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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第79巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 竜の島根
第1章 湖中の怪
第2章 愛の追跡
第3章 離れ島
第4章 救ひの船
第5章 湖畔の遊び
第6章 再会
第2篇 竜宮風景
第7章 相聞(一)
第8章 相聞(二)
第9章 祝賀の宴(一)
第10章 祝賀の宴(二)
第11章 瀑下の乙女
第12章 樹下の夢
第13章 鰐の背
第14章 再生の歓び
第15章 宴遊会
第3篇 伊吹の山颪
第16章 共鳴の庭
第17章 還元竜神
第18章 言霊の幸
第19章 大井の淵
第20章 産の悩み
第21章 汀の歎き
第22章 天変地妖
第23章 二名の島
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<<< 祝賀の宴(二)
(B)
(N)
樹下の夢 >>>
第一一章
瀑下
(
ばくか
)
の
乙女
(
をとめ
)
〔一九九二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:
第2篇 竜宮風景
よみ(新仮名遣い):
りゅうぐうふうけい
章:
第11章 瀑下の乙女
よみ(新仮名遣い):
ばっかのおとめ
通し章番号:
1992
口述日:
1934(昭和9)年07月18日(旧06月7日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
大竜身彦の命は、艶男のために、竜宮島第一の景勝地・鏡湖の下方の琴滝に寝殿を作って住まわせた。
艶男はこの寝殿で朝夕、天津祝詞や生言霊を奏上して、竜の島根の開発を祈っていた。竜神族の女神たちは、この寝殿の広庭に集まって艶男の言霊を聞きに集まっていた。
その言霊の力で、あたりに散在する巨岩は瑪瑙に変わり、滝のしぶきにぬれた面を日光に映して、得もいわれぬ光沢を放っていた。
ある朝、艶男が滝の光景を称える言霊歌を歌い終わると、夜の明けた庭に、竜宮城に仕える見目形優れた七乙女が、何事かをしきりに祈っているのが見えた。
艶男が七人に何を祈っているかを問い掛けると、七人の乙女、白萩・白菊・女郎花・燕子花・菖蒲・撫子・藤袴はそれぞれ、艶男への思いを打ち明け、せめて声を聞くためにここに来ているのだ、と歌った。
艶男は、七人の乙女に言い寄られて、ただどうしようもない自分を嘆く歌を歌うのみであった。
滝の落ちる剣の池の砂は、艶男の言霊によって金銀となり、水底の白珊瑚は乙女たちの赤き心によって赤珊瑚に染まり、滝のしぶきは珊瑚の枝に真珠・瑪瑙・黄金・白金に変じた。天地瑞祥の気はあたりに充満し、孔雀、鳳凰、迦陵頻伽が太平を歌う声が四辺から響いてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7911
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 220頁
修補版:
校定版:
213頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
大竜身彦
(
おほたつみひこ
)
の
命
(
みこと
)
は、
002
水上山
(
みなかみやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
より、
003
はろばろ
波
(
なみ
)
の
秀
(
ほ
)
を
踏
(
ふ
)
み
渡
(
わた
)
り
来
(
きた
)
りし
御祖
(
みおや
)
の
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
艶男
(
あでやか
)
を
優遇
(
いうぐう
)
せむと、
004
種々
(
しゆじゆ
)
焦慮
(
せうりよ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
005
竜宮島
(
りうぐうじま
)
第一
(
だいいち
)
の
景勝地
(
けいしようち
)
たる
鏡湖
(
かがみこ
)
の
下方
(
かはう
)
、
006
琴滝
(
ことだき
)
を
庭園
(
ていゑん
)
に
取
(
と
)
り
入
(
い
)
れ、
007
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
木材
(
もくざい
)
を
伐
(
き
)
り
集
(
あつ
)
め、
008
碧瓦
(
へきぐわ
)
赤壁
(
せきへき
)
の
寝殿
(
しんでん
)
を
造
(
つく
)
り、
009
此処
(
ここ
)
に
住
(
す
)
まはす
事
(
こと
)
となりぬ。
010
琴滝
(
ことだき
)
は
鏡湖
(
かがみこ
)
の
水
(
みづ
)
を
集
(
あつ
)
めて、
011
ここに
千丈
(
せんぢやう
)
の
広布
(
ひろぬの
)
を
掛
(
か
)
けし
如
(
ごと
)
く、
012
昼夜
(
ちうや
)
間断
(
かんだん
)
なく
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
を
響
(
ひび
)
かせ、
013
その
荘厳
(
さうごん
)
雄大
(
ゆうだい
)
なること
言語
(
げんご
)
に
絶
(
ぜつ
