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第2巻(丑の巻)
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第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
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第11巻(戌の巻)
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第13巻(子の巻)
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第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
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第42巻(巳の巻)
序文に代へて
総説に代へて
第1篇 波瀾重畳
01 北光照暗
〔1126〕
02 馬上歌
〔1127〕
03 山嵐
〔1128〕
04 下り坂
〔1129〕
第2篇 恋海慕湖
05 恋の罠
〔1130〕
06 野人の夢
〔1131〕
07 女武者
〔1132〕
08 乱舌
〔1133〕
09 狐狸窟
〔1134〕
第3篇 意変心外
10 墓場の怪
〔1135〕
11 河底の怪
〔1136〕
12 心の色々
〔1137〕
13 揶揄
〔1138〕
14 吃驚
〔1139〕
第4篇 怨月恨霜
15 帰城
〔1140〕
16 失恋会議
〔1141〕
17 酒月
〔1142〕
18 酊苑
〔1143〕
19 野襲
〔1144〕
第5篇 出風陣雅
20 入那立
〔1145〕
21 応酬歌
〔1146〕
22 別離の歌
〔1147〕
23 竜山別
〔1148〕
24 出陣歌
〔1149〕
25 惜別歌
〔1150〕
26 宣直歌
〔1151〕
余白歌
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詳しくはこちらをどうぞ
。[2024/6/30]8月中にサイトの大改修を行います。
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霊界物語
>
第42巻
> 第1篇 波瀾重畳 > 第3章 山嵐
<<< 馬上歌
(B)
(N)
下り坂 >>>
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第三章
山嵐
(
やまあらし
)
〔一一二八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
篇:
第1篇 波瀾重畳
よみ(新仮名遣い):
はらんちょうじょう
章:
第3章 山嵐
よみ(新仮名遣い):
やまあらし
通し章番号:
1128
口述日:
1922(大正11)年11月14日(旧09月26日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月1日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
照山峠の頂上に登りついたセーラン王の一行は、眼下の原野を見下ろし感慨無量の気に打たれてため息をついていた
そこへシャールに派遣されたヤスダラ姫捜索隊の五人の騎士が馬で登ってきた。騎士はヤスダラ姫を発見し、テルマン国のシャールの館へ帰るようにと声をかけた。
ヤスダラ姫はシャールの不義やひどい仕打ちを上げて、決してシャールの下へは帰らないと騎士に伝えた。
騎士コルトンは力づくでヤスダラ姫を捕えて連れて行こうとしたが、レーブはたちまち騎士たちを投げ飛ばし、コルトンを蹴り倒してしまった。
コルトンは足の痛みが回復すると、四人の騎士を連れて一目散に逃げ出してしまった。王は、シャールの追っ手が徘徊していることに警戒心を抱き、一行は馬を下りて坂を下っていくこととなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-20 13:48:12
OBC :
rm4203
愛善世界社版:
37頁
八幡書店版:
第7輯 655頁
修補版:
校定版:
38頁
普及版:
11頁
初版:
ページ備考:
001
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
馬背
(
ばはい
)
に
跨
(
またが
)
り、
002
漸
(
やうや
)
く
登
(
のぼ
)
りついたセーラン
王
(
わう
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
003
尾上
(
をのへ
)
を
渡
(
わた
)
る
晩秋
(
ばんしう
)
の
風
(
かぜ
)
に
面
(
おもて
)
を
吹
(
ふ
)
かれ
乍
(
なが
)
ら、
004
眼下
(
がんか
)
の
原野
(
げんや
)
を
瞰下
(
みおろ
)
し、
005
感慨
(
かんがい
)
無量
(
むりやう
)
の
気
(
き
)
にうたれ、
006
悲喜
(
ひき
)
交々
(
こもごも
)
心中
(
しんちう
)
に
往来
(
わうらい
)
しつつ
太
(
ふと
)
き
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
007
無心
(
むしん
)
の
駒
(
こま
)
は
嬉
(
うれ
)
しげに
頭
(
かしら
)
を
擡
(
もた
)
げ
嘶
(
いなな
