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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第79巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 竜の島根
第1章 湖中の怪
第2章 愛の追跡
第3章 離れ島
第4章 救ひの船
第5章 湖畔の遊び
第6章 再会
第2篇 竜宮風景
第7章 相聞(一)
第8章 相聞(二)
第9章 祝賀の宴(一)
第10章 祝賀の宴(二)
第11章 瀑下の乙女
第12章 樹下の夢
第13章 鰐の背
第14章 再生の歓び
第15章 宴遊会
第3篇 伊吹の山颪
第16章 共鳴の庭
第17章 還元竜神
第18章 言霊の幸
第19章 大井の淵
第20章 産の悩み
第21章 汀の歎き
第22章 天変地妖
第23章 二名の島
余白歌
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第79巻(午の巻)
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<<< 汀の歎き
(B)
(N)
二名の島 >>>
第二二章
天変
(
てんぺん
)
地妖
(
ちえう
)
〔二〇〇三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:
第3篇 伊吹の山颪
よみ(新仮名遣い):
いぶきのやまおろし
章:
第22章 天変地妖
よみ(新仮名遣い):
てんぺんちよう
通し章番号:
2003
口述日:
1934(昭和9)年07月20日(旧06月9日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
艶男は岩ケ根をはじめとする四天王の言葉を尽くしてのいさめに、死を思いとどまったが、なぜか大井の淵が恋しくてたまらず、朝夕に船を浮かべて遊ぶのを、唯一の慰めとしていた。
岩ケ根は、艶男にまさかのことがあってはと、真砂、白砂を監視として舟遊びに伴わせていた。
小雨が降る夕べ前、大井ケ淵にしばし舟遊びを試み、黄昏の幕が迫るころ、不思議にもかすかな声がどこからともなく聞こえてきた。よく耳を澄ませば、以前に竜の島で艶男に思いをかけていた、白萩の悲しげな声であった。
白萩は、艶男が燕子花と逐電したことに恨みを述べ、故郷の竜の島根を捨てて、藤ケ丘に移り住んだのだ、と歌った。艶男は、自分も木石ならぬ身ではあるが、一つの身でいかにできよう、と返し、自分もまた今は悲しみの淵にあり、今はただ両親のために生き長らえているのみなのだ、と歌った。
すると、今度は白菊の悲しげな声が聞こえてきて、やはり艶男への恨みを歌った。艶男は、白菊のことを忘れたことはなく、ただ時を待つように、と歌った。
また、今度は女郎花の声が、艶男への恨みを歌った。歌が響くおりしも、淵の水はにわかに大きな波紋を描き、水煙とともに、人面竜身の燕子花が立ち現れた。
艶男、真砂、白砂は驚き呆然としたが、波紋はますます激しく、舟も覆ろうとするばかりの荒波となった。艶男は意を決して、自分の恋する燕子花のすさびがこれほどまでなら、もはや自分は水の藻屑となろう、と歌った。
真砂、白砂は驚いて艶男の手をしっかりと握り、艶男を諭して押しとどめようとしたが、一天にわかに掻き曇り、暴風吹きすさみ、大地は震動して、荒波のたけりに舟もろとも、三人の姿は水中深く隠れてしまった。
これより日夜の震動やまず、雷とどろき、稲妻はひらめき、暴風が吹きすさんで雨は盆をかえしたように激しく降ってきた。水上山の聖場は阿鼻叫喚の巷と化し、岩ケ根は竜彦を背に追って高殿に避難して難を免れた。国津神たちは右往左往し、泣き叫ぶ様は目も当てられない惨状となってしまった。
ここへ、天より容姿端麗な女神が、四柱の侍神を伴って、この場に降ってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7922
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 273頁
修補版:
校定版:
411頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
艶男
(
あでやか
)
は、
002
岩ケ根
(
いはがね
)
他
(
ほか
)
四天王
(
してんわう
)
等
(
ら
)
の
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
しての
諫
(
いさ
)
めに、
003
死
(
し
)
を
思
(
おも
)
ひとどまりたれども、
004
何故
(
なにゆゑ
)
か
大井
(
おほゐ
)
ケ
淵
(
ふち
)
の
恋
(
こひ
)
しくて
堪
(
たま
)
らず、
005
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なの
区別
(
くべつ
)
なく、
006
淵
(
ふち
)
に
舟
(
ふね
)
