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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第15巻(寅の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 正邪奮戦
第1章 破羅門
第2章 途上の変
第3章 十六花
第4章 神の栄光
第5章 五天狗
第6章 北山川
第7章 釣瓶攻
第8章 ウラナイ教
第9章 薯蕷汁
第10章 神楽舞
第2篇 古事記言霊解
第11章 大蛇退治の段
第3篇 神山霊水
第12章 一人旅
第13章 神女出現
第14章 奇の岩窟
第15章 山の神
第16章 水上の影
第17章 窟の酒宴
第18章 婆々勇
第4篇 神行霊歩
第19章 第一天国
第20章 五十世紀
第21章 帰顕
第22章 和と戦
第23章 八日の月
跋文
余白歌
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> 第1篇 正邪奮戦 > 第2章 途上の変
<<< 破羅門
(B)
(N)
十六花 >>>
第二章
途上
(
とじやう
)
の
変
(
へん
)
〔五六九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
篇:
第1篇 正邪奮戦
よみ(新仮名遣い):
せいじゃふんせん
章:
第2章 途上の変
よみ(新仮名遣い):
とじょうのへん
通し章番号:
569
口述日:
1922(大正11)年04月01日(旧03月05日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
田加彦と百舌彦は、顕恩郷を治める婆羅門教の鬼雲彦の軍勢を恐れるが、太玉命は一笑に付し、舟を用意させて一同渡河することとなった。
向こう岸からは雨のように矢が降り注ぎ、百舌彦は胸を射抜かれて水中に倒れ落ちた。田加彦は驚いて河中に身を躍らせてしまった。船頭を失った舟は岩に激突し、宣伝使たちは河に投げ出されてしまった。
太玉命は一人、顕恩郷の川岸に流れ着き、宣伝歌を歌いながら顕恩郷内に進んで行く。すると闇の中に大火光が落下し、一人の容貌端麗なる神人が電光のような火気を放出しながら現れた。
神は、天照大神の第四子・活津彦根神と名乗った。そして、たったひとり婆羅門教の根拠に進み来るのは無謀の極みであり、引き返すように、と太玉命に警告した。
太玉命は、大神より委託された任務をあくまで遂行する決意を表し、それを引き留めようとする神は悪神の変化であろう、と厳しく問い詰めた。活津彦根神は汝の勝手にするがよい、と言い残して消えてしまった。
続いて、鳶彦が手下の一隊を引き連れて太玉命を取り囲み、襲い掛かるが、太玉命は懐より太玉串を取り出して左右左に打ち振ると、幻影のように消えてしまった。
さらに、悪神は命の妻子の幻影を現し、松代姫と照妙姫が婆羅門教のとりこになったかのように装い、情を持って命の顕恩郷侵入を思いとどまらせようとした。しかし命は、松代姫や照妙姫が、敵のとりこになって自分の情けを当てにするような卑怯な言動はありえない、として悪神の計略を見破り、太玉串を打ち振ると、活津彦根神が現れて幻影を消し去った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-16 01:17:51
OBC :
rm1502
愛善世界社版:
19頁
八幡書店版:
第3輯 287頁
修補版:
校定版:
19頁
普及版:
8頁
初版:
ページ備考:
001
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
、
002
安彦
(
やすひこ
)
、
003
国彦
(
くにひこ
)
、
004
道彦
(
みちひこ
)
は
河向
(
かはむか
)
ふの
騒々
(
さうざう
)
しき
物音
(
ものおと
)
に
頭
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
け
暫
(
しば
)
らく
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れけるが、
005
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『
田加彦
(
たかひこ
)
、
006
百舌彦
(
もずひこ
)
、
007
その
方
(
はう
)
は
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
の
様子
(
やうす
)
を
熟知
(
じゆくち
)
するものならむ、
008
彼
(
か
)
の
騒々
(
さうざう
)
しき
物音
(
ものおと
)
は
何物
(
なにもの
)
なるか、
009
逐一
(
ちくいち
)
陳弁
(
ちんべん
)
せよ』
010
百舌彦
(
もずひこ
)
『あの
物音
(
ものおと
)
は
察
(
さつ
)
する
処
(
ところ
)
、
011
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
の
大将
(
たいしやう
)
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
部下
(
ぶか