)
するばかりなりける。
014
艶男
(
あでやか
)
は
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
な
此
(
この
)
寝殿
(
しんでん
)
に、
015
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
や
生言霊
(
いくことたま
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して、
016
竜
(
たつ
)
の
島根
(
しまね
)
の
開発
(
かいはつ
)
を
祈
(
いの
)
りつつありけるが、
017
数多
(
あまた
)
の
女神
(
めがみ
)
たちは、
018
その
円満
(
ゑんまん
)
清朗
(
せいらう
)
なる
声
(
こゑ
)
にあこがれ、
019
その
端麗
(
たんれい
)
なる
容姿
(
ようし
)
に
恋慕
(
れんぼ
)
して、
020
この
寝殿
(
しんでん
)
の
広庭
(
ひろには
)
に
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
り、
021
言霊
(
ことたま
)
の
練習
(
れんしふ
)
をかたはら
励
(
はげ
)
みつつ、
022
天国
(
てんごく
)
の
楽
(
たの
)
しみに
浸
(
ひた
)
りける。
023
この
滝
(
たき
)
の
落
(
お
)
つる
清泉
(
せいせん
)
を
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
と
称
(
とな
)
ふ。
024
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
ぐる
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
によりて、
025
地
(
ち
)
の
面
(
おも
)
に
散在
(
さんざい
)
する
巨巌
(
きよがん
)
は、
026
忽
(
たちま
)
ち
瑪瑙
(
めなう
)
と
変
(
へん
)
じ、
027
滝
(
たき
)
のしぶきに
漏
(
ぬ
)
れし
面
(
おも
)
を
日光
(
につくわう
)
映
(
えい
)
じて、
028
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
光沢
(
くわうたく
)
を
放
(
はな
)
ちたり。
029
艶男
(
あでやか
)
は
欄干
(
おばしま
)
に
立
(
た
)
ちて
歌
(
うた
)
ふ。
030
『
鏡
(
かがみ
)
の
湖
(
うみ
)
の
真清水
(
ましみづ
)
を
031
此処
(
ここ
)
にうつして
落
(
お
)
ちたぎつ
032
この
琴滝
(
ことだき
)
のいさましさ
033
天
(
あま
)
の
河原
(
かはら
)
の
落
(
お
)
つるかと
034
思
(
おも
)
ふばかりの
光景
(
くわうけい
)
ぞ
035
われは
朝夕
(
あさゆふ
)
この
滝
(
たき
)
の
036
珍
(
うづ
)
の
水音
(
みなおと
)
聞
(
き
)
きながら
037
心
(
こころ
)
清
(
すが
)
しく
洗
(
あら
)
ふなり
038
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
言霊
(
ことたま
)
の
039
水火
(
いき
)
を
清
(
きよ
)
めて
鳴
(
な
)
り
渡
(
わた
)
る
040
これの
住処
(
すみか
)
のさわやかさ
041
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にもかくの
如
(
ごと
)
042
清
(
きよ
)
く
楽
(
たの
)
しき
清
(
すが
)
どころ
043
他
(
ほか
)
にはあらじと
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
なを
044
眠
(
ねむ
)
らず
起
(
お
)
き
居
(
ゐ
)
て
見
(
み
)
つ
聞
(
き
)
きつ
045
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
歓
(
ゑら
)
ぐなり
046
泉
(
いづみ
)
の
面
(
おも
)
を
眺
(
なが
)
むれば
047
大魚
(
おほな
)
や
小魚
(
さな
)
は
群
(
むら
)
がりて
048
夜
(
よる
)
は
波間
(
なみま
)
にあぎとひつ
049
天地
(
てんち
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
仰
(
あふ
)
ぐなり
050
ああ
天国
(
てんごく
)
か
楽園
(
らくゑん
)
か
051
竜宮
(
りうぐう
)
の
島根
(
しまね
)
かしら
滝
(
たき
)
の
052
漲
(
みなぎ
)
り
落
(
お
)
つる
水音
(
みなおと
)
は
053
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御声
(
みこゑ
)
かも
054
ああ
面白
(
おもしろ
)
やたのもしや
055
百年
(
ももとせ
)
千年
(
ちとせ
)
をながらへて
056
これの
清所
(
すがど
)
に
