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第二章 途上(とじやう)(へん)〔五六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻 篇:第1篇 正邪奮戦 よみ(新仮名遣い):せいじゃふんせん
章:第2章 途上の変 よみ(新仮名遣い):とじょうのへん 通し章番号:569
口述日:1922(大正11)年04月01日(旧03月05日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
田加彦と百舌彦は、顕恩郷を治める婆羅門教の鬼雲彦の軍勢を恐れるが、太玉命は一笑に付し、舟を用意させて一同渡河することとなった。
向こう岸からは雨のように矢が降り注ぎ、百舌彦は胸を射抜かれて水中に倒れ落ちた。田加彦は驚いて河中に身を躍らせてしまった。船頭を失った舟は岩に激突し、宣伝使たちは河に投げ出されてしまった。
太玉命は一人、顕恩郷の川岸に流れ着き、宣伝歌を歌いながら顕恩郷内に進んで行く。すると闇の中に大火光が落下し、一人の容貌端麗なる神人が電光のような火気を放出しながら現れた。
神は、天照大神の第四子・活津彦根神と名乗った。そして、たったひとり婆羅門教の根拠に進み来るのは無謀の極みであり、引き返すように、と太玉命に警告した。
太玉命は、大神より委託された任務をあくまで遂行する決意を表し、それを引き留めようとする神は悪神の変化であろう、と厳しく問い詰めた。活津彦根神は汝の勝手にするがよい、と言い残して消えてしまった。
続いて、鳶彦が手下の一隊を引き連れて太玉命を取り囲み、襲い掛かるが、太玉命は懐より太玉串を取り出して左右左に打ち振ると、幻影のように消えてしまった。
さらに、悪神は命の妻子の幻影を現し、松代姫と照妙姫が婆羅門教のとりこになったかのように装い、情を持って命の顕恩郷侵入を思いとどまらせようとした。しかし命は、松代姫や照妙姫が、敵のとりこになって自分の情けを当てにするような卑怯な言動はありえない、として悪神の計略を見破り、太玉串を打ち振ると、活津彦根神が現れて幻影を消し去った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-01-16 01:17:51 OBC :rm1502
愛善世界社版:19頁 八幡書店版:第3輯 287頁 修補版: 校定版:19頁 普及版:8頁 初版: ページ備考:
001 太玉(ふとたまの)(みこと)002安彦(やすひこ)003国彦(くにひこ)004道彦(みちひこ)河向(かはむか)ふの騒々(さうざう)しき物音(ものおと)(かうべ)(かたむ)(しば)らく思案(しあん)()れけるが、
005太玉(ふとたまの)(みこと)田加彦(たかひこ)006百舌彦(もずひこ)007その(はう)顕恩郷(けんおんきやう)様子(やうす)熟知(じゆくち)するものならむ、008()騒々(さうざう)しき物音(ものおと)何物(なにもの)なるか、009逐一(ちくいち)陳弁(ちんべん)せよ』
010百舌彦(もずひこ)『あの物音(ものおと)(さつ)する(ところ)011顕恩郷(けんおんきやう)大将(たいしやう)鬼雲彦(おにくもひこ)部下(ぶか)軍勢(ぐんぜい)012此方(こなた)(むか)つて()(きた)り、013貴下(きか)()召捕(めしと)らむとの計画(けいくわく)なるべし。014(いち)()(はや)(われ)()(たす)け、015(この)()()退()(たま)へ。016三五教(あななひけう)神司(かむつかさ)ともあるべき(おん)()()もなき邪神(じやしん)(ほろ)ぼされむは心許(こころもと)なし、017(はや)(この)()を』
018(しき)りに(うなが)す。
