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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第42巻(巳の巻)
序文に代へて
総説に代へて
第1篇 波瀾重畳
第1章 北光照暗
第2章 馬上歌
第3章 山嵐
第4章 下り坂
第2篇 恋海慕湖
第5章 恋の罠
第6章 野人の夢
第7章 女武者
第8章 乱舌
第9章 狐狸窟
第3篇 意変心外
第10章 墓場の怪
第11章 河底の怪
第12章 心の色々
第13章 揶揄
第14章 吃驚
第4篇 怨月恨霜
第15章 帰城
第16章 失恋会議
第17章 酒月
第18章 酊苑
第19章 野襲
第5篇 出風陣雅
第20章 入那立
第21章 応酬歌
第22章 別離の歌
第23章 竜山別
第24章 出陣歌
第25章 惜別歌
第26章 宣直歌
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第42巻(巳の巻)
> 第4篇 怨月恨霜 > 第16章 失恋会議
<<< 帰城
(B)
(N)
酒月 >>>
第一六章
失恋
(
しつれん
)
会議
(
くわいぎ
)
〔一一四一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
篇:
第4篇 怨月恨霜
よみ(新仮名遣い):
えんげつこんそう
章:
第16章 失恋会議
よみ(新仮名遣い):
しつれんかいぎ
通し章番号:
1141
口述日:
1922(大正11)年11月17日(旧09月29日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月1日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
右守館の奥の間では、サマリー姫とサモア姫が右守の行動を怪しみ、心を痛めながら善後策を話し合っていた。
サモア姫とマンモスの探偵によって、右守がヤスダラ姫に恋慕してうつつを抜かしていることはサマリー姫にも報告されていた。また、ヤスダラ姫とカールチンの間を取り持ったのはのはユーフテスであることも知られていた。
二人はマンモスを呼び、カールチンが今どこにいるかを探ってくるようにと言いつけた。マンモスは、今日はサモア姫と婚礼を上げる日だと勝手に思い込んでおり、サモア姫に約束の履行を迫った。サモア姫はそんな約束をした覚えはないとマンモスを退けた。
サモア姫に振られたマンモスは、捨て台詞を残して去ったが、傷心のあまり犬猿の仲であったユーフテスの館を尋ね、自分の恋の顛末を打ち明けた。白狐のセーリス姫になぶられたユーフテスも恋の傷心を分かち合った。
そこへカールチンが血相を変えてやってきた。カールチンは自分が偽のヤスダラ姫にだまされていたことを明かした。
三五教の宣伝使たちにだまされていたことを知った三人は、今晩城内に忍び込んで仇たちを殺害しようと謀議をこらしていた。ユーフテスの下女チールは三人の計画を立ち聞きしてしまい、サマリー姫にすっかり報告した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-26 15:38:48
OBC :
rm4216
愛善世界社版:
193頁
八幡書店版:
第7輯 711頁
修補版:
校定版:
198頁
普及版:
81頁
初版:
ページ備考:
001
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
の
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
には、
002
サマリー
姫
(
ひめ
)
とサモア
姫
(
ひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
が、
003
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
右守司
(
うもりのかみ
)
の
行動
(
かうどう
)
の
何
(
なん
)
となく
遽
(
そはそは
)
として
落着
(
おちつ
)
きのないのに
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
めつつ、
004
密々
(
ひそびそ
)
と
前後策
(
ぜんごさく
)
を
攻究
(
こうきう
)
しつつあつた。
005
サマリー姫
『サモア
殿
(
どの
)
、
006
其方
(
そなた
)
は
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
父上
(
ちちうへ
)
の
御
(
ご
)
様子
(
やうす
)
に
就
(
つい
)
て、
007
何
(
なに
)
か
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
はないか、
008
私
(
わたし
)
何
(
な
)
ンだか
心配
(
しんぱい
)
になつて
仕方
(
しかた
)
がないのよ。
009
母上
(
ははうへ
)
がハルナ
国
(
こく
)
へ
御
(
ご
)
出陣
(
しゆつぢん
)
になつてからは、
010
家
(
いへ
)
を
外
(
そと
)
にして
出歩
(
である
)
き
通
(
どほ
)
し、
011
家事
(
かじ
)
一切
(
いつさい
)
は
其方除
(
そつちの
)
けの
有様
(