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
、
012
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
り、
013
貴下
(
きか
)
等
(
ら
)
を
召捕
(
めしと
)
らむとの
計画
(
けいくわく
)
なるべし。
014
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
助
(
たす
)
け、
015
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
き
給
(
たま
)
へ。
016
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
ともあるべき
御
(
おん
)
身
(
み
)
が
名
(
な
)
もなき
邪神
(
じやしん
)
に
亡
(
ほろ
)
ぼされむは
心許
(
こころもと
)
なし、
017
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を』
018
と
頻
(
しき
)
りに
促
(
うなが
)
す。
019
道彦
(
みちひこ
)
『ナニ、
020
敵
(
てき
)
を
看
(
み
)
て
矛
(
ほこ
)
を
収
(
をさ
)
め、
021
旗
(
はた
)
を
捲
(
ま
)
いて
おめ
おめと
遁走
(
とんそう
)
するは
男子
(
だんし
)
の
本分
(
ほんぶん
)
に
非
(
あら
)
ず。
022
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
には
退却
(
たいきやく
)
の
二字
(
にじ
)
なし、
023
只
(
ただ
)
進
(
すすむ
)
の
一字
(
いちじ
)
あるのみ。
024
如何
(
いか
)
なる
強敵
(
きやうてき
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
るとも
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
愛護
(
あいご
)
により
怯
(
お
)
めず
臆
(
おく
)
せず、
025
ステツプを
進
(
すす
)
めて
敵
(
てき
)
の
牙城
(
がじやう
)
に
進撃
(
しんげき
)
せむ。
026
生死
(
せいし
)
勝敗
(
しようはい
)
は
問
(
と
)
ふ
処
(
ところ
)
に
非
(
あら
)
ず』
027
と
勇
(
いさ
)
みの
顔色
(
がんしよく
)
物凄
(
ものすご
)
し。
028
安彦
(
やすひこ
)
『ヤア
敵
(
てき
)
の
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
は
蟻
(
あり
)
の
如
(
ごと
)
く
黒山
(
くろやま
)
を
築
(
きづ
)
き
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
に
現
(
あら
)
はれたり。
029
サア
之
(
これ
)
からは
吾々
(
われわれ
)
が
神力
(
しんりき
)
を
試
(
ため
)
す
時節
(
じせつ
)
の
到来
(
たうらい
)
、
030
田加彦
(
たかひこ
)
、
031
百舌彦
(
もずひこ
)
、
032
船
(
ふね
)
の
用意
(
ようい
)
をせよ』
033
百舌彦
(
もずひこ
)
『
船
(
ふね
)
の
用意
(
ようい
)
は
何時
(
いつ
)
でも
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ますが
御覧
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
りの
大敵
(
たいてき
)
、
034
仮令
(
たとへ
)
鬼神
(
きしん
)
を
挫
(
ひし
)
ぐ
神勇
(
しんゆう
)
ありとも
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
、
035
殊更
(
ことさら
)
味方
(
みかた
)
は
身
(
み
)
に
寸鉄
(
すんてつ
)
を
帯
(
お
)
びず、
036
敵
(
てき
)
は
凡有
(
あらゆる
)
精鋭
(
せいえい
)
の
武器
(
ぶき
)
を
持
(
も
)
つて
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る、
037
勝敗
(
しようはい
)
の
数
(
すう
)
戦
(
たたか
)
はずして
明
(
あきら
)
かなり。
038
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
さば
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
此
(
この
)
濁流
(
だくりう
)
を
渡
(
わた
)
り
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
生捕
(
いけどり
)
にせむは
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るよりも
