霊界物語.ネット
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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第37巻(子の巻)
序
総説
第1篇 安閑喜楽
第1章 富士山
第2章 葱節
第3章 破軍星
第4章 素破抜
第5章 松の下
第6章 手料理
第2篇 青垣山内
第7章 五万円
第8章 梟の宵企
第9章 牛の糞
第10章 矢田の滝
第11章 松の嵐
第12章 邪神憑
第3篇 阪丹珍聞
第13章 煙の都
第14章 夜の山路
第15章 盲目鳥
第16章 四郎狸
第17章 狐の尾
第18章 奥野操
第19章 逆襲
第20章 仁志東
第4篇 山青水清
第21章 参綾
第22章 大僧坊
第23章 海老坂
第24章 神助
第25章 妖魅来
霊の礎(九)
余白歌
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★☆★
【磐座信仰】三輪山の三つの磐座と山添村の巨石群
★☆★
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第37巻(子の巻)
> 第4篇 山青水清 > 第21章 参綾
<<< 仁志東
(B)
(N)
大僧坊 >>>
第二一章
参綾
(
さんれう
)
〔一〇三三〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。
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主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
文字数:
OBC :
rm3721
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
旧
(
きう
)
六
(
ろく
)
月
(
ぐわつ
)
の
暑
(
あつ
)
い
最中
(
さいちう
)
であつた。
002
老祖母
(
らうそぼ
)
や
修業者
(
しうげふしや
)
に
無理
(
むり
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
003
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
穴太
(
あなを
)
を
離
(
はな
)
れ
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
004
道程
(
みちのり
)
殆
(
ほとん
)
ど
二
(
に
)
里
(
り
)
ばかり
来
(
き
)
た
処
(
ところ
)
に、
005
南桑田
(
みなみくはだ
)
、
006
船井郡
(
ふなゐぐん
)
の
境界
(
きやうかい
)
の
標
(
へう
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
007
其処
(
そこ
)
には
大井川
(
おほゐがは
)
の
清流
(
せいりう
)
をひいた、
008
有名
(
いうめい
)
なる
虎天関
(
とらてんいね
)
と
云
(
い
)
ふのがある。
009
虎天関
(
とらてんいね
)
の
傍
(
かたはら
)
に
枝振
(
えだぶ
)
りよき
並木
(
なみき
)
を
眺
(
なが
)
めて
小
(
ちひ
)
さき
茶店
(
ちやみせ
)
が
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
010
喜楽
(
きらく
)
は
何気
(
なにげ
)
なく
其
(
その
)
茶店
(
ちやみせ
)
に
立寄
(
たちよ
)
つて
休息
(
きうそく
)
をして
居
(
ゐ
)
た。
011
三十
(
さんじふ
)
あまりのボツテリと
肥
(
ひ
)
えた
妻君
(
さいくん
)
が
現
(
あら
)
はれて
渋茶
(
しぶちや
)
を
汲
(
く
)
んで
呉
(
く
)
れた。
012
さうして
喜楽
(
きらく
)
の
異様
(
いやう
)
な
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて、
013
女
(
をんな
)
『
貴方
(
あなた
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
をなさる
方
(
かた
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
014
と
云
(
い
)
ふ。
015
喜楽
(
きらく
)
は
即座
(
そくざ
)
に、
016
喜楽
(
きらく
)
『
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
審神
(
さには
)
をする
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
017
随分
(
ずゐぶん
)
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
の
教会
(
けうくわい
)
を
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ましたが、
018
狐
(
きつね
)
や
狸
(
たぬき
)
のお
台
(
だい
)
サンばつかりでした。
019
アハヽヽヽ』
020
と
手
(
て
)
もなく
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
021
此
(
この
)
女
(
をんな
)
は
畳
(
たた
)
みかけた
様
(
やう
)
に、
022
女
(
をんな
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
023
私
(
わたし
)
が
一
(
ひと
)
つ
頼
(
たの
)
み
度
(
た
)
い
事
(
こと
)
があります。
024
私
(
わたし
)
の
母
(
はは
)
は
今
(
いま
)
綾部
(
あやべ
)
に
居
(
を
)
りますが、
025
元
(
もと
)
は
金光
(
こんくわう
)
様
(
さま
)
を
信神
(
しんじん
)
して
居
(
ゐ
)
ましたが、
026
俄
(
にはか
)
に
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
さまがお
憑
(
うつ
)
りなさつて
沢山
(
たくさん
)
の
人
(
ひと
)
が
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
を
頂
(
いただ
)
き、
027
金光
(
こんくわう
)
教会
(
けうくわい
)
の
先生
(
せんせい
)
が
世話
(
せわ
)
をして
居
(
を
)
られますが、
028
母
(
はは
)
に
憑
(
うつ
)
つた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
仰有
(
おつしや
)
るには、
029
私
(
わたし
)
の
身上
(
みじやう
)
を
分
(
わ
)
けて
呉
(
く
)
れる
者
(
もの
)
は
東
(
ひがし
)
から
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る。
030
其
(
その
)
御
(
お
)
方
(
かた
)
さへ
見
(
み
)
えたならば
出口
(
でぐち
)
直
(
なほ
)
の
身上
(
みじやう
)
は
判
(
わか
)
つてくると
仰有
(
おつしや
)
いましたので、
031
私
(
わたし
)
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
態
(
わざ
)
と
此
(
この
)
道端
(
みちばた
)
に
茶店
(
ちやみせ
)
を
開
(
ひら
)
いて
往来
(
ゆきき
)
の
人
(
ひと
)
さまに
休
(
やす
)
んで
貰
(
もら
)
ひ、
032
母
(
はは
)
の
言
(
い
)
つたお
方
(
かた
)
を
探
(
さが
)
して
居
(
を
)
りました。
033
大方
(
おほかた
)
貴方
(
あなた
)
の
事
(
こと
)
かと
思
(
おも