)
くもあり、
008
色
(
いろ
)
の
変
(
かは
)
つた
黄金色
(
わうごんしよく
)
の
芝草
(
しばくさ
)
を
むし
るもあり、
009
人馬
(
じんば
)
共
(
とも
)
に
何
(
なん
)
の
隔
(
へだ
)
てもなく
暫
(
しば
)
し
心
(
こころ
)
を
緩
(
ゆる
)
めて
浩然
(
こうぜん
)
の
気
(
き
)
を
養
(
やしな
)
ひつつあつた。
010
そこへヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
捜索隊
(
さうさくたい
)
として
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
が
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た。
011
騎士
(
きし
)
の
一隊
(
いつたい
)
は、
012
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
王
(
わう
)
を
始
(
はじ
)
め
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
部下
(
ぶか
)
と
共
(
とも
)
に
此処
(
ここ
)
に
悠然
(
いうぜん
)
として
休息
(
きうそく
)
して
居
(
ゐ
)
るに
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
013
目
(
め
)
を
円
(
まる
)
くし、
014
少
(
すこ
)
しく
逃
(
に
)
げ
腰
(
ごし
)
になつて、
015
騎士
(
きし
)
の一『ヤア、
016
そこに
居
(
ゐ
)
らるるはヤスダラ
姫
(
ひめ
)
にましまさずや。
017
吾
(
われ
)
こそはテルマン
国
(
ごく
)
のシヤール
殿
(
どの
)
より
遣
(
つか
)
はされたるコルトンと
云
(
い
)
ふ
騎士
(
きし
)
で
厶
(
ござ
)
る。
018
いい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
019
さアこれから
吾々
(
われわれ
)
がお
供
(
とも
)
を
致
(
いた
)
し、
020
テルマン
国
(
ごく
)
へ
帰
(
かへ
)
りませう』
021
と
馬上
(
ばじやう
)
より
声
(
こゑ
)
を
震
(
ふる
)
はせて
云
(
い
)
ふ。
022
ヤスダラ姫
『ヤア
其方
(
そなた
)
はシヤールさまから
頼
(
たの
)
まれて
来
(
き
)
た
騎士
(
きし
)
だな。
023
遠方
(
ゑんぱう
)
のところ、
024
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
りました。
025
併
(
しか
)
しながら、
026
妾
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
はれてもシヤールの
館
(
やかた
)
へは
帰
(
かへ
)
りませぬから、
027
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
其
(
その
)
由
(
よし
)
を
復命
(
ふくめい
)
して
下
(
くだ
)
さい。
028
又
(
また
)
無実
(
むじつ
)
の
難題
(
なんだい
)
で
鉄牢
(
てつらう
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれては、
029
堪
(
たま
)
りませぬからな。
030
ホヽヽヽヽ』
031
とヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
を
伴
(
ともな
)
うて
居
(
ゐ
)
るため、
032
心強
(
こころづよ
)
くなり、
033
平気
(
へいき
)
の
平左
(
へいざ
)
で、
034
顔色
(
かほいろ
)
も
変
(
か
)
へず
笑
(
わら
)
ひながら
答
(
こた
)
へてゐる。
035
その
大胆
(
だいたん
)
さに
騎士
(
きし
)
は
益々
(
ますます
)
気
(
き
)
を
呑
(
の
)
まれ、
036
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くし、
037
コルトン『これはしたり
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
038
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
仰
(
あふ
)
せられては、
039
吾々
(
われわれ
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
ちませぬ。
040
決
(
けつ
)
して
今後
(
こんご
)
は
左様
(
さやう
)
な
残酷
(
ざんこく
)
な
事
(
こと
)
はせないと、
041
シヤールの
主人
(
しゆじん
)
も
悔悟
(
くわいご
)
して
居
(
ゐ
)
ましたから、
042
お
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さつても
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
043
又
(
また
)
私
