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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第15巻(寅の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 正邪奮戦
第1章 破羅門
第2章 途上の変
第3章 十六花
第4章 神の栄光
第5章 五天狗
第6章 北山川
第7章 釣瓶攻
第8章 ウラナイ教
第9章 薯蕷汁
第10章 神楽舞
第2篇 古事記言霊解
第11章 大蛇退治の段
第3篇 神山霊水
第12章 一人旅
第13章 神女出現
第14章 奇の岩窟
第15章 山の神
第16章 水上の影
第17章 窟の酒宴
第18章 婆々勇
第4篇 神行霊歩
第19章 第一天国
第20章 五十世紀
第21章 帰顕
第22章 和と戦
第23章 八日の月
跋文
余白歌
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霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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第15巻(寅の巻)
> 第4篇 神行霊歩 > 第22章 和と戦
<<< 帰顕
(B)
(N)
八日の月 >>>
第二二章
和
(
わ
)
と
戦
(
せん
)
〔五八九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
篇:
第4篇 神行霊歩
よみ(新仮名遣い):
しんこうれいほ
章:
第22章 和と戦
よみ(新仮名遣い):
わとせん
通し章番号:
589
口述日:
口述場所:
錦水亭
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
言依別命一行は、神界探検の後、ウブスナ山の山頂指して進んで行く。斎苑館の門前で呼ばわると、八十猛神の長と名乗る、国武彦が出迎えた。斎苑館では、神素盞嗚大神は不在で、八島主(熊野楠日の神)、娘の愛子姫、幾代姫、亀彦、梅彦が留守をしていた。
八島主らは一行を館の奥に招いて、歓迎の宴を開いた。そこへ八十猛神が慌しく現れ、バラモン軍の襲撃の急を告げた。そして国武彦が奮戦中だが、旗色が悪く、一行にコーカス山に退避するようにと注進した。
しかし八島主を始め、招かれた言依別命ら一行も、まったく意に介せずに宴を続けている。亀彦と梅彦は、事態の急に押っ取り刀で防戦に出ようとするが、愛子姫に引っ掛け戻される。
遂にバラモン軍の鬼雲彦が血のついた槍を持ったまま宴の場に現れて、一同に降伏を迫った。また鬼掴もやってきて一同を脅すが、八島主らは泰然として宴を続け、鬼雲彦と鬼掴の様子を笑いの種にしている。
怒った鬼雲彦は、手下に下知して八島主らを襲わせるが、八島主はバラモン軍に霊縛をかけた。鬼雲彦らはその場に硬直して動けなくなっているところへ、国武彦と八十猛神が現れた。
国武彦と八十猛神は、天より日の出神に率いられた神軍が現れて、形勢逆転し、バラモン軍は打ち負かされて倒れ伏している、と報告した。言依別命と八島主は、玉彦に命じて敵味方の負傷者を治療しに行かせた。
厳彦と楠彦は、奥の間で硬直している鬼雲彦ら将卒たちに、宣伝歌を聞かせている。八島主は、腰から下だけ霊縛を解くと、バラモン軍は上半身が硬直したまま、その場を逃げ出した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
熊野楠日の神(熊野樟日命)
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-22 04:02:22
OBC :
rm1522
愛善世界社版:
276頁
八幡書店版:
第3輯 381頁
修補版:
校定版:
273頁
普及版:
126頁
初版:
ページ備考:
001
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
の
事
(
こと
)
より
神界
(
しんかい
)
を
探険
(
たんけん
)
し
再
(
ふたた
)
び
正気
(
しやうき
)
に
立
(
た
)
ち
復
(
かへ
)
り
給
(
たま
)
ひて、
002
玉彦
(
たまひこ
)
、
003
厳彦
(
いづひこ
)
、
004
楠彦
(
くすひこ
)
諸共
(
もろとも
)
に、
005
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
ち
しと
しととウブスナ
山脈
(
さんみやく
)
を
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
御舎
(
みあらか
)
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
006
山上
(
さんじやう
)
の
御舎
(
みあらか
)
は
何
(
いづ
)
れも
丸木柱
(
まるきばしら
)
を
以
(
もつ
)
て
造
(
つく
)
られありぬ。
007
用材
(
ようざい
)
は
桧
(
ひのき
)
、
008
杉
(
すぎ
)
、
009
松
(
まつ
)
、
010
樅
(
もみ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
種々
(
いろいろ
)
の
木
(
き
)
をあしらひ、
011
余
(
あま
)
り
広
(
ひろ
)
からず
狭
(
せま
)
からず
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へぬ
風流
(
ふうりう
)
なる
草葺
(
わらぶき
)
の
屋根
(
やね
)
、
012
幾棟
(
いくむね
)
となく
立
(
た
)
ち
並
(
なら
)
び
居
(
ゐ
)
たり。
013
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
門前
(
もんぜん
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
014
馬
(
うま
)
をヒラリと
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
りて
大音声
(
だいおんじやう
)
に、
015
一行
『
頼
(
たの
)
まう
頼
(
たの
)
まう』
016
と
訪
(
おと
)
なへば、
017
男
『
応
(
オー
)
』
018
と
答
(
こた
)
へて
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
三四
(
さんよ
)
人
(
にん
)
、
019
門
(
もん
)
を
左右
(
さいう
)
にパツと
開
(
ひら
)
き、
020
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより、
021
国武彦
『ヨー、
022
これはこれは、
023
能
(
よ
)
く
入
(
い
)
らせられました。
024
只今
(
ただいま
)
高天原
(
たかあまはら
)
よりの
急報
(
きふはう
)
に
依
(
よ
)
り
貴使
(
あなた
)
等
(
がた
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
当邸
(
たうやしき
)
に
現
(
あら
)
はれますと
承
(
うけたま
)
はりお
待
(
ま
)
ち
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
りました。
025
サアサ
御
(
お
)
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ、
026
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう。
027
私
(
わたくし
)
は
八十猛
(
やそたける
)
の
神
(
かみ
)
の
長
(
をさ
)
を
勤
(
つと
)
むるもの、
028
国武彦
(
くにたけひこ
)
と
申
(
まを
)
すもので
御座
(
ござ
)
います』
029
と
言
(
い
)
ひつつ
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つてドスンドスンと
地響
(
ぢひび
)
きさせ
乍
(
なが
)
ら
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
案内
(
あんない
)
したり。
030
本宅
(
ほんたく
)
と
覚
(
おぼ
)
しき
館
(
やかた
)
の
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
佇
(
たたず
)
み、
031
国武彦
(
くにたけひこ
)
は、
032
国武彦
『アア
八島主
(
やしまぬし
)
様
(
さま
)
、
033
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
がお
出
(
い
)
でになりました』
034
と
言葉
(
ことば
)
終
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に
玄関
(
げんくわん
)
の
襖
(
ふすま
)
はサラリと
開
(
ひら
)
かれたり。
035
国武彦
(
くにたけひこ
)
『サアサアこれが
命様
(
みことさま
)
の
御
(
ご
)
本殿
(
ほんでん
)
で
御座
(
ござ
)
います、
036
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
御
(
お
)
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
037
と
案内
(
あんない
)
する。
038
一同
『
然
(
しか
)
らば
御免
(
ごめん
)
』
039
と
一同
(
いちどう
)
は
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み入る。
040
容色
(
ようしよく
)
麗
(
うるは
)
しき
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれしを
