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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
第1章 筑紫上陸
第2章 孫甦
第3章 障文句
第4章 歌垣
第5章 対歌
第6章 蜂の巣
第7章 無花果
第8章 暴風雨
第2篇 有情無情
第9章 玉の黒点
第10章 空縁
第11章 富士咲
第12章 漆山
第13章 行進歌
第14章 落胆
第15章 手長猿
第16章 楽天主義
第3篇 峠の達引
第17章 向日峠
第18章 三人塚
第19章 生命の親
第20章 玉卜
第21章 神護
第22章 蛙の口
第23章 動静
余白歌
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第34巻(酉の巻)
> 第3篇 峠の達引 > 第21章 神護
<<< 玉卜
(B)
(N)
蛙の口 >>>
第二一章
神護
(
しんご
)
〔九六二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第3篇 峠の達引
よみ(新仮名遣い):
とうげのたてひき
章:
第21章 神護
よみ(新仮名遣い):
しんご
通し章番号:
962
口述日:
1922(大正11)年09月14日(旧07月23日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
虎公は、玉公、新公、久公、八公を連れて、火の国街道までやってきた。ここは黒姫が手長猿に悩まされた場所である。大蛇の三公は、ここに子分たちを潜ませて虎公を襲わせようとしていた。
大蛇の三公の手下・六公は、大勢の子分を引き連れて現れ、虎公に啖呵を切った。虎公はそこに落ちていた木切れを拾うと、四五十人に対して暴れこんだ。六公以下はこの勢いに肝をつぶして散り散りに逃げてしまった。
虎公は、今日に限ってこれほどの元気が出たことを不思議に思ったが、玉公は、どこからともなく荒武者が現れて虎公の加勢をしていたのを見たと話した。虎公は神様のご加護があったことを悟り、感謝の涙を流して大地に伏して祈りをささげた。
虎公は子分たちと共に、宣伝歌を歌いながら駆け出した。丸木橋を渡ったところで、黒姫が妻のお愛と妹のお梅、二人の男を連れて向こうからやってくるところに出くわしたのであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-20 10:03:59
OBC :
rm3421
愛善世界社版:
267頁
八幡書店版:
第6輯 459頁
修補版:
校定版:
278頁
普及版:
117頁
初版:
ページ備考:
001
虎公
(
とらこう
)
は、
002
玉公
(
たまこう
)
、
003
新公
(
しんこう
)
、
004
久公
(
きうこう
)
、
005
八公
(
はちこう
)
の
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
に
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
街道
(
かいだう
)
に
漸
(
やうや
)
く
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれた。
006
此処
(
ここ
)
は
樫
(
かし
)
の
木
(
き
)
の
大木
(
たいぼく
)
が
太陽
(
たいやう
)
の
光線
(
くわうせん
)
を
包
(
つつ
)
んで
遮
(
さへぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
007
天然
(
てんねん
)
椅子
(
いす
)
の
岩
(
いは
)
のある
場所
(
ばしよ
)
で、
008
黒姫
(
くろひめ
)
が
手長猿
(
てながざる
)
に
悩
(
なや
)
まされた
処
(
ところ
)
であつた。
009
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
の
乾児
(
こぶん
)
六公
(
ろくこう
)
は
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
手下
(
てした
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
010
樫
(
かし
)
の
木
(
き
)
の
下
(
もと
)
に
虎公
(
とらこう
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
求
(
もと
)
めつつ
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
011
虎公
(
とらこう
)
は
道々
(
みちみち
)
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ひながら
何気
(
なにげ
)
なくここ
迄
(
まで
)
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
012
喧嘩
(
けんくわ
)
装束
(
しやうぞく
)
で
身
(
み
)
をかためた
六公
(
ろくこう
)
の
一行
(
いつかう
)
、
013
棍棒
(
こんぼう
)
匕首
(
あひくち
)
を
携
(
たづさ
)
へながら
谷道
(
たにみち
)
に
立
(
た
)
ち
塞
(
ふさ
)
がり、
014
六公
(
ろくこう
)
『オイ、
015
虎
(
とら
)
の
野郎
(
やらう
)
、
016
昨日
(
きのふ
)
から
貴様
(
きさま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
して
居
(
ゐ
)
たのだ。
017
高山峠
(
たかやまたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
往
(
い
)
きよつたと
確
(
たしか
)
に
知
(
し
)
つた
故
(
ゆゑ
)
、
018
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひかけて
往
(
い
)
つてみれば
貴様
(
きさま
)
は
早
(
はや
)
くも
風
(
かぜ
)
を
喰
(
くら
)
つて、
019
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
にも
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しやがつた。
020
俺
(
おれ
)
は
帰
(
かへ
)
つて
親分
(
おやぶん
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
が
無
(
な
)
いから、
021
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
が
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
へ
往
(
い
)
きよつたのだと
思
(
おも
)
つて
