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第一一章 (まつ)(あらし)〔一〇二三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第37巻 舎身活躍 子の巻 篇:第2篇 青垣山内 よみ(新仮名遣い):あおがきやまうち
章:第11章 松の嵐 よみ(新仮名遣い):まつのあらし 通し章番号:1023
口述日:1922(大正11)年10月09日(旧08月19日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
矢田の滝の修行が終わってから宮垣内の自宅でいよいよ神業に奉仕することになった。さまざまな病人が来て鎮魂や神占を乞う。たちまち御神徳の評判が遠近にとどろいて評判を呼び、朝から晩まで食事をする間もないほど多忙を極めた。
またぞろ次郎松がやってきて難癖をつけ、湯呑みの中に入れたものを当てろという。喜楽は神様の教えを伝え人の悩みを助けるのがお役目だと諭すが、あまり騒ぐので、霊眼で湯呑みの中に銅貨を十五枚入れたことを当ててやった。
すると次郎松は狐を使っているとわめきだしたので、霊学の透視術について説明したが、さっぱり理解してくれない。次郎松は狐使いだと近所を言いふらしてあるいたが、参詣人が減ることはなかった。
また侠客の牛公が難癖をつけにやってきたが、喜楽は無抵抗主義で無視していると、しまいには屁をひりかけて去って行った。弟の由松は、無礼な牛公に罰も当てないと神様に怒って、祭壇を返してしまった。
その夜、由松の枕元に五柱の神々が現れて由松を戒めたという。しばらくは由松は殊勝になって祭壇の掃除などをしていたが、一週間もするとまた、次郎松と一緒になって神様の悪口を触れ回り始めた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-21 16:27:37 OBC :rm3711
愛善世界社版:138頁 八幡書店版:第7輯 82頁 修補版: 校定版:145頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001 (いつ)週間(しうかん)矢田(やだ)(たき)(ぎやう)(をは)つてから、002宮垣内(みやがいち)自宅(じたく)(おい)て、003喜楽(きらく)愈々(いよいよ)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)する(こと)となつた。004盲目(めくら)聾唖(つんぼ)005リウマチ、006(その)(ほか)いろいろの病人(びやうにん)がやつて()鎮魂(ちんこん)(たの)む、007神占(しんせん)()ふ、008(いづ)れも()神徳(しんとく)弥顕(いやちこ)だと()評判(へうばん)(たちま)遠近(ゑんきん)(とどろ)いて、009穴太(あなを)天狗(てんぐ)さまとか金神(こんじん)さま、010稲荷(いなり)さまなどといつて、011(あさ)から(ばん)まで参詣人(さんけいにん)(やま)(きづ)き、012食事(しよくじ)する()もない(くらゐ)013多忙(たばう)(きは)めて()た。
014 (れい)次郎松(じろまつ)サンがやつて()て、015祭壇(さいだん)(まへ)(しり)(まく)つてドツカと(すわ)り、016大勢(おほぜい)参拝者(さんぱいしや)(なか)をも(かへり)みず、017真赤(まつか)(かほ)して喜楽(きらく)(にら)みつけ、
018次郎松(じろまつ)『コリヤ極道(ごくだう)息子(むすこ)019貴様(きさま)(また)しても山子(やまこ)商売(しやうばい)をやる(つも)りだな。020ヨシ、021(いま)()けの(かは)をヒン()いて、022大勢(おほぜい)(まへ)赤恥(あかはぢ)かかして()せてやらう。023それが貴様(きさま)将来(しやうらい)のためにもなり、024上田家(うへだけ)()めにもなるのだ。025株内(かぶうち)近所(きんじよ)へよい(ほど)心配(しんぱい)をかけさらせやがつて、026(その)(うへ)まだ(きつね)使(つか)ひの真似(まね)をするとは(なん)(こと)だ。027何故(なぜ)折角(せつかく)ここ(まで)(きづ)きあげた、028見込(みこみ)のある牧畜(ぼくちく)乳屋(ちちや)勉強(べんきやう)せぬか。029(かみ)さまだの、030(うらなひ)だの、031(わけ)(わか)らぬ出鱈目(でたらめ)(ぬか)しやがつて、032世間(せけん)(ひと)誤魔(ごま)かし、033(うま)(こと)仕様(しやう)たつて駄目(だめ)だぞ、034()()いド(ぎつね)とは貴様(きさま)(こと)だ。035貴様(きさま)本当(ほんたう)(かみ)(さま)面会(めんくわい)出来(でき)036(また)(かみ)(さま)(をしへ)(うかが)へるのなら、037(いま)(おれ)(ひと)検査(けんさ)をしてやらう。038(まん)(いち)にも(あた)つたが最後(さいご)039(おれ)財産(ざいさん)四百(よんひやく)(ゑん)地価(ちか)(のこ)らず貴様(きさま)にやる』