019道彦(みちひこ)『ナニ、020(てき)()(ほこ)(をさ)め、021(はた)()いておめおめと遁走(とんそう)するは男子(だんし)本分(ほんぶん)(あら)ず。022(われ)()には退却(たいきやく)二字(にじ)なし、023(ただ)(すすむ)一字(いちじ)あるのみ。024如何(いか)なる強敵(きやうてき)(あら)はれ(きた)るとも(われ)()(かみ)愛護(あいご)により()めず(おく)せず、025ステツプを(すす)めて(てき)牙城(がじやう)進撃(しんげき)せむ。026生死(せいし)勝敗(しようはい)()(ところ)(あら)ず』
027(いさ)みの顔色(がんしよく)物凄(ものすご)し。
028安彦(やすひこ)『ヤア(てき)先鋒隊(せんぽうたい)(あり)(ごと)黒山(くろやま)(きづ)(むか)(ぎし)(あら)はれたり。029サア(これ)からは吾々(われわれ)神力(しんりき)(ため)時節(じせつ)到来(たうらい)030田加彦(たかひこ)031百舌彦(もずひこ)032(ふね)用意(ようい)をせよ』
033百舌彦(もずひこ)(ふね)用意(ようい)何時(いつ)でも出来(でき)()ますが御覧(ごらん)(とほ)りの大敵(たいてき)034仮令(たとへ)鬼神(きしん)(ひし)神勇(しんゆう)ありとも多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)035殊更(ことさら)味方(みかた)()寸鉄(すんてつ)()びず、036(てき)凡有(あらゆる)精鋭(せいえい)武器(ぶき)()つて()()(きた)る、037勝敗(しようはい)(すう)(たたか)はずして(あきら)かなり。038(とき)(うつ)さば(かれ)()(この)濁流(だくりう)(わた)(われ)()生捕(いけどり)にせむは()()るよりも(あきらか)なり。039退(しりぞ)いて(おもむろ)(さく)(かう)じ、040捲土(けんど)重来(ぢうらい)()()たせ(たま)へ』
041 太玉(ふとたまの)(みこと)大口(おほぐち)()けて高笑(たかわら)ひ、
042太玉(ふとたまの)(みこと)『アハヽヽヽ、043(うん)(てん)にあり、044(われ)善言(ぜんげん)美詞(びし)言霊(ことたま)(ちから)(もつ)て、045()()(てき)(かた)(ぱし)から言向和(ことむけやは)し、046(むかし)顕恩郷(けんおんきやう)回復(くわいふく)せむ。047(さき)んずれば(ひと)(せい)するとかや、048(この)()(およ)んで躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)するは()神慮(しんりよ)(はん)す』
049()ふより(はや)()(をど)らして(ふね)()()んだ。050()(にん)()むを()太玉(ふとたまの)(みこと)()いて船中(せんちう)(ひと)となつた。051さしもに(ひろ)きエデンの(かは)(ほとん)中流(ちうりう)(すす)みし(とき)052向岸(むかふぎし)より(あめ)()()急箭(きふせん)百舌彦(もずひこ)(むね)射抜(いぬ)かれ(たちま)水中(すゐちう)顛落(てんらく)した。053田加彦(たかひこ)(この)(てい)()(おほい)(おどろ)き、054ザンブと(ばか)水中(すゐちう)()(をど)らして()()んだ。055(のこ)()(にん)宣伝使(せんでんし)(この)(かは)水心(みづごころ)()らず、056(ふね)(たちま)(なが)れのまにまに下方(かはう)(むか)つて濁流(だくりう)()されて()()(ごと)(なが)()く。057(てき)()(あめ)(ごと)(そそ)(きた)る。058(たちま)(ふね)河中(かちう)岩石(がんせき)衝突(しようとつ)木葉(こつぱ)微塵(みぢん)粉砕(ふんさい)された。
059 太玉(ふとたまの)(みこと)(から)うじて向岸(むかふぎし)()いた。060安彦(やすひこ)061国彦(くにひこ)062道彦(みちひこ)濁流(だくりう)()まれた(まま)行衛(ゆくゑ)不明(ふめい)となつて仕舞(しま)つた。063嗚呼(ああ)(さん)(にん)運命(うんめい)如何(いか)に?