(
わたし
)
がついて
居
(
を
)
ります
以上
(
いじやう
)
は、
044
決
(
けつ
)
して
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
はさせませぬ。
045
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
の
上
(
うへ
)
何卒
(
どうぞ
)
吾々
(
われわれ
)
と
共
(
とも
)
に
御
(
ご
)
帰国
(
きこく
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
046
ヤスダラ姫
『ホヽヽヽヽ
同穴
(
どうけつ
)
の
貉
(
むじな
)
、
047
夜分
(
やぶん
)
なれば
騙
(
だま
)
されるかも
知
(
し
)
れませぬが、
048
なんぼ
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
だと
云
(
い
)
つて、
049
その
騙
(
だま
)
しは
利
(
き
)
きますまい。
050
シヤールの
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いても
身慄
(
みぶる
)
ひが
致
(
いた
)
します。
051
もう
左様
(
さやう
)
な
繰言
(
くりごと
)
はこれきり
一言
(
ひとこと
)
も
仰
(
おつ
)
シヤールなや。
052
ホヽヽヽヽ』
053
コルトン
『これ、
054
お
姫
(
ひめ
)
さま、
055
いや
奥様
(
おくさま
)
、
056
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
使命
(
しめい
)
を
以
(
もつ
)
てお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
るのに、
057
滑稽
(
こつけい
)
所
(
どころ
)
ぢや
厶
(
ござ
)
りますまい。
058
何卒
(
どうぞ
)
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
も
婦道
(
ふだう
)
を
重
(
おも
)
んじ、
059
夫
(
をつと
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
つてお
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばすが
正当
(
せいたう
)
で
厶
(
ござ
)
りませう』
060
ヤスダラ姫
『
妾
(
わたし
)
は
飽迄
(
あくまで
)
も
婦道
(
ふだう
)
を
守
(
まも
)
つて
来
(
き
)
ました。
061
今迄
(
いままで
)
微塵
(
みじん
)
も
婦道
(
ふだう
)
に
欠
(
か
)
けた
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
した
覚
(
おぼ
)
えは
厶
(
ござ
)
りませぬ。
062
それにも
拘
(
かか
)
はらず、
063
罪
(
つみ
)
なき
妾
(
わたし
)
を
鉄窓
(
てつさう
)
のもとに
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
064
虐待
(
ぎやくたい
)
をなさるやうな
夫
(
をつと
)
の
家
(
いへ
)
へは、
065
護身
(
ごしん
)
の
関係
(
くわんけい
)
上
(
じやう
)
剣呑
(
けんのん
)
で
帰
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬから、
066
之
(
これ
)
までの
縁
(
えん
)
と
諦
(
あきら
)
めて
下
(
くだ
)
さいと
伝言
(
でんごん
)
して
下
(
くだ
)
さい。
067
シヤールさまは
夫道
(
ふだう
)
を
守
(
まも
)
る
方
(
かた
)
ぢやありませぬ。
068
一家
(
いつか
)
の
主婦
(
しゆふ
)
たる
妾
(
わたし
)
に
対
(
たい
)
し、
069
家政
(
かせい
)
上
(
じやう
)
について
一回
(
いつくわい
)
の
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
を
遊
(
あそ
)
ばすぢやないし、
070
妻
(
つま
)
を
無視
(
むし
)
して
数多
(
あまた
)
の
卑
(
いや
)
しき
女
(
をんな
)
を
侍
(
はべ
)
らせ、
071
無限
(
むげん
)
の
侮辱
(
ぶじよく
)
を
加
(
くは
)
へたお
方
(
かた
)
、
072
仮令
(
たとへ
)
死
(
し
)
んでも
左様
(
さやう
)
な
処
(
ところ
)
へは
滅多
(
めつた
)
に
帰
(
かへ
)
りませぬ。
073
かうなつたのもシヤールさまの
心
(
こころ
)
の
錆
(
さび
)
から
湧
(
わ
)
き
出
(
で
)
たのですから、
074
最早
(
もはや
)
回復
(
くわいふく
)
の
見込
(
みこ
)
みはありませぬ。
075
覆水盆
(
ふくすゐぼん
)
にかへらず、
076
何程
(
なにほど
)
巧妙
(
かうめう
)
な
辞令
(
じれい
)
を
以
(
もつ
)
て
籠絡
(
ろうらく
)
しようとなさつても、
077
そりや
駄目
(
だめ
)
ですよ。
078