瞭
(
あきらか
)
なり。
039
退
(
しりぞ
)
いて
徐
(
おもむろ
)
に
策
(
さく
)
を
講
(
かう
)
じ、
040
捲土
(
けんど
)
重来
(
ぢうらい
)
の
期
(
き
)
を
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へ』
041
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ、
042
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『アハヽヽヽ、
043
運
(
うん
)
は
天
(
てん
)
にあり、
044
吾
(
われ
)
は
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
を
以
(
もつ
)
て、
045
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
言向和
(
ことむけやは
)
し、
046
昔
(
むかし
)
の
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
回復
(
くわいふく
)
せむ。
047
先
(
さき
)
んずれば
人
(
ひと
)
を
制
(
せい
)
するとかや、
048
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
躊躇
(
ちうちよ
)
逡巡
(
しゆんじゆん
)
するは
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
に
反
(
はん
)
す』
049
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
船
(
ふね
)
に
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ。
050
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
に
従
(
つ
)
いて
船中
(
せんちう
)
の
人
(
ひと
)
となつた。
051
さしもに
広
(
ひろ
)
きエデンの
河
(
かは
)
の
殆
(
ほとん
)
ど
中流
(
ちうりう
)
に
進
(
すす
)
みし
時
(
とき
)
、
052
向岸
(
むかふぎし
)
より
雨
(
あめ
)
と
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
急箭
(
きふせん
)
に
百舌彦
(
もずひこ
)
は
胸
(
むね
)
を
射抜
(
いぬ
)
かれ
忽
(
たちま
)
ち
水中
(
すゐちう
)
に
顛落
(
てんらく
)
した。
053
田加彦
(
たかひこ
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
大
(
おほい
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
054
ザンブと
許
(
ばか
)
り
水中
(
すゐちう
)
に
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ。
055
残
(
のこ
)
り
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
此
(
この
)
河
(
かは
)
の
水心
(
みづごころ
)
を
知
(
し
)
らず、
056
船
(
ふね
)
は
忽
(
たちま
)
ち
流
(
なが
)
れのまにまに
下方
(
かはう
)
に
向
(
むか
)
つて
濁流
(
だくりう
)
に
押
(
お
)
されて
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
流
(
なが
)
れ
行
(
ゆ
)
く。
057
敵
(
てき
)
の
矢
(
や
)
は
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
く
注
(
そそ
)
ぎ
来
(
きた
)
る。
058
忽
(
たちま
)
ち
船
(
ふね
)
は
河中
(
かちう
)
の
岩石
(
がんせき
)
に
衝突
(
しようとつ
)
し
木葉
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
に
粉砕
(
ふんさい
)
された。
059
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
辛
(
から
)
うじて
向岸
(
むかふぎし
)
に
着
(
つ
)
いた。
060
安彦
(
やすひこ
)
、
061
国彦
(
くにひこ
)
、
062
道彦
(
みちひこ
)
は
濁流
(
だくりう
)
に
呑
(
の
)
まれた
儘
(
まま
)
行衛
(
ゆくゑ
)
不明
(
ふめい
)
となつて
仕舞
(
しま
)
つた。
063
嗚呼
(
ああ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
運命
(
うんめい
)
は
如何
(
いか
)
に?
