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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第79巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 竜の島根
第1章 湖中の怪
第2章 愛の追跡
第3章 離れ島
第4章 救ひの船
第5章 湖畔の遊び
第6章 再会
第2篇 竜宮風景
第7章 相聞(一)
第8章 相聞(二)
第9章 祝賀の宴(一)
第10章 祝賀の宴(二)
第11章 瀑下の乙女
第12章 樹下の夢
第13章 鰐の背
第14章 再生の歓び
第15章 宴遊会
第3篇 伊吹の山颪
第16章 共鳴の庭
第17章 還元竜神
第18章 言霊の幸
第19章 大井の淵
第20章 産の悩み
第21章 汀の歎き
第22章 天変地妖
第23章 二名の島
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霊界物語
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<<< 相聞(一)
(B)
(N)
祝賀の宴(一) >>>
第八章
相聞
(
さうもん
)
(二)〔一九八九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:
第2篇 竜宮風景
よみ(新仮名遣い):
りゅうぐうふうけい
章:
第8章 相聞(二)
よみ(新仮名遣い):
そうもん
通し章番号:
1989
口述日:
1934(昭和9)年07月17日(旧06月6日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
艶男が鏡の湖畔の木陰に逃げてほっとしたのもつかの間、あたりの草むらから、白衣に赤い袴の乙女が現れて、白萩と名乗り、またもや艶男に恋の相聞歌を歌いかけた。
艶男はいつものように、実のなき恋で、応えるわけにはいかない、と断るが、それでも白萩は恋の思いを歌に託して艶男に問い掛けた。そして、鏡湖のように底も知らぬ思いに、艶男のためには命を捨てても惜しくない、と心のたけを歌った。艶男は困り果て、父母を思えば恋の思いも起こらないと嘆いた。
すると、鏡湖の波を左右に分けて現れ来る三柱の女神があった。そして、艶男の憩う木陰ににっこりとして近寄ってきた。白萩は女神の降臨に、大地にひれ伏して礼拝している。
女神は艶男に目礼すると、自分は大海津見(おおわだつみ)の神の娘、海津見姫の神であると名乗った。そして、この竜宮の島根は愛の花咲くよう神が定めた、恋の島であり、艶男にこの島を作り固めて御子を産むようにと諭した。八十姫神の願いをことごとく聞き入れて、竜神族を救うように、と歌った。
艶男は、そのようなことをしたら、竜神の姫神たちのねたみ心をあおってしまう、と不安を歌うと、海津見姫の神は、この島の竜神の姫神たちには、ねたみ心は露ほどもない、これはまだ若い国土を作り固める業であるので、ためらうことなく進むように歌い返した。
艶男は、その心はわかったが、自分は国津神の身であり、とてもそのような業に携わるには及ばない、と歌った。海津見姫の神は、日を重ねて時を重ねれば、次々と心雄雄しく進んで行くだろう、と歌い、侍女神を従えて大竜見彦の命の宮殿深く、姿を消してしまった。
艶男は女神の命に不審の念に打たれつつ、もろ手を組んで、太い息を漏らして思案にくれていた。
白萩は艶男に近寄って、左手を握ろうとしたが、艶男はとっさに驚き、飛び退いた。白萩は悲しい声を張り上げて、さきほどの海津見姫の言葉を引き合いに出しながら、艶男のつれなさを非難した。
艶男は決心のほぞを固め、今はしばらくこの場を逃れようと、自分には病気があるので、この病気が治ったら白萩の思いに応えるときもくるだろう、と歌った。白萩は喜び、二人は竜宮殿に共に帰った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7908
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 204頁
修補版:
校定版:
152頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
艶男
(
あでやか
)
は
女神
(
めがみ
)
等
(
たち
)
の
恋
(
こひ
)
の
鋭鋒
(
えいほう
)
をさけて、
002
鏡
(
かがみ
)
の
湖畔
(
こはん
)
なる
百津
(
ゆつ
)
桂木
(
かつらぎ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
太
(
ふと
)
き
息
(
いき
)
をもらしつつありしが、
003
忽然
(
こつぜん
)
として
辺
(
あたり
)
の
叢
(
くさむら
)
よりあらはれたる
白衣
(
びやくえ
)
、
004
紅袴
(
こうこ
)
の
乙女
(
をとめ
)
は、
005
右手
(
めて
)
に
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
の
満開
(
