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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第15巻(寅の巻)
序
凡例
総説歌
第1篇 正邪奮戦
第1章 破羅門
第2章 途上の変
第3章 十六花
第4章 神の栄光
第5章 五天狗
第6章 北山川
第7章 釣瓶攻
第8章 ウラナイ教
第9章 薯蕷汁
第10章 神楽舞
第2篇 古事記言霊解
第11章 大蛇退治の段
第3篇 神山霊水
第12章 一人旅
第13章 神女出現
第14章 奇の岩窟
第15章 山の神
第16章 水上の影
第17章 窟の酒宴
第18章 婆々勇
第4篇 神行霊歩
第19章 第一天国
第20章 五十世紀
第21章 帰顕
第22章 和と戦
第23章 八日の月
跋文
余白歌
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霊界物語
>
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第15巻(寅の巻)
> 第1篇 正邪奮戦 > 第9章 薯蕷汁
<<< ウラナイ教
(B)
(N)
神楽舞 >>>
第九章
薯蕷汁
(
とろろじる
)
〔五七六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
篇:
第1篇 正邪奮戦
よみ(新仮名遣い):
せいじゃふんせん
章:
第9章 薯蕷汁
よみ(新仮名遣い):
とろろじる
通し章番号:
576
口述日:
1922(大正11)年04月02日(旧03月06日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ウラナイ教もまた、邪神が人の身に巣くって立てた曲業の教えであった。
教主・高姫は、三人の宣伝使に危難を救われたとて、強いて一行を饗応の宴に迎え入れた。
五人が広間で待っていると高姫が現れ、ウラナイ教の祀る大自在天が三五教の宣伝使に乗り移って自分を助けたのだから、一行は大自在天の道具として使われただけだ、と言い捨てる。
また高姫は、わざと縁の欠けたどんぶりにとろろ飯を盛ってこさせ、宣伝使たちの身魂にふさわしい器を見つけてきた、と嘲笑する。国彦は怒ってとろろ飯を座敷に投げ捨ててしまった。
高姫らはその有様を見て、宣伝使の行いをあげつらって三五教をあざ笑う。黒姫と名乗るもう一人の婆は、素盞嗚命をこき下ろした。そして、高姫を変性男子の血筋で日の出神の生き宮である、と持ち上げた。
国彦は罵り合いの末、屁をこいて出て行ってしまった。道彦と安彦はその場を取り繕い、なぜ盲人ばかり信者にしているのか、と逆に質問をした。
黒姫は、世間のことが何もわからないようにしておいて神一筋となるよう、耳の鼓膜を破り、目の玉を抜いてしまうのだ、と答えた。そして高姫と黒姫は一同に、三五教を捨ててウラナイ教に改心するようにと迫り、出刃包丁を閃かして襲い掛かった。
安彦、道彦は逃げようとするが、とろろ汁にすべって転んでしまう。高姫と黒姫もすべって転び、出刃包丁は安彦の側の床に突き刺さった。
田加彦、百舌彦が加勢に来るが、やはりとろろ汁にすべって転んでしまう。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-04-06 02:13:18
OBC :
rm1509
愛善世界社版:
102頁
八幡書店版:
第3輯 318頁
修補版:
校定版:
102頁
普及版:
46頁
初版:
ページ備考:
001
千早
(
ちはや
)
振
(
ふ
)
る
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
のその
始
(
はじ
)
め、
002
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
背
(
そむ
)
きたる、
003
天足
(
あだる
)
彦
(
ひこ
)
や
胞場姫
(
えばひめ
)
の、
004
醜
(
しこ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
凝結
(
ぎようけつ
)
し、
005
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
や、
006
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
白面
(
はくめん
)
の
悪狐
(
あくこ
)
となつて、
007
天地
(
てんち
)
の
水火
(
いき
)
を
曇
(
くも
)
らせつ、
008
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
現
(
あら
)
はれし、
009
常世
(
とこよ
)
彦
(
ひこ
)
や
常世姫
(
とこよひめ
)
、
010
盤古
(
ばんこ
)
大神
(
だいじん
)
の
体
(
からだ
)
に
宿
(
やど
)
りて
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
し、
011
一度
(
いちど
)
は
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に、
012
服
(
まつろ
)
ひ
奉
(
まつ
)
り
真心
(
まごころ
)
に、
013
立帰
(
たちかへ
)
りしも
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
の、
014
いや
次々
(
つぎつぎ
)
に
伝
(
つた
)
はりて、
015
ウラル
彦
(
ひこ
)
やウラル
姫
(
ひめ
)
の、
016
又
(
また
)
もや
体
(
からだ
)
に
宿
(
やど
)
りつつ、
017
天地
(
てんち
)
を
乱
(
みだ
)
す
曲業
(
まがわざ
)
の、
018
力
(
ちから
)
も
失
(
う
)
せて
常世
(
とこよ
)
国
(
くに
)
、
019
島
(
しま
)
の
八十島
(
やそしま
)
八十国
(
やそくに
)
の
深山
(
みやま
)
の
奥
(
おく
)
に
立籠
(
たてこも
)
り、
020
人
(
ひと
)
の
身魂
(
みたま
)
を
宿
(
やど
)
として、
021
バラモン
教
(
けう
)
やウラナイの、
022
教
(
をしへ
)
を
樹
(
た
)
てて
北山
(
きたやま
)
の、
023
鳥
(
とり
)
も
通
(
かよ
)
はぬ
山奥
(
やまおく
)
に、
024
数多
(
あまた
)
の
魔神
(
まがみ
)
を
呼
(
よ
)
び
集
(
つど
)
へ、
025
ウラナイ
教
(
けう
)
と
銘
(
めい
)
打
(
う
)
つて、
026
又
(
また
)
もや
国
(
くに
)
を
乱
(
みだ
)
し
行
(
ゆ
)
く、
027
其
(
そ
)
