霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第79巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 竜の島根
第1章 湖中の怪
第2章 愛の追跡
第3章 離れ島
第4章 救ひの船
第5章 湖畔の遊び
第6章 再会
第2篇 竜宮風景
第7章 相聞(一)
第8章 相聞(二)
第9章 祝賀の宴(一)
第10章 祝賀の宴(二)
第11章 瀑下の乙女
第12章 樹下の夢
第13章 鰐の背
第14章 再生の歓び
第15章 宴遊会
第3篇 伊吹の山颪
第16章 共鳴の庭
第17章 還元竜神
第18章 言霊の幸
第19章 大井の淵
第20章 産の悩み
第21章 汀の歎き
第22章 天変地妖
第23章 二名の島
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第79巻(午の巻)
> 第2篇 竜宮風景 > 第7章 相聞(一)
<<< 再会
(B)
(N)
相聞(二) >>>
第七章
相聞
(
さうもん
)
(一)〔一九八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:
第2篇 竜宮風景
よみ(新仮名遣い):
りゅうぐうふうけい
章:
第7章 相聞(一)
よみ(新仮名遣い):
そうもん
通し章番号:
1988
口述日:
1934(昭和9)年07月17日(旧06月6日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
弟姫神の兄、艶男の姿の美しさに、竜神の侍女神たちは先を争って集まって来た。侍女神たちはいずれも人面竜身であったが、その美しさには犯しがたい気品があった。
侍女神の一人山吹は、恐る恐る艶男の近くに寄り、艶男への恋心を歌った。しかし艶男は、実を結ばぬ恋ゆえに、応えるわけには行かないと断り、返事をしばし待つようにと返した。
艶男は庭の白砂を踏みながら、曲玉池の木陰に進んでいくと、今度は侍女神の白菊が物憂げに立っていた。艶男はその風情に打たれて名を問うと、白菊は艶男への思いをぶつけてきた。
艶男は自分は国津神の長の家を継ぐものであり、ここには長くとどまることができないから、思いに応えることができない、と返した。白菊は悲しみと恨みを歌ってそっとその場を離れた。
艶男は、妹を追って来たこの竜宮島で、はからずもこのような恋の情けの雨に悩まされるとは、と嘆じた。人面竜身の姿は自分の心にはそぐわないが、しかし面差しを見れば涙にくれる乙女であるし、このような恋の思いを打ち明けられて心悲しくなってしまうのだ、と悩みを一人歌う。
すると、前方の森からまた七人の竜神の乙女が入り来たった。艶男はまた見つかっては大変と、伊吹山の中腹にある鏡の湖に向かって逃げていった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7907
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 200頁
修補版:
校定版:
135頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
万里
(
まで
)
の
海原
(
うなばら
)
に
浮
(
うか
)
びたる
002
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
なる
003
玉耶
(
たまや
)
湖水
(
こすい
)
の
中心
(
ちうしん
)
に
004
御空
(
みそら
)
をついてそばだてる
005
大地
(
だいち
)
の
鼻
(
はな
)
ともたとふべき
006
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
の
後方
(
こうはう
)
は
007
高光山
(
たかみつやま
)
に
相次
(
あひつ
)
ぐの
名山
(
めいざん
)
なり
008
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
南端
(
なんたん
)
に
突出
(
とつしゆつ
)
せる
009
万木
(
ばんぼく
)
万草
(
ばんさう
)
豊
(
ゆたか
)
なる
010
珊瑚礁
(
さんごせう
)
を
以
(
もつ
)
て
凝
(
かた
)
まりし
011
風光
(
ふうくわう
)
明媚
(
めいび
)
の
島ケ根
(
しまがね
)
を
012
竜宮島
(
りうぐうじま
)
と
称
(
とな
)
ふなり
013
此
(
この
)
島ケ根
(
しまがね
)
はまだ
新
(
あたら
)
しく
014
人面
(
にんめん
)
竜身
(
りうしん
)
の
竜族
(
たつぞく
)
数多
(
あまた
)
住居
(
ぢうきよ
)
して
015
神仙郷
(
しんせんきやう
)
の
思
(
おも
)
ひあり
016
稍
(
やや
)
進歩
(
しんぽ
)
せる
竜神
(
たつがみ
)
の
017
頭部
(
とうぶ
)
と
両腕
(
りやううで
)
は
018
漸
(
やうや
)
く
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
に
似
(
に
)
たれども
019
其
(
その
)
他
(
た
)
は
未
(
いま
)
だ
完全