能
(
よ
)
く
能
(
よ
)
く
見
(
み
)
れば
愛子姫
(
あいこひめ
)
、
041
幾代姫
(
いくよひめ
)
なりき。
042
言依別
(
ことよりわけ
)
『アア
貴神
(
あなた
)
は
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
に
坐
(
まし
)
ませし
尊
(
みこと
)
の
御
(
お
)
娘子
(
むすめご
)
、
043
愛子姫
(
あいこひめ
)
、
044
幾代姫
(
いくよひめ
)
様
(
さま
)
では
御座
(
ござ
)
らぬか』
045
愛子姫
『ハイ、
046
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
います、
047
能
(
よ
)
くマアお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいました』
048
幾代姫
『
妾
(
わらは
)
は
仰
(
あふ
)
せの
如
(
ごと
)
く
幾代姫
(
いくよひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います、
049
何卒
(
どうぞ
)
御悠
(
ごゆつく
)
りと
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
下
(
くだ
)
さいませ。
050
妾
(
わらは
)
の
父
(
ちち
)
は
天下
(
てんか
)
蒼生
(
さうせい
)
の
為
(
た
)
めに、
051
ここ
十日
(
とをか
)
許
(
ばか
)
り
以前
(
いぜん
)
に
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
052
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
さして
行
(
ゆ
)
くと
申
(
まを
)
して
出
(
で
)
られました。
053
折角
(
せつかく
)
のお
訪
(
たづ
)
ねで
御座
(
ござ
)
いまするが
父
(
ちち
)
は
生憎
(
あひにく
)
の
不在
(
ふざい
)
なれども、
054
妾
(
わらは
)
が
兄
(
あに
)
八島主
(
やしまぬし
)
父
(
ちち
)
の
代理
(
だいり
)
として
留守
(
るす
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りますれば、
055
何卒
(
どうぞ
)
ゆるりとお
話
(
はな
)
し
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
に』
056
言依別
(
ことよりわけ
)
『アヽ
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
るか、
057
之
(
これ
)
は
惜
(
を
)
しい
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
した。
058
イヤ
先程
(
さきほど
)
御
(
お
)
父上
(
ちちうへ
)
に
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に
於
(
おい
)
て
拝顔
(
はいがん
)
を
得
(
え
)
ました』
059
愛子姫
(
あいこひめ
)
、
060
幾代姫
(
いくよひめ
)
一度
(
いちど
)
に、
061
愛子姫、幾代姫
『エ、
062
父
(
ちち
)
にお
会
(
あ
)
ひで
御座
(
ござ
)
いましたか、
063
それは
何
(
いづ
)
れの
地方
(
ちはう
)
に
於
(
おい
)
て』
064
言依別
(
ことよりわけ
)
『ハイ、
065
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に
於
(
おい
)
て
三十五万
(
さんじふごまん
)
年
(
ねん
)
の
未来
(
みらい
)
に
麗
(
うるは
)
しき
御
(
ご
)
尊顔
(
そんがん
)
を
拝
(
はい
)
しました』
066
愛子姫、幾代姫
『アヽ
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、
067
それはそれは
都合
(
つがふ
)
の
好
(
い
)
い
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いましたナア。
068
父
(
ちち
)
は
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
しましたか』
069
言依別
(
ことよりわけ
)
『イヤ
吾々
(
われわれ
)
には
未
(
いま
)
だ
現界
(
げんかい
)
に
於
(
おい
)
て
尽
(
つく
)
すべき
神務
(
しんむ
)
あれば、
070
三十五万
(
さんじふごまん
)
年
(
ねん
)
の
昔
(
むかし
)
に
立
(
た
)
ち
復
(
かへ
)
り
現界
(
げんかい
)
的
(
てき
)
神業
(
しんげふ
)
を
尽
(
つく
)
せよとの
御
(
ご
)
厳命
(
げんめい
)
で
御座
(
ござ
)
いましたよ。
071
イヤもう
罪
(
つみ
)
の
深
(
ふか
)
い
吾々
(
われわれ
)
、
072
容易
(
ようい
)
に
高天原
(
たかあまはら
)
へ
参
(
まゐ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ』
073
玉彦
(
たまひこ
)
、
074
厳彦
(
いづひこ
)
、
075
楠彦
(
くすひこ
)
、
076
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に、
077
三人
『オー
貴女
(
あなた
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
娘子
(
むすめご
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか、
078
私共
(
わたくしども
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
の
命様
(
みことさま
)
の
御
(
お
)
供
(
とも
)
致
(
いた
)
すもの
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
於
(
おい
)
て
生
(
うま
)
れましたる、
079
はした
者
(
もの
)
に
御座
(
ござ
)
います。
080
何卒
(
どうぞ
)
以後
(
いご
)
はお
見捨
(
みすて
)
なく
御
(
ご
)
昵懇
(
じつこん
)
に
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります』
081
と
慇懃
(
いんぎん
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
する。
082
愛子姫、幾代姫
『
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
は
却
(
かへつ
)
て
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
ります、
083
妾
(
わらは
)
は、
084
たらはぬ
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
、
085
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
見捨
(
みすて
)
なく
何時
(
いつ
)
々々
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
御
(
ご
)
昵懇
(
じつこん
)
に
願
(
ねが
)
ひ
度
(
た
)
う
御座
(
ござ
)
います』
086
と
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
ぐる。
087
此
(
この
)
時
(
とき
)
、
088
眼
(
まなこ
)
清
(
きよ
)
く
眉
(
まゆ
)
秀
(
ひい
)
で
鼻筋
(
はなすぢ
)
通
(
とほ
)
り
口許
(
くちもと
)
しまり
桃色
(
ももいろ
)
の
顔
(
かんばせ
)
、
089
鼻下
(
びか
)
の
八字髭
(
はちじひげ
)
及
(
およ
)
び
下顎
(
かがく
)
の
垂髯
(
たれひげ
)
を
揉
(
も
)
みつつ
徐々
(
しづしづ
)
と
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
090
一行
(
いつかう
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
091
叮嚀
(
ていねい
)
に
会釈
(
ゑしやく
)
し
乍
(
なが
)
ら、
092
八島主
『
私
(
わたくし
)
は
八島主
(
やしまぬし
)
で
御座
(
ござ
)
います。
093
貴使
(
あなた
)
は
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
き
言依別
(
ことよりわけ
)
の
命様
(
みことさま
)
、
094
遠路
(
ゑんろ
)
の
処
(
ところ
)
遥々
(
はるばる
)
能
(
よ
)
く
御
(
お
)
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいました。
095
吾父
(
わがちち
)
が
在
(
おは
)
しましたならばどれ
程
(
ほど
)
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
096
と
目
(
め
)
を
瞬
(
しばた
)
き、
097
そつと
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
098
一同
(
いちどう
)
は
何
(
なん
)
となく
八島主
(
やしまぬし
)
の
態度
(