の
曲業
(
まがわざ
)
ぞ
由々
(
ゆゆ
)
しけれ。
028
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
029
安彦
(
やすひこ
)
、
030
国彦
(
くにひこ
)
、
031
道彦
(
みちひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
はれ、
032
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
あら
)
はし
館
(
やかた
)
に
迎
(
むか
)
へ
入
(
い
)
れて、
033
鄭重
(
ていちよう
)
に
饗応
(
きやうおう
)
せむと
強
(
しひ
)
て
一行
(
いつかう
)
を
迎
(
むか
)
へ
入
(
い
)
れた。
034
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
美
(
うる
)
はしき
一室
(
ひとま
)
に
招
(
せう
)
ぜられ、
035
手足
(
てあし
)
を
伸
(
の
)
ばし
悠々
(
いういう
)
として
寛
(
くつろ
)
いでゐる。
036
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
037
高姫
『コレハコレハ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
038
能
(
よ
)
うマア
危
(
あやふ
)
き
所
(
ところ
)
を
御
(
お
)
救
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
039
これと
云
(
い
)
ふも
全
(
まつた
)
く
妾
(
わたし
)
が
日頃
(
ひごろ
)
信仰
(
しんかう
)
するウラナイ
教
(
けう
)
の
御
(
ご
)
本尊
(
ほんぞん
)
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せでございませう。
040
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
憑依
(
のりうつ
)
つて、
041
妾
(
わらは
)
の
危難
(
きなん
)
を
御
(
お
)
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さつたのです。
042
謂
(
ゐ
)
はば
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
道具
(
だうぐ
)
に
御
(
お
)
使
(
つか
)
はれなさつただけのもの、
043
貴方
(
あなた
)
の
奥
(
おく
)
には
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
鎮
(
しづ
)
まりでございます。
044
誠
(
まこと
)
に
以
(
もつ
)
て
御
(
お
)
道具
(
だうぐ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でございました。
045
何
(
なに
)
もございませぬが
悠々
(
いういう
)
と
御
(
お
)
あがり
下
(
くだ
)
さいませ』
046
と
言
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
てて
徐々
(
しづしづ
)
と
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
047
国彦
(
くにひこ
)
『ナンダ、
048
怪体
(
けつたい
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
じやないか。
049
われわれは
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
に
依
(
よ
)
つて、
050
敵
(
てき
)
を
敵
(
てき
)
と
致
(
いた
)
さず
生命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
に
危険
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して
救
(
すく
)
つてやつたのだ。
051
それに
何
(
なん
)
ぞや、
052
大自在天
(
だいじざいてん
)
の
御
(
お
)
道具
(
だうぐ
)
に
使
(
つか
)
はれなさつたなぞと、
053
減
(
へら
)
ず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
きよつて
何
(
ど
)
うも
宗旨
(
しうし
)
根性
(
こんじやう
)
と
云
(
い
)
ふものは、
054
何処迄
(
どこまで
)
も
抜
(
ぬ
)
けぬものとみえるワイ』
055
道彦
(
みちひこ
)
『マアマア
何
(
ど
)
うでも
好
(
い
)
いぢやないか。
056
彼奴
(
あいつ
)
を
片端
(
かたつぱし
)
から
三五教
(
あななひけう
)
に
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
がしさへすれば
好
(
い
)
いのだ。
057
何
(
なん
)
でも
好
(
い
)
いから
言
(
い
)
はすだけ
言
(
い
)
はして
置
(
お
)
けば、
058
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
が
自然
(
しぜん
)
に
解
(
わか
)
つて
来
(
く
)
る。
059
さう
言葉尻
(
ことばじり
)
を
捉
(
とら
)
へて、
060
ゴテゴテ
言
(
い
)
ふものでは
無
(
な
)
い。
061
洋々
(
やうやう
)
たる
海
(
うみ
)
の
如
(
ごと
)
き
寛容心
(
くわんようしん
)
を
以
(
もつ
)
て
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
に
掛
(
かか
)
らねば、
062
彼
(
あ
)
れ
位
(
くらゐ
)
なことに
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
を
立
(
た
)
てて
鼻息
(
はないき
)
を
喘
(
はづ
)
ますやうなことでは、
063
到底
(
たうてい
)
宣伝使
(
せんでんし
)
どころか、
064
信者
(
しんじや
)
たるの
価値
(
かち
)
さへもないと
云
(
い
)
つても
然
(
しか
)
りだよ』
065
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも
以前
(
いぜん
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は、
066
縁
(
ふち
)
の
欠
(
か
)
けたる
丼鉢
(
どんぶりばち
)
に
麦飯
(
むぎめし
)
を
盛
(
も
)
り、
067
粘々
(
ねばねば
)
したものをドロリとかけ、
068
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
小間使
(
こまづかひ
)
に
持
(
も
)
たせて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
069
高姫
『コレハコレハ
皆
(
みな
)
サン、
070
ご
苦労
(
くらう
)
でございました。
071
山家
(
やまが
)
のこととて
何
(
なに
)
か
御
(
お
)
構
(
かま
)
ひを
致
(
いた
)
さねばなりませぬが、
072
麦飯
(
むぎめし
)
に
薯蕷汁
(
とろろ
)
が
出来
(
でき
)
ました。
073
これなりとドツサリ
御
(
お
)
あがり
下
(
くだ
)
さい。
074
俄
(
にはか
)
の
客来
(
きやくらい
)
で
沢山
(
たくさん
)
の
鉢
(
はち
)
の
中
(
なか
)
から
探
(
さが
)
しましたが、
075
縁
(
ふち
)
の
欠
(
か
)
けたのは
漸
(
やうや
)
く
三
(
み
)
つよりございませぬ。
076
二人
(
ふたり
)
の
御供
(
みとも
)
は
最前
(
さいぜん
)
ソツとあがれとも
音
(
おと
)
はぬのに、
077
喜三郎
(
きさぶろう
)
をなさいましたから、
078
どうぞ
辛抱
(
しんばう
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
079
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
に
出
(
だ
)
すやうな
器
(
うつは
)
は
漸
(
やうや
)
う
三
(
み
)
つ
見
(
み
)
つかりました。
080
後
(
あと
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
完全
(
くわんぜん
)
無欠
(
むけつ
)
の
器
(
うつは
)
ばつかりでございます。
081
この
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
えても
痰
(
たん
)
なぞは
滅多
(
めつた
)
に
混入
(
こんにふ
)
してゐる
気遣
(
きづか
)
ひはございませぬ。
082
どうぞタント タント
御
(
お
)
あがり
下
(
くだ
)
さいませ。
083
オホヽヽヽヽ』
084
と
厭
(
いや
)
らしき
笑
(
わら
)
ひと
共
(
とも
)
に、
085
白
(
しろ
)
い
出歯
(
でば
)
をニユツと
出
(
だ
)
し、
086
のそりのそりと
又
(
また
)
もや
元
(
もと
)
の
居室
(
ゐま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
087
国彦
(
くにひこ
)
『われわれを
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
侮辱
(
ぶじよく
)
しよる
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ。
088
恰
(
まる
)
で
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
の
二人
(
ふたり
)
婆
(
ばば
)
のやうな
面
(
つら
)
をしよつて、
089
モー
堪忍袋
(
かんにんぶくろ
)
の
緒
(
を
)
が
切
(
き
)
れた』
090
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
091
丼鉢
(
どんぶりばち
)
の
麦飯
(
むぎめし
)
とろろ
を
座敷
(
ざしき
)
一面
(
いちめん
)
に
投
(
な
)
げつける。
092
座敷
(
ざしき
)
はヌルヌルと
とろろ
の
泥田
(
どろた
)
のやうになつて
了
(
しま
)
つた。
093
又
(
また
)
もや
二人分
(
ふたりぶん
)
の
丼鉢
(
どんぶりばち
)
を
次
(
つぎ
)
の
室
(
ま
)
に
投
(
な
)
げ
付
(
つ
)
け、
094
次
(
つぎ
)
の
室
(
ま
)
も
亦
(
また
)
とろろ
の
泥田
(
どろた
)
となつた。
095
国彦
(
くにひこ
)
『さアこれで
溜飲
(
りういん
)
が
下
(
さが
)
つた。
096
婆
(
ばば
)
の
奴
(
やつ
)
滑
(
すべ
)
り
倒
(
こ
)
けよると
一層
(
ひとしほ
)
御
(
ご
)
愛嬌
(
あいけう
)
だがナア』
097
安彦
(
やすひこ
)
『オイ
国彦
(
くにひこ
)
、
098
貴様
(
きさま
)
は
乱暴
(
らんばう
)
な
奴
(
やつ
)
だナア。
099
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
喧嘩
(
けんくわ
)
を
買
(
か
)
うと
云
(
い
)
ふことがあるものか、
100
如何
(
いか
)
なる
強敵
(
きやうてき
)
に
向
(
むか
)
つても
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
で、
101
誠
(
まこと
)
で
勝
(
か
)
つのだよ。
102
ナント
云
(
い
)
ふ
情無
(
なさけな
)
いことをして
呉
(
く
)
れるのだ。
103
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
破門
(
はもん
)
を
致
(
いた
)
すから、
104
さう
心得
(
こころえ
)
ろ』
105
国彦
(
くにひこ
)
『それだから
三五教
(
あななひけう
)
は
腰抜
(
こしぬ
)
け
教
(
けう
)
だと
云
(
い
)
ふのだよ。
106
貴様
(
きさま
)
の
方
(
はう
)
から
破門
(
はもん
)
する
迄
(
まで
)
に、
107
こちらの
方
(
はう
)
から
国交
(
こくかう
)
断絶
(
だんぜつ
)
だ』
108
と
自暴糞
(
やけくそ
)
になり、
109
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
となつてドンドンと
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
み
鳴
(
な
)