ありさま
)
、
012
それに
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬは
俄
(
にはか
)
に
髪
(
かみ
)
を
揃
(
そろ
)
へたり
髯
(
ひげ
)
をいぢつたり、
013
男
(
をとこ
)
の
癖
(
くせ
)
に
顔
(
かほ
)
に
白粉
(
おしろい
)
を
塗
(
ぬ
)
つたり
眉
(
まゆ
)
を
揃
(
そろ
)
へたり、
014
衣服
(
いふく
)
を
毎日
(
まいにち
)
着替
(
きか
)
へたり、
015
まるで
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
のする
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
ばかり
為
(
し
)
て
居
(
を
)
られるぢやありませぬか。
016
大方
(
おほかた
)
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
さまに
口先
(
くちさき
)
でチヨロマカされて、
017
アンナ
狂気
(
きやうき
)
じみた
事
(
こと
)
を
為
(
な
)
さるのぢやなからうかと、
018
案
(
あん
)
じられて
仕様
(
しやう
)
がありませぬよ』
019
サモア姫
『
私
(
わたし
)
の
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
では、
020
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
はどうやらヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
恋慕
(
れんぼ
)
遊
(
あそ
)
ばされ、
021
現
(
うつつ
)
をぬかして
居
(
ゐ
)
らつしやる
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれます。
022
マンモスの
話
(
はなし
)
から
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると、
023
旦那
(
だんな
)
には
大変
(
たいへん
)
な
悪魔
(
あくま
)
が
付
(
つ
)
けねらつて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
ですわ。
024
コリヤどうしても
姫
(
ひめ
)
さまから
一応
(
いちおう
)
御
(
ご
)
諫言
(
かんげん
)
をして
戴
(
いただ
)
かねば、
025
到底
(
たうてい
)
私
(
わたし
)
なぞが
御
(
お
)
諫
(
いさ
)
め
申上
(
まをしあ
)
げてもダメですわ』
026
サマリー姫
『
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
がで
来
(
き
)
ましたなア。
027
父
(
ちち
)
は
到底
(
たうてい
)
私
(
わたし
)
どもの
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
れる
気遣
(
きづか
)
ひはないから、
028
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
信任
(
しんにん
)
厚
(
あつ
)
きユーフテスから
申上
(
まをしあ
)
げる
様
(
やう
)
にしたらドンなものだらうかな』
029
サモア姫
『それは
全然
(
ぜんぜん
)
ダメでせうよ。
030
ユーフテスが
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
の
精神
(
せいしん
)
を
混乱
(
こんらん
)
させたのですもの』
031
サマリー姫
『あのユーフテスが? そんな
事
(
こと
)
を
父上
(
ちちうへ
)
に
勧
(
すす
)
めたのかい。
032
何
(
な
)
ンとマア
悪
(
わる
)
い
男
(
をとこ
)
だなア。
033
これからユーフテスを
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
して
厳重
(
げんぢう
)
に
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ませう。
034
コレコレ、
035
マンモス、
036
其処
(
そこ
)
に
居
(
ゐ
)
ないか、
037
一寸
(
ちよつと
)
用事
(
ようじ
)
がある。
038
早
(
はや
)
く
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい』
039
と
呼
(
よ
)
ばはる
声
(
こゑ
)
に
襖
(
ふすま
)
を
押開
(
おしあ
)
けて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るはマンモスであつた。
040
彼
(
かれ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
密談
(
みつだん
)
を
不道徳
(
ふだうとく
)
にも
隣室
(
りんしつ
)
に
息
(
いき
)
