霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 国教問答

インフォメーション
題名:第5章 国教問答 著者:出口王仁三郎
ページ:75 目次メモ:
概要: 備考:2023/10/02校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-02 22:47:54 OBC :B121802c117
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正7年9月15日号(第70号) > 国教問答
某 『日本(につぽん)憲法(けんぱふ)では信教(しんけう)自由(じいう)(みと)められて()る。(しか)るに(あらた)めて国教(こくけう)云々(うんぬん)せらるるは()うしたわけですか』
王仁『帝国(ていこく)憲法(けんぱふ)第二十八条に「日本(につぽん)臣民(しんみん)安寧(あんねい)秩序(ちつじよ)(さまた)げず、(およ)臣民(しんみん)たる義務(ぎむ)(そむ)かざる(かぎ)りに(おい)信教(しんけう)自由(じいう)(いう)す」とあつて臣民(しんみん)信教(しんけう)自由(じいう)(みと)められて()るのである。(しか)()信教(しんけう)自由(じいう)()ふのは安寧(あんねい)秩序(ちつじよ)(さまた)げず、臣民(しんみん)義務(ぎむ)(そむ)かざるの範囲(はんゐ)(おい)ての信教(しんけう)自由(じいう)である。現今(げんこん)宗教(しうけう)宗派(しうは)(なか)(おい)て、適切(てきせつ)憲法(けんぱふ)条章(でうしやう)符合(ふがふ)して遺憾(ゐかん)なきものが()るであらうか、(はた)して安寧(あんねい)秩序(ちつじよ)(さまた)ぐるの傾向(けいかう)あるものがないか、(はた)して臣民(しんみん)義務(ぎむ)(そむ)くの(きら)ひあるものがないか、これ(おほ)いに()研究(けんきう)(えう)すべき問題(もんだい)である』
某 『それでは現今(げんこん)宗教(しうけう)(ちう)に一つも完全(くわんぜん)なものがないと()ふのですか。日本(につぽん)臣民(しんみん)(しん)ずべき宗教(しうけう)はないと()ふのですか』
王仁『左様(さやう)急激(きふげき)断定(だんてい)()るまでに、未解決(みかいけつ)問題(もんだい)前提(ぜんてい)(よこた)はつて()る。()退(しりぞ)いて()判定(はんてい)をなすべき根本(こんぽん)標準(へうじゆん)()てての(のち)でなくては、何者(なにもの)何故(なにゆゑ)安寧(あんねい)秩序(ちつじよ)(さまた)ぐるものやら、何者(なにもの)何故(なにゆゑ)臣民(しんみん)義務(ぎむ)(そむ)くのやら、見当(けんたう)がつかないではないか。標準(へうじゆん)尺度(しやくど)()くては盲目(まうもく)(てき)断定(だんてい)(おちい)つてはつまらない』
某 『それでは()標準(へうじゆん)とは(なん)ですか』
王仁『()づ第一に(さだ)むべきことは国教(こくけう)といふことの意義(いぎ)である。その意義(いぎ)明瞭(めいれう)になつてくれば、問題(もんだい)自然(しぜん)解決(かいけつ)してくる。さて国教(こくけう)()意義(いぎ)は「国家(こくか)認定(にんてい)して管理(くわんり)財政(ざいせい)(とう)(てん)(おい)保護(ほご)干渉(かんせふ)()宗教(しうけう)」と(かい)せられて()るが、()れは国教(こくけう)外部(ぐわいぶ)からの形式(けいしき)解釈(かいしやく)したものに()ぎない。()内部(ないぶ)からの意義(いぎ)尋釈(じんしやく)すれば、()国家(こくか)認定(にんてい)する(うへ)根本(こんぽん)原由(げんいん)調査(てうさ)しなければならぬ。