らし、
110
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ふ
此
(
こ
)
の
物音
(
ものおと
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
111
高姫
(
たかひめ
)
を
始
(
はじ
)
め
数人
(
すうにん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
112
高姫
(
たかひめ
)
『コレハコレハ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
113
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
教理
(
けうり
)
には
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました。
114
口
(
くち
)
では
立派
(
りつぱ
)
なことを
仰有
(
おつしや
)
るが、
115
其
(
そ
)
の
行
(
おこな
)
ひは
一層
(
ひとしほ
)
見上
(
みあ
)
げたもの、
116
人
(
ひと
)
の
座敷
(
ざしき
)
に
泊
(
とま
)
り
乍
(
なが
)
ら、
117
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
が
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
めた
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
座敷
(
ざしき
)
一面
(
いちめん
)
に
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らし
襖
(
ふすま
)
を
蹴倒
(
けたふ
)
し、
118
障子
(
しやうじ
)
の
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
り、
119
イヤもう
乱暴
(
らんばう
)
狼藉
(
ろうぜき
)
、
120
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
教理
(
けうり
)
には、
121
ウラナイ
教
(
けう
)
の
吾々
(
われわれ
)
も、
122
あまり
感心
(
かんしん
)
の
度
(
ど
)
が
過
(
す
)
ぎてアフンと
致
(
いた
)
します。
123
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
が
閉
(
すぼ
)
まりませぬ。
124
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
通
(
どほ
)
り
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
踏込
(
ふみこ
)
む
所
(
ところ
)
がございませぬ。
125
オホヽヽヽヽ。
126
コレコレ
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
ども、
127
この
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
御教
(
みをしへ
)
をお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は、
128
能
(
よ
)
く
腹
(
はら
)
へ
入
(
い
)
れて
置
(
お
)
くがよいぞや』
129
もう
一人
(
ひとり
)
の
婆
(
ばば
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし、
130
婆
『コリヤお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
云
(
い
)
つて
偉
(
えら
)
さうに
天下
(
てんか
)
を
股
(
また
)
にかけて
歩
(
ある
)
く
代物
(
しろもの
)
だらう。
131
大方
(
おほかた
)
三五教
(
あななひけう
)
は
斯
(
こ
)
んな
行
(
おこな
)
ひの
悪
(
わる
)
い
宗教
(
しうけう
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
つた。
132
やつぱり
人
(
ひと
)
の
風評
(
うはさ
)
は
疑
(
うたが
)
はれぬワイ。
133
屹度
(
きつと
)
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
世
(
よ
)
の
乱
(
みだ
)
れたやり
方
(
かた
)
を
見倣
(
みなら
)
うて、
134
其処中
(
そこらぢう
)
を
とろろ
ドツコイ
泥
(
どろ
)
だらけに
穢
(
けが
)
して
歩
(
ある
)
く
悪
(
あく
)
の
御用
(
ごよう
)
だらう。
135
素盞嗚
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
は
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
閉
(
し
)
める
役
(
やく
)
だと
云
(
い
)
ふことだが、
136
悪
(
あく
)
も
其処
(
そこ
)
まで
徹底
(
てつてい
)
すれば
反
(
かへ
)
つて
面白
(
おもしろ
)
い。
137
このウラナイ
教
(
けう
)
は
斯
(
こ
)
う
見
(
み
)
えても
立派
(
りつぱ
)
なものだぞ。
138
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
つとるのだぞ。
139
三五教
(
あななひけう
)
も
初
(
はじ
)
めは
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
教
(
をしへ
)
で
立派
(
りつぱ
)
なものだつたが、
140
素盞嗚
(
すさのをの
)
命
(
みこと
)
の
身魂
(
みたま
)
の
憑
(
うつ
)
つた
肉体
(
にくたい
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
141
人
(
ひと
)
の
苦労
(
くらう
)
で
徳
(
とく
)
を
取
(
と
)
らうとしよつて、
142
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
を
押込
(
おしこ
)
めて
世
(
よ
)
の
乱
(
みだ
)
れた