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
だつて
少
(
すこ
)
しは
精神
(
せいしん
)
もありますから、
079
何時迄
(
いつまで
)
も
無限
(
むげん
)
の
侮辱
(
ぶじよく
)
に
甘
(
あま
)
んずる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
080
女権
(
ぢよけん
)
拡張
(
くわくちやう
)
問題
(
もんだい
)
の
持上
(
もちあが
)
つた
今日
(
けふ
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
、
081
たとへ
女
(
をんな
)
の
端
(
はし
)
くれでも
女
(
をんな
)
の
権利
(
けんり
)
を
保護
(
ほご
)
する
点
(
てん
)
から
見
(
み
)
ても、
082
どうして
左様
(
さやう
)
な
馬鹿
(
ばか
)
げた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませうか。
083
天下
(
てんか
)
の
婦人
(
ふじん
)
に
対
(
たい
)
しても
妾
(
わたし
)
の
責任
(
せきにん
)
がすみませぬ。
084
………ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
多数
(
たすう
)
婦人
(
ふじん
)
の
面上
(
めんじやう
)
に
泥
(
どろ
)
を
塗
(
ぬ
)
つたと
云
(
い
)
はれては
済
(
す
)
みませぬ。
085
最早
(
もはや
)
一個
(
いつこ
)
の
婦人
(
ふじん
)
として
考
(
かんが
)
ふる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
086
天下
(
てんか
)
の
婦人
(
ふじん
)
を
代表
(
だいへう
)
して、
087
女
(
をんな
)
の
権利
(
けんり
)
を
極力
(
きよくりよく
)
保護
(
ほご
)
する
妾
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へで
厶
(
ござ
)
ります。
088
何時迄
(
いつまで
)
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても
金輪
(
こんりん
)
奈落
(
ならく
)
帰国
(
きこく
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
089
何卒
(
どうぞ
)
シヤールさまにもこんな
不貞腐
(
ふてくさ
)
れ
女
(
をんな
)
を
目
(
め
)
にかけずに、
090
貴方
(
あなた
)
のお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つた
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
と
面白
(
おもしろ
)
う
可笑
(
をか
)
しくお
暮
(
くら
)
し
遊
(
あそ
)
ばせと、
091
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
云
(
い
)
つたと
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
092
なあコルトンさま、
093
さうでせう』
094
コルトン
『さう
聞
(
き
)
けばさうでもありませうが、
095
そりやあんまり
冷淡
(
れいたん
)
ぢやありませぬか。
096
少
(
すこ
)
しは
温情
(
をんじやう
)
の
籠
(
こも
)
つた
御
(
ご
)
返事
(
へんじ
)
を
承
(
うけたま
)
はらなくては、
097
如何
(
どう
)
して
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
に
復命
(
ふくめい
)
が
出来
(
でき
)
ませうか』
098
ヤスダラ姫
『ホヽヽヽヽ
温情
(
をんじやう
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れますわ。
099
今
(
いま
)
の
資本家
(
しほんか
)
は
労働者
(
らうどうしや
)
に
対
(
たい
)
して
温情
(
をんじやう
)
主義
(
しゆぎ
)
だとか
云
(
い
)
つて、
100
うまく
自分
(
じぶん
)
に
都合
(
つがふ
)
のよい
標語
(
へうご
)
を
用
(
もち
)
ひますが、
101
そんな
有言
(
ゆうげん
)
不実行
(
ふじつかう
)
のやり
方
(
かた
)
はヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
大嫌
(
だいきら
)
ひで
厶
(
ござ
)
ります。
102
シヤールさまもテルマン
国
(
ごく
)
の
大富豪
(
だいふがう
)
、
103
大
(
だい
)
資本家
(
しほんか
)
だから、
104
口癖
(
くちぐせ
)
の
様
(
やう
)
に
温情
(
をんじやう
)
主義
(
しゆぎ
)
をまくし
立
(
た
)
てて
居
(
を
)
られましたな。
105
ホヽヽヽヽ』
106
コルトンは
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
きながら、
107
コルトン
『
奥様
(