此
(
この
)
山口
(
やまぐち
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだ。
022
サアこうなつては
最早
(
もはや
)
叶
(
かな
)
ふまい。
023
ここで
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と、
024
お
愛
(
あい
)
の
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
り、
025
親分
(
おやぶん
)
さまの
女房
(
にようばう
)
に
奉
(
たてまつ
)
る、
026
と
約束
(
やくそく
)
を
致
(
いた
)
せばよし、
027
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
の
吐
(
ぬか
)
して
聞
(
き
)
かないと、
028
胴
(
どう
)
と
首
(
くび
)
とを
二
(
ふた
)
つにしてやるがどうだ。
029
性念
(
しやうねん
)
を
据
(
す
)
ゑて
確
(
しつか
)
り
返答
(
へんたふ
)
をせい。
030
何程
(
なにほど
)
貴様
(
きさま
)
が
焦
(
あせ
)
つたところで、
031
お
愛
(
あい
)
は
最早
(
もはや
)
親分
(
おやぶん
)
の
手
(
て
)
に
入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
るのだから
駄目
(
だめ
)
だぞ。
032
それより
柔
(
おとな
)
しく
三公
(
さんこう
)
の
乾児
(
こぶん
)
になつたらどうだ。
033
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
られるが
好
(
い
)
いか、
034
乾児
(
こぶん
)
になるのが
好
(
い
)
いか、
035
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
返答
(
へんたふ
)
をしろ』
036
虎公
(
とらこう
)
『
烏
(
からす
)
のおどしのやうな
態
(
ざま
)
をしやがつて、
037
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らずの
蠅虫
(
はへむし
)
め。
038
何
(
なに
)
劫託
(
がふたく
)
を
吐
(
こ
)
きやがるのだ。
039
貴様
(
きさま
)
こそ
首
(
くび
)
と
胴
(
どう
)
とを
二
(
ふた
)
つにしてやらア、
040
覚悟
(
かくご
)
せい』
041
玉公
(
たまこう
)
『これこれ
虎公
(
とらこう
)
さま、
042
大事
(
だいじ
)
の
前
(
まへ
)
の
小事
(
せうじ
)
だから、
043
今
(
いま
)
怒
(
おこ
)
つてはいけませぬ。
044
これ
見
(
み
)
なさい。
045
だんだん
水晶玉
(
すいしやうだま
)
が
曇
(
くも
)
つて
来
(
き
)
ました』
046
虎公
(
とらこう
)
『ヤアもう
斯
(
こ
)
うなつては
破
(
やぶ
)
れかぶれだ。
047
男
(
をとこ
)
の
意地
(
いぢ
)
でどこ
迄
(
まで
)
もやれるだけやつて
見
(
み
)
にや
虫
(
むし
)
が
納
(
をさ
)
まらねえや。
048
玉公
(
たまこう
)
、
049
貴様
(
きさま
)
は
俺
(
おれ
)
が
今
(
いま
)
暴
(
あば
)
れ
放題
(
はうだい
)
暴
(
あば
)
れて
見
(
み
)
るから
足手纏
(
あしてまと
)
ひになつては
俺
(
おれ
)
の
活動
(
くわつどう
)
の
邪魔
(
じやま
)
になる。
050
オイ、
051
新公
(
しんこう
)
、
052
久公
(
きうこう
)
、
053
八公
(
やつこう
)
も
共
(
とも
)
にどつかへ
逃
(
に
)
げて
了
(
しま
)
へ』
054
と
云
(
い
)
ひながら、
055
虎公
(
とらこう
)
は
其処
(
そこ
)
に
落
(
お
)
ちてあつた
一間
(
いつけん
)
許
(
ばか
)
りの
節
(
ふし
)
だらけの、
056
雨
(
あめ
)
に
曝
(
さら
)
された
木片
(
きぎれ
)
を
拾
(
ひろ
)
ふより
早
(
はや
)
く、
057
四五十
(
しごじふ
)
人
(
にん
)
の
群
(
むれ
)
に
向
(
むか
)
つて
振
(
ふ
)
り
廻
(
まは
)
しつつ
暴
(
あば
)
れ
込
(
こ
)
んだ。
058
六公
(
ろくこう
)
は
此
(
この
)
元気
(
げんき
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し
散々
(
ちりぢり
)
ばらばらとなつて
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せて
仕舞
(
しま
)
つた。
059
虎公
(
とらこう
)
『アハヽヽヽ、
060
何
(
なん
)
と
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
計
(
ばか
)
り
寄
(
よ
)
つたものだなあ。
061
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
もこれだけ
穀潰
(
ごくつぶ
)
しを
抱
(
かか
)
へて
居
(
ゐ
)
ては
大抵
(
たいてい
)
ぢやあるまい。
062
オイ
玉公
(
たまこう
)
、
063
新
(
しん
)
、
064
久
(
きう
)
、
065
八
(
はち
)
、
066
もう
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
067
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い』
068
この
声
(
こゑ
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
顔一面
(
かほいちめん
)
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
だらけになつて、
069
真青
(
まつさを
)
の
顔
(
かほ
)
をしながら
足
(
あし
)
もわなわな
虎公
(
とらこう
)
の
傍
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
つて
来
(
き
)
た。
070
新公
(
しんこう
)
『
何
(
なん
)
と
虎公
(
とらこう
)
さま、
071
偉
(
えら
)
い
馬力
(
ばりき
)
が
出
(
で
)
たものだなあ』
072
虎公
(
とらこう
)
『
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
何故
(
なぜ
)
あれ
程
(
ほど
)
肝玉
(
きもだま
)
が
据
(
す
)
わり、
073
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