永久
(
とこしへ
)
の
057
生
(
い
)
きの
生命
(
いのち
)
を
楽
(
たの
)
しまむ
058
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
059
千万神
(
ちよろづがみ
)
たち
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ』
060
斯
(
か
)
かる
折
(
をり
)
しも
鶏鳴
(
けいめい
)
暁
(
あかつき
)
を
告
(
つ
)
げて、
061
翼
(
つばさ
)
の
白
(
しろ
)
き
鵲
(
かささぎ
)
は、
062
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
のほとりに
群
(
む
)
れ
来
(
きた
)
り、
063
清殿
(
きよどの
)
の
屋上
(
をくじやう
)
にカーカーと
啼
(
な
)
き
狂
(
くる
)
ふ。
064
湖
(
うみ
)
の
白鳥
(
はくてう
)
は、
065
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
に
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
り、
066
艶男
(
あでやか
)
が
言霊
(
ことたま
)
を
聞
(
き
)
かむとするものの
如
(
ごと
)
く
見
(
み
)
えにける。
067
ほのぼのと
明
(
あ
)
けはなれたる
庭
(
には
)
の
面
(
も
)
をよく
見
(
み
)
れば、
068
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
に
仕
(
つか
)
へたる
数多
(
あまた
)
の
乙女
(
をとめ
)
の
中
(
なか
)
に、
069
眉目形
(
みめかたち
)
優
(
すぐ
)
れたる
七乙女
(
ななをとめ
)
が、
070
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
に
向
(
むか
)
ひて
合掌
(
がつしやう
)
し、
071
何事
(
なにごと
)
かしきりに
祈
(
いの
)
り
居
(
ゐ
)
る。
072
艶男
(
あでやか
)
は
欄干
(
おばしま
)
に
立
(
た
)
ちて
此
(
こ
)
の
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
めながら、
073
『
烏羽玉
(
うばたま
)
の
夜
(
よ
)
は
明
(
あ
)
けにけりわが
庭
(
には
)
の
074
池
(
いけ
)
の
面
(
も
)
清
(
きよ
)
く
乙女
(
をとめ
)
立
(
た
)
たせり
075
よく
見
(
み
)
れば
七人
(
ななたり
)
乙女
(
をとめ
)
の
優姿
(
やさすがた
)
076
何
(
なに
)
を
祈
(
いの
)
るか
聞
(
き
)
かまほしけれ』
077
此
(
こ
)
の
七乙女
(
ななをとめ
)
は、
078
白萩
(
しらはぎ
)
、
079
白菊
(
しらぎく
)
、
080
女郎花
(
をみなへし
)
、
081
燕子花
(
かきつばた
)
、
082
菖蒲
(
あやめ
)
、
083
撫子
(
なでしこ
)
、
084
藤袴
(
ふぢばかま
)
と
言
(
い
)
へる
侍女神
(
じぢよしん
)
なりける。
085
白萩
(
しらはぎ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
086
『うるはしき
君
(
きみ
)
の
御声
(
みこゑ
)
にひかれつつ
087
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
つるも
088
御姿
(
みすがた
)
を
見
(
み
)
るにつけても
魂
(
たま
)
勇
(
いさ
)
み
089
生
(
い
)
きの
生命
(
いのち
)
の
栄
(
さか
)
えこそすれ
090
滝津瀬
(
たきつせ
)
の
音
(
おと
)
にまぎれぬ
言霊
(
ことたま
)
の
091
君
(
きみ
)
の
力
(
ちから
)
の
大
(
おほ
)
いなるかな
092
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
なを
夢
(
ゆめ
)
に
現
(
うつつ
)
に
汝
(
な
)
が
面
(
おもて
)
093
わが
目
(
め
)
に
浮
(
う
)
きて
眠
(
ねむ
)
らえぬかな
094
せめてもの
思
(
おも
)
ひ
晴
(
は
)
らすとわれは
今
(
いま
)
095
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
の
清水
(
しみづ
)
掬
(
むす
)
ぶも
096
此
(
この
)
水
(
みづ
)
は
生命
(
いのち
)
の
清水
(
しみづ
)
真清水
(
ましみづ
)
よ
097
汝
(
な
)
が
目
(
め
)
にふれし
生命
(
いのち
)
の
水
(
みづ
)
よ
098
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
て
恋
(
こひ
)
てふものを
悟
(
さと
)
りけり
099
われも
女神
(
めがみ
)
の