(
くわんぜん
)
なる
020
人体
(
じんたい
)
ならず
肩部
(
けんぶ
)
より
下
(
した
)
は
021
残
(
のこ
)
らず
鱗
(
うろこ
)
を
以
(
もつ
)
て
人体
(
じんたい
)
を
包
(
つつ
)
まれたる
022
異様
(
いやう
)
の
獣族
(
じうぞく
)
なり
023
かかる
新
(
あたら
)
しき
島ケ根
(
しまがね
)
に
024
捕
(
とら
)
はれ
来
(
きた
)
りし
麗子姫
(
うららかひめ
)
025
容姿
(
ようし
)
は
艶麗
(
えんれい
)
にして
天人
(
てんにん
)
の
如
(
ごと
)
く
026
竜神族
(
たつがみやから
)
は
忽
(
たちま
)
ち
神
(
かみ
)
と
尊敬
(
そんけい
)
し
027
竜神
(
たつがみ
)
の
王
(
わう
)
たる
大竜身彦
(
おほたつみひこ
)
も
028
麗子姫
(
うららかひめ
)
を
妻
(
つま
)
としながら
029
神
(
かみ
)
の
王
(
わう
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ
030
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
真心
(
まごころ
)
の
限
(
かぎ
)
りをつくして
031
仕
(
つか
)
へまつりける
032
かかるところへ
麗子姫
(
うららかひめ
)
の
兄
(
あに
)
なる
033
艶男
(
あでやか
)
の
来
(
きた
)
りしより
034
此
(
この
)
島ケ根
(
しまがね
)
の
若
(
わか
)
き
女
(
め
)
たちは
035
旱天
(
かんてん
)
の
驟雨
(
しうう
)
を
得
(
え
)
たるが
如
(
ごと
)
く
036
随喜
(
ずゐき
)
渇仰
(
かつかう
)
して
一目
(
ひとめ
)
なりとも
037
天人
(
てんにん
)
の
顔
(
かんばせ
)
を
拝
(
をが
)
まむと
038
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひ
集
(
よ
)
り
来
(
きた
)
る
039
竜神
(
たつがみ
)
の
中
(
なか
)
にも
040
眉目形
(
みめかたち
)
うるはしき
乙女
(
をとめ
)
は
041
大竜身彦
(
おほたつみひこ
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
042
朝夕
(
あさゆふ
)
仕
(
つか
)
へ
侍
(
はべ
)
りて
043
艶男
(
あでやか
)
の
端麗
(
たんれい
)
なる
容姿
(
ようし
)
を
044
目引
(
めひ
)
き
袖引
(
そでひ
)
き
眺
(
なが
)
めつつ
045
笑
(
ゑ
)
みを
湛
(
たた
)
へ
居
(
ゐ
)
たりける
046
侍女神
(
じぢよしん
)
の
重
(
おも
)
なる
神
(
かみ
)
は
047
桔梗
(
ききやう
)
、
山吹
(
やまぶき
)
、
女郎花
(
をみなへし
)
048
萩
(
はぎ
)
に
撫子
(
なでしこ
)
、
藤袴
(
ふぢばかま
)
049
白菊
(
しらぎく
)
、
山菊
(
やまぎく
)
、
百合
(
ゆり
)
の
花
(
はな
)
050
椿
(
つばき
)
、
桜
(
さくら
)
に
燕子花
(
かきつばた
)
051
あやめ、
石竹
(
せきちく
)
などと
052
華
(
はな
)
やかなる
名
(
な
)
の
持主
(
もちぬし
)
なりける
053
これらの
女神
(
めがみ
)
はいづれも
054
竜体
(
りうたい
)
なりとはいへ
055
その
容貌
(
ようばう
)
は
端麗
(
たんれい
)
にして
056
容易
(
ようい
)
に
犯
(
をか
)
すべからず
見
(
み
)
えにける。
057
山吹
(
やまぶき
)
は
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
艶男
(
あでやか
)
の
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く、
058
裲襠姿
(
うちかけすがた
)
にて
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
り、
059
心
(
こころ
)
の
丈
(
たけ
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
060
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津国
(
あまつくに
)
より
降
(
くだ
)
りましし
061
神
(
かみ
)
にあらずや
君
(
きみ
)
のよそほひ
062
われは
今
(
いま
)
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
の
山峡
(
やまかひ
)
に
063
雨
(
あめ
)
に
萎
(
しを
)
るる
山吹
(
やまぶき
)
の
花
(
はな
)
よ
064
山吹
(
やまぶき
)
の
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