たいど
)
につまされて
哀
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
し
涙
(
なみだ
)
の
袖
(
そで
)
を
絞
(
しぼ
)
り
居
(
ゐ
)
る。
099
此
(
この
)
時
(
とき
)
菊子姫
(
きくこひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
100
菊子姫
『
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
、
101
御飯
(
ごはん
)
の
用意
(
ようい
)
が
出来
(
でき
)
ました、
102
何卒
(
どうぞ
)
此方
(
こちら
)
へ
御
(
お
)
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
103
と
挨拶
(
あいさつ
)
する。
104
主人側
(
しゆじんがは
)
の
八島主
(
やしまぬし
)
を
始
(
はじ
)
め
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
菊子姫
(
きくこひめ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
つて
奥
(
おく
)
の
別室
(
べつま
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
105
別室
(
べつま
)
の
入口
(
いりぐち
)
には
亀彦
(
かめひこ
)
、
106
梅彦
(
うめひこ
)
、
107
愛子姫
(
あいこひめ
)
、
108
幾代姫
(
いくよひめ
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
叮嚀
(
ていねい
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
一行
(
いつかう
)
を
迎
(
むか
)
へ
居
(
ゐ
)
る。
109
ここに
一場
(
いちぢやう
)
の
晩餐会
(
ばんさんくわい
)
は
催
(
もよほ
)
され、
110
果実
(
このみ
)
の
酒
(
さけ
)
に
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
み
一同
(
いちどう
)
は
代
(
かは
)
る
代
(
がは
)
る
小声
(
こごゑ
)
に
謡
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
ひ、
111
菊子姫
(
きくこひめ
)
は
長袖
(
ちやうしう
)
しとやかに
舞曲
(
ぶきよく
)
を
演
(
えん
)
じて
興
(
きよう
)
を
添
(
そ
)
へにける。
112
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
西
(
にし
)
に
没
(
かく
)
れて
夕暮
(
ゆふぐれ
)
告
(
つ
)
ぐる
諸鳥
(
ももどり
)
の
声
(
こゑ
)
、
113
淋
(
さび
)
し
気
(
げ
)
に
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
114
時
(
とき
)
しもあれ、
115
慌
(
あはただ
)
しく
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれたる
八十猛
(
やそたける
)
の
神
(
かみ
)
は、
116
八十猛
『
八島主
(
やしまぬし
)
の
命様
(
みことさま
)
に
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます、
117
只今
(
ただいま
)
バラモンの
大棟梁
(
だいとうりやう
)
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
なるもの、
118
鬼掴
(
おにつかみ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に
数多
(
あまた
)
の
魔軍
(
まぐん
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
119
当館
(
たうやかた
)
を
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
取囲
(
とりかこ
)
み
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
くに
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
かけ、
120
又
(
また
)
決死隊
(
けつしたい
)
と
見
(
み
)
えて
数百
(
すうひやく
)
の
荒武者
(
あらむしや
)
男
(
をとこ
)
、
121
長剣
(
ちやうけん
)
長槍
(
ちやうさう
)
を
閃
(
ひらめ
)
かしドツと
許
(
ばか
)
りに
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せました。
122
当館
(
たうやかた
)
の
猛将
(
まうしやう
)
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
館内
(
くわんない
)
の
味方
(
みかた
)
を
残
(
のこ
)
らず
寄
(
よ
)
せ
集
(
あつ
)
め、
123
防戦
(
ばうせん
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
居
(
を
)
りますれど、
124
敵
(
てき
)
の
勢
(
いきほひ
)
刻々
(
こくこく
)
に
加
(
くは
)
はり
味方
(
みかた
)
は
僅
(
わづ
)
かに
二十
(
にじふ
)
有余
(
いうよ
)
人
(
にん
)
、
125
敵
(
てき
)
の
大軍
(
たいぐん
)
は
衆
(
しう
)
を
恃
(
たの
)
んで
鬨
(
とき
)
を
作
(
つく
)
り、
126
一
(
いち
)
の
館
(
やかた
)
、
127
二
(
に
)
の
館
(
やかた
)
、
128
三
(
さん
)
の
館
(
やかた
)
は
最早
(
もはや
)
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
占領
(
せんりやう
)
する
処
(
ところ
)
となりました。
129
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
群
(
むら
)
がる
敵
(
てき
)
に
長剣
(
ちやうけん
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
き
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ、
130
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
斬
(
き
)
りたて
薙
(
なぎ
)
たて
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
へども、
131
敵
(
てき
)
は
眼
(
め
)
に
余
(
あま
)
る
大軍
(
たいぐん
)
、
132
勝敗
(
しようはい
)
の
数
(
かず
)
は
歴然
(
れきぜん
)
たるもの、
133
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
134
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
まし
候
(
さふらふ
)
ては
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
、
135
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
裏門
(
うらもん
)
より
峰
(
みね
)
伝
(
つた
)
ひにビワの
湖
(
うみ
)
に
逃
(
のが
)
れ
出
(
い
)
で、
136
コーカス
山
(
ざん
)
に
忍
(
しの
)
ばせ
給
(
たま
)
へ、
137
敵
(
てき
)
は
間近
(
まぢか
)
く
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せました。
138
サアサ
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
用意
(
ようい
)
あれ』
139
と
注進
(
ちうしん
)
するを、
140
八島主
(
やしまぬし
)
は
少
(
すこし
)
も
騒
(
さわ
)
がず、
141
八島主
『ホー、
142
汝
(
なんぢ
)
八十猛
(
やそたける
)
の
神
(
かみ
)
、
143
能
(
よ
)
きに
取計
(
とりはか
)
らへよ、
144
吾
(
われ
)
は
遠来
(
ゑんらい
)
の
客
(
きやく
)
を
待遇
(
もてな
)
さねばならぬ。
145
汝
(
なんぢ
)
は
国武彦
(
くにたけひこ
)
と
共
(
とも
)
に
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
すが
宜
(
よ
)
からうぞ』
146
八十猛
『これは
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
では
御座
(
ござ
)
いまするが、
147
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
148
左様
(
さやう
)
な
呑気
(
のんき
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
られませうか。
149
最早
(
もはや
)
第三
(
だいさん
)
の
館
(
やかた
)
まで
敵
(
てき
)
に
占領
(
せんりやう
)
され、
150
又
(
また
)
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