まんかい
)
せるを
持
(
も
)
ち、
006
左手
(
ゆんで
)
に
玉水盃
(
たまもひ
)
を
捧
(
ささ
)
げながら、
007
艶男
(
あでやか
)
の
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
008
満面
(
まんめん
)
笑
(
ゑ
)
みを
湛
(
たた
)
へて、
009
玉水盃
(
たまもひ
)
の
水
(
みづ
)
を
艶男
(
あでやか
)
の
前
(
まへ
)
に
差
(
さ
)
し
置
(
お
)
き、
010
『
珍
(
めづら
)
しき
艶男
(
あでやか
)
の
君
(
きみ
)
よ
御水
(
もひ
)
召
(
め
)
せよ
011
今日
(
けふ
)
の
暑
(
あつ
)
さは
咽喉
(
のど
)
のかわけば
012
わらはこそは
露
(
つゆ
)
にうるほふしら
萩
(
はぎ
)
の
013
花
(
はな
)
はづかしき
乙女
(
をとめ
)
なりけり
014
そよと
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
にも
靡
(
なび
)
く
白萩
(
しらはぎ
)
の
015
かよわき
姿
(
すがた
)
を
愛
(
め
)
で
給
(
たま
)
はずや
016
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
は
清
(
すが
)
しも
鏡湖
(
かがみこ
)
の
017
底
(
そこ
)
まで
透
(
す
)
ける
真清水
(
ましみづ
)
に
似
(
に
)
て
018
白萩
(
しらはぎ
)
の
香
(
かを
)
りを
添
(
そ
)
へて
玉水盃
(
たまもひ
)
に
019
御水
(
もひ
)
奉
(
たてまつ
)
る
今日
(
けふ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ
020
真清水
(
ましみづ
)
を
掬
(
むす
)
ばせながら
白萩
(
しらはぎ
)
の
021
花
(
はな
)
の
香
(
かを
)
りを
愛
(
め
)
でさせ
給
(
たま
)
へ
022
夏冬
(
なつふゆ
)
のけぢめもしらに
白萩
(
しらはぎ
)
は
023
伊吹
(
いぶき
)
の
山
(
やま
)
に
淋
(
さび
)
しく
匂
(
にほ
)
ふも』
024
艶男
(
あでやか
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
025
『ありがたし
乙女
(
をとめ
)
の
君
(
きみ
)
の
志
(
こころざし
)
026
われいただかむ
桂木
(
かつらぎ
)
の
蔭
(
かげ
)
に
027
湖
(
みづうみ
)
の
水
(
みづ
)
は
清
(
きよ
)
しも
白萩
(
しらはぎ
)
の
028
花
(
はな
)
は
床
(
ゆか
)
しも
乙女
(
をとめ
)
の
姿
(
すがた
)
か
029
百千花
(
ももちばな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
へども
吾
(
われ
)
にして
030
手折
(
たを
)
らむ
力
(
ちから
)
なきぞかなしき』
031
白萩
(
しらはぎ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
032
『
汝
(
な
)
が
心
(
こころ
)
いづらにあるか
白萩
(
しらはぎ
)
の
033
花
(
はな
)
はづかしき
吾
(
われ
)
にもあるかな
034
さりながら
手折
(
たを
)
らせ
給
(
たま
)
へ
白萩
(
しらはぎ
)
の
035
花
(
はな
)
におく
露
(
つゆ
)
こぼるるまでも
036
汝
(
な
)
が
君
(
きみ
)
の
情
(
なさけ
)
の
露
(
つゆ
)
にうるほひて
037
吾
(
われ
)
は
生
(
い
)
くべき
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
よ
038
この
島
(
しま
)
に
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
匂
(
にほ
)
へども
039
ただ
一本
(
ひともと
)
の
白萩
(
しらはぎ
)
のわれ
040
風
(
かぜ
)
吹
(
ふ
)
かば
露
(
つゆ
)
やこぼれむ
花
(
はな
)
散
(
ち
)
らむ
041
早
(
はや
)
く
手折
(
たを
)
らへ
一本
(
ひともと
)
の
白萩
(
しらはぎ
)
』
042
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
043
『
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
美
(
うるは
)
しと
見
(
み
)
る
吾
(
われ
)
は
044
岩
(
いは
)
の
上
(
へ
)
に
生
(
お
)
ふ
無花実
(
いちじゆく
)
なるよ
045
花
(
はな
)
のなき