を
殺
(
ころ
)
して
立聞
(
たちぎ
)
きして
居
(
ゐ
)
たのであつた。
041
マンモス
『
姫
(
ひめ
)
さま、
042
御
(
お
)
呼
(
よ
)
びになつたのは
私
(
わたくし
)
で
御座
(
ござ
)
りますか。
043
何
(
なん
)
なりと、
044
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
け
下
(
くだ
)
さりませ』
045
サマリー『アヽマンモス、
046
偉
(
えら
)
う
早
(
はや
)
いぢやないか。
047
大方
(
おほかた
)
最前
(
さいぜん
)
からの
二人
(
ふたり
)
の
談話
(
だんわ
)
をすつかり
聞
(
き
)
いて
了
(
しま
)
つたのだらう』
048
マンモス
『ハイ
御
(
ご
)
推量
(
すゐりやう
)
に
違
(
たが
)
はず、
049
一切
(
いつさい
)
の
経緯
(
いきさつ
)
を
残
(
のこ
)
らず
承
(
うけたま
)
はりました。
050
実
(
じつ
)
に
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になりましたねえ。
051
是
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふも
全
(
まつた
)
くユーフテスの
為
(
な
)
す
行
(
わざ
)
で、
052
決
(
けつ
)
して
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
の
心
(
こころ
)
より
出
(
で
)
た
事
(
こと
)
ではありませぬ。
053
それだからマンモスが
何時
(
いつ
)
も
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
や
奥様
(
おくさま
)
始
(
はじ
)
め
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
にも
申上
(
まをしあ
)
げたでせう。
054
ユーフテスは
実
(
じつ
)
に
右守家
(
うもりけ
)
の
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
だから、
055
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
放逐
(
はうちく
)
遊
(
あそ
)
ばし、
056
彼
(
かれ
)
の
代
(
かは
)
りに
此
(
この
)
マンモスを
御
(
ご
)
採用
(
さいよう
)
下
(
くだ
)
されと。
057
私
(
わたし
)
は
決
(
けつ
)
して
私利
(
しり
)
私欲
(
しよく
)
に
駆
(
か
)
られて
人
(
ひと
)
を
落
(
おと
)
し、
058
自分
(
じぶん
)
が
出世
(
しゆつせ
)
をしようと
思
(
おも
)
ふやうなケチな
心
(
こころ
)
ではありませぬ。
059
只々
(
ただただ
)
お
家
(
いへ
)
の
大事
(
だいじ
)
を
思
(
おも
)
へばこそ、
060
死
(
し
)
を
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
忠告
(
ちうこく
)
申上
(
まをしあ
)
げたのです』
061
サマリー姫
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
もお
前
(
まへ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
062
父上
(
ちちうへ
)
の
在処
(
ありか
)
を
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
探
(
さぐ
)
つて
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
つてお
呉
(
く
)
れ。
063
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
しては
居
(
を
)
られないから』
064
マンモス
『エヽ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
065
併
(
しか
)
しながら
今日
(
けふ
)
は
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
予
(
かね
)
ての
御
(
おん
)
許
(
ゆる
)
しのサモア
姫
(
ひめ
)
と
改
(
あらた
)
めて
夫婦
(
ふうふ
)
の
結婚
(
けつこん
)
をなすべきマンモス
一生
(
いつしやう
)
の
大事
(
だいじ
)
の
日
(
ひ
)
で
厶
(
ござ
)
りますから、
066
何卒
(
なにとぞ
)
此
(
この
)
御用
(
ごよう
)
はハルマンに
申付
(
まをしつ
)
けて
下
(
くだ
)
さいませ。
067
私
(
わたくし
)
一生
(
いつしやう
)
の
祝日
(
しゆくじつ
)
ですから、
068
今日
(
けふ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
や
二日