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
の、
143
女子
(
によし
)
の
教
(
をしへ
)
が
覇張
(
はば
)
るものだから
三五教
(
あななひけう
)
もコンナ
悪
(
あく
)
の
教
(
をしへ
)
になつて
了
(
しま
)
つたのだ。
144
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
は
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
には、
145
ウラル
教
(
けう
)
が
何
(
ど
)
うだのバラモン
教
(
けう
)
が
悪
(
あく
)
だのと、
146
お
題目
(
だいもく
)
のやうに
仰有
(
おつしや
)
るけれど、
147
今
(
いま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
行
(
おこな
)
ひは
何
(
ど
)
うぢやな。
148
これでも
善
(
ぜん
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
教
(
をしへ
)
と
云
(
い
)
ふのかい。
149
この
高姫
(
たかひめ
)
も
元
(
もと
)
は
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
御
(
お
)
血筋
(
ちすぢ
)
の
肉体
(
にくたい
)
だ、
150
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぢや。
151
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまもチヨコチヨコ
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつて、
152
体主霊従国
(
がいこく
)
の
悪神
(
あくがみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
を、
153
すつかりと
握
(
にぎ
)
つてござるのぢや。
154
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
胴体
(
どうたい
)
無
(
な
)
しの
烏賊
(
いか
)
上
(
のぼ
)
り、
155
三文
(
さんもん
)
の
大神楽
(
だいかぐら
)
のやうに
頤太
(
あごた
)
ばつかり
発達
(
はつたつ
)
しよつて、
156
鰐
(
わに
)
のやうな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けて、
157
其方
(
そちら
)
此方
(
こちら
)
の
有象
(
うざう
)
無象
(
むざう
)
を
噛
(
か
)
んだり、
158
吐
(
は
)
いたりする
大化物
(
おほばけもの
)
だ。
159
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
其
(
そ
)
の
大化物
(
おほばけもの
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
思
(
おも
)
つて
戴
(
いただ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
小化物
(
こばけもの
)
ならよいが、
160
小馬鹿
(
こばか
)
者
(
もの
)
の
薄
(
うす
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
だよ。
161
これからちつとウラナイ
教
(
けう
)
の
教
(
をしへ
)
を
聴
(
き
)
きなさい。
162
身
(
み
)
の
行
(
おこな
)
ひを
換
(
か
)
へて
誠
(
まこと
)
水晶
(
すゐしやう
)
のやり
方
(
かた
)
に
立替
(
たてか
)
へねば
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
つても
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
は
来
(
き
)
はせぬぞえ』
163
国彦
(
くにひこ
)
『エーエ、
164
ツベコベと
能
(
よ
)
う
八釜敷
(
やかまし
)
く
吐
(
ぬか
)
す
婆
(
ばば
)
だな。
165
貴様
(
きさま
)
は
偉
(
えら
)
さうにツベコベと
小理窟
(
こりくつ
)
を
並
(
なら
)
べよるが、
166
人
(
ひと
)
を
招待
(
せうたい
)
するに
欠
(
か
)
けた
穢
(
きたな
)
い
鉢
(
はち
)
を
選
(
えら
)
んで
出
(
だ
)
すと
云
(
い
)
ふことがあるかい。
167
これが
抑
(
そもそ
)
も
貴様
(
きさま
)
の
方
(
はう
)
から
俺
(
おれ
)
を
焚
(
た
)
きつけにかかつてゐよるのだ。
168
三五教
(
あななひけう
)
だつて、
169
いらはぬ
蜂
(
はち
)
はささぬぞ、
170
釣鐘
(
つりがね
)
も
叩
(
たた
)
くものが
無
(
な
)
ければ
音
(
おと
)
なしいものだ、
171
春秋
(
しゆんじう
)
の
筆法
(
ひつぱふ
)
で
言
(
い
)
へば、
172
貴様
(
きさま
)
が
丼鉢
(
どんぶりばち
)
を
投
(
な
)
げたのだ。
173
イヤ
大自在天
(
だいじざいてん
)
がやつたのだ。
174
俺
(
おれ
)
は
大自在天
(
だいじざいてん
)
の
道具
(
だうぐ
)
に
使
(
つか
)
はれたのだ。
175
此処
(
ここ
)
の
大将
(
たいしやう
)
が
最前
(
さいぜん
)
さう
云
(
い
)
つたぢやないか。
176
ナント
大自在天
(
だいじざいてん
)
と
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
は
乱暴
(
らんばう
)
な
神
(
かみ
)
だなア。
177
ウラナイ
教
(
けう
)
はコンナ
悪魔
(
あくま
)
の
乱暴
(
らんばう
)
な
神
(
かみ
)
を
御
(
ご
)
本尊
(
ほんぞん
)
にして
居
(
ゐ
)
るのか
苟
(
いやし
)
くも
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
178
至粋
(
しすゐ
)
至純
(
しじゆん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
持主
(
もちぬし
)
だぞ』
179
高姫
(
たかひめ
)
『オホヽヽヽ、
180
至粋
(
しすゐ
)
至純
(