現今(げんこん)世界(せかい)各国(かくこく)(おい)て、国教(こくけう)認定(にんてい)せられて()国柄(くにがら)(つい)一々(いちいち)これを取調(とりしら)べてみたならば、随分(ずゐぶん)いろいろ原因(げんいん)があり、(なが)(あひだ)歴史(れきし)根底(こんてい)があることを見出(みいだ)すに(かた)くはない。(しか)しながら()(なが)歴史(れきし)とか、(ふか)原因(げんいん)とかいふことは比較(ひかく)(てき)言葉(ことば)であつて、(けつ)して非常(ひじやう)(ふか)非常(ひじやう)(なが)いと()(やう)絶対(ぜつたい)(てき)意味(いみ)原因(げんいん)はないのである。こう()へば随分(ずゐぶん)議論(ぎろん)もあるかも()れないが、吾々(われわれ)左様(さやう)断定(だんてい)して(はばか)らないのである。耶蘇教国(やそけうこく)でも、仏教国(ぶつけうこく)でも、(べつ)(をか)(がた)いと()ふやうな深遠(しんゑん)崇高(すうかう)関係(くわんけい)()(いだ)すことは出来(でき)ないのである。(かへ)つて(きは)めて(ふる)埃及(えじぷと)希臘(ぎりしや)(とう)古代(こだい)歴史(れきし)には、尊厳(そんげん)意義(いぎ)(くに)(をしへ)との(うへ)連関(れんくわん)して()たオモカゲがあるけれども、(くに)()つるの比較(ひかく)(てき)(あさ)国家(こくか)には、立国(りつこく)本義(ほんぎ)国教(こくけう)建立(こんりふ)とが神秘(しんぴ)(てき)なほどに崇高(すうかう)尊厳(そんげん)意義(いぎ)(おい)結合(けつがふ)して()るところのないのは、(むし)誰人(たれびと)にも発見(はつけん)()らるる事実(じじつ)ではないか。()しも立国(りつこく)本義(ほんぎ)国教(こくけう)建立(こんりふ)とが一体(いつたい)不離(ふり)関係(くわんけい)をなして、万世(ばんせい)不易(ふえき)権威(けんゐ)振張(しんちやう)して()くべき国家(こくか)があつたならば、それこそ(しん)国家(こくか)であり、(しか)して()国教(こくけう)(しん)万世(ばんせい)不磨(ふま)(だい)国教(こくけう)たるべき道理(だうり)である。万世(ばんせい)不磨(ふま)(だい)国教(こくけう)理想(りさう)(てき)国家(こくか)()本源(ほんげん)出発点(しゆつぱつてん)を同一にして(しか)して()国家(こくか)敷衍(ふえん)せられた――換言(くわんげん)すれば拡大(くわくだい)せられた――()()れを評言(ひやうげん)すれば、一切の国家(こくか)が一大理想(りさう)(てき)国家(こくか)種々(しゆじゆ)なる方面(はうめん)()ける顕現(けんげん)であり、表自(へうじ)であると()(うへ)からしての世界(せかい)(てき)(だい)教国(けうこく)といふべきである』
某 『(あま)(はなし)高尚(かうしやう)になつて要領(えうりやう)()ませぬが、国教(こくけう)といふものは万国(ばんこく)々々(ばんこく)歴史(れきし)なり習慣(しふくわん)なりに()つて大体(だいたい)(さだ)まつたものであつて、(その)(くに)国教(こくけう)()国家(こくか)(たい)してこそ権威(けんゐ)もあり、成立(せいりつ)意義(いぎ)もあるのであるのに、所謂(いはゆる)理想(りさう)(てき)国教(こくけう)といふのが世界(せかい)各国(かくこく)(うへ)権威(けんゐ)もあり成立(せいりつ)意義(いぎ)もあるといふは、各国(かくこく)根本(こんぽん)素因(そいん)同根(どうこん)分枝(ぶんし)神約(しんやく)であるといふ(うへ)からの(こと)(しん)じますが、日本(につぽん)国教(こくけう)――理想(りさう)(てき)国教(こくけう)(すなは)世界(せかい)国教(こくけう)である。世界(せかい)国教(こくけう)(すなは)日本(につぽん)国教(こくけう)であると()意義(いぎ)を、()らに詳細(しやうさい)(うけたまは)りたいものです』