数
(
かず
)
にしあれば
100
朝夕
(
あさゆふ
)
に
宣
(
の
)
らす
言霊
(
ことたま
)
響
(
ひび
)
かひて
101
わが
胸先
(
むなさき
)
は
高鳴
(
たかな
)
りにけり』
102
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
103
『いたづきに
悩
(
なや
)
むわれなり
真心
(
まごころ
)
の
104
君
(
きみ
)
に
報
(
むく
)
ゆる
術
(
すべ
)
なきを
恥
(
は
)
づ』
105
白萩
(
しらはぎ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
106
『いたづきの
身
(
み
)
におはすとも
何
(
なに
)
かあらむ
107
君
(
きみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
にわが
心
(
こころ
)
満
(
み
)
てり』
108
白菊
(
しらぎく
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
109
『いたづきておはすかわれはしら
菊
(
ぎく
)
の
110
恋
(
こひ
)
しきままに
朝
(
あさ
)
を
来
(
き
)
にけり
111
わが
心
(
こころ
)
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
の
真清水
(
ましみづ
)
と
112
澄
(
す
)
みきらひつつ
君
(
きみ
)
をおもふも
113
恋
(
こひ
)
しさの
綱
(
つな
)
にひかれて
朝
(
あさ
)
まだき
114
君
(
きみ
)
の
住
(
す
)
まへる
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
来
(
き
)
つ
115
御
(
おん
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くにつけても
勇
(
いさ
)
ましく
116
わが
魂
(
たましひ
)
は
蘇
(
よみがへ
)
るなり
117
白妙
(
しろたへ
)
の
衣
(
ころも
)
まとひし
汝
(
な
)
が
君
(
きみ
)
の
118
御
(
おん
)
装
(
よそほ
)
ひはめでたかりける
119
時
(
とき
)
じくに
言霊
(
ことたま
)
放
(
はな
)
つ
琴滝
(
ことだき
)
の
120
それにも
増
(
ま
)
して
清
(
きよ
)
き
君
(
きみ
)
はも
121
わが
願
(
ねがひ
)
よし
叶
(
かな
)
はずも
君許
(
きみがり
)
に
122
ありて
御声
(
みこゑ
)
を
聞
(
き
)
かば
嬉
(
うれ
)
しき
123
白菊
(
しらぎく
)
は
山野
(
やまの
)
に
匂
(
にほ
)
へば
艶人
(
あでびと
)
の
124
御手
(
みて
)
に
手折
(
たを
)
らるよすがさへなし
125
野
(
の
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
も
御恵
(
みめぐみ
)
の
126
つゆにしあへばうなだれにつつ
127
一度
(
ひとたび
)
の
露
(
つゆ
)
の
情
(
なさけ
)
を
浴
(
あ
)
びむとて
128
滝
(
たき
)
の
麓
(
ふもと
)
にわれは
来
(
き
)
つるも
129
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
は
優
(
やさ
)
しと
思召
(
おぼしめ
)
せ
130
情
(
なさけ
)
のつゆによみがへる
身
(
み
)
よ』
131
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
132
『いとこやの
乙女
(
をとめ
)
の
姿
(
すがた
)
たしたしに
133
われは
眺
(
なが
)
めつ
心
(
こころ
)
ときめく
134
優
(
やさ
)
しかる
七乙女
(
ななをとめ
)
らの
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
135
さやけかりけり
麗
(
うるは
)
しかりけり
136
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
てよりめづらしき
137
ものを
見
(
み
)
る
哉
(
かな
)
まなかひ
清
(
きよ
)
く
138
珍
(
めづら
)
しきものの
中
(
なか
)
にもとりわけて
139
愛
(
めづ
)
らしきかな
七乙女
(
ななをとめ
)
たち
140
水中
(
すいちう
)
の
月
(
つき
)
に
等
(
ひと
)
しきわれなれば
141
汝
(
なれ
)
が
優
(
やさ
)
しきかげを
見
(
み
)
るのみ』
142
女郎花
(
をみなへし
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
143
『
剣池
(
つるぎいけ
)
底
(
そこ
)
の
真砂
(
まさご
)
もたしたしに
144
見
(
み
)
ゆる
清
(
すが
)
しき
君
(
きみ
)
にもあるかな
145
あこがれの
心
(
こころ
)
おさへて