064
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
濡
(
ぬ
)
れたる
衣
(
ころも
)
を
絞
(
しぼ
)
り
日
(
ひ
)
に
乾
(
かわ
)
かし、
065
悠々
(
いういう
)
として
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
の
敵
(
てき
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
に
向
(
むか
)
つて
単騎
(
たんき
)
進入
(
しんにふ
)
するのであつた。
066
日
(
ひ
)
は
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
いて
黄昏
(
たそがれ
)
の
空
(
そら
)
暗
(
くら
)
く
一点
(
いつてん
)
の
星
(
ほし
)
さへ
見
(
み
)
えぬ
闇夜
(
やみよ
)
は
刻々
(
こくこく
)
と
身辺
(
しんぺん
)
を
包
(
つつ
)
んで
来
(
き
)
た。
067
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
は
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
うて
遠近
(
ゑんきん
)
に
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
る。
068
此
(
この
)
時
(
とき
)
天地
(
てんち
)
も
割
(
わ
)
るる
許
(
ばか
)
りの
音響
(
おんきやう
)
聞
(
きこ
)
ゆると
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
眼前
(
がんぜん
)
に
落下
(
らくか
)
した
大火光
(
だいくわくわう
)
がある。
069
不図
(
ふと
)
見
(
み
)
れば
眉目
(
びもく
)
清秀
(
せいしう
)
容貌
(
ようばう
)
端麗
(
たんれい
)
なる
一柱
(
ひとり
)
の
神人
(
しんじん
)
、
070
身体
(
からだ
)
より
電光
(
でんくわう
)
の
如
(
ごと
)
き
火気
(
くわき
)
を
放出
(
はうしゆつ
)
し
乍
(
なが
)
ら
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
に
向
(
むか
)
ひ、
071
神人
『
吾
(
われ
)
は
天照
(
あまてらす
)
大神
(
おほかみ
)
の
第四
(
だいし
)
の
御子
(
みこ
)
、
072
活津
(
いくつ
)
彦根
(
ひこねの
)
神
(
かみ
)
なり。
073
汝
(
なんぢ
)
大胆
(
だいたん
)
にも
唯一人
(
ただひとり
)
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
婆羅門
(
ばらもん
)
が
根拠
(
こんきよ
)
に
進入
(
しんにふ
)
し
来
(
きた
)
る
事
(
こと
)
、
074
無謀
(
むぼう
)
の
極
(
きは
)
みなり。
075
岩石
(
がんせき
)
を
抱
(
いだ
)
いて
海中
(
かいちう
)
に
投
(
とう
)
ずるよりも
危
(
あやふ
)
し。
076
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く、
077
もと
来
(
き
)
し
道
(
みち
)
へ
引返
(
ひきかへ
)
せよ』
078
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『
汝
(
なんぢ
)
は
活津
(
いくつ
)
彦根
(
ひこねの
)
神
(
かみ
)
とは
全
(
まつた
)
くの
詐
(
いつは
)
りならむ。
079
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
に
憑依
(
ひようい
)
する
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
変化
(
へんげ
)
か
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
変身
(
へんしん
)
か、
080
悪鬼
(
あくき
)
の
変化
(
へんげ
)
ならむ。
081
吾
(
われ
)
は
苟
(
いやし
)
くも
大神
(
おほかみ
)
の
神使
(
しんし
)
、
082
この
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
をして
昔
(
むかし
)
の
天国
(
てんごく
)
楽土
(
らくど
)
に
復帰
(
ふくき
)
せしむるは
吾
(
わが
)
大神
(
おほかみ
)
より
委託
(
ゐたく
)
されたる
一大
(
いちだい
)
使命
(
しめい
)
なり。
083
不幸
(
ふかう
)
にして
神軍
(
しんぐん
)
利
(
り
)
有
(
あ
)
らずとも、
084
そは
天命
(
てんめい
)
なり、
085
要
(
い
)
らざる
構
(
かま
)
ひ
立
(
だ
)
て
聞
(
き
)
く
耳
(
みみ
)
持
(
も
)
たぬ』
086
と
暗
(
やみ
)
の
道
(
みち
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
前進
(
ぜんしん
)
する。
087
活津
(
いくつ
)
彦根
(
ひこねの
)
神
(
かみ
)
は、
088
活津彦根神
『
然
(
しか
)
らば
汝
(
なんぢ
)
の
勝手
(
かつて
)
にせよ』
089
と
云
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ち
消
(
き
)
えて、
090
山
(
やま
)
の
尾上
(
をのへ
)
を
渡
(
わた
)
る
嵐
(
あらし
)
の
音
(
おと
)
のザワザワと
聞
(
きこ
)
ゆるのみなり。
091
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
漸
(
やうや
)
く
暗
(
やみ
)
に
慣
(
な
)
れ、
092
朧気
(
おぼろげ
)
乍
(
なが
)
らも
探
(
さぐ
)
り
探
(
さぐ
)
り
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
093
この
時
(
とき
)
雲
(
くも
)
の
扉
(
とびら
)
を
開
(
ひら
)
いて
十三夜
(
じふさんや
)
の
月
(
つき
)
は
輝
(
かがや
)
き
初
(