(
ふつか
)
に
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
がドウカウといふ
訳
(
わけ
)
でありませぬからなア』
069
サマリー姫
『コレコレ マンモス、
070
お
前
(
まへ
)
とそんな
約束
(
やくそく
)
は
私
(
わたし
)
はした
覚
(
おぼえ
)
はない。
071
神妙
(
しんめう
)
に
忠義
(
ちうぎ
)
を
竭
(
つく
)
した
暁
(
あかつき
)
は、
072
都合
(
つがふ
)
に
依
(
よ
)
つたらサモア
姫
(
ひめ
)
の
様
(
やう
)
な
美人
(
びじん
)
をお
前
(
まへ
)
の
女房
(
にようばう
)
にしてやらうと
言
(
い
)
つたまでだよ。
073
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
ふと
済
(
す
)
まぬが、
074
先達
(
せんだつ
)
ての
様
(
やう
)
に
左守
(
さもり
)
の
邸宅
(
ていたく
)
へ
忍術
(
にんじゆつ
)
を
以
(
もつ
)
て
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み、
075
下手
(
へた
)
をして
捕
(
とら
)
へられ、
076
男
(
をとこ
)
らしくもない、
077
主人
(
しゆじん
)
に
頼
(
たの
)
まれた
秘密
(
ひみつ
)
まで
悉皆
(
すつかり
)
敵方
(
てきがた
)
に
打明
(
うちあ
)
けて、
078
生命
(
いのち
)
を
惜
(
をし
)
み
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
様
(
やう
)
な
卑怯
(
ひけふ
)
な
男
(
をとこ
)
には、
079
何程
(
なにほど
)
サモア
姫
(
ひめ
)
だつて
愛想
(
あいさう
)
を
尽
(
つ
)
かさずには
居
(
を
)
られないぢやないかえ。
080
モウそんな
野望
(
やばう
)
は
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたが
宜
(
よ
)
からう。
081
第一
(
だいいち
)
家筋
(
いへすぢ
)
からして
段
(
だん
)
が
違
(
ちが
)
つてるのだから』
082
マンモス
『ハイ
宜敷
(
よろし
)
う
厶
(
ござ
)
います。
083
一寸
(
いつすん
)
の
虫
(
むし
)
にも
五分
(
ごぶ
)
の
魂
(
たましひ
)
、
084
月夜
(
つきよ
)
ばかりぢやありませぬ。
085
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
もありますから、
086
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
なさいませ。
087
サマリー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
088
サモア
殿
(
どの
)
、
089
左様
(
さやう
)
なら』
090
と
凄
(
すご
)
い
文句
(
もんく
)
を
残
(
のこ
)
してスタスタと
足音
(
あしおと
)
荒
(
あら
)
く
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つた。
091
後見送
(
あとみおく
)
つて
両人
(
りやうにん
)
は、
092
暫
(
しば
)
し
茫然
(
ばうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
た。
093
サマリー姫
『オホヽヽヽ
何
(
なん
)
と
男
(
をとこ
)
の
恋
(
こひ
)
に
呆
(
はう
)
けたのは
見
(
み
)
つともないものだなア。
094
サモア
殿
(
どの
)
、
095
あのスタイルを
御覧
(
ごらん
)
になつたら、
096
定
(
さだ
)
めし
満足
(
まんぞく
)
でせうなア』
097
サモア姫
『オホヽヽヽ、
098
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から、
099
属根
(
ぞつこん
)
嫌
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
ひますわ。
100
エヘヽヽヽ』
101
話変
(
はなしかは
)
つて、
102
マンモスは
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
に
手痛
(
ていた
)
き
肱鉄
(
ひぢてつ
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
浴
(
あ
)
びせられ、
103
無念
(
むねん
)
やる
方
(
かた
)
なく、
104
失恋者
(
しつれんしや
)
同士
(
どうし
)
の
応援
(
おうゑん
)
を
求
(
もと
)
めむため、
105
犬猿
(
けんゑん
)
も
啻
(
ただ
)
ならざりしユーフテスの
館
(
やかた
)
へさして、
106
トントントントン
駆
(
か
)
けて
行
(
ゆ
)
く。
107
ユーフテスはマンモスの
来訪
(