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
なを
146
われは
涙
(
なみだ
)
に
袖
(
そで
)
を
濡
(
ぬ
)
らせり
147
滝津瀬
(
たきつせ
)
のしぶきを
浴
(
あ
)
びてわが
袖
(
そで
)
は
148
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
濡
(
ぬ
)
れにけらしな
149
一夜
(
ひとよ
)
さのつゆの
情
(
なさけ
)
をたまへかし
150
伊吹
(
いぶき
)
の
裾野
(
すその
)
に
咲
(
さ
)
く
女郎花
(
をみなへし
)
よ
151
巌
(
いは
)
を
噛
(
か
)
む
滝津瀬
(
たきつせ
)
の
音
(
おと
)
高
(
たか
)
ければ
152
わが
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
も
消
(
き
)
えむとぞする
153
悲
(
かな
)
しさをうたふ
心
(
こころ
)
を
打消
(
うちけ
)
して
154
落
(
お
)
ちたぎつかも
琴滝
(
ことだき
)
の
音
(
おと
)
155
如何
(
いか
)
にしておもひの
丈
(
たけ
)
を
語
(
かた
)
らむと
156
思
(
おも
)
ふも
詮
(
せん
)
なし
高
(
たか
)
き
滝
(
たき
)
の
音
(
ね
)
に
157
剣池
(
つるぎいけ
)
の
泉
(
いづみ
)
を
隔
(
へだ
)
てて
欄干
(
おばしま
)
に
158
立
(
た
)
たす
君
(
きみ
)
なりわれ
如何
(
いか
)
にせむ
159
池水
(
いけみづ
)
の
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
を
悟
(
さと
)
れかし
160
木石
(
ぼくせき
)
ならぬ
君
(
きみ
)
にあらずや
161
君
(
きみ
)
おもふ
心
(
こころ
)
の
糸
(
いと
)
のもつれあひて
162
とく
術
(
すべ
)
もなき
小田巻
(
をだまき
)
の
吾
(
われ
)
』
163
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
164
『
乙女
(
をとめ
)
らの
悲
(
かな
)
しき
心
(
こころ
)
悟
(
さと
)
れども
165
われ
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
166
千早振
(
ちはやぶ
)
る
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひてわれは
今
(
いま
)
167
汝
(
なれ
)
をめぐしと
言挙
(
ことあ
)
げおくなり
168
さりながら
夜
(
よる
)
の
契
(
ちぎり
)
は
許
(
ゆる
)
せかし
169
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふるわれは
艶男
(
あでやか
)
』
170
燕子花
(
かきつばた
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
171
『
千万
(
ちよろづ
)
の
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
らすとも
172
われはひるまじ
寝
(
いね
)
ずばやまじ
173
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
のよしや
生命
(
いのち
)
は
亡
(
う
)
するとも
174
一夜
(
いちや
)
の
枕
(
まくら
)
かはさで
止
(
や
)
むべき
175
七乙女
(
ななをとめ
)
悲
(
かな
)
しき
心
(
こころ
)
をよそにして
176
君
(
きみ
)
は
捨
(
す
)
つるかわれらが
真心
(
まごころ
)
を
177
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
情
(
なさけ
)
を
知
(
し
)
らぬ
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
なれば
178
鬼
(
おに
)
よ
魍魎
(
すだま
)
よ
魂
(
たま
)
なし
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
よ
179
どこまでも
此
(
この
)
真心
(
まごころ
)
の
届
(
とど
)
かねば
180
鬼
(
おに
)
となりても
君
(
きみ
)
悩
(
なや
)
まさむ
181
悩
(
なや
)
ましの
心
(
こころ
)
与
(
あた
)
へし
君
(
きみ
)
なれば
182
まことの
鬼
(
おに
)
の
姿
(
すがた
)
とぞ
思
(
おも
)
ふ
183
君
(
きみ
)
よ
君
(
きみ
)
如何
(
いか
)
に
怒
(
いか
)
らせ
給
(
たま
)
ふとも
184
われは
恐
(
おそ
)
れじ
飽
(
あ
)
くまで
恨
(
うら
)
みむ
185
恨
(
うら
)
みわび
玉
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
は
捨
(
す
)
つるとも
186
わが
魂