を
浮
(
うか
)
べて
遊
(
あそ
)
ぶを
唯一
(
ゆいつ
)
の
慰
(
なぐさ
)
みとなしゐたりける。
007
岩ケ根
(
いはがね
)
は、
008
若
(
も
)
しや
艶男
(
あでやか
)
に
間違
(
まちが
)
ひ
無
(
な
)
きやと
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひながら、
009
真砂
(
まさご
)
、
010
白砂
(
しらさご
)
を
左右
(
さいう
)
に
看視
(
かんし
)
兼
(
けん
)
接待役
(
せつたいやく
)
として
従
(
したが
)
はしめたり。
011
小雨
(
こさめ
)
ふる
夕
(
ゆふ
)
べ
前
(
まへ
)
、
012
かたの
如
(
ごと
)
く
艶男
(
あでやか
)
は
真砂
(
まさご
)
、
013
白砂
(
しらさご
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
014
大井
(
おほゐ
)
ケ
淵
(
ふち
)
に
暫時
(
しばし
)
の
舟遊
(
ふなあそ
)
びを
試
(
こころ
)
みにける。
015
黄昏
(
たそがれ
)
の
幕
(
まく
)
稍
(
やや
)
迫
(
せま
)
らむとする
折
(
をり
)
しも、
016
不思議
(
ふしぎ
)
なるかな、
017
微
(
かすか
)
なる
声
(
こゑ
)
何処
(
いづこ
)
ともなく
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
るを、
018
よくよく
耳
(
みみ
)
をすまして
聞
(
き
)
けば、
019
以前
(
いぜん
)
竜
(
たつ
)
の
島根
(
しまね
)
にて、
020
艶男
(
あでやか
)
に
思
(
おも
)
ひをかけし
白萩
(
しらはぎ
)
の
悲
(
かな
)
しげなる
声
(
こゑ
)
にぞありける。
021
白萩
(
しらはぎ
)
の
声
(
こゑ
)
。
022
『
秋風
(
あきかぜ
)
を
待
(
ま
)
つ
間
(
ま
)
の
長
(
なが
)
き
白萩
(
しらはぎ
)
は
023
遠
(
とほ
)
き
思
(
おも
)
ひに
尋
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
にけり
024
生命
(
いのち
)
までもと
思
(
おも
)
ひし
人
(
ひと
)
は
影
(
かげ
)
もなく
025
あと
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
と
散
(
ち
)
りけり
026
添
(
そ
)
はまくと
思
(
おも
)
ひし
夢
(
ゆめ
)
の
悲
(
かな
)
しさに
027
身
(
み
)
もしら
萩
(
はぎ
)
の
花
(
はな
)
は
萎
(
しを
)
れつ
028
恨
(
うら
)
めしき
君
(
きみ
)
なりにけり
燕子花
(
かきつばた
)
の
029
花
(
はな
)
のみ
手折
(
たを
)
りて
露
(
つゆ
)
もおくらず
030
この
思
(
おも
)
ひ
何時
(
いつ
)
の
世
(
よ
)
にかは
晴
(
は
)
らさむと
031
恋
(
こ
)
ふるも
悲
(
かな
)
しき
萩
(
はぎ
)
の
仇花
(
あだばな
)
032
現世
(
うつしよ
)
に
生
(
い
)
くる
甲斐
(
かひ
)
なきわが
身
(
み
)
ぞと
033
思
(
おも
)
へば
苦
(
くる
)
し
君
(
きみ
)
に
捨
(
す
)
てられて
034
百花
(
ももばな
)
の
多
(
おほ
)
かる
中
(
なか
)
に
汝
(
な
)
が
君
(
きみ
)
は
035
燕子花
(
かきつばた
)
のみ
愛
(
め
)
づるは
恨
(
うら
)
めし
036
朝
(
あさ
)
な
朝
(
あさ
)
な
露
(
つゆ
)
重
(
おも
)
げなる
萩
(
はぎ
)
が
枝
(
え
)
に
037
君
(
きみ
)
は
心
(
こころ
)
をかけて
見
(
み
)
ざりしよ
038
故郷
(
ふるさと
)
の
竜
(
たつ
)
の
都
(
みやこ
)
の
白萩
(
しらはぎ
)
を
039
藤
(
ふぢ
)
ケ
丘
(
をか
)
辺
(
べ
)
に
移
(
うつ
)
して
匂
(
にほ
)
へり
040
白萩
(
しらはぎ
)
は
情
(
なさけ
)
の
露
(
つゆ
)
に
捨
(
す
)
てられて
041
細
(
ほそ
)
き
生命
(
いのち
)
を
汀辺
(
みぎはべ
)
に
保
(
たも
)
てり
042
橘
(
たちばな
)
と
香
(
かを
)
れる
君
(
きみ
)
のよそほひは
043
われを
思
(
おも
)
はす
種
(
たね
)
にぞありける
044
荒波
(
あらなみ
)
をかき
別
(
わ
)
け
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
りこの
淵
(
ふち
)
に