身
(
み
)
に
数槍
(
すうさう
)
を
負
(
お
)
ひ
苦戦
(
くせん
)
の
最中
(
さいちう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
151
味方
(
みかた
)
は
大半
(
たいはん
)
討死
(
うちじに
)
致
(
いた
)
した
様
(
やう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
152
何卒
(
どうぞ
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くお
客
(
きやく
)
さまと
共
(
とも
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
をお
逃
(
のが
)
れ
下
(
くだ
)
さいませ』
153
八島主
『アツハヽヽヽ、
154
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たものだ、
155
御
(
おん
)
父
(
ちち
)
の
留守
(
るす
)
を
窺
(
うかが
)
ひ、
156
弱身
(
よわみ
)
につけ
込
(
こ
)
む
風
(
かぜ
)
の
神
(
かみ
)
、
157
高
(
たか
)
が
知
(
し
)
れたる
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
、
158
仮令
(
たとへ
)
百万騎
(
ひやくまんき
)
、
159
千万騎
(
せんまんき
)
一度
(
いちど
)
に
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るとも、
160
八島主
(
やしまぬし
)
が
一本
(
いつぽん
)
の
指先
(
ゆびさき
)
の
力
(
ちから
)
にて、
161
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
にかけ
悩
(
なや
)
まし
一泡
(
ひとあわ
)
吹
(
ふ
)
かせて
呉
(
く
)
れむ、
162
汝
(
なんぢ
)
は
表
(
おもて
)
に
駆
(
か
)
け
向
(
むか
)
ひ、
163
汝
(
なんぢ
)
としての
力限
(
ちからかぎ
)
りを
尽
(
つく
)
せよ。
164
ヤアヤア
皆様
(
みなさま
)
、
165
敵軍
(
てきぐん
)
の
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
り
騒
(
さわ
)
ぐ
有様
(
ありさま
)
を
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
と
致
(
いた
)
して、
166
ゆるりと
飲
(
の
)
みませう、
167
時
(
とき
)
にとつての
一興
(
いつきよう
)
、
168
何
(
なに
)
もお
慰
(
なぐさ
)
みで
御座
(
ござ
)
います。
169
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
なりと
見物
(
けんぶつ
)
して
御心
(
みこころ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
下
(
くだ
)
さいませ』
170
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は、
171
言依別
『アツハヽヽヽ、
172
ヤア
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ました、
173
もう
少
(
すこ
)
し
近寄
(
ちかよ
)
つて
呉
(
く
)
れますれば
見物
(
けんぶつ
)
に
都合
(
つがふ
)
が
宜
(
よろ
)
しいが、
174
此処
(
ここ
)
は
確
(
たし
)
か
八
(
やつ
)
つ
目
(
め
)
の
御
(
お
)
館
(
やかた
)
、
175
まだ
四棟
(
よむね
)
も
隔
(
へだ
)
てて
居
(
を
)
りますれば
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
安全
(
あんぜん
)
地帯
(
ちたい
)
、
176
乍然
(
しかしながら
)
一利
(
いちり
)
あれば
一害
(
いちがい
)
あり、
177
危険
(
きけん
)
な
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はねば
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
は
見
(
み
)
られませぬ
哩
(
わい
)
、
178
アハヽヽヽ』
179
亀彦
(
かめひこ
)
、
180
梅彦
(
うめひこ
)
肩
(
かた
)
を
怒
(
いか
)
らし
臂
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
り、
181
顔色
(
がんしよく
)
物凄
(
ものすご
)
く
呼吸
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませ
乍
(
なが
)
ら、
182
亀彦、梅彦
『これはこれは
八島主
(
やしまぬし
)
様
(
さま
)
、
183
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
、
184
お
二方
(
ふたかた
)
は
狂気
(
きやうき
)
召
(
め
)
されたか、
185
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
臨
(
のぞ
)
んで
何
(
なに
)
を
悠々
(
いういう
)
と、
186
お
酒
(
さけ
)
どころの
騒
(
さわ
)
ぎぢや
御座
(
ござ
)
いますまい。
187
サアサ
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
をなさいませ。
188
吾々
(
われわれ
)
は
生命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
に
奮戦
(
ふんせん
)
致
(
いた
)
し、
189
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
奴輩
(
やつばら
)
を
片端
(
かたつぱし
)
より
斬
(
き
)
りたて
薙散
(
なぎち
)
らし、
190
一泡
(
ひとあわ
)
吹
(
ふ
)
かせて
呉
(
く
)
れむ』
191
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
長押
(
なげし
)
の
長刀
(
なぎなた
)
、
192
梅彦
(
うめひこ
)
はおつ
取
(
と
)
り
表
(
おもて
)
へ
出
(
い
)
でむとす。
193
亀彦
(
かめひこ
)
は
長剣
(
ちやうけん
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
き、
194
亦
(
また
)
もや
行
(
ゆ
)
かむとす。
195
愛子姫
(
あいこひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
足
(
あし
)
にヒラリと
綱
(
つな
)
をかけ
後
(
うしろ
)
に
引
(
ひ
)
いた。
196
行
(
ゆ
)
かむとする
勢
(
いきほひ
)
に、
197
力
(
ちから
)
は
上半身
(
じやうはんしん
)
に
満
(
み
)
ち
下半身
(
しもはんしん
)
は
蝉
(
せみ
)
の
脱
(
ぬ
)
け
殻
(
がら
)
の
如
(
ごと
)
くなつた
足許
(
あしもと
)
を
引掛
(
ひつか
)
けられ、
198
スツテンドウと
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
にひつくり
覆
(
かへ
)
りける。
199
亀彦
(
かめひこ
)
『
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
200
何
(
なに
)
を
悪戯
(
じやうだん
)
遊
(
あそ
)
ばす、
201
猶予
(
いうよ
)
に
及
(
およ
)
ばば
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
、
202
サアサ
姫様
(
ひめさま
)
達
(
たち
)
は
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
裏門
(
うらもん
)
より
落
(
お
)
ちのびなさい。
203
菊子姫
(
きくこひめ
)
殿
(
どの
)
、
204
幾代姫
(
いくよひめ
)
殿
(
どの
)
、
205
サアサア
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く。
206
吾
(
われ
)
は
之
(
これ
)
より
表
(
おもて
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し、
207
細腕
(
ほそうで
)
の
続
(
つづ
)
く
限
(
かぎ
)
り
奮戦
(
ふんせん
)
せむ』
208
と
又
(
また
)
もや
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
209
勢
(
いきほひ
)
こんで
表
(
おもて
)
に
行
(
ゆ
)
かむとす。
210
八島主
(
やしまぬし
)
は
悠然
(
いうぜん
)
として、
211
八島主
『アハヽヽヽ、
212
皆様
(
みなさま
)
、
213
敵
(
てき
)
の
騒
(
さわ
)
ぎを
見
(
み
)
ずとも
味方
(
みかた
)
の
狂言
(
きやうげん
)
で
沢山
(
たくさん
)
で
御座
(
ござ
)
います
哩
(
わい
)
。
214
ヤアヤア
亀彦
(
かめひこ
)
、
215
梅彦
(
うめひこ
)
先
(
ま
)
づ
一杯
(
いつぱい
)
召
(
め
)
し
上
(
あが
)
れ』
216
