霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 神(かみ)の栄光(えいくわう)〔五七一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻 篇:第1篇 正邪奮戦 よみ(新仮名遣い):せいじゃふんせん
章:第4章 神の栄光 よみ(新仮名遣い):かみのえいこう 通し章番号:571
口述日: 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
太玉命は毒酒に倒れた婆羅門教の将卒たちを憐れみ、解毒回復の祈願によって救った。婆羅門の将卒たちは感謝の涙を流し、歌を歌い踊りを踊って宣伝使たちを歓迎した。
愛子姫、太玉命は宣伝歌を歌って大神への感謝を表した。
顕恩郷はここに三五教の教えを取り戻し、メソポタミヤは再び回復した。メソポタミヤを追われた婆羅門教の邪神たちは、ペルシャから印度に渡って教線を拡大し始めた。
六人の宣伝使と、神素盞嗚尊の娘たち、侍女たちはそれぞれ四方に散って宣伝を行うこととなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-01-09 03:41:17 文字数:3788 OBC :rm1504
愛善世界社版:45頁 八幡書店版:第3輯 297頁 修補版: 校定版:44頁 普及版:21頁 初版: ページ備考:
001 鬼雲彦(おにくもひこ)夫妻(ふさい)は、002美酒(びしゆ)に強(したた)か酔(よ)ひ潰(つぶ)れ、003苦悶(くもん)の体(てい)にて堀(ほり)に飛(と)び込(こ)み、004八頭(やつがしら)八尾(やつを)の大蛇(だいじや)の正体(しやうたい)を現(あら)はし、005風雲(ふううん)を捲(ま)き起(おこ)し雲(くも)に乗(の)つてフサの国(くに)の天空(てんくう)を指(さ)して姿(すがた)を隠(かく)した。006後(あと)に残(のこ)りし勇将(ゆうしやう)猛卒(まうそつ)は、007知(し)らず識(し)らず毒酒(どくしゆ)に酔(よ)ひ瀕死(ひんし)の状態(じやうたい)に陥(おちい)り、008呻吟(しんぎん)苦悶(くもん)の声(こゑ)目(め)も当(あ)てられぬ惨状(さんじやう)なりければ、009太玉(ふとたまの)命(みこと)は之(これ)を憐(あはれ)み、010直(ただち)に天(てん)に向(むか)つて解毒(げどく)恢復(くわいふく)の祈願(きぐわん)を籠(こ)め、011懐中(くわいちう)より太玉串(ふとたまぐし)を取出(とりだ)して、012左右左(さいうさ)に打(う)ち振(ふ)れば、013不思議(ふしぎ)や神徳(しんとく)忽(たちま)ち現(あら)はれ、014残(のこ)らず元気(げんき)恢復(くわいふく)して命(みこと)を始(はじ)め七(しち)人(にん)の前(まへ)に集(あつ)まり来(きた)り、015感謝(かんしや)の涙(なみだ)に咽(むせ)びながら、016助命(じよめい)の大恩(たいおん)に、017心(こころ)の底(そこ)より悔改(くいあらた)め、018合掌(がつしやう)恭敬(きようけい)到(いた)らざるなく、019欣喜(きんき)雀躍(じやくやく)手(て)を拍(う)ち足(あし)をあげ、020面白(おもしろ)き歌(うた)を謡(うた)ひ、021躍(をど)り狂(くる)うて、022宣伝使(せんでんし)の一行(いつかう)を犒(ねぎら)ひける。
023 愛子姫(あいこひめ)は立(た)ち上(あが)り、024感謝(かんしや)の歌(うた)を謡(うた)ふ。
025愛子姫『恵(めぐみ)も深(ふか)き顕恩(けんおん)の
026里(さと)に現(あ)れます珍(うづ)の御子(みこ)
027三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