064 太玉(ふとたまの)(みこと)()れたる(ころも)(しぼ)()(かわ)かし、065悠々(いういう)として宣伝歌(せんでんか)(うた)顕恩郷(けんおんきやう)(てき)巣窟(そうくつ)(むか)つて単騎(たんき)進入(しんにふ)するのであつた。066()西山(せいざん)(かたむ)いて黄昏(たそがれ)(そら)(くら)一点(いつてん)(ほし)さへ()えぬ闇夜(やみよ)刻々(こくこく)身辺(しんぺん)(つつ)んで()た。067宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(やみ)()うて遠近(ゑんきん)(ひび)(わた)る。068(この)(とき)天地(てんち)()るる(ばか)りの音響(おんきやう)(きこ)ゆると()()眼前(がんぜん)落下(らくか)した大火光(だいくわくわう)がある。069不図(ふと)()れば眉目(びもく)清秀(せいしう)容貌(ようばう)端麗(たんれい)なる一柱(ひとり)神人(しんじん)070身体(からだ)より電光(でんくわう)(ごと)火気(くわき)放出(はうしゆつ)(なが)太玉(ふとたまの)(みこと)(むか)ひ、
071神人(われ)天照(あまてらす)大神(おほかみ)第四(だいし)御子(みこ)072活津(いくつ)彦根(ひこねの)(かみ)なり。073(なんぢ)大胆(だいたん)にも唯一人(ただひとり)悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)婆羅門(ばらもん)根拠(こんきよ)進入(しんにふ)(きた)(こと)074無謀(むぼう)(きは)みなり。075岩石(がんせき)(いだ)いて海中(かいちう)(とう)ずるよりも(あやふ)し。076(いち)()(はや)く、077もと()(みち)引返(ひきかへ)せよ』
078太玉(ふとたまの)(みこと)(なんぢ)活津(いくつ)彦根(ひこねの)(かみ)とは(まつた)くの(いつは)りならむ。079鬼雲彦(おにくもひこ)憑依(ひようい)する八岐(やまた)大蛇(をろち)変化(へんげ)金毛(きんまう)九尾(きうび)変身(へんしん)か、080悪鬼(あくき)変化(へんげ)ならむ。081(われ)(いやし)くも大神(おほかみ)神使(しんし)082この顕恩郷(けんおんきやう)をして(むかし)天国(てんごく)楽土(らくど)復帰(ふくき)せしむるは(わが)大神(おほかみ)より委託(ゐたく)されたる一大(いちだい)使命(しめい)なり。083不幸(ふかう)にして神軍(しんぐん)()()らずとも、084そは天命(てんめい)なり、085()らざる(かま)()()(みみ)()たぬ』
086(やみ)(みち)一目散(いちもくさん)前進(ぜんしん)する。087活津(いくつ)彦根(ひこねの)(かみ)は、
088活津彦根神(しか)らば(なんぢ)勝手(かつて)にせよ』
089()ふかと()れば姿(すがた)(たちま)()えて、090(やま)尾上(をのへ)(わた)(あらし)(おと)のザワザワと(きこ)ゆるのみなり。091太玉(ふとたまの)(みこと)(やうや)(やみ)()れ、092朧気(おぼろげ)(なが)らも(さぐ)(さぐ)(すす)(こと)()た。
093 この(とき)(くも)(とびら)(ひら)いて十三夜(じふさんや)(つき)(かがや)(はじ)めた。094太玉(ふとたまの)(みこと)(てき)城砦(じやうさい)()して(また)もや宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつ(すす)()く。095(むか)ふの(はう)より数十(すうじふ)(くろ)(かげ)(あら)はれ(きた)り、096前後(ぜんご)左右(さいう)より一柱(ひとり)太玉(ふとたまの)(みこと)()(かこ)み、