(
たましひ
)
は
暫
(
しば
)
しも
離
(
はな
)
れじ
187
君
(
きみ
)
なくばわれは
悩
(
なや
)
まし
朝宵
(
あさよひ
)
を
188
玉
(
たま
)
の
生命
(
いのち
)
は
亡
(
う
)
せむとぞする
189
悩
(
なや
)
ましさ
苦
(
くる
)
しさ
故
(
ゆゑ
)
に
朝
(
あさ
)
まだき
190
御声
(
みこゑ
)
聞
(
き
)
かむと
迷
(
まよ
)
ひ
来
(
き
)
つるも
191
君
(
きみ
)
が
手
(
て
)
に
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
かれて
罷
(
まか
)
るとも
192
われは
恨
(
うら
)
みじ
嘆
(
なげ
)
かじと
思
(
おも
)
ふ
193
いたづきの
身
(
み
)
なりと
宣
(
の
)
らす
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
194
われは
諾
(
うべな
)
ふ
弱
(
よわ
)
き
女
(
め
)
にあらず
195
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
をかけて
恋
(
こひ
)
したる
196
君
(
きみ
)
の
生命
(
いのち
)
はわがものなるよ
197
あこがれて
只
(
ただ
)
いたづらに
亡
(
ほろ
)
ぶよりも
198
汝
(
なれ
)
が
生命
(
いのち
)
をとりて
笑
(
ゑ
)
まむか
199
かくならば
最早
(
もはや
)
厭
(
いと
)
はじ
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
も
200
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りもものの
数
(
かず
)
かは
201
鬼
(
おに
)
となり
雷
(
いかづち
)
となり
魔
(
ま
)
となりて
202
君
(
きみ
)
の
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はむと
思
(
おも
)
ふ』
203
艶男
(
あでやか
)
は
燕子花
(
かきつばた
)
の
猛烈
(
まうれつ
)
なる
恋
(
こひ
)
に
稍
(
やや
)
辟易
(
へきえき
)
しながら、
204
悄然
(
せうぜん
)
として
歌
(
うた
)
ふ。
205
『
思
(
おも
)
ひきや
此
(
この
)
島ケ根
(
しまがね
)
にかくの
如
(
ごと
)
206
強
(
つよ
)
き
乙女
(
をとめ
)
の
雄猛
(
をたけ
)
び
聞
(
き
)
くとは
207
見
(
み
)
も
知
(
し
)
らぬ
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
りて
思
(
おも
)
はざる
208
人
(
ひと
)
に
思
(
おも
)
はれ
苦
(
くる
)
しとおもふ
209
如何程
(
いかほど
)
に
情
(
なさけ
)
の
言葉
(
ことば
)
宣
(
の
)
らすとも
210
わが
心根
(
こころね
)
をかへじと
思
(
おも
)
ふ
211
わが
生命
(
いのち
)
奪
(
うば
)
はるるとも
恨
(
うら
)
みまじ
212
情
(
なさけ
)
のこもる
刃
(
やいば
)
と
思
(
おも
)
へば』
213
かく
歌
(
うた
)
ひながら、
214
艶男
(
あでやか
)
は
早
(
は
)
や
燕子花
(
かきつばた
)
の
猛烈
(
まうれつ
)
なる
恋愛
(
れんあい
)
に、
215
到底
(
たうてい
)
反抗
(
はんかう
)
するの
勇気
(
ゆうき
)
なく、
216
彼
(
かれ
)
が
意
(
い
)
に
従
(
したが
)
ふべしとの
覚悟
(
かくご
)
を
極
(
きは
)
めて
居
(
ゐ
)
たりけるが、
217
そしらぬ
体
(
てい
)
をよそほひて、
218
『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
に
願
(
ねがひ
)
をかけし
後
(
のち
)
219
われは
応
(
いら
)
へむ
暫
(
しば
)
しを
待
(
ま
)
たれよ』
220
燕子花
(
かきつばた
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
221
『
御言葉
(
みことば
)
に
間違
(
まちが
)
ひなくばわれとても
222
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
めて
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
たなむ』
223
菖蒲
(
あやめ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
224
『
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
の
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
のかたまりて
225
真砂
(
まさご
)
は
赤
(
あか
)
く
染
(
そ
)
まりけるかな
226
赤玉
(