)
はれてなりませぬ。
034
何卒
(
どうぞ
)
一度
(
いちど
)
母
(
はは
)
の
身上
(
みじやう
)
を
調
(
しら
)
べてやつて
下
(
くだ
)
さらぬか。
035
これが
母
(
はは
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
書
(
かき
)
になつたお
筆先
(
ふでさき
)
で
御座
(
ござ
)
います』
036
と
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
たのが、
037
バラバラの
一枚書
(
いちまいが
)
きの
筆先
(
ふでさき
)
であつた。
038
喜楽
(
きらく
)
は
此
(
この
)
筆先
(
ふでさき
)
を
見
(
み
)
て、
039
高熊山
(
たかくまやま
)
の
修業
(
しうげふ
)
の
中
(
うち
)
に
於
(
おい
)
て
霊眼
(
れいがん
)
にて
見聞
(
けんぶん
)
したる
事
(
こと
)
の
或
(
ある
)
部分
(
ぶぶん
)
に
符合
(
ふがふ
)
せるに
驚
(
おどろ
)
き、
040
婦人
(
ふじん
)
の
依頼
(
いらい
)
を
受
(
う
)
けて
近々
(
きんきん
)
に
上綾
(
じやうれう
)
する
事
(
こと
)
を
約
(
やく
)
し、
041
園部
(
そのべ
)
の
広田屋
(
ひろたや
)
と
云
(
い
)
ふ
旅館
(
りよくわん
)
に
落着
(
おちつ
)
き、
042
あちらこちらと
知己
(
ちき
)
を
訪問
(
はうもん
)
して
霊学
(
れいがく
)
の
宣伝
(
せんでん
)
に
従事
(
じゆうじ
)
しつつあつた。
043
旧
(
きう
)
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
二十三
(
にじふさん
)
日
(
にち
)
[
※
明治31年(1898年)旧8月23日は新10月8日
]
、
044
初
(
はじ
)
めて
綾部
(
あやべ
)
裏町
(
うらまち
)
の
教祖
(
けうそ
)
の
宅
(
たく
)
を
訪問
(
はうもん
)
し、
045
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
滞在
(
たいざい
)
して
居
(
ゐ
)
た。
046
然
(
しか
)
るに
金光教
(
こんくわうけう
)
の
教会
(
けうくわい
)
の
受持
(
うけもち
)
教師
(
けうし
)
なる
足立
(
あだち
)
正信
(
まさのぶ
)
を
始
(
はじ
)
め、
047
世話係
(
せわがかり
)
の
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
[
※
霊界物語における中村竹造の名前に「竹造」と表記している場合と「竹蔵」と表記している場合があるが、霊界物語ネットでは「竹造」に統一した。詳しくはオニペディアの「霊界物語第37巻の諸本相違点」を見よ
]
、
048
村上
(
むらかみ
)
清次郎
(
せいじらう
)
、
049
西村
(
にしむら
)
文右衛門
(
ぶんうゑもん
)
等
(
ら
)
に、
050
極力
(
きよくりよく
)
反対
(
はんたい
)
運動
(
うんどう
)
をされ、
051
時機
(
じき
)
未
(
いま
)
だ
至
(
いた
)
らずとして
教祖
(
けうそ
)
に
暇
(
いとま
)
を
告
(
つ
)
げ、
052
綾部
(
あやべ
)
の
地
(
ち
)
を
去
(
さ
)
つて
園部村
(
そのべむら
)
の
字
(
あざ
)
黒田
(
くろだ
)
、
053
西田
(
にしだ
)
卯之助
(
うのすけ
)
の
座敷
(
ざしき
)
を
借
(
か
)
つて
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
宣伝
(
せんでん
)
しつつあつた。
054
種々
(
しゆじゆ
)
の
神憑
(
かむがか
)
りに
関
(
くわん
)
する
面白
(
おもしろ
)
き
話
(
はなし
)
は
此
(
この
)
地方
(
ちはう
)
に
於
(
おい
)
ても
沢山
(
たくさん
)
目撃
(
もくげき
)
したり
遭遇
(
さうぐう
)
したる
事
(
こと
)
あれども、
055
岐路
(
わきみち
)
に
入
(
い
)
る
虞
(
おそれ
)
ある
故
(
ゆゑ
)
此処
(
ここ
)
には
省略
(
しやうりやく
)
して
置
(
お
)
く。
056
園部
(
そのべ
)
の
上本町
(
かみほんまち
)
に
奥村
(
おくむら
)
徳次郎
(
とくじらう
)
と
云
(
い
)
ふ
熱心
(
ねつしん
)
な
信者
(
しんじや
)
があつた。
057
あまり
沢山
(
たくさん
)
な
信者
(
しんじや
)
が
喜楽
(
きらく
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
く
)
るので、
058
園部町
(
そのべまち
)
の
有志
(
いうし
)
は
信仰
(
しんかう
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
土地
(
とち
)
繁栄
(
はんゑい
)
の
一策
(
いつさく
)
として
園部
(
そのべ
)
の
公園内
(
こうえんない
)
に
立派
(
りつぱ
)
なる
布教所
(
ふけうしよ
)
を
建設
(
けんせつ
)
し、
059
喜楽
(
きらく
)
を、
060
此処
(
ここ
)
に
永住
(
えいぢう
)
せしめむと、
061
土地
(
とち
)
の
有志
(
いうし
)
が
東西
(
とうざい
)
に
奔走
(
ほんそう
)
し、
062
話
(
はなし
)
も
大方
(
おほかた
)
纏
(
まと
)
まつて
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
へ、
063
綾部
(
あやべ
)
から
出口
(
でぐち
)
教祖
(
けうそ
)
のお
使
(
つかひ
)
として、
064
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
氏
(
し
)
が
遥々
(
はるばる
)
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
た。
065
其
(
その
)
時
(
とき
)
喜楽
(
きらく
)
は
園部川
(
そのべがは
)
の
大橋
(
おほはし
)
の
下流
(
かりう
)
で
漁遊
(
すなどりあそ
)
びをして
居
(
ゐ
)
た。
066
其処
(
そこ
)
へ
平蔵
(
へいざう
)
氏
(
し
)
がやつて
来
(
き
)
て、
067
河
(
かは
)
の
堤
(
つつみ
)
から、
068
平蔵
(
へいざう
)
『モシモシ、
069
上田
(
うへだ
)
さまは
此
(
この
)
辺
(
へん
)
に
居
(
を
)
られませぬか、
070
只今
(
ただいま
)
黒田
(
くろだ
)
のお
宅
(
たく
)
へ
参
(
まゐ
)
りましたら、
071
園部
(
そのべ
)
の
河原
(
かはら
)
へ
魚取
(
うをと
)
りに
行
(
ゆ
)
かれたとの
話
(
はなし
)
故
(
ゆゑ
)
、
072
此
(
この
)
川縁
(
かはふち
)
を
伝
(
つた
)
うて
此処迄
(
ここまで
)
来
(
き
)
ました』
073
と
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
074
喜楽
(
きらく
)
は
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
から、
075
喜楽
(
きらく
)
『ハイ、
076
上田
(
うへだ
)
は
私
(
わたし
)
です。
077
貴方
(
あなた
)
は
先頃
(
さきごろ
)
手紙
(
てがみ
)
を
呉
(
く
)
れた
綾部
(
あやべ
)
の
四方
(
しかた
)
サンですか。
078
綾部
(
あやべ
)
はもう
懲々
(
こりこり
)
しましたから
行
(
ゆ
)
くのは
止
(
や
)
めますわ。
079
今
(
いま
)
面白
(
おもしろ
)
い
最中
(
さいちう
)
だから、
080
モチツと