と
盃
(
さかづき
)
をつき
出
(
だ
)
す。
217
梅彦
(
うめひこ
)
はかぶりを
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
218
梅彦
『エーエ、
219
又
(
また
)
しても
気楽
(
きらく
)
な
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
220
ソンナ
処
(
どころ
)
で
御座
(
ござ
)
いませうか、
221
サアサ
早
(
はや
)
く
逃
(
にげ
)
るか
進
(
すす
)
むか、
222
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
間髪
(
かんぱつ
)
を
入
(
い
)
れざる
場合
(
ばあひ
)
で
御座
(
ござ
)
れば、
223
何
(
いづ
)
れへなりと
御
(
ご
)
覚悟
(
かくご
)
あつて
然
(
しか
)
るべし』
224
と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てて
二人
(
ふたり
)
は
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
225
最早
(
もはや
)
敵
(
てき
)
は
第五
(
だいご
)
の
館
(
やかた
)
を
占領
(
せんりやう
)
し
第六
(
だいろく
)
に
向
(
むか
)
はむとする
時
(
とき
)
なりき。
226
八十猛
(
やそたける
)
の
神
(
かみ
)
は
又
(
また
)
もや
血相
(
けつさう
)
を
変
(
か
)
へて
顔面
(
がんめん
)
に
血
(
ち
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
227
八十猛
『
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます、
228
最早
(
もはや
)
敵
(
てき
)
は
第六
(
だいろく
)
の
館
(
やかた
)
に
迫
(
せま
)
りました、
229
勝敗
(
しようはい
)
の
数
(
すう
)
は
已
(
すで
)
に
決
(
けつ
)
す、
230
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
落
(
お
)
ち
延
(
の
)
び
下
(
くだ
)
さいませ。
231
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
生命
(
いのち
)
のつづく
限
(
かぎ
)
り
奮戦
(
ふんせん
)
し
相果
(
あひは
)
つる
覚悟
(
かくご
)
で
御座
(
ござ
)
います』
232
八島主
(
やしまぬし
)
は
平然
(
へいぜん
)
として、
233
八島主
『ヤア
八十猛
(
やそたける
)
か、
234
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつたのう、
235
先
(
ま
)
づ、
236
ゆつくり
酒
(
さけ
)
でも
飲
(
の
)
んで
働
(
はたら
)
くが
宜
(
よ
)
からうよ』
237
八十猛
(
やそたける
)
は
息
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませ
乍
(
なが
)
ら、
238
八十猛
『ソヽヽヽそれは
何
(
なに
)
を
仰
(
おつ
)
しやります、
239
酒
(
さけ
)
どこの
騒
(
さわ
)
ぎですか、
240
国家
(
こくか
)
の
興亡
(
こうばう
)
此
(
この
)
瞬間
(
しゆんかん
)
に
迫
(
せま
)
る、
241
酒
(
さけ
)
も
喉
(
のど
)
が
通
(
とほ
)
りませぬ』
242
言依別
(
ことよりわけ
)
『アハヽヽヽ、
243
八島主
(
やしまぬし
)
の
命様
(
みことさま
)
、
244
随分
(
ずゐぶん
)
貴使
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
には
勇将
(
ゆうしやう
)
猛卒
(
まうそつ
)
が
居
(
を
)
りますね、
245
勇将
(
ゆうしやう
)
の
下
(
もと
)
に
弱卒
(
じやくそつ
)
なし、
246
イヤもう
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました』
247
八島主
『イヤ、
248
さう
言
(
い
)
はれては
返
(
かへ
)
す
言葉
(
ことば
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ、
249
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
の
醜態
(
しうたい
)
、
250
お
目
(
め
)
に
懸
(
か
)
けまして
誠
(
まこと
)
に
恥
(
はぢ
)
入
(
い
)
る
次第
(
しだい
)
で
御座
(
ござ
)
います。
251
吾々
(
われわれ
)
は
敵
(
てき
)
の
攻撃
(
こうげき
)
に
任
(
まか
)
せ
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
をとるもの、
252
元
(
もと
)
より
勝敗
(
しようはい
)
の
数
(
すう
)
は
歴然
(
れきぜん
)
たるものに
御座
(
ござ
)
いますれば、
253
何程
(
なにほど
)
慌
(
あわて
)
た
処
(
ところ
)
で
結果
(
けつくわ
)
は
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
ですよ、
254
先
(
ま
)
づは
刹那心
(
せつなしん
)
を
楽
(
たの
)
しみませう。
255
一刻
(
いつこく
)
先
(
さき
)
は
分
(
わか
)
つたものぢやありませぬよ、
256
アヽヽヽ』
257
又
(
また
)
もや
酒
(
さけ
)
をグビリグビリと
飲
(
の
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
258
日頃
(
ひごろ
)
狼狽者
(
あわてもの
)
の
玉彦
(
たまひこ
)
、
259
厳彦
(
いづひこ
)
、
260
楠彦
(
くすひこ
)
も
神界
(
しんかい
)
旅行
(
りよかう
)
の
経験
(
けいけん
)
を
得
(
え
)
てより
何
(
なん
)
となく
心
(
こころ
)
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
きしと
見
(
み
)
え、
261
此
(
この
)
騒動
(
さうだう
)
を
殆
(
ほと
)
んど
感知
(
かんち
)
せざるものの
如
(
ごと
)
く、
262
悠々
(
いういう
)
として
箸
(
はし
)
をとり、
263
贐
(
はなむけ
)
の
酒
(
さけ
)
に
舌鼓
(
したづつみ
)
を
打
(
う
)
ち
私
(
ひそ
)
かに
鼻唄
(
はなうた
)
を
謡
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
264
愛子姫
(
あいこひめ
)
は
一絃琴
(
いちげんきん
)
をとり
出
(
だ
)
し
声
(
こゑ
)
も
淑
(
しと
)
やかに
謡
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
265
愛子姫
『
菊子姫
(
きくこひめ
)
さま、
266
幾代姫
(
いくよひめ
)
さま、
267
貴女
(
あなた
)
一
(
ひと
)
つ
舞
(
ま
)
うて
下
(
くだ
)
さいな。
268
遠来
(
ゑんらい
)
の
御
(
お
)
客
(
きやく
)
様
(
さま
)
に
余
(
あま
)
り
殺風景
(
さつぷうけい
)
な
処
(
ところ
)
をお
目
(
め
)
に
懸
(
か
)
けて
済
(
す
)
まないから、
269
一
(
ひと
)
つ
花
(
はな
)
やかな
処
(
ところ
)
を
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れて
下
(
くだ
)
さい、
270
妾
(
わらは
)
が
謡
(
うた
)
ひませう』
271
菊子姫
(
きくこひめ
)
、
272
幾代姫
(
いくよひめ
)
は、
273
菊子姫、幾代姫
『あい』
274
と
答
(
こた
)
へて
仕度
(
したく
)
にとりかかり
淑
(
しと
)
やかに
舞
(
ま
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
275
表
(
おもて
)
は
修羅道
(
しゆらだう
)
の
戦
(
たたか
)
ひ。
276
奥
(
おく
)
の
一室
(
ひとま
)
は
悠々
(
いういう
)
たる
春
(
はる
)
の
花見
(
はなみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
277
秋
(
あき
)
の
夜
(
よ
)
の
月見
(
つきみ
)
の
如
(
ごと
)
く
静
(
しづ
)
まりかへつて、
278
笑
(
わら
)
ひの
声
(
こゑ
)
屋外
(
をくぐわい
)
に
洩
(
も
)
れ
居
(
ゐ
)
たり。
279
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
血糊
(
ちのり
)
の
着
(
つ
)
いた
槍
(
やり
)
を
扱
(
しご
)
き
乍
(
なが
)
ら
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
280
鬼雲彦
『ヤア
斯
(
か
)
くなる
上
(
うへ
)
は
最早
(
もはや
)
敵
(
かな
)
ふまい、
281
サア
尋常
(
じんじやう
)
に
切腹
(
せつぷく
)
致
(
いた
)
すか、
282
但
(
ただし
)
は
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
槍
(
やり
)
の
錆
(
さび
)
にして
与
(
や
)