あかだま
)
の
光
(
ひかり
)
さやけき
君
(
きみ
)
故
(
ゆゑ
)
に
227
御池
(
みいけ
)
の
鯉
(
こひ
)
も
赤
(
あか
)
く
染
(
そ
)
まれり
228
次々
(
つぎつぎ
)
に
赤
(
あか
)
くなりゆく
魚族
(
うろくづ
)
の
229
色
(
いろ
)
に
見
(
み
)
えたりわれらが
真心
(
まごころ
)
230
池
(
いけ
)
の
辺
(
べ
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
菖蒲
(
あやめ
)
の
紫
(
むらさき
)
を
231
君
(
きみ
)
に
捧
(
ささ
)
げむ
受
(
う
)
けさせ
給
(
たま
)
へ
232
水底
(
みなそこ
)
に
一本
(
ひともと
)
生
(
お
)
ひし
白珊瑚
(
しろさんご
)
も
233
いやつぎつぎに
赤
(
あか
)
く
染
(
そ
)
まりぬ
234
珍
(
めづら
)
しき
赤
(
あか
)
き
珊瑚
(
さんご
)
の
梢
(
こずゑ
)
には
235
黄金
(
こがね
)
白銀
(
しろがね
)
真珠
(
しんじゆ
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
236
水
(
みづ
)
の
面
(
も
)
に
枝
(
えだ
)
をさし
出
(
だ
)
し
珊瑚樹
(
さんごじゆ
)
は
237
見
(
み
)
る
見
(
み
)
るうちに
空
(
そら
)
に
伸
(
の
)
び
行
(
ゆ
)
く
238
艶男
(
あでやか
)
の
君
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
のあらはれか
239
乙女
(
をとめ
)
の
心
(
こころ
)
か
皆
(
みな
)
赤
(
あか
)
くなりぬ
240
汀辺
(
みぎはべ
)
の
瑪瑙
(
めなう
)
の
巌
(
いは
)
もつぎつぎに
241
色
(
いろ
)
は
変
(
かは
)
りてわが
面
(
おも
)
うつせり
242
昔
(
むかし
)
よりかかる
例
(
ためし
)
もあら
滝
(
たき
)
の
243
落
(
お
)
ちこむ
庭
(
には
)
のめづらしき
哉
(
かな
)
244
及
(
およ
)
ばざる
恋
(
こひ
)
と
思
(
おも
)
へどわが
心
(
こころ
)
245
あやめも
分
(
わ
)
かずなりにけりしな
246
只一人
(
ただひとり
)
君
(
きみ
)
に
語
(
かた
)
らふ
力
(
ちから
)
なく
247
七人
(
ななたり
)
乙女
(
をとめ
)
さそひて
来
(
きた
)
れり
248
恥
(
はづ
)
かしさ
恋
(
こひ
)
しさ
故
(
ゆゑ
)
にわれはただ
249
言挙
(
ことあ
)
げもせず
黙
(
もだ
)
し
居
(
ゐ
)
たりき
250
かくなればわれは
恐
(
おそ
)
れじ
只
(
ただ
)
君
(
きみ
)
の
251
めぐしと
宣
(
の
)
らす
御声
(
みこゑ
)
聞
(
き
)
きたし
252
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
るにつけてもわが
胸
(
むね
)
の
253
高鳴
(
たかな
)
り
止
(
や
)
まず
苦
(
くる
)
しき
朝
(
あさ
)
なり』
254
撫子
(
なでしこ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
255
『
伊吹山
(
いぶきやま
)
尾根
(
をね
)
に
麓
(
ふもと
)
に
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
256
撫子
(
なでしこ
)
今日
(
けふ
)
は
汀辺
(
みぎはべ
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
257
八尋殿
(
やひろどの
)
の
欄干
(
おばしま
)
に
立
(
た
)
たす
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
258
見
(
み
)
れば
清
(
すが
)
しも
白萩
(
しらはぎ
)
に
似
(
に
)
て
259
生命
(
いのち
)
までかけて
恋
(
こひ
)
せし
乙女子
(
をとめご
)
の
260
優
(
やさ
)
しき
心
(
こころ
)
を
君
(
きみ
)
は
捨
(
す
)
つるや
261
よしやよし
君
(
きみ
)
に
焦
(
こが
)
れて
罷
(
まか
)
るとも
262
われは
悔
(
くや
)
まじ
恨
(
うら
)
まじと
思
(
おも
)
ふ
263
力
(
ちから
)
なく
淋
(
さび
)
しくふるふ
撫子
(
なでしこ
)
の
264
君
(
きみ
)
が
御
(
おん
)
目
(
め
)
にとまらぬ
悲
(
かな
)
しさ
265
七乙女
(
ななをとめ
)
ここに
揃
(
そろ
)
ひて
恋
(
こひ
)
語
(
かた
)
る
266
悲
(
かな
)
しき
心
(
こころ
)
を
君
(
きみ
)
は
知
(
し
)
らずや
267
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
情
(
なさけ
)
を
知
(
し
)
らぬ
益良男
(
ますらを
)
は
268