しじゆん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
持主
(
もちぬし
)
の
為
(
な
)
さること
哩
(
わい
)
のー。
181
自分
(
じぶん
)
のした
責任
(
せきにん
)
を、
182
勿体無
(
もつたいな
)
い、
183
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
に
塗
(
ぬ
)
りつけて、
184
それで
自分
(
じぶん
)
は
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
の
半兵衛
(
はんべゑ
)
をきめこんでゐるのか。
185
都合
(
つがう
)
の
好
(
い
)
い
教理
(
けうり
)
だなア』
186
国彦
(
くにひこ
)
『われわれの
魂
(
たましひ
)
は
水晶魂
(
すゐしやうだま
)
だ。
187
真澄
(
ますみ
)
の
鏡
(
かがみ
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
188
それだからウラナイ
教
(
けう
)
の
悪
(
あく
)
がすつかり
此方
(
こちら
)
の
鏡
(
かがみ
)
に
映
(
うつ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ。
189
アーア
水晶
(
すゐしやう
)
の
身魂
(
みたま
)
も
辛
(
つら
)
いものだワイ。
190
アハヽヽヽ』
191
黒姫
(
くろひめ
)
『
団子
(
だんご
)
理窟
(
りくつ
)
をこねる
日
(
ひ
)
には
際限
(
さいげん
)
が
無
(
な
)
い。
192
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
行
(
おこな
)
ひが
一等
(
いつとう
)
だ。
193
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
お
)
座敷
(
ざしき
)
の
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
に
主人
(
しゆじん
)
の
好意
(
かうい
)
で
出
(
だ
)
した
麦飯
(
むぎめし
)
とろろ
を
打
(
ぶ
)
ち
開
(
あ
)
けるとは
沙汰
(
さた
)
の
限
(
かぎ
)
り、
194
やつぱり
悪
(
あく
)
の
性来
(
しやうらい
)
は
何
(
ど
)
うしても
現
(
あら
)
はれるものぢや。
195
ソンナ
馬鹿
(
ばか
)
な
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
になるよりも、
196
一
(
ひと
)
つ
改心
(
かいしん
)
してウラナイ
教
(
けう
)
になつたら
如何
(
どう
)
だい。
197
誠
(
まこと
)
の
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
教
(
をしへ
)
は
此
(
こ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまと、
198
黒姫
(
くろひめ
)
がチヤント
要
(
かなめ
)
を
握
(
にぎ
)
つてゐるのだよ。
199
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
の
根本
(
こんぽん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
から、
200
人民
(
じんみん
)
の
大先祖
(
だいせんぞ
)
のことから
又
(
また
)
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
のこと、
201
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
、
202
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
、
203
なにも
彼
(
か
)
も
知
(
し
)
つて
知
(
し
)
つて
知
(
し
)
り
抜
(
ぬ
)
いた
世界
(
せかい
)
で、
204
たつた
一人
(
ひとり
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぢや。
205
この
黒姫
(
くろひめ
)
は
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
の
守護
(
しゆご
)
だぞ。
206
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
も
元
(
もと
)
は
此処
(
ここ
)
から
現
(
あら
)
はれたのだ。
207
本
(
もと
)
が
大事
(
だいじ
)
ぢや。
208
「
本
(
もと
)
断
(
き
)
れて
末
(
すゑ
)
続
(
つづ
)
くとは
思
(
おも
)
ふなよ。
209
本
(
もと
)
ありての
枝
(
えだ
)
もあれば、
210
末
(
すゑ
)
もあるぞよ」と
三五教
(
あななひけう
)
は
教
(
をし
)
へて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
211
その
根本
(
こんぽん
)
の
本
(
もと
)
の
本
(
もと
)
の
大本
(
おほもと
)
は、
212
此
(
この
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
がグツト
握
(
にぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのぢや。
213
神
(
かみ
)
の
奥
(
おく
)
には
奥
(
おく
)
があるぞ。
214
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
のやうに
理窟
(
りくつ
)
ばかり
言
(
い
)
つてこの
頃
(
ごろ
)
流行
(
はや
)
る
学
(
がく
)
の
力
(
ちから
)
を
以
(
もつ
)
て、
215
神
(
かみ
)
の
因縁
(
いんねん
)
を
説
(
と
)
かうと
思
(
おも
)
つても、
216
それは
駄目
(
だめ
)
ぢや。
217
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つたとて
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
因縁
(
いんねん
)
が
判
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