らうか、
283
サアサア
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
どう
)
じや』
284
と
息巻
(
いきま
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
285
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
に
続
(
つづ
)
いて
鬼掴
(
おにつかみ
)
は
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
又
(
また
)
もや
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
286
鬼掴
『さしも
豪傑
(
がうけつ
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
八十猛
(
やそたける
)
、
287
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
吾手
(
わがて
)
にかかつて
脆
(
もろ
)
くも
討死
(
うちじに
)
致
(
いた
)
したれば、
288
最早
(
もはや
)
叶
(
かな
)
はぬ
百年目
(
ひやくねんめ
)
、
289
サア
尋常
(
じんじやう
)
に
切腹
(
せつぷく
)
致
(
いた
)
すか、
290
但
(
ただし
)
は
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
手
(
て
)
を
下
(
くだ
)
さうか、
291
サア
返答
(
へんたふ
)
致
(
いた
)
せ』
292
八島主
(
やしまぬし
)
『アツハヽヽヽ』
293
言依別
(
ことよりわけ
)
『オツホヽヽヽ、
294
何
(
なん
)
と
面白
(
おもしろ
)
い
芸当
(
げいたう
)
では
御座
(
ござ
)
らぬか、
295
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
役者
(
やくしや
)
も
跣足
(
はだし
)
で
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
します
哩
(
わい
)
、
296
ワツハツハヽヽヽ』
297
玉彦
(
たまひこ
)
『ヨー、
298
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
299
バラモン
教
(
けう
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
強
(
つよ
)
い
方
(
かた
)
が
居
(
ゐ
)
ますな、
300
吾々
(
われわれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
301
いや、
302
とてもとても
貴方
(
あなた
)
のお
相手
(
あひて
)
は
余
(
あんま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
らしうてなりませぬ
哩
(
わい
)
、
303
アツハツハヽヽヽ』
304
厳彦
(
いづひこ
)
『ヤア
鉛
(
なまり
)
で
造
(
つく
)
つた
仁王
(
にわう
)
の
様
(
やう
)
に
随分
(
ずゐぶん
)
立派
(
りつぱ
)
なスタイルですな、
305
ワツハヽヽヽ』
306
楠彦
(
くすひこ
)
『ホー
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
だ、
307
節
(
ふし
)
くれ
立
(
た
)
つたり、
308
気張
(
きば
)
つたり、
309
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
からやつて
来
(
き
)
たお
使
(
つかい
)
の
様
(
やう
)
だ。
310
ヤア
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
に
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
を
見
(
み
)
せて
頂
(
いただ
)
きます
哩
(
わい
)
、
311
ハツハヽヽヽ』
312
愛子姫
(
あいこひめ
)
『オホヽヽヽ、
313
あの
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
さまとやらの、
314
立派
(
りつぱ
)
のお
顔
(
かほ
)
わいな、
315
鬼掴
(
おにつかみ
)
サンのあの
気張
(
きば
)
り
様
(
やう
)
』
316
菊子姫、幾代姫
『ホヽヽヽ』
317
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
、
318
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
に
突立
(
つつた
)
ち
乍
(
なが
)
ら
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
をグリグリ
回転
(
くわいてん
)
させ、
319
鬼雲彦
『
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
及
(
およ
)
んで
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かす、
320
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
気
(
き
)
が
狂
(
くる
)
うたか、
321
哀
(
あは
)
れ
至極
(
しごく
)
の
者
(
もの
)
だ、
322
ワツハツハヽヽヽ』
323
と
豪傑
(
がうけつ
)
笑
(
わら
)
ひをする。
324
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り
乍
(
なが
)
ら
又
(
また
)
もや、
325
鬼雲彦
『ワツハヽヽヽ、
326
チエツヘヽヽヽ、
327
心地
(
ここち
)
良
(
よ
)
やな、
328
バラモン
教
(
けう
)
の
運
(
うん
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
、
329
此
(
この
)
館
(
やかた
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
るからは、
330
最早
(
もはや
)
三五教
(
あななひけう
)
は
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
、
331
扨
(
さて
)
も
扨
(
さて
)
も、
332
憐
(
あは
)
れな
者
(
もの
)
だワイ、
333
ワツハヽヽヽ』
334
と
無理
(
むり
)
に
肩
(
かた
)
をしやくり
豪傑
(
がうけつ
)
笑
(
わら
)
ひを
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
335
八島主
(
やしまぬしの
)
命
(
みこと
)
は
右
(
みぎ
)
の
食指
(
ひとさしゆび
)
をヌツと
前
(
まへ
)
に
突出
(
つきだ
)
し、
336
八島主
『ヤア
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
一同
(
いちどう
)
の
者共
(
ものども
)
、
337
能
(
よ
)
つく
聞
(
き
)
け、
338
両刃
(
もろは
)
の
長剣
(
ちやうけん
)
の
神
(
かみ
)
の
生身魂
(
いくみたま
)
、
339
熊野
(
くまの
)
楠日
(
くすび
)
の
神
(
かみ
)
とは
吾事
(
わがこと
)
なるぞ、
340
八島主
(
やしまぬし
)
とは
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
仮
(
かり
)
の
名
(
な
)
、
341
サアサア
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
すか、
342
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
どう
)
ぢや』
343
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
、
344
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ、
345
鬼雲彦
『ワツハヽヽヽ、
346
吐
(
ぬ
)
かしたりな
吐
(
ぬ
)
かしたりな、
347
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
何
(
なん
)
の
繰言
(
くりごと
)
、
348
引
(
ひ
)
かれ
者
(
もの
)
の
小唄
(
こうた
)
とは
汝
(
なんぢ
)
の
事
(
こと
)
、
349
エー
面倒
(
めんだう
)
だ、
350
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
血祭
(
ちまつ
)
りに
致
(
いた
)
して
呉
(
く
)
れむ、
351
ヤア
者共
(
ものども
)
、
352
之
(
これ
)
等
(
ら
)
一座
(
いちざ
)
の
男女
(
なんによ
)
の
木
(
こ
)
つ
端
(
ぱ
)
武者
(
むしや
)
を
討
(
う
)
ち
滅
(
ほろぼ
)
せよ』
353
と
下知
(
げち
)
すれば、
354
『ハツ』
355
と
答
(
こた
)
えて
四方
(
しはう
)
より
魔軍
(
まぐん
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
駆
(
か
)
け
集
(
あつ
)
まり
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
詰
(
つ
)
めかくる。
356
八島主
(
やしまぬし