おくさま
)
、
108
貴方
(
あなた
)
は
俄
(
にはか
)
に
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
空
(
そら
)
ぢやないが、
109
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
したのぢや
厶
(
ござ
)
りませぬか』
110
ヤスダラ姫
『エー、
111
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
い、
112
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
もしませうかいな。
113
一天
(
いつてん
)
俄
(
にはか
)
にかき
曇
(
くも
)
ると
思
(
おも
)
へば
忽
(
たちま
)
ち
晴
(
は
)
れる
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
、
114
妾
(
わたし
)
は
已
(
すで
)
に
既
(
すで
)
にシヤールさまから
あき
られてゐました。
115
妾
(
わたし
)
もあの
様
(
やう
)
な
脅迫
(
けうはく
)
されたり、
116
虐待
(
ぎやくたい
)
されて
虚偽
(
きよぎ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
をつづける
事
(
こと
)
は
最早
(
もはや
)
忍
(
しの
)
びませぬ。
117
それよりも
早
(
はや
)
くイルナの
都入
(
みやこい
)
りをせなくてはなりませぬから、
118
何卒
(
どうぞ
)
妾
(
わたし
)
に
構
(
かま
)
はずお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
119
コルトン
『これだけ
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げてもお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さらねば、
120
私
(
わたし
)
の
職務
(
しよくむ
)
上
(
じやう
)
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ませぬ。
121
失礼
(
しつれい
)
ながらフン
縛
(
じば
)
つてでも
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
りますから、
122
其
(
その
)
覚悟
(
かくご
)
をなさいませ』
123
ヤスダラ姫
『ホヽヽヽヽ
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
に
成
(
な
)
されませえな。
124
妾
(
わたし
)
に
指一本
(
ゆびいつぽん
)
でも
触
(
さ
)
へるなら
触
(
さ
)
へて
御覧
(
ごらん
)
』
125
コルトンは
部下
(
ぶか
)
に
目配
(
めくば
)
せし、
126
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
せしめむとした。
127
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
姫
(
ひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
捕縄
(
とりなは
)
を
しごき
ながら
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつかむとするを、
128
レーブは
此
(
この
)
時
(
とき
)
突然
(
とつぜん
)
身
(
み
)
を
起
(
おこ
)
し、
129
大音声
(
だいおんじやう
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて、
130
レーブ
『
無礼者
(
ぶれいもの
)
、
131
狼藉者
(
らうぜきもの
)
』
132
と
云
(
い
)
ひながら、
133
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつかむとする
一人
(
ひとり
)
の
襟首
(
えりくび
)
をとつてスツテンドウと
谷道
(
たにみち
)
へ
投
(
な
)
げつけた。
134
コルトン
『
何
(
なに
)
、
135
猪口才
(
ちよこざい
)
な』
136
とコルトンは
手
(
て
)
に
唾
(
つばき
)
し、
137
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつくを、
138
レーブは
向脛
(
むかふずね
)
をポンと
蹴
(
け
)
つた。
139
コルトンはアツと
一声
(
ひとこゑ
)
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
140
無念
(
むねん
)
の
歯
(
は
)
ぎしりをしながら、
141
向脛
(
むかふずね
)
を
顔
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めてさすつて
居
(
ゐ
)
る。
142
レーブ『アハヽヽヽコルトンさまがコルトンと
143
脛
(
すね
)
をけられて
転
(
ころ
)
げけるかな。
144
テルマンの
国
(
くに
)