はじ
)
めた。
094
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
敵
(
てき
)
の
城砦
(
じやうさい
)
を
指
(
さ
)
して
又
(
また
)
もや
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
095
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
より
数十
(
すうじふ
)
の
黒
(
くろ
)
き
影
(
かげ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
096
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
一柱
(
ひとり
)
の
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
を
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
み、
097
鳶彦
(
とびひこ
)
『ヤア
我
(
われ
)
こそは
大国別
(
おほくにわけ
)
の
命
(
みこと
)
の
従者
(
じゆうしや
)
にして、
098
鳶彦
(
とびひこ
)
と
言
(
い
)
ふ
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
きつてのヒーロー
豪傑
(
がうけつ
)
、
099
汝
(
なんぢ
)
無謀
(
むぼう
)
にも
唯
(
ただ
)
一柱
(
ひとり
)
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
るとは
生命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずの
大
(
おほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
、
100
サア
尋常
(
じんじやう
)
に
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
せ』
101
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
槍
(
やり
)
の
切突
(
きつさき
)
を
月光
(
げつくわう
)
に
閃
(
ひらめ
)
かし
乍
(
なが
)
ら
四方
(
しはう
)
よりつめ
掛
(
かけ
)
来
(
きた
)
る。
102
進退
(
しんたい
)
維
(
これ
)
谷
(
きはま
)
りし
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
懐中
(
くわいちう
)
より
柄
(
え
)
の
短
(
みじか
)
き
太玉串
(
ふとたまぐし
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し、
103
左右左
(
さいうさ
)
と
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
れば
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや
鳶彦
(
とびひこ
)
以下
(
いか
)
の
黒影
(
くろかげ
)
は
拭
(
ぬぐ
)
ふが
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
塵
(
ちり
)
だにも
留
(
とど
)
めざりける。
104
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『アハヽヽヽ、
105
何事
(
なにごと
)
も
悪神
(
あくがみ
)
の
計画
(
たくみ
)
は
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
脆
(
もろ
)
きものだ、
106
吾
(
わ
)
が
所持
(
しよぢ
)
する
太玉串
(
ふとたまぐし
)
の
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
つて
斯
(
か
)
くも
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せたるか。
107
アヽ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い、
108
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
!』
109
と
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
へいふく
)
してその
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
するのであつた。
110
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
不図
(
ふと
)
頭
(
かうべ
)
を
上
(
あ
)
ぐれば
此
(
こ
)
はそも
如何
(
いか
)
に、
111
コーカス
山
(
さん
)
に
残
(
のこ
)
し
置
(
お
)
きたる
妻
(
つま
)
、
112
松代姫
(
まつよひめ
)
を
始
(
はじ
)
めエデンの
園
(
その
)
を
守
(
まも
)
る
最愛
(
さいあい
)
の
一人娘
(
ひとりむすめ
)
、
113
照妙姫
(
てるたへひめ
)
は
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いま
)
しめられ
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
箝
(
は
)
まされ、
114
鬼
(
おに
)
の
如
(
ごと
)
き
番卒
(
ばんそつ
)
数多
(
あまた
)
に
引
(
ひ
)
き
立
(
た
)
てられ
命
(
みこと
)
の
前
(
まへ
)
を
萎々
(
しをしを
)
と
稍
(
やや
)
伏
(
ふ
)
し
目
(
め
)
勝
(
が
)
ちに
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎむとす。
115
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
はハツと
驚
(
おどろ
)
き、
116
二人
(
ふたり
)
の
顔
(
かほ
)
を
息
(
いき
)
を
凝
(
こ
)
らし
目
(
め
)
を
見張
(
みは
)
り