魚
(
うを
)
をとつて
帰
(
かへ
)
りますから、
081
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
に
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい』
082
と
云
(
い
)
へば
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
堤
(
つつみ
)
の
上
(
うへ
)
から、
083
平蔵
(
へいざう
)
『そんなら
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
084
私
(
わたし
)
は
園部
(
そのべ
)
の
扇屋
(
あふぎや
)
で
今晩
(
こんばん
)
泊
(
とま
)
りますから、
085
又
(
また
)
お
訪
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
します』
086
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
087
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
大橋
(
おほはし
)
を
渡
(
わた
)
つて
扇屋
(
あふぎや
)
をさして
行
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つた。
088
喜楽
(
きらく
)
は
漁
(
すなどり
)
を
終
(
をは
)
り、
089
黒田
(
くろだ
)
の
宅
(
たく
)
へ
帰
(
かへ
)
り
着物
(
きもの
)
を
着換
(
きか
)
へ、
090
園部
(
そのべ
)
の
扇屋
(
あふぎや
)
に
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た。
091
さうして
今度
(
こんど
)
は
足立
(
あだち
)
、
092
中村
(
なかむら
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
役員
(
やくゐん
)
には
極
(
ごく
)
内々
(
ないない
)
で、
093
教祖
(
けうそ
)
と
自分
(
じぶん
)
とが
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
、
094
喜楽
(
きらく
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
つた。
095
斯
(
こ
)
うなると
自分
(
じぶん
)
も
敵
(
てき
)
の
中
(
なか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
む
様
(
やう
)
なものである。
096
余程
(
よほど
)
の
覚悟
(
かくご
)
をせなくてはならぬと
思
(
おも
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
097
早速
(
さつそく
)
綾部
(
あやべ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
を
承諾
(
しようだく
)
し、
098
往復
(
わうふく
)
八
(
はち
)
里
(
り
)
の
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
を
穴太
(
あなを
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
099
老祖母
(
らうそぼ
)
や
母
(
はは
)
に
愈
(
いよいよ
)
綾部
(
あやべ
)
に
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひ、
100
産土
(
うぶすな
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
祈願
(
きぐわん
)
をこらし、
101
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くる
前
(
まへ
)
漸
(
やうや
)
く
園部
(
そのべ
)
の
扇屋
(
あふぎや
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
102
されど
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
喜楽
(
きらく
)
が
穴太
(
あなを
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
はチツとも
分
(
わか
)
らなかつた。
103
それより
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
と
共
(
とも
)
に
黒田
(
くろだ
)
の
宅
(
たく
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
104
種々
(
しゆじゆ
)
と
支度
(
したく
)
をなし、
105
五
(
ご
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
から
黒田
(
くろだ
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
106
漸
(
やうや
)
くにして
檜山
(
ひのきやま
)
迄
(
まで
)
着
(
つ
)
いた。
107
日
(
ひ
)
はズツポリと
暮
(
く
)
れて
来
(
き
)
た。
108
少
(
すこ
)
し
目
(
め
)
の
悪
(
わる
)
い
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
最早
(
もはや
)
歩
(
ある
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なくなつて
来
(
き
)
た。
109
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
樽屋
(
たるや
)
と
云
(
い
)
ふ
宿屋
(
やどや
)
へ
投宿
(
とうしゆく
)
した。
110
忽
(
たちま
)
ち
大雨
(
おほあめ
)
降
(
ふ
)
り
来
(
きた
)
り、
111
雷鳴
(
らいめい
)
さへも
轟
(
とどろ
)
いて
実
(
じつ
)
に
物凄
(
ものすご
)
き
天地
(
てんち
)
となつて
来
(
き
)
た。
112
樽屋
(
たるや
)
の
裏
(
うら
)
の
離座敷
(
はなれざしき
)
を
与
(
あた
)
へられ、
113
喜楽
(
きらく
)
と
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
114
夜
(
よる
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
になつて
漸
(
やうや
)
く
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
いた。
115
朝
(
あさ
)
の
四
(
よ
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
に
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし
早
(
はや
)
くも
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
116
喜楽
(
きらく
)
は
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
に
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし、
117
慌
(
あわて
)
て
起
(
お
)
き
出
(
い
)
で
見
(
み
)
れば、
118
相変
(
あひかは
)
らず
車軸
(
しやぢく
)
を
流
(
なが
)
す
様
