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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
第1章 筑紫上陸
第2章 孫甦
第3章 障文句
第4章 歌垣
第5章 対歌
第6章 蜂の巣
第7章 無花果
第8章 暴風雨
第2篇 有情無情
第9章 玉の黒点
第10章 空縁
第11章 富士咲
第12章 漆山
第13章 行進歌
第14章 落胆
第15章 手長猿
第16章 楽天主義
第3篇 峠の達引
第17章 向日峠
第18章 三人塚
第19章 生命の親
第20章 玉卜
第21章 神護
第22章 蛙の口
第23章 動静
余白歌
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第34巻(酉の巻)
> 第2篇 有情無情 > 第16章 楽天主義
<<< 手長猿
(B)
(N)
向日峠 >>>
第一六章
楽天
(
らくてん
)
主義
(
しゆぎ
)
〔九五七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第2篇 有情無情
よみ(新仮名遣い):
うじょうむじょう
章:
第16章 楽天主義
よみ(新仮名遣い):
らくてんしゅぎ
通し章番号:
957
口述日:
1922(大正11)年09月13日(旧07月22日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
黒姫が駆け出して行ってしまった後、房公と芳公は腰かけて休みながら、雑談にふけっていた。まずは自分の半生の来し方を振り返り、二人は思ったような働きができなかったことを思い悩んでいる。
次に二人は、昨日の嵐の中で玉治別の宣伝歌が聞こえてきたことの不思議を語り合った。すると三尺ほどの童子が七八人が忽然と傍らの谷道に現れた。童子たちは二人をからかう歌を歌い、神様の噂をして疑いを持っていると気を付けると消えてしまった。
芳公と房公は、神様が気を付けるために童子と顕現し、悲観の心になっていた自分たちに注意を与えたのだと合点した。房公は悲観の心の鬼を戒める宣伝歌を歌い、いそいそと黒姫を追って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-17 10:48:50
OBC :
rm3416
愛善世界社版:
207頁
八幡書店版:
第6輯 436頁
修補版:
校定版:
216頁
普及版:
88頁
初版:
ページ備考:
001
黒姫
(
くろひめ
)
の
慌
(
あわただ
)
しく
駆出
(
かけだ
)
した
後
(
あと
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
002
黒姫
(
くろひめ
)
の
坐
(
すわ
)
つてゐた
天然
(
てんねん
)
の
岩椅子
(
いはいす
)
に
腰
(
こし
)
を
打掛
(
うちかけ
)
乍
(
なが
)
ら、
003
一服
(
いつぷく
)
休
(
やす
)
みの
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
004
房公
(
ふさこう
)
『
人間
(
にんげん
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば
約
(
つま
)
らぬ
者
(
もの
)
ぢやないか。
005
此
(
この
)
世
(
よ
)
へ
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
て
何一
(
なにひと
)
つ
是
(
これ
)
といふ
功名
(
こうみやう
)
も
残
(
のこ
)
らず、
006
一日
(
いちにち
)
々々
(
いちにち
)
とウツカリしてる
間
(
ま
)
に
墓場
(
はかば
)
へ
近寄
(
ちかよ
)
つて
行
(
ゆ
)
くのだ。
007
俺
(
おれ
)
だとて、
008
今
(
いま
)
は
此
(
この
)
様
(
やう
)
に
頭
(
あたま
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
が
禿
(
は
)
げて
来
(
き
)
て
見
(
み
)
すぼらしくなつたが、
009
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
欵
(
も
)
てたものだよ。
010
つい
一二年
(
いちにねん
)
前
(
ぜん
)
の
事
(
こと
)
のやうに
思
(
おも
)
うてゐるが、
011
指折
(
ゆびを
)
り
数
(
かぞ
)
へて
見
(
み
)
れば、
012
早
(
はや
)
二十
(
にじふ
)
年
(
ねん
)
も
経
(
た
)
つてゐる。
013
本当
(
ほんたう
)
に
夢
(
ゆめ
)
のやうだ。
014
此
(
この
)
短
(
みじか
)
いやうな
永
(
なが
)
い
月日
(
つきひ
)
に
何
(
なに
)
をやつて
来
(
き
)
たかと
思
(
おも
)
へば、
015
此
(
こ
)
れと
云
(
い
)
ふ
目星
(
めぼし
)
い
仕事
(
しごと
)
は
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
つてゐない。
016
食
(
く
)
つては
垂
(
た
)
れ
食
(
く
)
つては
垂
(
た
)
れ、
017
寝
(
ね
)
たり
起
(
お
)
きたり、
018
女
(
をんな
)
が
美
(
うつく
)
しいの
汚
(
きたな
)
いの、
019
若
(
わか
)
いの
年老
(
としよ
)
りぢやのと、
020
言
(
い
)
つて
暮
(
くら
)
したのも、
021
本当
(
ほんたう
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
間
(
ま
)
だつた。
022
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
に
皺
(
しわ
)
のよつたのと、
023
嬶
(
かかあ
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
に
艶
(
つや
)
がなくなつたのと、
024
餓鬼
(
がき
)
が
一人
(
ひとり
)
殖
(
ふ
)
えたのが、