040口汚(くちぎたな)(ののし)(なが)ら、041湯呑(ゆの)みの(なか)(なに)(ちひ)さい(もの)()れて、042(その)(くち)厚紙(あつがみ)()(のり)をコテコテとつけ、043(おと)をせぬ(やう)(ふところ)から()して(まへ)にソツと()き、
044次郎松(じろまつ)『サア先生(せんせい)045イヤ極道(ごくだう)息子(むすこ)046指一本(ゆびいつぽん)でも(さえ)(こと)はならぬ。047(この)(まま)(この)湯呑(ゆの)みの(なか)に、048どんな(もの)がどれ()這入(はい)つてをるかと()(こと)を、049貂眼通(てんがんつう)とか鼬通(いたちつう)とか()先生(せんせい)050見事(みごと)あてて()よ。051これが(あた)つたら、052それこそ(てん)()になり()(てん)になる。053(つき)さまに(むか)つて(はな)(ゆみ)()(あた)つても、054こればつかりは滅多(めつた)にあたる気遣(きづか)ひはない。055如何(どう)ですな、056先生(せんせい)!』
057軽侮(けいぶ)(ねん)飽迄(あくまで)顔面(がんめん)(あらは)し、058喜楽(きらく)(かほ)(あご)をしやくつて()めつける。
059喜楽(きらく)(わし)(かみ)(さま)(まこと)(をしへ)(つた)へたり、060(ひと)(なや)みを(たす)けたりするのが(やく)だ。061手品師(てじなし)(やう)に、062そんな(もの)をあてると()(やう)(こと)御免(ごめん)(かうむ)()い。063(かみ)さまに(をし)へて(もら)ふた(こと)はないから()りませぬ』
064 次郎松(じろまつ)はシタリ(がほ)で、065一寸(ちよつと)(した)()(あご)(ふた)()つしやくつて、
066次郎松(じろまつ)(ざま)()やがれド(たぬき)()067到頭(たうとう)(あか)尻尾(しつぽ)()しやがつた。068エー、069おけおけ、070(この)時節(じせつ)にそんな馬鹿(ばか)真似(まね)さらすと、071(この)(まつ)サンがフンのばして(しま)ふぞ。072オイ(たぬき)先生(せんせい)073(はら)()つのか、074(なん)だ、075(その)むつかしい(かほ)は……残念(ざんねん)なか、076口惜(くや)しいか、077(はや)改心(かいしん)せい、078狸野郎(たぬきやろう)()
079益々(ますます)傍若(ばうじやく)無人(ぶじん)悪言(あくげん)暴語(ばうご)連発(れんぱつ)する。080喜楽(きらく)はあまり次郎松(じろまつ)言葉(ことば)(うる)さくなつて()たので、081一層(いつそう)(こと)082(かれ)疑心(ぎしん)()らしてやらうと(おも)ひ、
083喜楽(きらく)(まつ)サン、084あんまりお(まへ)(うたが)ふから、085今日(けふ)一遍(いつぺん)だけ()ふてやるが……一銭(いつせん)銅貨(どうくわ)十五(じふご)(まい)()れてあるだらう』
086 (そば)()いて()つた数多(あまた)参詣者(さんけいしや)は、087各自(めいめい)(この)実地(じつち)()感嘆(かんたん)して()る。088次郎松(じろまつ)(めう)(かほ)(なが)ら、089()叮嚀(ていねい)喜楽(きらく)(かほ)(また)もや(のぞ)()み、090自分(じぶん)(みぎ)()自分(じぶん)膝頭(ひざがしら)(ふた)()(たた)き、091(くび)一寸(ちよつと)(かたむ)けて、
092次郎松(じろまつ)『ハア……(あん)(ぢやう)093(きつね)使(つか)ひだ。094やつぱり箱根山(はこねやま)道了(だうれう)権現(ごんげん)のつかはしの飯綱(いづな)をつかつてるのだな。095一体(いつたい)そんな管狐(くだぎつね)何処(どこ)()つて()たのだ。096何匹(なんびき)ほど()るのか。097そんなものでも一匹(いつぴき)(いち)(ゑん)もとるか、098一寸(ちよつと)(おれ)にも()せて()れ、099ホンの一寸(ちよつと)でよい、100大切(だいじ)なお(まへ)商売(しやうばい)道具(だうぐ)(なが)()せてくれとは()はぬ』