たのだらう。
074
自分
(
じぶん
)
ながらに
合点
(
がてん
)
がゆかないのだ』
075
玉公
(
たまこう
)
『
俺
(
おれ
)
が
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みへ
隠
(
かく
)
れて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
たら、
076
お
前
(
まへ
)
と
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
をした
荒武者
(
あらむしや
)
が
七八十
(
しちはちじふ
)
人
(
にん
)
どこからともなく
現
(
あら
)
はれて、
077
大
(
おほ
)
きな
材木
(
ざいもく
)
を
振
(
ふ
)
り
廻
(
まは
)
したものだから、
078
六
(
ろく
)
の
野郎
(
やらう
)
を
初
(
はじ
)
め、
079
どいつもこいつもあの
通
(
とほ
)
り
悲惨
(
みじめ
)
な
態
(
ざま
)
で
逃
(
に
)
げよつたのだ。
080
本当
(
ほんたう
)
に
合点
(
がてん
)
のゆかぬ
不思議
(
ふしぎ
)
の
事
(
こと
)
だつた』
081
虎公
(
とらこう
)
はこれを
聞
(
き
)
いて
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
大地
(
だいち
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
082
拍手
(
かしはで
)
を
打
(
う
)
ち
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
り、
083
虎公
(
とらこう
)
『
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
084
よくもお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました、
085
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
086
就
(
つ
)
きましては
此
(
この
)
様子
(
やうす
)
では、
087
お
愛
(
あい
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
が
案
(
あん
)
じられてなりませぬから、
088
どうぞも
一度
(
いちど
)
、
089
私
(
わたし
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいましたやうに、
090
お
愛
(
あい
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
091
お
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
092
と
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
ハラハラと、
093
大地
(
だいち
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
祈
(
いの
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
094
虎公
(
とらこう
)
は、
095
玉公
(
たまこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
乾児
(
こぶん
)
と
共
(
とも
)
に
又
(
また
)
もや
坂道
(
さかみち
)
を
足拍子
(
あしびやうし
)
を
取
(
と
)
り、
096
謡
(
うた
)
ひながら
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
方
(
はう
)
をさして
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
した。
097
虎公
『あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
098
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
099
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
100
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
大神
(
おほかみ
)
の
101
御前
(
みまへ
)
に
額
(
ぬか
)
づき
村肝
(
むらきも
)
の
102
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
103
仕
(
つか
)
へまつりし
甲斐
(
かひ
)
ありて
104
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
が
乾児
(
こぶん
)
なる
105
六公
(
ろくこう
)
の
手下
(
てした
)
にウントコシヨ
106
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
まれし
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
107
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
瑞御霊
(
みづみたま
)
108
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
が
109
厳
(
いづ
)
のみたまをわけたまひ
110
数多
(
あまた
)
の
神
(
かみ
)
を
現
(
あら
)
はして
111
たつた
一人
(
ひとり
)
の
虎公
(
とらこう
)
に
112
加勢
(
かせい
)
をさして
下
(
くだ
)
さつた
113
実
(
げ
)
に
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
き
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
114
三五教
(
あななひけう
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
115
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
116
今更
(
いまさら
)
のごとドツコイシヨ
117
尊
(
たふと
)
くなつて
参
(
まゐ
)
りました
118
かく
神徳
(
しんとく
)
の
現
(
あら
)
はれた
119
ウントコドツコイ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
は
120
仮令
(
たとへ
)