より
来
(
きた
)
る
五
(
ご
)
人
(
にん
)
づれ
145
照山峠
(
てるやまたうげ
)
で
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くなり。
146
イヒヽヽヽ
命
(
いのち
)
の
惜
(
をし
)
くない
奴
(
やつ
)
は
147
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
手向
(
てむか
)
うてみよ。
148
ウフヽヽヽうつかりと
手出
(
てだ
)
しを
致
(
いた
)
す
者
(
もの
)
あらば
149
首
(
くび
)
と
胴
(
どう
)
とを
分
(
わ
)
けてやるぞよ。
150
エヘヽヽヽえら
相
(
さう
)
に
何
(
なん
)
ぢやかんぢやと
世迷言
(
よまひごと
)
151
吐
(
ほざ
)
いたあとの
其
(
その
)
態
(
ざま
)
を
見
(
み
)
よ。
152
オホヽヽヽ
恐
(
おそ
)
ろしい
大権幕
(
だいけんまく
)
でやつて
来
(
き
)
て
153
吠面
(
ほえづら
)
かわく
浅
(
あさ
)
ましの
態
(
ざま
)
』
154
コルトン『
ア
イタヽヽ
呆
(
あき
)
れはてたる
奥様
(
おくさま
)
の
155
強
(
つよ
)
い
腰
(
こし
)
には
楯
(
たて
)
もつかれず。
156
詐
(
い
つは
)
つて
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
らうと
思
(
おも
)
ひしに
157
今
(
いま
)
は
手足
(
てあし
)
も
使
(
つか
)
ふ
術
(
すべ
)
なし。
158
ウ
ロウロと
姫
(
ひめ
)
の
御後
(
みあと
)
を
慕
(
した
)
ひつつ
159
苦
(
くる
)
しき
破目
(
はめ
)
に
遇
(
あ
)
ひにけるかな。
160
選
(
え
ら
)
まれて
捜索隊
(
さうさくたい
)
の
長
(
ちやう
)
となり
161
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
今日
(
けふ
)
の
災難
(
わざはひ
)
。
162
鬼
(
お
に
)
大蛇
(
をろち
)
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
は
恐
(
おそ
)
れねど
163
姫
(
ひめ
)
の
剛情
(
がうじやう
)
に
吾
(
われ
)
は
驚
(
おどろ
)
く』
164
セーラン『
何事
(
な
にごと
)
も
神
(
かみ
)
の
御旨
(
みむね
)
に
任
(
まか
)
すこそ
165
人
(
ひと
)
のゆくべき
真道
(
まみち
)
なるらむ。
166
西東
(
に
しひがし
)
南
(
みなみ
)
も
北
(
きた
)
も
天地
(
あめつち
)
の
167
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りのしげき
世
(
よ
)
なるよ。
168
奴羽玉
(
ぬ
ばたま
)
の
暗路
(
やみぢ
)
を
辿
(
たど
)
る
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
169
転
(
こ
)
けつ
輾
(
まろ
)
びつ
上
(
のぼ
)
りつ
下
(
くだ
)
りつ。
170
懇
(
ね
んごろ
)
に
諭
(
さと
)
す
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
聞
(
き
)
かずして
171
情
(
つれ
)
なく
散
(
ち
)
りし
仇花
(
あだばな
)
あはれ。
172
野
(
の
)
も
山
(
やま
)
もはや
羽衣
(
はごろも
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎすてて
173
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
くコルトンの
胸
(
むね
)
』
174
コルトン『
腹立
(
は
らだ
)
たし
峠
(
たうげ
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
されて
175
さがる
由
(
よし
)
なし
胸
(
むね
)
の
溜飲
(
りういん
)
。
176
昼夜
(
ひ
るよる
)
に
探
(
たづ
)
ねまはりし
甲斐
(
かひ
)
もなく
177
こんな
憂目
(
うきめ
)
に
遇
(
あ
)
うた
悲
(
かな
)
しさ。
178
冬
(
ふ
ゆ
)
近
(
ちか
)
き
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
木枯
(
こがらし
)
に
179
吹
(
ふ
)
かれながらに
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くなり。
180
屁放
(
へ
つぴ
)
りの
葦毛
(
あしげ
)
の
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
つて
181
ここで
又
(
また
)
もや
閉口
(
へいこう
)
頓首
(
とんしゆ
)
す。
182
ほめられて
手柄
(
てがら
)
をしようと
思
(
おも
)
ひしに
183
骨
(
ほ
ね
)
挫
(
くぢ
)
かれて
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
