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第四章 戊申詔書

インフォメーション
題名:第4章 戊申詔書 著者:出口王仁三郎
ページ:69 目次メモ:
概要: 備考:2023/10/02校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-02 22:07:10 OBC :B121802c116
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正7年7月15日号(第66号) > 宗教の害毒
 明治(めいぢ)鴻業(こうげふ)は、(その)(をはり)戊申詔書もて(むす)ばれ(をは)んぬ。
 明治(めいぢ)天皇(てんわう)の 聖魂(せいこん)は、(かしこ)くも戊申(ぼしん)詔書として、大正(たいしやう)御代(みよ)(つた)へさせ(たま)ひぬ。
 戊申詔書明治(めいぢ)結末(けつまつ)()して、大正(たいしやう)初頭(しよとう)(おこ)すの旗幟(きし)たりしなり。
 (しか)るに大正(たいしやう)(わづか)に七星霜(せいさう)にして、日本(につぽん)国人(こくみん)上下倶に戊申の詔書を忘れむとす嗟々(ああ)(わざはひ)なるかな。噫々(ああ)(がい)すべき(かな)
 華を去り実に就き自疆息まざるべきは戊申詔書の大精神なり
 祖宗の遺訓に基き歴史の成跡に基くべきは戊申詔書の大聖旨なり
 この二大精神(せいしん)大正(たいしやう)の七年に(いた)つて、(すで)上下(じやうげ)(とも)(わす)れむとする(ところ)()る。吾人(ごじん)(てん)(あふ)いで三嘆(さんたん)せざらむと(ほつ)するも()べからざるあり。
 戊申(ぼしんの)詔書(せうしよ)(おほ)()聖旨(せいし)は、大正(たいしやう)国民(こくみん)(わす)るる(ところ)となつて、国家(こくか)前途(ぜんと)()めに暗澹(あんたん)たるものあり。吾人(ごじん)()()して、慟哭(どうこく)せざらむと(ほつ)するも()べからざるものあり。
 吁々戊申詔書は日本国上下の倶に忘れむとする所たり悲痛(ひつう)(なん)(これ)()くものあらむ。
 国家(こくか)(つね)盤石(ばんじやく)不動(ふどう)なる(だい)哲学(てつがく)(じやう)根底(こんてい)ありて、()興隆(こうりう)(いた)すものなり。プラトンの理想(りさう)(こく)が、帝王(ていわう)(もつ)(だい)哲学(てつがく)(しや)たるを(えう)すと()ける所以(ゆゑん)(じつ)(ここ)()り。(だい)哲学(てつがく)根底(こんてい)(だい)倫理(りんり)(はは)にして、(だい)宗教(しうけう)素因(そいん)たり。(だい)哲学(てつがく)(だい)倫理(りんり)(だい)宗教(しうけう)が、(あひ)一致して系統(けいとう)あり、組織(そしき)ある精華(せいくわ)発揮(はつき)する国家(こくか)これを理想(りさう)国家(こくか)()ふなり。(ゆゑ)(だい)哲学(てつがく)(だい)倫理(りんり)(だい)宗教(しうけう)確立(かくりつ)なき国家(こくか)は、如何(いか)隆昌(りゆうしやう)膨大(ばうだい)(いた)すと(いへど)も、()国家(こくか)運命(うんめい)脆弱(きじやく)なること硝子(がらす)よりも(あやふ)し。(だい)哲学(てつがく)(だい)倫理(りんり)(だい)宗教(しうけう)確立(かくりつ)は、国民(こくみん)をして(だい)元気(げんき)あらしめ、(だい)奮励(ふんれい)あらしめ、真摯(しんしつ)にして至誠(しせい)忠実(ちうじつ)にして勇奮(ゆうふん)()()国家(こくか)(つく)して(かへりみ)(ところ)なし。国家(こくか)(ため)()(つき)隆乎(りゆうこ)として悠久(いうきゆう)なるのみ。