(
やう
)
な
大雨
(
おほあめ
)
である。
119
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は、
120
四方
(
しかた
)
『
先生
(
せんせい
)
、
121
お
目覚
(
めざ
)
めですか。
122
早
(
はや
)
うから
八釜
(
やかま
)
しく
申
(
まを
)
しましてお
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まして
済
(
す
)
みませぬ。
123
昨夜
(
さくや
)
は
何
(
なん
)
とはなしに
気
(
き
)
が
欣々
(
いそいそ
)
しまして
一睡
(
いつすゐ
)
も
出来
(
でき
)
ませなんだ。
124
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
大変
(
たいへん
)
にお
勇
(
いさ
)
みだと
見
(
み
)
えます。
125
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
昨夜
(
さくや
)
から
引
(
ひ
)
き
続
(
つづ
)
いて
偉
(
えら
)
い
大雨
(
おほあめ
)
です。
126
これでも
止
(
や
)
みませうかな』
127
と
心配
(
しんぱい
)
相
(
さう
)
に
尋
(
たづ
)
ねる。
128
喜楽
(
きらく
)
は
一寸
(
ちよつと
)
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
て、
129
喜楽
(
きらく
)
『
九
(
く
)
時
(
じ
)
になればカラリと
晴
(
は
)
れます。
130
それまで、
131
マアゆつくり
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたまは
)
りませう。
132
貴方
(
あなた
)
は
綾部
(
あやべ
)
から
来
(
き
)
たといはれましたが、
133
お
宅
(
うち
)
は
大変
(
たいへん
)
な
山家
(
やまが
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ひますが
違
(
ちが
)
ひますか。
134
家
(
いへ
)
の
裏
(
うら
)
に
綺麗
(
きれい
)
な
水
(
みづ
)
が
湧
(
わ
)
いた
溜池
(
ためいけ
)
があり、
135
前
(
まへ
)
は
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
ばかりまはつた
枝振
(
えだぶ
)
りの
面白
(
おもしろ
)
き
松
(
まつ
)
の
樹
(
き
)
がある。
136
さうして
少
(
すこ
)
し
右前
(
みぎまへ
)
の
方
(
はう
)
の
街道
(
かいだう
)
に
沿
(
そ
)
うて
小屋
(
こや
)
の
様
(
やう
)
なものがあり、
137
其処
(
そこ
)
に
菓子
(
くわし
)
なんかの
店
(
みせ
)
が
出
(
だ
)
してあり、
138
六十
(
ろくじふ
)
位
(
くらゐ
)
のお
婆
(
ば
)
アサンが
見
(
み
)
えますが
違
(
ちが
)
ひますか』
139
と
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た。
140
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
吃驚
(
びつくり
)
して、
141
四方
(
しかた
)
『ハイ、
142
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りです。
143
そんな
事
(
こと
)
までよく
見
(
み
)
えますか。
144
あんたは、
145
さうすると
稲荷
(
いなり
)
でも
使
(
つか
)
ふて
居
(
を
)
られるのですか』
146
と
不思議
(
ふしぎ
)
相
(
さう
)
に
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
く。
147
喜楽
(
きらく
)
は
首
(
くび
)
を
振
(
ふ
)
り、
148
喜楽
(
きらく
)
『イエイエ、
149
そんな
事
(
こと
)
はありませぬ。
150
霊学
(
れいがく
)
の
一部
(
いちぶ
)
、
151
天眼通
(
てんがんつう
)
で
見
(
み
)
たのです。
152
誰
(
たれ
)
でも
真心
(
まごころ
)
にさへなれば、
153
天眼通
(
てんがんつう
)
位
(
くらゐ
)
は
直
(
すぐ
)
に
判
(
わか
)
る
様
(
やう
)
になりますよ』
154
四方
(
しかた
)
『アヽそれで
安心
(
あんしん
)
しました。
155
私
(
わたし
)
は
金光教
(
こんくわうけう
)
の
古
(
ふる
)
い
信者
(
しんじや
)
で
御座
(
ござ
)
いましたが、
156
こんな
処
(
ところ
)
から
五
(
ご
)
里
(
り
)
も
六
(
ろく
)
里
(
り
)
もある
処
(
ところ
)
が
見
(
み
)
える
様
(
やう
)
なものは、
157
狐
(
きつね
)
か
狸
(
たぬき
)
だと
金光教
(
こんくわうけう
)
の
先生
(
せんせい
)
が
云
(
い
)
ひました。
158
モシ
先生
(
せんせい
)
が
綾部
(
あやべ
)
へ
行
(
い
)
つて、
159
そんな
事
(
こと
)
でもなさらうものならサツパリ
狐使
(
きつねつか
)
ひだと
云
(
い
)
つて、
160
ボツ
帰
(
かへ
)
されて
了
(
しま
)
ひますから、
161
綾部
(
あやべ
)
へ
御
(
お
)
いでになつたら、
162
其
(
その
)
魔法
(
まはふ
)
だけは
暫
(
しばら
)
くやらぬ
様
(
やう
)
にして
下
(
くだ
)
さい。
163
疑
(
うたがひ
)
を
受
(
う
)
けては
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
ですからなア』
164
喜楽
(
きらく
)
『そんな
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
ばかり
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
なら、
165
もう
私
(
わたし
)
は
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
つてこれから
帰
(
かへ
)
りますワ』
166
四方
(
しかた
)
『そんな
短気
(
たんき
)
を
出
(
だ
)
さずに
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
内命
(
ないめい
)
で
来
(
き
)
たのですから、
167
一度
(
いちど
)
綾部
(
あやべ
)
を
見
(
み
)
ると
思
(
おも
)
ふて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
168
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
和知川
(
わちがは
)
の
鮎
(
あゆ
)
が
沢山
(
たくさん
)
にとれますから、
169
鮎
(
あゆ
)
食
(
く
)
ひに
行
(
ゆ
)
くと
思
(
おも
)
うて、
170
マアマア
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
一遍
(
いつぺん
)
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
171
私
(
わたし
)
も
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
先生
(
せんせい
)
に
帰
(
かへ
)
られては
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し
申訳
(
まをしわけ
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ』