るなり』
184
竜雲
(
りううん
)
『
枉神
(
ま
がかみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
尾先
(
をさき
)
に
使
(
つか
)
はれて
185
わが
身
(
み
)
知
(
し
)
らずの
馬鹿
(
ばか
)
なコルトン。
186
身
(
み
)
に
代
(
か
)
へてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
を
捉
(
とら
)
へむと
187
嘘
(
うそ
)
を
筑紫
(
つくし
)
の
馬
(
うま
)
に
蹴
(
け
)
られつ。
188
昔
(
む
かし
)
より
今
(
いま
)
に
変
(
かは
)
らぬ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
189
進
(
すす
)
む
真人
(
まびと
)
を
攻
(
せ
)
むる
愚
(
おろ
)
かさ。
190
珍
(
め
づら
)
しや
照山峠
(
てるやまたうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
で
191
神代
(
かみよ
)
も
聞
(
き
)
かぬ
芝居
(
しばゐ
)
見
(
み
)
るかな。
192
諸々
(
も
ろもろ
)
の
企
(
たく
)
みを
胸
(
むね
)
に
抱
(
いだ
)
きたる
193
醜
(
しこ
)
の
司
(
つかさ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
あはれ』
194
カル『
惟神
(
か
むながら
)
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
を
進
(
すす
)
む
身
(
み
)
は
195
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
も
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
つなり。
196
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
夫
(
をつと
)
を
捨
(
す
)
てて
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
197
姫
(
ひめ
)
を
追
(
お
)
ひ
掛
(
か
)
け
来
(
きた
)
る
馬鹿者
(
ばかもの
)
。
198
苦
(
く
る
)
しさを
堪
(
こら
)
へて
脛
(
すね
)
をなでながら
199
まだ
懲
(
こ
)
りずまに
事騒
(
ことさわ
)
ぐかな。
200
怪
(
け
)
しからぬシヤールの
枉
(
まが
)
に
使
(
つか
)
はれて
201
駒
(
こま
)
ひき
出
(
いだ
)
す
人
(
ひと
)
の
憐
(
あは
)
れさ。
202
此処
(
こ
こ
)
で
今
(
いま
)
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
せ
203
罪
(
つみ
)
の
重荷
(
おもに
)
もカルに
救
(
すく
)
はれむ』
204
テームス『
坂道
(
さ
かみち
)
を
登
(
のぼ
)
りて
見
(
み
)
ればコルトンが
205
姫
(
ひめ
)
を
求
(
もと
)
めて
来
(
く
)
るに
出会
(
であ
)
ひぬ。
206
シ
トシトと
手綱
(
たづな
)
かいくり
駒
(
こま
)
の
背
(
せ
)
に
207
跨
(
またが
)
り
来
(
きた
)
る
曲
(
まが
)
の
捕手
(
とりて
)
等
(
ら
)
。
208
ス
ワコソと
捕縄
(
とりなは
)
とつて
姫
(
ひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
209
迫
(
せま
)
る
間
(
ま
)
もなく
足
(
あし
)
を
折
(
を
)
られつ。
210
背
(
せ
)
に
腹
(
はら
)
は
代
(
か
)
へられぬとてコルトンが
211
強談判
(
こはだんぱん
)
の
腰
(
こし
)
は
抜
(
ぬ
)
けたり。
212
曾志毛里
(
そ
しもり
)
の
里
(
さと
)
に
天降
(
あも
)
りし
素盞嗚
(
すさのを
)
の
213
神
(
かみ
)
の
警
(
いまし
)
め
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
るも』
214
コルトンは
稍
(
やや
)
足
(
あし
)
の
痛
(
いた
)
みも
恢復
(
くわいふく
)
したれば、
215
手早
(
てばや
)
く
馬
(
うま
)
に
打乗
(
うちの
)
り、
216
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
騎士
(
きし
)
に
目配
(
めくば
)
せしながら、
217
照山峠
(
てるやまたうげ
)
を
一目散
(
いちもくさん
)
に
馬
(
うま
)
の
手綱
(
たづな
)
をひきしめひきしめ、
218
生命
(
いのち
)
からがら
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
219
あと
見送
(
みおく
)
つてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