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
117
松代姫
(
まつよひめ
)
、
118
照妙姫
(
てるたへひめ
)
は
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
箝
(
は
)
められたる
為
(
た
)
めにや、
119
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
目
(
め
)
を
瞬
(
しばたた
)
き、
120
何事
(
なにごと
)
か
訴
(
うつた
)
ふるものの
如
(
ごと
)
くであつた。
121
この
時
(
とき
)
黒頭巾
(
くろづきん
)
を
被
(
かぶ
)
りたる
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
、
122
田蠑
(
たにし
)
の
如
(
ごと
)
き
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
し、
123
男
『ヤア
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
に
非
(
あら
)
ずや、
124
汝
(
なんぢ
)
速
(
すみやか
)
に
此
(
この
)
河
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
り
再
(
ふたた
)
び
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
を
窺
(
うかが
)
はざるに
於
(
おい
)
ては
汝
(
なんぢ
)
の
妻子
(
さいし
)
を
赦
(
ゆる
)
し
遣
(
つか
)
はさむ。
125
之
(
これ
)
にも
屈
(
くつ
)
せず
益々
(
ますます
)
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
向
(
むか
)
つて
進入
(
しんにふ
)
するに
於
(
おい
)
ては、
126
汝
(
なんぢ
)
が
最愛
(
さいあい
)
の
妻子
(
さいし
)
を
今
(
いま
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
於
(
おい
)
て
嬲殺
(
なぶりごろ
)
しにして
呉
(
く
)
れむ、
127
返答
(
へんたふ
)
如何
(
いか
)
に』
128
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『サアそれは……』
129
男
(
をとこ
)
『サア、
130
サア
如何
(
どう
)
じや、
131
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かせ』
132
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『サア、
133
それは……』
134
男
(
をとこ
)
『サア、
135
サアサア』
136
と
掛合
(
かけあ
)
ふ。
137
この
時
(
とき
)
如何
(
いかが
)
しけむ、
138
松代姫
(
まつよひめ
)
の
猿轡
(
さるぐつわ
)
はサラリと
解
(
と
)
けた。
139
松代姫
(
まつよひめ
)
『ヤア
貴方
(
あなた
)
は
吾
(
あが
)
夫
(
をつと
)
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
に
在
(
おは
)
さずや、
140
妾
(
わらは
)
は
今
(
いま
)
やバラモン
教
(
けう
)
の
兇徒
(
きようと
)
に
捕
(
とら
)
へられ、
141
無限
(
むげん
)
の
苦
(
く
)
を
受
(
う
)
け
今
(
いま
)
又
(
また
)
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
き
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あ
)
ふ。
142
如何
(
いか
)
に
夫
(
をつと
)
にして
勇猛
(
ゆうまう
)
絶倫
(
ぜつりん
)
に
在
(
おは
)
せばとて、
143
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
には
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
を
始
(
はじ
)
め、
144
無数
(
むすう
)
の
強神
(
きやうしん
)
綺羅星
(
きらぼし
)
の
如
(
ごと
)
く
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
り
居
(
を
)
れば
到底
(
たうてい
)
衆寡
(
しうくわ
)
敵
(
てき
)
せず
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
自我心
(
じがしん
)
を
折
(
を
)
り、
145
当郷
(
たうきやう
)
を
退却
(
たいきやく
)
し
妾
(
わらは
)
母子
(
おやこ
)
の
命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
へ』
146
とワツと
許
(
ばか
)
りに
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
しにける。
147
照妙姫
(
てるたへひめ
)
の
猿轡
(
さるぐつわ
)
も
如何
(
いかが
)
しけむバラバラと
解
(
と
)
けたりける。
148
照妙姫
(
てるたへひめ
)
『アヽ
恋
(
こひ
)
しき
父上
(
ちちうへ
)
様
(
さま
)
、
149
妾
(
わらは
)
は
敵
(
てき
)
の
為
(
た
)
めに
無限
(
むげん
)
の
苦
(
く
)
を
嘗
(
な
)
め、
150
譬
(
たと
)
へ
方
(
かた
)
なき
侮辱
(
ぶじよく
)
を
受
(
う
)
け
悲哀
(
ひあい
)
に
沈
(
しづ
)
む
今
(
いま
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
、
151
何卒
(
どうぞ
)
妻子
(
つまこ
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
152
と
又
(
また
)
もや
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
泣
(
な
)
き
倒
(
たふ
)
るるにぞ、
153
