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第一章 公認教と非公認教

インフォメーション
題名:第1章 公認教と非公認教 著者:出口王仁三郎
ページ:3 目次メモ:
概要: 備考:2023/10/02校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-02 01:26:52 OBC :B121802c102
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正9年9月21日号(第127号) > 公認教と非公認教に就て
 今日法律上公認教と称して居るのは、文部省の下に在る宗教局に監督せられて、さうして独立を許されることになつて居る。即ち勅任待遇の管長を戴いて居る。此の宗教を指して独立宗教──公認教と謂ふのであります。それから()に非公認教と謂ふのがあります。是は文部省宗教局の認可監督を受けない、又法律上の管長も無いのである。故に非公認教は、法律上よりの所謂(いはゆる)独立はして居らぬけれども、(また)何等(なんら)の干渉をも受けないので、即ち絶対独立であります。憲法の第二十八条の精神に依つて、宗教の自由は保証されて居ります。大本は之を標榜して()つたところの独立教であります。所謂(いはゆる)法律の非公認教であるけれども、実際の(ちから)を云へば独立教で、即ち皇道大本は実際上の独立教であります。宗教局に隷属して居る所謂(いはゆる)独立教は、天理教、金光教、黒住教、御嶽教(みたけけう)(など)神道(しんだう)でも十三派に(わか)れて()るが、()う云ふものは(みな)文部省宗教局の監督を受けて、管長は勅任待遇を(かたじけな)ふし、さうして事々(じじ)物々(ぶつぶつ)教義の宣伝を制限されて居ります。宗教家は政治に関与すべからずとか、其外(そのほか)色々細かく制限をされて居ります。大本は何故(なにゆゑ)公認教にならぬかと云ふと、其の理由は此処(ここ)()るので、公認教になつたら、神様に仕へる事は出来ませぬ。神は絶対無限のものであります。人間は神様に似て居ると云ふけれ(ども)(また)何程(なんぼ)賢い人間だと謂つても、神の御心(みこころ)大海(たいかい)の一滴(ぐらゐ)よりしか()み取ることが出来ないものであります。(その)神の(をしへ)を俗人の寄つて作つた法律に依つて、之を取締り之を監督すると云ふ事は出来ぬ話であります。大本は法律上の非公認教であるから、公認教に直せと(その)(すぢ)から何程(なにほど)言つて来られた所が、そんなものには(とて)もなれない。絶対無限の神の(をしへ)を俗人が善悪を(さだ)めたり、(あるひ)は認可するとか、せぬとか云ふやうな事をせらるべきものではないのであります。到底人間では分るものではない。所謂(いはゆる)神の(をしへ)であります。(しか)し法治国に居る以上、公認教非公認教に(かか)はらず、悪い事をすれば同様に罰せらるるのである。非公認教であるから国家が特別に監督を(げん)にする、公認教であるから監督を(ゆる)めると云ふ道理はない。(みな)国家が監督する事は同一であるけれども、(ただ)国家と云ふ上から監督せらるるのと、宗教局から監督せらるるとの差異があるのであります。之は全く矛盾して居ることであつて、宗教局の監督を受けるのを独立教と称し、国家から受けるのを非独立教、非公認教と称して、全く逆様になつて居る。()んな道理がある筈はない。(わたくし)は非公認教でも結構であると思つて居ります。
 総て何事でも政治、教育、実業、医学、暦法、天地文学、科学、宗教、哲学、其他一切のものは、皇祖皇宗の御遺訓なる皇典古事記に包含されて居る。(しか)して皇道は政治の大道(たいだう)が主眼になつて居ります。それであるから皇道を説くには、政治から説いて行かねばならぬ。宗教家となれば、政治を論議する事が出来ない。さうして古事記を説くにはどうしても政治に論及せずに居られない。それであるから(わが)大本は公認教となつて、制縛(せいばく)を受ける事を欲せないのであります。
 それからある雑誌に、大本は今ああして居るけれど、行く行くは政友会と提携して、百万円の金を出して独立教になるだらう。斯んな事を書いて居ります。(かつ)て天理教も政友会の為に独立教になつた。(また)大本教も独立教にさせられるだらう。きつとさう成るに違ひないと、予言して居る雑誌も見ました。実に馬鹿々々しい話で、何を苦しんでかそんな所へ首を突込(つきこ)みませうか、自由自在勝手気儘(きまま)に神の命ずる随々(まにまに)()つて居る。一つも掣肘(せいちう)を受けない所の大本を指して、さう云ふことを言つて居る。可哀想(かあいさう)な、圧迫を受けて公認教だと言つて居るのは、実に憐れむべきであります。是等(これら)も世間から見て居る事と、大本の見地(けんち)とは、全く正反対になつて居ります。現に既成宗教の活気の無いと云ふことは、御話(おはなし)にならない(ほど)で、()の世界の大戦争が五年間も続いて居るのに、基督教は之を如何(いかん)ともすることは出来なかつた。ローマ法王は一体何を()て居つたのであるか、(つひ)に宗教の(ちから)(もつ)て、あの戦争を喰ひ止める事は出来なかつたのである。之を見ても宗教信念の力が弱くなつて居ると云ふ事が(わか)ります。(また)日本国(につぽんこく)(おい)ても、今日の思想界は益々(ますます)混乱悪化して来る。(しか)るに精神界を支配する所の仏教五十派の円頭(ゑんちやう)緇衣(しい)の坊さん達、それから神道十三派の管長(たち)、四十七八派の基督教の大将も、之を如何(いかん)ともする事は出来ぬ。それで内務大臣底本(全集)では四文字伏せ字「XXXX」になっているが、神霊界では「内務大臣」と書いてあるため、そのように修正した。も浪花節(かたり)や侠客を集めたり、(あるひ)は伊勢参宮を勧めたり、色々な事をして御心配になつて居る(やう)であります。(これ)は一方から云へば、宗教家に対する(だい)なる侮辱である。浪花節(かたり)や侠客を頼まないでも、本当の宗教家があるではないか。十万の寺があり、十三派の神道もある。つまり内務省は所謂(いはゆる)宗教家、即ち神道とか、仏教とか、基督教とかを見捨てて(しま)うて、浪花節(かたり)奏任(そうにん)待遇にせられたと云ふことは宗教家に対する非常な皮肉でありまして、之を見ても今日の既成宗教、公認教が役に立たないと云ふことが、歴然たるものであります。()ういふ宗教と一緒になつて席を並べて、大本教を()てると云ふことは、神の御名(みな)(けが)し、真正の皇道を(こぼ)つことになるから、(わが)皇道大本は既成宗教のやうに、公認教となることを欲しないのであります。さうして(わが)大本は自由自在、天地(かん)何等(なんら)の拘束も受けず、(しん)の独立教となつて活動して()るのであります。
(大正九、九、二一号 神霊界誌)
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