220
ヤスダラ姫
『はるばると
妾
(
わらは
)
が
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
て
221
シホシホ
帰
(
かへ
)
る
人
(
ひと
)
の
憐
(
あは
)
れさ。
222
妾
(
わらは
)
とて
鬼
(
おに
)
にあらねば
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
223
人
(
ひと
)
なやめむと
思
(
おも
)
はざりしよ。
224
思
(
おも
)
はずも
吾
(
われ
)
を
追
(
お
)
ひくる
捕人
(
とりうど
)
を
225
なやめまつりし
事
(
こと
)
の
苦
(
くる
)
しさ。
226
さりながら
免
(
まぬが
)
れ
難
(
がた
)
き
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
227
見直
(
みなほ
)
し
給
(
たま
)
へ
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
。
228
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
後姿
(
うしろすがた
)
を
見
(
み
)
るにつけ
229
悲
(
かな
)
しくなりぬ
心
(
こころ
)
さやぎぬ』
230
セーラン『
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ぬ
出来事
(
できごと
)
なりと
天地
(
あめつち
)
の
231
神
(
かみ
)
も
見直
(
みなほ
)
し
宥
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
はむ』
232
竜雲
(
りううん
)
『
勤
(
つと
)
むべき
事
(
こと
)
のさはなる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
233
捕手
(
とりて
)
となりし
人
(
ひと
)
の
憐
(
あは
)
れさ』
234
テームス『
彼
(
かれ
)
とても
生
(
うま
)
れついての
枉
(
まが
)
ならじ
235
やがて
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
目覚
(
めざ
)
めむ』
236
レーブ『
照山
(
てるやま
)
の
峠
(
たうげ
)
に
立
(
た
)
ちて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
237
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るぞうたてき』
238
カル『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りの
厚
(
あつ
)
くして
239
虎口
(
ここう
)
を
逃
(
のが
)
れ
給
(
たま
)
ひたる
君
(
きみ
)
。
240
いざさらば
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
りシトシトと
241
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くべし』
242
セーラン『シヤールの
遣
(
つか
)
はした
騎士
(
きし
)
が、
243
最早
(
もはや
)
此処
(
ここ
)
まで
姫
(
ひめ
)
の
在処
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
上
(
うへ
)
は、
244
決
(
けつ
)
して
油断
(
ゆだん
)
はなるまい。
245
此
(
この
)
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
れば
益々
(
ますます
)
危険
(
きけん
)
区域
(
くゐき
)
だ。
246
又
(
また
)
坂路
(
さかみち
)
は
乗馬
(
じやうば
)
は
却
(
かへつ
)
て
剣呑
(
けんのん
)
千万
(
せんばん
)
、
247
駒
(
こま
)
の
口
(
くち
)
をとつてソロソロ
下
(
くだ
)
らうではないか。
248
何
(
なん
)
とはなしに
胸騒
(
むなさわ
)
がしくなつて
来
(
き
)
た。
249
サア、
250
一同
(
いちどう
)
行
(
ゆ
)
かう』
251
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
252
急坂
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
253
一行
(
いつかう
)
は
王
(
わう
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
254
駒
(
こま
)
を
曳
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
255
ハイハイハイと
声
(
こゑ
)
をかけながら
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
256
(
大正一一・一一・一四
旧九・二六
北村隆光
録)
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