けども
匂
(
にほ
)
へども
065
手折
(
たを
)
る
人
(
ひと
)
なきわれぞ
淋
(
さび
)
しき
066
君
(
きみ
)
が
手
(
て
)
に
触
(
ふ
)
れてこぼるる
山吹
(
やまぶき
)
の
067
露
(
つゆ
)
はづかしきおもひなりけり
068
はてしなきおもひ
抱
(
いだ
)
きてわれは
今
(
いま
)
069
尊
(
たふと
)
き
君
(
きみ
)
の
前
(
まへ
)
にはぢらふ
070
竜神
(
たつがみ
)
の
館
(
たち
)
に
天降
(
あも
)
りし
君
(
きみ
)
こそは
071
わが
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
の
生命
(
いのち
)
なるかも
072
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
捨
(
す
)
つるも
惜
(
を
)
しまむじ
073
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
手
(
て
)
にふるる
山吹
(
やまぶき
)
074
山吹
(
やまぶき
)
の
花
(
はな
)
は
情
(
なさけ
)
のつゆあびて
075
ほのかに
笑
(
ゑ
)
みつ
打伏
(
うちふ
)
す
夏
(
なつ
)
なり
076
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
より
下
(
くだ
)
りし
君許
(
きみがり
)
に
077
ただ
一夜
(
ひとよ
)
さの
露
(
つゆ
)
ぞ
願
(
ねが
)
はし
078
汝
(
な
)
が
君
(
きみ
)
の
情
(
なさけ
)
のつゆのなかりせば
079
あれは
山吹
(
やまぶき
)
咲
(
さ
)
くよしもなし
080
湖
(
うみ
)
の
面
(
も
)
に
姿
(
すがた
)
を
写
(
うつ
)
す
山吹
(
やまぶき
)
の
081
花
(
はな
)
の
心
(
こころ
)
を
君
(
きみ
)
は
知
(
し
)
らずや
082
七重
(
ななへ
)
八重
(
やへ
)
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
くわが
身
(
み
)
山吹
(
やまぶき
)
も
083
吾
(
きみ
)
のすがたに
及
(
およ
)
ばざらめや
084
時
(
とき
)
じくに
七重
(
ななへ
)
八重
(
やへ
)
咲
(
さ
)
く
山吹
(
やまぶき
)
は
085
竜宮
(
りうぐう
)
の
島
(
しま
)
の
花
(
はな
)
にぞありける
086
われはまだ
年若
(
としわか
)
けれど
君
(
きみ
)
おもふ
087
心
(
こころ
)
はあかし
山吹
(
やまぶき
)
の
花
(
はな
)
088
黄金色
(
こがねいろ
)
に
咲
(
さ
)
く
山吹
(
やまぶき
)
の
君許
(
きみがり
)
に
089
立
(
た
)
ちてし
見
(
み
)
れば
面
(
おも
)
あからむも
090
山吹
(
やまぶき
)
のあかき
心
(
こころ
)
をみそなはし
091
情
(
なさけ
)
のつゆを
降
(
ふ
)
らさせ
給
(
たま
)
へ』
092
艶男
(
あでやか
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
093
『
山吹
(
やまぶき
)
の
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
はさとれども
094
手折
(
たを
)
る
術
(
すべ
)
なきわが
身
(
み
)
なりけり
095
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
の
情
(
なさけ
)
をさとるわれながら
096
花
(
はな
)
にかこまれ
動
(
うご
)
くよしなし
097
百千花
(
ももちばな
)
匂
(
にほ
)
ふ
竜宮
(
りうぐう
)
の
島ケ根
(
しまがね
)
に
098
思
(
おも
)
はぬ
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
を
見
(
み
)
るかな
099
いろいろと
花
(
はな
)
は
匂
(
にほ
)
へど
手折
(
たを
)
るべき
100
力
(
ちから
)
なき
身
(
み
)
をわれ
如何
(
いか
)
にせむ
101
伊吹山
(
いぶきやま
)
尾根
(
をね
)
にかがよふ
月
(
つき
)
かげを
102
見
(
み
)
れば
恥
(
はづ
)
かし
艶男
(
あでやか
)
曇
(
くも
)
る
103
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
りてわれは
今
(
いま
)
104
あやめもわかずなりにけらしな
105
花
(
はな
)
に
酔
(
よ
)
ひ
恋
(
こひ
)
に
酔
(
よ
)
ひつつ
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
106
さまよふわれの
心
(
こころ
)
いぶかし
107
如何
(
いか
)
にして
君
(
きみ
)
が
心
(
こころ
