)の宮(みや)に鎮(しづ)まりし、237大国主(おほくにぬしの)命(みこと)でござる。238生(うま)れつきの慈悲心(じひしん)包(つつ)むに由(よし)なく、239貧(まづ)しき者(もの)を見(み)るに付(つ)け、240不便(ふびん)さ忍(しの)び難(がた)く、241一切(いつさい)の衆生(しゆじやう)に福徳(ふくとく)を与(あた)へむとして心(こころ)を砕(くだ)き、242チンチンチン一(いち)に米俵(たはら)を踏(ふん)まへて、243二(に)に賑(にぎ)はしう治(をさ)めて、244三(さん)に栄(さか)えの基(もと)となり、245四(よつ)ツ世(よ)の中(なか)悦(よろこ)んで、246五(いつ)ツいつも機嫌(きげん)よく、247六(むつ)ツ無病(むびやう)息災(そくさい)で、248七(なな)ツ難事(なんこと)もないやうに、249八(やつ)ツ屋敷(やしき)を開(ひら)ひて、250九(ここの)ツ花(はな)の倉(くら)を建(た)て、251十分(じふぶん)満(みつ)ればこぼるるぞ。252コレ此(この)槌(つち)は福(ふく)を打(うち)出(だ)す槌(つち)ぢやない、253お土(つち)を大切(たいせつ)にして生命(いのち)の種(たね)のお米(よね)を作(つく)れと知(し)らすためぢや。254モ一(ひと)つには奢(おご)れる奴(やつ)等(ら)の天窓(あたま)をば打(うち)砕(くだ)く槌(つち)ぢやわい。255アハヽヽヽヽ』
256福禄(ふくろく)『アハヽヽヽヽ、257コリヤ御尤(ごもつと)もだ。258オイ戎(えびす)、259コレサ聾(つんぼ)どの、260エベスどの エベスどの エベスどの 261貴神(こなた)は、262マア舳(へさき)に出(で)て釣(つり)許(ばか)りして厶(ござ)るは一体(いつたい)、263こなたは何(ど)う云(い)ふ福(ふく)の神(かみ)ぢやい。264福(ふく)の神(かみ)にも色々(いろいろ)あつて、265雑巾(ざふきん)を持(も)つて縁板(えんいた)などをフクの神(かみ)もあれば、266尻(しり)をフクの紙(かみ)もある。267きつぱりと素性(すじやう)を明(あ)かして呉(く)れないか』
268戎(えびす)『俺(おれ)かい。269おれはナ、270何事(なにごと)も聞(き)かざる、271見(み)ざる、272言(い)はざると云(い)つて、273庚申(かうしん)の眷属(けんぞく)を気取(きど)り、274三猿(さんゑん)主義(しゆぎ)を固守(こしゆ)し、275只(ただ)堪忍(かんにん)をのみ守(まも)つて居(を)るのだ。276徳(とく)は堪忍(かんにん)五万歳(ごまんざい)だ。277抑(そもそ)も拙者(せつしや)は、278蛭子(ひるこ)の命(みこと)と云(い)つて、279正(しやう)月(ぐわつ)三日(みつか)寅(とら)の一天(いつてん)に誕生(たんじやう)した若蛭子(わかえびす)だ。280商売(しやうばい)繁昌(はんぜう)を祈(いの)るが故(ゆゑ)に281欲(よく)の深(ふか)い連中(れんぢう)から商売(あきなひ)の神(かみ)と崇(あが)められて居(を)るのだ。282誠(まこと)に目出度(めでた)う候(さふら)ひけるだ、283アハヽヽヽヽ。284十日(とをか)戎(えびす)の売物(うりもの)は、285はぜ袋(ふくろ)に、286取鉢(とりばち)、287銭(ぜに)がます、288小判(こばん)に金箱(かねばこ)、289立(たて)烏帽子(ゑぼし)、290桝(ます)に財槌(さいづち)、291束熨斗(たばねのし)、292お笹(ささ)をかたげて千鳥足(ちどりあし)』
293大黒(だいこく)『アヽコレコレ294さう踊(をど)り廻(まは)すと船(ふね)の上(うへ)は危険(けんのん)だ。295モウ良(よ)いモウ良(よ)い296御(ご)中止(ちゆうし)を願(ねが)ひます』