王仁『日本(につぽん)(こく)意義(いぎ)三様(さんやう)()(かた)のあることを承知(しようち)して()いて(もら)ひたい。(すなは)(せう)日本(につぽん)(こく)極東(きよくとう)日本(につぽん)(ちう)日本(につぽん)(こく)世界(せかい)全体(ぜんたい)(だい)日本(につぽん)(こく)宇宙(うちう)全体(ぜんたい)(しか)して(せう)(ちう)(だい)の三日本(につぽん)(こく)一貫(いつくわん)不離(ふり)一糸(いつし)不乱(ふらん)脈絡(みやくらく)関係(くわんけい)(いう)し、遠津(とほつ)神代(かみよ)神約(しんやく)神誓(しんせい)(もとづ)いて、歴史(れきし)(じやう)発展(はつてん)して()たことも(まへ)()(とほ)りである。(しか)るに何時(いつ)(とき)よりか、(せう)(ちう)日本(につぽん)(こく)(うへ)離隔(りかく)反目(はんもく)()()(きた)らしめて根本(こんぽん)意義(いぎ)失墜(しつつゐ)したが(ため)に、万世(ばんせい)不磨(ふま)なる宇宙(うちう)(だい)国教(こくけう)(あや)しく変態(へんたい)(てい)して、(かれ)(これ)高卑(かうひ)差別(さべつ)(あら)はし、(いま)(ほと)んど地上(ちじやう)(しん)国家(こくか)(みと)むべき国家(こくか)なく、(しん)国教(こくけう)(みと)むべき国教(こくけう)なく、天地(てんち)冥暗(めいあん)にして百妖(ひやくえう)(かぜ)(のぞ)んで(おこ)り、人心(じんしん)敗頽(はいたい)すること(つひ)()(きよく)(たつ)した次第(しだい)である。この腐敗(ふはい)紊乱(びんらん)原因(げんいん)は、一に(しん)国家(こくか)形式(けいしき)(うしな)ひ、(しん)国教(こくけう)消滅(せうめつ)した(ゆゑ)である。現今(げんこん)各国(かくこく)(みと)めて国教(こくけう)として()るものは(しん)国教(こくけう)ではなくして、ホンの一時的の()りの国教(こくけう)である。真実(しんじつ)真正(しんせい)国教(こくけう)といふものは真実(しんじつ)真正(しんせい)国家(こくか)()存立(そんりつ)(とも)にするものであつて、古今(ここん)(つう)万邦(ばんぱう)(つらぬ)いて不変(ふへん)不動(ふどう)なるものでなければならぬ。()りの国教(こくけう)変易(へんい)して(とどま)らざるものである。(しん)国教(こくけう)千万世(せんまんせい)(わた)るとも(だん)じて一毫(いちがう)変易(へんい)なきものである』
某 『()尊厳(そんげん)なる日本(につぽん)(こく)国教(こくけう)存立(そんりつ)()くして、(かへつ)他国(たこく)()()るは()うしたものです』
王仁『(おや)()(わす)れはせぬが、()(おや)(わす)れて(しま)つた。(おや)天国(てんごく)にまします。(しか)るに子供(こども)()天国(てんごく)(もと)めずして()れを地獄(じごく)(もと)めた。(しゆ)(しゆ)よと()ぶもの(かなら)ずしも天国(てんごく)()ること(あた)はず、いかに(かみ)(ほとけ)よと()べばとて(とな)へればとて、天国(てんごく)真相(しんさう)(わか)らねば(おや)(せつ)することが出来(でき)るものでない。天国(てんごく)とは日本(につぽん)(こく)である。日本(につぽん)(こく)()らねば(しゆ)(せつ)すること(おや)出逢(であ)ふことは出来(でき)ない。各国(かくこく)国教(こくけう)(かく)(いへ)家憲(かけん)として尊重(そんちよう)すべきも、天国(てんごく)大国憲(だいこくけん)地上(ちじやう)(くだ)らねば、四海(しかい)和平(わへい)安楽界(あんらくかい)斯土(このど)出現(しゆつげん)せぬのである。