097鳶彦(とびひこ)『ヤア(われ)こそは大国別(おほくにわけ)(みこと)従者(じゆうしや)にして、098鳶彦(とびひこ)()顕恩郷(けんおんきやう)きつてのヒーロー豪傑(がうけつ)099(なんぢ)無謀(むぼう)にも(ただ)一柱(ひとり)顕恩郷(けんおんきやう)(すす)(きた)るとは生命(いのち)()らずの(おほ)馬鹿者(ばかもの)100サア尋常(じんじやう)()(まは)せ』
101()ふより(はや)(やり)切突(きつさき)月光(げつくわう)(ひらめ)かし(なが)四方(しはう)よりつめ(かけ)(きた)る。102進退(しんたい)(これ)(きはま)りし太玉(ふとたまの)(みこと)懐中(くわいちう)より()(みじか)太玉串(ふとたまぐし)()()し、103左右左(さいうさ)()()れば(あに)(はか)らむや鳶彦(とびひこ)以下(いか)黒影(くろかげ)(ぬぐ)ふが(ごと)()()せて(ちり)だにも(とど)めざりける。
104太玉(ふとたまの)(みこと)『アハヽヽヽ、105何事(なにごと)悪神(あくがみ)計画(たくみ)()くの(ごと)(もろ)きものだ、106()所持(しよぢ)する太玉串(ふとたまぐし)神力(しんりき)()つて()くも()()せたるか。107アヽ有難(ありがた)有難(ありがた)い、108三五教(あななひけう)大神(おほかみ)!』
109大地(だいち)平伏(へいふく)してその神恩(しんおん)感謝(かんしや)するのであつた。110太玉(ふとたまの)(みこと)不図(ふと)(かうべ)()ぐれば()はそも如何(いか)に、111コーカス(さん)(のこ)()きたる(つま)112松代姫(まつよひめ)(はじ)めエデンの(その)(まも)最愛(さいあい)一人娘(ひとりむすめ)113照妙姫(てるたへひめ)高手(たかて)小手(こて)(いま)しめられ猿轡(さるぐつわ)()まされ、114(おに)(ごと)番卒(ばんそつ)数多(あまた)()()てられ(みこと)(まへ)萎々(しをしを)(やや)()()()ちに(とほ)()ぎむとす。115太玉(ふとたまの)(みこと)はハツと(おどろ)き、116二人(ふたり)(かほ)(いき)()らし()見張(みは)(なが)めて()た。117松代姫(まつよひめ)118照妙姫(てるたへひめ)猿轡(さるぐつわ)()められたる()めにや、119此方(こなた)(むか)つて()(しばたた)き、120何事(なにごと)(うつた)ふるものの(ごと)くであつた。121この(とき)黒頭巾(くろづきん)(かぶ)りたる(だい)(をとこ)122田蠑(たにし)(ごと)()()()し、
123『ヤア(その)(はう)三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)太玉(ふとたまの)(みこと)(あら)ずや、124(なんぢ)(すみやか)(この)(かは)(わた)(ふたた)顕恩郷(けんおんきやう)(うかが)はざるに(おい)ては(なんぢ)妻子(さいし)(ゆる)(つか)はさむ。125(これ)にも(くつ)せず益々(ますます)顕恩郷(けんおんきやう)(むか)つて進入(しんにふ)するに(おい)ては、126(なんぢ)最愛(さいあい)妻子(さいし)(いま)(この)()(おい)嬲殺(なぶりごろ)しにして()れむ、127返答(へんたふ)如何(いか)に』
128太玉(ふとたまの)(みこと)『サアそれは……』
129(をとこ)『サア、130サア如何(どう)じや、131返答(へんたふ)()かせ』
132太玉(ふとたまの)(みこと)『サア、133それは……』
134(をとこ)『サア、135サアサア』
136掛合(かけあ)ふ。137この(とき)如何(いかが)しけむ、138松代姫(まつよひめ)猿轡(さるぐつわ)はサラリと()けた。