028心(こころ)も広(ひろ)き太玉(ふとたま)の
029神(かみ)の命(みこと)の現(あら)はれて
030元(もと)の神代(かみよ)に造(つく)らむと
031岩(いは)より固(かた)き誠心(まごころ)の
032御稜威(みいづ)は開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)
033音(おと)に名高(なだか)き麻柱(あななひ)の
034教(をしへ)の花(はな)は万代(よろづよ)の
035亀(かめ)の齢(よはひ)と諸共(もろとも)に
036栄(さか)え栄(さか)えて春(はる)駒(こま)の
037勇(いさ)むが如(ごと)き神(かみ)の国(くに)
038教(をしへ)の花(はな)も鷹(たか)彦(ひこ)の
039神(かみ)の恵(めぐみ)の愛子(あいこ)姫(ひめ)
040千代(ちよ)に栄(さか)えよ幾代(いくよ)姫(ひめ)
041心(こころ)いそいそ五十子(いそこ)姫(ひめ)
042香(かほ)り床(ゆか)しき梅子(うめこ)姫(ひめ)
043闇夜(やみよ)を照(てら)す英子(ひでこ)姫(ひめ)
044救(すく)ひの道(みち)を菊子(きくこ)姫(ひめ)
045民(たみ)を治(をさ)むる君子(きみこ)姫(ひめ)
046ミロクの御代(みよ)の末子(すゑこ)姫(ひめ)
047神(かみ)の恵(めぐみ)も浅(あさ)からぬ
048心(こころ)涼(すず)しき浅子(あさこ)姫(ひめ)
049岩(いは)より固(かた)き岩子(いはこ)姫(ひめ)
050救(すく)ひの神(かみ)は今子(いまこ)姫(ひめ)
051教(をし)へ尊(たふと)き宇豆(うづ)姫(ひめ)の
052栄(さか)え嬉(うれ)しき悦子(よしこ)姫(ひめ)
053彼方(あなた)に渡(わた)す岸子(きしこ)姫(ひめ)
054心(こころ)の色(いろ)も清子(きよこ)姫(ひめ)
055百(もも)の罪咎(つみとが)捨子(すてこ)姫(ひめ)
056十(とう)まり六(むつ)の瑞霊(みづみたま)
057神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)の
058勅(みこと)畏(かしこ)み顕恩(けんおん)の
059園(その)に巣(す)くへる曲津見(まがつみ)を
060言向(ことむ)け和(や)はし神国(かみくに)を
061常磐(ときは)堅磐(かきは)に立(た)てむとて
062心(こころ)を尽(つく)し身(み)を尽(つく)し
063晨(あした)夕(ゆふべ)と送(おく)るうち
064神(かみ)の恵(めぐみ)の隈(くま)もなく
065輝(かがや)き渡(わた)り今(いま)此処(ここ)に
066救(すく)ひの道(みち)の宣伝使(せんでんし)
067太玉(ふとたま)命(のみこと)の現(あ)れまして
068メソポタミヤの秀妻国(ほづまぐに)
069いと平(たひら)けく安(やす)らけく
070知(し)ろし召(め)す世(よ)は来(きた)りけり
071あな有難(ありがた)や尊(たふと)やな
072朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
073月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
074大地(だいち)は沈(しづ)む事(こと)あるも
075顕恩郷(けんおんきやう)は永久(とこしへ)に
076南天王(なんてんわう)の古(いにしへ)に
077返(かへ)りて御代(みよ)は末永(すえなが)く
078花(はな)も開(ひら)けよ実(み)も結(むす)べ
079稲(いね)麦(むぎ)豆(まめ)粟(あは)黍(きび)稗(ひえ)も
080豊(ゆたか)に穣(みの)れ神(かみ)の国(くに)
081羊(ひつじ)も山羊(やぎ)も牛馬(うしうま)も