045
伊寄
(
いよ
)
り
来
(
きた
)
りて
君
(
きみ
)
に
焦
(
こが
)
るる
046
御
(
おん
)
声
(
こゑ
)
を
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
聞
(
き
)
かまほしと
047
白萩
(
しらはぎ
)
われは
淵
(
ふち
)
に
潜
(
ひそ
)
むも
048
太刀膚
(
たちはだ
)
のわが
身
(
み
)
に
怖
(
お
)
ぢていとこやの
049
君
(
きみ
)
は
島根
(
しまね
)
を
離
(
さか
)
りましけむ
050
いとこやの
君
(
きみ
)
を
生命
(
いのち
)
と
頼
(
たの
)
みてしを
051
つれなき
心
(
こころ
)
恨
(
うら
)
めしみ
思
(
おも
)
ふ
052
竜神
(
たつがみ
)
の
身
(
み
)
にしあれども
人恋
(
ひとこ
)
ふる
053
心
(
こころ
)
に
変
(
かは
)
りあるべきものかは
054
恨
(
うら
)
めしさ
悲
(
かな
)
しさ
此処
(
ここ
)
に
凝
(
かた
)
まりて
055
恋
(
こひ
)
の
淵瀬
(
ふちせ
)
に
悲
(
かな
)
しみ
泣
(
な
)
くなり』
056
艶男
(
あでやか
)
は
微
(
かすか
)
にこの
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きて、
057
白萩
(
しらはぎ
)
の
心
(
こころ
)
の
憐
(
あは
)
れさに
両眼
(
りやうがん
)
をうるほしながら、
058
『われとても
木石
(
ぼくせき
)
ならぬ
身
(
み
)
なれども
059
一
(
ひと
)
つの
身
(
み
)
なり
如何
(
いか
)
に
報
(
むく
)
いむ
060
われも
亦
(
また
)
歎
(
なげ
)
きの
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
みつつ
061
胸
(
むね
)
晴
(
は
)
らさむと
此処
(
ここ
)
に
遊
(
あそ
)
べる
062
黄昏
(
たそがれ
)
を
君
(
きみ
)
の
歎
(
なげ
)
きの
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
きて
063
悲
(
かな
)
しく
淋
(
さび
)
しくなりにけらしな
064
恋
(
こひ
)
故
(
ゆゑ
)
に
生命
(
いのち
)
惜
(
を
)
しまじわれはただ
065
垂乳根
(
たらちね
)
の
為
(
た
)
めながらふのみなり』
066
かくいふ
折
(
をり
)
しも、
067
又
(
また
)
もや
上手
(
かみて
)
の
方
(
はう
)
より
悲
(
かな
)
しき
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
068
『われこそは
汝
(
なれ
)
を
慕
(
した
)
ひし
白菊
(
しらぎく
)
の
069
露
(
つゆ
)
に
霑
(
うるほ
)
ふ
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
よ
070
一本
(
ひともと
)
の
花橘
(
はなたちばな
)
と
思
(
おも
)
ひしを
071
君
(
きみ
)
は
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
を
手折
(
たを
)
れり
072
恨
(
うら
)
めしく
悲
(
かな
)
しく
生命
(
いのち
)
堪
(
た
)
へがてに
073
われは
湖路
(
うなぢ
)
を
渡
(
わた
)
り
来
(
こ
)
しはや
074
わが
思
(
おも
)
ひいや
深
(
ふか
)
ければ
此
(
こ
)
の
淵
(
ふち
)
の
075
底
(
そこ
)
に
潜
(
ひそ
)
みて
竜
(
たつ
)
となりぬる
076
万代
(
よろづよ
)
の
末
(
すゑ
)
にも
枯
(
か
)
れぬ
白菊
(
しらぎく
)
を
077
枯
(
か
)
らし
給
(
たま
)
へる
君
(
きみ
)
ぞ
恨
(
うら
)
めし
078
千早振
(
ちはやぶ
)
る
神代
(
かみよ
)
の
事
(
こと
)
も
人
(
ひと
)
ならば
079
問
(
と
)
はましものを
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
080
君ケ代
(
きみがよ
)
をいと
長月
(
ながつき
)
の
空
(
そら
)
清
(
きよ
)
く
081
咲
(
さ
)
かむ
白菊
(
しらぎく
)
あはれと
思
(
おも
)
へ
082
水上山
(
みなかみやま
)
菊
(
きく
)
の
下水
(
したみづ
)
如何
(
いか
)
なれば
083
流
(
なが
)
れて
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