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
が
121
虎公
(
とらこう
)
さまの
留守宅
(
るすたく
)
へ
122
数多
(
あまた
)
の
手下
(
てした
)
を
引
(
ひ
)
きつれて
123
如何
(
いか
)
に
厳
(
きび
)
しく
攻
(
せ
)
むるとも
124
決
(
けつ
)
して
恐
(
おそ
)
るる
事
(
こと
)
はない
125
利
(
き
)
かぬ
気者
(
きもの
)
の
女房
(
にようばう
)
が
126
嘸
(
さぞ
)
今頃
(
いまごろ
)
は
素盞嗚
(
すさのを
)
の
127
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
神徳
(
しんとく
)
で
128
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
悉
(
ことごと
)
く
129
嵐
(
あらし
)
に
花
(
はな
)
の
散
(
ち
)
る
如
(
ごと
)
く
130
ウントコドツコイ
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
131
勝鬨
(
かちどき
)
あげて
虎公
(
とらこう
)
が
132
ウントコドツコイ
機嫌
(
きげん
)
よく
133
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るのを
待
(
ま
)
つために
134
お
酒
(
さけ
)
の
燗
(
かん
)
をばドツコイシヨ
135
用意
(
ようい
)
致
(
いた
)
してウントコシヨ
136
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのに
違
(
ちが
)
ひない
137
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
138
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
139
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
140
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
141
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
142
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
真心
(
まごころ
)
を
143
尽
(
つく
)
して
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
るなら
144
勢
(
いきほひ
)
猛
(
たけ
)
き
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
も
145
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
も
何
(
なん
)
のその
146
況
(
ま
)
してや
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
や
147
手下
(
てした
)
の
弱
(
よわ
)
い
面々
(
めんめん
)
が
148
仮令
(
たとへ
)
幾百
(
いくひやく
)
来
(
きた
)
るとも
149
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
蹶
(
け
)
り
散
(
ち
)
らし
150
改心
(
かいしん
)
させるは
目
(
ま
)
のあたり
151
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
152
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
153
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
道
(
みち
)
を
154
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
悪魔
(
あくま
)
と
謡
(
うた
)
はれし
155
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
初
(
はじ
)
めとし
156
其
(
その
)
外
(
ほか
)
手下
(
てした
)
の
者共
(
ものども
)
の
157
心
(
こころ
)
を
照
(
て
)
らして
惟神
(
かむながら
)
158
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
救
(
すく
)
ひませ
159
一重
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
160
ウントコドツコイ ドツコイシヨ
161
それにつけても
黒姫
(
くろひめ
)
や
162
房
(
ふさ
)
芳
(
よし
)
二人
(
ふたり
)
は
今頃
(
いまごろ
)
は
163
無事
(
ぶじ
)
に
都
(
みやこ
)
へドツコイシヨ
164
着
(
つ
)
いたであらうかウントコセ
165
俄
(
にはか
)
にそれが
気
(
き
)
にかかる
166
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
167
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
純世姫
(
すみよひめ
)
168
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
169
どうぞ
三人
(
みたり
)
が
行末
(
ゆくすゑ
)
を
170
安
(
やす
)
く
守
(
まも
)
らせたまへかし
171
ウントコドツコイ
虎公
(
とらこう
)
は
172
是
(
これ
)
から
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へ
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
173
家
(
うち
)
の
騒動
(
さうだう
)
を
片
(
かた
)
づけて
174
火
(
ひ
)
の
国都
(
くにみやこ
)
へ
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
175
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
176
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
177
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はうドツコイシヨ
178
それが
何
(
なに
)
より
楽
(
たの
)