172
喜楽
(
きらく
)
『
第一
(
だいいち
)
貴方
(
あなた
)
に
霊学
(
れいがく
)
を
諒解
(
りやうかい
)
して
貰
(
もら
)
ふておかなくてはなりませぬから、
173
狐
(
きつね
)
を
使
(
つか
)
ふか、
174
使
(
つか
)
はぬかと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
一遍
(
いつぺん
)
此処
(
ここ
)
で
実地
(
じつち
)
を
見
(
み
)
せませう。
175
さうして
貴方
(
あなた
)
に
承知
(
しようち
)
が
行
(
い
)
つたら
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
にしませう。
176
そんな
処
(
ところ
)
まで
鮎
(
あゆ
)
食
(
く
)
ひに
行
(
ゆ
)
かなくても
園部
(
そのべ
)
で
沢山
(
たくさん
)
ですから……』
177
四方
(
しかた
)
『
私
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
素人
(
しろうと
)
にでも、
178
そんな
天眼通
(
てんがんつう
)
が
行
(
おこな
)
へますだらうか』
179
喜楽
(
きらく
)
『マア
其処
(
そこ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
180
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
んで
見
(
み
)
なさい』
181
四方
(
しかた
)
『そんなら
頼
(
たの
)
みます』
182
と
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
素直
(
すなほ
)
に
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
に
正座
(
せいざ
)
し、
183
手
(
て
)
を
組
(
く
)
み
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
いだ。
184
喜楽
(
きらく
)
は、
185
喜楽
(
きらく
)
『サアこれから
四方
(
しかた
)
サン、
186
天眼通
(
てんがんつう
)
を
授
(
さづ
)
けます。
187
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
が……ソレ
見
(
み
)
い……と
云
(
い
)
つたが
最後
(
さいご
)
、
188
何
(
なに
)
かの
姿
(
すがた
)
が
映
(
うつ
)
りますから、
189
それを
話
(
はな
)
して
御覧
(
ごらん
)
……』
190
四方
(
しかた
)
『ハイ……』
191
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
192
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
早
(
はや
)
くも
霊感者
(
れいかんしや
)
になつて、
193
少
(
すこ
)
し
鼻息
(
はないき
)
を
荒
(
あら
)
くし
体
(
からだ
)
をピリピリと
慄
(
ふる
)
はせて
居
(
ゐ
)
る。
194
喜楽
(
きらく
)
は、
195
『それ
見
(
み
)
い!』
196
と
大喝
(
だいかつ
)
一声
(
いつせい
)
した。
197
四方
(
しかた
)
『ハイ、
198
見
(
み
)
えました。
199
小
(
ちひ
)
さい
古
(
ふる
)
き
藁葺
(
わらぶき
)
の
家
(
いへ
)
が
一軒
(
いつけん
)
、
200
前横
(
まへよこ
)
の
方
(
はう
)
に
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ
汚
(
きたな
)
い
家
(
いへ
)
があつて、
201
其処
(
そこ
)
に
美
(
うつく
)
しい
水
(
みづ
)
の
湧
(
わ
)
いた
池
(
いけ
)
があります。
202
さうして
裏
(
うら
)
の
方
(
はう
)
には
榧
(
かや
)
の
木
(
き
)
や、
203
椋
(
むく
)
の
大木
(
たいぼく
)
が
見
(
み
)
えます。
204
細
(
ほそ
)
い
綺麗
(
きれい
)
な
河
(
かは
)
が
道
(
みち
)
の
下
(
した
)
を
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
ます』
205
喜楽
(
きらく
)
『アヽそれで
愈
(
いよいよ
)
天眼通
(
てんがんつう
)
が
開
(
ひら
)
けました。
206
それは
私
(
わたし
)
の
生
(
うま
)
れた
家
(
うち
)
ですよ。
207
もう
宜
(
よろ
)
しい』
208
と
云
(
い
)
へば、
209
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
組
(
く
)
んだ
手
(
て
)
を
離
(
はな
)
し
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
き、
210
四方
(
しかた
)
『
何
(
なん
)
とマア、
211
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ですな。
212
イヤもう
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました。
213
流石
(
さすが
)
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
も
偉
(
えら
)
いわい。
214
多勢
(
おほぜい
)
の
役員
(
やくゐん
)
や
信者
(
しんじや
)
に
隠
(
かく
)
れてお
迎
(
むか
)
へして
来
(
こ
)
いと
仰有
(
おつしや
)
つた
丈
(
だ
)
けの
価値
(
ねうち
)
があります。
215
こんな
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
れば、
216
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
見
(
み
)
え
透
(
す
)
くと
仰有
(
おつしや
)
る
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
が
充分
(
じゆうぶん
)
に
勤
(
つと
)
まりませう』
217
と
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
を
)
る。
218
それから
病気
(
びやうき
)
の
伺
(
うかが
)
ひや
天眼通
(
てんがんつう
)
の
試験
(
しけん
)
を
色々
(
いろいろ
)
として、
219
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
に
先
(
ま
)
づ
霊学
(
れいがく
)
の
尊
(
たふと
)
い
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
220
朝飯
(
あさめし
)
を
食
(
く
)
ひ
愈
(
いよいよ
)
これから
出立
(
しゆつたつ
)
しようとする
時
(
とき
)
、
221
さしもの
大雨
(
おほあめ
)
もピタリと
止
(
と
)
まり、
222
ガンガンと
日本晴
(
にほんば
)
れの
空
(
そら
)
に
太陽
(
たいやう
)
が
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
き
出
(
だ
)
した。
223
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は、
224
四方
(
しかた
)
『ヤア、
225
仰有
(
おつしや
)
つた
通
(
とほ
)
り
九
(
く
)
時
(
じ
)
になつたらカラリと