)
は
右手
(
めて
)
を
伸
(
の
)
ばし、
357
『ウン』
358
と
一声
(
ひとこゑ
)
、
359
言霊
(
ことたま
)
の
力
(
ちから
)
に
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
将棋倒
(
しやうぎだふ
)
しにバタバタと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
360
身体
(
しんたい
)
硬直
(
かうちよく
)
して
石地蔵
(
いしぢざう
)
の
如
(
ごと
)
く
硬化
(
かうくわ
)
したり。
361
八島主
(
やしまぬし
)
『ワツハヽヽヽ』
362
言依別
(
ことよりわけ
)
『ヤア
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
363
廃
(
よ
)
せば
良
(
い
)
いのに
入
(
い
)
らぬチヨツカイを
出
(
だ
)
しよつて、
364
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
は
何事
(
なにごと
)
だ。
365
サア
玉彦
(
たまひこ
)
、
366
厳彦
(
いづひこ
)
、
367
楠彦
(
くすひこ
)
、
368
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
は
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝
(
せんでん
)
を
致
(
いた
)
すが
良
(
よ
)
からう』
369
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
370
三人
『ハア』
371
と
答
(
こた
)
へて
起
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
372
バツタリと
倒
(
たふ
)
れて
身動
(
みうご
)
きもならず
苦
(
くる
)
しめる
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
、
373
鬼掴
(
おにつかみ
)
の
前
(
まへ
)
に
突立
(
つつた
)
ち、
374
三人
『アハヽヽヽ、
375
アヽ
愉快
(
ゆくわい
)
な
事
(
こと
)
じや、
376
否
(
いや
)
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだな』
377
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
頸
(
くび
)
から
上
(
うへ
)
の
霊縛
(
れいばく
)
を
解
(
と
)
いた。
378
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
、
379
鬼掴
(
おにつかみ
)
を
始
(
はじ
)
め
数多
(
あまた
)
の
勇将
(
ゆうしやう
)
猛卒
(
まうそつ
)
は
頸
(
くび
)
許
(
ばか
)
り
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り
廻
(
まは
)
し、
380
何事
(
なにごと
)
か
頻
(
しき
)
りに
呟
(
つぶや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
381
此
(
この
)
時
(
とき
)
表
(
おもて
)
の
方
(
はう
)
より
国武彦
(
くにたけひこ
)
、
382
八十猛
(
やそたける
)
の
両人
(
りやうにん
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
383
国武彦、八十猛
『
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
に
申上
(
まをしあ
)
げます、
384
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
き
大軍
(
たいぐん
)
に
味方
(
みかた
)
は
僅
(
わづか
)
二十
(
にじふ
)
有余
(
いうよ
)
人
(
にん
)
、
385
暫時
(
しばし
)
は
挑
(
いど
)
み
戦
(
たたか
)
ひしが、
386
衆寡
(
しうくわ
)
敵
(
てき
)
せず、
387
進退
(
しんたい
)
維
(
これ
)
谷
(
きは
)
まり
味方
(
みかた
)
の
敗亡
(
はいばう
)
瞬時
(
しゆんじ
)
に
迫
(
せま
)
る
折
(
をり
)
から、
388
天
(
てん
)
の
一方
(
いつぱう
)
より
巨大
(
きよだい
)
の
火光
(
くわくわう
)
降
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
り、
389
敵
(
てき
)
の
軍中
(
ぐんちう
)
に
落下
(
らくか
)
するよと
見
(
み
)
れば、
390
思
(
おも
)
ひきや
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
391
数多
(
あまた
)
の
神軍
(
しんぐん
)
を
引率
(
いんそつ
)
して
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ、
392
群
(
むら
)
がる
敵
(
てき
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
爆弾
(
ばくだん
)
を
浴
(
あ
)
びせかけ
給
(
たま
)
へば、
393
敵
(
てき
)
は
獲物
(
えもの
)
を
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
て「
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
し、
394
胸
(
むね
)
苦
(
くる
)
し」と
叫
(
さけ
)
び
乍
(
なが
)
ら
残
(
のこ
)
らず
大地
(
だいち
)
に
打倒
(
うちたふ
)
れ
身体
(
しんたい
)
硬直
(
かうちよく
)
した
儘
(
まま
)
、
395
操
(
からく
)
り
人形
(
にんぎやう
)
の
如
(
ごと
)
くに
首
(
くび
)
を
打振
(
うちふ
)
る
可笑
(
おか
)
しさ、
396
いやもう
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
を
戴
(
いただ
)
きました。
397
ホー
此処
(
ここ
)
にも
大将株
(
たいしやうかぶ
)
が
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
りますね、
398
これはしたり、
399
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
もあればあるもので
御座
(
ござ
)
る
哩
(
わい
)
、
400
アハヽヽヽ』
401
言依別
(
ことよりわけ
)
『
吾々
(
われわれ
)
は
天下
(
てんか
)
無敵
(
むてき
)
主義
(
しゆぎ
)
を
標榜
(
へうぼう
)
するもの、
402
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
と
雖
(
いへど
)
も
矢張
(
やはり
)
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
より
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
青人草
(
あをひとぐさ
)
、
403
一人
(
ひとり
)
でも
悩
(
なや
)
め
苦
(
くる
)
しむる
事
(
こと
)
は
法
(
はふ
)
の
許
(
ゆる
)
さぬ
処
(
ところ
)
、
404
万々一
(
まんまんいち
)
敵軍
(
てきぐん
)
の
中
(
なか
)
に
於
(
おい
)
て
一人
(
ひとり
)
たりとも
負傷者
(
ふしやうしや
)
あらば
助
(
たす
)
けてやらねばなりますまい』
405
八島主
(
やしまぬし
)
『
御尤
(
ごもつと
)
もで
御座
(
ござ
)
る、
406
サア
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
乍
(
なが
)
ら
玉彦
(
たまひこ
)
様
(
さま
)
、
407
貴方
(
あなた
)
一人
(
ひとり
)
で
結構
(
けつこう
)
ですから
一度
(
いちど
)
敵味方
(
てきみかた
)
の
負傷者
(
ふしやうしや
)
の
有無
(
うむ
)
を
調
(
しら
)
べて
下
(
くだ
)
さい』
408
玉彦
(
たまひこ
)
は、
409
玉彦
『
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
410
と
早
(
はや
)
くも
起
(
た
)
つて
表
(
おもて
)
へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し、
411
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
負傷
(
ふしやう
)
して
血
(
ち
)
を
流
(
なが
)
し
苦
(
くる
)
しむ
軍卒
(
ぐんそつ
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
数歌
(
かずうた
)
を
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
412
残
(
のこ
)
らず
癒
(
い
)
やし
廻
(
まは
)
りぬ。
413
而
(
しか
)
して
玉彦
(
たまひこ
)
は
一同
(
いちどう
)
の
前
(
まへ
)
に
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひ
聞
(
き
)
かしけるに、
414
何
(
いづ
)
れも
歌
(
うた