むなるらむ
084
祈
(
いの
)
りつつ
待
(
ま
)
つ
長月
(
ながつき
)
の
菊
(
きく
)
の
花
(
はな
)
を
085
何
(
いづ
)
れの
時
(
とき
)
か
君
(
きみ
)
の
手折
(
たを
)
るや
086
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
を
出
(
い
)
でゐる
月
(
つき
)
の
顔
(
かむばせ
)
は
087
君
(
きみ
)
の
面
(
おもて
)
と
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
088
わが
思
(
おも
)
ひいや
深
(
ふか
)
ければ
八千尋
(
やちひろ
)
の
089
湖
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
りて
慕
(
した
)
ひ
来
(
き
)
つるも
090
類
(
たぐひ
)
なき
君
(
きみ
)
のよそほひ
見染
(
みそ
)
めてゆ
091
白菊
(
しらぎく
)
われは
乱
(
みだ
)
れむとせり
092
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
惜
(
を
)
しまじ
君許
(
きみがり
)
に
093
近
(
ちか
)
く
棲
(
す
)
みなば
淵
(
ふち
)
の
底
(
そこ
)
ひも』
094
艶男
(
あでやか
)
はこの
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き、
095
狂気
(
きやうき
)
の
如
(
ごと
)
く
胸
(
むね
)
を
燃
(
も
)
やしながら、
096
『
今日
(
けふ
)
は
又
(
また
)
悲
(
かな
)
しき
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
く
日
(
ひ
)
かな
097
今
(
いま
)
は
前後
(
ぜんご
)
も
白波
(
しらなみ
)
の
上
(
うへ
)
098
秋
(
あき
)
されば
白菊
(
しらぎく
)
の
花
(
はな
)
手折
(
たを
)
らむと
099
われは
心
(
こころ
)
を
替
(
か
)
へずありける
100
白菊
(
しらぎく
)
の
匂
(
にほ
)
ひめでたくわが
袖
(
そで
)
に
101
香
(
かを
)
りて
時
(
とき
)
じく
忘
(
わす
)
らへなくに
102
惜
(
を
)
しまるる
生命
(
いのち
)
ならねど
今
(
いま
)
しばし
103
わが
子
(
こ
)
の
生
(
お
)
ひたち
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
はれ』
104
白菊
(
しらぎく
)
の
声
(
こゑ
)
として、
105
『
御
(
おん
)
言葉
(
ことば
)
偽
(
いつは
)
りなくばわれとても
106
なやみ
晴
(
は
)
らして
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つべし』
107
かかる
折
(
をり
)
しも、
108
稍
(
やや
)
下流
(
かりう
)
に
当
(
あた
)
りて、
109
女郎花
(
をみなへし
)
の
細
(
ほそ
)
き
声
(
こゑ
)
ひびき
来
(
きた
)
る。
110
よくよく
耳
(
みみ
)
をすまして
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
れば、
111
『われこそは
竜
(
たつ
)
の
島根
(
しまね
)
に
育
(
そだ
)
ちたる
112
か
弱
(
よわ
)
き
花
(
はな
)
の
女郎花
(
をみなへし
)
ぞや
113
君
(
きみ
)
恋
(
こ
)
ひてわが
身
(
み
)
やつれぬ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
114
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
せむと
幾度
(
いくたび
)
思
(
おも
)
ひし
115
八潮路
(
やしほぢ
)
を
渡
(
わた
)
りてここに
大井川
(
おほゐがは
)
116
淵瀬
(
ふちせ
)
に
沈
(
しづ
)
むも
君
(
きみ
)
おもへばなり
117
細々
(
ほそぼそ
)
と
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
雨
(
あめ
)
は
君
(
きみ
)
思
(
おも
)
ふ
118
悲
(
かな
)
しきわれの
涙
(
なみだ
)
なるぞや
119
如何
(
いか
)
にして
悲
(
かな
)
しき
思
(
おも
)
ひ
晴
(
は
)
らさむと
120
波路
(
なみぢ
)
を
分
(
わ
)
けて