霽
(
は
)
れました。
226
ほんに
霊学
(
れいがく
)
と
云
(
い
)
ふものは
結構
(
けつこう
)
なものですな。
227
これから
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
りましたら、
228
金光教
(
こんくわうけう
)
の
先生
(
せんせい
)
や
役員
(
やくゐん
)
どもが
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
云
(
い
)
ふと
面倒
(
めんだう
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
229
ソツと
裏町
(
うらまち
)
の
教祖
(
けうそ
)
さまの
宅
(
たく
)
へ
参
(
まゐ
)
りませう』
230
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
六
(
ろく
)
里
(
り
)
の
山坂
(
やまさか
)
を
越
(
こ
)
えて
其
(
その
)
日
(
ひ
)
の
午後
(
ごご
)
四
(
よ
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
、
231
漸
(
やうや
)
くにして
裏町
(
うらまち
)
の
教祖
(
けうそ
)
の
宅
(
たく
)
へ
安着
(
あんちやく
)
した。
232
誰
(
たれ
)
が
喋
(
しやべ
)
つたのか
早
(
はや
)
くも
信者
(
しんじや
)
の
四方
(
しかた
)
与平
(
よへい
)
、
233
黒田
(
くろだ
)
清子
(
きよこ
)
、
234
四方
(
しかた
)
すみ
子
(
こ
)
、
235
塩見
(
しほみ
)
じゆん
子
(
こ
)
を
始
(
はじ
)
め
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
信者
(
しんじや
)
が
集
(
あつ
)
まつて
来
(
き
)
て、
236
『
平蔵
(
へいざう
)
サン、
237
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
を
頂
(
いただ
)
きなさつた。
238
よい
先生
(
せんせい
)
を
迎
(
むか
)
へて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました』
239
などと
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み、
240
金光教
(
こんくわうけう
)
の
旧信者
(
きうしんじや
)
へ
通知
(
つうち
)
に
各自
(
めいめい
)
廻
(
まは
)
つて
了
(
しま
)
つた。
241
此
(
この
)
勢
(
いきほひ
)
に
足立
(
あだち
)
正信
(
まさのぶ
)
氏
(
し
)
は
吃驚
(
びつくり
)
して
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
を
裏町
(
うらまち
)
へ
遣
(
つか
)
はし、
242
色々
(
いろいろ
)
と
水
(
みづ
)
をさし
妨害
(
ばうがい
)
を
加
(
くは
)
へた。
243
されど
出口
(
でぐち
)
教祖
(
けうそ
)
を
始
(
はじ
)
め、
244
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
氏
(
し
)
の
勢
(
いきほひ
)
があんまり
猛烈
(
まうれつ
)
なので、
245
到頭
(
たうとう
)
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
も
我
(
が
)
を
折
(
を
)
り
教祖
(
けうそ
)
の
命
(
めい
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
して
了
(
しま
)
つた。
246
四方
(
しかた
)
源之助
(
げんのすけ
)
、
247
西岡
(
にしをか
)
弥吉
(
やきち
)
、
248
西村
(
にしむら
)
文右衛門
(
ぶんうゑもん
)
、
249
村上
(
むらかみ
)
清次郎
(
せいじらう
)
、
250
西村
(
にしむら
)
庄太郎
(
しやうたらう
)
、
251
四方
(
しかた
)
伊左衛門
(
いざゑもん
)
等
(
など
)
と
云
(
い
)
ふ
世話係
(
せわがかり
)
は
裏町
(
うらまち
)
の
宅
(
たく
)
へ
集
(
あつ
)
まり
来
(
き
)
たり、
252
平蔵
(
へいざう
)
氏
(
し
)
と
教祖
(
けうそ
)
の
説明
(
せつめい
)
によつて
非常
(
ひじやう
)
に
共鳴
(
きようめい
)
し、
253
艮
(
うしとらの
)
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
の
金
(
きん
)
の
字
(
じ
)
をとり、
254
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
255
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
月日
(
つきひ
)
を
合
(
あは
)
せて
金明会
(
きんめいくわい
)
と
云
(
い
)
ふ
団体
(
だんたい
)
を
組織
(
そしき
)
し、
256
信者
(
しんじや
)
は
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
遠近
(
ゑんきん
)
より
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
257
裏町
(
うらまち
)
の
狭
(
せま
)
い
倉
(
くら
)
の
中
(
なか
)
では
身動
(
みうご
)
きもならぬやうになつたので、
258
本町
(
ほんまち
)
の
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
の
本宅
(
ほんたく
)
へ
金明会
(
きんめいくわい
)
を
移
(
うつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
259
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
は
得意
(
とくい
)
の
天眼通
(
てんがんつう
)
を
振
(
ふ
)
りまはし
神占
(
しんせん
)
をしたり、
260
病気
(
びやうき
)
平癒
(
へいゆ
)
を
祈
(
いの
)
つたりして
非常
(
ひじやう
)
な
人気
(
にんき
)
である。
261
只
(
ただ
)
の
一回
(
いつくわい
)
位
(
くらゐ
)
、
262
霊学
(
れいがく
)
を
教
(
をし
)
へて
貰
(
もら
)
ふて、
263
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
サンはあれ
丈
(
だ
)
け
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
を
貰
(
もら
)
ふたのだから、
264
修行
(
しうぎやう
)
さへしたら
誰
(
たれ
)
でも
神徳
(
しんとく
)
が
頂
(
いただ
)
けるだらうと、
265
幽斎
(
いうさい
)
修行
(
しうぎやう
)
の
希望者
(
きばうしや
)
が
瞬
(
またた
)
く
内
(
うち
)
に
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
あまりも
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
た。
266
喜楽
(
きらく
)
は
向側
(
むかうがは
)
の
西村
(
にしむら
)
庄兵衛
(
しやうべゑ
)
と
云
(
い
)
ふ
信者
(
しんじや
)
の
裏
(
うら
)
の
離家
(
はなれや
)
を
借
(
か
)
つて
其処
(
そこ
)
に
寝泊
(
ねとま
)
りをしたり、
267
世話方
(
せわかた