(ゆゑ)国教(こくけう)国憲(こくけん)である。国憲(こくけん)地上(ちじやう)各邦(かくはう)憲法(けんぱふ)である。無限(むげん)権威者(けんゐしや)であるのである。この親権(しんけん)主権(しゆけん)(しば)らく和光(わくわう)同塵(どうぢん)して子孫(しそん)(つみ)寛容(くわんよう)(たま)うたのが、三千年(らい)地上(ちじやう)歴史(れきし)である』
某 『それでは()至厳(しげん)なる親権(しんけん)主権(しゆけん)何時(いつ)地上(ちじやう)(くだ)りますか』
王仁『今に降ります。その(とき)(はじ)めて安寧(あんねい)秩序(ちつじよ)(さまた)げるか(さまた)げぬか、(およ)日本(につぽん)臣民(しんみん)たるの義務(ぎむ)(そむ)くか(そむ)かぬかの所以(ゆゑん)明確(めいかく)になつて、()(まつた)()(わた)ります。群星(ぐんせい)(ひかり)(ことごと)(げん)じて、朝日(あさひ)太平洋(たいへいやう)(じやう)()づるわけである。世人(せじん)はウカウカとした(ゆめ)のやうな(まぼろし)のやうな国教(こくけう)云々(うんぬん)するが、それは結局(けつきよく)児戯(じぎ)である。(しん)国教論(こくけうろん)立脚地(りつきやくち)絶対(ぜつたい)(ここ)にあらねばならぬ』
某 『その(しん)国教(こくけう)如何(いか)なる順序(じゆんじよ)()(まゐ)りますか』
王仁『世界(せかい)東北(とうほく)極隅(きよくぐう)太平洋(たいへいやう)から()(まゐ)ります。旭日(あさひ)標章(へうしやう)()陣頭(ぢんとう)()つて()る。旭日(きよくじつ)(はた)意義(いぎ)が第一に解明(かいめい)されてくる。旭日(きよくじつ)は十六(しやう)菊花形(きくくわがた)です。そして当然(たうぜん)至厳(しげん)神剣(しんけん)(うしとらの)金神(こんじん))と至仁(しじん)神珠(しんじゆ)(ひつじさるの)金神(こんじん))とが(ともな)ひます。(くは)しい(こと)は、本当(ほんたう)()(かた)(もつ)皇典(くわうてん)古事記(こじき)天孫(てんそん)降臨(かうりん)(だん)と、大本(おほもと)開祖(かいそ)の二十(いう)()(ねん)(かん)神書(しんしよ)熟読(じゆくどく)熟考(じゆくかう)せられたら明快(めいくわい)判明(はんめい)します』
某 『国教(こくけう)()てくれば世界(せかい)一切の宗教(しうけう)消滅(せうめつ)しますか』
王仁『いや消滅(せうめつ)はしませぬ。(かく)宗教(しうけう)(みな)(ことごと)本来(ほんらい)真形(しんけい)本質(ほんしつ)面目(めんもく)暴露(ばくろ)して(ことごと)(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)讃美(さんび)し、各自(かくじ)本性(ほんしやう)(まも)つて信服(しんぷく)随従(ずゐじう)すること、明治(めいぢ)維新(ゐしん)封建(ほうけん)制度(せいど)(たちま)ちに(やぶ)れて大名(だいみやう)小名(せうみやう)(ことごと)陛下(へいか)赤子(せきし)たる(こと)()り、(いづ)れも(みな)信服(しんぷく)随従(ずゐじう)して()職掌(しよくしやう)(まも)つて忠誠(ちうせい)(はげ)むが(ごと)有様(ありさま)になるので()ります』
某 『それでも頑強(ぐわんきやう)宗教(しうけう)(たたかひ)(いど)(こと)()りますまいか』
王仁『それはあるかも()れないが、(しか)しそんなものは一撃(いちげき)(もと)征服(せいふく)するのです』
某 『国教(こくけう)には幾多(いくた)教式(けうしき)教条(けうでう)がありますか』