)
に
叶
(
かな
)
はむと
108
思
(
おも
)
へど
詮
(
せん
)
なし
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
一人
(
ひとり
)
に
109
よしやよし
山吹
(
やまぶき
)
の
花
(
はな
)
を
手折
(
たを
)
るとも
110
仇花
(
あだばな
)
なれや
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ばねば』
111
山吹
(
やまぶき
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
112
『わがおもふ
心
(
こころ
)
の
丈
(
たけ
)
を
君許
(
きみがり
)
に
113
明
(
あか
)
しまつりし
事
(
こと
)
の
恥
(
はづ
)
かし
114
兎
(
と
)
にもあれ
角
(
かく
)
にもあれや
竜宮
(
りうぐう
)
の
115
庭
(
には
)
に
匂
(
にほ
)
へる
花
(
はな
)
を
手折
(
たを
)
らせよ』
116
艶男
(
あでやか
)
は
答
(
こた
)
ふ。
117
『
兎
(
と
)
にもあれ
角
(
かく
)
にもあれや
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
118
わが
返
(
かへ
)
し
事
(
ごと
)
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
はれ』
119
と
言
(
い
)
ひつつ、
120
悠然
(
いうぜん
)
として
庭
(
には
)
の
白砂
(
しらすな
)
を
踏
(
ふ
)
みながら、
121
曲玉池
(
まがたまいけ
)
の
木
(
こ
)
かげに
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
122
此処
(
ここ
)
には、
123
侍女神
(
じぢよしん
)
の
白菊
(
しらぎく
)
が
物憂
(
ものう
)
げに
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
124
その
優姿
(
やさすがた
)
、
125
海棠
(
かいだう
)
の
雨
(
あめ
)
に
萎
(
しを
)
れてうつぶせるが
如
(
ごと
)
き
風情
(
ふぜい
)
あり。
126
艶男
(
あでやか
)
はこれを
見
(
み
)
て
歌
(
うた
)
ふ。
127
『
曲玉
(
まがたま
)
の
池
(
いけ
)
の
汀
(
みぎは
)
に
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
は
128
いづれの
花
(
はな
)
か
聞
(
き
)
かまほしさよ
129
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
に
清
(
すが
)
しく
写
(
うつ
)
る
御姿
(
みすがた
)
は
130
世
(
よ
)
にも
稀
(
まれ
)
なるよそほひなるかな』
131
白菊
(
しらぎく
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
132
『わが
心
(
こころ
)
いづらに
行
(
ゆ
)
くかしら
菊
(
ぎく
)
の
133
水鏡
(
みづかがみ
)
見
(
み
)
る
朝
(
あさ
)
なりにけり
134
君
(
きみ
)
こそは
天津
(
あまつ
)
国人
(
くにびと
)
此
(
こ
)
の
島
(
しま
)
に
135
天降
(
あも
)
らす
日
(
ひ
)
より
打
(
う
)
ち
仰
(
あふ
)
ぎつつ
136
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
れば
月
(
つき
)
の
顔
(
かんばせ
)
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
137
此
(
この
)
島ケ根
(
しまがね
)
に
稀
(
まれ
)
なる
艶人
(
あでびと
)
よ
138
艶人
(
あでびと
)
の
上
(
うへ
)
をおもひて
朝
(
あさ
)
なさな
139
われは
祈
(
いの
)
るも
曲玉
(
まがたま
)
の
池
(
いけ
)
に
140
曲玉
(
まがたま
)
の
水
(
みづ
)
は
底
(
そこ
)
まで
澄
(
す
)
みきれど
141
われは
曇
(
くも
)
れり
心
(
こころ
)
の
水底
(
みなそこ
)
142
いや
深
(
ふか
)
きおもひの
底
(
そこ
)
を
打明
(
うちあ
)
けて
143
君
(
きみ
)
に
見
(
み
)
せたき
一
(
ひと
)
つのものあり
144
白菊
(
しらぎく
)
のかげのうつらふ
玉水
(
たまみづ
)
を
145
君
(
きみ
)
は
汲
(
く
)
まずや
掬
(
むす
)
び
給
(
たま
)
はずや
146
賤
(
いや
)
しかる
身体
(
むくろ
)
をもてど
人
(
ひと
)
を
恋
(
こ
)
ふる
147
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
に