無花実
(
いちじゆく
)
のかげに
繁
(
しげ
)
りたる
046
草花
(
くさばな
)
にして
実
(
み
)
のなき
吾
(
われ
)
なり』
047
白萩
(
しらはぎ
)
は
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
048
『なやましき
心
(
こころ
)
の
丈
(
たけ
)
をしら
萩
(
はぎ
)
の
049
梢
(
こずゑ
)
もみゆく
汝
(
なれ
)
は
山風
(
やまかぜ
)
050
山風
(
やまかぜ
)
は
如何
(
いか
)
にはげしく
吹
(
ふ
)
くとても
051
木蔭
(
こかげ
)
の
白萩
(
しらはぎ
)
散
(
ち
)
らむとはせず
052
わが
持
(
も
)
てる
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
に
露
(
つゆ
)
とめて
053
心
(
こころ
)
のあかしと
君
(
きみ
)
にまゐらす
054
よしやよし
露
(
つゆ
)
の
情
(
なさけ
)
はあらずとも
055
君
(
きみ
)
のみそばに
細
(
ほそ
)
く
咲
(
さ
)
くべし
056
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
を
漸
(
やうや
)
くここにしのび
草
(
ぐさ
)
057
しのびかねたるわが
思
(
おも
)
ひかな』
058
艶男
(
あでやか
)
は
白萩
(
しらはぎ
)
の
情
(
なさけ
)
のこもる
言葉
(
ことば
)
に、
059
ほつと
当惑
(
たうわく
)
しながら、
060
こともなげに
鏡
(
かがみ
)
の
湖面
(
こめん
)
を
眺
(
なが
)
めてゐる。
061
白萩
(
しらはぎ
)
は
水面
(
すゐめん
)
の
小波
(
さざなみ
)
を
指
(
ゆび
)
さしながら、
062
『みそなはせ
鏡
(
かがみ
)
の
湖
(
うみ
)
の
小波
(
さざなみ
)
の
063
底
(
そこ
)
の
心
(
こころ
)
は
動
(
うご
)
かざるらむ
064
鏡湖
(
かがみこ
)
の
底
(
そこ
)
ひもしらぬわが
思
(
おも
)
ひ
065
写
(
うつ
)
して
匂
(
にほ
)
ふ
白萩
(
しらはぎ
)
の
花
(
はな
)
よ
066
八千尋
(
やちひろ
)
の
底
(
そこ
)
ひもしらぬ
思
(
おも
)
ひねを
067
君
(
きみ
)
は
知
(
し
)
らずやみそなはさずや
068
君
(
きみ
)
のために
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
消
(
き
)
ゆるとも
069
悔
(
く
)
いなき
吾
(
われ
)
と
思召
(
おぼしめ
)
さずや
070
斯
(
か
)
くならば
生命
(
いのち
)
死
(
し
)
すとも
動
(
うご
)
かまじ
071
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
をくみとらすまでは
072
伊吹山
(
いぶきやま
)
百草
(
ももぐさ
)
千草
(
ちぐさ
)
匂
(
にほ
)
へども
073
君
(
きみ
)
のよそほひに
勝
(
まさ
)
る
花
(
はな
)
なし
074
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
をかけて
恋
(
こ
)
ひ
慕
(
した
)
ふ
075
君
(
きみ
)
は
情
(
つれ
)
なき
薊
(
あざみ
)
の
花
(
はな
)
かも』
076
艶男
(
あでやか
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
077
『さまざまの
汝
(
な
)
が
言霊
(
ことたま
)
に
打出
(
うちだ
)
され
078
吾
(
われ
)
はいらへの
言葉
(
ことば
)
だになし
079
はろばろと
波
(
なみ
)
の
秀
(
ほ
)
ふみて
来
(
き
)
ながらに
080
かかるなやみは
思
(
おも
)
はざりけり
081
竜宮
(
りうぐう
)
の
島
(
しま
)
の
乙女
(
をとめ
)
に
囲
(
かこ
)
まれて
082
吾
(
われ
)
は
行手
(
ゆくて
)
をふさがれにけり
083
足引
(
あしびき
)
の
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
き
父母
(
ふぼ
)
の
恩
(
おん
)
084
おもへば
春
(
はる
)
の
心
(
こころ
)
起
(
おこ
)
らじ
085
伊吹山
(
いぶきやま
)
尾根
(
をね
)
より
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
青嵐
(
せいらん
)
を
086
朝夕
(
あさゆふ
)
あびて
戦
(
をのの
)
く
吾
(
われ
)
なり
087
竜宮
(
りうぐう
)
の
恋
(
こひ
)
の
嵐
(
あらし
)
の
強
(
つよ
)
ければ
088
わが