025
此
(
この
)
世
(
よ
)
へ
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
た
俺
(
おれ
)
の
半生
(
はんせい
)
の
事業
(
じげふ
)
だと
思
(
おも
)
へば、
026
本当
(
ほんたう
)
に
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
027
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
造
(
つく
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
此
(
この
)
寂光
(
じやくくわう
)
浄土
(
じやうど
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
ながら、
028
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
老
(
おい
)
ぼれて
行
(
ゆ
)
くと
思
(
おも
)
へば、
029
人生
(
じんせい
)
も
本当
(
ほんたう
)
に
果敢
(
はか
)
なくなつて
来
(
き
)
たよ。
030
黒姫
(
くろひめ
)
さまだつて、
031
さうぢやないか、
032
お
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
だとか、
033
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
だとか
云
(
い
)
つて、
034
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
世界
(
せかい
)
を
股
(
また
)
にかけて
苦労
(
くらう
)
をやつて
御座
(
ござ
)
るが、
035
年
(
とし
)
が
老
(
よ
)
つてから
世話
(
せわ
)
にならうと
云
(
い
)
ふ
子供
(
こども
)
は
一人
(
ひとり
)
もなし、
036
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
に
沢山
(
たくさん
)
に
思
(
おも
)
うて、
037
子供
(
こども
)
は
何時
(
いつ
)
でも、
038
男
(
をとこ
)
と
女
(
をんな
)
とさへ
居
(
を
)
れば
出来
(
でき
)
るやうに
思
(
おも
)
ひ、
039
捨
(
す
)
てた
子
(
こ
)
は
生
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
るか
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
るか
分
(
わか
)
りもせず、
040
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
いき
)
て
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
で、
041
生
(
う
)
みの
親
(
おや
)
より
育
(
そだ
)
ての
親
(
おや
)
とか
云
(
い
)
つて、
042
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
して、
043
子
(
こ
)
の
世話
(
せわ
)
になる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
くまいし、
044
本当
(
ほんたう
)
に
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
うても
可哀相
(
かあいさう
)
になつて
来
(
き
)
た。
045
なア
芳公
(
よしこう
)
、
046
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
はまだしも、
047
女房
(
にようばう
)
や
子供
(
こども
)
があるのだから、
048
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば、
049
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御恵
(
みめぐ
)
みに
預
(
あづか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだよ』
050
芳公
(
よしこう
)
『さうだなア、
051
それを
思
(
おも
)
へば、
052
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
も
余
(
あま
)
り
不足
(
ふそく
)
は
云
(
い
)
へぬワイ。
053
乍併
(
しかしながら
)
人間
(
にんげん
)
は
老少
(
らうせう
)
不定
(
ふぢやう
)
だから、
054
かうして
筑紫
(
つくし
)
の
島
(
しま
)
へ
渡
(
わた
)
つてる
不在
(
るす
)
の
間
(
ま
)
に、
055
女房
(
にようばう
)
が
病気
(
びやうき
)
になつて
死
(
し
)
んでゐるやら、
056
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
が
死
(
な
)
くなつて
居
(
ゐ
)
るやら
分
(
わか
)
つたものぢやない。
057
本当
(
ほんたう
)
に
苦
(
くるし
)
みの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ぢや、
058
家鴨
(
あひる
)
の
様
(
やう
)
に
玉子
(
たまご
)
を
生
(
う
)
みつ
放
(
ぱな
)
しにして、
059
外
(
ほか
)
の
鳥
(
とり
)
に
育
(
そだ
)
てさした
様
(
やう
)
な
黒姫
(
くろひめ
)
さまでも、
060
ヤツパリ
老
(
おい
)
の
年波
(
としなみ
)
で
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
何
(
なん
)
となく
淋
(
さび
)
しくなつたと