王仁『()ります。至厳(しごん)至重(しちよう)教式(けうしき)もあり、至宝(しはう)至妙(しめう)教条(けうでう)もあります。それ()(ことごと)神典(しんてん)(ぶん)(なか)秘蔵(ひざう)されて()る。いま(これ)()ふのは(はや)いが、(いづ)れは()ふべき時期(じき)到来(たうらい)します』
某 『貴下(あなた)何故(なぜ)仏説(ぶつせつ)(また)耶蘇(やそ)(けう)()()れて自説(じせつ)証明(しようめい)せられますか。日本(につぽん)国教(こくけう)独立(どくりつ)である(はず)なのに、此等(これら)(せつ)()れらるるのは(かへつ)神仏(しんぶつ)混淆(こんかう)(とう)(うたが)ひを(おこ)させる(もと)であらう。一切(ぶつ)()(はな)れて()いて(いただ)きたいが()うです』
王仁『問者(もんじや)()から()らるる(とき)は、(ある)ひは仏教(ぶつけう)とか、(ある)ひは耶蘇(やそ)(けう)とか()ふものが個立(こりつ)して()るかも()らないが、(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)(うへ)から()れば仏教(ぶつけう)もない耶蘇(やそ)(けう)もない、仏教(ぶつけう)といふものは(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)の一部を()いたもの、分類(ぶんるゐ)(てき)(つた)へたもの、傍系(ばうけい)(てき)(つた)へたもの、これより(ほか)意義(いぎ)はないのである。耶蘇(やそ)(けう)といふても()(とほ)りである。(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)(をしへ)統主(とうしゆ)であるから、仏教(ぶつけう)でも耶蘇(やそ)(けう)でも、(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)内部(ないぶ)のものであること、明治(めいぢ)王政(わうせい)維新(ゐしん)(のち)は、所謂(いはゆる)外様(とざま)大名(だいみやう)普代(ふだい)大名(だいみやう)も一に日本(につぽん)臣民(しんみん)たるに(いた)つたと同様(どうやう)である。()徳川(とくがは)(だい)(せう)(みやう)明治(めいぢ)以来(いらい)()(なか)()つなと()へば、皇室(くわうしつ)藩屏(はんぺい)(かず)(すくな)貴族院(きぞくゐん)議長(ぎちやう)()(ひと)()きを(うれ)ふるに(いた)るかも()れぬ。とかく日本(につぽん)神道家(しんだうか)胸量(きようりやう)がせまくていけない』
某 『()仏教(ぶつけう)耶蘇(やそ)(けう)従前(じうぜん)(どほ)りでよいとするならば、(べつ)(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)大本(おほもと)(をしへ)宣布(せんぷ)するの必要(ひつえう)()りますまい』
王仁『いやいや(おほ)いに必要(ひつえう)があるのである。仏教(ぶつけう)()ふのは仏教(ぶつけう)教説(けうせつ)純然(じゆんぜん)たる教理(けうり)()ふので、真言(しんごん)天台(てんだい)真宗(しんしう)日蓮(にちれん)といふやうな、宗旨(しうし)宗派(しうは)()ふのではない。普代(ふだい)外様(とざま)日本(につぽん)臣民(しんみん)であるといふのは大名(だいみやう)(その)(ひと)()ふので、普代(ふだい)外様(とざま)()(まま)にしておいて、日本(につぽん)臣民(しんみん)()てるのではない。