101(わけ)(わか)らぬ質問(しつもん)連発(れんぱつ)する。102迷信家(めいしんか)ほど(こま)つたものはない。
103喜楽(きらく)神懸(かむがか)りの霊術(れいじゆつ)によつて、104透視(とうし)作用(さよう)()くのだ』
105(すこ)しばかり霊魂学(れいこんがく)説明(せつめい)簡単(かんたん)()べたてて()た。106されど元来(ぐわんらい)無学者(むがくしや)だけに、107(なに)をいつても馬耳(ばじ)東風(とうふう)108(みみ)()りさうな(こと)はない。109(また)もや次郎松(じろまつ)(くち)(とが)らして、
110次郎松(じろまつ)透視(とうし)だか水篩(すゐのう)だか、111そんな(こと)()らぬが、112そこらに(ちひ)さい管狐(くだぎつね)(はう)()さぬ(やう)にして()れよ。113ヒヨツと()()かれでもしたら大変(たいへん)だ。114(みな)さま用心(ようじん)しなさい。115此奴(こいつ)飯綱(いづな)使(つか)ひだから、116うつかりしてると()けられますよ。117病人(びやうにん)()ると、118管狐(くだぎつね)一寸(ちよつと)()かして、119病気(びやうき)(なほ)し、120(また)(しばら)くすると管狐(くだぎつね)をつけて病人(びやうにん)にして、121何度(なんど)(れい)をとると()(むし)()商売(しやうばい)(はじ)めかけよつたのだ。122(なに)しろ近寄(ちかよ)らぬが(なに)よりだ。123(べつ)穴太(あなを)(むら)喜楽(きらく)()つて(かみ)(まつ)らうが(まつ)らうまいが、124矢張(やつぱり)()さまは(ひがし)から()御座(ござ)る。125(くら)がりになるためしもなし、126喜楽(きらく)(かみ)さまを(はじ)めてから、127()さまが、128(ひか)りが(つよ)くなつた(わけ)ぢやなし、129(つき)さまが毎晩(まいばん)()(わけ)でもないし、130()んな(もの)(だま)されるより(はや)(みな)さまお(かへ)りなさい。131こんな(やつ)眉毛(まゆげ)をよまれ尻毛(しりげ)をぬかれて(たま)りますか。132(おれ)はきつてもきれぬ親類(しんるゐ)だから、133第一(だいいち)上田家(うへだけ)のため、134(また)(この)極道(ごくだう)()め、135(まへ)サン(たち)()()をつける』
136(くち)(きは)めて反対(はんたい)気焔(きえん)をあげる。137(しか)参詣者(さんけいしや)一人(ひとり)()えぬ。138依然(いぜん)として鎮魂(ちんこん)()ひ、139(うかが)ひを(ねが)つて(よろこ)んで(かへ)つて()く。140次郎松(じろまつ)サンは翌日(よくじつ)(あさ)(はや)くから穴太(あなを)村中(むらぢう)一軒(いつけん)(のこ)らず、
141次郎松(じろまつ)(うち)本家(ほんけ)喜楽(きらく)()(やつ)は、142(この)(ごろ)飯綱(いづな)()うて()(めう)(こと)をして()よるから、143相手(あひて)になつてくれるな』
144賃金(ちんぎん)不要(いらず)広告屋(くわうこくや)(つと)めて()る。145次郎松(じろまつ)(かみ)(をしへ)()(きら)悪魔(あくま)(れい)憑依(ひようい)されて()らず()らずに邪神(じやしん)走狗(そうく)となつて(しま)つたのである。
146 (その)翌日(よくじつ)大勢(おほぜい)参拝者(さんぱいしや)相手(あひて)に、147鎮魂(ちんこん)をしたり神話(しんわ)(はじ)めて()ると、148侠客(けふかく)俣野(またの)乾児(こぶん)自称(じしよう)する()(ひく)牛公(うしこう)がやつて()た。149(あし)繃帯(はうたい)をして()る。
150牛公(うしこう)『オイ、151喜楽(きらく)サン、152随分(ずゐぶん)(まへ)商売(しやうばい)もよう繁昌(はんじやう)するね。153(おれ)夜前(やぜん)一寸(ちよつと)(あし)怪我(けが)をしたのだ。154何卒(どうぞ)(まへ)鎮魂(ちんこん)とかで(あし)(いた)みを()めて(もら)()いものだ』