 近時(きんじ)吾人(ごじん)()()(みみ)()くもの一に浮華(ふくわ)にして、空虚(くうきよ)なるもの(おほ)く、人皆其の根底の奥義を顧るものなくして挙世滔々として亡国の素因を為すが如き感なくむばあらず
 (くわ)()(じつ)()くべきは、戊申(ぼしん)詔書(せうしよ)(だい)精神(せいしん)なり。華麗の奥底には深淵なる理想あるべし(いたづら)華麗(くわれい)(もつ)世俗(せぞく)眩惑(げんわく)()はむと(ほつ)するは、(だい)なる(あやま)りと()ふべし。(だい)哲理(てつり)根底(こんてい)ありて(だい)華麗(くわれい)美花(びくわ)はあるべし。根底の本実を忘れては華麗の義は浮華と為る世人(せじん)(なか)(むな)しくして(そと)修飾(しうしよく)し、根底(こんてい)(ふか)くせずして(いたづら)外面(ぐわいめん)尊重(そんちよう)す。(おほい)(いまし)めざるべからず。
 前章(ぜんしやう)(だい)して大祓(おほはらひ)権威(けんゐ)()ひ、(だい)(ちう)(せう)潔斎(けつさい)概述(がいじゆつ)す。読者(どくしや)文字(もじ)(かい)する(ひと)あらば、飜然(ほんぜん)として(えり)(ただ)して、皇道(くわうだう)大本(おほもと)(らう)多謝(たしや)すべかりしなり。人心(じんしん)(けが)れたるに美服(びふく)(まと)ふも(なん)(あたひ)かこれあらむ。潔斎(けつさい)精神(せいしん)(てき)行事(ぎやうじ)なり。国土(こくど)潔斎(けつさい)国民(こくみん)心魂(しんこん)潔斎(けつさい)すべきなり。疾病罪悪の充満は潔斎行事の対照物なり荒忌(あらいみ)行事(ぎやうじ)(げん)として、国民(こくみん)遊離(いうり)諸魂(しよこん)をして身体(しんたい)中府(ちうふ)(しづ)めざるべからず。衛生(ゑいせい)八釜(やかま)しく()ひて掃除(さうぢ)()さしめ、庭宅(ていたく)清潔(せいけつ)なるのみが潔斎(けつさい)にては()し。潔斎(けつさい)精神(せいしん)(てき)行事(ぎやうじ)なり。国土(こくど)潔斎(けつさい)散斎(あらいみ)は三ケ月にては覚束(おぼつか)なし。(しか)るに()混濁(こんだく)にして、(なほ)(いま)(だい)潔斎(けつさい)()(およ)ばず、(いた)ましき(かな)
 国土(こくど)(だい)潔斎(けつさい)(うち)(もつと)()重要(ぢうえう)なるものは精神(せいしん)(てき)潔斎(けつさい)なり。思想(しさう)整理(せいり)なり。現代の日本国は思想の混乱時代なり思想(しさう)混乱(こんらん)疾病(しつぺい)罪悪(ざいあく)との結果(けつくわ)(もた)らして(けが)()くしたる汚悪(をあく)臭気(しうき)は、上下(しやうげ)(つう)じて(じつ)()(きよく)(たつ)せり。毎朝(まいあさ)新聞紙(しんぶんし)罪悪誌(ざいあくし)(かん)あり。思想(しさう)の統一なく精神(せいしん)紊乱(びんらん)せる現代(げんだい)大祓(おほはらひ)もて(さか)んに(これ)潔斎(けつさい)すべき(なり)大々(だいだい)(てき)潔斎(けつさい)(おこな)ひて祭壇(さいだん)(きよ)くすべし。強烈なる潔斎は大神事の随一なり(だい)強烈(きやうれつ)なる潔斎(けつさい)(むす)ばずむば、国土(こくど)(つひ)清浄(せいじやう)なるべからず。