)
に
色々
(
いろいろ
)
と
神
(
かみ
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
居
(
ゐ
)
た。
268
金光
(
こんくわう
)
教会
(
けうくわい
)
の
足立
(
あだち
)
正信
(
まさのぶ
)
氏
(
し
)
は
最早
(
もはや
)
策
(
さく
)
の
施
(
ほどこ
)
すべき
所
(
ところ
)
なく、
269
村上
(
むらかみ
)
清次郎
(
せいじろう
)
、
270
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
、
271
四方
(
しかた
)
すみ、
272
塩見
(
しほみ
)
じゆん、
273
黒田
(
くろだ
)
清
(
きよ
)
などの
宅
(
たく
)
を
訪問
(
はうもん
)
して、
274
いろいろの
反対
(
はんたい
)
運動
(
うんどう
)
を
試
(
こころ
)
みたけれども、
275
到底
(
たうてい
)
効
(
かう
)
を
奏
(
そう
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なくなつて
来
(
き
)
た。
276
教祖
(
けうそ
)
は
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
を
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
ひ、
277
小遣銭
(
こづかいせん
)
や
米
(
こめ
)
等
(
など
)
を
贈
(
おく
)
つて
金光教
(
こんくわうけう
)
を
脱退
(
だつたい
)
し、
278
教祖
(
けうそ
)
の
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
へと
信者
(
しんじや
)
を
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
遣
(
つか
)
はして
勧
(
すす
)
められた。
279
けれども
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
は
頑固
(
ぐわんこ
)
として
応
(
おう
)
ぜず、
280
陰
(
いん
)
に
陽
(
やう
)
に
反対
(
はんたい
)
の
気勢
(
きせい
)
を
挙
(
あ
)
げ、
281
足立
(
あだち
)
『
上田
(
うへだ
)
と
云
(
い
)
ふ
狐使
(
きつねつか
)
ひをこんな
処
(
ところ
)
へ
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
て、
282
山子
(
やまこ
)
を
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
したから
騙
(
だま
)
されない
様
(
やう
)
にせよ』
283
と
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
や
村上
(
むらかみ
)
房之助
(
ふさのすけ
)
等
(
など
)
を
遠近
(
ゑんきん
)
の
信者
(
しんじや
)
の
宅
(
たく
)
に
遣
(
つか
)
はし、
284
色々
(
いろいろ
)
と
非難
(
ひなん
)
攻撃
(
こうげき
)
を
始
(
はじ
)
めた。
285
中村
(
なかむら
)
は
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
を
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
貸
(
か
)
しておき
乍
(
なが
)
ら、
286
足立
(
あだち
)
の
命令
(
めいれい
)
に
従
(
したが
)
つて
反対
(
はんたい
)
運動
(
うんどう
)
を
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
なくやつて
居
(
ゐ
)
た。
287
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
時
(
とき
)
の
勢
(
いきほひ
)
には
抗
(
かう
)
すべくもあらず、
288
一人
(
ひとり
)
も
信者
(
しんじや
)
が
行
(
ゆ
)
かなくなり、
289
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
もまはらぬ
破目
(
はめ
)
に
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
は
陥
(
おちい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
290
そこで
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
は
我
(
が
)
を
折
(
お
)
つて、
291
足立
(
あだち
)
『
何卒
(
どうぞ
)
改心
(
かいしん
)
するから
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
使
(
つか
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
292
と
頼
(
たの
)
みに
来
(
き
)
た。
293
金明会
(
きんめいくわい
)
の
役員
(
やくゐん
)
連
(
れん
)
は
速
(
すみやか
)
に
協議会
(
けふぎくわい
)
を
開
(
ひら
)
いた
結果
(
けつくわ
)
、
294
『
足立
(
あだち
)
正信
(
まさのぶ
)
氏
(
し
)
は
信者
(
しんじや
)
の
受
(
う
)
けも
悪
(
わる
)
し、
295
○○や○○と
醜関係
(
しうくわんけい
)
をつけ、
296
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
を
汚
(
けが
)
して
居
(
を
)
るから、
297
此
(
この
)
際
(
さい
)
絶対
(
ぜつたい
)
に
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
這入
(
はい
)
る
事
(
こと
)
は
謝絶
(
しやぜつ
)
するがよい』
298
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に
協議
(
けふぎ
)
が
纏
(
まと
)
まつて
了
(
しま
)
つた。
299
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
が
尾
(
を
)
を
振
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
たのは、
300
心
(
こころ
)
の
裡
(
うち
)
から
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
心従
(
しんじゆう
)
して
居
(
ゐ
)
るのではない。
301
老母
(
らうぼ
)
や
子供
(
こども
)
が
忽
(
たちま
)
ち
糊口
(
ここう
)
に
窮
(
きう
)
する
処
(
ところ
)
から、
302
一
(
いち
)
時
(
じ
)
の
窮策
(
きうさく
)
として
表面
(
へうめん
)
心従
(
しんじう
)
したと
見
(
み
)
せかけ
時機
(
じき
)
を
見
(
み
)
て
金明会
(
きんめいくわい
)
を
転覆
(
てんぷく
)
させ、
303
喜楽
(
きらく
)
先生
(
せんせい
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
す
計略
(
けいりやく
)
なる
事
(
こと
)
は、
304
今迄
(
いままで
)
の
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
の
行動
(
かうどう
)
に
徴
(
ちよう
)
して
明白
(
めいはく
)
だから、
305
今度
(
こんど
)
の
好
(
よ
)
い
機会
(