鬼
(
おに
)
の
化身
(
けしん
)
か
悪魔
(
あくま
)
の
化身
(
けしん
)
か
269
乙女
(
をとめ
)
らのいやなき
心
(
こころ
)
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
して
270
怒
(
いか
)
らせ
給
(
たま
)
ふな
真心
(
まごころ
)
の
声
(
こゑ
)
よ』
271
藤袴
(
ふぢばかま
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
272
『
七乙女
(
ななをとめ
)
いやつぎつぎに
真心
(
まごころ
)
を
273
述
(
の
)
ぶれど
君
(
きみ
)
は
木耳
(
きくらげ
)
の
耳
(
みみ
)
か
274
見
(
み
)
るかげもなき
草花
(
くさばな
)
の
藤袴
(
ふぢばかま
)
275
君
(
きみ
)
にまみえむことの
恥
(
はづ
)
かしも
276
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
はあまり
見
(
み
)
えねど
藤袴
(
ふぢばかま
)
277
底
(
そこ
)
の
心
(
こころ
)
を
汲
(
く
)
ませ
給
(
たま
)
はれ
278
朝夕
(
あさゆふ
)
を
峯
(
みね
)
の
狭霧
(
さぎり
)
に
包
(
つつ
)
まれて
279
うなかぶしつつわれは
泣
(
な
)
くなり
280
かくまでも
真心
(
まごころ
)
の
丈
(
たけ
)
を
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
し
281
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
せども
音
(
おと
)
なしの
君
(
きみ
)
282
うちつけに
恋
(
こひ
)
の
征矢
(
そや
)
をば
放
(
はな
)
ちつつ
283
血
(
ち
)
に
泣
(
な
)
く
乙女
(
をとめ
)
はほととぎすかも』
284
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
285
『
七乙女
(
ななをとめ
)
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
集
(
つど
)
ひ
来
(
き
)
て
286
宣
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
はかなしかりけり
287
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
に
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
と
生
(
あ
)
れしわれなれば
288
ひとりは
許
(
ゆる
)
せ
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
289
乙女
(
をとめ
)
らの
真心
(
まごころ
)
聞
(
き
)
きてわれは
唯
(
ただ
)
290
泣
(
な
)
くより
他
(
ほか
)
に
術
(
すべ
)
なかりけり』
291
剣
(
つるぎ
)
の
池
(
いけ
)
の
金砂
(
きんしや
)
銀砂
(
ぎんしや
)
は、
292
艶男
(
あでやか
)
の
言霊
(
ことたま
)
によりて
真誠
(
まこと
)
の
金銀
(
きんぎん
)
と
変化
(
へんくわ
)
し、
293
水底
(
みなそこ
)
に
一本
(
ひともと
)
生
(
お
)
ひし
白珊瑚
(
しろさんご
)
は
乙女
(
をとめ
)
の
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
に
染
(
そ
)
まりしか、
294
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
色
(
いろ
)
を
増
(
ま
)
して
赤珊瑚
(
あかさんご
)
と
変
(
へん
)
じ、
295
滝
(
たき
)
のしぶきは
珊瑚
(
さんご
)
の
梢
(
こずゑ
)
にとどまりて、
296
真珠
(
しんじゆ
)
、
297
瑪瑙
(
めなう
)
、
298
黄金
(
こがね
)
、
299
白銀
(
しろがね
)
と
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひ、
300
天地
(
てんち
)
瑞祥
(
ずゐしやう
)
の
気
(
き
)
は
四辺
(
あたり
)
に
充満
(
じうまん
)
し、
301
孔雀
(
くじやく
)
、
302
鳳凰
(
ほうわう
)
、
303
迦陵
(
かりよう
)
頻伽
(
びんが
)
の
泰平
(
たいへい
)
をうたふ
声
(
こゑ
)
四辺
(
しへん
)
より
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
れる。
304
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
305
(
昭和九・七・一八
旧六・七
於関東別院南風閣
白石恵子
謹録)
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