155横柄(わうへい)()(こまね)き、156座敷(ざしき)真中(まんなか)にドスンと(すわ)つて揶揄(からか)(はじ)めた。157(もと)より怪我(けが)などはして()ないのだ。158みな(うそ)(かは)159万々一(まんまんいち)喜楽(きらく)が、
160『さうか、161それは()(どく)だ』
162()つて(すぐ)祈願(きぐわん)でもしやうものなら、
163天眼通(てんがんつう)先生(せんせい)(これ)(わか)らぬか、164怪我(けが)(なに)もして()ない、165(うそ)だぞ』
166()つて大勢(おほぜい)(なか)(わら)つたり、167ねだつたり、168(こま)らしたりしようとの(わる)(たく)みで()()るのである。169()喜楽(きらく)が、
170『お(まへ)(きず)(なに)もして()ない。171そんな(こと)をして(おれ)をためしに()()るのだ』
172()へば、173自分(じぶん)(ゆび)(した)(かく)した小刀(こがたな)繃帯(はうたい)()(なが)一寸(ちよつと)(あし)()つて()()し、
174『これや、175これ()()()()るのに怪我(けが)して()ないとは(なん)(こと)だ。176山子(やまこ)()!』
177呶鳴(どな)()てあやまらして、178酒銭(さかて)(いち)(ゑん)()つてやらうとの算段(さんだん)をして()るのだと()てとつた喜楽(きらく)は、179牛公(うしこう)言葉(ことば)(みみ)にもかけず放擲(うつちや)つて、180素知(そし)らぬ(かほ)数多(あまた)参詣者(さんけいしや)鎮魂(ちんこん)(ほどこ)して()た。
181 牛公(うしこう)喜楽(きらく)態度(たいど)余程(よほど)(しやく)(さは)つたと()え、182(くる)獅子(じし)(やう)(あば)()した。183(たちま)先祖(せんぞ)代々(だいだい)から(いへ)(たから)としてる、184虫喰(むしくひ)だらけの真黒気(まつくろけ)障子(しやうじ)(さん)滅茶(めちや)苦茶(くちや)(たた)(やぶ)る、185()蹴破(けやぶ)る、186火鉢(ひばち)()(たふ)すと()大乱暴(だいらんばう)をなし(なが)ら、187(ふたた)座敷(ざしき)真中(まんなか)にドスンと胡坐(あぐら)をかき、
188牛公(うしこう)『こりや安閑坊(あんかんばう)喜楽(きらく)! これでも(ばち)をようあてぬか、189腰抜(こしぬ)(がみ)鼻垂(はなた)(がみ)ぢやな。190そんなやくざ(がみ)(まつ)つてる貴様(きさま)は、191日本一(につぽんいち)馬鹿(ばか)野郎(やらう)だ。192(いま)(この)(うし)さまが神床(かむどこ)小便(せうべん)をしてやるから、193神力(しんりき)あり正念(しやうねん)がある(かみ)なら、194立所(たちどころ)(ばつ)をあてるだらう。195そんな(こと)して()(ばち)をあてん(やう)腰抜神(こしぬけがみ)なら、196(かみ)でも(なん)でもない、197溝狸(どぶだぬき)(くらゐ)なものだ。198蚯蚓(みみづ)小便(せうべん)かけてさへ○○が()れるぞ、199此奴(こいつ)(たぬき)だから正念(しやうねん)があるなら、200(おれ)の○○を()らして()い!』
201()(なが)(いぬ)(やう)片足(かたあし)をピンと()げて、202無作法(ぶさはふ)にもジヨウジヨウとやりかけた。203数多(あまた)参詣者(さんけいしや)吃驚(びつくり)して、204(のこ)らず(そと)()()して(しま)つた。205喜楽(きらく)神界(しんかい)修業(しうげふ)(とき)から、206三五教(あななひけう)無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)()いて()たから、207素知(そし)らぬ(かほ)して(かれ)がなす(まま)放任(はうにん)して()た。208牛公(うしこう)益々(ますます)()にのつて、209()ひには(くろ)(しり)をひきまくり、210喜楽(きらく)(はな)(まへ)でプンと一発(いつぱつ)(かが)し『アハヽヽヽ』と(わら)(なが)らサツサと(かへ)つて()つた。
211 それと()(ちが)ひに、212(おとうと)野良(のら)から(くは)(かた)げて(あはた)だしく馳来(はせきた)り、213牛公(うしこう)乱暴(らんばう)した(こと)()口惜(くやし)がり、214地団太(ぢだんだ)()(なが)ら、