るものか。
218
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
が
致
(
いた
)
し
度
(
た
)
くば、
219
ウラナイ
教
(
けう
)
に
改心
(
かいしん
)
して
随
(
したが
)
うがよかろう』
220
国彦
(
くにひこ
)
『
婆
(
ば
)
アサン、
221
大
(
おほ
)
きに
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
かけました。
222
この
国彦
(
くにひこ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
でも
無
(
な
)
ければ、
223
ウラル
教
(
けう
)
でもない、
224
ウラナイ
教
(
けう
)
では
尚更
(
なほさら
)
ないのだ。
225
あまり
三五教
(
あななひけう
)
の
悪
(
わる
)
いことばつかり
仰有
(
おつしや
)
ると、
226
ウラナイ
教
(
けう
)
の
化
(
ば
)
けの
皮
(
かは
)
が
現
(
あら
)
はれるぞえ。
227
左様
(
さやう
)
なら、
228
モシモシ
三五教
(
あななひけう
)
の
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
サン
御悠
(
ごゆつ
)
くりと
下
(
くだ
)
らぬ
説教
(
せつけう
)
でも
聴
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
つて、
229
眉毛
(
まゆげ
)
を
読
(
よ
)
まれ、
230
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
一本
(
いつぽん
)
も
無
(
な
)
いとこ
迄
(
まで
)
抜
(
ぬ
)
かれなさるがよろしからう。
231
コラ
二人
(
ふたり
)
の
皺苦茶
(
しわくちや
)
婆
(
ばば
)
、
232
用心
(
ようじん
)
せーよ。
233
何処
(
どこ
)
に
何
(
なに
)
が
破裂
(
はれつ
)
致
(
いた
)
さうやら
判
(
わか
)
らぬぞよ』
234
と
尻
(
しり
)
をクリツと
捲
(
まく
)
つて
裏門
(
うらもん
)
から、
235
一発
(
いつぱつ
)
破裂
(
はれつ
)
させ
乍
(
なが
)
ら
何処
(
いづく
)
とも
無
(
な
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
236
道彦
(
みちひこ
)
『アハヽヽヽ』
237
安彦
(
やすひこ
)
『アーア
道彦
(
みちひこ
)
サン、
238
彼様
(
あんな
)
乞食
(
こじき
)
を
伴
(
つ
)
れて
来
(
く
)
るものだから、
239
薩張
(
さつぱ
)
り
三五教
(
あななひけう
)
と
混同
(
こんどう
)
されて
偉
(
えら
)
い
迷惑
(
めいわく
)
をした。
240
これから
迂濶
(
うつかり
)
と
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
い
者
(
もの
)
を
連
(
つ
)
れて
歩
(
ある
)
くものぢやない』
241
道彦
(
みちひこ
)
『アヽ
左様
(
さやう
)
ですな、
242
モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
サン、
243
黒姫
(
くろひめ
)
サン、
244
三五教
(
あななひけう
)
には
彼
(
あ
)
の
様
(
やう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
245
一人
(
ひとり
)
も
居
(
を
)
りませぬよ。
246
彼
(
あ
)
の
男
(
をとこ
)
は
途中
(
とちう
)
から
道案内
(
みちあんない
)
に
伴
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのですから、
247
好
(
い
)
い
気
(
き
)
になつて
宣伝使
(
せんでんし
)
気取
(
きど
)
りでアンナことを
言
(
い
)
つたのですよ。
248
アハヽヽヽ』
249
黒姫
(
くろひめ
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
嘘
(
うそ
)
は
言
(
い
)
はぬもの、
250
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
教
(
をしへ
)
を
樹
(
た
)
てるのは、
251
此
(
こ
)
のウラナイ
教
(
けう
)
。
252
三五教
(
あななひけう
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り
嘘
(
うそ
)
をつきますなア。
253
彼
(
あ
)
の
男
(
をとこ
)
は
元
(
もと
)
は
与太彦
(
よたひこ
)
と
云
(
い
)
うて、
254
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
宣伝
(
せんでん
)
に
歩
(
ある
)
いて
居
(
を
)
つた
人
(
ひと
)
でせう。
255
違
(
ちが
)
ひますかな』
256
安彦、道彦
『サア』
257
黒姫
『サア
返答
(
へんたふ
)
は』
258
安彦、道彦
『サアそれはマアマアマア
彼奴
(
あいつ
)
は
俄
(
にはか
)
に
気
(
き
)
が
違
(
ちが
)
つたのですよ。
259
それだからアンナ
脱線
(
だつせん
)
した
行
(
おこな
)
ひをやるのですワ。
260
アハヽヽヽ』
261
黒姫
(
くろひめ
)
『
能
(
よ
)
う
嘘
(
うそ
)
をつく
人
(
ひと
)
だナ。
262
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
サンは
道
(
みち
)
案内
(
あんない
)
に
途中
(
とちう
)
から
雇
(
やと
)
うて
来
(
き
)
たと
云
(
い
)
つたぢやないか。
263
それだから
三五教
(
あななひけう
)
は
駄目
(
だめ
)
、
264
ウラナイ
教
(
けう
)
が
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
と
云
(
い
)
ふのだ』
265
安彦
(
やすひこ
)
『
一体
(
いつたい
)
此処
(
ここ
)
の
館
(
やかた
)
には
盲人
(
めくら
)
ばつかり
居
(
を
)
りますな』
266
と
話
(
はなし
)
を
態
(
わざ
)
と
横