見
(
み
)
え、
061
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまよりも
捨
(
す
)
てた
子
(
こ
)
の
方
(
はう
)
が
恋
(
こひ
)
しうなつた
様
(
やう
)
だから、
062
本当
(
ほんたう
)
に
人生
(
じんせい
)
と
云
(
い
)
ふものは、
063
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
淋
(
さび
)
しいものだ。
064
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
065
房公
(
ふさこう
)
『オイもう
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
は
打切
(
うちき
)
りにしようかい。
066
何
(
なん
)
だか
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
して、
067
不平
(
ふへい
)
を
云
(
い
)
つてゐる
様
(
やう
)
に
聞
(
きこ
)
えて
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い。
068
何事
(
なにごと
)
も
人間
(
にんげん
)
の
考
(
かんが
)
へで
此
(
この
)
世
(
よ
)
は
行
(
ゆ
)
くものぢやない。
069
何
(
ど
)
うならうと
斯
(
こ
)
うならうと、
070
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のなさる
儘
(
まま
)
だ』
071
芳公
(
よしこう
)
『
時
(
とき
)
に
房公
(
ふさこう
)
、
072
俺
(
おれ
)
は
一
(
ひと
)
つ
合点
(
がつてん
)
のゆかぬ
事
(
こと
)
があるのだ。
073
どう
考
(
かんが
)
へても
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちぬがなア』
074
房公
(
ふさこう
)
『
俺
(
おれ
)
も
一
(
ひと
)
つあるのだ。
075
お
前
(
まへ
)
の
合点
(
がつてん
)
がゆかぬと
云
(
い
)
ふのは、
076
昨日
(
きのふ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
主
(
ぬし
)
だらう』
077
芳公
(
よしこう
)
『オウさうだ。
078
確
(
たしか
)
に
玉治別
(
たまはるわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
のお
声
(
こゑ
)
だつた。
079
それに
声
(
こゑ
)
は
聞
(
き
)
いたが、
080
時鳥
(
ほととぎす
)
の
様
(
やう
)
に、
081
皆目
(
かいもく
)
御
(
お
)
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えないとは、
082
是
(
これ
)
も
不思議
(
ふしぎ
)
の
一
(
ひと
)
つだ』
083
房公
(
ふさこう
)
『
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
は
凡
(
すべ
)
て
不思議
(
ふしぎ
)
ばかりで
包
(
つつ
)
まれてゐるのだからなア……「
怪
(
あや
)
しきをあらじと
云
(
い
)
ふは
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の、
084
怪
(
あや
)
しき
知
(
し
)
らぬ
痴
(
し
)
れ
心
(
ごころ
)
かも」……「
怪
(
あや
)
しきは
是
(
これ
)
の
天地
(
あめつち
)
うべなうべな、
085
神代
(
かみよ
)
は
殊
(
こと
)
に
怪
(
あや
)
しきものを」……とか
云
(
い
)
つて、
086
今
(
いま
)
から
三十万
(
さんじふまん
)
年
(
ねん
)
未来
(
みらい
)
の
十九
(
じふく
)
世紀
(
せいき
)
と
云
(
い
)
ふ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れた
本居
(
もとをり
)
宣長
(
のりなが
)
と
云
(
い
)
ふ
国学者
(
こくがくしや
)
が
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に、
087
本当
(
ほんたう
)
に
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
怪
(
あや
)
しいものだ……「
知
(
し
)
ると
云
(
い
)
ふは
誰
(
たれ
)
のしれ
者
(
もの
)
天地
(
あめつち
)
の、
088
怪
(
あや
)
しき
御業
(
みわざ
)
神
(
かみ
)
ならずして」……と
云
(
い
)
ふことがある。
089
到底
(
たうてい
)
吾々
(
われわれ
)
凡夫
(
ぼんぶ
)
の
身
(
み
)
として
天地
(
あめつち
)
の
神秘
(
しんぴ
)
を
探
(
さぐ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
るものでない。
090
あゝモウ
可
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
出立
(
しゆつたつ
)
しようか、
091
若
(
も
)
しも
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て、
092
黒姫
(
くろひめ
)
さまが
悪者
(
わるもの
)
の
手
(
て
)
にでも
係
(
かか
)
つてゐられちや
大変
(
たいへん
)
だ。
093
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
もお
伴
(
とも
)
に
来
(
き
)
た
甲斐
(
かひ
)
がない。
094
サア
行
(
ゆ
)
こう』
095
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