身
(
み
)
はかなく
散
(
ち
)
らむとするも』
089
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
090
鏡湖
(
かがみこ
)
の
波
(
なみ
)
を
左右
(
さいう
)
に
分
(
わ
)
けて、
091
あらはれ
来
(
きた
)
る
三柱
(
みはしら
)
の
女神
(
めがみ
)
あり。
092
主
(
あるじ
)
と
思
(
おぼ
)
しきは
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち、
093
稍
(
やや
)
年
(
とし
)
若
(
わか
)
き
乙女
(
をとめ
)
は
後辺
(
うしろべ
)
に
立
(
た
)
ち、
094
悠々
(
いういう
)
として
水面
(
すゐめん
)
を
渡
(
わた
)
りながら、
095
艶男
(
あでやか
)
の
憩
(
いこ
)
ふ
百津
(
ゆつ
)
桂木
(
かつらぎ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に、
096
莞爾
(
くわんじ
)
として
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
る。
097
白萩
(
しらはぎ
)
はこれを
見
(
み
)
るより、
098
忽
(
たちま
)
ち
大地
(
だいち
)
にひれ
伏
(
ふ
)
し、
099
「ウオーウオー」と
叫
(
さけ
)
びながら
恭敬
(
きようけい
)
礼拝
(
らいはい
)
怠
(
をこた
)
りなく、
100
頭
(
かしら
)
を
大地
(
だいち
)
につけたるまま
身動
(
みうご
)
きもせず、
101
うづくまり
居
(
ゐ
)
る。
102
女神
(
めがみ
)
は
樹蔭
(
こかげ
)
に
憩
(
いこ
)
ふ
艶男
(
あでやか
)
に
軽
(
かる
)
く
黙礼
(
もくれい
)
し、
103
紅
(
くれなゐ
)
の
唇
(
くちびる
)
を
開
(
ひら
)
き、
104
『
御祖神
(
みおやがみ
)
の
御子
(
みこ
)
あれますと
聞
(
き
)
きしより
105
そこひを
分
(
わ
)
けて
吾
(
われ
)
は
来
(
き
)
にけり
106
吾
(
われ
)
こそは
大海津見
(
おほわだつみ
)
の
神
(
かみ
)
の
愛娘
(
まなむすめ
)
107
海津見
(
わだつみ
)
姫
(
ひめ
)
とよばるる
神
(
かみ
)
なり
108
竜宮
(
りうぐう
)
の
島根
(
しまね
)
は
未
(
いま
)
だ
稚
(
わか
)
けれど
109
汝
(
なれ
)
が
力
(
ちから
)
をもちてつくれよ
110
この
島
(
しま
)
をつくり
固
(
かた
)
めて
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
み
111
いや
永久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
112
竜宮
(
りうぐう
)
の
島根
(
しまね
)
は
恋
(
こひ
)
の
島ケ根
(
しまがね
)
よ
113
愛
(
あい
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
神
(
かむ
)
さだめ
島
(
じま
)
114
姫神
(
ひめがみ
)
の
数多
(
あまた
)
住
(
す
)
まへるこの
島
(
しま
)
に
115
渡
(
わた
)
りし
君
(
きみ
)
は
助
(
たす
)
けの
神
(
かみ
)
ぞや
116
人体
(
じんたい
)
をうまらにつばらに
備
(
そな
)
へざる
117
女神
(
めがみ
)
を
救
(
すく
)
へ
神
(
かみ
)
のまにまに
118
天地
(
あめつち
)
の
百
(
もも
)
の
草木
(
くさき
)
をことごとく
119
この
島ケ根
(
しまがね
)
に
植
(
う
)
ゑ
生
(
お
)
はしける
120
この
島
(
しま
)
は
海津見
(
わだつみ
)
の
神
(
かみ
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
よ
121
われも
折々
(
をりをり
)
来
(
きた
)
りてあそべる
122
水
(
みづ
)
清
(
きよ
)
き
鏡
(
かがみ
)
の
湖
(
いけ
)
は
海津見
(
わだつみ
)
の
123
神
(
かみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
入口
(
いりぐち
)
ぞかし
124
ここに
来
(
き
)
て
弱
(
よわ
)
き
心
(
こころ
)
をもたすまじ
125
全
(
まつた
)
き
神子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
むべき
島根
(
しまね
)
よ
126
八十姫
(
やそひめ
)
の
願
(
ねが
)
ひことごときき
入
(
い
)
れて
127
この
島ケ根
(
しまがね
)