きくわい
)
を
幸
(
さいは
)
ひに
一切
(
いつさい
)
の
関係
(
くわんけい
)
を
絶
(
た
)
つ
方
(
はう
)
が
上分別
(
じやうふんべつ
)
だと、
306
今
(
いま
)
まで
同氏
(
どうし
)
の
熱心
(
ねつしん
)
な
教養
(
けうやう
)
をうけたものさへ、
307
極力
(
きよくりよく
)
排斥
(
はいせき
)
を
主張
(
しゆちやう
)
する
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
た。
308
喜楽
(
きらく
)
は
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
を
憐
(
あは
)
れみ、
309
且
(
かつ
)
又
(
また
)
今迄
(
いままで
)
金光教
(
こんくわうけう
)
を
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
た
役員
(
やくゐん
)
や
信者
(
しんじや
)
の
人情
(
にんじやう
)
の
浮薄
(
ふはく
)
冷酷
(
れいこく
)
なるに
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て、
310
『
今日
(
けふ
)
は
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
311
明日
(
あす
)
は
吾
(
わ
)
が
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がある。
312
こんな
薄情
(
はくじやう
)
な
人間
(
にんげん
)
の
処
(
ところ
)
へ
居
(
を
)
つては
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だ。
313
自分
(
じぶん
)
さへ
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
つたならば
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
親子
(
おやこ
)
の
困難
(
こんなん
)
は
除
(
のぞ
)
かれるだらう。
314
世人
(
よびと
)
の
困難
(
こんなん
)
を
救
(
すく
)
ふべき
神
(
かみ
)
の
取次
(
とりつぎ
)
が
人
(
ひと
)
を
困
(
こま
)
らせてはならない』
315
と
思
(
おも
)
つたから、
316
四方
(
しかた
)
氏
(
し
)
を
始
(
はじ
)
め
重
(
おも
)
なる
役員
(
やくゐん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
317
上田
(
うへだ
)
『
私
(
わたし
)
が
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
たために、
318
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
親子
(
おやこ
)
が
困難
(
こんなん
)
を
来
(
きた
)
すべき
結果
(
けつくわ
)
を
生
(
しやう
)
じたのだから、
319
私
(
わたし
)
は
同氏
(
どうし
)
に
対
(
たい
)
して
済
(
す
)
まないから
今日
(
けふ
)
から
帰
(
かへ
)
ります。
320
何卒
(
どうぞ
)
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
と
仲良
(
なかよ
)
うして
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
をして
下
(
くだ
)
さい』
321
と
申
(
まを
)
し
込
(
こ
)
んだ。
322
そこで
数多
(
あまた
)
の
役員
(
やくゐん
)
は
大
(
おほい
)
に
狼狽
(
らうばい
)
し、
323
鳩首
(
きうしゆ
)
謀議
(
ぼうぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
324
役員たち
『
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
の
処置
(
しよち
)
に
就
(
つ
)
いては
上田
(
うへだ
)
先生
(
せんせい
)
に
一任
(
いちにん
)
しますから、
325
是非
(
ぜひ
)
とも
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
の
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
て、
326
大本
(
おほもと
)
の
宣伝
(
せんでん
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
下
(
くだ
)
され』
327
と
異口
(
いく
)
同音
(
どうおん
)
に
頼
(
たの
)
み
込
(
こ
)
む。
328
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
を
金明会
(
きんめいくわい
)
の
副会長
(
ふくくわいちやう
)
に
任
(
にん
)
じ、
329
金明会
(
きんめいくわい
)
の
名
(
な
)
の
許
(
もと
)
に
仲良
(
なかよ
)
く
神務
(
しんむ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
となつた。
330
出口
(
でぐち
)
教祖
(
けうそ
)
も
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
につき
心
(
こころ
)
密
(
ひそ
)
かに
非常
(
ひじやう
)
な
心痛
(
しんつう
)
をして
居
(
を
)
られたが、
331
喜楽
(
きらく
)
の
同情
(
どうじやう
)
ある
処置
(
しよち
)
に
対
(
たい
)
し、
332
非常
(
ひじやう
)
に
安心
(
あんしん
)
をしたと
云
(
い
)
つて
感謝
(
かんしや
)
せられた。
333
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
は
大変
(
たいへん
)
に
喜
(
よろこ
)
び、
334
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
も
喜楽
(
きらく
)
の
赤誠
(
せきせい
)
に
感
(
かん
)
じ、
335
直
(
ただち
)
に
今迄
(
いままで
)
の
態度
(
たいど
)
を
改
(
あらた
)
め、
336
教祖
(
けうそ
)
に
次
(
つ
)
いで
喜楽
(
きらく
)
を
師匠
(
ししやう
)
と
尊敬
(
そんけい
)
し
出
(
だ
)
した。
337
一
(
いち
)
時
(
じ
)
は
大争乱
(
だいそうらん
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
しさうの
模様
(
もやう
)
のあつた
金光教
(
こんくわうけう
)
対
(
たい
)
金明会
(
きんめいくわい
)
も、
338
茲
(
ここ
)
に
円満
(
ゑんまん
)
な
解決
(
かいけつ
)
が
出来
(
でき
)
て、
339
双方
(
さうはう
)
とも
心持
(
こころもち
)
克
(
よ
)
く
勇
(
いさ
)
んで
和合
(
わがふ
)
の
裡
(
うち
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
に
尽
(
つく
)
す
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
たのである。
340
(
大正一一・一〇・一二
旧八・二二
北村隆光
録)
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(N)
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