隔
(
へだ
)
てあるべき
148
島ケ根
(
しまがね
)
に
咲
(
さ
)
く
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
の
露
(
つゆ
)
149
掬
(
むす
)
ばせ
給
(
たま
)
へ
一夜
(
いちや
)
の
枕
(
まくら
)
を』
150
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
151
『
竜宮
(
りうぐう
)
の
島根
(
しまね
)
に
計
(
はか
)
らず
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
152
情
(
なさけ
)
のつゆの
雨
(
あめ
)
にあふかな
153
われこそは
水上山
(
みなかみやま
)
の
国津
(
くにつ
)
御祖
(
みおや
)
154
神
(
かみ
)
の
家継
(
いへつ
)
ぐ
彦遅
(
ひこぢ
)
なるぞや
155
永久
(
とこしへ
)
に
住
(
す
)
むべき
島
(
しま
)
にあらざれば
156
手折
(
たを
)
る
術
(
すべ
)
さへしら
菊
(
ぎく
)
の
花
(
はな
)
』
157
白菊
(
しらぎく
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
158
『
恥
(
はづ
)
かしきわが
身
(
み
)
なるかな
汝
(
な
)
が
君
(
きみ
)
の
159
袖
(
そで
)
にはぢかれ
花
(
はな
)
散
(
ち
)
らむとすも
160
わが
心
(
こころ
)
いづらに
行
(
ゆ
)
きしかしら
菊
(
ぎく
)
の
161
花
(
はな
)
はづかしき
朝
(
あさ
)
なりにけり
162
うちつけにわが
放
(
はな
)
ちたる
言霊
(
ことたま
)
は
163
巌
(
いは
)
にあたりてはね
返
(
かへ
)
されぬ
164
朝夕
(
あさゆふ
)
の
乙女心
(
をとめごころ
)
のかなしさを
165
汲
(
く
)
まさぬ
君
(
きみ
)
ぞつれなかりけり
166
いざさらば
暫
(
しば
)
し
別
(
わか
)
れて
恥
(
はづ
)
かしの
167
森
(
もり
)
の
木
(
こ
)
かげにわれ
休
(
やす
)
らはむ』
168
と
歌
(
うた
)
ひつつ、
169
袖
(
そで
)
に
面
(
かほ
)
を
覆
(
おほ
)
ひながら、
170
貴
(
うづ
)
の
乙女
(
をとめ
)
のしをしをと、
171
小暗
(
をぐら
)
き
木下闇
(
こしたやみ
)
を
潜
(
くぐ
)
りて、
172
何処
(
いづく
)
ともなく
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
きにける。
173
艶男
(
あでやか
)
は
太
(
ふと
)
き
息
(
いき
)
を
洩
(
もら
)
しながら、
174
『ああわれは
迷
(
まよ
)
ひにけりな
麗子
(
うららか
)
の
175
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひてここに
悩
(
なや
)
めるか
176
今
(
いま
)
となり
麗子姫
(
うららかひめ
)
の
心根
(
こころね
)
を
177
ひしと
悟
(
さと
)
りて
涙
(
なみだ
)
ぐましも
178
竜神
(
たつがみ
)
の
王
(
こきし
)
なれども
竜
(
たつ
)
の
身
(
み
)
に
179
抱
(
いだ
)
かるる
身
(
み
)
は
淋
(
さび
)
しかるらむ
180
麗子
(
うららか
)
の
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
こ
)
しわれは
181
情
(
なさけ
)
の
雨
(
あめ
)
になやまされける
182
かくの
如
(
ごと
)
恋
(
こひ
)
は
苦
(
くる
)
しきものなるか
183
玉
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
の
死
(
し
)
なまく
思
(
おも
)
ふ
184
死
(
し
)
なまくは
思
(
おも
)
へど
故郷
(
くに
)
に
垂乳根
(
たらちね
)
の
185
いますが
故
(
ゆゑ
)
に
心
(
こころ
)
に
任
(
まか
)
せず
186
水火土
(
しほつち
)
の
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれわれは
今
(
いま
)
187
同
(
おな
)
じなやみに
悶
(
もだ
)
えぬるかな
188
竜神
(
たつがみ
)
の
眼
(
まなこ
)
なければひそやかに
189
船
(
ふね
)
をかざして
帰
(
かへ
)
らむものを
190
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
にそぐはぬ
竜神
(
たつがみ
)
の
191
乙女
(
をとめ
)
の
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
るもいやらし
192
さりながら
其
(
その
)
おもざしを
眺
(
なが
)
むれば
193
涙