215由松(よしまつ)『エーツ、216(この)(かみ)さまは(ちから)()(かみ)だ。217毎日(まいにち)々々(まいにち)(もの)(そな)へてやるのに(なん)(ばち)でも()うあてぬのか。218ウーンとフンのばして(しま)へばよいのに、219そうすれや牛公(うしこう)だつて、220次郎松(じろまつ)だつて()(あなど)らぬのだが、221此処(ここ)(まつ)つてあるは()()かぬ寝呆(ねぼ)(かみ)だから、222あんな(やつ)馬鹿(ばか)にしられるのだ』
223()をかみしめて(ども)(なが)(おこ)つて()る。224喜楽(きらく)(しづか)(おとうと)(むか)つて、
225喜楽(きらく)『オイ、226由松(よしまつ)227そんな(わか)らぬ(こと)()ふな。228よう(かんが)へて()い、229彼奴(あいつ)畜生(ちくしやう)だ。230()からして(うし)ぢやないか。231(ねこ)(ねずみ)(たふと)()神前(しんぜん)(なか)でも、232(くそ)小便(せうべん)平気(へいき)()れて()る、233(からす)(すずめ)(かみ)(さま)(むね)(あが)つて(くそ)小便(せうべん)()れかける、234それでもチツとも神罰(しんばつ)があたらぬのぢやないか。235元来(がんらい)畜生(ちくしやう)だから、236(かみ)(さま)のおとがめがないのだ。237人間(にんげん)人間(にんげん)資格(しかく)(うしな)ふたら畜生(ちくしやう)同様(どうやう)だ。238畜生(ちくしやう)神罰(しんばつ)があたるものかい』
239()はせも()てず由松(よしまつ)は、
240由松(よしまつ)『ナニ、241馬鹿(ばか)たれるか』
242()ふより(はや)く、243祭壇(さいだん)(した)(あたま)をつつ()(その)まま直立(ちよくりつ)した。244祭壇(さいだん)神具(しんぐ)もお供物(そなへもの)一式(いつしき)ガタガタと転落(てんらく)し、245()神酒(みき)からお供水(こうずゐ)246洗米(せんまい)247(その)()いろいろの供物(そなへもの)座敷(ざしき)一杯(いつぱい)になつて(しま)つた。248(かみ)(さま)()みと(まで)(たたみ)(うへ)にひつくり(かへ)つて()る。249由松(よしまつ)(ひろ)うては戸外(こぐわい)()げつける、250参詣者(さんけいしや)はビツクリして顔色(がんしよく)()へチリチリバラバラに()()す。251由松(よしまつ)(なほ)(たけ)(くる)ひ、
252由松(よしまつ)『オイ哥兄(あにき)253こんなやくざ(がみ)(まつ)つて(をが)んでも()(やく)にもたたぬぢやないか、254もう今日(けふ)(かぎ)りこんなつまらぬ(こと)はやめてくれ。255こんな餓鬼(がき)(まつ)つただけに家内中(かないぢう)心配(しんぱい)したり、256村中(むらぢう)(わら)はれたり、257戸障子(としやうじ)(やぶ)られたり、258(この)(かみ)上田家(うへだけ)(かたき)だ。259(かたき)(まつ)ると()(こと)何処(どこ)にあるものか』
260(わか)らぬ(こと)愚痴(ぐち)つて(おこ)つて()る。
261 喜楽(きらく)由松(よしまつ)()かしたおみと(ひろ)(しほ)(きよ)め、262(ふたた)(まつ)(なほ)(かみ)(さま)にお(わび)をして、263(やうや)(その)()()れて(しま)つた。
264 (その)()夜中頃(よなかごろ)265由松(よしまつ)枕許(まくらもと)男女(なんによ)五柱(いつはしら)(かみ)(さま)(あら)はれ(たま)ふて、266(しき)りに由松(よしまつ)()立腹(りつぷく)(あそ)ばした(やう)なお(かほ)歴々(ありあり)()え、267(おそ)ろしくて一目(ひとめ)もよう()ず、268夢中(むちう)になつて()たままあやまつて()る。269せまい(いへ)(こと)とて(よこ)()いて()喜楽(きらく)可笑(おか)しさ。270由松(よしまつ)もこれで(すこ)しは()がつくだらうと(おも)つて()ると、271翌朝(よくてう)(はや)くから()神前(しんぜん)をお掃除(さうぢ)したり、272供物(そなへもの)をしたり、273祝詞(のりと)()げるやら、274(しばら)くの(あひだ)()つて()はつて敬神(けいしん)行為(かうゐ)(はげ)んで()た。275(しか)十日(とをか)ほどすると、276(また)もや(かみ)(さま)悪口(あくこう)次郎松(じろまつ)一所(いつしよ)になつて(はじ)めかけた。
277大正一一・一〇・九 旧八・一九 北村隆光録)

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