(
よこ
)
へ
転
(
てん
)
じた。
267
黒姫
(
くろひめ
)
『
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
を
聴
(
き
)
かうと
思
(
おも
)
へば、
268
目
(
め
)
が
開
(
あ
)
いて
居
(
を
)
つては
小理窟
(
こりくつ
)
が
多
(
おほ
)
くつて
仕様
(
しやう
)
がないから、
269
みな
盲目
(
めくら
)
や
聾
(
つんぼ
)
ばかり
寄
(
よ
)
せてあるのだ。
270
見
(
み
)
ざる、
271
聞
(
き
)
かざると
言
(
い
)
うて、
272
盲目
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
程
(
ほど
)
よいものは
無
(
な
)
い。
273
此処
(
ここ
)
へ
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
は、
274
みな
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
サンと
黒姫
(
くろひめ
)
が
耳
(
みみ
)
の
鼓膜
(
こまく
)
を
破
(
やぶ
)
り、
275
眼
(
め
)
の
球
(
たま
)
を
抜
(
ぬ
)
いて、
276
世間
(
せけん
)
の
事
(
こと
)
がなにも
解
(
わか
)
らぬやうに、
277
神一筋
(
かみひとすぢ
)
になるやうにしてあるのだ。
278
お
前
(
まへ
)
も
怪体
(
けつたい
)
な
目
(
め
)
をウラナイ
教
(
けう
)
に、
279
すつくり
御
(
お
)
供
(
そな
)
へしなさい。
280
さうしたら
本当
(
ほんたう
)
の
安心
(
あんしん
)
が
出来
(
でき
)
るぢやらう。
281
昔
(
むかし
)
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つた
小島別
(
こじまわけ
)
は、
282
盲目
(
めくら
)
であつたお
蔭
(
かげ
)
で、
283
結構
(
けつこう
)
な
国魂
(
くにたま
)
の
神
(
かみ
)
となつて
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
筑紫
(
つくし
)
の
島
(
しま
)
でやつて
居
(
ゐ
)
るといふことだ。
284
目
(
め
)
の
明
(
あ
)
いた
奴
(
やつ
)
に
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
が
居
(
ゐ
)
るものかい。
285
盲目
(
めくら
)
千
(
せん
)
人
(
にん
)
に
目明
(
めあ
)
き
一人
(
ひとり
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
286
十目
(
じふもく
)
の
視
(
み
)
る
所
(
ところ
)
十指
(
じつし
)
の
指
(
ゆび
)
さす
所
(
ところ
)
、
287
大勢
(
おほぜい
)
の
盲目
(
めくら
)
の
方
(
はう
)
に
附
(
つ
)
くのが
誠
(
まこと
)
だ。
288
サア、
289
これからウラナイ
教
(
けう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
さしてやらう』
290
と
高姫
(
たかひめ
)
、
291
黒姫
(
くろひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
292
出刃
(
でば
)
庖丁
(
ぼうちやう
)
をひらめかし、
293
安彦
(
やすひこ
)
、
294
道彦
(
みちひこ
)
の
眼球
(
がんきう
)
目蒐
(
めが
)
けて
突
(
つ
)
いてかかる。
295
二人
(
ふたり
)
は、
296
安彦、道彦
『コリヤ
大変
(
たいへん
)
』
297
と
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す
途端
(
とたん
)
に、
298
座敷
(
ざしき
)
一面
(
いちめん
)
の
とろろ
汁
(
じる
)
に
足
(
あし
)
を、
299
辷
(
すべ
)
らして、
300
スツテンドウと
仰向
(
あふむ
)
けになつた。
301
二人
(
ふたり
)
の
婆
(
ばば
)
も、
302
とろろ
に
足
(
あし
)
を
滑
(
すべ
)
らし、
303
仰向
(
あふむ
)
けにドツと
倒
(
たふ
)
れた。
304
婆
(
ばば
)
の
持
(
も
)
つた
出刃
(
でば
)
庖丁
(
ぼうちやう
)
は
道彦
(
みちひこ
)
の
眼
(
め
)
の
四五寸
(
しごすん
)
側
(
そば
)
に
光
(
ひか
)
つてゐる。
305
道彦
(
みちひこ
)
、
306
安彦
(
やすひこ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
さうとすれど、
307
ヌルヌルと
足
(
あし
)
が
滑
(
すべ
)
つて
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
にジタバタやつてゐる。
308
百舌彦
(
もずひこ
)
、
309
田加彦
(
たかひこ
)
は
一室
(
ひとま
)
から
飛
(
と
)
んで
出
(
で
)
て、
310
百舌彦、田加彦
『コラコラ
婆
(
ばば
)
の
癖
(
くせ
)
に
手荒
(
てあら
)
いことを
致
(
いた
)
すな。
311
その
出刃
(
でば
)
渡
(
わた
)
せ』
312
と
矢庭
(
やには
)
に
引捉
(
ひつとら
)
へむとして、
313
又
(
また
)
もやズルリと
滑
(
すべ
)
り、
314
二人
(
ふたり
)
は
尻餅
(
しりもち
)
搗
(
つ
)
いた
途端
(
とたん
)
に、
315
道彦
(
みちひこ
)
の
顔
(
かほ
)
の
上
(
うへ
)
に
臀
(
しり
)
をドツカと
下
(
お
)
ろした。
316
その
痛
(
いた
)
さに
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
けば
王仁
(
おに
)
は、
317
宮垣内
(
みやがいち
)
の
茅屋
(
ばうをく
)
に
法華
(
ほつけ
)
坊主
(
ばうず
)
の
数珠
(
じゆず
)
に
頭
(
あたま
)
をしばかれ
居
(
ゐ
)
たりける。
318
(
大正一一・四・二
旧三・六
外山豊二
録)
319
(昭和一〇・三・二〇 於彰化支部 王仁校正)
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