らいほう
)
に
際
(
さい
)
し、
108
一度
(
いちど
)
も
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
敷居
(
しきゐ
)
を
跨
(
また
)
げた
事
(
こと
)
がないマンモスが
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
たのは、
109
唯事
(
ただごと
)
ではあるまいと、
110
いつもなら
塩
(
しほ
)
振
(
ふ
)
りかけて
箒
(
はうき
)
を
立
(
た
)
てる
処
(
ところ
)
だが、
111
自分
(
じぶん
)
も
失恋
(
しつれん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
112
何
(
なん
)
となく
心細
(
こころぼそ
)
くなつて
居
(
ゐ
)
たので、
113
いつもの
敵
(
てき
)
も
今日
(
けふ
)
は
強
(
つよ
)
い
味方
(
みかた
)
が
出来
(
でき
)
たやうな
心持
(
こころもち
)
で
門口
(
もんぐち
)
に
迎
(
むか
)
へに
出
(
い
)
で、
114
ユーフテス
『ヤア、
115
マンモス
殿
(
どの
)
、
116
其
(
その
)
慌
(
あわ
)
て
方
(
かた
)
は
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
るか。
117
よもやサモア
鉄道
(
てつだう
)
の
脱線
(
だつせん
)
顛覆
(
てんぷく
)
ではありませぬかなア』
118
マンモス
『
脱線
(
だつせん
)
も
顛覆
(
てんぷく
)
も
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
えて、
119
メチヤメチヤに
破壊
(
はくわい
)
してしまひましたよ。
120
セーリス
姫
(
ひめ
)
さまはどうなりましたか』
121
ユーフテス
『どうなつたか、
122
かうなつたか、
123
サツパリ
見当
(
けんたう
)
が
付
(
つ
)
かないのですよ。
124
彼奴
(
あいつ
)
は、
125
ババ
化物
(
ばけもの
)
でした』
126
マンモス
『ヘーン、
127
あのセーリス
姫
(
ひめ
)
が……どう
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
の
化物
(
ばけもの
)
ですか。
128
矢張
(
やは
)
りサモア
姫
(
ひめ
)
のやうに
貴方
(
あなた
)
を
今
(
いま
)
まで
甘
(
うま
)
くチヨロまかし、
129
最後
(
さいご
)
の
五
(
ご
)
分間
(
ふんかん
)
になつて
伏兵
(
ふくへい
)
が
現
(
あら
)
はれ、
130
クリツプ
砲
(
はう
)
で
砲撃
(
はうげき
)
と
出
(
で
)
かけたのですか』
131
ユーフテス
『
何
(
なに
)
、
132
それならまだ
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
るが、
133
セーリス
姫
(
ひめ
)
と
思
(
おも
)
つたのは
大変
(
たいへん
)
な
古狐
(
ふるぎつね
)
でしたよ。
134
大方
(
おほかた
)
狐
(
きつね
)
の
奴
(
やつ
)
、
135
本物
(
ほんもの
)
のセーリス
姫
(
ひめ
)
をいつの
間
(
ま
)
にかバリバリとやつて
了
(
しま
)
ひ、
136
旨
(
うま
)
く
化
(
ば
)
けて
居
(
ゐ
)
やがつたと
見
(
み
)
えますわい、
137
いやもう
女
(
をんな
)
には
懲
(
こ
)
り
懲
(
こ
)
りだ。
138
今
(
いま
)
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
してもゾツとするやうだ』
139
マンモス
『
何
(
なに
)
、
140
そんな
事
(
こと
)
があるものか。
141
今朝
(
けさ
)
もセーリス
姫
(
ひめ
)
さまが
本当
(
ほんたう
)
に
心配
(
しんぱい
)
して「
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
ユーフテスさまのお
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
えぬ」と
云
(
い
)
うて
居
(
ゐ
)
たよ。
142
併
(
しか
)
し
彼奴
(
あいつ
)
もサモアの
亜流
(
ありう
)
だ。
143
惚
(
ほ
)
れられて
居
(
ゐ
)
たと
思
(
おも
)
ふと
違
(
ちが
)
ふから、
144
まア
断念
(
だんねん
)
するのだなア』
145
ユーフテス
『
如何
(
いか
)
にも
断念
(
だんねん
)
(残念)
至極
(
しごく
)
だ。
146
併
(
しか
)
しながら、
147
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
レコ
はどうなつたらう、
148
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
舌
(
した
)
を
痛
(
いた
)
めたので
外出
(