082浜(はま)の真砂(まさご)の数多(かずおほ)く
083殖(ふ)えよ栄(さか)えよ永久(とこしへ)に
084常磐(ときは)の松(まつ)のいつまでも
085色(いろ)は褪(あ)せざれ変(かは)らざれ
086神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
087善(ぜん)と悪(あく)とを立(た)て分(わ)ける
088此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
089心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
090直霊(なほひ)の御魂(みたま)現(あら)はれて
091顕恩郷(けんおんきやう)に塞(ふさ)がれる
092怪(あや)しき雲(くも)を吹(ふ)き払(はら)ひ
093月日(つきひ)は空(そら)に澄(す)み渡(わた)り
094夜毎(よごと)閃(きらめ)く星(ほし)の影(かげ)
095常磐(ときは)堅磐(かきは)に健(さき)くあれ
096あゝ惟神(かむながら)惟神(かむながら)
097御霊(みたま)幸倍(さちはへ)在(ま)しませよ
098神(かみ)の御霊(みたま)の幸倍(さちはひ)て
099ためしも夏(なつ)の木草(きくさ)まで
100色(いろ)麗(うるは)しく賑(にぎは)しく
101栄(さか)ゆる御代(みよ)に愛子(あいこ)姫(ひめ)
102幾代(いくよ)変(かは)らぬ五十鈴(いそすず)の
103川(かは)の流(なが)れは永久(とこしへ)に
104濁(にご)らであれよ五十子(いそこ)姫(ひめ)
105三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花(はな)
106開(ひら)き匂(にほ)へる梅子(うめこ)姫(ひめ)
107栄(さか)え久(ひさ)しき英子(ひでこ)姫(ひめ)
108十六弁(じふろくべん)の花(はな)匂(にほ)ふ
109菊子(きくこ)の姫(ひめ)や君子(きみこ)姫(ひめ)
110末子(すゑこ)の姫(ひめ)に至(いた)るまで
111神(かみ)の生(う)みます宇豆(うづ)姫(ひめ)の
112御稜威(みいづ)喜(よろこ)ぶ悦子(よしこ)姫(ひめ)
113尊(たふと)き御代(みよ)も岸子(きしこ)姫(ひめ)
114エデンの河(かは)に身(み)の罪(つみ)を
115洗(あら)ひ清(きよ)めて清子(きよこ)姫(ひめ)
116安彦(やすひこ)国彦(くにひこ)道彦(みちひこ)の
117果敢(はか)なく命(いのち)を捨子(すてこ)姫(ひめ)
118助(たす)くるすべも荒波(あらなみ)の
119底(そこ)に潜(くぐ)りて今(いま)此処(ここ)に
120現(あら)はれ来(きた)る今子(いまこ)姫(ひめ)
121深(ふか)き流(なが)れも忽(たちま)ちに
122神(かみ)の恵(めぐみ)に浅子(あさこ)姫(ひめ)
123心(こころ)も固(かた)き誠心(まごころ)の
124千代(ちよ)も動(うご)かぬ岩子(いはこ)姫(ひめ)
125巌(いはほ)の上(うへ)に松(まつ)さへも
126生(お)ふるためしもある御代(みよ)は
127エデンの河(かは)に沈(しづ)みたる
128三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
129嬉(うれ)しき顔(かほ)を三柱(みはしら)の
130時(とき)こそあらめ片時(かたとき)も
131いと速(す)むやけく皇神(すめかみ)の
132恵(めぐみ)の光(ひかり)に照(てら)されて
133百舌彦(もずひこ)田加彦(たかひこ)諸共(もろとも)に
134救(すく)はせ給(たま)へ天津(あまつ)神(かみ)
135国津(くにつ)神(かみ)達(たち)八百万(やほよろづ)