297大黒(だいこく)『エヽ時(とき)に寿老人(じゆらうじん)殿(どの)、298貴神(こなた)は何時(いつ)も何時(いつ)も渋(しぶ)い面(かほ)をして落付(おちつき)払(はら)つて厶(ござ)るが、299こんな芽出度(めでた)い時(とき)には、300チツと笑(わら)つて見(み)せても可(い)いぢやないか』
301寿老(じゆらう)『イヤ是(これ)は又(また)迷惑(めいわく)千万(せんばん)、302物価(ぶつか)謄貴(とうき)生活難(せいくわつなん)の声(こゑ)喧(やかま)しき、303この辛(から)い時節(じせつ)に、304あまい顔(かほ)をせよとは、305粋(すゐ)にして且(か)つ賢明(けんめい)なる方々(かたがた)にも似合(にあは)ぬお言葉(ことば)では厶(ござ)らぬか。306拙者(せつしや)は何時(いつ)も苦(にが)い顔(かほ)をして倹約(けんやく)を第一(だいいち)と守(まも)り、307郵便(ゆうびん)貯金(ちよきん)を沢山(たくさん)にして、308他人(たにん)に損(そん)をかけず、309自分(じぶん)も損(そん)を致(いた)さねば、310心労(しんらう)なき故(ゆゑ)、311長命(ちやうめい)を仕(つかまつ)るのぢや。312長命(ちやうめい)に過(す)ぎたる宝(たから)は厶(ござ)らぬ。313兎角(とかく)、314拙者(せつしや)の行(や)り方(かた)を見習(みなら)へば、315たとへ福(ふく)は授(さづ)からなくとも、316自然(しぜん)に福徳(ふくとく)が保(たも)てますぞや』
317福禄(ふくろく)『ヘン、318何程(なにほど)長命(ちやうめい)したとて、319ソンナ苦(にが)い顔(かほ)をして一生(いつしやう)送(おく)るのなら、320余(あま)り福徳(ふくとく)でも在(あ)るまい。321笑(わら)つて暮(くら)すのが、322何(なに)より人生(じんせい)の幸福(かうふく)だ。323高利貸(かうりがし)の親父(おやぢ)でも、324たまには笑(わら)ふぢやないか。325ナア、326皆(みな)の福神(ふくじん)連中(れんちう)さま』
327寿老(じゆらう)『イヤ恐(おそ)れ入(い)る。328併(しか)し自分(じぶん)は是(これ)でも人(ひと)の知(し)らぬ心(こころ)のよろこびに充(み)ちて、329楽(たの)しく日(ひ)を送(おく)つて居(ゐ)るのだ。330サテ、331愚老(ぐらう)許(ばか)りお喋舌(しやべり)いたして皆様(みなさま)の交際(つきあひ)を忘(わす)れて居(ゐ)た。332余(あま)りの楽(たの)しさと、333面白(おもしろ)さと、334今度(こんど)の御(ご)婚礼(こんれい)の目出度(めでた)さとに気(き)を取(と)られて、335アハヽヽヽヽ。336サア是(これ)からお交際(つきあひ)申(まを)さう』
337と傍(かたはら)にあり合(あ)ふ妻琴(つまごと)を引(ひき)寄(よ)せ掻(か)きならし、
338(歌(うた))『忍(しの)ぶ身(み)や 夜(よ)な夜(よ)なもゆる 沢(さは)の 螢火(ほたるび)に 夜更(よふけ)渡(わた)りぬる』
339寿老(じゆらう)『余(あま)り長(なが)いのは皆様(みなさま)のさはりになる。340長(なが)い者(もの)を俗(ぞく)に長者(ちやうじや)と言(い)ふさうぢや。341ヤ、342是(これ)はしたり、343長(なが)い者(もの)とは福禄寿(げほう)様(さま)へ差(さし)合(あひ)ました。344失礼(しつれい)々々(しつれい)』
345 布袋(ほてい)和尚(をしやう)は吹(ふき)出(だ)して、
346布袋(ほてい)『アハヽヽヽアハヽヽヽ、347オホヽヽヽ、348ハテ、349コリヤ面白(おもしろ)い 面白(おもしろ)い 面白(おもしろ)い ハヽヽヽヽヽ奇妙(きめう)々々(きめう)』
350 毘沙門天(びしやもんてん)は、351むつとした顔(かほ)しながら、