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
つるも
121
水上山
(
みなかみやま
)
斜面
(
なぞへ
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
女郎花
(
をみなへし
)
の
122
やさしきよそほひ
見
(
み
)
そなはさずや
123
君
(
きみ
)
恋
(
こ
)
ひてここに
幾日
(
いくひ
)
を
重
(
かさ
)
ねけり
124
露
(
つゆ
)
の
情
(
なさけ
)
の
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れむと
125
われは
今
(
いま
)
見
(
み
)
るに
堪
(
た
)
へざる
醜神
(
しこがみ
)
の
126
竜
(
たつ
)
と
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
しかりけり
127
幾千代
(
いくちよ
)
もこれの
淵瀬
(
ふちせ
)
に
沈
(
しづ
)
みゐて
128
君
(
きみ
)
が
御幸
(
みさち
)
を
護
(
まも
)
らむと
思
(
おも
)
ふ
129
白萩
(
しらはぎ
)
も
白菊
(
しらぎく
)
の
君
(
きみ
)
もわれも
亦
(
また
)
130
藤
(
ふぢ
)
ケ
丘
(
をか
)
辺
(
べ
)
に
君
(
きみ
)
を
待
(
ま
)
つなり
131
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
君
(
きみ
)
が
生命
(
いのち
)
の
果
(
は
)
つるまで
132
なやみ
苦
(
くる
)
しみ
待
(
ま
)
たむとぞ
思
(
おも
)
ふ
133
竜神
(
たつがみ
)
の
悲
(
かな
)
しき
心
(
こころ
)
を
思
(
おも
)
ひやり
134
夢
(
ゆめ
)
の
枕
(
まくら
)
にも
偲
(
しの
)
ばせ
給
(
たま
)
へ』
135
かく
響
(
ひび
)
く
折
(
をり
)
しも、
136
淵
(
ふち
)
の
水
(
みづ
)
は
俄
(
にはか
)
に
大
(
だい
)
なる
波紋
(
はもん
)
を
描
(
ゑが
)
き、
137
水煙
(
みづけむり
)
とともに
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
りたるものあり。
138
よくよく
見
(
み
)
れば
人面
(
にんめん
)
竜身
(
りうしん
)
の
燕子花
(
かきつばた
)
なるに、
139
艶男
(
あでやか
)
も
真砂
(
まさご
)
、
140
白砂
(
しらさご
)
も
一度
(
いちど
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
141
茫然
(
ばうぜん
)
として、
142
あちらこちらと
立
(
た
)
ち
狂
(
くる
)
ふ
水煙
(
みづけむり
)
を
眺
(
なが
)
めゐる。
143
波紋
(
はもん
)
は
益々
(
ますます
)
激
(
はげ
)
しく、
144
遂
(
つひ
)
には
舟
(
ふね
)
も
覆
(
くつがへ
)
らむばかりの
荒波
(
あらなみ
)
となりければ、
145
艶男
(
あでやか
)
は
意
(
い
)
を
決
(
けつ
)
して
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
146
『わが
恋
(
こ
)
ふる
燕子花
(
かきつばた
)
姫
(
ひめ
)
の
荒
(
すさ
)
びにや
147
われはとどむる
力
(
ちから
)
だになし
148
かくなれば
何
(
なに
)
をいなまむわれも
亦
(
また
)
149
水
(
みづ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
となりて
消
(
き
)
ゆべし』
150
真砂
(
まさご
)
、
151
白砂
(
しらさご
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
驚
(
おどろ
)
きて、
152
艶男
(
あでやか
)
の
左右
(
さいう
)
の
手
(
て
)
をしつかと
握
(
にぎ
)
り、
153
涙
(
なみだ
)
ながらに、
154
『
若君
(
わかぎみ
)
よはやらせ
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
なかれ
155
君
(
きみ
)
には
父母
(
ふぼ
)
と
御子
(
みこ
)
いまさずや
156
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
するはいと
易
(
やす
)
し
157
重
(
おも
)
きは
国
(
くに
)
の
務
(
つと
)
めなるぞや
158
思
(
おも
)
ひきや
大井
(
おほゐ
)
の
川
(
かは
)
の
舟遊
(
ふなあそ