136万(よろづ)の願(ねがひ)をかけまくも
137畏(かしこ)き神(かみ)の引(ひ)き合(あは)せ
138遇(あ)うて嬉(うれ)しき五柱(いつはしら)
139いづの霊(みたま)や瑞霊(みづみたま)
140三五(さんご)の月(つき)の照(て)るまでに
141救(すく)はせたまへ顕恩郷(けんおんきやう)
142遍(あまね)く渡(わた)る峰(みね)の上(うへ)
143谷底(たにそこ)までも尋(たづ)ねつつ
144神(かみ)の教(をしへ)に麻柱(あななひ)の
145誠(まこと)の御子(みこ)を救(すく)へかし
146誠(まこと)の御子(みこ)を救(すく)へかし
147畏(かしこ)き神(かみ)の御(おん)前(まへ)に
148遥(はるか)に拝(をが)み奉(たてまつ)る
149遥(はるか)に祈(いの)り奉(たてまつ)る』
150と、151祈願(きぐわん)を籠(こ)めて声(こゑ)も涼(すず)しく歌(うた)ひ舞(ま)ひ納(をさ)めけり。152太玉(ふとたまの)神(かみ)はツト立(た)つて感謝(かんしや)の歌(うた)を歌(うた)ひ初(はじ)めたり。
153太玉命『コーカス山(さん)に現(あ)れませる
154瑞霊(みづのみたま)の大神(おほかみ)の
155勅(みこと)畏(かしこ)み琵琶(びは)の海(うみ)
156渡(わた)りて四方(よも)を宣伝(せんでん)し
157稜威(いづ)の言霊(ことたま)遠近(をちこち)に
158響(ひび)き渡(わた)らせ進(すす)み来(く)る
159吾(わが)言霊(ことたま)の勢(いきほひ)に
160四方(よも)の草木(くさき)も靡(なび)き伏(ふ)し
161エデンの園(その)に蟠(わだか)まる
162八岐(やまた)大蛇(をろち)や醜神(しこがみ)の
163醜(しこ)の砦(とりで)を言向(ことむ)けて
164松代(まつよ)の姫(ひめ)が生(う)みませる
165光(ひかり)愛(めで)たき照妙(てるたへ)姫(ひめ)の
166貴(うづ)の命(みこと)を花園(はなぞの)の
167主宰(つかさ)の神(かみ)と任(ま)けつつも
168吾(われ)は進(すす)んでエデン河(がは)
169河(かは)の傍(ほとり)をつたひ来(く)る
170安彦(やすひこ)国彦(くにひこ)道彦(みちひこ)の
171三(みつ)の御魂(みたま)の宣伝使(せんでんし)
172引(ひ)き連(つ)れ急(いそ)ぐ渡場(わたしば)に
173漸々(ようよう)此処(ここ)に月(つき)の空(そら)
174濁流(だくりう)漲(みなぎ)るエデン河(がは)
175如何(いかが)はせむと思(おも)ふうち
176川(かは)の関所(せきしよ)を守(まも)り居(を)る
177田加彦(たかひこ)鳶彦(とびひこ)百舌彦(もずひこ)が
178砦(とりで)を兼(か)ねし川館(かはやかた)
179先(ま)づ道彦(みちひこ)を遣(つか)はして
180事(こと)の実否(じつぴ)を窺(うかが)へば
181鋭利(えいり)な槍(やり)を扱(しご)きつつ
182道彦(みちひこ)目蒐(めが)けて突(つ)きかかる
183神(かみ)の恵(めぐみ)を身(み)に浴(あ)びし
184珍(うづ)の御子(みこ)なる道彦(みちひこ)は
185攻(せ)め来(く)る槍(やり)の切尖(きつさき)を
186右(みぎ)や左(ひだり)に引(ひ)きはづし
187挑(いど)み戦(たたか)ふ上段(じやうだん)下段(げだん)
188火花(ひばな)を散(ち)らして戦(たたか)へば
189耐(たま)り兼(か)ねてか一(いち)人(にん)は
190忽(たちま)ち川(かは)へ鳶彦(とびひこ)の
191猫(ねこ)に追(お)はれた小鼠(こねずみ)の
192跡(あと)を掻(か)き消(け)す水(みづ)の中(なか)
193漸々(ようよう)岸(きし)に泳(およ)ぎつき
194数多(あまた)の手下(てした)を引(ひ)き連(つ)れて