時
(
とき
)
しも、
096
三尺
(
さんじやく
)
許
(
ばか
)
りの
童子
(
どうじ
)
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
手
(
て
)
を
繋
(
つな
)
ぎ
乍
(
なが
)
ら
忽然
(
こつぜん
)
として
五六間
(
ごろくけん
)
傍
(
かたはら
)
の
谷路
(
たにみち
)
に
現
(
あら
)
はれ、
097
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
098
童子
(
どうじ
)
『
夫
(
そ
)
れ
出
(
で
)
たヤレ
出
(
で
)
た!
鬼
(
おに
)
が
出
(
で
)
た!
099
筑紫
(
つくし
)
ケ
岳
(
だけ
)
から
現
(
あら
)
はれた
100
鬼
(
おに
)
ではあるまい
黒姫
(
くろひめ
)
だ
101
黒姫
(
くろひめ
)
さまぢやない
程
(
ほど
)
に
102
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
か
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
103
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
が
憑
(
うつ
)
つたる
104
房公
(
ふさこう
)
、
105
芳公
(
よしこう
)
の
二人
(
ふたり
)
連
(
づ
)
れ
106
天然
(
てんねん
)
椅子
(
いす
)
に
腰
(
こし
)
かけて
107
何
(
なん
)
ぢや
彼
(
か
)
んぢやと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
108
噂
(
うはさ
)
計
(
ばか
)
りして
御座
(
ござ
)
る
109
ホンに
可笑
(
をか
)
しい
鬼
(
おに
)
ぢやなア
110
ドツコイドツコイドツコイシヨ!』
111
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
112
スツと
二人
(
ふたり
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り、
113
影
(
かげ
)
もなく
煙
(
けぶり
)
の
如
(
や
)
うに
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
114
房公
(
ふさこう
)
『オイ
益々
(
ますます
)
怪
(
あや
)
しうなつて
来
(
き
)
たぢやないか。
115
あんな
小
(
ちつ
)
ぽけな
人間
(
にんげん
)
が
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
も
手
(
て
)
をつないで、
116
忽然
(
こつぜん
)
と
現
(
あら
)
はれ、
117
俺
(
おれ
)
たちを
鬼
(
おに
)
だとか、
118
曲津
(
まがつ
)
だと
云
(
い
)
ひよつたぢやないか。
119
ありや
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
だらうなア』
120
芳公
(
よしこう
)
『
何
(
なん
)
でもない、
121
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にきまつてゐるワイ。
122
俺
(
おれ
)
たちの
心
(
こころ
)
に
未
(
ま
)
だ
悪魔
(
あくま
)
が
潜
(
ひそ
)
んでゐるから、
123
天教山
(
てんけうざん
)
の
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
様
(
さま
)
が
童子
(
どうじ
)
と
顕現
(
けんげん
)
して
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
下
(
くだ
)
さつたのだらうよ』
124
房公
(
ふさこう
)
『そうかも
知
(
し
)
れないなア。
125
ヤアもう
結構
(
けつこう
)
な
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
生
(
せい
)
を
享
(
う
)
け
乍
(
なが
)
ら、
126
最前
(
さいぜん
)
の
様
(
やう
)
な
悲観
(
ひくわん
)
的
(
てき
)
の
詞
(
ことば
)
を
洩
(
も
)
らしちや
済
(
す
)
まない。
127
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
は
楽天
(
らくてん
)
主義
(
しゆぎ
)
だ。
128
悲観
(
ひくわん
)
する
心
(
こころ
)
になるのは、
129
ヤツパリ
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
に
鬼
(
おに
)
が
巣
(
す
)
くうてゐるのだ。
130
オイ
一
(
ひと
)
つここで
宣伝歌
(
せんでんか
)
でも
唄
(
うた
)
つて、
131
悲観
(
ひくわん
)
の
雲
(
くも
)
を
晴
(
は
)
らさうぢやないか』
132
芳公
(
よしこう
)
『
先
(
ま
)
づお
前
(
まへ
)
から
唄
(
うた
)
つてくれ、
133
悲観論
(
ひくわんろん
)
者
(
しや
)
の
発頭人
(
ほつとうにん
)
だからなア』
134
房公
(
ふさこう
)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
135
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
136
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
として
天地
(
あめつち
)
の
137
どうして
真理
(
しんり
)
が
分
(
わか
)
らうか
138
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
139