をにぎはせ
給
(
たま
)
へ』
128
艶男
(
あでやか
)
はおそるおそるこれに
答
(
こた
)
ふ。
129
『
如何
(
いか
)
にして
百
(
もも
)
の
女神
(
めがみ
)
にまみえなむ
130
身体
(
からたま
)
の
弱
(
よわ
)
きひとり
身
(
み
)
吾
(
われ
)
は
131
ゆくりなくこの
島ケ根
(
しまがね
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
132
百
(
もも
)
の
乙女
(
をとめ
)
におそはれにける
133
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
吾
(
われ
)
ひるまじものとおもへども
134
ねたみ
心
(
ごころ
)
を
如何
(
いか
)
にをさめむ
135
ねたましき
心
(
こころ
)
をもつは
姫神
(
ひめがみ
)
の
136
常
(
つね
)
と
知
(
し
)
る
故
(
ゆゑ
)
ためらひ
居
(
を
)
るなり』
137
海津見
(
わだつみ
)
姫
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
淑
(
しと
)
やかに
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふ。
138
『
心
(
こころ
)
弱
(
よわ
)
きことを
宣
(
の
)
らすな
汝
(
な
)
は
男
(
を
)
の
子
(
こ
)
139
雄々
(
をを
)
しく
清
(
すが
)
しくあるべきものを
140
艶男
(
あでやか
)
の
名
(
な
)
を
負
(
お
)
ひませる
君
(
きみ
)
なれば
141
ねたみ
心
(
ごころ
)
におそはるべしやは
142
この
島
(
しま
)
の
女神
(
めがみ
)
はのこらず
神
(
かみ
)
なれば
143
ねたむ
心
(
こころ
)
は
露
(
つゆ
)
程
(
ほど
)
もなし
144
稚
(
わか
)
き
国土
(
くに
)
をつくり
固
(
かた
)
むる
業
(
わざ
)
なれば
145
ためらふことなく
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ』
146
艶男
(
あでやか
)
はこれに
答
(
こた
)
へて、
147
『
姫神
(
ひめがみ
)
の
心
(
こころ
)
はよしと
思
(
おも
)
へども
148
吾
(
われ
)
には
及
(
およ
)
ばず
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
身
(
み
)
よ』
149
海津見
(
わだつみ
)
の
神
(
かみ
)
は、
150
『
日
(
ひ
)
を
重
(
かさ
)
ね
時
(
とき
)
をけみして
次々
(
つぎつぎ
)
に
151
心
(
こころ
)
雄々
(
をを
)
しく
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
はむ』
152
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひながら
姫神
(
ひめがみ
)
は
静々
(
しづしづ
)
と
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
と
共
(
とも
)
に、
153
芒
(
すすき
)
の
穂
(
ほ
)
の
上
(
うへ
)
を
軽
(
かる
)
く
渡
(
わた
)
りながら、
154
大竜身彦
(
おほたつみひこ
)
の
命
(
みこと
)
の
宮殿
(
きうでん
)
深
(
ふか
)
く
御姿
(
みすがた
)
をかくさせ
給
(
たま
)
ひぬ。
155
艶男
(
あでやか
)
と
白萩
(
しらはぎ
)
は
姫神
(
ひめがみ
)
を
粛然
(
しゆくぜん
)
として
見送
(
みおく
)
り、
156
御影
(
みかげ
)
の
見
(
み
)
えぬ
迄
(
まで
)
伸
(
の
)
び
上
(
あが
)
り
伸
(
の
)
び
上
(
あが
)
り
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
たが、
157
ここに
艶男
(
あでやか
)
は
不審
(
ふしん
)
の
念
(
ねん
)
にうたれつつ、
158
諸手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
159
太
(
ふと
)
き
息
(
いき
)
をもらし
思案
(
しあん
)
にくれてゐる。
160
白萩
(
しらはぎ
)
は
白衣
(
びやくえ
)
の
袖
(
そで
)
の
艶男
(
あでやか
)
の
息
(
いき
)
のさはるところまで
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
り、
161
露
(
つゆ
)
の
滴
(
したた
)
るまなざしを
涼
(
すず
)
しくひらきながら、
162
あらゆる
媚
(
こび
)