(ゆゑ)各宗(かくしう)各派(かくは)打破(だは)せられて純粋(じゆんすゐ)位置(ゐち)(いた)つて、(のち)(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)広宣(くわうせん)流布(るふ)されるのである。(ゆゑ)に一面から()へば仏教(ぶつけう)打破(だは)である。耶蘇(やそ)(けう)全滅(ぜんめつ)である。(しか)りと(いへど)純然(じゆんぜん)たる仏教(ぶつけう)消滅(せうめつ)もしなければ、(また)耶蘇(やそ)(けう)純然(じゆんぜん)たる(をしへ)(ほろ)びはしない。(ゆゑ)吾々(われわれ)耶蘇(やそ)(けう)仏教(ぶつけう)とは()ふけれど、何々(なになに)(しう)とか、何々(なになに)()道義(だうぎ)とか()ふことは一度も()はない。法華(ほけ)(きやう)大日(だいにち)(きやう)新約(しんやく)旧約(きうやく)道教(だうけう)儒教(じゆけう)引証(いんしよう)引例(いんれい)には()げる(こと)もあるけれども、人師(じんし)論師(ろんし)立説(りつせつ)()らないのである』
某 『その純然(じゆんぜん)たる仏教(ぶつけう)とか、耶蘇(やそ)(けう)とか()ふものが(わか)らないではありませぬか、各宗(かくしう)各派(かくは)()宗派(しうは)だけが純然(じゆんぜん)たる唯一(ゆゐいつ)根本(こんぽん)のものと思惟(しゐ)して()るのではありませぬか』
王仁『至極(しごく)(もつと)もな(とひ)です。(ゆゑ)(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)日本(につぽん)神典(しんてん)主典(しゆてん)として、()主典(しゆてん)意義(いぎ)標準(へうじゆん)として各種(かくしゆ)経典(きやうてん)識別(しきべつ)せるものである。仏教(ぶつけう)にも大乗(だいじよう)あり、小乗(せうじよう)あり、顕教(けんけう)あり、密教(みつけう)あり、()(とほ)りではないが、日本(につぽん)神典(しんてん)意義(いぎ)憲法(けんぱふ)となつて一切を鑑別(かんべつ)するから、(かがみ)にかけて()らすが(ごと)きものである』
某 『日本(につぽん)神典(しんてん)主典(しゆてん)とする(こと)は、(だい)日本(につぽん)国教(こくけう)建設(けんせつ)せるものから()へば()(かく)も、仏教(ぶつけう)耶蘇(やそ)(けう)から()へば、日本(につぽん)神典(しんてん)によりて(りつ)せられねばならぬと()義務(ぎむ)はないではありませぬか』
王仁『()れは(だい)日本(につぽん)神典(しんてん)材がすると()ふよりも、()権威がするのです。(おや)()()(たい)して本来(ほんらい)親権(しんけん)があるのである。(きみ)万民(ばんみん)(たい)して本来(ほんらい)親権(しんけん)がある。(もと)より万世(ばんせい)一系の帝王(ていわう)には本来(ほんらい)()君権(くんけん)無始(むし)無終(むしう)付随(ふずゐ)して()るのである。これを権威(けんゐ)()ふのである』
某 『日本(につぽん)神典(しんてん)()うして()(やう)権威(けんゐ)がありますか』
王仁『日本(につぽん)神典(しんてん)は一切の経典(きやうてん)教説(けうせつ)(おや)である。()である。(しか)して君主(くんしゆ)であるのである。本来(ほんらい)本有(ほんいう)()関係(くわんけい)があるから、日本(につぽん)神典(しんてん)には本来(ほんらい)本有(ほんいう)(しゆ)()(しん)三権(さんけん)掌握(しやうあく)されて()るのである』
某 『左様(さやう)(こと)説明(せつめい)出来(でき)ますか』
王仁『大層(たいそう)複雑(ふくざつ)考証(かうしよう)をなす必要(ひつえう)があるけれども、現代(げんだい)人々(ひとびと)諒解(りやうかい)出来(でき)ないこともありますまい』