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
140
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
胸
(
むね
)
の
裡
(
うち
)
141
おいらの
知
(
し
)
つた
事
(
こと
)
でない
142
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
143
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
144
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
145
悲観
(
ひくわん
)
は
転
(
てん
)
じて
忽
(
たちま
)
ちに
146
楽天
(
らくてん
)
主義
(
しゆぎ
)
に
早替
(
はやがは
)
り
147
娑婆
(
しやば
)
即
(
そく
)
寂光
(
じやくくわう
)
浄土
(
じやうど
)
の
148
真理
(
しんり
)
を
悟
(
さと
)
つた
今
(
いま
)
の
吾
(
わ
)
れ
149
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
150
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
懐
(
ふところ
)
に
151
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
抱
(
いだ
)
かれて
152
不足
(
ふそく
)
を
言
(
い
)
つて
済
(
す
)
むものか
153
悲観
(
ひくわん
)
の
鬼
(
おに
)
が
巣
(
す
)
を
組
(
く
)
んで
154
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
をかき
紊
(
みだ
)
し
155
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
へやりかけた
156
げに
恐
(
おそ
)
ろしい
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ
157
いやいや
決
(
けつ
)
してそうでない
158
げに
恐
(
おそ
)
ろしい
吾
(
わ
)
が
心
(
こころ
)
159
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
が
身
(
み
)
を
責
(
せ
)
める
160
神
(
かみ
)
も
仏
(
ほとけ
)
も
胸
(
むね
)
の
内
(
うち
)
161
鬼
(
おに
)
も
大蛇
(
をろち
)
も
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
に
162
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのを
知
(
し
)
らなんだ
163
今
(
いま
)
現
(
あら
)
はれた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
164
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
迷
(
まよ
)
ひを
晴
(
は
)
らさむと
165
天教山
(
てんけうざん
)
より
現
(
あら
)
はれて
166
生命
(
いのち
)
と
安息
(
やすき
)
と
歓喜
(
よろこび
)
を
167
与
(
あた
)
へ
玉
(
たま
)
ひしものならむ
168
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
169
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
170
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
慎
(
つつし
)
んで
171
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
172
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りのベストをば
173
尽
(
つく
)
して
行
(
ゆ
)
くより
途
(
みち
)
はない
174
国治立
(
くにはるたち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
175
豊国姫
(
とよくにひめ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
176
其
(
その
)
外
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
の
177
あつき
恵
(
めぐみ
)
に
抱
(
いだ
)
かれて
178
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れ
来
(
きた
)
りしを
179
何
(
なん
)
とも
思
(
おも
)
はず
徒
(
いたづら
)
に
180
悲観
(
ひくわん
)
しました
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
を
181
幾重
(
いくへ
)
におわび
致
(
いた
)
します
182
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
183
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
184
と
唄
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
185
二人
(
ふたり
)
はいそいそとして
黒姫
(
くろひめ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
186
(
大正一一・九・一三
旧七・二二
松村真澄
録)
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