)
びに
159
かかる
歎
(
なげ
)
きの
身
(
み
)
に
迫
(
せま
)
るとは
160
上津瀬
(
かみつせ
)
にはた
中津瀬
(
なかつせ
)
に
下津瀬
(
しもつせ
)
に
161
聞
(
きこ
)
ゆる
声
(
こゑ
)
は
魔神
(
まがみ
)
なるらむ
162
若君
(
わかぎみ
)
よ
魔神
(
まがみ
)
の
甘
(
あま
)
き
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
163
かかりて
生命
(
いのち
)
捨
(
す
)
てさせ
給
(
たま
)
ふな
164
若君
(
わかぎみ
)
の
生命
(
いのち
)
はわれ
等
(
ら
)
があづからむ
165
真砂
(
まさご
)
、
白砂
(
しらさご
)
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに』
166
白砂
(
しらさご
)
はあわてて、
167
『
風
(
かぜ
)
荒
(
あ
)
れて
波
(
なみ
)
高
(
たか
)
まりぬいざ
舟
(
ふね
)
を
168
岸辺
(
きしべ
)
に
寄
(
よ
)
せむ
真砂
(
まさご
)
よ
舟
(
ふね
)
漕
(
こ
)
げ』
169
真砂
(
まさご
)
はこたへて、
170
『
艫
(
ろ
)
も
櫂
(
かい
)
も
波
(
なみ
)
に
浚
(
さら
)
はれ
如何
(
いか
)
にして
171
岸辺
(
きしべ
)
に
着
(
つ
)
かむこの
荒川
(
あらかは
)
を』
172
斯
(
か
)
くいふ
折
(
をり
)
しも、
173
一天
(
いつてん
)
俄
(
にはか
)
にかき
曇
(
くも
)
り、
174
暴風
(
ぼうふう
)
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
み、
175
大地
(
だいち
)
は
震動
(
しんどう
)
して、
176
荒波
(
あらなみ
)
の
猛
(
たけ
)
りに
舟
(
ふね
)
諸共
(
もろとも
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
は
水中
(
すいちう
)
深
(
ふか
)
くかくれける。
177
これより
日夜
(
にちや
)
の
震動
(
しんどう
)
止
(
や
)
まず、
178
雷
(
いかづち
)
轟
(
とどろ
)
き、
179
稲妻
(
いなづま
)
閃
(
ひらめ
)
き、
180
暴風
(
ぼうふう
)
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
み、
181
雨
(
あめ
)
は
盆
(
ぼん
)
を
覆
(
かへ
)
せし
如
(
ごと
)
く、
182
地鳴
(
ぢなり
)
震動
(
しんどう
)
間断
(
かんだん
)
なく、
183
さしもに
平穏
(
へいをん
)
なりし
水上山
(
みなかみやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
は、
184
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
巷
(
ちまた
)
と
化
(
くわ
)
し
去
(
さ
)
り、
185
岩ケ根
(
いはがね
)
は
竜彦
(
たつひこ
)
を
一大事
(
いちだいじ
)
と
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ひ、
186
高殿
(
たかどの
)
に
上
(
あが
)
りて、
187
難
(
なん
)
を
免
(
まぬが
)
れゐたりける。
188
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
たちの
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ
状
(
さま
)
、
189
目
(
め
)
も
当
(
あ
)
てられぬ
惨状
(
さんじやう
)
なりける。
190
かかるところへ、
191
天
(
てん
)
より
降
(
くだ
)
り
来
(
き
)
ませる
容姿
(
ようし
)
端麗
(
たんれい
)
なる
女神
(
めがみ
)
、
192
四柱
(
よはしら
)
の
侍神
(
じしん
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
193
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
降
(
くだ
)
らせ
給
(
たま
)
ふ。
194
(
昭和九・七・二〇
旧六・九
於関東別院南風閣
林弥生
謹録)
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(B)
(N)
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