139松代姫(まつよひめ)『ヤア貴方(あなた)(あが)(をつと)太玉(ふとたまの)(みこと)(おは)さずや、140(わらは)(いま)やバラモン(けう)兇徒(きようと)(とら)へられ、141無限(むげん)()()(いま)(また)()くの(ごと)憂目(うきめ)()ふ。142如何(いか)(をつと)にして勇猛(ゆうまう)絶倫(ぜつりん)(おは)せばとて、143顕恩郷(けんおんきやう)には鬼雲彦(おにくもひこ)(はじ)め、144無数(むすう)強神(きやうしん)綺羅星(きらぼし)(ごと)(かた)(まも)()れば到底(たうてい)衆寡(しうくわ)(てき)せず(いち)()(はや)自我心(じがしん)()り、145当郷(たうきやう)退却(たいきやく)(わらは)母子(おやこ)(いのち)(すく)はせ(たま)へ』
146とワツと(ばか)りに()()しにける。147照妙姫(てるたへひめ)猿轡(さるぐつわ)如何(いかが)しけむバラバラと()けたりける。
148照妙姫(てるたへひめ)『アヽ(こひ)しき父上(ちちうへ)(さま)149(わらは)(てき)()めに無限(むげん)()()め、150(たと)(かた)なき侮辱(ぶじよく)()悲哀(ひあい)(しづ)(いま)境遇(きやうぐう)151何卒(どうぞ)妻子(つまこ)をお(すく)(くだ)さいませ』
152(また)もや(その)()()(たふ)るるにぞ、153太玉(ふとたまの)(みこと)合点(がてん)()かずと双手(もろて)()(やや)少時(しばし)思案(しあん)()れて()た。154松代姫(まつよひめ)155照妙姫(てるたへひめ)(しき)りに両手(りやうて)(あは)せ、
156松代姫、照妙姫(わが)(をつと)よ、157(わが)(ちち)よ、158(いち)()(はや)貴方(あなた)()()り、159バラモン(けう)(めい)(したが)(わらは)(たす)けて(この)顕恩郷(けんおんきやう)退()かせ(たま)へ』
160前後(ぜんご)より(みこと)()(すが)()(さけ)びける。
161(をとこ)『サア、162太玉(ふとたまの)(みこと)163(なんぢ)所持(しよぢ)する太玉串(ふとたまぐし)(われ)()(わた)降参(かうさん)(いた)せば、164(なんぢ)妻子(さいし)生命(いのち)(たす)けて(つか)はす。165如何(どう)じや、166妻子(さいし)(ころ)され吾身(わがみ)()てても(かみ)(みち)(すす)まむとするか、167返答(へんたふ)()かせ』
168()(かけ)る。169太玉(ふとたまの)(みこと)(こころ)(おも)(やう)
170太玉命焼野(やけの)雉子(きぎす)171(よる)(つる)172()(あはれ)まざるはなしと()く、173()して最愛(さいあい)(つま)諸共(もろとも)非業(ひがう)最後(さいご)()ぐるをみすみす見捨(みす)てて敵城(てきじやう)(すす)むは如何(いか)神命(しんめい)なればとて(しの)(がた)し。174さりながら松代姫(まつよひめ)()くの(ごと)悪魔(あくま)にオメオメと捕縛(ほばく)せらるるが(ごと)卑怯者(ひけふもの)(あら)ず。175(また)()(むすめ)照妙姫(てるたへひめ)はかかる女々(めめ)しき(げん)()(むすめ)(あら)ず、176まさしく(これ)妖怪(えうくわい)変化(へんげ)所為(しよゐ)ならむ』
177(また)もや神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、178太玉串(ふとたまぐし)懐中(くわいちう)より()()して左右左(さいうさ)()()つた。179(たちま)雷鳴(らいめい)(とどろ)電光(でんくわう)石火(せきくわ)180四辺(あたり)(まばゆ)以前(いぜん)神人(しんじん)(この)()(くだ)(きた)るよと()()松代姫(まつよひめ)181照妙姫(てるたへひめ)(はじ)数多(あまた)(てき)(かげ)(けぶり)(ごと)()()せ、182野路(のぢ)()(わた)(かぜ)(おと)のみザワザワと(きこ)ゆるのであつた。
183太玉(ふとたまの)(みこと)『アハヽヽヽ、184(また)(だま)しやがつたな』
185大正一一・四・一 旧三・五 北村隆光録)

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