195岸辺(きしべ)をさして迫(せま)り来(く)る
196吾(われ)等(ら)一行(いつかう)は勇(いさ)み立(た)ち
197用意(ようい)の船(ふね)に身(み)を任(まか)せ
198棹(さを)を横(よこ)たへ中流(ちうりう)に
199進(すす)む折(をり)しも流(なが)れ来(く)る
200征矢(そや)に当(あた)りて百舌彦(もずひこ)は
201忽(たちま)ち河中(かちう)に転倒(てんたう)し
202後(あと)白浪(しらなみ)と消(き)えて行(ゆ)く
203泡(あわ)立(た)つ浪(なみ)の田加彦(たかひこ)も
204またもやザンブと河中(かはなか)に
205身(み)を躍(をど)らして消(き)え失(う)せぬ
206棹(さを)を取(と)られし渡(わた)し船(ぶね)
207操(あやつ)るよしも浪(なみ)の上(うへ)
208嗚呼(ああ)如何(いか)にせむ船体(せんたい)は
209忽(たちま)ち岩(いは)に衝突(しようとつ)し
210木葉(こつぱ)微塵(みぢん)に成(な)り果(は)てて
211御伴(みとも)に仕(つか)へし宣伝使(せんでんし)
212姿(すがた)も三(み)つの魂(たましひ)は
213河(かは)の藻屑(もくづ)となり果(は)てぬ
214吾(われ)はやうやう川縁(かはべり)に
215神(かみ)に守(まも)られ這(は)ひ上(あが)り
216群(むら)がる敵(てき)の諸声(もろこゑ)を
217目当(めあて)に独(ひと)りとぼとぼと
218進(すす)む折(をり)しも前方(ぜんぱう)に
219怪(あや)しの男(をとこ)の此処(ここ)彼処(かしこ)
220現(あら)はれ来(きた)り槍(やり)の穂(ほ)を
221揃(そろ)へて一度(いちど)に攻(せ)め来(きた)る
222何(なん)の容赦(ようしや)も荒男(あらをとこ)
223太玉串(ふとたまぐし)の神力(しんりき)に
224恐(おそ)れやしけむ雲(くも)霞(かすみ)
225煙(けぶり)となつて消(き)え失(う)せぬ
226忽(たちま)ち月(つき)は大空(おほぞら)の
227雲(くも)の帳(とばり)を押(お)し分(わ)けて
228四辺(あたり)を照(てら)す嬉(うれ)しさに
229勇気(ゆうき)を鼓(こ)して進(すす)み行(ゆ)く
230山河(やまかは)幾(いく)つ打(う)ち渡(わた)り
231進(すす)む折(をり)しも忽(たちま)ちに
232電光(でんくわう)石火(せきくわ)雷(いかづち)の
233轟(とどろ)き渡(わた)る折(をり)からに
234現(あら)はれ出(い)でし神人(しんじん)は
235厳霊(いづのみたま)の大神(おほかみ)の
236第四(だいし)の御子(みこ)と現(あ)れませる
237活津彦根(いくつひこね)の大御神(おほみかみ)
238吾(われ)は魔神(まがみ)と怪(あや)しみて
239争(あらそ)ふ折(をり)しも大神(おほかみ)は
240吾(われ)等(ら)が不明(ふめい)を笑(わら)ひつつ
241天空(てんくう)目蒐(めが)けて帰(かへ)ります
242又(また)もや怪(あや)しき物蔭(ものかげ)に
243眼(め)をみはりつつ窺(うかが)へば
244松代(まつよ)の姫(ひめ)や照妙(てるたへ)姫(ひめ)の
245貴(うづ)の命(みこと)は可憐(いぢ)らしく
246高手(たかて)や小手(こて)に縛(しば)られて
247口(くち)には堅(かた)き猿轡(さるぐつわ)
248合点(がてん)行(ゆ)かずと玉串(たまぐし)を
249取(と)るより早(はや)く打(う)ち振(ふ)れば
250魔神(まがみ)は神威(しんゐ)に恐(おそ)れけむ
251又(また)もや泡(あわ)と消(き)え失(う)せぬ
252路傍(ろばう)の厳(いはほ)に腰(こし)を掛(か)け
253息(いき)を安(やす)らふ折柄(をりから)に