を
呈
(
てい
)
し、
163
艶男
(
あでやか
)
の
左手
(
ゆんで
)
を
握
(
にぎ
)
らむとせしにぞ、
164
艶男
(
あでやか
)
は
青天
(
せいてん
)
の
霹靂
(
へきれき
)
の
如
(
ごと
)
く
驚
(
おどろ
)
き、
165
二三十
(
にさんじつ
)
歩
(
ぽ
)
後方
(
しりへ
)
に
飛
(
と
)
び
退
(
しりぞ
)
き、
166
呆然
(
ばうぜん
)
として
白萩
(
しらはぎ
)
の
面
(
おも
)
を
見
(
み
)
つめてゐる。
167
白萩
(
しらはぎ
)
はかなしき
声
(
こゑ
)
をはり
上
(
あ
)
げながら、
168
『
情
(
なさけ
)
なやわがおもふ
君
(
きみ
)
は
白萩
(
しらはぎ
)
の
169
梢
(
うれ
)
をもみゆく
嵐
(
あらし
)
なりけり
170
雨
(
あめ
)
霰
(
あられ
)
嵐
(
あらし
)
は
如何
(
いか
)
に
強
(
つよ
)
くとも
171
たゆまざるべし
白萩
(
しらはぎ
)
の
吾
(
われ
)
は
172
この
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
ませる
君
(
きみ
)
なれば
173
如何
(
いか
)
でのがさじ
弥猛心
(
やたけごころ
)
に
174
姫神
(
ひめがみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
汝
(
なれ
)
はきかざるや
175
たゆまずひるまず
手折
(
たを
)
らせ
給
(
たま
)
へ
176
いやしかるわが
身体
(
からたま
)
におぢおそれ
177
いなみ
給
(
たま
)
ふか
情
(
なさけ
)
なき
君
(
きみ
)
178
身体
(
からたま
)
はよし
竜体
(
りうたい
)
と
生
(
うま
)
るとも
179
恋
(
こひ
)
てふ
心
(
こころ
)
に
変
(
かは
)
りあるべき』
180
艶男
(
あでやか
)
は
決心
(
けつしん
)
の
臍
(
ほぞ
)
を
固
(
かた
)
め、
181
しばしの
虎口
(
ここう
)
を
遁
(
のが
)
れむと、
182
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
みながら
憮然
(
ぶぜん
)
として
歌
(
うた
)
ふ。
183
『はづかしさ
恋
(
こひ
)
しさあまりてただ
吾
(
われ
)
は
184
手折
(
たを
)
らむ
道
(
みち
)
をためらひにけり
185
さりながらしばしを
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へかし
186
吾
(
われ
)
には
一
(
ひと
)
つの
病
(
やまひ
)
ありせば
187
この
病
(
やまひ
)
癒
(
い
)
ゆるを
待
(
ま
)
ちて
白萩
(
しらはぎ
)
の
188
君
(
きみ
)
にまみえむよき
日
(
ひ
)
あるべし』
189
白萩
(
しらはぎ
)
は
満面
(
まんめん
)
を
輝
(
かがや
)
かしながら
素直
(
すなほ
)
に
歌
(
うた
)
ふ。
190
『
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
つくせし
甲斐
(
かひ
)
ありて
191
艶男
(
あでやか
)
の
君
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
うごきぬ
192
嬉
(
うれ
)
しさにわが
魂
(
たましひ
)
は
輝
(
かがや
)
きぬ
193
幾日
(
いくひ
)
まつとも
吾
(
われ
)
は
恨
(
うら
)
まじ
194
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
やさしき
君
(
きみ
)
と
知
(
し
)
らずして
195
なやめ
奉
(
まつ
)
りし
心
(
こころ
)
はづかし
196
いざさらば
御殿
(
みとの
)
に
送
(
おく
)
り
奉
(
まつ
)
るべし
197
早立
(
はやた
)
たせませ
桂木
(
かつらぎ
)
の
蔭
(
かげ
)
を』
198
艶男
(
あでやか
)
の
言葉
(
ことば
)
の
風
(
かぜ
)
に
白萩
(
しらはぎ
)
は
199
心
(
こころ
)
静
(
しづ
)
かに
打
(
う
)
ちなびきたり
200
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
満
(
み
)
たねど
艶男
(
あでやか
)
は
201
白萩
(
しらはぎ
)
と
共
(
とも
)
に
御殿
(
みとの
)
にかへれり。
202
(
昭和九・七・一七
旧六・六
於関東別院南風閣
内崎照代
謹録)
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(B)
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