しみだ
179
ウントコドツコイ ドツコイシヨ
180
こいつはしまつた
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
181
道
(
みち
)
取
(
と
)
り
違
(
ちが
)
ひドツコイシヨ
182
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
谷道
(
たにみち
)
に
183
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んだ
184
これやマアどうした
事
(
こと
)
だらう
185
其処
(
そこ
)
は
危
(
あぶな
)
い
丸木橋
(
まるきばし
)
186
渡
(
わた
)
るにや
怖
(
こわ
)
し
渡
(
わた
)
らねば
187
どしても
吾
(
わが
)
家
(
や
)
にや
帰
(
かへ
)
れない
188
ここから
後
(
あと
)
へ
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
し
189
元来
(
もとき
)
し
道
(
みち
)
を
取
(
と
)
るならば
190
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へ
帰
(
かへ
)
るは
易
(
やす
)
けれど
191
そんな
事
(
こと
)
をばして
居
(
ゐ
)
たら
192
時間
(
じかん
)
が
遅
(
おく
)
れて
仕様
(
しやう
)
がない
193
向日峠
(
むかふたうげ
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えて
194
吾
(
わが
)
家
(
や
)
をさして
帰
(
かへ
)
る
方
(
ほ
)
が
195
半時
(
はんとき
)
ばかり
早
(
はや
)
からう
196
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
197
これも
何
(
なに
)
かのお
仕組
(
しぐみ
)
で
198
此処
(
ここ
)
へ
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たのだらう
199
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
200
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
201
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
202
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
教
(
をしへ
)
203
今更
(
いまさら
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
られける
204
広大
(
くわうだい
)
無限
(
むげん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
205
深
(
ふか
)
き
智慧
(
ちゑ
)
には
叶
(
かな
)
はない
206
心
(
こころ
)
拗
(
ねぢ
)
けた
吾々
(
われわれ
)
が
207
どうして
尊
(
たふと
)
い
天地
(
あめつち
)
の
208
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
らうか
209
神
(
かみ
)
のまにまに
任
(
まか
)
すより
210
外
(
そと
)
に
行
(
ゆ
)
くべき
道
(
みち
)
はない
211
何程
(
なにほど
)
危
(
あやふ
)
き
橋
(
はし
)
ぢやとて
212
ウントコドツコイ
躊躇
(
ちうちよ
)
する
213
暇
(
いとま
)
がどうしてあるものか
214
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
のドツコイシヨ
215
一足
(
いつそく
)
飛
(
と
)
びをするやうな
216
荒肝
(
あらぎも
)
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
しウントコシヨ
217
渡
(
わた
)
つて
見
(
み
)
ようか
玉公
(
たまこう
)
よ
218
新
(
しん
)
、
久
(
きう
)
、
八
(
はち
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
よ
219
この
虎公
(
とらこう
)
に
続
(
つづ
)
けよや
220
一
(
ひい
)
二
(
ふう
)
三
(
み
)
つ』と
言
(
い
)
ひながら
221
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
丸木橋
(
まるきばし
)
222
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ
身
(
み
)
を
軽
(
かる
)
め
223
一目散
(
いちもくさん
)
に
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く
224
かかる
所
(
ところ
)
へ
向
(
むか
)
ふより
225
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
226
妻
(
つま
)
のお
愛
(
あい
)
やお
梅
(
うめ
)
迄
(
まで
)
227
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
送
(
おく
)
られて
228
森
(
もり
)
の
茂
(
しげ
)
みを
押
(
お
)
しわけて
229
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
訝
(
いぶ
)
かしさ
230
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
231
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ。
232
(
大正一一・九・一四
旧七・二三
加藤明子
録)
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(B)
(N)
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海洋万里(第25~36巻)
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第34巻(酉の巻)
> 第3篇 峠の達引 > 第21章 神護
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【第21章 神護|第34巻|海洋万里|霊界物語|/rm3421】
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