254駒(こま)の蹄(ひづめ)の戞々(かつかつ)と
255音(おと)勇(いさ)ましく進(すす)み来(く)る
256又(また)もや曲津(まがつ)の奸計(かんけい)と
257心(こころ)を配(くば)る折(をり)からに
258思(おも)ひがけなき梅彦(うめひこ)や
259音彦(おとひこ)駒彦(こまひこ)六(ろく)人(にん)の
260三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
261心(こころ)も勇(いさ)み栄(さか)えつつ
262轡(くつわ)を並(なら)べて山奥(やまおく)に
263進(すす)む折(をり)しも八千尋(やちひろ)の
264つと行(ゆ)き当(あた)る谷(たに)の川(かは)
265川幅(かははば)広(ひろ)く橋(はし)もなく
266行(ゆ)き悩(なや)みたる折柄(をりから)に
267運命(うんめい)天(てん)に任(まか)せつつ
268一鞭(ひとむち)あてて飛(と)び越(こ)ゆる
269此処(ここ)に佇(たたず)む荒男(あらをとこ)
270此(この)勢(いきほひ)に辟易(へきえき)し
271山奥(やまおく)指(さ)して逃(に)げ帰(かへ)る
272後(あと)振(ふ)り返(かへ)り眺(なが)むれば
273谷(たに)と見(み)えしは薄原(すすきばら)
274又(また)もや魔神(まがみ)の計略(けいりやく)に
275かかりて心(こころ)痛(いた)めしか
276嗚呼(ああ)恥(はづ)かしも恥(はづ)かしも
277眼(まなこ)暗(くら)みし宣伝使(せんでんし)
278確(しか)と腹帯(はらおび)締(し)め直(なほ)し
279心(こころ)の駒(こま)に鞭打(むちう)ちて
280息(いき)せき切(き)つて二(に)里(り)三(さん)里(り)
281要心(えうじん)堅固(けんご)の大門(おほもん)に
282ピタリと当(あた)つた七(しち)人(にん)は
283暫(しば)し思案(しあん)に暮(く)れけるが
284茲(ここ)に鷹彦(たかひこ)宣伝使(せんでんし)
285早速(さつそく)の早業(はやわざ)霊鷹(れいよう)と
286変(へん)じて中空(ちうくう)翔廻(かけめぐ)り
287敵状(てきじやう)残(のこ)らず視察(しさつ)して
288再(ふたた)び此処(ここ)に舞(ま)ひ下(くだ)り
289さしもに固(かた)き大門(おほもん)を
290苦(く)もなく左右(さいう)に押(お)し開(ひら)く
291吾(われ)等(ら)一行(いつかう)七(しち)人(にん)は
292勇気(ゆうき)を起(おこ)して前進(ぜんしん)し
293城砦(じようさい)目蒐(めが)けて近(ちか)よれば
294魔神(まがみ)の軍勢(ぐんぜい)は進(すす)み行(ゆ)く
295道(みち)の左右(さいう)に堵列(とれつ)して
296袖手(しうしゆ)傍観(ばうくわん)その様(さま)は
297心(こころ)得難(えがた)きシーンなり
298又(また)もや来(きた)る十六(じふろく)の
299天女(てんによ)に擬(まが)ふ姫神(ひめがみ)は
300吾(われ)等(ら)の一行(いつかう)を慇懃(いんぎん)に
301奥殿(おくでん)指(さ)して誘(さそ)ひ行(ゆ)く
302怪(あや)しみながら来(き)て見(み)れば
303山野(さんや)河海(かかい)の珍肴(ちんかう)は
304処(ところ)狭(せ)きまで並(なら)べられ
305木実(このみ)の酒(さけ)も沢々(さはさは)に
306供(そな)へ足(た)らはす此(この)場面(ばめん)
307鬼雲彦(おにくもひこ)の大統領(だいとうりやう)
308忽(たちま)ち此(この)場(ば)に現(あら)はれて
309表裏(へうり)の合(あは)ぬ神(かみ)の宣(の)り
310いと賢(さか)しげに述(の)べ立(た)つる
311如何(いかが)はしけむ城内(じやうない)の