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かずと
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み
稍
(
やや
)
少時
(
しばし
)
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
154
松代姫
(
まつよひめ
)
、
155
照妙姫
(
てるたへひめ
)
は
頻
(
しき
)
りに
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
156
松代姫、照妙姫
『
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
よ、
157
吾
(
わが
)
父
(
ちち
)
よ、
158
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
貴方
(
あなた
)
は
我
(
が
)
を
折
(
を
)
り、
159
バラモン
教
(
けう
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
ひ
妾
(
わらは
)
を
助
(
たす
)
けて
此
(
この
)
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
を
退
(
の
)
かせ
給
(
たま
)
へ』
160
と
前後
(
ぜんご
)
より
命
(
みこと
)
に
取
(
と
)
り
縋
(
すが
)
り
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
びける。
161
男
(
をとこ
)
『サア、
162
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
、
163
汝
(
なんぢ
)
が
所持
(
しよぢ
)
する
太玉串
(
ふとたまぐし
)
を
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
渡
(
わた
)
し
降参
(
かうさん
)
致
(
いた
)
せば、
164
汝
(
なんぢ
)
が
妻子
(
さいし
)
の
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
遣
(
つか
)
はす。
165
如何
(
どう
)
じや、
166
妻子
(
さいし
)
は
殺
(
ころ
)
され
吾身
(
わがみ
)
を
捨
(
す
)
てても
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
進
(
すす
)
まむとするか、
167
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かせ』
168
と
詰
(
つ
)
め
掛
(
かけ
)
る。
169
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
は
心
(
こころ
)
に
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
、
170
太玉命
『
焼野
(
やけの
)
の
雉子
(
きぎす
)
、
171
夜
(
よる
)
の
鶴
(
つる
)
、
172
子
(
こ
)
を
憐
(
あはれ
)
まざるはなしと
聞
(
き
)
く、
173
况
(
ま
)
して
最愛
(
さいあい
)
の
妻
(
つま
)
諸共
(
もろとも
)
に
非業
(
ひがう
)
の
最後
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
ぐるを
みす
みす
見捨
(
みす
)
てて
敵城
(
てきじやう
)
に
進
(
すす
)
むは
如何
(
いか
)
に
神命
(
しんめい
)
なればとて
忍
(
しの
)
び
難
(
がた
)
し。
174
さりながら
松代姫
(
まつよひめ
)
は
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
き
悪魔
(
あくま
)
にオメオメと
捕縛
(
ほばく
)
せらるるが
如
(
ごと
)
き
卑怯者
(
ひけふもの
)
に
非
(
あら
)
ず。
175
又
(
また
)
吾
(
わ
)
が
娘
(
むすめ
)
の
照妙姫
(
てるたへひめ
)
はかかる
女々
(
めめ
)
しき
言
(
げん
)
を
吐
(
は
)
く
娘
(
むすめ
)
に
非
(
あら
)
ず、
176
まさしく
之
(
これ
)
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
の
所為
(
しよゐ
)
ならむ』
177
と
又
(
また
)
もや
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
178
太玉串
(
ふとたまぐし
)
を
懐中
(
くわいちう
)
より
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
して
左右左
(
さいうさ
)
と
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
つた。
179
忽
(
たちま
)
ち
雷鳴
(
らいめい
)
轟
(
とどろ
)
き
電光
(
でんくわう
)
石火
(
せきくわ
)
、
180
四辺
(
あたり
)
眩
(
まばゆ
)
き
以前
(
いぜん
)
の
神人
(
しんじん
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
るよと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
松代姫
(
まつよひめ
)
、
181
照妙姫
(
てるたへひめ
)
を
始
(
はじ
)
め
数多
(
あまた
)
の
敵
(
てき
)
の
影
(
かげ
)
は
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せ、
182
野路
(
のぢ
)
を
吹
(
ふ
)
き
渡
(
わた
)
る
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
のみザワザワと
聞
(
きこ
)
ゆるのであつた。
183
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
『アハヽヽヽ、
184
又
(
また
)
欺
(
だま
)
しやがつたな』
185
(
大正一一・四・一
旧三・五
北村隆光
録)
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