352毘沙(びしや)『ヤイ、353そこな土仏(どぶつ)坊主(ばうず)奴(め)。354何(なに)がそれ程(ほど)可笑(をか)しいのだい。355袋(ふくろ)と腹(はら)とで乗合船(のりあひぶね)の居所(ゐどころ)を狭(せば)めて居(ゐ)る癖(くせ)に、356チツと位(くらゐ)遠慮(ゑんりよ)召(め)さつても可(い)いだらう』
357布袋(ほてい)『アヽ、358コレコレ毘沙(びしや)殿(どの)。359さう腹立(はらたて)まいぞや、360腹立(はらたて)まいぞや、361立腹(たてはら)まいぞや。362少々(せうせう)は乗合(のりあひ)の邪魔(じやま)にも成(な)るだらうが、363ソコは仲間(なかま)の事(こと)だから、364神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)してマアマア曰(いは)く因縁(いんねん)を聞(き)き玉(たま)へ。365夫(そ)れ一家(いつか)一門(いちもん)附合(つきあひ)、366朋友(ほういう)、367得意先(とくいさき)、368丸(まる)う無(な)くては治(をさ)まらないと云(い)ふ道理(だうり)は、369拙者(せつしや)のこの天窓(あたま)で判(わか)るだらう。370眼(め)まで丸(まる)い布袋(ほてい)和尚(をしやう)だ、371ハヽヽヽヽ。372まつた腹(はら)は大(おほ)きくなければ、373心(こころ)がさもしいものだ。374そこで愚僧(ぐそう)が此(この)大(おほ)きい腹(はら)を突(つ)き出(だ)し、375腹鼓(はらつづみ)を打(う)つて一通(ひととほ)りお話(はなし)致(いた)すで厶(ござ)らう。
376「ソレ、377この袋(ふくろ)といつぱ[※「いつぱ」は「言っぱ」で、「~と言うのは」の意。]」見(み)たる事(こと)聞(き)きたる事(こと)、378よしあし共(とも)に忘(わす)れぬ様(やう)、379中(なか)へ納(をさ)めて斯(こ)の通(とほ)り、380もたれて居(ゐ)申(まう)すなり。381又(また)世(よ)に子宝(こだから)と云(い)へるが、382稚(おさな)き者(もの)ほど可愛者(かあいもの)はあり申(まを)さぬ。383その稚(おさな)き者(もの)を団扇(うちは)を持(も)つて行司(ぎやうじ)仕(つかまつ)り居(を)り候(さふらふ)也(なり)。384アヽ宜(よ)き楽(たのし)みかな宜(よ)き楽(たのし)みかな』
385福禄(ふくろく)『イヤ布袋(ほてい)どの、386尤(もつと)も尤(もつと)も、387尤(もつと)も次手(ついで)に笑(わら)はしやるのも尤(もつと)も尤(もつと)も。388「笑(わら)ふ門(かど)へは福禄寿(ふくろくじゆ)」サレバお咄(はな)し申(まを)しませう。389夫(そ)れ天窓(あたま)が長(なが)ければ背(せ)はズント低(ひく)う厶(ござ)る。390低(ひく)うなければ愛嬌(あいけう)を失(うしな)ひます。391先(ま)づ入口(いりぐち)を這入(はい)るにも長(なが)いによつて余(あま)ります。392天窓(あたま)を下(さ)げて這入(はい)ります。393それで愛嬌(あいけう)が厶(ござ)るだらうがの、394愛嬌(あいけう)ついでに皆(みな)さま、395おはやし頼(たの)みます。
396「越後(えちご)の国(くに)の角兵衛(かくべゑ)獅子(じし)、397国(くに)を出(で)る時(とき)や、398親子(おやこ)連(づ)れ、399獅子(しし)をかぶりて、400くるりと廻(まは)つて、401首(くび)をふりまする、402親父(おやぢ)や、403まじめで笛(ふえ)を吹(ふ)く」
404ヨー、405ハヽヽヽヽ福禄寿(げほう)さま、406大当(おほあた)りだ大当(おほあた)りだ。407アハヽヽヽヽ』