(
なみだ
)
ぐましき
乙女
(
をとめ
)
のみなる
194
乙女子
(
をとめご
)
の
清
(
きよ
)
きなさけの
露
(
つゆ
)
あびて
195
心
(
こころ
)
悲
(
かな
)
しくなりにけらしな
196
女神
(
めがみ
)
のみ
数多
(
あまた
)
住
(
す
)
まへる
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
197
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
一人
(
ひとり
)
の
如何
(
いか
)
に
堪
(
た
)
ふべき
198
一枝
(
ひとえ
)
折
(
を
)
らば
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
押
(
おし
)
なべて
199
手折
(
たを
)
らにやならぬ
破目
(
はめ
)
となるべし
200
われは
今
(
いま
)
一
(
ひと
)
つの
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
ちつつ
201
百
(
もも
)
の
生命
(
いのち
)
を
如何
(
いか
)
に
支
(
ささ
)
へむ』
202
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ、
203
前方
(
ぜんぱう
)
の
森林
(
しんりん
)
より
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
、
204
白衣
(
びやくえ
)
の
直垂
(
ひたたれ
)
に
緋
(
ひ
)
の
長袴
(
ながはかま
)
を
穿
(
うが
)
ち、
205
各自
(
てんで
)
に
水晶
(
すゐしやう
)
の
壺
(
つぼ
)
を
抱
(
いだ
)
きながら、
206
曲玉池
(
まがたまいけ
)
の
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
まむとや、
207
しとしとと
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る。
208
艶男
(
あでやか
)
はまた
見付
(
みつ
)
かつては
大変
(
たいへん
)
と、
209
忽
(
たちま
)
ち
踵
(
きびす
)
をかへし、
210
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
なる
鏡湖
(
かがみこ
)
のかたへの
樹蔭
(
こかげ
)
を
目
(
め
)
がけ、
211
急
(
いそ
)
ぎ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
212
艶男
(
あでやか
)
は
樹蔭
(
こかげ
)
に
憩
(
いこ
)
ひながら
歌
(
うた
)
ふ。
213
『
漸
(
やうや
)
くにわれは
遁
(
のが
)
れて
来
(
きた
)
りけり
214
いざ
休
(
やす
)
らはむ
桂木
(
かつらぎ
)
のかげ
215
女神
(
めがみ
)
のみ
数多
(
あまた
)
住
(
す
)
まへる
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
216
心
(
こころ
)
いぶかしくわれは
悩
(
なや
)
むも
217
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
心安
(
うらやす
)
らけく
保
(
たも
)
てども
218
やがて
襲
(
おそ
)
はむ
恋
(
こひ
)
の
嵐
(
あらし
)
は
219
翼
(
つばさ
)
あらば
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
に
夜
(
よる
)
の
間
(
ま
)
に
220
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
らむと
悩
(
なや
)
めるわれかも
221
麗子
(
うららか
)
の
恋
(
こひ
)
しき
君
(
きみ
)
のいます
島
(
しま
)
に
222
翼
(
つばさ
)
はがれし
裸鳥
(
はだかどり
)
われは
223
伊吹山
(
いぶきやま
)
尾根
(
をね
)
を
包
(
つつ
)
める
白雲
(
しらくも
)
の
224
晴
(
は
)
るるひまなきわが
思
(
おも
)
ひかな』
225
(
昭和九・七・一七
旧六・六
於関東別院南風閣
白石恵子
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 再会
(B)
(N)
相聞(二) >>>
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第79巻(午の巻)
> 第2篇 竜宮風景 > 第7章 相聞(一)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第7章 相聞|第79巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7907】
合言葉「みろく」を入力して下さい→