312勇将(ゆうしやう)猛卒(まうそつ)忽(たちま)ちに
313顔色(かほいろ)変(へん)じ黒血(くろち)吐(は)き
314悶(もだ)え苦(くる)しむ訝(いぶ)かしさ
315吾(われ)も毒酒(どくしゆ)に酔(よ)ひしれて
316苦(くる)しきさまを装(よそほ)ひつ
317七転(しちてん)八倒(ばつたう)するうちに
318鬼雲彦(おにくもひこ)の統領(とうりやう)は
319仕(し)済(す)ましたりと出(い)で来(きた)る
320神(かみ)の賜(たま)ひし玉串(たまぐし)を
321そつと取(と)り出(だ)し左右左(さいうさ)と
322魔神(まがみ)に向(むか)つて打振(うちふ)れば
323鬼雲彦(おにくもひこ)や妻神(つまがみ)は
324黒雲(くろくも)起(おこ)し風(かぜ)に乗(の)り
325雨(あめ)に紛(まぎ)れて逃(に)げて行(ゆ)く
326四四(しし)十六(じふろく)の花(はな)の春(はる)
327未(ま)ださきやらぬ乙女子(おとめご)の
328蕾(つぼみ)の唇(くちびる)開(ひら)きつつ
329一伍(いちぶ)一什(しじふ)の物語(ものがたり)
330聞(き)いて胸(むね)をば撫(な)で下(おろ)し
331神(かみ)の恵(めぐみ)を嬉(うれ)しみて
332善言(ぜんげん)美辞(びし)の神嘉言(かむよごと)
333唱(とな)ふる折(をり)しも大空(おほぞら)に
334微妙(びめう)の音楽(おんがく)鳴(な)り渡(わた)り
335芳香(はうかう)四辺(しへん)を包(つつ)むよと
336思(おも)ふ間(ま)もなく現(あら)はれし
337妙音(めうおん)菩薩(ぼさつ)の御(おん)姿(すがた)
338天地(てんち)に響(ひび)く言霊(ことたま)の
339その勲功(いさをし)ぞ尊(たふと)けれ
340その勲功(いさをし)ぞ畏(かしこ)けれ』
341と歌(うた)ひ終(をは)つて元(もと)の座(ざ)につきぬ。
342 茲(ここ)に太玉(ふとたまの)命(みこと)は愛子姫(あいこひめ)、343浅子姫(あさこひめ)を留(とど)めて侍女(じじよ)となし、344顕恩郷(けんおんきやう)の無事(ぶじ)平穏(へいおん)に復(ふく)するまで蹕(ひつ)を留(とど)むるる事(こと)となつた。345城内(じやうない)の勇将(ゆうしやう)猛卒(まうそつ)も太玉(ふとたまの)命(みこと)の神力(しんりき)に服(ふく)し、346忠実(ちうじつ)に三五教(あななひけう)を奉(ほう)じ茲(ここ)にメソポタミヤの楽土(らくど)は、347エデンの花園(はなぞの)と相俟(あひま)つて、348再(ふたた)び元(もと)の天国(てんごく)を形成(かたちづく)る事(こと)となりにける。
349 バラモン教(けう)を守護(しゆご)する邪神(じやしん)を始(はじ)め、350其(そ)の宣伝使(せんでんし)は遠(とほ)くペルシヤに渡(わた)り、351印度(いんど)に向(むか)つて教線(けうせん)を拡充(くわくじゆう)する事(こと)となり、352岩彦(いはひこ)、353梅彦(うめひこ)、354音彦(おとひこ)、355駒彦(こまひこ)、356鷹彦(たかひこ)の宣伝使(せんでんし)を始(はじ)め、357幾代姫(いくよひめ)、358五十子(いそこ)姫(ひめ)、359梅子姫(うめこひめ)、360英子姫(ひでこひめ)、361菊子姫(きくこひめ)その他(た)一同(いちどう)の女性(ぢよせい)は、362顕恩郷(けんおんきやう)を去(さ)つて四方(しはう)に、363三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)となつて出発(しゆつぱつ)する事(こと)となりにける。
364(大正一一・四・一 旧三・五 加藤明子録)
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