某 『是非(ぜひ)(うけたまは)りたいものです』
王仁『(たん)時間(じかん)にては到底(たうてい)(まを)()べることが困難(こんなん)であるが、第一仏教(ぶつけう)だが、アレは小乗(せうじよう)の一部を(のぞ)いては印度(いんど)釈迦(しやか)()いたものではない。大乗(だいじよう)()仏説(ぶつせつ)学者(がくしや)(かん)()定論(ていろん)()つてよろしい。(おほ)くの参考書(さんかうしよ)現代(げんだい)出版(しゆつぱん)されて()るから、一応読破(どくは)して()るが()い。大乗(だいじよう)仏教(ぶつけう)日本(につぽん)(こく)所産(しよさん)である。神神(かみがみ)所説(しよせつ)である。大国主(おほくにぬしの)(かみ)()説教(せつけう)天忍穂耳(あめのおしほみみの)(みこと)()説教(せつけう)との二大別があつて、密教(みつけう)()諸教(しよけう)大国主(おほくにぬし)神系(しんけい)経典(きやうてん)で、法華(ほけ)(きやう)天忍穂耳(あめのおしほみみ)神系(しんけい)である。(しか)しこんな(こと)()きかけたら際限(さいげん)がない。竜樹(りうじゆ)菩薩(ぼさつ)竜宮(りうぐう)()つて鉄塔(てつたふ)(ひら)いて大乗(だいじよう)仏教(ぶつけう)宝典(はうてん)取出(とりだ)したと()(はなし)なんぞ、非常(ひじやう)面白(おもしろ)いのだが、()れも(なが)くなる。(さいは)法華(ほけ)(きやう)日本(につぽん)神典(しんてん)直接(ちよくせつ)()いたもので、神々(かみがみ)史的(してき)記述(きじゆつ)である。(だい)日本(につぽん)史的(してき)経典(きやうてん)として非常(ひじやう)価値(かち)のあるものである。()法華(ほつけ)神典(しんてん)古事記(こじき)との比較(ひかく)研究(けんきう)なぞは(すこぶ)愉快(ゆくわい)なもので、日本(につぽん)神典(しんてん)主典(しゆてん)であつて、天上(てんじやう)天下(てんか)本来(ほんらい)根本(こんぽん)権威(けんゐ)ある(しゆ)()(しん)であることは明確(めいかく)になつてるが、これも(たん)時間(じかん)では()べられない。耶蘇(やそ)(けう)耶蘇(やそ)キリストと()実在(じつざい)人物(じんぶつ)があつたか、()うかと()問題(もんだい)幾多(いくた)学者(がくしや)によつて考証(かうしよう)論究(ろんきう)せられたのであるが、それは()(かく)として、耶蘇(やそ)(けう)根本(こんぽん)意義(いぎ)真言(しんごん)密教(みつけう)所説(しよせつ)から()たことは(あきら)かである。十字架がその()(はし)である。十字架は(ひと)(はりつけ)にする刑具(けいぐ)だと(おも)ふのは(おほ)間違(まちが)ひであつて、密教(みつけう)(もち)ゐる十字金剛(こんがう)(きね)である。約翰(ヨハネ)(でん)首章(しゆしやう)(ごと)きは密教(みつけう)()()のままに(つた)へたものである。幽玄(いうげん)なる語句(ごく)(ことごと)密教(みつけう)語法(ごはふ)経義(きやうぎ)である。これ()詳細(しやうさい)()べる必要(ひつえう)があるが、(たん)時間(じかん)では到底(たうてい)()べつくされる(はず)がない。してみると簡易(かんい)()べるべき(なに)ものも()くなる。マアこんな考証(かうしよう)他日(たじつ)再会(さいくわい)(みぎ)り、()()るお(はな)しすることにしませう』
(大正七、九、一五号 神霊界)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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