408六福(ろくふく)『併(しか)し獅子(しし)の頭(あたま)が少々(せうせう)高過(たかす)ぎるぢやないか。409ハヽヽヽヽ』
410福禄(ふくろく)『ハテ、411頭(あたま)が高(たか)うもなければ納(をさ)まらぬ事(こと)もある物(もの)だ。412是(これ)もやつぱり世界(せかい)の道具(だうぐ)だからのう。413ハヽヽヽヽ』
414 毘沙門天(びしやもんてん)は居(ゐ)直(なほ)りて、
415毘沙(びしや)『ムヽヽヽヽ、416ハヽヽヽヽ面白(おもしろ)し面白(おもしろ)し、417吾(われ)は異形(いぎやう)の姿(すがた)にて鉾(ほこ)携(たづさ)へし身(み)乍(なが)らも、418七福神(しちふくじん)の列(れつ)に加(くは)はる其(その)由来(ゆらい)を物語(ものがた)らむ。419そも不身持(ふみもち)山(やま)の皆(みな)身(み)(南(みなみ))に当(あた)りて難渋(なんじう)ケ嶽(だけ)の峰(みね)に住(す)む、420貧乏(びんばふ)困神(こんじん)とて悪神(あくがみ)あり、421彼(かれ)に徒党(とたう)の奴原(やつばら)を悉(ことごと)く誠罰(せいばつ)し諸人(しよにん)の患(わづらひ)を救(すく)はむと、422この日(ひ)の国(くに)に天降(あまくだ)り、423日出(ひいづ)る国(くに)信貴山(のぶたかやま)に根城(ねじろ)を構(かま)へ、424追付(おつつく)悪神(あくがみ)討(うち)亡(ほろ)ぼし、425困窮(こんきう)の根(ね)をたやさむこと、426此(この)多聞天(たもんてん)が方寸(はうすん)の内(うち)にあり、427ハヽヽハヽヽハヽヽヽヽ、428悦(よろこ)ばしや嬉(うれ)しや』
429と勇(いさ)める顔色(がんしよく)、430威(ゐ)あつて尊(たふと)く、431実(じつ)に有難(ありがた)き霊験(れいけん)なり。
432 皆(みな)一同(いちどう)にあふぎ立(た)て、433中(なか)に取分(とりわ)け弁財天(べんざいてん)。
434弁天(べんてん)『何(いづ)れに、435おろかは無(な)けれども、436多聞天(たもんてん)のおん物語(ものがたり)、437勇(いさ)ましや。438イザヤ発船(ほつせん)、439又(また)の御(ご)げん』
440とのたまふにぞ、441さらばさらばと漕(こ)ぎよせて、442竜宮館(りうぐうやかた)の水(みづ)の面(も)に、443清(きよ)き宝(たから)の入船(いりふね)や、444七福神(しちふくじん)の霊験(れいけん)も、445仁義(じんぎ)釈教(しやくけう)、446恋無常(こひむじやう)、447勧善(くわんぜん)懲悪(ちようあく)聞明(ぶんめい)し、448改過(かいくわ)を作(つく)るその主(ぬし)は、449近松(ちかまつ)ならで松(まつ)の元(もと)、450一(ひ)とふし込(こめ)し、451竹本(たけもと)ならぬ国武彦(くにたけひこ)の御(おん)助(たす)け、452梅(うめ)の香(か)床(ゆか)しき一輪(いちりん)の、453花(はな)の流(なが)れや汲(く)み取(と)る綾(あや)の、454聖地(せいち)の玉(たま)の井(ゐ)に、455映(うつ)る言霊(ことたま)影(かげ)きよく、456照(て)り輝(かがや)きし玉照姫(たまてるひめ)や、457暗(やみ)をも照(て)らす玉照彦(たまてるひこ)二柱(ふたはしら)、458九(く)月(ぐわつ)八日(やうか)の慶(よろこ)びを、459筆(ふで)にうつして末(すゑ)広(ひろ)く、460伝(つた)へ栄(さか)ゆる神祝(かむほ)ぎの、461尽(つ)きせぬ神代(みよ)こそ芽出度(めでた)けれ。
462(大正一二・七・一八 旧六・五 北村隆光・加藤明子共録)
463(昭和一〇・六・一六 王仁校正)
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