 思想(しさう)潔斎(けつさい)(もつと)重要(ぢうえう)なる一は宗教(しうけう)潔斎(けつさい)なり。現代(げんだい)既成(きせい)宗教(しうけう)(たちま)(この)(さい)根絶(こんぜつ)せしむべきなり。宗教(しうけう)法灯(はふとう)暗夜(あんや)必要(ひつえう)なり。白昼(はくちう)には(えう)なし。堕落(だらく)したる宗教(しうけう)根絶(こんぜつ)して国土(こくど)(だい)潔斎(けつさい)あるべきは大正(たいしやう)聖代(せいだい)序幕(じよまく)なり。大正は大に正すべき御代なり大に正すべきの第一は宗教なり現代(げんだい)(ごと)腐敗(ふはい)宗教(しうけう)のある(あひだ)は、国土(こくど)潔斎(けつさい)(のぞ)むべくもあらず。宗教を絶滅せしめて茲に創めて国土の清浄は望むべきなり
 国土(こくど)清浄(せいじやう)の第二の重要事(ぢうえうじ)医学絶滅(ぜつめつ)なり。医術(いじゆつ)益々(ますます)(せい)にして疾病(しつぺい)益々(ますます)繁殖(はんしよく)するなり。現代(げんだい)医学(いがく)国土(こくど)(けが)(ところ)巨魁(きよくわい)なり。()医術(いじゆつ)(けが)され、宗教(しうけう)()せらる。医学と宗教とは神国の麗はしき国体を根本的に破壊するものなり貧者(ひんじや)罪悪(ざいあく)(おもむ)き、富者(ふうじや)病院(びやうゐん)(おもむ)く、これ天罰(てんばつ)自然(しぜん)なり。薬石(やくせき)疾病(しつぺい)根本(こんぽん)治療(ちれう)(ぶつ)にあらず、薬石(やくせき)(ひと)精神(せいしん)破壊(はくわい)し、神魂(しんこく)(けが)すものなり。潔斎(けつさい)し、根絶(こんぜつ)せざるべからず。
 宗教(しうけう)根絶(こんぜつ)し、医術(いじゆつ)根絶(こんぜつ)す。()愈々(いよいよ)暗黒(あんこく)となりて、(ひと)(ことごと)疾病(しつぺい)(たふ)れむ。足下(そくか)(げん)悪魔(あくま)のみと。然り吾人の言は悪魔を根治するの(げん)なり。悪魔(あくま)蟄伏(ちつぷく)要求(えいきう)し、絶滅(ぜつめつ)宣言(せんげん)するの(げん)なり。()けよ、吾人(ごじん)宗教(しうけう)根絶(こんぜつ)し、医術(いじゆつ)根絶(こんぜつ)すべしと絶叫(ぜつけう)すと(いへど)も、(これ)(かは)るべき(だい)宗教(しうけう)提供(ていきよう)し、(だい)医術(いじゆつ)提供(ていきよう)すべきものたる(こと)を。
 吾人(ごじん)(あに)(いたづら)破壊(はくわい)をのみ(よろこ)ぶものならむや。破壊(はくわい)(あらた)建設(けんせつ)するものの(ため)()(ところ)手段(しゆだん)たるに()ぎず。()(やす)んぜよ。
 一切は戊申の詔書に基いて行事すべき也祖宗の御遺訓に則りて行事すべき也祖宗(そそう)()遺訓(ゐくん)地上(ちじやう)(ただち)天国(てんごく)(きづ)かしめ、永生(えいせい)長寿(ちやうじゆ)(あた)へ、安楽(あんらく)至楽(しらく)現代(げんだい)(ぢう)せしむるなり。()要件(えうけん)(まこと)に四五の根本(こんぽん)(てき)革新(かくしん)()ぎず。
 一 国教(こくけう)大成(たいせい)して雑多(ざつた)蕪雑(ぶざつ)宗教(しうけう)絶滅(ぜつめつ)するなり。
 二 天産(てんさん)自給(じきふ)根本(こんぽん)(てき)生活(せいくわつ)本位(ほんゐ)(かへ)るべきなり。
 三 国家(こくか)家族制度(せいど)本義(ほんぎ)(かへ)りて一心(いつしん)同体(どうたい)終美(しうび)(あら)はすべきなり。