ぐわいしゆつ
)
もせず
燻
(
くす
)
ぼつて
居
(
ゐ
)
たので、
149
一寸
(
ちよつと
)
も
御
(
ご
)
様子
(
やうす
)
が
分
(
わか
)
らぬが、
150
キツト、
151
アフン
の
幕
(
まく
)
が
下
(
お
)
りたに
違
(
ちが
)
ひなからうなア』
152
マンモス
『サア
其
(
その
)
事
(
こと
)
について、
153
大変
(
たいへん
)
サマリー
姫
(
ひめ
)
とサモアとが
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
の
体
(
てい
)
だ。
154
俺
(
おれ
)
もそれを
思
(
おも
)
ふと
大変
(
たいへん
)
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
堪
(
た
)
へられぬ……
事
(
こと
)
はないわい。
155
いや
寧
(
むし
)
ろ
小気味
(
こきみ
)
がよいやうだ』
156
かく
話
(
はな
)
す
処
(
ところ
)
へ
門口
(
かどくち
)
より、
157
(カールチン)
『ユーフテス ユーフテス』
158
と
呼
(
よ
)
びながら
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るは
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
のカールチンであつた。
159
ユーフテスは、
160
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし、
161
ユーフテス
『ヤア
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
162
血相
(
けつさう
)
変
(
か
)
へて、
163
何事
(
なにごと
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
164
カールチン
『ヤア
大変
(
たいへん
)
だ
大変
(
たいへん
)
だ。
165
王
(
わう
)
が
二
(
ふた
)
つもあり、
166
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
二人
(
ふたり
)
も
居
(
ゐ
)
るのだから、
167
あんまり
恐
(
おそ
)
ろしくて
居
(
を
)
られた
態
(
ざま
)
ぢやない。
168
スツテの
事
(
こと
)
で……
無事
(
ぶじ
)
に
命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
かるかと
思
(
おも
)
つた
城内
(
じやうない
)
は、
169
どいつもこいつも
化物
(
ばけもの
)
ばかりだ。
170
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
、
171
柔
(
やさ
)
しい
事
(
こと
)
吐
(
ぬか
)
しやがつて
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
安心
(
あんしん
)
させ、
172
ソツと
召
(
め
)
しとらうといふ
計劃
(
けいくわく
)
だから、
173
俺
(
おれ
)
も
強者
(
しれもの
)
、
174
改心
(
かいしん
)
したやうな
顔
(
かほ
)
をして
歌
(
うた
)
をよんで
其
(
その
)
場
(
ば
)
を
誤魔化
(
ごまくわ
)
し、
175
便所
(
べんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
つて
便所
(
べんじよ
)
の
穴
(
あな
)
からソツと
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
つた
所
(
ところ
)
だ。
176
何
(
なん
)
でも
一人
(
ひとり
)
は
本物
(
ほんもの
)
で
一人
(
ひとり
)
は
化物
(
ばけもの
)
だ。
177
もうかう
露顕
(
ろけん
)
した
上
(
うへ
)
はユーフテス、
178
お
前
(
まへ
)
も
助
(
たす
)
かるまい、
179
俺
(
おれ
)
もどうかせなけりやならないと、
180
此処
(
ここ
)
へ
相談
(
さうだん
)
に
来
(
き
)
たのだ。
181
ヤア、
182
マンモス、
183
貴様
(
きさま
)
も
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
たのか、
184
三
(
さん
)
人
(
にん
)
寄
(
よ
)
れば
文珠
(
もんじゆ
)
の
智慧
(
ちゑ
)
だから、
185
此処
(
ここ
)
一
(
ひと
)
つ
相談
(
さうだん
)
をしようぢやないか』
186
ユーフテス
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
187
あの
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
から、
188
セーラン
王
(
わう
)
の
声音
(
こわね
)
を
使
(