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
るや、
415
悪
(
あく
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
の
頭
(
あたま
)
に
厳
(
きび
)
しく
応
(
こた
)
へしと
見
(
み
)
えて
益々
(
ますます
)
苦悶
(
くもん
)
の
呻
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
高
(
たか
)
くなり
行
(
ゆ
)
く。
416
奥
(
おく
)
の
一室
(
ひとま
)
には
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
、
417
鬼掴
(
おにつかみ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
猛将
(
まうしやう
)
勇卒
(
ゆうそつ
)
に
向
(
むか
)
つて
厳彦
(
いづひこ
)
、
418
楠彦
(
くすひこ
)
は
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
宣
(
の
)
り
聞
(
き
)
かしゐる。
419
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
此
(
この
)
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
くより
益々
(
ますます
)
苦悶
(
くもん
)
し
始
(
はじ
)
め
流汗
(
りうかん
)
淋漓
(
りんり
)
、
420
青息
(
あをいき
)
吐息
(
といき
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
て
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
藻掻
(
もが
)
く
可笑
(
おか
)
しさ。
421
言依別
(
ことよりわけ
)
『
如何
(
どう
)
しても
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
と
言
(
い
)
ふものは
争
(
あらそ
)
はれぬものだナア。
422
何程
(
なにほど
)
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
を
聞
(
きか
)
してやつた
処
(
ところ
)
で、
423
身魂
(
みたま
)
があはねば
帰順
(
きじゆん
)
させる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬと
見
(
み
)
える。
424
人
(
ひと
)
には
人
(
ひと
)
の
食
(
く
)
ふ
食物
(
しよくもつ
)
があり、
425
牛
(
うし
)
には
牛
(
うし
)
、
426
獅子
(
しし
)
には
獅子
(
しし
)
、
427
猫
(
ねこ
)
には
猫
(
ねこ
)
、
428
糞虫
(
くそむし
)
には
糞虫
(
くそむし
)
の
食糧
(
しよくりやう
)
が
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
に
定
(
きま
)
つてる
様
(
やう
)
に、
429
教
(
をしへ
)
の
餌
(
えば
)
も
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだと
見
(
み
)
える。
430
人間
(
にんげん
)
の
食
(
く
)
ふべき
食物
(
しよくもつ
)
を
牛馬
(
ぎうば
)
に
与
(
あた
)
ふるのは
却
(
かへつ
)
て
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
を
苦
(
くる
)
しめる
様
(
やう
)
なものだ。
431
縁
(
えん
)
なき
衆生
(
しゆじやう
)
は
済度
(
さいど
)
し
難
(
がた
)
し、
432
悪神
(
あくがみ
)
は
悪神
(
あくがみ
)
相当
(
さうたう
)
の
安心
(
あんしん
)
を
以
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
るでせう、
433
何程
(
なにほど
)
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
を
救
(
すく
)
ふてやり
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
うてもこれは
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
でせうよ、
434
再
(
ふたた
)
び
敵
(
てき
)
たはぬ
様
(
やう
)
にして
帰
(
かへ
)
して
与
(
や
)
りませうかい』
435
八島主
(
やしまぬし
)
『
貴使
(
あなた
)
の
御
(
お
)
説
(
せつ
)
、
436
御尤
(
ごもつと
)
もで
御座
(
ござ
)
る。
437
然
(
しか
)
らば
腰
(
こし
)
より
上
(
うへ
)
は
暫
(
しば
)
らく
元
(
もと
)
の
硬直
(
かうちよく
)
状態
(
じやうたい
)
にして
置
(
お
)
いて
足
(
あし
)
のみ
自由
(
じいう
)
を
許
(
ゆる
)
して
与
(
や
)
りませう』
438
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
八島主
(
やしまぬし
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
示指
(
ひとさしゆび
)
をグツと
前
(
まへ
)
に
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
し
空中
(
くうちう
)
に
円
(
ゑん
)
を
描
(
ゑが
)
いて、
439
八島主
『
半日
(
はんにち
)
の
間
(
あひだ
)
、
440
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
は
霊縛
(
れいばく
)
を
加
(
くは
)
ふ、
441
腰
(
こし
)
から
以下
(
いか
)
は
自由
(
じいう
)
を
許
(
ゆる
)
す』
442
との
声
(
こゑ
)
の
下
(
した
)
より
今迄
(
いままで
)
氷柱
(
いてばしら
)
の
如
(
ごと
)
くなつて
居
(
ゐ
)
た
手足
(
てあし
)
は
く
の
字
(
じ
)
に
曲
(
まが
)
りムクムクと
起
(
た
)
つて、
443
首
(
くび
)
を
据
(
す
)
ゑたまま、
444
手
(
て
)
を
垂直
(
すゐちよく
)
したもの、
445
片手
(
かたて
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げたもの、
446
種々
(
しゆじゆ
)
様々
(
さまざま
)
の
珍姿
(
ちんし
)
怪態
(
くわいたい
)
の
陳列場
(
ちんれつぢやう
)
を
開設
(
かいせつ
)
し、
447
一目散
(
いちもくさん
)
に
門外
(
もんぐわい
)
さして
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひ
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す。
448
玉彦
(
たまひこ
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
449
玉彦
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
良
(
い
)
い
工夫
(
くふう
)
だ。
450
オイ
数多
(
あまた
)
の
魔軍
(
まぐん
)
共
(
ども
)
、
451
之
(
これ
)
より
一
(
いち
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
、
452
腰
(
こし
)
より
上
(
うへ
)
は
霊縛
(
れいばく
)
を
加
(
くは
)
へ
置
(
お
)
く、
453
腰
(
こし
)
より
下
(
した
)
は
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
勝手
(
かつて
)
たるべし、
454
許
(
ゆる
)
す』
455
と
云
(
い
)
ふ
言葉
(
ことば
)
の
下
(
もと
)
に
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
足
(
あし
)
は
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
したり。
456
一同
(
いちどう
)
は
足
(
あし
)
の
自由
(
じいう
)
となりしを
幸
(
さひは
)
ひ
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
は
材木
(
ざいもく
)
の
様
(
やう
)
にビクともせず、
457
足
(
あし
)
のみ
忙
(
いそが
)
しく
門外
(
もんぐわい
)
さしてウンともスンとも
得
(
え
)
言
(
い
)
はず、
458
コソコソと
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにけり。
459
(
大正一一・四・四
旧三・八
於錦水亭
北村隆光
録)
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(B)
(N)
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【第22章 和と戦|第15巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1522】
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