 四 国民(こくみん)皆兵(かいへい)励行(れいかう)
 五 教育(けういく)政治(せいぢ)祭祀(さいし)(みち)()()ふべきなり。
 (いま)(ここ)()()ふべしといふは、新設(しんせつ)意義(いぎ)なるは勿論(もちろん)なるも、こは実は大本元に復帰することなり逆旅(げきりよ)旅人(りよじん)本家(ほんけ)(かへ)り、(あそ)びに(ふけ)りし児童(じどう)()各自(かくじ)(いへ)(かへ)り、父母(ふぼ)膝下(しつか)(いた)るが(ごと)きのみ。
 疾病罪悪は実在にあらず疾病(しつぺい)なきが常態(じやうたい)なり。光明(くわうみやう)欠乏(けつばふ)したる部分(ぶぶん)(しよう)して(これ)疾病(しつぺい)(しよう)すべきのみ。罪悪(ざいあく)(また)これに(おな)じ。疾病(しつぺい)根治(こんぢ)健全(けんぜん)社会(しやくわい)建設(けんせつ)同時(どうじ)出現(しゆつげん)すべき自然(しぜん)現象(げんしやう)のみ。疾病(しつぺい)罪悪(ざいあく)とは社会(しやくわい)陰映(いんえい)なり。社会病みて人病み社会罪悪に陥りて人罪悪を犯す社会(しやくわい)組織(そしき)本源(ほんげん)にして、各個(かくこ)疾病(しつぺい)罪悪(ざいあく)()(かげ)なり。(すゑ)なり。結果(けつくわ)なり。社会(しやくわい)組織(そしき)(あらた)めずして各個(かくこ)より疾病(しつぺい)罪悪(ざいあく)()らむと(ほつ)するものは、(すなは)墨汁(ぼくじふ)(ちう)(おい)墨痕(ぼくこん)(あら)()らむと()すが(ごと)し。(あら)ふこと愈々(いよいよ)(つと)むるに(したが)つて、()(くろ)さを()すこと愈々(いよいよ)(はなは)だしかるべきなり。(これ)現代(げんだい)滑稽画(こつけいぐわ)の随一なるものと()す。
 汚穢(をゑ)清水(しみづ)もて(あら)ふべきなり。吾人(ごじん)提供(ていきよう)する清浄(せいじやう)なる(みづ)(きら)つて(かへ)つて汚濁(をだく)泥水(どろみづ)(よろこ)び、墨汁(ぼくじふ)()るを(よろこ)ぶ。戊申(ぼしん)詔書(せうしよ)国民(こくみん)(たい)して冷水(れいすゐ)頭上(づじやう)より(よく)すべきを(すす)(たま)ふ。厳乎(げんこ)たる詔書(せうしよ)(ふみ)熱誠(ねつせい)(くに)(しの)(たま)烈々(れつれつ)たる聖情(せいじやう)は、大正(たいしやう)国民(こくみん)惰弱(だじやく)なるには(てき)せざるべきか。(わす)れむと(ほつ)し、(わす)れまじと(ほつ)し、日本(につぽん)光輝(くわうき)ある国史(こくし)成跡(せいせき)(やうや)(あと)()たむとす。
 戊申詔書を忘れむとするは明治天皇を忘れ奉らむとするにはあらざるか戊申詔書を忘れむと欲するは祖宗の御遺訓を忘るるものにはあらざるか滔々(たうたう)として(くわ)()ひ、索然(さくぜん)として(ひと)(みな)本義(ほんぎ)立脚地(りつきやくち)(うしな)ひ、彷徨(はうくわう)として(ゆめ)(ひと)(ごと)し。
 吾人(ごじん)現代(げんだい)世界(せかい)惨状(さんじやう)(しの)び、(いま)神前(しんぜん)拝跪(はいき)して神明(しんめい)祈願(きぐわん)しつつ、(なみだ)滂沱(ばうだ)たること(たき)(ごと)きは、(なん)(ゆゑ)ぞや。
(大正七、七、一五号、神霊界)
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