つか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは、
189
三五教
(
あななひけう
)
の
黄金姫
(
わうごんひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
です。
190
さうしてヤスダラ
姫
(
ひめ
)
と
名乗
(
なの
)
つて
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
は、
191
矢張
(
やはり
)
贋者
(
にせもの
)
で
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
192
清照姫
(
きよてるひめ
)
と
云
(
い
)
ふ、
193
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
様
(
さま
)
の
妻子
(
さいし
)
ですよ』
194
カールチン
『そんな
詳
(
くは
)
しい
事
(
こと
)
を
貴様
(
きさま
)
は
誰
(
たれ
)
に
聞
(
き
)
いたのか』
195
ユーフテス
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うても
蛇
(
じや
)
の
道
(
みち
)
は
蛇
(
へび
)
ですわ。
196
或
(
ある
)
方法
(
はうはふ
)
をもつて
すつかり
偵察
(
ていさつ
)
しましたわい』
197
カールチン
『そいつは
大変
(
たいへん
)
だ。
198
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
ては
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
命
(
いのち
)
がなくなるかも
知
(
し
)
れないぞ。
199
サア
今晩
(
こんばん
)
のうちに
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
城内
(
じやうない
)
に
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み、
200
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
斬
(
き
)
り
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
はねば、
201
枕
(
まくら
)
を
高
(
たか
)
うする
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
まいぞ』
202
マンモス『こんどは
忍術
(
にんじゆつ
)
の
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
しますから
滅多
(
めつた
)
に
失敗
(
しつぱい
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
203
サアお
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
、
204
奥
(
おく
)
へお
出
(
いで
)
なさいませ。
205
私
(
わたし
)
が
秘密
(
ひみつ
)
を
教
(
をし
)
へます』
206
と
奥
(
おく
)
の
離室
(
はなれ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
207
茲
(
ここ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
今夜
(
こんや
)
の
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
を
期
(
き
)
して、
208
黄金姫
(
わうごんひめ
)
以下
(
いか
)
重
(
おも
)
なる
幹部
(
かんぶ
)
を
殺害
(
さつがい
)
せむと、
209
鳩首
(
きうしゆ
)
謀議
(
ぼうぎ
)
をこらして
居
(
ゐ
)
た。
210
ユーフテスの
家
(
いへ
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
る
下女
(
げぢよ
)
のチールは
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
隠謀
(
いんぼう
)
を
残
(
のこ
)
らず
立聞
(
たちぎ
)
きし、
211
何
(
なに
)
食
(
く
)
はぬ
顔
(
かほ
)
をして、
212
そつと
裏口
(
うらぐち
)
をぬけ
出
(
だ
)
し、
213
右守
(
うもり
)
の
娘
(
むすめ
)
サマリー
姫
(
ひめ
)
にその
顛末
(
てんまつ
)
をすつかり
密告
(
みつこく
)
して
了
(
しま
)
つた。
214
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
今後
(
こんご
)
如何
(
いか
)
なる
活動
(
くわつどう
)
をなすであらうか。
215
(
大正一一・一一・一七
旧九・二九
加藤明子
録)
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